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『このご時世、仕事があるだけでも僥倖ですよ、と雛ちゃんはおっしゃった』 作者: sako
「あーっ、んもぅ、にとりの奴…!」
午後の幻想郷。夏の盛り。気温は高いものの、稲穂を薙ぐ乾いた風が吹き、からっとした天気模様。蝉たちが大合唱し、子供が蝉やカブトムシ、妖精採りにいそしんでいる中、この日光降り注ぐ中を真っ黒な服装で歩く魔法少女一人。珍しく箒に乗っていない魔理沙だ。
その魔理沙が歩いて来た道を逆に辿れば天狗の集落や守矢神社のある妖怪の山へ辿り着く。魔理沙はそこ…妖怪の山の麓のカッパたちの集落から帰ってきているところなのである。
よく見ればその格好は所々すすけ、軽い怪我もしている。一戦(1ゲーム)やらかしてきたといった感じ。
「なにもあんなに怒らなくてもいいのにな!」
機嫌が斜めなところと合わせれば勝敗の結果は自ずと…
実は朝の早くから魔理沙はカッパのにとりの所へ遊びに行っていたのだが、その時、彼女はとんでもない失態をやらかしてしまった。にとりの家の裏の工房の一角、トタン屋根の粗末な小屋の奥に防水シーツで覆われた何か大きな機械があったのだが、魔理沙はにとりに『絶対に触らないで』と言われたソレをつい、出来心から触ってしまったのだ。いや、触っただけではない。魔理沙は女の子にあるまじきガサツさでそれを壊してしまったのだ。ドンがらガッシャン、と破砕音と黒い油の飛沫を散らして崩れる大きな機械。ああっ、と病床の親の下へ駆けつけたような顔をして、怒りを露わに魔理沙に詰め寄るにとり。機械の製作には多大な精神力と集中力を要するし、同時に時間もかかる。その結晶をちょっとした悪戯心で壊されてしまってはさしもの温厚なにとりも頭に来たのだろう。加えてこの熱さ。気が短くなっていても仕方ない。
だと言うのに魔理沙はそんな空気も読めず。
『そんな怒んなくてもいいだろ。たかが機械じゃないか』
そのたかがと言われた機械は、実はにとりが魔理沙を喜ばせようと思って創っていた物だった。そうまで言われればもう駄目だ。まるでダムが決壊するように、エレベーターのメインシャフトが壊れるように、飛行機のエンジンが爆発炎上するように、にとりは、
『のぉびぃぃぃぃぃぃる! アァァァームっ!!』
キレた。
あとは言うまでもない弾幕ごっこだ。ただし、ぶち切れたにとりの弾幕は苛烈、激烈、超熱烈。瞬く間に魔理沙は立て続けに被弾。残機0ボム2のどん詰まり状態に陥る。こりゃたまらんと魔理沙はほうぼうの体で逃げ出し、途中で飛ぶ魔力もつきてこうしてサボっている働き蟻のごとく、地面にへばりついて帰路に足を進めているのだった。
「ああ、クソ。なんかどっと疲れたんだぜ」
降り注ぐ殺人光線に歯ぎしりし、もう、こうなったらやけ酒&ふて寝だ。ジンライムをロックで用意するんだ、とのしのしと道を歩いて行く。
と、
「あらぁ、厄いですね」
不意に後ろからそんな声をかけられた。驚いて飛び退り、振り返る魔理沙。
「な、なんだぁ!」
盆踊りの途中で一旦停止でもかけたように魔理沙は両手をかざしたまま片足で立ちすくんでいる。視線の先、そこに立っていたのはこの暑いのに魔理沙より熱そうなごてごてとした服を着込んだ緑髪の少女…
「うふふ、こんにちわ」
「ああ、こんぬつわ。って、お前は確か、前に山で会った…」
「はい、鍵山雛です」
お山の厄神様だった。
ニコニコと屈託のない笑みを浮かべ、スカートの両端をつまみつい、と体をかしげて挨拶してきた。魔理沙も暗黒盆踊りのポーズをやめ、どもども、と挨拶を返す。
「それはそうと貴女、相当、厄を溜め込んでいますね。厄いですよ」
魔理沙に近づき、そう切り出してくる雛。言っている意味が分らず「厄い?」と魔理沙は問い返す。
「はい。分りやすく言うと『イライラしてる』と言うことですかね。七情のうち、怒、哀、悪は負に属する感情。正負あっての感情ですが、冗長な負の感情は厄災を呼び寄せますよ」
雛はそう説明してくる。合点がいったのか、ああ、と頷き、魔理沙は
「確かに、今、私はもっぱらご機嫌斜めだ」
そう何故か胸を張って誇らしげに答えた。
「まぁ、何かあったのですか?」
「ああ、それがな聞けば拳を握り、歯を食いしばり、丹田の辺りが軋むような出来事が…」
と、これまでのいきさつを説明し出す。
雛は本当に同情しているのか、それとも取り繕っているのか分らないが一々、表情を一変させ身振り手振りで説明する魔理沙に、「あらあら、まぁまぁ、それはそれは」と相づちを打つ。
「それは厄も溜りますわね」
「だろ? ああっ、もう、にとりの奴。思い出しただけでも腹が立ってくる」
だんだん、と乾いた地面を勢いよく踏みつける魔理沙。土竜が驚いて飛び出してくる。
「ふふ、何か厄いオーラを感じたのでもしや、と思ってこちらに来たのですが、やはり正解だったようですね。その厄、私が取り去ってあげましょう」
オーラ? ダンバインじゃないよな、と魔理沙。
「厄を取るって…お祓いでもしてくれるのか?」
両手で何かを握るポーズを取り、魔理沙はその架空の棒を左右に振ってみせる。いつぞやか霊夢に見せて貰ったお祓いの儀式の真似事だ。
「いえいえ。巫女のお祓いはお祓いが出来る神さまや精霊さんを呼ぶものですから、私みたいなのが直接する場合は御幣を振るう必要はありませんよ」
「なんだ、あいつ、自分で祓ったんじゃなくて派遣業やってただけなのか」
中間搾取という奴だな、資本主義資本主義と魔理沙は不思議な呪文を唱える。
「まぁ、マージンがない上に自分から直接売り込んでくるプロならお安くしかもお上手なんだろ。じゃあ、お願いしようかな」
「はい、分りました」
おう頷いて雛は眼を浅く瞑って魔理沙に向けて顔を向ける。あごは上向きにつきだしている感じ。まるで、キッスを求めているような…
ぽっ、と魔理沙の顔が赤くなる。
「えっ、えっと…」
しどろもどろに狼狽える魔理沙に雛は続けて信じられないことを口にした。
「どうぞ、ひっぱたいてください」
「なん…だと?」
疑問符。顔の紅潮も何処へやら。えも言えないマイナーな珍味を食したように魔理沙は眉をしかめる。そこへ続けて雛は一体、どういうことなのかを説明し始める。
「怒りという厄は暴力で発散させるのが一番手っ取り早いですから。ほら、イライラして壁を殴っちゃうこととかあるでしょう。それと同じですよ」
もっとも私の場合ははき出された負の感情をそのまま厄として吸い取ってしまいますが、と追加説明。その間も雛はあごを継ぎ出すような…丁度、魔理沙の背丈で頬をひっぱたきやすい位置に顔を置いたままにしている。
「いや、でも…急にそんな風に言われても…だぜ?」
「遠慮なさらず。私のことは壁か、枕か、道ばたに落ちている石ころだとでも思って遠慮なく」
「ううっ…」
やっぱりやめるぜ、とは言い出しにくい雰囲気で魔理沙に詰め寄る雛。魔理沙は催眠術にでもかけられたかのように脂汗を流しながら震えながら平手を掲げ、そうして…
ぱちん!
その手を雛の白い頬へ振り下ろしてしまった。
「あ、ああっ」
「はい、これで終わりです。厄は祓い終わりました。どうです、もう、イライラしないでしょう」
そう笑顔で話す雛。頬には紅葉のような魔理沙の手形がくっきりと残っていた。
「それでは、私は用事がありますのでこれで。また、イライラしたらお声をかけてくださいね」
また、出会ったときのようにスカートの裾を両手でつまみ上げ、ついと体をかしげさせて挨拶する雛。魔理沙はその姿を見送れず、雛を叩いたせいでひりひりする自分の手を見つめているしかなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
それから雛はときどき、踊るようにくるくる回りながら足を進め集落の一つまで辿り着いた。
「厄〜厄〜厄はどこですか〜」
歌いながら弾幕をかいくぐるように人の流れの間を進んでいく雛。雛の着ている洋服は甚平や着物、法被を普段着にしている幻想郷の人間たちからすれば浮いて見える格好だが、誰しも見慣れた姿なのだろう。その姿に視線を投げかける物は多いが特に注意深く眺めている者は小さな子供でもいない。
「……厄神様か」
いや、違う。その割には意図的に人の流れが雛を裂けているような節が見える。まるで、流れる川をさかのぼっている船のように。
と、
「一昨日来やがれ!」
雛の行く先、藍色の布に白地で徳利の文様が書かれたのれんが大きく開かれ、店の中から一人、いかにもみすぼらしい格好の男が飛び出してきた。店からは一本、わらじを履いた屈強そうな足が伸びている。
「えへへ、おいぃぃ、だされちゃったよ」
飛び出してきた男は完全に酔っ払っており、流れる鼻汁と涎で腐ったトマトのような顔をしていた。口からは呼吸の度に酒気を帯びた臭気をはき出し続けている。どうやら、無一文で酒屋に入り、しこたま吞んだ後でそれがバレ、店主に蹴り飛ばされたらしい。
男は立ち上がると千鳥足の典型見本のような足取りで何処かへ行こうとし始めた。遠巻きに汚物でも見るような視線を男に投げかける。
「お? 厄そうな方がおられますね」
その中でただの一つだけ、熱の籠もった視線が。言うまでもなく雛である。ととと、雛は小走りに先にいる泥酔漢の後を追いかける。
男はある程度、進んだところでついに歩けなくなったのか、左右に大きく揺れた後、ゴミ箱を押し倒して、長屋の壁にもたれかかった。そこへ少し息を切らせた雛が追いついてくる。
「厄いですね貴方」
「あ?」
雛に声をかけられ、緩慢な動作で顔を上げる酔漢。赤くなり潤んだ瞳はまともなカメラの役割を果たしていないのか、常に焦点が合わないようゆらゆらと泳いでいる。
「なんだてめへわ?」
「貴方の村の厄物処理係、鍵山雛です。どうです、酔っ払いさん。一つ、厄払いをしてみては」
ろれつの回っていない言葉にマジメ…でもない感じで返す雛。
「うるへぇ、あっちいってほ!」
象の鼻のようなゆったりとした動きで腕を振るう酔漢。雛は避けようともせず甘んじてそれを受けるが、頭に当たっただけで別にどうと言うこともない。
「これは大変な量の厄ですね。仕方ありませんね、直接、吸わせて貰いますよ。貴方のようなルンペンプロレタリアートが道を彷徨いていたらまっとうな住人の皆様まで厄災に見舞われます。ここは強制吸引で…」
そう一方的に囃したてると雛は酔漢の頭を押さえ、自分の顔を近づける。
針金のような短いひげに覆われ、ひび割れ、左の端に大きな出来物ができている酔漢の分厚い唇に自分の紅を引いた綺麗な唇を重ね合わせる。便所の灰皿と比べまだ灰皿の方が麗しいと言われそうな男の口へ接吻する。それもソフトではなくディープに。
「んっ、はぁ…」
赤くベリーの色をした可愛らしい舌を伸ばし、煙草のヤニと食滓、歯垢で汚れきった口の中へ。生まれてこの方、磨いてないような黄ばんだ歯の表面を舌でなぞり、Dr.永琳でも匙を投げそうな虫歯を舌裏で抑え、歯の隙間に詰まった滓を舌先でつつき取る。
「つん、ああぁ、はぁ…」
唇へ吸い付き、脂でテカる頭を抱え、雛は久しく体も洗わず、衣服も取り替えていないような男の体にのしかかる。逆の手は男の股間へ。もんぺの隙間から腕を差し入れ、そこをまさぐる。
うわっ、と道行く人が思わず怖気を催すような光景。小さな子供が「何してるの」と指を指した瞬間、母親は「見ちゃいけません」と我が子をおぞましい光景から遠ざける。
と、
「うぷ…」
赤錆の浮いた機械工場の廃液のようだった男の顔が青く化学工場の廃液のような色に変わる。あ、と雛が眼を見開くがもう遅い。
処理しきれない多量のアルコールを吞まされた胃が暴走し、その中に詰められていた物を全て逆流させる。飲み過ぎによる嘔吐。消費期限を過ぎた納豆だった物やかぴかぴになった漬け物、先ほどの店で突き出しとして貰った枝豆、それに質の悪い大量の二級酒の混合物が胃から口へ戻ってくる。堪えようともせず、男はそれを吐瀉。間髪、男の嘔吐痙攣に気がついた雛は…
「っう、じゅるじゅる…」
そのまま男に口を重ねたまま、吐瀉物をすすった。
もちろん、雛の小さい口では全てを飲みきれるはずがなく、殆どはこぼれ、べちゃべちゃと男と雛の服を汚した。
「はい、厄、吸い取り終わりました」
胃の中の物を全てはき出し終えたのを確認するとやっと雛は男から口を離した。唾液と胃液の混じった粘液が糸を引き、途中でちぎれる。
「それでは吞みすぎ、胃のもたれ、むかつきの際には是非ご用命を」
雛はハンケチで口元を、吐瀉物で汚れた服はそのままで、丁寧に拭くと、スカートの両端をつまんで体をかしげついと挨拶し、またくるくる回りながらその場を離れていった。先ほど以上に雛を避ける人の流れは大きくなり、まるでエジプト軍から逃げるモーゼが起こした奇跡のように人の海が割れていく。
「んん、ああ?」
ややあってから平時の顔色に戻った男は何が起こっていたのかさっぱり理解できないままに体をおこした。
「ふぁぁぁ、寝てたのか? すっかり酔いが覚めちまったぜ。呑みなおしといくか」
そう呟いてまた先ほどの酒処へと戻っていく。その後、彼がどうなったかは言うまでもない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「すいません、寄り道していたらすっかり遅くなってしまいました」
門扉の前で不動のままで直立している守衛に深々と頭を下げる雛。力たすきで法被を縛り、金属鋲が打ち付けられた八角棒や十手で武装した屈強な体作りの守衛は雛を一瞥。その乾き始めた吐瀉物で汚れた姿に僅かに眉をしかめたが、相変わらずのいかめしい顔のままにあごをしゃくり、「早くいけ」と短く告げた。はぁい、と応じて雛は小走りに建物の中へと入っていく。
先ほどの集落の外れ、返しと鋭い鉄柵が取り付けられた高い塀に囲まれ、流れの激しい川の側、切り立った崖の上に建てられた煉瓦造りのその建物の各所は入り口同様、厳重な警備がしかれていた。
扉の度に武装した屈強な男が控え、その打刀が如き鋭い眼を光らせている。窓には鉄格子がはめられ、警備の人間以外の人も厳しい目つきをしている。一部の署員は懐に銃を忍ばせ、鍵のかかったロッカーには散弾銃がしまわれている。
物々しい雰囲気の厳重な警備がしかれた建物。その中を雛は顔パスで、時に無言で鍵を開けて貰いながら奥へ入ってく。
「お待ちしていました」
そうして、建物の半地下にある場所へ辿り着くと、スチール製の椅子に腰掛けぷかぷかとキセルを吹かしていた隻眼の男が腰を上げ、雛を出迎えた。口調こそ丁寧だったがそこには雛を敬う様な色は一つも見えない。それでも雛は「いえいえ、遅くなってすいません」と笑みを絶やさず謝ってみせる。
「それで…遅れてきて申し訳ないのですけれど、お風呂と洗濯道具を貸していただけないでしょうか。見ての通り、ここに来る途中で汚れてしまって、気持ち悪くって…
彼らもできる限り私が綺麗な方がいいでしょう?」
「悪いですが…」
雛の言葉を無下に断り、机の上に置いてあった鍵の束を手にとる隻眼。そのうちの一つ、ぞんざいな造りの大きな鍵を取り外してそれを雛に渡すと、今度は残りの鍵…殆ど同じ形をした物から迷いなく一つを選び、雛が入ってきた扉とは別の、この部屋にもう一つだけある扉の鍵穴にそれを突きさす。かちゃりとロックを外して、ドアノブに手をかけ、雛に見えるようゆっくりと扉を開いた。
扉の向こうも同じぐらいの大きさの部屋。ただし、入ってすぐ強固な造りの鉄格子が設けられている。内側には署員たちと変わらぬ、時にそれ以上の鋭い眼光をたたえた男たち…入れ墨、顔面を袈裟に走る傷、磨き上げたような禿髪…いずれも劣らぬ凶悪な人相の男たちが眼をぎらつかせながら入っていた。
物々しい光景にさしもの雛もゴクリと生唾を飲み込む。
「囚人らも待っておりますので」
エスコートでもするように扉の向こうへ腕を指し示す初老の隻眼。うぉぉぉぉぉ、と鉄格子の向こうから獣じみた歓声が上がる。
幻想郷の中、ルールを破った妖怪は巫女にシバかれる。では、ルールを破った人間はどうなるのか?
ここは刑務所。幻想郷内で犯罪を犯した罪人が収監される場所だ。高い壁も物々しい警備も凶悪な武器も外敵に備えてではなく、内側からの反乱に備えたものだ。入れられている罪人は特別凶悪な罪…殺人、強盗、強姦、放火、毒物流布、大逆、内乱、外患誘致、など大罪を犯した人物ばかり。
その中でも特に殺人や強盗、強姦など、非集団的で営利や欲望の発露を発端とする罪を犯した者たちが檻の中に集められていた。
「み、みなさんこんにちは」
二十近い瞳に見据えられ、声がうわずる雛。檻の向こうからは「こんにちわ」と揶揄するような下品な笑い声混じりの返答と「いいからとっととこい」という怒りを露わにした言葉の二種類があった。黙っている者は殆どいなかった。
恐る恐る、ゆっくりと雛は牢屋のある部屋の方へ近づいていく。その瞳、人とは違う神の眼には普通の視界の上に、牢屋の向こう、囚人たちの体から黒くたゆたう霧か煙のようなものが渦巻いているのが写っていた。
「では、後はよろしくお願いしますよ」
部屋の中へ足を踏み入れるなり、後ろの扉が閉まる。隻眼のやはり抑制のない声。遅れてガチャリと鍵がかけられる。これで、この部屋は完全な密室になってしまった。そして、雛の持っている鍵は…
「早く開けろぉ!」
「はい、ただいま…」
牢屋専用の鍵だ。囚人たちが取り付いた強固な鉄格子の扉を閉じているのは頑丈な造りの南京錠だ。精密な造りと魔術的な加護が施されたそれは雛が持っている鍵かそのスペアでしか決して開けることはできない。破壊さえ不可能だ。雛は猛獣の檻…殆ど実際はその通り、に近づくようにすり足でおっかなびっくり体を震わせながら近づいていく。南京錠を手にその黒いブラックホールじみた鍵穴へ鍵を差し込もうとした瞬間、
「ヒャッハー、もう我慢できねぇ!!」
檻の向こうから囚人の一人が手を伸ばしてきた。中央に一本、線を引くような変わった髪型の男。眼の周りには星形の入れ墨が彫られている。鍵を持っていない方の雛の手を掴むと勢いよくその体を引っ張ってきた。「あう」と悲鳴を上げ鉄格子に叩きつけられる雛。頭を強かにぶつけこめかみから血が流れ出てくる。
他の囚人たちもそれに習ったのか、鉄格子から手を伸ばし雛の体…服や胸の前で縛った髪の毛、耳などを力任せに引っ張ってくる。その度に雛は悲鳴を上げるが、何とか手にした鍵を落とさまいとしっかり握り、邪魔されながらも必死に何とか鍵穴に差し込もうとする。
「開い…た」
鼻をつままれそのまま持ち上げられるように上に引っ張られようとしたところでぎりぎり、鍵穴に鍵が入り、半周捻ると、ガチャリとロックが外れた。大きな南京錠はそのままするりと留め金から抜け、床の上へ、盛大な音を立てて落ちる。そうして、雛の体も。
「きゃっ…!」
ほとんどもたれかかるまで体を引っ張られていた雛はそのまま内開きの扉へ向けて倒れる。意地悪く、扉の後ろにいた囚人たちはさっと扉の後ろから離れ、雛は無様にも床の上へ倒れた。
強かに打ち付けた頭を押さえながら体を起こす。
と、
「へへへへ、今日もよろしく頼むぜ厄神様」
頭上から下卑た笑みを向けられる。雛を中心に円陣を組んだ囚人たちは逆光で黒い影に見え、爛々と輝く瞳だけが数珠のように繋がって見えた。
「あっ…は、はい…」
鍵山雛の本当にキツイ厄払いの仕事が始まった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「オラ! 立てッ!」
腕を無理矢理、掴みあげられ、強制的に雛は立ち上げられた。けれど、そのまま、背中から殴りつけられもう一度、倒れてしまう。今度、倒れた先は床ではなく、牢屋の中央、簡単に動かせないよう、床にしっかりと打ち付けられたベッド…いや、子供用にしても小さすぎ、柵もないそれは棚か作業台としか呼べそうもないものの上だった。一応、天板は布を張った板で出来ているが当然のように固く、雛はその角でお腹を打ち付ける羽目になった。うぇっ、とつばと一緒に悲鳴が漏れる。
けれど、お腹をさするまもなく雛の体は更に引っ張られ、腹ばいに作業台…そう、作業するための台の上に乗せられる。その上、身動き取れないよう腕や肩に幾つも腕が伸び、堅い板の上へ押しつけられる。
「最初は誰だぁ!」
この囚人たちのリーダー格と思わしき禿髪の男が声を上げる。囚人たちは自重する気配もなく俺だ、俺だと口々に叫び手を上げる。そんな悪漢たちをざっと見回しているとリーダーは一人の男のところで目をとめた。ぼさぼさの髪をした男で、叫ぶために大きく開けられた口からは前歯が一本ないのが見てとれた。
「俺にさせてくれ。第五班でぶち込まれ、やっと、この『お楽しみ会』の番が回ってきたんだ! この会の話を聞いてからマスもかかずに溜め込んできたんだ! なぁ、いいだろ!」
瞳を漏れ出した廃油のように輝かせ片手を伸ばしながら跳ねる男。リーダー格の男はよし、と頷き、雛のほう…特に下半身の辺りを指し示した。
「いいだろう。お前からだ」
イヤス! と万馬券でも当てたように握り拳を引いて喜ぶ男。回りからは「ずりぃぞ」とブーイングか「三擦り半でイっちまえ!」という揶揄する声が上がっている。男はどうもどうも、と頭を下げながら囚人たちをかき分け、作業台の上に押しつけられた雛の後ろへ回る。
「うへへぇ、この時を待っていたのだ!」
にやりと邪悪きわまる笑みを浮かべて台の上の押しつけられている雛の体を上から順に子細に眺める男。乱れた髪。こめかみにこびりついた血。怯えた表情。流れえる涙。既に破かれつつある服。そして、その視線が膝の裏まで行ったところで男は視線を戻し、雛の腰の辺りへ落ち着けた。そらよ、とかけ声と共に装飾過多の厚ぼったいスカートを腰の上まで捲りあげる。
「あああ……っ」
スカートの下、緑色でデザイン的な厄の字がプリントされたショーツが露わになる。羞恥に顔を赤くする雛。けれど、雛を辱める行為はそれで終わりではなかった。
「すべすべだぁな!」
ショーツ越しに雛の尻たぶをなで回し始める男。ざらついた肌に雛は鳥肌を立たせ、ひぃ、と短い悲鳴を上げる。
「あ、あの…やるのでしたら早く…」
「おい、お前ら聞いたか!『早く突っ込んで欲しい』だってよ! このビッチゴッドが!」
ひゃはははは、と笑う男。ゴッドじゃなくてゴッデスだろ、なぁ、雛ちゃん、と別の男が雛に顔を寄せ、その耳の穴へ下を入れる。手めぇ、と一番を勝ち取った男が憤るが、リーダーに肩を掴まれ、早くしろ、と凄みを効かされ、仕方なく頷く男。
「もうちょっと遊びたいんですが…まぁ、しかたねぇか。後ろ、使えてますし。じゃあ、とっとと」
言って男は自分のズボンに手をかけた。もうそこは布越しでもそうと分るほどに膨れあがっている。自殺などの防止用にマジックテープ式になっているズボンの止めを外し、陰茎を露わにする。鋭角にそそり立ったそれははちきれんほどに怒張していた。見れば他の男たちも股間部分にテントを張り、気の早い者はもうズボンをずらして自分の剛直を握っている。誰も彼もが獣欲に浮かされていた。
「ああっ、嫌、その…で、出来る限り優しく…」
「できるわきゃねーだろ!」
涙声で訴える雛の言葉を無下に切り捨てると、男はショーツに指をかけ、股部分の布地をずらし、僅かに緑色の産毛が生えているばかりの秘裂を露わにした。男はそこへ自分の滾った男根を押し当てるとそのまま雛の腰を掴み、一気に―――
「ひぃ、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
愛撫もなしにそこへ挿入した。
竹刀の握りほどの太さもある剛直に貫かれ、雛の秘裂の回りの皮が裂ける。
「っう、キッツいな! ああ、でも、クソ! 久しぶりの…久しぶりの女だ! ヒャッハー!」
流れ出る血と先走りの淫水を僅かな潤滑油に、男は腰を上下させる。優しい動きなどでは決してない。喩えるなら体当たりをかますどう猛な牛か。ぱしん、ぱしん、と牢内の煉瓦造りの壁に肉が打ち付け合う乾いた音が鳴り響く。
「痛い痛い痛い痛い痛いです!!!」
歯をかみしめ、白目を向きつつ涙を流しながら吠える雛。けれど、屈強な男たちに取り押さえられ痛みに暴れることも出来ない。辛うじて下半身は自由の身だったが、連続して繰り出される剛直に床についていない足はぶらぶらと揺れるしかなかった。
「っあ、駄目だ! もうでる…!」
男の腰を振る動きが一段と激しさを増したかと思うと、男は体を弓なりに仰け反らせ、僅かに腰を二度三度と痙攣させた。胎内を自分由来ではない体液で満たされるのを感じ取って雛はあっ、あっ、と二度、短い声を上げる。ぞぶり、と抜き出された男の性器は白濁に汚れていた。膣で果てたのだ。
「あーっ、手前ェ、出すときは外だって言ったろ!」
「すまんすまん、あんまりにも気持ちよくってさ」
「早漏が」
「あーっ! まぁ、でもこうやって掻出せば問題ないだろ。どうせ、すぐ一杯になるんだからよ!」
言って無造作に先ほどまで自分の男性器を突っ込んでいた雛の女性器へ代わりと言わんばかりに指を突っ込む。乱暴に四本の指で卵でもかき混ぜるように弄り回し、中に溜っていた自分の精を掻出す。
「なっ」
「うぇぇぇ、自分のでもよくザーメンなんて触れんな。えんがちょ」
両手の人差し指で罰点を作る囚人たち。ゲラゲラと意気投合したように笑い合う。
その中心、浅く速く呼吸を繰り返しながら痛みに耐え、涙を流す雛。仕事はまだ始まったばかりだ。
幻想郷の厄を集め、それを浄化するのが厄神である鍵山雛の役目である。
その主な仕事は一年の厄を集めた紙雛を川へ流すひな祭りの主賓や、ちょっとした厄払い。そして…昼過ぎに魔理沙や酔漢にしたような厄災を呼び込む感情の発露。
この刑務所で行われているものもその延長だ。
言うなれば慰安婦だ。
刑務所という狭く規律で雁字搦めにされ空間に閉じ込められた囚人の感じるストレスというものは一般人には計り知れない質量を持っている。それはどす黒く、洗っても落ちないような粘度を誇り、時にマグマのような熱を持っている。そんな負を凝縮したような感情が厄災を呼び寄せるというのは想像に難くない。ともすれば囚人同士のいざこざ、発展すれば暴動を招きかねないそのストレスの発散はどんな時代どんな国の刑務所においても考えられてきたことだ。所内の規律を厳しくし、違反者には軽いものであっても厳罰を与え、恐怖で囚人をコントロールする。朝に穴を掘らせ夕方にそれを埋めさせるような意味のない単純作業を繰り返させ囚人そもそもの気力を削ぐ。逆に模範囚には他の者が羨むような恩赦を与えたり、ときどき、スポーツや映画感想などの娯楽を与え、囚人の精神のベクトルを正方向へ向けたり、ストレスを緩和させたりと様々な方法が試され、実行されてきた。
恐らく雛がしていることはその究極だろう。特に男性囚人にとっては。
性衝動の発露ほど、ストレスを緩和できる発散方法はない。
加え鍵山雛の神としての能力―――厄払いはそれを更にグレードアップさせた効果を持つ。
そして、雛の神故の人とは比べものにならないほど、頑丈な体は別の衝動の発露にも利用できる。
ああ、その説明の前に一つ訂正を。
鍵山雛は慰安婦なのではない。
「オラッ! オラッ! もっと締めろよ!」
「ひぎっ、ぐげっ、ふ、ふみまへん…」
もっと痛ましいナニかだ。
無残にもすっかり押し広げられてしまった秘裂に剛直を突っ込んだまま、馬乗りになった傷顔の男が雛の顔面に殴打を加えている。腰と腕の動きはまるで連動していなかったがどちらかが突き出される度に雛は悲鳴を上げた。特に腕。顔面を執拗に狙う一撃に雛は鼻血や涎を散らしながら男の言われるがままされるがままの状態であった。痣で隈取りをした眼。曲がった鼻。切れた頬。折れた前歯。身につけていた衣服は無残に破れ、僅かなボロが体にまとわりついているだけだ。まともな正義の心を持つ者であれば目を見開き、流血するほど拳を握りそうな痛ましいその姿。けれど、この部屋に集められた男たちはその姿が寧ろ気にいっているのか、下卑た笑みを浮かべ、力なく投げ出された腕を踏みつけたり、脇腹に足蹴をくれてやったりしている。
痛ましく目を背けたくなるような仕打ち。これも、これさえも雛の厄払いだ。
抑圧はスポーツをして体を動かしたり、芸術とふれあえば解消される。性衝動はそのまま、異性と交わるか、自分の手で処理すれば収まる。けれど、更にその奥、一部の人でなし共が備えている破壊衝動の発露はどうすればいいのだろう。もちろん、下位の発散方法で多少の緩和は出来るだろう。けれど、余りに濃く滾っている邪悪な衝動はそんな手段ではまともに薄めることは出来ない。せいぜい、上に水を湛え見た目上、綺麗になったと見せかける程度が関の山だ。根本的な解決に至るには性衝動同様、直接、解消させるしかない。
「緩いぞ、クソが!」
「あ…がッ…ぐッ…」
雛の細い首に指をかけ、ぎりぎりと締め上げる傷顔。鬱血し顔を紫色に、舌をだらしなく伸ばしながら震える雛。痙攣し、体中の筋肉はあらぬ方向へ顕界まで引き絞られている。男のモノをくわえ込んでいる膣孔も同じ。ぎゅっ、と握るようにいきりたった剛直を締め上げる。それが良かったのか、酸素を求めあえぐ雛を無視して、男は腰の動きを激しくさせる。「あ、か…」と雛の喉から声ではない何かの音が微かに聞こえたと同時に傷顔は腰を勢いよく突き出し、果てた。脈打ち、白濁液をはき出す陰茎を抜き、雛の体、その内と外の両側を気がしていく。
「次は俺だッ!」「いいや、俺だ!」「さっさとこっちにも回せ!」
まるで蹴球や籠球、集団球技のボールの様に乱暴にあちらへこちらへ引っ張られる雛の体。既に意識は微弱なのか、殆ど反応らしい反応を返さない。それが気にくわないのか、男たちは雛の頬をひっぱたき、乳首や肉芽など敏感な部分をきつくつねりあげ、神経に直接、電流でも流し込んだような強烈な刺激を与え無理矢理に覚醒させる。
「咥えろ」「私は手でして貰おうかな」「お、おお、お、おおれはしりだ。おれがおしりだ。しり、しりだ」
いきりたった剛直をつきだし、それぞれ、望む方法で雛の体を使い性的刺激を求める男たち。絞首から解放されて酸素を求めあえぐ口に普段は包皮に覆われ滓が溜ったモノを突っ込み、小指と薬指が無残にも折れた手に無理矢理、男根を握らせ、普通は排泄のための器官、尻溝に隠された菊座を躊躇いなく剛直で貫く。周りにいる他の男も待ちきれないのか、己の手で滾った陰茎をしごき、黄ばんだ白濁液を飛ばし、雛の背中、肩、髪の毛と所構わず汚していく。
汚すばかりではない。壊す事も忘れてはいない。
「歯ァたてんなよ!」
バシンバシン、と体当たりでもかますように腰をスライドさせ、陰茎の上、下腹部を雛の顔面に叩きつける入れ墨。そこを覆う金束子を思わせる剛毛は彼の汗と雛の血でぬめり、光っている。強烈に繰り出した腹に鍵山雛の鼻が押しつぶされ、鼻血を吹いたのだ。口は塩っ気と苦い味のする汚らしい男根でふさがれ、鼻は衝撃に潰され、穴は血糊で埋まっている。呼吸が出来ず、喘ぎ、波のように意識を断続的に落とす雛。けれど、解放にはまだ遠い。
「おいおい、いくら何でも手を抜きすぎだぞ。こうするんだよ!」
雛の細い手に自分のモノを握らせている優男。ここに入れられる前は何人もの女を泣かせてきたのだろう。その男性器はとても長く自分の臍を超える位置まで伸びていた。雛の細い指ではとてもソレに十分な刺激を与えることは出来ず、加え、後ろ二指が折れているのであれば尚更だった。そんな真似ではらちがあかないのか、優男は自分の手で雛の手を、折れている指もまとめて掴むとぎりぎりとそこを重点的に締め上げつつ、無理矢理、扱きあげる動作を繰り返させた。折れた骨が軋み、雛の指の関節のない位置に瘤が浮かぶ。それでもなお飽き足らないのか、優男はサディスティックに顔をゆがめつつ、他の三指も矢鱈滅多に折ったりひっぱたりし始めた。
「しり、おしり、きもち、いい、いぃぃぃぃ!」
雛の下半身にのしかかり腰を前後させる男の頭には拙い手術の痕が残っていた。その障害か、ろれつの回っていない言葉と左右で点で逆の方向を向いている瞳。顔自体も頭の傷に引っ張られ、目を背けたくなるような醜悪さを持っている。代わりに彼は人の倍の体格を得たようで、この部屋にいる囚人の誰よりも体が大きく、そして、雛の菊座に突っ込まれた剛直も規格外に大きかった。雛の足首ほどの太さもある性器はもはや人類の範疇ではない。象か海獣のそれだ。そんなモノを突っ込まれれば無論、雛の肛門は無事では済まされない。活栓筋が引きちぎれ、出し入れされる青筋の浮いた剛直には雛の汚物とおびただしい量の血糊がついている。精も底なしなのか、四、五回、腰を前後させただけで巨漢は白濁液を迸らせる。けれど、それで萎える気配はなく、止ることを知らず、むしろなお加速する動作で精を放ちながらも更に腰を打ち付ける。どびゅりどびゅり、と精が放たれる度に雛の下腹部は注ぎ込まれた精液で膨れあがり、妊娠でもしたかのように膨れあがっていく。
それから何十もの精を咽頭や直腸、全身に浴びせられた雛はやっとの事で三人から解放された。いや、それは三人の性欲がやっと静まったというよりは性欲よりなお強い破壊衝動に駆られた別の男たちの手に奪われたといった方が正しい。
床に投げ飛ばされ、倒れる雛。そこへ足蹴が何十と飛んでくる。もはや、体を守る気力も体力も残されていないのか、されるがままだ。やがて、雛を蹴りつけていた男の一人…背は低いが筋肉質の三白眼、が道ばたに硬貨が落ちているのを見つけたような表情を浮かべた。雛の腹部を蹴りつける度に、活栓筋がちぎれ、惚けた口のように開け放たれたままの菊座から血糊混じりの白濁液が飛び出してきているのを発見したのだ。こりゃ、おもしれぇ、と三白眼はのっぽの兄弟に雛の腕を引っ張って無理矢理にでも立たせるように言うと、その前に立ち、虎のような笑みを浮かべてぽきり、ぽきりと指を鳴らした。のっぽの兄弟に腕を引っ張られて半ば宙ぶらりんの格好で立っている雛はロズウェルの宇宙人か。否、
「そらよッ!」
サンドバッグだ。
三白眼は軽いフットワークでステップを踏むと流れる動作で雛の腹部にワンツーを決めた。腹部を強かに打ち付けられ、血と精液が混じった胃液を吐き、尻からも同じく穢れた粘液を滴らせる雛。
回りの囚人たちが観客のように歓声を上げ、手を打ち鳴らし、口笛を吹く。気をよくしたのか三白眼は勝ち誇った顔つきで片腕を掲げてみせる。アピールタイムのつもりか。
再び、拳闘の試合のように左右にステップを踏むと今度は右のフック、左のフックのコンビネーション。返す刃でひねりを加えた右のストレートを放ち、トドメに下からすくい上げるように左アッパーを繰り出す。狙いは痛ましい有様のヴァギナ。拳の先が開いた大陰唇にめり込む。僅かに宙に浮く雛の体。ぶぴゅり、とこの場においてもはや間抜けに聞こえる放屁のような音を立て、直腸内に収められていた汚物が全て排出される。
そうしてそのままクリンチ。雛の小ぶりの乳房に噛みつき、更に至近距離で腹部を殴打する。ゲラゲラとその様子を見て笑っていた囚人だちだったが、そのうちの一人…うさんくさいひげ面の男がおもむろに三白眼に近づくと、その肩を掴んで強引に見える形で雛から引きはがした。それは雛を助けたというわけではなく…
「っう!!」
「ノーノー」
首を振るい両手で×点を作る。三白眼は憤ったようなそぶりを見せるが、あくまで突っぱねるひげ面。三白眼は仕方なく、肩をすくめながら鍵山雛から離れる。ぺっと、悪態をつくように吐き捨てた唾の中には雛のちぎれた乳首が転がっていた。
そんな演じたような三白眼達の様子を見て囚人たちは低俗な喜劇でも観賞しているように腹を抱えて笑う。喜劇、そう、これは拳闘のレフリーの真似事だ。
ひげ面は雛と三白眼の間に入ると腕を交差させ、それを広げると同時にファイッ! と短く叫んだ。
刹那、瞬きの速度のステップインで間合いをゼロにする三白眼。右腕は弓弦のように顕界まで引き絞られていた。放たれるコークスクリュー。雛の体はくの字を取り越しつの字に折れ、余りの衝撃にその腕を掴んでいたのっぽの兄弟は手を放してしまう。すっとぶ雛の体。小さな体は容易く重力の鎖から解き放たれ、壁にぶつかったところで落ちた。カンカンカン、と囚人の一人が鉄格子を叩いてゴングの代わりにし、ひげ面が三白眼の手を取ってまるで勝者のように掲げてみせる。
その悪辣な喜劇の端、雛は体を折ったままえづき、咳き込むと同時に大量に吐血した。
「さて、そろそろ…」
そう呟いて壁にもたれかけさせていた体を起こしたのはリーダー格の男だ。リーダーのその小さなつぶやきにフェザー級タイトルマッチごっこをしていた囚人たちは騒ぐのをやめ、傾注する。のっぽの兄弟が倒れた雛に駆け寄ると、命令されたわけでもないのにその体をリーダー格の男の前まで運んできた。
「あっ…はっ、はっ…」
涙を流し、か細く呼吸を繰り返す雛がすぐ側に立つリーダー格の男を見上げる。逆さまの視界、天井に取り付けられた水銀灯の光を逆光にうけるリーダー格の男の姿は雛には青白い馬の背に乗った者に見えた。
「起きろ」
リーダー格はこんな場でも落ち着いた様子を保っている。故のこの荒くれ人でなしの集団においてもリーダーであり続けられるのか。囚人たちも黙りこくり、リーダー格の男の言動に一挙一動注目している。
雛も気圧されたのか、生まれたての子鹿さながらのか弱さで何とか体を起こす。座っているのでさえも辛いのか、倒れそうになる体を何とか無事な方の腕で支える。その雛を見下ろしつつリーダー格の男は口を開く。
「する前に一応、聞いておくぞ。
眼と、頸。どちらがいい
」
男の言葉にひっ、と雛はここに来て本当に心底、恐怖による悲鳴を上げてみせた。そのいまいち要領を得ない言葉に周囲がざわめくが、当事者故か、リーダーの言葉を解釈した絞るような嗚咽を漏らし、雛は震えながらゆっくりと顔を上げ、男の顔を見上げた。
「眼で…お願いします」
殴られ隈取りのような痣が出来た方の瞳を守るよう、無事な方の瞼をめい一杯広げてみせる雛。リーダー格の男は腰を下ろすと手を伸ばし、太くごわついた指で雛の瞳に触れた。そぶり、と音を立て指が眼窩に沈み込む。ああああ、と雛は断続し、喉を振るわせる悲鳴を上げ、こぶしを握り、その吐き気を催す異常な触感を耐える。第一関節まで沈み込ませるとリーダーは僅かに指先に力を込め、指を眼球に引っかける。そうして…
「ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 眼が! 眼がぁ!」
何の躊躇いもなくソレを引き抜いた。悲鳴を上げ、立った今、眼球を引き抜かれた顔を押さえ、のたうち回る雛。余りに凄惨な光景に人でなしの囚人たちもさすがに生唾を飲み込む。
「ふん…」
その中にあってただ一人冷静な面を浮かべるリーダー。僅かに口元が綻んでいるのは狂気か狂喜か。視神経の赤い糸がぶら下がったピンポン球より少し小さいサイズの眼球を僅かに子細に眺めるとそれを家の鍵でもなおすように台の上に置いた。ころりと転がる雛の眼球。
そうしてリーダ格の男はおもむろに雛に近づくと、暴れる彼女の頭を掴みあげ自分の腰の位置まで持ってきた。既にそそり立つ陰茎は外気に晒されている。
「ま、待って…」
無色と血色の両方の涙を流し、懇願する雛。けれど、その言葉は遠い。
無造作に突き出される亀頭。ぞぶり、と暗い洞のように口を開けた雛の眼窩へそれが突っ込まれる。
「あ、ああ、い、あ、ああ…ああ!!!」
抜けたまつ毛かゴミぐらいしか入り込まないその場所へ眼球よりも大きく汚らわしいモノを突っ込まれ、もはや痛みを超越した脳処理の出来ない感覚を覚える雛。
リーダーも穴の深さは僅か数センチしかない場所に僅かに陰茎の先、亀頭だけを出し入れする行為はこれがただの穴であれば生殺しにも等しい刺激しか得られていなかったであろう。けれど、通常の性行為をする膣孔、オーラルセックスの口内、そして、アブノーマルなアナルさえも超越したような異常な箇所への挿入には肉体的な刺激を超えた悦楽があるのか、あの冷酷無比なリーダーの顔に狂喜じみた笑みが浮かんでいる。出入も早く、流れ出る血を潤滑油に邪悪な性交を繰り返す。
「いあ、ああ、あああああああああ…!」
その光景を神の視線で俯瞰して眺めれば分るだろう。天井を取り払い、牢屋を上から眺める。惚けたようにリーダーと雛に視線を注ぎ続ける囚人たち。その足下から影のように黒い何かが伸びている。それらは床の上を流れ、排水口に吸い込まれるようにリーダー格の足下へ、そして、その体へと集まっていく。邪悪な気、厄は時により邪悪なものに惹かれ集まり、カオスを増していくことがある。これがそれだ。余りに禍々しいまぐわいに荒くれ共も気圧され、自身が持っていた厄の気が呼び水の様にもっとも邪悪な者、リーダー格の男の所へ流れて行っているのだ。厄災の流れを捉える浄眼で彼の者を視ればその姿は黒い泥に覆われた漆黒の獣の様に映るだろう。そして、その泥は男のもっとも滾っている部分、陰嚢に募り、その濃度を、そのエネルギーを凝縮していく。
―――そして…!!
「ッ! 出すぞ!」
人の視線。リーダー格の叫びと共に血に塗れた男根の切っ先から白濁液が迸る。うねりを描き飛来する精。
神の視線。雄叫びと共に夥しい量の漆黒の泥が獣の体から放たれる。雛を飲み込むよう泥は波となって押し寄せる。
その精を/泥を
眼窩で/全身で
受け止める雛。
朱に汚らわしい白濁が混じり、黒い泥は乾いた地面に水を撒いたようにその体にゆっくりと仕込まれていく。
「はぁーはぁ−、よかったぜ。厄神様」
「はい、ありがとうございます」
立ち上がり、もはや、ボロ切れとなったスカートの両端を掴みあげ、ついと体をかしげて挨拶する雛。
期を呼んだのか、ドアの外から「時間だぞ」と隻眼の看守の声が聞こえてきた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
指の先までくまなく包帯でつつまれた指。顔には眼帯が回り、まだ、うっすらと青痣が浮いている方の瞳の下には絆創膏が貼られ、服の下に隠れて見えないがお腹には包帯が巻かれ、執拗に責め立てられた性器やお尻の周りにはたっぷりと軟膏が塗られている。
あの後、囚人から吸収した厄のエネルギーを使いダメージを回復させつつ、所付きの(藪)医者に治療して貰った雛は、新しい服を着て帰路についている。痛ましい姿だが、先ほどまで非道い強姦を受けたとは思えないほど足取りは軽い。それだけ彼女の存在意義でもある厄を大量に集められて、ある意味、心身は元気になっているのである。
「ああでも、さすがに明日は丸一日、ベッドの上ですね〜」
そうダメージリポートを下し、くるくると回る雛。
もうすぐで我が家だが辺りはすっかり暗く、ことさら人里離れた妖怪の山の麓は一際闇につつまれていた。
と、
「アレは…」
進行方向から僅かに外れたところに営みの明かりを見つける雛。この辺りはカッパの住処だ。普段ならそのまま通り過ぎるところだが、僅かに厄い気配を感じてもう一仕事、と寄り道をする。
葦の草むらをより分け進むと粗末な掘っ立て小屋が一つ、建っていた。山の中にあって人工的な電気の輝きに照らされた家。その庭先、トタンの屋根につらくられたライトの明かりを受け、大きな用途不明の機械が置かれていた。
「こんばんわ〜 厄いですよ」
「わっ、ああ、雛か。こんばんわ」
その影、顔を黒ずんだ油で顔を汚しながら作業をしていたにとりが突然の来訪者に驚きつつも、すぐに相手を認め挨拶を返す。
「どうしたの、こんな時間に。っていううか、うわぁ、今日はこっぴどくされたね」
釘抜きに使っていたバールのような物をドラム缶の上に置いて機械の影から出てくるにとり。雛の姿を改めて見て、その痛ましい有様にああっ、と声を上げる。昔から同じ妖怪の山の麓に暮らす者同士としてにとりは雛の仕事、その役割を知っていたのである。
「これもお役目。お気になさらないでください。それより…」
そう言って雛はにとりへ近づいていく。どうしたんだろう、とにとりは僅かに小首をかしげて見せて、
「厄い、ですよ、にとりさん」
「あ…」
自分がお昼前からイライラしていることをさっとご近所さんに見破られたことを恥ずかしく思った。
「あー、うん。ちょっと、嫌なことがあって…それで…」
「それはそれは。大変ですね。でも、溜め込むのもいけませんよ。ささ、どうぞ、その厄、私で祓ってください」
つい、とあごを突き出して瞳を閉じ、口づけを求めるように顔を向けてくる雛。その格好がどういう意味を持っているのか、にとりは分っていたが気圧されたように半歩、足を後ろに下げてしまった。
「どうしたんですか?」
「ううっ、その…」
催促するよう問いかけてくる雛。けれど、にとりは手を振り上げたり、握り拳を作ったりするような真似はしない。胸に浮かんできた疼きのようなものがそんな気を全て禊いてしまっているからだ。
この疼きは、雛の痛ましい姿を見たから覚えている…のではない。もっと別の感情、もっと別の考えから浮かんできているものだ。
「ごめん雛。いいやそれ」
そのあやふやだった形をしっかりとした物に変えて、にとりは頭を振ってやんわりと雛を拒否する。「そうですか」と雛はあまり残念そうなそぶりも見せずに瞳を開けると、顔を下げた。
「まぁ、厄を呼び寄せるような感情も実の所、自分で解決するのが一番ですからね」
そして、そう諭すように微笑む雛。つられてにとりも笑みを浮かべる。
「あ、でも、幻想郷のみんながみんなそうなると私の役目、桃の節句の時しかなくなっちゃうのかも。それはそれで困りものですね」
最後に冗談を言って、「それではおやすみなさい」と別れを告げる雛。「おやすみ」とにとりも返し、手を振ってその後ろ姿を見送る。
「ふぅ、そうだね。やっぱり自分で解決しないと」
雛の姿が見えなくなってから、止めどころを見失ってずっと振りっぱなしだった手のひらをおろし、力強く握り拳を作るにとり。決意の表れ。そして、先ほどまで、こんなに暗くなっても弄っていた機械に視線を向ける。
それは今日の昼前に魔理沙が壊してしまった機械だった。
あれからにとりもいらついた一日を過ごし、悶々とした態度で他の機械を弄ったりしていたのだがどうにも集中力が湧かず、気がつけばぷんすか、ここにはいない壊した本人に悪態をつきながらこの機械を治していた。はっと、その事に気がつき、これはどういうことなんだろうと自己分析を始めたところへ雛がやってきたのだった。分析が中断される。けれど、それは思考に没頭することへの邪魔ではなく寧ろ真逆の助けになった。
雛の何気ないのか、それとも悟ったからの言葉なのか分らないが、彼女のお陰でにとりは自分の中の気持ちに整理をつけることが出来た。
「明日、謝りに行こうっと」
たぶん、この機械を直し始めたのはそのきっかけを作ろうと半ば無意識的にしていたのだろうとにとりは結論を下す。そうと決まれば後は善は急げだ。徹夜覚悟でにとりは工具を手に取ると気合いを入れて「よっしゃー」と叫んだ。近所迷惑この上なかった。
「あれ? 流れ星? ううん、違う」
と、何気なしに見上げた空を横切っていく一筋の光を捉えた。大気を掠める宇宙の石っころかと思ったけれどどうやら違うようだ。あの輝く尾っぽ、それににとりはとても見覚えがあった。
「魔理沙だ」
今し方、明日になったら会いに行こうと決意を固めた相手が偶然にも頭上を飛び去っていってしまったのだ。どうしようと迷うこと一瞬。ええいままよ、とにとりは工具を手にしたまま、それを置いておくのも忘れ、魔理沙の後を追いかけて走り出した。
飛んでいる者とはっている者では移動速度は歴然の差。にとりはすぐに魔理沙を見失ってしまった。仕方なく暫く道なりに歩いていると、運良く夜風に乗って魔理沙の声が聞こえてきた。ラッキーと駆け出し、梢の向こうに尋ね人の姿を認める。
「魔理沙だ。ああ、でも、なんて言って話しかけよう」
ここに来て急に尻込みして、駆け寄る足の回転を緩やかにさせてしまうにとり。明日、あの出来た機械を持って魔理沙の所へ謝りに行くシミュレーションは完璧に出来ていたのだが、こうやって予期しない状態で顔を合わせたとき、どうすればいいのかはまるで考えていなかった。どうしよう、どうしようと殆ど止るような速度で歩いて行くと、にとりはどうやら魔理沙が誰かと話している様子なのに気がついた。
「チャンス…かな」
邪魔しちゃ悪いし、その誰かとの会話が終わるまで暫く隠れて、その間にどうやって切り出すかを考えておこうと木の後ろに身を隠すにとり。更にステルス迷彩も発動。カモフラ率100.0%だ。
「ところで相手は誰なんだろう」
見つかる心配はおおよそないので大胆にも木の陰から顔を出すにとり。と、魔理沙の話し相手の姿を見てにとりは目を丸くしてしまった。
「その…昼間の事なんだけど」
「お昼の、ですか。ああ、あの厄払いですね」
先ほど、自分に魔理沙に謝るきっかけを作ってくれた鍵山雛だった。どうやら、魔理沙も昼頃…丁度、にとりの家から帰っていった時間を考えるとつじつまが合う、時に雛に出会っていたみたいだ、とにとりは推測する。
「ああ、うん。アレに事なんだけどさ。やっぱり、私、ああいうのはよくないと思うんだぜ。お前の役割を否定する訳じゃないけどさ、いきなり、『ひっぱたいてもいいですよ』っていうのはちょっと…叩いてしまった後で言うのは卑怯かもしれないけど」
魔理沙は厄払い…怒りを静めるために雛に手を上げた。その時の話だ。会話の流れからにとりはそれを察する。けれど、にとりはその事実より、もっと別のことに気を取られてしまっていた。
「うん、だから、卑怯なら卑怯でいいんだけど、それじゃ、私が納得しないから…だからこれ。お詫びのしるしって言っちゃ何だけど、あげるぜ」
そう言って魔理沙は肩からかけたポシェットから一つ、手作りと思わしき首にかける紐が取り付けられた小さな星形の飾りを取り出してくる。
「厄神様に厄除けのお守りってのも変な話だけどな」
「まぁ、私にですか」
少し気恥ずかしそうに笑いながら魔理沙はその首飾りを雛に手渡す。受け取ったそれを瞳を輝かせながら、夜空にかざしてみる雛。新しい星が瞬き始めた様に見える。この思いがけないプレゼントに雛は心から喜んでいるようだった。
「ありがとうございます。一生、大事にしますね」
「神さまの一生は長そうだな」
微笑む雛に肩をふるわせて笑う魔理沙。それから二人は二言三言交わし合って、「おやすみなさい」と夜の別れの挨拶を告げ、魔理沙の方は箒でまた飛び上がり、東の空へ消えていった。
その流星の尾のように光る後ろ姿を消えるまでずっと手を振って見送り続ける雛。
新しい、何か暖かいものの芽生えの瞬間だった。
―――そして、
「雛」
「あ、にとりさん。また会いましたね。こんばんわ」
魔理沙が消えたのを確認してから茂みの向こうから姿を現すにとり。
俯いたまま、ゆらゆらとまるで幽霊のような足取りで雛に近づいていく。
「魔理沙の奴、非道いよ」
独白じみた言葉がにとりの喉の奥からしみ出てくる。その様子を見取ってあら、と雛は小首をかしげる。
「私の所には謝りに来ないでさ、雛の所には行くんだもん。そんなのって、非道いよね」
「にとりさん、なんだか先ほどよりも厄い気が…」
「うん。だから、雛で処理させて」
言ってにとりは偶然、家から持ってきていたバールのようなもので雛の頭を殴打した。
何も分らないまま、へこんだ頭から血を流し、地面の上へ倒れる雛。
その視界、神の視界にはにとりの胸に生まれた非道く冷たく非道く熱い、嫉妬の炎から立ち上る漆黒の泥を捉えていた。
「その厄、私が取り去ってあげましょう」
END
給料日前だからって財布の中に230円しかないんだがどうしよう。
刑務所ネタは某沙村広明センセの漫画から
sako
作品情報
作品集:
19
投稿日時:
2010/07/27 16:05:06
更新日時:
2010/07/28 01:05:06
分類
鍵山雛
※)ハードめ、リョナ有
超興奮した
慰安婦とあるけど、歌や劇などの技能で無聊を慰めるのが本来の慰安婦なので、
売春婦の間違いかな?
ブラッドハーレーの馬車は鬱な作品だったがカタルシスを感じた作品でもあったな
前からこんなに文が上手い人だったか。
雛×暴力がジャストミートだっただけかも知れないけど
>慰安婦
従軍慰安婦というものが有ってだな
サヨク造語ですね。善意のバカが拡散して、今じゃ普通に使われる。
本物の慰安婦の人が、自分も売春婦だと見られる! って抗議したものの
逆に団塊サヨクに吊し上げられた。
ただ実際はともかくシチュとして自分達の何十倍という数のガタイの良い男に囲まれて突っ込まれまくるってのは燃えないか?
唯一の欠点は被害者が奴らだとちんこの反応も半分になってしまう事だけど
こういうのはなんと言いますか、殺しちゃったら逆に冷めるので神、妖怪で頑丈ってのは最高ですね。
その意味で行くと蓬莱組がアレですけど、あそこまで行くとそれはそれで痛ましさ半減で…。
厄神様マジ厄い