Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『魔界の母と悪魔の妹 4』 作者: 木質

魔界の母と悪魔の妹 4

作品集: 18 投稿日時: 2010/07/17 12:03:32 更新日時: 2010/07/17 21:03:32
【 紅魔館 】

シトシトと雨が降る
大きくも小さくも無い雨粒が、止まることなく地面にぶつかる
周りを湖に囲まれているせいか、体を動かすと肌がベタつく感じがした

何をするにも憂鬱さを感じる天気だった


黒い魔法使いユキは窓からぼんやりと外を眺める
「雨だ・・・」
「雨だね」
テーブルに頬杖を突いて窓を見る白い魔法使いのマイがそれに答える
「魔界のも、こっちのも。あんまり変わんないね」
「そうね」
今日一日、雨は止みそうにない。なんとなくそれがわかった
「はあ、これじゃあ洗濯物が乾かないわ」
夢子が二人の前に紅茶の入ったティーカップとクッキーの乗った小皿を置く
「お、ありがとう」
「いただくわね」
「ええどうぞ」
夢子は魔界から送られてきた報告書をテーブルの上に置いた
一枚目はレミリア達について書かれていた
「吸血鬼の連中は、向うの生活を満喫してるみたいね。わがままを挙げ連ねて贅沢三昧。バカンス気分だそうよ」
「サラたち参ってるでしょうね」
ひとごとのようにユキは笑った
「他は?」
「魔界の統治についてね、議会が神綺様のサインを求めてる」
今回届いた政治の報告に重要度の高いものは無かった。せいぜい議会での決定を承認して欲しいという申請で、ここにいても十分こと足りる内容だった
「マイ、幻想郷の情報収集はどうなっているの?」
「順調よ。まあもう少し時間はかかりそうだけど」
「ユキ、館の警備は?」
「オールクリーン。監視の目玉に抜かり無し」
それぞれの姉妹の報告に頷く


二人が紅茶を飲み干し、クッキーを食べ終えるのを確認してから、夢子は話題を変えた
「私、欲求不満なのかしら?」
「どうしたのいきなり?」
「魔界から離れたせいでストレスでも溜まってるの?」
めずらしく困った表情を見せる姉に二人はそれぞれ尋ねた
「夢を見たのよ」
「へぇ。一体どんな?」
「神綺様に夜這いしてふたなり薬を無理やり飲ませて逆レイプ。私が処女喪失する内容だったわ」
「はあっ!?」
驚いたのはユキのみ、マイは夢子が以前からそんなことを口にするのを知っていたため、そこまで驚きはしなかった
「こんなのを買ったせいかしら?」
液体の入った小瓶を取り出して二人に見せる
「先日、人里に買い物に行った時、永遠亭のうさぎが薬を売りに来ていたからいくつか買ったの。その中の一つがこれ」
「その効果っていうのはやっぱり」
「おちんちんの生える薬」
「・・・・・」
「・・・・・」
どん引きだった
「で、でもまだ飲んでないのよね?」
マイの声は震えていた。背中の白い羽もピクピクと動いていた
「どーせ偽物でしょう?」
ユキがちゃかす。額には薄っすらと汗が滲んでいる
「今、試験中よ・・・・・・・・・・・あなたたちで」
二人の手が止まる。自然とティーカップと皿に目がいった
喉に指を入れて部屋の隅まで走り、そこにあったゴミ箱に顔を傾ける
「「おえぇぇぇぇ」」
「はしたないわよ」
「「誰のせいよ!!?」」

二人は酢酸の臭いがする口元をテーブルの上にあるオシボリで拭ってから、スカートの中に手を入れて体に異常がないか確認した
「ねぇ生えた?」
「NO」
「いいえ」
ユキとマイは首を振った
「本当に?」
「うん」
「異常なし」
何度も首を縦に振った
「それじゃあ、私たちはこれで」
そそくさと部屋を出て行こうとする二人。ドアノブに手を伸ばしたときだった
「もう少しゆっくりしていきなさい」
夢子の放った短剣がドアノブに深々と突き刺さる
「確認するから、仰向けになって」
その目は軽く血走っていた
ユキとマイは、本気を出さねば確実に何かを失うことになると察知して、各々が得意とする魔術の詠唱を開始した





神綺はボードゲームを持って娘達がたまっている部屋の前までやってきた

「みんな〜〜暇だからドンジャラしましょうドンジャ……ラ?」

「いい加減に観念して身を委ねなさい!」
「生えてないから、いや、ホントにマジで勘弁してください!」
「マイの口は信用できないので、体に聞いてみることにするわ」
「手をいれるなああああああああああ!」
服の袖とスカートの裾を短剣で刺され、床に縫いつけられたユキとマイは、夢子に体をまさぐられていた
部屋には激しい抵抗の跡が見てとれた
神綺はドアを開けて固まった
「…………」
そして、そっと扉を閉めた

「ワタシ、何も見てない。見てない」
目を閉じて耳を塞ぎ、神綺はその場をあとにした







【 人間の里 】


雨の日も、里一番の大通りは賑わっていた
赤、青、黄、白、緑、さまざまな色の傘が咲いた道を、赤い髪を揺らしなが小悪魔は歩く。さしている黒い傘がクルクルとまわる

雨のせいもあって憂鬱そうな顔をしている周囲に対し、彼女は上機嫌だった
「〜〜♪」
やがて、通りの端に生える一本の松を見つけ、その下まで歩く

「時間どおりだな。悪魔はもっとルーズなんだと思っていた」
先に到着していた群青色の傘の女性が、小悪魔に話かけた
「スケジュールには五月蝿いんですよ、私は」
群青色の傘の女性、八雲藍に笑いかける
藍はその笑みを無視して早々に本題を切り出す
「知っていると思うが、紫様はご機嫌斜めだ」
八雲紫には、神綺たち魔界を迎合する気などサラサラ無かった
出した条件である『幻想郷に台頭する各勢力の長から、魔界が幻想郷に進出しても良いという許可を得る』ということは出来っこないと思ったから提示した
「しかし。紫様の思惑に反して、事は進んでいる」
神綺は順調に許可を取り付けていった

『妖怪の山。永遠亭。地底。命蓮寺。冥界』

その内のあと二箇所。白玉楼と妖怪の山から許しを得れば条件を満たすことになる
「なぜ何処かの勢力に『魔界神を認めない』と発言させるように促さなかったんですか?」
圧力をかければ、どこかは言うはずだと小悪魔は指摘する
「考えたが実行しなかった」
「なぜです?」
「どうせ無理だろうと高を括っていた。素直に失策だと認めよう」
「このままでは魔界と幻想郷が交わるのも時間の問題ですね」
魔界の幻想郷進出は現実味を帯びはじめた
「もう手は打ってある。守矢神社と紫様の間で話はついている」
「その方達に『認めない』と言わせるわけですね」
「いいや。もっと直接的な手段で魔界の神には去ってもらう」
「と、申しますと?」
「守矢勢は魔界神を退治、もしくは撃退したいそうだ。自分たちの手で」
魔界の神を退けたとなれば信仰は鰻上りに増える、そう彼女たちは考えていた
「そして我々には、魔界神を討つためのお膳立てをしてほしい。とのことだ」
魔界神を倒すために、紫は守矢に裏で力を貸すことを約束済みだった
「私に出来ることは?」
「魔界神が守矢神社に訪問する日付を私に知らせてほしい。貴方しか出来ないことだ」
「承知しました」
小悪魔は松の下から一歩出る
「それでは、私はこれで」
「ときに小悪魔」
藍が背中に向けて尋ねてきた
「貴方が我々に加担する理由は、『紅魔館が乗っ取られたことのへ恨みを晴らしたい』と紫様からお聞きしたが・・・」
小悪魔の方から八雲紫に接触をしてきて間者を志願した。少しでも魔界神の情報がほしい紫は、それを承諾した
「本当にそうなのか?」
小悪魔の態度を見る限りでは、とてもそんな動機で動いているようには見えない。今の状況をどこか楽しんでいるようにすら見えた
「・・・・」
聞こえないふりをして、小悪魔は歩いていった







【紅魔館】

帰って来た小悪魔がエントランスホールを横切ろうとしたとき、妖精メイドたちが人だかりを作っているのが目に付いた
(なんでしょうか?)
気になって近づく

「ヘンゼルとグレーテルは暗い森の中を・・・」

神綺が絵本を朗読していた。まるで子供達に読み聞かせをする保母さんのようだった。膝の上にはフランドールの姿があった
「それじゃあ今日はここまで」
切りのいいところまで読んで神綺は本を閉じた
残念がるメイドたちをなだめて、フランドールを部屋に連れて行くように頼み、その場を離れる神綺を小悪魔は追った
「神綺様」
「どうしたの?」
「なぜ絵本を?」
「フランちゃんが寝たきりで退屈してたから、本をよんであげていたの。そしたらみんな集まってきて・・・」
あの人数では部屋に収まりきらなかったため、ホールまで移動したのだという
「妹様は、絵本をあまり好まれないのでは?」
過去に図書館で分厚い推理小説を読んでいるのを数回見ている。作中の登場人物の特徴や人物相関図をメモ帳に書き込み内容の理解を深めるなど、なかなかの読書家である
「あらそうなの? いろんな本を持ってきてどれが良いって聞いたらこれをずっと見てたの」
「そうなんですか」






全員が寝静まったその夜、小悪魔はフランドールの部屋にやってきた
雨は止み、雲が晴れて澄んだ空には太陽にように光る満月が浮かんでいた



「なんですかアレ? 絵本なんて読んでもらって」
フランドールは最初こそ、一日のほとんどを睡眠に使っていたが、起きている時間が日に日に長くなり。最近は取る食事の量も徐々に増えて行った
しかし、体はまだ癒えておらず、体の大部分は自分の意思で動かせないのが現状だった。自力で手を肩あたりまで挙げるのがやっとである
「安っぽい家族ごっこですね。まあ貴方とお姉さんの関係はそのごっこにも劣りますが」
小悪魔は馬鹿にするように笑った
「いつも見てましたもんね。遠くから、母と姉が一緒にいるところを」
「・・・・・・」
「そういえば、私が見せた夢の中でも絵本を読んで欲しいとせがんでましたね」
彼女に干渉した夢の内容を思い出す
「馬鹿じゃないですか? 赤の他人にそんなのを求めて。神綺様は、あなたが病人だから介護してるに過ぎないんですよ?」
「・・・・・」
フランドールはまだ喋ることが出来ない。小悪魔に潰された喉は完治していない
「そんな下らない親子ごっこは、いい加減終わらせてあげましょう」
小悪魔は長袖をまくる







■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


永遠亭で得た薬を手に、夢子は寝息を立てる神綺に近づく
「神綺様」
そのまま彼女の体に覆い被さる
「な、なに!?ゆ、夢子ちゃん?」
「失礼します」
小瓶の蓋を開け、無理やり口に薬を流し込む
「んぶっ……なにを飲ませたの?」
「立派な竹の子が生える薬です」
「え、な?」
神綺は股に違和感を感じた
「なんと神々しいお姿」
下着を押し上げて鎌首もたげてくる
「ではさっそく」
たどたどしい手で主人に生えた肉棒を握る
「ひゃっ!」
その感触だけで神綺は射精した
「なんて敏感な竹の子。しかしまだまだ元気ですね」
夢子は下着を下ろし、濡れそぼった秘所を自らの指で開く
「なかなか綺麗でしょう?いつか神綺様とこうなることに憧れて、ずっと取っておいたんですよ、自慰だって我慢してました」
「止めましょう!私たち親子じゃない!!」
「親子だからいいんじゃないですかあああああああああ!!」
神綺の竹の子が処女の純血をあびながら
竹の子は中に埋まっていく
「やめてええええ灰汁がぬけちゃうううう!!」



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□



「はっ!!」
真夜中。夢子はベッドから跳ね起きた
「また夢? まったく残念・・・・・じゃなくて不謹慎な」
メイドとしてあるまじきコトだと自戒する
「ん?」
枕元でなにかが動いていた
「ああ、お前か」
ユキが管理している、館の内部を監視する魔界の生物の一匹だった。目玉を背負った親指程度の大きさの蜘蛛である
「・・・・・」
背負った目玉がギョロギョロ動き、夢子に情報を伝える
「こんな時間に小悪魔がフランドールの部屋に? わかったわ。ありがとう」
体をお越し、身支度を始めた











「ほらほら。気持ちいいですか?」
小悪魔はベッドで寝たきりのフランドールの秘所に手を伸ばして弄んでいた
衣服を剥ぎ取られ、下着を取り払われたのが三十分ほど前
中に侵入した小悪魔の中指が乱暴に内側を撫でる
「イきそうなんですか? イきそうなんですね・・・・・・じゃあ終わりです」
そこで小悪魔は手を止めた
「〜〜っ! 〜〜っ! 〜〜っ!」
フランドールは体を痙攣させて悶絶する。まだ手足が自由に動かないため、快感の波に抵抗することが出来ない
絶頂したくても出来ない生殺しの状態にさせられ、火照りが治まるとまた弄られる。そんなサイクルがずっと続いていた

「すぐに濡れちゃう淫乱まんこですねーー」
左右を広げ、クリトリスに息を吹きかけて刺激する
「ぁっ・・・あ・・・」
「気が狂いそうですか? 狂ってさっさと廃人になってください」
今度は指を二本同時に差し込んだ


「なにやってるの小悪魔ちゃん?」
「ああ、神綺様」
寝巻き姿の神綺が眠たそうに目を擦りながら、扉をあけて小悪魔を見ていた
(お待ちしておりました)
小悪魔は彼女の登場を待っていた。監視の蟲が部屋にいることも知っていた、神綺を部屋に呼ぶためにそれを逆に利用した
「なんでフランちゃんを裸んぼにしてるの?」
「満月の夜、吸血鬼の性欲が昂ぶるんです。だからこうして私が解消してさしあげているのですよ」
空に浮かぶ月を指差した
「じゃあ、私が後は引き受けるから。小悪魔ちゃんはお部屋に戻っていいわ」
「そんな。このような行為を神綺様にさせるわけには」
「私がやりたくて言っているの」
「・・・・わかりました」
渋々といった顔をしながら部屋を出る

「・・・・・・密告(チンコロ)したのはあなたですか?」
扉のすぐ横の壁に、背中を預ける夢子を見る
「随分とエゲつないことをしてくれたわね小悪魔」
「仰っている意味がわかりかねます?」
にんまりと笑った。口の両端が尖った、気味の悪い笑みだった
ここまで小悪魔の思惑通りだった



「はい。体を楽にして。そう」
神綺は下着だけの姿になり、仰向けに寝るフランドールの秘所に手を伸ばす
「触るわね」
「・・・・」
「どうかしたの?」
どこか彼女が拒んでいるように見えて、手を止めた
「大丈夫、怖くないから」
フランドールが拒絶する理由はそこではなかった
彼女は神綺に理想の母親の姿を見ていた。それ故、これから行なう行為が近親相姦を強く意識させられて、抵抗を感じていた
神綺は彼女の思いはわからない
(困ったわ)
しかし、だからといってこのまま生殺しの状態にしておくわけにもいかない
(何か考えないと)
考え、一つの言い訳を思いついた
「これはスキンシップ。お風呂一緒に入ったり、じゃれて遊んでいるのと一緒。そう思ってくれない?」
苦しい言い訳。屁理屈にもならない言葉だった
(スキンシップ?)
彼女の中でスキンシップの境界が揺れ動く
しばらく考え込んだフランドールの体から抵抗の意思が消えた

「ここに口を。イクときに思いっきり噛んでいいから」
自らの首筋をフランドールの口に含ませた。絶頂の際、思いっきり噛み合わせて歯が割れるのを防ぐためだ
彼女の歯は再生して生え揃ったばかりだが、十二分に鋭利な凶器だった

「じゃあ。触るわね」
最初、額に口付けをした後、秘所やさしく撫で上げる。それだけで彼女はビクリと震えた
(手順をちゃんと踏んでからイかせたいけど、あんまり焦らしても可哀想だし)
これ以上、時間をかけると彼女の体がもたないと判断した
人差し指をゆっくりと中に差し込み、手の平でクリトリスを圧迫する

「ッ〜〜〜〜っぁ!!!」

長い時間、おあずけを受けていた体にようやく許しが下り、絶頂を迎えた

思い切り神綺の首筋に噛み付いた、神綺は声を一切上げなかった

そのままフランドールは気をやった
愛液で濡れたシーツを取り替えてから、神綺は彼女を抱き寄せて、お互い裸のまま眠りについた





(ん〜〜。今回は私の思惑通りにはいきませんでしたかね?)
神綺に性欲処理をさせることで、フランドールが彼女に抱いていた母親の像をぶち壊すのが目的だった
(まあ、こんなのはどーでも良いことですけどね)
目の前にいる夢子を見る
廊下で二人はまだ対峙を続けていた
「嫉妬してるんでしょう?」
「何がいいたい?」
夢子は明確な殺意を持った目だった、しかし小悪魔はたじろかない
「神綺様はあれを娘同然にお取り扱いしている。もしかしたらアナタ以上に。だから嫉妬している。違いますか?」
「私を煽ろうとしても無駄よ。ユキもマイも、そんな焚き付けには乗らない」
「そうですかそうですか」

踵を返した小悪魔は、足早にその場を去っていった












【冥界 白玉楼】

雨が上がった次の日

神綺と夢子が白玉桜にやってくるのはこれで二度目だった

玄関で幽々子に挨拶をする
「紫から用向きは聞いているわ。どうぞおあがりください」
通されて廊下を歩き、応接室の前まで案内される

「妖夢、私たちだけでお話するからメイドさんをお庭にご案内して差し上げなさい」
「心得ました」
「くれぐれも失礼の無いようにね」
この時、妖夢は無意識のうちに刀の柄を逆手で握り締めていた。その言葉でハッと気付き柄から手を離す

幽々子は障子をしめ、魔界の神と二人きりになった

主の言いつけ通り、妖夢は夢子に庭を案内する
「よく手入れの行き届いた庭ね」
お世辞や皮肉にはなく、素直にそう思っての言葉だとわかった
「恐れ入ります」
だからこちらも素直にお礼を言った
「…」
「…」
だがそこで会話は終わってしまった
夢子はぼうと庭をぼうと眺めていた
チラリと妖夢は彼女を見る
(神の産物……か)
改めて彼女を綺麗だと認識した
太陽のように輝く髪、美しくも凛々しい顔立ち、脚はスラリと伸び、手もしなやかで、背も女性の中では比較的高い。幼いころに自分が成りたいと願望を抱いていた体型を、彼女はまさに持っていた
「なにか?」
視線に気付き夢子は尋ねた
「いえ・・・その・・・・・・」
目の前の女性が、魔界の神によって創り出された存在だと知らされた時は驚いた
以前、刀を指で受け止められたことを思い出す
渾身の振りを造作もなく、羽虫でも捕らえるがごとく容易く捕らえられた
「…」
気付けば刀を抜いていた。切っ先を向ける
「またなにか?」
妖夢の敵意を夢子はまったく意に介していない
「聞けば、魔界最強だとか」
「ええ、その通りよ」
誇るわけでも、驕るわけでも無く。ただそう断言した
「あなたと立ち合いたい」
「そう」
「本気ですよ」
「なら勝手にしたらいいでしょう」
それだけ言うと顔を背けて、庭を眺めるのに戻った
「では、そうさせていただきます」
「好きにしなさい」


夢子は昨晩のことで頭が一杯だった
(小悪魔、一体なにを考えているのかしら?)
彼女の行動には、見逃せない点が何箇所かあった
神綺もそのことはわかっている。しかし、証拠が不十分なのと、実質的な被害をこうむっていないという理由から黙認されている
(『悪魔だから悪巧みの一つや二つは当たり前』と神綺様は仰っていたが、どうもアレには気を許せない)
いくら幻想郷に渡る手引きをした功績があるとはいえ、信頼足る者かと疑問になる
(まあ、一介の悪魔が神綺様をどうこう出来るわけが無いか。部屋にもおかしな物は無かったし)
彼女が外出の間、一度忍び込んで調べたことがあった。出てきたのといえば、怪しい薬くらいだった
(薬・・・・あ、そういえば)

その言葉をきっかけにして、小悪魔の話題を終わらせ、別のことを考え始めた

(しかし、あの薬。やっぱり偽物だったのかしら?)
昨日、ユキとマイに飲ませたことを思い出す
強引に身体検査をしたのに、目当てのモノは生えていなかった
(永遠亭の薬師、八意永琳手製の薬だとあの兎は言ってたし。偽物じゃないか)
ピンクのワンピースを着た背の低い妖獣はそう豪語していた
(飲ませる量が足りなかった? それとも魔界の住人には効果が無いのかしら?)
後者だったら絶望的である
(こうなったら直接出向いて、作ってもらうしか)
血でも皮膚でも頭髪でも、何を提供するのも惜しくは無かった。目的が果たせるならモルモットにだってなる覚悟がある
(待てよ。私の体で実験するのなら、私が一番最初に生やすことになる)
自分にソレが付いている姿を想像する
(論外ね。私の不浄を神綺様にあてがうなんて、身の程を弁えないと・・・)
従者が主人に挿入などもっての他だと思う
(でも、神綺様が良いというなら・・・・)
聖母の笑みで、自分のために体を開いてくれる神綺
「まずいわ。どうしましょう。究極の選択よ、アルティメットチョイス?」
顔を上げて妖夢を見る。妖夢は刀を両手に持ち、肩で息をしながら、自身を睨みつけていた

「 ? 」

夢子は周囲を見回す。門の前に立っていた
(あれ? さっきまで桜並木の中を歩いて・・・?)
「なぜ反撃してこない! 馬鹿にしているのか!?」
切っ先を向けて吼える

「 ? 」

夢子が考え事に夢中になっている間、妖夢は彼女を斬るために何度も刀を振っていた
体が勝手に反応して避けていてくれていた。だからこんなところまで移動していた
避けてばかりで反撃したこない夢子に妖夢は苛立ちを感じていた
自分はこんなにも懸命に刀を握っているのに、それを見ようとせず、小声でブツブツと独り言を続ける彼女の態度は、これ以上にない屈辱だった

「はぁぁ!」
スペルを刀に篭めて振りかぶる
夢子は面倒くさそうに息を吐いたあと、抜き手を作った









茶室で魔界の神と冥界の姫が話していると、幽々子はふと顔を庭のほうに向けた
「どうやら、ウチの庭師はあなたのメイドさんにご執心みたいね」
「そうなの?」
「一応釘は刺しておいたけど………あの子にはどうも辻斬りの気があるみたいだから」

外で聞き慣れた素振りの音がしたあと妖夢の怒鳴り声が聞こえたので、障子を開けた
妖夢が夢子の手刀で撃沈するところが見えた


慌てて二人のところまで神綺は駆け寄った
「夢子ちゃん! どうして!?」
「正当防衛です」
地面に伏す妖夢を見て、神綺は抱え起こすために手を伸ばそうとする
「夢子ちゃん、妖夢ちゃんに謝っ・・・」
その袖を幽々子に掴まれた
「いいえ。先に手を出したのは間違いなく妖夢のほう。謝らなければならないのはこっち」

妖夢の襟を掴んで立ち上がらせる
「私の方からキツく言っておくから、今日のところは多めに見てもらえないかしら?」
「わかりました」
「それと、先ほどのお返事ですが」
幽々子はまだ、魔界が幻想郷の進出する件の是非を答えていなかった

「『許可』します。魔界の民がこの白玉楼に今後一切の入場を禁じることを条件にして」





【紅魔館】


「一応の許可はもらえたけど。なんだか微妙な雰囲気になちゃったわね」
「すみません。私のせいで」
「ううん、こればっかりはどうしようも無いわ」

意気消沈して帰ってくる主従を小悪魔は出迎える
「おかえりなさい」
「ただいま。変わったことは無かった?」
「特には無いです。それで許可はいただけましたか?」
「ええ。あまり良い形ではなかったけど」
ソファに腰掛け、深いため息を吐く
「残るは妖怪の山の守矢神社のみですね。いつ訪問なさるのですか?」
「そうねえ。魔界で溜まってる仕事を明日片付けるたいから、明後日にしようかしら」
「明後日ですね」

小悪魔は目当ての情報を聞き出すことに成功した
八雲に知らせる方法を考えながら、小悪魔はその場を後にした


「しかし、これだけ暗くなるとあれね」
「あれと申しますと?」
「アリスちゃん分が不足してしまうわ」
「?」
「明日の朝、調達して欲しいな〜〜」
「はあ?」









【 夢子の部屋 】

その日の夜。夢子のもとに一本のカセットテープが届いた

機械に入れて再生する
『お早う夢子君』
(神綺様ですよねこの声。必死に低い声だそうとしてるけど何ひとつ変わってない)
『今回の夢子君の使命は“アリスちゃんに寝起きドッキリ”することにある』
(なんでスパイ大作戦風?)
『例によって君もしくは君の仲間が捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないのでそのつもりで』
(つまりユキとマイも誘えってことですね)
『なお、このテープは自動的に消滅しないので、説明書をよく読んでマニュアルに従って消してください』
(・・・・)
夢子は説明書を読んだ
「えっと・・・丸いボタンを押してから、三角ボタンを二回・・・・・・で赤いボタンを押しながら・・・・・・・・・・意味わかんないわこれ」






翌日

【アリス邸 リビング】

朝霧が立ち込める魔法の森
まだ空に僅かな光が広がり始める早朝。夢子、ユキ、マイの3人は人形達に縛られて動きを封じられていた

『なお、このテープは自動的に消滅しないので、説明書をよく読んでマニュアルに従って消してください』

3人を見下ろすアリスは、レコーダーの停止ボタンを押した


「それで私の家に忍び込んだ。そしてベッドで眠る私に寝起きバズーカを喰らわせようとする途中。侵入者用の罠にあっさりはまってしまったというわけね?」
「ええ、そうよ」
代表で夢子が口を開いた
「いろいろ訊いてもいいかしら?」
「どんな拷問を受けようと、ボスの名は吐かないわ」
「いや知ってるから・・・・・・ていうかねえ」
アリスは思わず天井を仰いだ。どこから突っ込んでいいからわからない
「まずその服装よ」
一人ずつ順番に指差していった
「なんで全員レオタード?」
「侵入といったらこれでしょう。キャッツカードもあるわよ」
「それ泥棒でしょう、そもそもスパイじゃないし・・・・・・泥棒?」

もしやと思い、3人の持ち物を確認する

「やっぱり」
アリスの私物が中から出てきた

「歯ブラシ、櫛・・・・・・うわぁ下着まである」
「おしゃれになったね、昔はコットンだけだったのに」
「何を着けたって良いでしょう。もう子供じゃないんだから」
「見せる相手もいないのに?」
「だああもうッ!!」

イラッとしたアリスが両手の指を広げる、家の人形が一斉に動き出した

「やばっ」
殺気を感じとった3人は自力で糸を切断
夢子は扉から、マイとユキは左右の窓から蜘蛛の子を散らすように素早く逃げていった
一瞬の出来事だった
「やっぱり姉さんたちね。あのワイヤーを簡単に抜けちゃうなんて」
3人を拘束していた糸は自信作だった
「やっぱりまだ敵わないなぁ」
姉妹を煩わしく思うと同時に、誇らしくも思った

「・・・・・・・・・でも、それ以上に心配だわ」


アリスは棚を開けると、必要になりそうな物を鞄の中に詰め始めた










【 妖怪の山 】

川に沿いながら、神綺と夢子は山道を歩いていた
「なんで付いて来てるの?」
夢子は振り向き、自分たちのやや後ろを歩くアリスに尋ねる
「二人がおかしなことしないか心配だからに決まってるでしょ」
朝の件があり、アリスは二人に同行することにした
「じゃあせめて隣を歩きましょうよ」
「絶対イヤ」
神綺の勧めをきっぱり断った




途中で出会った白狼天狗に、守矢神社までの道案内を頼んだ
神社にたどり着くと、箒で庭を掃いている早苗がおり、声をかけると血相を変えて奥に引っ込んでいった
しばらくして早苗が戻ってきて、神綺と夢子、アリスは奥へと通した
部屋には神奈子と諏訪子が座っていた。早苗は五人分のお茶を出すと部屋からすぐに出て行った

口火を切ったのは神奈子だった
「噂は聞き及んでいるよ。幻想郷に居住するのを認めてもらいたいのだって?」
神奈子が神綺を終始値踏みするような目で見ながら言った
「・・・」
それに気付いた夢子は不快感を露にする
「はい。守矢神社様の意見をお聞かせ下さい」
「私たちはそなた等に『帰れ』と言う気は毛頭無い。その代わりと言ってはなんだが、ちょっとばかり頼まれてほしいことがある」
その回答に神綺は明るい表情になる
「どのようなことでしょうか? 私に出来ることでしたらなんなりと」
「いや、ソナタにしか出来ないことなんだ。魔界神殿にはわからないだろうが、私たちは信仰を集めてそれを力に変えている。つまりだ・・・」
「グダグダ言うのも面倒だからはっきり言うよ」
神奈子の言葉を諏訪子は無理矢理さえぎって立ち上がり、神綺の目の前までやってくる
「あんたをね、退治する」
体を軽く捻った、その手に鉄の輪が握られている
一瞬だった
諏訪子が目の前で正座していた魔界神を殴り飛ばした
神綺の体は背後の木製の壁を突き破り、神社の裏手、手入れの行き届いた針葉樹林に突っ込む

(ああ・・・)
すべての景色がゆっくりと、神綺の目に映った
(いい天気)
一度地面に体がぶつかり大きくバウンドする
(洗濯物がたくさん乾きそう)
衝突した太い木がまるで爪楊枝のように軽々と折れた
(夢子ちゃんにおしえてあげなきゃ)
地面に長い長い線を引き、ようやく彼女は止まった

その身に容赦なく。神奈子の放った御柱の雨が降り注いだ

「し・・・」

それを目の当たりにした夢子の鉄面皮が歪む

「神綺様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

主が飛ばされた方向を見て叫ぶ夢子。その隙を逃がすはずなど無く、諏訪子は鉄の輪を横なぎに振るう
しかし、鉄の輪は夢子の首を刎ねることは無かった
「貴方たちどうして!!?」
アリスは本能的に人形を操り、夢子を守っっていた。鉄の輪に上海人形が組み付いて止めている

「神綺様!」

夢子は一度も背後を振り返ることなく主の許へ急ぐ

「させませんよ」
外に飛び出した夢子に、針葉樹林で待機していた早苗が立ちはだかる
「魔界の神を討ったとあれば、信仰も幾分かは上がるでしょう」

神綺を打ち倒し、守矢の力を世に知らしめ、さらなる信仰を獲得する。それが数日前、3人で話し合った結論だった

「奇跡の力を見せてあげます」

夢子の前に結界を展開させようと霊力を込める

「邪魔よ」
「え?」
夢子は早苗の真横に居た。まだ結界は張られていない
「そんな、だって今、確かに・・・・・・」
「遅いのよ。単純に」
呆ける早苗の緑色の髪を掴む。そのまま引っ張り持ち上げ、腕を真下に向けて振った
「い゛ぎい゛ぃ!!」
夢子の手の中でぶちぶちと早苗の髪が房単位で千切れ、抜ける
「がはっ!!!」
そのまま地面に叩きつけられた。衝撃で早苗の左腕があらぬ方向に曲がる
「もう一発」
夢子は髪から手を離さず、もう一度持ち上げた
「貴様ァ!!」
目を赤くさせた諏訪子は、人形の組付く人鉄の輪を棄て、早苗の救出に走った
地面に叩きつけられる早苗の下にもぐりこみ、寸でのところで受け止めた
「おぐぁ!!」
早苗が受けるはずだった衝撃を、すべて肩代わりする


髪から手を離した夢子は身を翻して御柱が立ち並ぶ場所へ走った。無防備な二人に追い討ちをかけることなど思いつかなかった

「返事を、返事をしてください!!」
短剣で柱を次々と解体していく

「動かないでもらいたい」

落ち着いた神奈子の声が夢子の鼓膜を揺らした
振り返り、彼女は苦虫を噛み潰したような顔をした
「速やかに投降せよ。さもなくば、わかるな?」
神奈子はうつ伏せに倒れるアリスの背中に片足を乗せていた。アリスの両手には蔦が巻きついており、彼女の自由を奪っていた

「さて、皆の者。でてきとくれ」

神奈子の号令に、周囲の茂みや木が一斉に揺れ動いた
山伏の恰好をした者達が姿を表す。守矢と手を結んでいる天狗たちだった

「魔界の技術とやらを天狗と河童が欲しがっているからね。頼んだら快く協力してくれたよ」
夢子の周囲を天狗が取り囲む
「この娘に無事でいて欲しいなら大人しく捕まることだ」
「やめさない。あの二人に人質は逆効果よ」
「人質は大人しくしていてもらおう」
抗議するアリスの背中に置いた足に、体重をかける
「ぐぅ」
「悪く思わないでね、こっちも生活が掛かってるから」
気絶する早苗を抱えて、諏訪子は神奈子の横に立つ
「早苗の様子は?」
白目を剥いて気絶する巫女を心配そうに覗き込んだ
「腕が折れてる。他の骨ももしかしたら・・・・・・・・くそっ!!!」
「ぶっ」
諏訪子はアリスの後頭部を思いっきり踏みつけた
アリスは頭に足を置かれたままの状態で、ニ柱にもう一度警告した
「やめたほうがいいわ。あの二人に人質をとっての交渉はオススメできない」
「くくく、良く言うよ。あんなに言うがままなのに?」
短剣を棄てて両手を挙げている夢子を嘲笑うかのように、白い歯を諏訪子は見せた
「しかし。これで妹を人質に取られただけで降参とは魔界が聞いて呆れるね。あれなら昔、恐怖で国を治めていた私のほうがよっぽどその名にふさわしいよ」
そう言いながら、早苗を天狗に渡してすぐ治療するように命令する
天狗の一人が剣を抜き夢子に近づく
「大人しくしていれば、命は保障しよう」
「ただし、ボコボコにはなってもらうけど」
刃が体に触れようとしたとき
「汚いモノで触るな」
夢子は天狗の剣を払った
それを見て諏訪子はアリスの顔を蹴った。早苗に暴力を振るわれたことで苛つき、より暴力的になっていた
「くぅっ!」
アリスの頬に、山の土がこびりつく。鼻の穴の右側から血が流れ出す
「さっさと投降しなよ? この娘が嫁にいけない顔になっても構わないというなら話は別だけど」
「諏訪子・・・」
「嫌だなあ神奈子、本気で蹴るわけ無いじゃん。脅しだよ。お・ど・し。見た目に反してそんなに痛くはないよ」
小声でそう言った
「違う」
しかし神奈子は血の気の引いた顔を横に振った
「違うってなにが?」
「あんた、手が」
「ほえ?」
諏訪子は自分の右手を見る。肘から先が無かった。それが目についた瞬間、ようやく痛みを感じた
「ぃああああがががあがあああっああ!!!!!」
本人にも、神奈子にも何が起きたのかわからなかった
「どうしたの? 定期券でも失くしたのかしら?」
「ッ!?」
アリスの傍らに夢子はいた。右手でアリスを抱え、左手には切断された諏訪子の手

たった今まで夢子を包囲していた天狗たちは、硬直していた。その場にいた誰一人、彼女の動きを捕らえれていなかった

直後。御柱の山が崩れだした。中から魔界の神が、まるで墓穴から蘇ったゾンビのような動きで這い出てくる
「・・・・」
神綺は何も語らない。代わりにギチギチと気味の悪い音を奏でながら、黒い羽のシルエットが合計で六枚あらわれる
俯くその姿からは彼女の表情を窺い知ることは出来ない

魔界出身の二人を除いた、全員が明確な死を予感した




















【博麗神社】

「ん?」
神社に遊びに来ていた、伊吹萃香は微弱な揺れを感じた
「どうしたの? 急にあたりを見回して」
霊夢が尋ねた
「今地震が起きなかった? 震度は1か2弱のすごく弱い揺れだったけど」
「さあ?」
霊夢が首をかしげると、萃香は軽やな足取りで神社の屋根に上り、さらにそこから神社で一番高い木の上に跳ぶ
手で筒を作り妖怪の山を覗き込んだ
「ねえ霊夢」
「なに?」
「山の形が、変わってる。ほんの一部だけど」

















その日の夕方

【マヨヒガ】

八雲紫と藍は、ここで一人で暮らす式のもとを訪ねていた
「ねえ紫さま」
「なにかしら?」
「山の形が変わってしまったというのに、天狗はどうして号外をばら撒かないのですか?」
「簡単よ、書く余裕が無いから」
ありのままを教えた
「橙、しばらく妖怪の山には入っては駄目よ。約束できる?」
「はーい」



「紫様、準備が整いました」
「わかったわ、行きましょう」
スキマを開き、二人は移動した






「お忙しいなら、お集まり頂き、まことにありがとう御座います」

各勢力の代表者が一同に会していた。それ以外にも紫が強者と認めた者も座っている

「皆様もご存知のとおり。妖怪の山の一件。魔界神で力を振るったのが原因です」
そう言ったとき、一人の女性が手を挙げた
「あれは守矢神社から仕掛けた戦だと聞きましたが?」
発言した白蓮はわずかに侮蔑を篭めた目で出席している神奈子を見る
妖怪の山は地形への被害は甚大だったが、怪我人は少なく、みな軽症だった。それは奇跡などではなく、魔界神が意図的に力を加減してくれたお陰だとだれもがわかっていた
神奈子は無傷、諏訪子は腕を失い、早苗も強い打撲を受けたが命に別状は無い
「私が彼女に提示した条件の一つ。勢力の長から承認を得るという条件を満たせませんでした。よってこれより」
「『魔界の者達を幻想郷から追い出す』というわけですね」
紫の言わんとすることをさとりが先取りした
「その通り。討伐隊を結成します。各勢力から最低一人を・・・」
「徴兵しようってかい? ふざけるんじゃないよ」
星熊勇儀は、吐き棄てるように言った
「参加は任意です。参加してくださった方には、それ相応の見返りをご用意します」
「興味ないね」
勇儀は席を立った。さとりの肩に手を置く
「ほら帰るよ、ここにいても良い事は無さそうだ」
「そのようですね」
同意して立ち上がるさとりに紫は言葉を投げかける
「よろしいのですかさとりさん。地底の者達が世間に認められるいい機会かもしれませんよ?」
さらに心の中でも「嫌われ者というレッテルを解消できる」と呟いていた
「おい」
紫の言いたいことを理解した勇儀は、彼女の前に立った
「お前みたいなやつがいるから、地底を悪く思っている輩が後を絶たないんだよ」
「あら? それは事実ではありませんこと?」
紫は涼しげな表情だった
「皆が見ている場で、今まさに暴力を振るおうとする地底の住人。事実じゃありませんこと?」
「言いたいことはそれだけかい?」
「お待ち下さい」
振りあがられた勇儀の拳を、白蓮が両手でやさしく包み込んでいた
「聖白蓮。あなたも抜けるの?」
「ええ、神綺さんには恩があります。それにあの方は善良な御方です」

集まった勢力の代表者の内、地霊殿と命蓮寺が席を立ち。他の者は残った


「残ってくださった方々、本当にありがとうございます」
紫は全員に用紙を配る

「参加する意思のある方は、そこに書かれている時間・場所にお集まりください」
蓬莱山輝夜は紙に書かれている内容に軽く目を通す。日付の項目に目がいった
「今から3時間後とは随分と急ね。これじゃあロクな戦力が集まらないでしょうに」
「情報が魔界側に漏れた場合、こちらの勝機は絶望的ですから。奇襲による電撃戦で決着をつけたいのでしょう、きっと」
一緒に来ていた八意永琳がそっと耳打ちした

「以上です。忙しい中、集まってくれてありがとう。帰ったらここにいない方にもお伝え願います」

紫は早々に席を立ち、その場から消えると、皆それぞれ帰る仕度を始めた



この場に、二人だけ残った者がいた
「貴方も呼ばれていたのね」
「・・・」
「あらあら、だんまりを決め込んじゃって」
「・・・」
風見幽香は話しかけても押し黙るアリスを愉快そうに見ていた
アリスは一番すみに座り、発言もせずただ黙って紫達の話を聞いていた
「あなたもママを殺しに行くのかしら?」
「・・・」
やがて彼女は口を開いた
「みんな、母さんの力を知らなさ過ぎる」
「ええ。そうね。強いと評価はしてるけど、山の神の上位互換くらいの認識しかないでしょうね」
「『長雨で溜まった洗濯物が乾かないから』って理由だけで太陽を三つも四つも作っちゃうのよ? 勝てるわけ無い」
あの後、夢子に担がれて山を降りたアリス。諏訪子に蹴られた顔は、神綺の力で完全に癒えていた
「無理よ、これはもう戦争よ。幻想郷と魔界の」
どんどん表情を明るくする幽香と、その逆、暗くするアリス

「じゃあ、私は寄っていく所があるからこれで。戸締りよろしくね」

最後にアリスが残された

「私、どうしたら・・・」

彼女は頭を抱えてずっと思考を続けた











【紅魔館】

「どうしたら・・・」
妖怪の山と完全に決裂したことと、自身の振る舞いのせいで山の住人に迷惑をかけたことに関して、神綺は頭を抱えていた
「こんばんは、魔界神さん」
「誰?」
月の無い夜。暗闇に包まれた窓枠に見知った人物が足を掛けていた
「こんばんは、幽香ちゃん。久しぶりね」
「ええ、お久しぶり」
窓から身を乗り出して中に入る
「事前に来るって教えてくれれば、おもてなしの準備をしておいたのに」
「だから事前に知らせに来たんじゃない、たった今」
「 ? 」
不思議そうな顔をする紳綺に説明してやる
「八雲紫があんた達を討伐するために、戦力をかき集めてるわ。私も参加する。三時間後、ここは戦場になるわ」
だから、もてなす準備をしなさい。と目が語る
「……そう」
「まるで動揺しない。余裕綽綽ね」
「違うわ悲しいの、私は皆に受け入れられなかった」
「それが余裕綽々だっていうのよ」

一歩跳躍、紳綺の顔にずいと詰め寄る

「この風見幽香が直々に殺しに行くと行ってるのに、汗の一つもかきやしない」
まつげ同士が触れ合う距離
「過去に魔界であんたとやった時、あんたは本気じゃなかった」
そこで一歩下がり、神綺と距離を取った
幽香の脳裏に過去の出来事が鮮明に蘇る
「それだけじゃない、あんたは、戦いに飢える私を満足させるために、さも接戦であるかのように戦った。まるでカードゲームで勝てない子のためにわざと負けてあげる親のように。屈辱よ」
体から流れでる威圧感を隠そうともせず、畳まれた日笠を傘を杖代わりにして優雅に佇むその姿は当時のままだった
「幽香ちゃんは相変わらず好戦的なのね」
ただ一点、違っていたことを指摘する

「失恋した?」
「してないから、髪短くしたけども・・・・・・じゃあ、数時間後に会いましょう」

窓に足をかけ、飛び出そうとしたときだった

「「風見幽香ぁぁぁ!!」」
「うごっ!」
左右から同時に攻撃を受けた。息の合ったクロスボンバーだった
「積年の恨み!!」
「ここで晴らす!!」
幽香を襲ったのはユキとマイだった。十数年前、彼女に散々いじめ抜かれた二人はここぞとばかりに部屋にあった椅子で幽香を滅多打ちにする
「スカートなんて着て! 色気付いていんじゃないわよ!」
「一生夢幻館に引き篭もってろ!!」
リンチと罵詈雑言を浴びせ、縛って大人しくさせた



「あら、風見幽香じゃない」
夢子と小悪魔も到着して、幽香の口からもうすぐ八雲紫たちがやって来ることを知らされる
「さて、どうしましょうか?」
選択肢は二つ。魔界に逃げ帰るか、迎え撃つか
「私は、迎え撃つべきだと思います」
「賛成」
「私も」
夢子、ユキ、マイは戦うことを推した。小悪魔は発言しなかった
「でも・・・」
神綺は迷っていた。皆を危険に晒すくらいならこのまま敗走しても構わないとさえ思っていた
「今ここで幻想郷から去れば、紫は『新と旧の境界』を強めるでしょう。そしたら一生ここには来られないと思います」
小悪魔が警告する
「じゃあそのユカリってヤツに勝つか倒せばさ、魔界と幻想郷が繋がるってこと?」
そう言ったのはユキだった
「そうなんじゃない? 人間の歴史だって勝った方が正義として語り継がれてるわけだし。勝ってユカリを屈服させればいいわけでしょ?」
マイも賛同する
勝てば官軍。二人の話も、あながち間違いでは無い
「神綺様、ご決断を」
視線が魔界の母に集中する

「わかりました。戦いましょう。ただし、相手がもう戦えないと判断したら、そこで止めてあげて」

神は決断を下した

「神綺様。まず景気付けこの阿婆擦れフラワーの処刑許可を」
「まあまあ」
ユキとマイをなだめて、神綺は幽香を見る
「幽香ちゃん、私と戦いたい?」
「当たり前でしょう」
「じゃあこうしましょう」
「?」
「ここの皆を守るのに手を貸して欲しいの」
手を合わせてお願いした
「それを果たしたら望みを叶えてくれるわけ? ふふ、いいわ」
「あれ、いいの?」
「なに言いだしっぺが意外そうな顔してんのよ。私は戦えれば別にいいの。それに八雲紫と一戦交えるのもオツだと思ったのよ」












【白玉楼】


「幽々子さま、私は・・・」
「行っては駄目」
普段は出さない、きつめの声で言った
「しかし・・・」
妖夢の頭に、数日前の敗北が思い浮かぶ。あの女に、なんとしても自身の存在を知らしめたかった
「未熟者のあなたが行ってどうにかなるの? 強い者の足を引っ張るだけよ」
「・・・・・・・わかりました」
しゅんと妖夢はうなだれた
「今日はもう寝なさい。明日になれば全部終わってるわ」
幽々子が寝床に向かい、一人残された妖夢は刀を抜き、棚の中から打ち粉を取り出した

「申し訳ありません。幽々子様」





【永遠亭】

輝夜の部屋で、月の主従は相談していた
「魔界神を撃退に成功した場合。間違いなく参加しなかった勢力は叩かれるわ」
「でしょうね」
「なので私が行きましょう。うどんげやてゐには危険ですし」
討伐隊に名乗り出たのは永琳だった
「なら私も参加して・・・」
「輝夜はここの顔よ、あまりこういう場に出てくるのは良くないわ」
「ぶー。永琳はそうやって過保護にする」


【守矢神社】

「それじゃあ、行ってくるよ」
神社が崩壊し、天狗が用意してくれた庵で二柱と一人はいた。なお、神社の修理代の半分は紫が出すということで落ち着いた
「留守を頼むよ、早苗」
「・・・・・・」
返事は返ってこない
「肋骨も折れてる。あと足にもヒビが」
「ヒビなら逆に折った方が治りが早い。だれかヒノキの棒を」
彼女は白衣を着た天狗に、治療の真っ最中だった
腕を切り飛ばされた諏訪子は、布団の中で眠っている。集めた信仰を使い、腕の再生にエネルギーを回したためしばらくは起きない
「さて、リベンジといくか」
外は蜂の巣を突いたように騒がしかった
崩れた地形の復旧をする天狗と河童で、妖怪の山はてんやわんやになっていた
それを見下ろしながら神奈子は集合場所まで飛び立った




【幻想郷 某所】


衣玖は地上に降りて、面倒を見るように仰せつかっている少女の姿を探す

「やっと見つけましたよ総領娘様」
「あら。衣玖じゃない? 何してるのこんなところで?」
「何しているじゃありません。ずっと貴方を探していたんですよ」
天界から比那名居天子が姿を消しての数日間。衣玖はずっと探し回っていた

「今まで何をなさっていたのですか?」
「修行に決まってるでしょう。あのメイドにぼこられたからその仕返しに“これ”をさらに扱えるようにね」

その手には無断で持ち出してきた緋想の剣


「そうそう。ついさっき、紫が現れて、魔界神を倒すから来ないかって誘われたの。まさに運命ね。修行の成果を見せられる」
天子は剣を振りかぶる
「おりゃ」
「いだっ」
いきなり衣玖の頭を叩いた
「な、何するんですかっ!」
叩かれた箇所を撫でながら抗議する
「修行してたら自然と剣とのシンクロ率もあがったのよ、そしたらね」
天子は目を閉じて瞑想していた
「臭いフェチ」
「へ?」
「そしてもう一つが喉仏フェチ。なかなか特殊ね」
「あの、仰っている意味が」
心なしか、衣玖の声は震えていた。目を開けた天子は意地悪く笑ってみせた
「臭いフェチと喉仏フェチ、それがあなたの性癖でしょう?」
「う゛っ!」
言い当てられ、心臓が跳ね上がる
「どうしてそれを? 誰にも話していないのに」
「緋想の剣は相手の気質を見極める。気質とはすなわち相手の本質」
「つまり性癖も読み取れると」
「そう。しかし喉仏フェチとは、魚だから自分達が持っていない部位に憧れるのかしら?」
「ああう………」
性癖を知られるのは精神的にダメージが大きい。衣玖は赤面する顔を両手で覆い言い淀むだけだった
「な〜が〜え〜い〜くは〜においフェチィ〜〜♪」
「馬鹿なことは止めて、いい加減に天界に帰りましょう。お父様も心配なさっています」
「さーらーに特殊なのどぼとけぇ〜〜♪」
「それ以上囀(さえず)るようなら天に返しますよ。ラオウ的な意味で・・・・・・・ていうか、それって戦闘で何か役立つのですか?」

「う゛っ!」









【紅魔館】

帰り道、弱々しい足取りで帰路を歩いく白蓮


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「折角の申し出ですが、お断りします」
「なぜです!? 私では頼りにならないと!?」
「違います」
命蓮寺の長、白蓮は神綺に加勢の申し出をして、断られた
「あなたには帰る場所があります。せっかく封印から解かれてその方たちのもとに戻れたのに、私と関わってはいけません」
「まだあなたには魔界で受けたご恩をこれぽっちも返せておりません」
「では、その恩はどうか。命蓮寺の方たちに返してあげてください」
「そんな・・・・」
「私たちは大丈夫です」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そんな経緯があり、彼女は意気消沈していた

すると
「おや?」
上空から声がした
「聖白蓮ではないか? どうしてこのような場所に?」
紫の式の藍だった
「あなたは、これから紅魔館に行くのですか?」
「無論です」
「良かった」
白蓮は感謝を込めて手を合わせた
「ありがとうございます」
「 ? 」
奇異な僧侶の行動に、眉をひそめる藍
「これで、神綺さんのお役に立つことができます」
その言葉の意味を察して藍は身構えた
「そういえばあなたは、魔界に封印されていたそうですね。そのとき魔界神に世話になったですか?」
「確かに神綺さんにはお世話になり恩義を感じています。しかし、それ以外にも動機はあります」
「聞きましょう」
藍は地面に降り立ち、白蓮の言葉の続きを促す
「何故守矢の神は良く、魔界神の神綺様が駄目なのでしょうか?」
それは差別ではないのか。平等を唱える彼女は、それが許せなかった
「魔界神が無法者ならば排除に対象になって仕方ないでしょう、しかしあの方は違う。あくまで和を持って、この地に在中しようと努力しているのにアナタ方はそれを爪弾こうとする」
白蓮を中心に場の雰囲気が変わる
「ならば私は戦いましょう。神綺さんのため、私自身が掲げる信念のため」

九尾の妖獣を前に、白蓮は立ちはだかった








【紅魔館周辺 湖畔】

(藍、遅いわね。何かあったのかしら?)
そうこうしている間に、約束の時間がやってきた
(仕方ない、私たちだけでいきましょう)
紫は参加者に目を配る
「集まってくれてありがとうございます」
その場にいるのは、八意永琳。八坂神奈子。アリス。比那名居天子。魂魄妖夢に紫を加えた合計六人
面子の中の一人を見て、紫は顔をしかめた
「妖夢。貴方は幽々子の許可を得てここにいるんでしょうね?」
「・・・」
妖夢は静かに首を振った
「なら帰りなさい。ここであなたの身に何かあったら、幽々子に顔向け出来ないわ」
紫は、事前に幽々子から妖夢が来たら返すように言われていた
「今回ばかりは聞けません」
融通の利かない固い表情だった
「連れて行ってこれないのなら、私はここで腹を切ります」
(まあこんなところで、無駄に時間を使いたくないし。どうせ無理矢理ついてくるでしょうし・・・)
戦力が少しでも欲しいというのが正直なところだった
「いいわ。妖夢、あなたの力を貸して頂戴」
「はい、必ずやお役に立ちます!」

妖夢は深々と頭を下げた

「では、作戦会議の後、飛んで紅魔館に向かいます」
「ん、徒歩で行くわけ?」
スキマを使わないのか、と天子は質問した。紅魔館の内部に侵入したら最高の奇襲になるのではと思った
「ここから先にスキマを展開できないのよ、魔界神が何か細工しているわ」
「それってすごいの?」
「ええ、かなり」





【紅魔館】


敵があと一時間足らずで現れる。そのため館内は慌しくなっていた
「ユキ、マイ。持ち場を離れては駄目よ。お互い何があってもその場を死守すること」
「「ラジャー」」
「仕事が終わったメイドから小悪魔の誘導に従って館の外へ避難しなさい。一度出たら夜が明けるまでは戻ってきてはだめよ」
「ゆ、夢子さん!!」
エントランスホールで指示を飛ばす夢子に血相を変えた小悪魔が駆け寄ってきた
「小悪魔、あなた仕事は・・・」
「今、それどころじゃないんです!!」
小悪魔は手にしていた魔界との通信機である本を開く。そこにはルイズの姿があった
「大変です夢子。こっちで過ごしていた吸血鬼の一行が暴れだしました」
「なんですって?」
「どうやら猫を被って反撃の機会を伺ってたみたいね」
これから魔界に援軍を頼もうとしていた矢先のことだった
「戦況は?」
「今は城の庭で交戦中。旗色はよくない。篭城されたら・・・いえ、それよりも魔方陣を押さえられたら厄介ね、奴等の中に腕のいい魔法使いがいる」
「ふむ」
ここで夢子は思案する
(強い魔物をぶつけても良いけど、城に被害はあまり出したくない。かといってそんな器用な戦いが出来るのなんて・・・)
該当するのは二人しかいない
「仕方無いわ。ユキとマイを魔界に送りましょう」
「確かに二人がいればすぐにあいつ等は拿捕できます。しかしそちらの守りは」
魔方陣には使用後、しばらくの間、使用不能になるという制約がある。その間、孤立無援の状態になってしまう
「魔界が最優先よ。魔方陣が無ければ、私たちは手詰まりになるわ」
「わかりました」
通信が終わり小悪魔も本を閉じる
「では、私も持ち場に・・・」
「小悪魔」
「はい」
踵を返す小悪魔を呼び止めた
「あの吸血鬼一行。厄介なときに動いてくれると思わない?」
「ええ、そうですね。最悪のタイミングです」
「まるで私たちが今、戦力を割きたくないのを知っているみたいに」
「何が仰りたいんですか?」
ワザとらしく小悪魔は小首を傾げた
「誰かがアイツらに、情報をリークしたと考えるのが自然じゃない?」
「つまり私たちの中に内通者がいると」
「そこまでは言って無いわ・・・・・・ただね」
小悪魔の胸倉を掴ん、そのまま引き寄せる
「魔界の神に喧嘩を売るその度胸は賞賛してあげようと思って」
言い終わると小悪魔を乱暴に放った
「証拠も無いのに、随分ですね」
まるで汚いものに触られたかのように、胸元を払う
「なら今からそう思われないように誠意ある行動を見せなさい」
「・・・・・・」
返事もせず、小悪魔はその場を去って行った
「しかし、困ったわ。こちらの戦力は私に神綺様、風見幽香のみ」
数が心許無いと感じた。神綺の意思とはいえ、白蓮を返してしまったのが微妙に悔やまれる

「『せめてあと、二人は欲しい』ですか、なるほど丁度良かった」
「すまないね。久しぶりの地上だからおめかしに時間をかけてしまったよ」

声がした方を向く、そこには古明地さとりと星熊勇儀がいた
ここまで中編
木質
作品情報
作品集:
18
投稿日時:
2010/07/17 12:03:32
更新日時:
2010/07/17 21:03:32
分類
神綺
夢子
ユキ
マイ
アリス
小悪魔=黒幕
フランドール
夢子さんがもっと狂気
守矢神社
1. 名無し ■2010/07/17 21:26:27
あと二つぐらいで終わりか
紫が小物っぽく見えるがどうなんだろうか
でも、勇儀とさとりん白蓮かっこええ
2. 名無し ■2010/07/17 21:37:52
どうして幻想郷と魔界は分かりあえないんだろう……
3. 名無し ■2010/07/17 21:43:27
>>2
幻想郷は老害で満ち溢れているからです
4. 名無し ■2010/07/17 22:30:39
あれ?さとりんに心読まれたら小悪魔・・・
5. 名無し ■2010/07/17 22:37:17
面白いなぁ。フランちゃんがどういう役割を果たすか気になります。
6. 名無し ■2010/07/18 00:12:37
毎度のことだけど、早苗さんが噛ませすぎて泣けてくるw
第一話からは想像も出来ないスーパー幻想郷大戦になってきましたが、個人的に今回一番の見所はやっぱりフランちゃんと神綺様の擬似近親相姦ウフフ
ホンマ、神綺様の母性は魔界に響き渡るで
7. 名無し ■2010/07/18 00:13:19
神綺様への信仰に深く帰依した。
長旅の末、ああ神よ、そこにいらっしゃったのですかと言って
何にも無いところ見据えながら崩れ落ちる図のインスピレーションを受けた

ここから怒涛のちゃぶ台返しが来たらもう笑うしかないが
8. 名無し ■2010/07/18 00:45:00
魔界出身のアリスを会議に呼んだり、討伐軍に入れるとか……
耄碌したのかあるいはいざとなったら人質か仲介役にする気満々ですね
流石賢者、汚い汚い
9. 名無し ■2010/07/18 01:21:09
相変わらずゆかりんは便利だなぁ(話作り的な意味で)
10. 名無し ■2010/07/18 02:19:01
え、えらいことや・・・

せ 戦争じゃ・・・!!
11. 名無し ■2010/07/18 02:21:49
>毎度のことだけど、早苗さんが噛ませすぎて泣けてくるw
というか守矢神社自体が噛ま(ry

次回作では神綺様が「俺が本当の「神」を見せてやる」的展開になることを予想
12. 名無し ■2010/07/18 02:24:21
ここまでの出来事も発端は小悪魔
途中いくらも手を加えてるし、マジ策士
13. 名無し ■2010/07/18 18:57:17
そういえば霊夢と魔理沙はどっちにつくだろうか・・・
小悪魔には断罪を希望
14. 名無し ■2010/07/18 19:46:41
なんか妖夢死にそうだな
15. 名無し ■2010/07/18 20:51:25
小悪魔は策士なんだろうけど、策を弄していることがバレバレだからなぁ
ラストで死にそうな気がする
16. 天狗舞 ■2010/07/18 21:37:30
夢子ちゃんの目の前で神綺ママのおっぱいを触りたい。
17. 名無し ■2010/07/19 09:54:32
>ピンクのワンピースを着た背の低い妖獣はそう豪語していた
その薬、もしかして夢子さん騙されてるんじゃ・・・
18. 名無し ■2010/08/13 16:46:22
お空がやってきて世紀末にならないかなぁ
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード