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『旦那方、哀れに思うんだったら』 作者: Sfinx
ちょっとの間、変な話をさせておくれよ。
いやいや、本当にちょっとの間だからさ。
――ゴホン。
この奇怪な話を語るにあたって、まずは登場人物を紹介しておこうか。
なに、たかだか2、3人だ。
覚えといてくれれば、気違いの与太話も話のタネぐらいになるよ。
――あ、ちょっと。帰っちまうんだったらそこの缶に小銭でも入れてくれよ。
まずは一人目、霧雨魔理沙。
どこにでもいる、努力家の女の子だよ。
――少々、語尾や名前は特徴的だけどね。
彼女が、この話の所謂「主人公」だ。
便宜上、「魔理沙」と呼ばせてもらいますよ。
何度かこの話を人にしたけれど、どうも他の呼び方だとしっくりこないんでね。
そんで二人目、東風谷早苗。
こっちは…ちょっと常識知らずな所はあるけど、まあ普通の女の子だな。
うん、普通の女の子なんだよ。
脇役ですらないかもしれないね。
とりあえずこの2人に、語り部の僕を加えて3人。
僕の日銭を稼いでる2人の名前だ。しっかり覚えておいてくれ。
――紹介しただけで殆ど帰っちまった。残ってるのはあんただけだよ。世知辛いねえ。
昔々、ってのは大袈裟か。
あんたがいがぐり頭だった頃の話だよ。
――勝手に決めるなって?こりゃ失礼。
とにかく、そんなくらいの昔に、魔理沙は生まれたんだ。
おぎゃあ、おぎゃあって、周りが呆れるくらいでっかい声で泣く赤ん坊だった。
あまりにうるさすぎて、隣の赤ん坊が泣き止んだくらいさ。
そんな魔理沙が物心ついた頃。…まあ、5、6歳の頃かねえ。
彼女は、魔法に興味を持った。
――ちょいとあんた、気持ちはわかるがもうちょっと待ってくれよ。御伽噺でも聞くように、軽く聞いててくれればいいんだ。
彼女の蒐集っぷりには、思わず親父さんも首を傾げたほどだったよ。
どっから本やらなんやら、集めてくるもんなんだろうってね。
まあ別に困るもんでもなし、しばらくはほっといたんだよ。親父さんも。
その辺駆け回って服を汚す子供より、手間もかからんだろうって。
そうやって何年も何年も経って、魔理沙がちょっと大きな少女になったころ。
いやあ、あの時はたまげたねえ。
藪から棒に、魔法の道具を扱ってくれなんて言い出すんだもの。
親父さんが営んでたのは呉服屋だよ?
針と糸と布でちまちまやってたのが、いきなり畳風呂敷を広げようったって、布が足りないよ。
大体親父さんには、魔法なんてちんぷんかんぷんも良い所だ。
魔理沙がやたら真剣な眼をしてたのもあって、親父さんは烈火の如く怒ったよ。
怒り慣れてないせいもあって、いきなり怒鳴りつけちまったのがまずかったんだろうねえ。
魔理沙の表情は、次第に未開人でも見るようなものに変わっていっちまったしね。
実の父親に対してするような眼じゃあなかったなあ、ありゃあ。
もうちょっとお互い冷静だったらなあってのは、第3者の後日談なんてどうでもいい代物だけど。
とにかく、この親子は喧嘩別れしちまったんだ。
――と、ここで魔理沙の親父さんはお話から退場だ。これから一切魔理沙には関わらないもんだと思ってくれ。
そんで、家出した魔理沙は一人暮らしを始めるわけだ。
茸を使った魔法の研究に熱心だったみたいだからね、毒茸だらけの森に家を建てたんだ。
近くには人形を研究してるアリスって女の子も住んでたし、しばらく行った先の神社には霊夢って友達もできた。
――あんた想像できるかい?女の子が親元離れて一人で元気に暮らしてるのさ。
まあできないだろうね。僕だって上手くいくとは思わなかった。
でも、実際に魔理沙は幸せに過ごしてたのさ。
で、ありきたりな繋ぎだけど、そんなある日のこと。
友達の霊夢が、商売敵ができたって目くじら立ててたんだ。
何でも、妖怪の山とかいう場所に新しく神社ができたんだと。
――お、今度は反応しなかったね。妖怪だの魔法だの、子供騙しですまんね。
で、その山に入っていって、神社に辿り着いた。
そうしたら、巫女さんが一人出てきた。
――唐突なんだが、ここで魔理沙もお話から退場なんだ。あんまりに脈絡が無くて申し訳ないね。
――あんた今、この気違いまともに話もできなくなったって思っただろ。
――気持ちは痛いほどわかるが、どうせここまで付き合ってくれたんだし、最後まで聞いてってくれ。
急にここで話が飛ぶよ。びゅんと飛ぶよ。
今からほんの少し昔の話。
朝からやたら元気な雨音に起こされた女の子がいたんだ。
名前は早苗、東風谷早苗。
早苗は不思議な夢を見たんだ。
魔法やら、妖怪やらが当然のように存在する、御伽噺みたいな夢をね。
その夢の中では、一人の女の子が主人公だった。
名前は魔理沙。毎日研究を欠かさない魔法使い。
そんな彼女の人生を辿ってくような夢だった。
そんでしばらく見ていったら、急に早苗が夢に出てきたんだよ。
見たこともないような巫女服を着てね。
私の夢なのに、何で私は私を見てるんだろう、なんて早苗は疑問に思ったんだよね。
そしたら、急に雨音が激しくなってきて、早苗は目を覚ましたのさ。
居間からお母さんの呼ぶ声がして、早苗は返事をする。
今日の朝ごはんは何だろう、なんて考えながらセーラー服に腕を通す。
朝ごはんは納豆だったみたい。
そうやってご飯を食べながら、お母さんに夢の話をしてみて。
馬鹿ねえ、なんて笑われて。
学校に行って。
授業を受けて。
友達と笑い合って。
家に帰ってきて。
――以上で、お話は終わり。
あんたね、あからさまにがっかりした顔してるけど、物乞いの気違いが人を呼び止めるためのお話だよ。
奇怪な話だって最初に言ったろ?
思わせぶりで落ちの無い話なんて奇奇怪怪じゃないか。
――でもね、今の話って、僕の夢なんだ、全部。
――努力家で、蒐集癖がある魔法使いの魔理沙。
――魔理沙は、確かに早苗の夢の中で、生きていた。
――早苗の夢の終わりが、魔理沙の終わり。
――そして僕の夢の終わりが、早苗の終わり。
――あんたや僕の終わりは、一体誰の夢の終わりなんだろうね?
あまりに久しぶりに書いたので、もはや覚えてる方はいないと思いますが。
もし覚えて下さってる方がいましたらお久しぶりです、Sfinxです。
何となく妄想を書き殴ってみました。
正直自分でも意味不明です。本当に申し訳ありません。
これからはもっとまともなものが書けるように練習したいと思います。
Sfinx
作品情報
作品集:
19
投稿日時:
2010/07/28 09:20:35
更新日時:
2010/07/28 18:20:35
分類
東方?
意味不明
短編
魔理紗や早苗、そしてそれらは「幻想」ということですか。
魔理紗の家出シーンを、第三者視点でここまで書いたのって他に無いんじゃなかろうか。