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『早苗は月を愛する』 作者: 上海専用便器
月明かりの下、東風谷早苗は守矢神社への帰路についていた。
この日は夜遅くまで信仰集めのために活動をしていた。
夜風は吹いていたが、冷たいものではなかった。
早苗の緑髪がそよそよと揺れる。
ふと空を見上げる、今日は満月だった。
外の世界、早苗が元々いた世界の月よりも綺麗な月。
早苗は幻想郷の月に心を奪われていった。
空を見上げながら歩いていた早苗は、何かにつまづき転んでしまう。
しかし、地面に倒れることはなく何かの上に倒れてしまった。
自分は今、何の上に乗っているのかを確かめる。
それは、女だった。
鼠色の髪の毛を持ち、特徴的な尻尾と耳を持つ女性―――ナズーリンだった。
早苗は自分の見知った顔であることに気づく。
そして、謝罪しながら彼女を起こそうとする。
だが、彼女には全く反応がなかった
彼女の体は冷たかった。
すぐに早苗は、ナズーリンを抱えて命蓮寺へと連れて行った。
今早苗がいた場所から、命蓮寺までは近かった。
全速力で命蓮寺へと向かっていった。
命蓮寺へと辿り着いた早苗は、聖白蓮にナズーリンが危篤状態であることを知らせる。
白蓮はナズーリンの治療を行おうとした。
しかし、既に手遅れだったらしく白蓮はナズーリンの顔や服を整え始めた。
早苗は泣き出した。
自分がもっと早く行動しておけば助かったはずだ、そう思いつめた。
傍にいた村紗水蜜に慰められて、早苗は何とか泣き止んだ。
自分だけじゃない、一番泣きたいのは命蓮寺の住人のはずだった
けれども、彼女たちは誰一人泣いていなかった。
早苗はこのときに決心した、もっと強くなろうと。
その数日後、早苗は信仰集めを行っていた。
そろそろ帰ろうと思い、早苗は荷物を手にして守矢神社へと帰ろうとする。
今日の月は半月だった。
早苗はまた、月に心を奪われた。
視界を元に戻すと、人里の路地裏に誰かが倒れているのに気づいた。
駆け寄ってその人を抱えてみると、魂魄妖夢だった。
妖夢の体もまた、冷たくなっていた。
半人半霊であるからの冷たさでなかった。
妖夢の傍に常にいた、半霊もいなかった。
妖夢は死んでいる。
早苗は妖夢を抱えて、博麗神社へと向かった。
ここから白玉楼へと向かう最短距離は、
博麗神社へと行って、霊夢の力を借りることだった。
博麗神社に着いた早苗は、霊夢の名前を呼んだ。
霊夢は寝ていたらしく、不機嫌そうだった。
しかし、妖夢を抱えている姿を見たからなのか。
不機嫌そうだった霊夢の顔は、一瞬で真剣なものとなる。
霊夢は早苗に、妖夢は既に手遅れであると伝えた。
早苗は再び、悔しさのあまり泣き出してしまう。
その後、霊夢は紫と幽々子を呼び出した。
いつものようにニコニコしていた幽々子は、妖夢の死体を見ると動きが止まった。
幽々子の目から、涙だけが流れる。
妖夢の頬に手をやり、幽々子は妖夢に何かを語りだした。
そんな幽々子の頭を撫でる、紫。
早苗は妖夢を殺したのは誰なのか、その捜索を始める決心をした。
早苗はしばらくは信仰集めをやめることを神奈子と諏訪子に伝えた。
ナズーリン、そして妖夢の死の真相を突き止めることに二人は反対しなかった。
人里で聞き込みを行う早苗。
数日間続けたが、たいした情報は手に入れられない。
気づいたときには、空に月が浮かんでいた。
三日月だった。
早苗は、月をぼんやりと眺めていた。
夜風が吹いてくる。
今日の夜風は冷たいと感じる早苗。
早苗はそろそろ帰ろうと思った。
人里から出てすぐのことだった。
早苗は再び女性が倒れているのを見つける。
十六夜咲夜、紅魔館のメイド長だった。
近くには多くの荷物があった。
おそらく、買出しに来ていたのだろう。
咲夜は人間のため、早苗は脈を調べる。
止まっていた。
早苗は犯人を見つけられない自分を悔やんだ。
咲夜の死体を紅魔館へと運ぶ早苗。
門番の紅美鈴は咲夜を抱えている早苗を見ると、
すぐさま早苗を連れて紅魔館へと入っていった。
パチュリー・ノーレッジは治療を試みたが、既に手遅れだった。
レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレットは声を上げて泣き出す。
美鈴はレミリアとフランを抱きしめて、優しく慰めていた。
どうして自分は誰も助けてあげられないのか。
早苗が悪いわけではなかったが、常に第一発見者であることが早苗を追い詰めていた。
次第に早苗の精神は、異常をきたし始めた。
早苗は、三名の死の真相を調査しているようだった。
しかし、目の焦点が合ってない。
さらに、早苗の聞き込みの質問がおかしくなりはじめてきた。
あなたが犯人ですね。
あなたが殺したのですね。
あなたが全部知ってますね
あなたが私の行く先々に死体を残しているのですね。
あなたがナズーリンさんを。
あなたが妖夢さんを。
あなたが咲夜さんを。
あなたが幻想郷の住人全員を。
守矢神社にいる巫女さんは狂ってしまったのか。
人里の人々が、そう思ってしまうのも仕方なかった。
夜も遅くなる。
早苗はまた月を見て、心を癒されようと思った。
しかし、今日は新月だった。
だが、今の早苗はそのことに気づかなかった
月が無い。誰かに奪われた。
早苗はそんな妄想を抱いてしまう。
ブツブツと月が無くなっている事に文句を言う早苗。
フラフラと歩く早苗に、声をかけてくる女性がいた。
早苗は思った。
こいつが私から月を奪ったのだと。
そして、早苗は、力を込めて、女の首を。
早苗は、夜空を見上げた。
星はたくさん輝いている。
それだけでも空は美しかった
けど、何かが足りない。
月だ。
月が無くなっている。
三日月でもいい。
月は空に浮かんでなければならない。
それが、夜空なのだ
そして、早苗は自分の足元に女性が倒れていることに気づく。
最後の女性は、皆さんのご想像にお任せします。
上海専用便器
作品情報
作品集:
19
投稿日時:
2010/07/25 02:58:58
更新日時:
2010/07/26 17:26:00
分類
早苗
意味不明
なんで早苗が月が無いと狂うのか
原作では早苗=星のイメージがあるからなおさら不条理感が漂う
最後の女性は鈴仙を幻視しました