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『スペルカードルールの謎』 作者: 機玉
今日も客が来ない香霖堂。
その店内で空いた時間を使い、霖之助はいつものように取留めのない思索に耽っていた。
先日、幻想郷の上空を宝船が飛び回るという異変があった。
後の魔理沙達の説明ではこれは宝船ではなく幽霊船であり、魔界に封印された魔法使いを解放すべく地底から復活した妖怪が動かしていたらしい。
魔法使いは無事復活、現在その船は解体されて命蓮寺という寺に生まれ変わったそうだ。
魔法使いはその寺の住職を務め、信徒である妖怪達と共に人間と妖怪が友好的な関係を築けるよう尽力しているとか。
まあ、要するにいつも通り異変が起きた結果幻想郷の住民が新たに増え少しだけ賑やかになったという事だ。
ところで今回の異変で一つ疑問ができた。
幻想郷における異変は現在全て霊夢や一部の妖怪によって考案されたスペルカードルールの下で行われているいわば「ごっこ遊び」だ。
基本的にこのルールで遊ぶのは幻想郷の女性であり、その美しさから住民達に広く受け入れられている。
だがこのルールは知られていなければ意味がない。
例えば紅霧異変等既存の妖怪によって起こされた異変は当然ルールに沿ったものであってもなんらおかしくない。
地底異変等新たに幻想郷の枠組みに入ってきた者によって起こされて異変もあったが霊夢や魔理沙は動き出すのが遅い為、その間に知らされていたと考えればまあこれも納得できる。
だが今回の異変の結果的な原因であった魔法使いは?
今までずっと封印されていた、そう、「霊夢達が目の前に現れる直前まで」。
この魔法使いが封印されたのは約1000年前の事らしい。
未来を予知する能力でもなければスペルカードルールを知る事はどう考えても不可能だ。
封印された状態にいながらこの妖怪がスペルカードを用意しておけたのは何故なのか?
仮説としては以下のような物が考えられる
仮説1:八雲紫が事前に何らかの方法で知らせていた
八雲紫ならば封印状態にある魔法使いにルールの事を教えるのも能力的には恐らく不可能ではないのではないかと思われる。
しかしこの仮説では別の問題が発生する。
魔法使いが封印されていたのは魔界だ。
幽霊船が飛び回っていたのは幻想郷であり、霊夢達はこの船の目的地を知らないまま船に侵入した結果たまたま魔法使いの復活に関わる事となった。
この時点で事前に彼女達の目的を知る為に監視し、魔法使いが封印された場所を正確に把握した上で魔界に自力で渡って魔法使いにルールを教えたか、船にこっそり乗り合わせて霊夢達よりも先に封印された場所に行ってルールを教えていなければこの方法は無理なのだ。
まず前者はかなり苦しい。
魔界は幻想郷と表裏一体の外の世界や月にある都とは違い、完全に別の世界だ。
以前月に行った霊夢から八雲紫でも月に行くには条件が整わなければ不可能らしい、と言っていた。
ならば全く別の場所にある魔界ならばさらにその条件は厳しくなるだろう。
後者の場合は前者とはさらに別の問題がある。
魔法使いが使用したスペルカードは6枚。
これだけのカードをその場で考える事が出来るだろうか?
身体能力強化魔法を専門とする魔法使いが洗練された遠距離攻撃を即興で作る事が出来るだろうか?
以上の事からこの仮説は少々無理があるように思える。
仮説2:実は魔法使いは封印されていなかった
考えておいてなんだがこれは僕自身がほぼ100%あり得ない事を知っている。
何故なら僕は一度魔法使いの封印を解く為の道具を手に入れ、それを買いにきた妖怪にそれなりの値段を提示したがすぐに承諾されたからだ。
あれは伊達や粋狂で払える額ではなかった、よって魔法使いが封印されていたのは十中八九事実だ。
仮説3:魔界内に幻想郷の事情に精通している協力者がいた
魔界内にも恐らく強力な実力者がいることだろう。その人物が封印状態にある魔法使いと連絡を取る事ができ、かつ幻想郷の情報を得ることができる者であったなら、この仮説は成り立つ。
しかし、この説もまた別の問題が発生する。
その者は何故、今回の異変に直接協力しなかったのか?
さらに言うなら何故それほどの力を持ちながらその人物自身の手で封印を解こうとしなかったのか?
やはりこの仮説もまた、疑問点が残ってしまう。
仮説4:スペルカードルールの在り方そのものがかなり特殊である
この仮説は今までのものとは様相を異にする。
問題点こそ残らないものの僕の想像に依る所が多く、現実性に乏しい。まあ所詮は暇潰しなので気にする必要もないか。
ここまではルールが誰かによって直接伝えられることを前提に仮説を立ててきた。
しかしその前提そのものが間違っているとすればどうだろう?
ルールを伝えなくとも強制的に相手をルールのに置く手段、そんなものが存在するならば今までの疑問は全て解決する。
いくつか例を挙げてみるなら、スペルカードルールは実は病気のようなものでルールを知っているものと相対することで知らなかった者もスペルカードルールに「感染」し、知らなかった者も無意識の内にルールを守ることが当たり前の状態になっている……
または、認識操作系の能力を持つ強力な妖怪がスペルカードルールを管理していて、新しい妖怪を確認する度にその意識を書き換えている……などが考えられる。
さて、こうして考えてみてもやはり分からないな。
今度直接噂の魔法使いに聞いてみようか?
いや、それも面倒だな。わざわざそんな理由で来られても迷惑だろうし今回の事は忘れるか。
「そうだな、その方がこちらとしても都合が良い。どれ、手伝ってやろう」
「え?」
後ろから誰かの声が聞こえたのを最後に、僕の意識は闇に包まれた。
*
「香霖、邪魔するぜ。なんだ眠ってるのか?」
「……君のおかげで目が覚めたよ。眠るつもりはなかったんだが」
どうやらいつのまにかカウンターで寝てしまったらしい。
はて、僕は何をしていたんだったか。
「魔理沙、今は何時だ?」
「大体一時頃じゃないか。
というか時計があるんだから自分で見ればいいだろ」
「……ああ、そういえばそうだな」
「おいおい、ついにボケが始まったか?しっかりしろよ」
「大きなお世話だ、と言いたい所だが確かに今日は何だかおかしいな」
「しょうがないな、どうせ昼飯もまだなんだろ。私がなんか作ってやるから少し休んでろ」
「ああ、頼むよ」
どうやら今日は珍しく少し体調が悪いらしい。
昼ご飯を食べたら大人しく休むことにしよう。
恐らく疑問に思った人も多いであろう「スペルカードルールはどうやって認知されているのか?」という謎をテーマに書いてみました。
地霊殿までは色々理由が考えられたのですが、白蓮だけは分かりませんねw
ホラータグを付けようかと思いましたが、あまり怖くないのでとりあえずミステリーを付けておきました。
ではここまで読んで下さった皆さんありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。
7月19日誤字脱字訂正 多過ぎ……orz
機玉
- 作品情報
- 作品集:
- 18
- 投稿日時:
- 2010/07/18 12:08:22
- 更新日時:
- 2010/07/20 21:43:58
- 分類
- 森近霖之助
- ミステリー
- 5.3KB
- 7月19日一部訂正
- 7月20日コメント返信
まぁそこは深く突っ込んではい夜光蛾4けない深淵なんだろうけど
まさか神nうわなにをするやめ
スペカ→酒盛りで仲間になる事もなく、
単純に退治されるんだろうなー。
そんなこと言い出したら「弾幕ごっこ」のための「ただの紙」でしかないスペルカードを、
ルール無用のガチバトルでもご丁寧に宣言してから使って、スペカがなくなれば技も出せないという二次創作での描写全般が(ry
も、もしや妖忌さん…!
…なんでそう思ったんだろうか、おや何か物音が
二次創作でのガチバトルでカード使用の描写はちょっと萎える。
問答無用の攻撃をやってくれる人が少ないなぁ。
ルール無用だとあっさりやられる二次多いのはマジ意味不明
>>1
そうですね、多分ツッコんではいけない所なんだと思います。触らぬ神に祟り無しと言いますし……
夜光蛾4はパッケージ版が欲しいなら早く買った方がいいですね。DL版ならいつでも買えますが。
あと最近再販が開始された神威やRefleXも是非k(ry
>>2
すみません、身も蓋もない事言うとオリキャラです……
実は裏から幻想郷の少女達の意識を操ってる奴がいるんだよ!みたいなイメージで書きました。
>>3
平和な幻想郷の裏ではその秩序を保つ為に始末された妖怪もたくさんいるのかも知れませんね。
>>4
幻想郷は不思議な事だらけです。だからこそ面白いと思います。
>>5
普段からこんな細かい事気にしてたら二次創作は楽しめませんよねw
しかし今回はあえて細かい点を霖之助に指摘させてみました。
>>6
妖忌のじいちゃん本当にどこで何をしてるんでしょう?
もしかしたら裏でこっそり幻想郷の為に貢献してる、なんて事もあるかも知れません。
>>IMAMIさん
その手があったか!
技をくり出せば自動的に名前がついてスペルカードになる、そんなシステムだったら自分も何か技を使ってみたくなりますw
>>8
アリスと神綺の関係がそれなりに深ければその繋がりで知れていた、という事もあるかも知れませんね。
>>9
ごっこ遊びもいいけどガチバトルも燃えますよね。
自分はそもそもバトル描写をした事がないのでその辺りはあまり詳しくありませんが……
>>10
種族的な差が存在しながらも対等に戦える人間と妖怪。
そういう熱いシチュエーションも大好きです。