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『もてもてもこたん 5 』 作者: 上海専用便器
改訂前とは、違う結末になります
6で完結します
「ゆゆ、こ………あなたが、どうし、て………」
紫は、まさかの事態に何もできなかった。
親友と思っていた幽々子が、殺意を持って自分を襲ってきた。
何故、自分を襲うのか。
『あの子を殺そうとした罰。受けてもらうわよ〜』
幽々子はそう告げていた。
紫は、何のことだか分からなかった。
だが、彼女は気づく。
ここ最近で起こった異変で一番目立った事件のことに。
「すい、か……!」
幽々子はおそらく、萃香が襲われたのは自分の命令だと思い込んでいる。
だから、自分を襲ったのだろう。
紫はそう判断した。
ただ、疑問は残っている。
幽々子ほどの人物がいきなり自分を殺そうとするなんて思えなかった。
しかし紫が思案している間、紫のお腹から血は流れ続けていた。
さすがにこのままでは完治までに時間がかかり、活動に支障が出てしまう。
紫はスキマを展開し、藍が向かった場所であろう永遠亭に向かった。
永遠亭は、騒然としていた。
両目を潰され、陵辱し尽された天子。
喉を矢で射抜かれた白蓮。
そして、藍に襲われ藍に運ばれてきた橙。
その3人の治療に、永琳たちは奮闘していた
だが一番の問題は、この状況で永遠亭に藍がいることだった。
搬送中、白蓮に何度も何度も声をかけたぬえ。
そのぬえは、白蓮の治療を待ち続けていた。
「大丈夫だよ、ぬえ。白蓮は絶対に助かるから。」
「もこぉ………ふぇぇ、ふぇぇぇぇぇぇん………」
ぬえは妹紅に泣きつき、妹紅はぬえを優しく抱きしめていた。
ちょうどそのとき、藍が二人のいる部屋に入ってきた。
「あ、あんたは!?」
「も、妹紅………」
「どうして、あんたがここに…………」
藍は何も答えられなかった。
妹紅は慧音の親友だ。
おそらく、自分を敵と見なしている。
ここは早急に妹紅の目の前から去るべきだ、そう考えた。
その刹那――
藍の顔めがけて、ぬえの槍が飛んできた。
藍は瞬時にぬえの攻撃を避けて、身構える。
左頬に傷ができ、血が流れた。
「あんたのせい……あんたのせいで………!」
ぬえは再び槍を手にし、藍を殺そうとする。
妹紅は全力でぬえを止めていた。
藍は攻撃を避けたり防御することはあっても、ぬえを傷つけることだけはしなかった。
ぬえが落ち着いたのは、星と水蜜が部屋に入ったときだった。
「痛っ!」
「こんなことをして……聖が喜ぶとでも思っているの!?」
「だって……だってぇ……」
水蜜はぬえの頬を何度もぶった。
泣きながら、何度も何度もぬえをぶつ。
妹紅と藍の目には、その行為は行き場の無い自分の怒りをぬえにぶつけているように映った。
しかし、星はそんな水蜜を止めようとしない。
いや、止めることができないのだ。
白蓮が目の前で狙撃されてしまったこと、自分は白蓮の盾にすらなれなかったこと。
そのことが星から気力を奪っていた。
水蜜がどれだけぬえを傷つけていようとも、星にとっては無関心なことだった。
「ひっぐ………私、何もしてないのにぃ………助けてよ、ひじりぃ………」
水蜜の行為はさらにエスカレートしていき、馬乗り状態で殴り始めた。
そして、ぬえの顔は赤く腫れてしまった。
「あんたが、あんたがしっかりとしていれば!」
「やめでよ!!私は何もしてない!!」
水蜜が再び、ぬえを殴ろうとしたときだった。
「やめろ。」
藍が水蜜の腕を掴んだ。
「な、何よ!?」
水蜜は腕を振り払おうとする。
が、どれだけ力を込めても全然動かない。
「殴るなら私を殴れ。この娘に罪は無い。」
自分が萃香と橙に重症を負わせたのは事実だった。
幻想郷の住人に罪悪感を感じていた。
だから、藍は水蜜を止めようにも止めることができなかった。
今の自分は決して、彼女たちと関わってはならないと思ったからだ。
しかし、藍は目の前で起こる理不尽な暴力についに我慢ができなくなった。
「さぁ、やれ。私の顔をめちゃくちゃにしてくれたっていいぞ。」
「それで自分の罪を償うつもり!?」
「その娘が私の代わりに殴られるのだけは見過ごせないだけだ。
この程度で私の罪が償えるとは思っていない。」
「こ、このぉ!!」
水蜜は藍の顔に拳をぶつけようとした。
だが、その手は雲山によって止められた。
「う、雲山!?」
「いい加減にしなさい、ムラサ!!」
パチンッ!
一輪の平手打ちの音が部屋に響き渡る。
水蜜はその衝撃を受け、床へと倒れてしまう。
「姐さんがあんなことになっているのに、どうして姐さんを助けようとしないの?」
「そ、そんなことないわよ!
「いいえ、あなたは自分の怒りをぬえやその九尾狐にぶつけようとしているだけよ。
姐さんが一番望まないことを、あなたはさっきまでしていたのよ!」
「っ………!わ、私は………………ううっ………」
その言葉を聞いた途端、水蜜の目から涙がこぼれた。
水蜜はそのまま、大声で泣き出す。
おそらく、永遠亭中に響き渡っているだろう。
そんな水蜜を一輪は優しく抱きしめる。
そのとき水蜜は、自分は白蓮に抱きしめられているような感触を感じた。
(慧音がいてくれたら、私も止められたのに………)
妹紅は一部始終を見ていたが、何もしなかった。
何もできなかった、と言うのが正しいだろう。
今までは慧音の力があったので、こういう状況をどうしたらいいのか分かったいた。
しかし、今回は慧音から何も聞いていないのだ。
妹紅は、藍や一輪の対応の仕方は誰から教わったものなのかと考えていた。
「ごめんなさい………みんな。」
「………………」
「ぬえ。」
「……後で借りは返してよ。」
ひとまず、その場は収まった。
水蜜とぬえも何とか和解しあった。
その時だった。
「まずいと、きに………来ちゃったわ……ね。」
紫が突然、スキマから現れたのだ。
「紫様!?」
その場にいた人妖たちは、藍以外、紫を冷たい目で見つめていた。
だが紫の腹から血が流れていることに気づいた途端、一輪や水蜜、藍は紫の止血を行った。
「紫様、しっかりしてください!」
「だいじょ、ぶよ………死ぬこ、とは、ないか、ら………」
紫はかろうじて、声を出せていた。
しかし、聞き取るのがやっとである。
藍は紫の口元に耳を持ってきて、紫の言葉を聞いていた。
「誰が、誰が紫様を!?」
「幽々子、よ…………あの子が………」
「幽々子様が!?」
幽々子が紫を襲った、その事実に驚いたのは藍だけではなかった。
紫の様子から、彼女は嘘をついているとは思えなかった。
紫と幽々子は結託していると、彼女たちは信じていた。
いつもいつも紫と幽々子は一緒にいたのだ、そう思うのも仕方が無い。
永琳は紫の治療を承諾した。
しかし、永琳はまだ紫を敵を見なしている。
雛とメディスンから、メディスンは藍を操っていたことも永琳は聞いていた。
けれども、永琳にとってはそれは言い訳に過ぎなかった。
スキマ妖怪の式であろうものが、毒ごときに操られていては話にならない。
永琳はそう思っていた。
ただ、妹紅たちの願いもある。
だから、彼女は紫を治療するに至ったのである。
治療中、永琳は終始無表情だった。
藍は紫の治療が終われば、すぐに紫と共に永遠亭から離れようとしていた。
手術は無事終わり、紫は数日で快方に向かうと永琳は告げる。
そして藍は、紫を抱えて永遠亭から去ろうとしていた。
永琳は引きとめようとしなかったが、雛は引きとめようとしていた。
「藍、だめよ。紫の傷口が開いてしまうわ。」
「だめだ、雛。私たちはここにはいられない。」
命蓮寺の住人からも、未だに快く思われてはいない。
その場で紫と藍を庇おうとしているのは、雛だけだった。
ただ一人、妹紅だけは何をすればいいのか悩んでいた。
「慧音なら、どうやって………」
妹紅は再び、慧音の教えを思い出していた。
だが、結局答えは出てこなかった。
――ここからだった。話がおかしくなりはじめたのは。
結局、紫と藍は永遠亭から出て行った。
紫が目覚めるまでは、どこかに隠れるらしい。
そして、しばらくは人前には現れないと藍は雛に告げた。
「ありがとう、雛。お前は私たちの女神だったよ。」
「藍………」
「橙の面倒、見てやってくれるか?」
「……ええ。」
「すまないな…………またいつか会おう。数百年後になるかもしれないが………またな。」
そういい残して、紫を抱えた藍は竹林の奥へと消えていった。
雛は藍の寂しそうな背中をしばらく見送った。
何もしてやれない。
雛は悔しさのあまり、泣き出してしまった。
だが、雛は気づいていなかった。
自分が今、人里の人間たちに囲まれていることに。
雛はひとまず永遠亭に帰ろうとした。
しかし、人間の男二人に遮られる。
「な、何かしら?」
「あんた、厄神様だよな?」
「そ、そうよ。」
男たちは悪意のある目で、雛を睨んでいた。
「やっぱりそうだ!」
「ああ、厄神は俺たち人間の敵だよ!!」
「ええ!?な、何でそうなるのよ!」
しかし雛の訴えは、男たちの喚声にかき消される。
そして雛は男たちに拘束されようとしていた。
「ちょっと待ちなさい!言っておくけど、私は厄を撒き散らす神様じゃないわよ!」
かつての記憶が蘇る。
厄神は、人間を不幸にする悪魔だ。
厄を人間に与える悪魔なんだ。
そんな理由で雛は過去に男たちに犯された。
その時と同じように、自分は今捕まろうとしていた。
「お前のせいで、聖様は死んだんだ!」
「私の仕業じゃないわ!それに、彼女は死んでない!」
「じゃあ、何で山にいなきゃいけない神様がここにいるんだよ!?」
「な、何を言ってるのよ。私はたまたま………」
男たちの言っていることは滅茶苦茶だった。
雛も人里へと訪れていたし、人里の人々も受け入れていた。
神様は妖怪の山にしかいてはいけない、という決まりはもちろんない。
おそらく、彼らは暴徒と化してしまったのだろう。
このままでは、また昔みたいに―――
雛はそう思い、その場から逃げ出すために弾幕を放とうとした。。
だが、彼女は自分を助けるために人間を傷つけることなどできなかった。
どんなになっても、自分は人間の味方であり続けようとしていた。
その想いは、何十人もの男たちに、無残に踏みにじられていった。
「雛………遅いね。」
「確かに遅いな。」
ぬえと妹紅は永遠亭で、雛の帰りを待ち続けていた。
唯一、紫と藍を引きとめようとしたのがあの雛なのだ。
おそらく、紫と藍が去っていくのを引きとめようと粘り続けているのだろう。
まさか雛が人里の人間に犯されているなど、誰も想像しなかった。
「んぐっ!むごぉぉぉ!?や、やめてぇっ!」
男の男根を二本、雛は口に咥えていた。
雛はその男根を咥えたくないのだが、男たちに頭を押さえられていたから動けなかった。
「おら、人形は黙ってろ。」
「おいおい、黙ってたら面白くないだろ?もっと泣いてくれないとな。」
その言葉を発した男は、雛の恥部に男根を当てる。
「お願い、お願いだから!入れるのだけは、お願い……!
「このままじゃ、入れないよ。」
「え?」
雛は少しだけ安心した。
もちろん、その期待は裏切られた。
「このままって………」
「俺とこいつにそいつ、3本同時ってこと。」
「む、無理よ!!本当に壊れるわ!!」
男たちは雛の言うことなど聞かずに、三本同時に入れる準備は行う。
その間、雛は手足を動かして抵抗していた。
しかし、運悪く右手が男の一人に当たってしまった。
「このやろう!!」
バシッ!!
雛は顔を思い切り殴られる。
鼻から血が流れた。
「う、ううっ……………」
雛の目から涙が流れた。
厄神とはいえ女の子である、殴られれば泣いてしまうものだ。
だが、殴られる以上の災難が雛の身に降りかかろうとしていた。
「いくぞ、せーのっ!!」
「っ~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!?!!?」
声にならない叫び声が響き渡った。
雛は口から唾液を垂れ流しながらも、「やめて!やめてぇぇ!」と訴え続けた。
その言葉に興奮した男たちは、さらに雛を犯していく。
雛はどれだけの人数に犯されたか覚えていなかった。
だが、男たちはまだまだ止まらない。
「よし、次も行こうぜー」
(嫌……もう犯されたくない!)
その時雛の体内から、何かが出始めた。
ドス黒い、何かが。
「へへ、じゃあ次はおれぶぁ!?」
「ひっ!?」
男たちが持っていた刀、それが急に鞘から飛び出し男の一人の頭に突き刺さったのだ。
「だ、誰がやがぁぁっ!!!」
その刀の先っぽに、別の男の心臓が刺さる。
不自然だった。
こんな風に人が二人も死ぬことなんてありえないのだ。
「な、何でこんな死に方………」
「や、厄だ!やっぱり、こいつは悪魔なんだ!!」
瞬間、あちらこちらで男たちの断末魔の叫び声が聞こえてきた。
雛の体は震えていた。
犯されるのに耐えられなかったから、無意識のうちに厄を出してしまった。
自分のせいで、大好きな人間たちが死んでしまった。
自分が心を取り戻したから、人間たちは死んでしまった。
自分がずっと人形のままだったら、陵辱にも耐え続けたのに。
自分が人形だったら、人間たちは死ななかったのに。
「ああ、そっか。」
雛は何かに気づいたような素振りを見せる。
「ずっと人形のままでいればよかったのね…………………」
雛の目から光が消える。
しかし、雛は先ほどよりも明るい表情をしていた。
「私は厄を吸い取るだけの人形だったのを、どうして忘れていたのかしら?
人間たちの厄をまた吸い取らないとね……………」
雛は男たちの死体が散乱している地面に、仰向きで寝転がった。
「ウフフ…………アハハハハハハハハハハハ!!!」
厄神、心無き人間たちに犯され人形となってしまった少女。
妹紅の手によって、過去を乗り越えた厄神。
再び本来の自分を取り戻した、厄神の皮を被った人形。
それは竹林の奥で、壊れたように笑い続けていた。
雛と紫と藍が出て行った後、早苗が永遠亭に訪れた。
早苗は永遠亭にいた人妖たちにある重要なことを伝えにきたのだ。
「……慧音が?」
妹紅は早苗の言葉を疑った。
天子がこんな目に遭ったのは慧音の仕業だ、そう伝えてきたのだ。
「はい、天子さんが米屋から米俵を盗んだと言われていますが……
小傘さんが、米屋の店主と慧音さんの会話を聞いていました。」
「嘘をつかないで。小傘って妖怪、他人を驚かすのが好きなんでしょ?
どうせ、あんたにも嘘をついているんだよ。」
妹紅は早苗にそう吐き捨てた。
その言葉に怒ったのは、意外にもぬえだった。
「妹紅!!小傘は嘘をついたりしないよ!!」
「ぬ、ぬえ?」
まさかぬえから怒鳴られるとは、妹紅も思っていなかった。
(何で慧音から教わっていないことだと、こんなに上手くいかないの……?)
妹紅は自分の行為が裏目に出てしまうのに悩んでいた。
慧音にいろいろと教わっていたときは、全て上手くいっていたのに。
自分は慧音の言うとおりに行動していただけだと妹紅は感じていなかった。
早苗の妹紅を見る目は、少しだけ冷たくなっていた。
「………それで、彼らは何を話していたの?」
一輪は早苗にそう尋ねた。
「小傘さんから聞いた話ですと………」
『それで……あの天人の娘を陵辱すればいいのですね?』
『ああ、陵辱だけだぞ。もしも死なせたりしたら………』
『わ、分かっていますよ。』
『いいか、犯すだけだぞ。それ以外のことはしてはならん。』
『それじゃあ、ここで………』
『ああ、私とお前の関係はここまでだ。』
「小傘さんは、こんなやり取りを聞いたと―――」
瞬間、早苗は妹紅の弾幕に吹き飛ばされた。
「早苗!?」
「貴方、何してるのよ!!」
「嘘をつくな、お前!!」
妹紅は殺気を丸出しにし、早苗を燃やそうと髪の毛を掴んだ。
そんな妹紅に弓矢を放つ者が現れた。
「これ以上、患者は増やさないでくれる?」
弓を構えた永琳が部屋の近くに立っていた。
指一本だけを、永琳は撃ちぬいた。
「永琳、あんたも……!」
「無駄な争いは、他所でやってくれるかしら?」
永琳は妹紅にプレッシャーをかけた。
月の頭脳は頭脳明晰であるだけではない。
幻想郷中、いや月人も含めた全生物中の頂点に君臨できるほどの力を持っている。
さすがの妹紅も永琳相手では分が悪いし、そもそも本気で殺すつもりはなかった。
妹紅は早苗の髪の毛を放した途端、部屋から出て行ってしまった。
「早苗、大丈夫ウサー?」
てゐは早苗を心配し、声をかけてきた。
「大丈夫です…………妹紅さんは?」
「しばらくは頭を冷やしてもらったほうがいいわよ。さ、続けて?」
「は、はい。」
永琳の言葉を聞き、早苗は小傘からの話の詳細を伝えた
皆が早苗の話に聞き入っている中、一人だけ別のことを考えている者がいた。
(八意永琳……こいつが、聖を………!)
先ほどから生気を失っていた、寅丸星。
妹紅の指だけを撃ちぬいた永琳の腕前を見てしまったからか。
白蓮を狙撃したのは、永琳と思い込むようになった。
………真犯人の人間の狩人は、すでに人里で慧音によって捕らえられていた。
もちろん、人里から離れた場所にある永遠亭にいる者たちがそんなことを知る由はない。
(この女は聖の仇………この女は聖の仇…………)
星は、如何にして不死身の永琳を苦しませようかと考えていた。
せめて一太刀浴びせれば、白蓮の元に向かうことができる。
永琳の精神を壊すことができるのが、今の星にとっての最高の結果だ。
「師匠、天子さんが目を覚ましました!」
「何ですって?分かったわ、すぐに行く。」
鈴仙が天子の覚醒を永琳に伝えに来た。
最悪のタイミングだった。
鈴仙は永琳の愛弟子、彼女を殺せば永琳は苦しむ。
星がそのようなことを考える機会を、鈴仙は与えてしまったのだ。
毘沙門天の代理を務める星は、その能力を最大限に生かし永琳への復讐を画策し始めた。
妹紅はひとまず永遠亭から離れていた。
「慧音が、慧音があんなことをするはずがない!」
早苗の言っていることは全て嘘。
そう信じたかった。
だが、真面目な時には絶対に嘘をつかないぬえに反論されてしまったのだ。
妹紅は、早苗の話を少しだけ信じるようになった。
「………慧音のところに行こう。」
慧音ならば、今の状況をどうやったら潜り抜けられるかを教えてくれるはずなのだ。
妹紅は人里へと飛んでいった。
途中、壊れた雛人形が地面に落ちていることにも、それが笑っていることにも、妹紅は気づかなかった。
地霊殿、そこでは今さとりとこいしが喧嘩をしていた。
「お姉ちゃんは私を信じないの!?私のことなんて何も信じないの!?」
「………見え見えの嘘はつかないで。」
こいしは真剣だった。
嘘をついている様子ではなかった。
しかし、さとりは心を読める能力を持っていたからであろうか。
心の読めないこいしの言うことは、全て自分で確かめなければ信じることができないのだ。
「本当だもん!妹紅と仲のいい先生は、聖おねえちゃんを殺そうとした男の近くにいたもん!」
白蓮狙撃事件の時、こいしは無意識でたまたま命蓮寺の近くを通りかかっていた。
そのとき、慧音と弓矢を構えた男の姿をこいしははっきりと見たのだ。
燃え盛っている寺のほうに向かって、矢を放つ姿もこいしは目にしていた。
白蓮が狙撃された、そのことを知ったこいしは慧音の仕業と考えたのだ。
そして、さとりに報告したがさとりは信じなかった。
「そんなはずないわ………妹紅の親友よ、そんな悪事は働かない。」
「……………心を読めるからだよ。」
「え?」
こいしの言葉の意味がさとりにはよく分からなかった
「心が読めなくならないと、私のことを信じてくれないんだね…………」
「こ、こいし?」
こいしの声が徐々に弱まる。
さとりはこいしに何と声をかければいいか、分からなくなった。
「さよなら、お姉ちゃん。もこーと勝手にイチャついてなよ。」
そして、こいしはさとりの目の前から消え去った。
いつもの家出だ、さとりはそう思ってた。
しかし、さとりは胸に大きな穴が開いたように感じた。
さとりとこいしの関係は、在りし日のそれに戻ったのだ。
それだけなのに、さとりの心は何故か痛んでいた。
こいしには、もう誰も頼れる人物がいなくなった。
姉は自分を信用しない、妹紅は慧音のような悪人の親友。
一番信用できると思っていた二人は、最早自分の手の届かないところに行ってしまった。
こいしは無意識のうちに泣いていた。
自分を守ってくれる人、自分を信じてくれる人、自分が信じることができる人はもういないのだ。
幻想郷を彷徨い続けた。
どこにいるかも分からない。
自分は何のために生きているのだろうか。
第3の目を閉じてしまった自分への罰なのか。
どうして、姉は一人ぼっちじゃないのだろうか。
心を読む力を持っている奴のほうが好かれる。
こいしはそう思わずにはいられなかった。
――幸か不幸か、こいしの第3の目が突然開いたのだ。
再び手にした姉と同じ能力、その力をこいしは使わずにはいられなかった。
みんなに好かれたい、みんなに愛されたい、みんなに信じてもらいたい。
そのためにこいしは、人里へと向かう。
見るも無残な姿となった命蓮寺。
ナズーリンは、その焼け跡を調査していた。
自分も白蓮の傍にいたい。
目が覚めなくても、白蓮の美しい姿を見て心を落ち着かせたい。
その気持ちを我慢して、彼女はネズミたちと一緒に命蓮寺炎上の原因を調べていた。
「……やっと見つけたよ。」
ナズーリンは、焦げた霊符を見つける。
白蓮はそもそも、霊符を使わない。
いや、命蓮寺の住人が霊符を使うことはなかった。
この霊符はスペルカードでもないので、間違いなく第三者が仕掛けたものだった。
「後は、博麗神社に持っていてこれを鑑定してもらえばいい。」
博麗霊夢。
彼女ほどの者ならば、おそらくこの霊符もどういうものか分かるはずだ。
ナズーリンは博麗神社へと向かっていった。
「ねーねー、ねずみさん。」
「ん?」
ふと後ろから誰かに声をかけられた。
ナズーリンは後ろを振り向くが、誰もいない。
ネズミたちも周りを見渡したが、どこにもいなかった。
「……気のせいか。」
聞き間違いと思い、ナズーリンは再び止めていた足を動かし始める。
「ねずみさん、聖おねえちゃんに頭撫でてもらいたいんだー」
「っ!?」
再び声が聞こえてきた。
先ほどと同じ声だった。
しかも、自分が今最も望んでいることをその声の主は言ってきた。
「えへへ、ねずみさん。」
「………誰なんだ、君は。」
ナズーリンは身構える。
いつ、どこから襲ってくるか全く分からない。
そもそも、気配すら感じていないのだ。
「怖がらなくてもいいよー、私はねずみさんのこと嫌いじゃないから。」
(少し恐怖していることすら見破るとは……………)
ナズーリンは目に見えない敵に恐怖していた。
さらには、心すら読んでくる。
さすがの彼女でも、勝てる自信がなかった。
「じゃあね、ねずみさん。わたし、みんなに愛されに行くよー」
「ま、待て!君の名前は……!」
「こいしだよ。」
「え?」
そのまま、こいしの声が聞こえてこなくなった
ナズーリンはひとまず、博麗神社へと向かうことにした。
だが、何か嫌なことが起こりそうな予感を感じていた。
「しかしよぉ、大変なことになっちまったな。」
「ああ、まさか聖さんが撃たれるなんて………」
「今じゃ、他の男たちもわけが分からないことを言ってるし………」
「………こういうときが、聖さんを犯す一番いい時期なんだけどな。」
「はは、ちげいねぇ。」
人里の裏路地を、二人の男が歩いていた。
人里には現在、多くの暴徒が現れていたが、
この男たちは白蓮が狙撃されていることなど気にもかけていない。
いや、命蓮寺の火災すらどうでもいいことだった。
「あの人たち、女の子を抱きたいんだー」
こいしは二人の心を読んだ。
(女を犯したいなー)
(いい女をめちゃくちゃにしてやりたいぜ。)
「えへへ、愛してもらおうっと!」
こいしはその二人の前に姿を現した。
「な、何だ?」
「君……一体どこから?」
突然目の前に現れた少女に、二人はとまどう。
この少女は何者なのか、そう考えている間にこいしは突然スカートをたくし上げた。
―――下着はつけていない。
「ねぇ、エッチしよ?」
「「…………………」」
男たちは何も語らなかったが、こいしには何を思っているか分かっていた。
(ガキの相手もいいな。よし、かわいがってやるか。)
(へへ、無茶苦茶にしてやるからな?)
こいしは満面の笑みで、男たちとの接吻を受け入れた。
「ん……くちゅ…………んんっ…………」
こいしのファーストキスだった。
こいしの顔は、さらに明るくなる。
自分を愛してくれている――少なくとも、こいしはそう思っている――男とのファーストキス。
彼女にとって、それは今までの人生で一番嬉しいことだった。
「ね、はやく入れて?」
こいしはまだ綺麗なままの恥部を男たちに曝け出す。
「しょ、処女?」
「こ、これは…………!」
男たち二人は、すぐに男根をこいしの恥部に当てる。
「来て、二人とも♪」
男は互いに争って、こいしの中へと入れようとした。
そして、片方の男が挿入する。
こいしの処女は、あっけなく散っていった。
しかし、こいしはそのことに幸福を感じていた。
妹紅とさとりのことなど、とっくに忘れていた。
どんな男とでも、タダでやってくれる女の子がいる。
好きだ、愛していると心の中で思えば相手にしてくれる少女がいる。
そんな噂が人里に出回った。
その女の子、こいしは何人もの男性と関係を持ち続けていく。
(や、やべぇ!この子、かわいすぎる!)
(愛してあげるよ、こいしちゃ〜ん。)
(こいしちゃん、大好きだよ!)
いろんな男に抱かれ、その男たちの心を読んできたこいし。
皆、自分を愛している。
自分を愛してくれる人は、自分の大好きな人。
だから、絶対に断っちゃいけない。
「やっぱり、心が読めるほうがみんなに好かれるんだね♪」
こいしは少し大きくなったお腹をさすりながら、また男たちの慰み者になっていった。
そのときのこいしは、本当に幸せそうだった。
時を同じくして、永遠亭。
天子が目覚めた、という知らせを聞いた衣玖が到着した。
「総領娘様!総領娘様は!?」
「衣玖さん………こちらです。」
衣玖は鈴仙に案内され、天子が寝ている部屋へと入っていった。
天子は目に包帯を巻いている。
その光景を見た衣玖は、気絶しそうになった。
しかし、かろうじて気を確かに持ち天子の傍へと駆け寄った。
「総領娘様!申し訳ありません、申し訳ありません総領娘様!」
「いくなのー?」
「そ、総領娘様?」
天子の口調がおかしい。
まるで、幼い頃の天子のようだと感じた。
「えへへ、いくー。わたし、目にほうたいをまいてるんだよ?」
「え、永琳さん………総領娘様は……?」
永琳は悲しそうな表情で、衣玖に天子の症状を伝える。
「………幼児退行よ。」
「え………………天子様、が?」
衣玖の体は震え始めた。
目は無くなり、精神が子供へと戻ってしまった天子。
自分が無力であるせいで、天子はこんな目に。
「いく、目が見えるようになったらあそぼうねー?」
「天子さ、ま…………」
衣玖は大粒の涙を流し続けた。
鈴仙のように、その場にいた者たちの中にも涙を流すものはいた。
永琳は衣玖の頭を抱きしめて、慰めの言葉をかける。
「さぁ、これから貴方は天子を守らないといけないわ。
責任を持って、あの子の未来に光を与えなさい。」
「ぐすっ………はいっ…………!」
衣玖は永琳の元から離れると、天子の傍へと近づく。
そして、天子を優しく抱きしめた。
「天子様、元気になったら桃を集めに行きましょう。
そして、それでまた飾りを作りましょうね?」
「うん!わたし、いくといっしょなら何でもするよ!」
「わたしも………わたしも、天子様と一緒ならば何だってします………ずっと、ずっと………」
衣玖はしばらくの間、天子を抱きしめ続けた。
「てゐ様、てゐ様!」
「ん?どうしたウサー?」
ふと、永遠亭にいる因幡兎の一匹が慌てた顔でてゐを呼ぶ。
「劇薬が、劇薬が一つ無くなっているのです!」
「ふむふむ、まずはどの劇薬か言ってくれないと困るウサー。」
因幡兎はてゐに、何の劇薬が無くなったかを教えた。
その劇薬の名前を聞いた途端、てゐは部屋から飛び出していった。
「て、てゐ!?」
「どうしたのよ、あんた!」
永琳と鈴仙がてゐを呼びかけるが、てゐは二人に構っている場合ではなかった。
無くなった劇薬、それは妖怪でも効果が抜群のものだった。
永琳が実験の失敗でたまたま作られたもので、永琳は倉庫の奥深くに封印してあった。
しかし、倉庫の点検の際には必ず無くなっていないか調べるように永琳が命令するほど、
その劇薬は危険なものだった。
(さっき私はたまたま倉庫に寄った。その時、ついでにアレを見たときはあった。
だから、まだ盗んだ奴は遠くに行っていない!)
てゐはさっきから誰かが永遠亭から出て行っていないかを、門番の因幡兎に尋ねた。
出て行った人物は唯一人、藤原妹紅。
「…………妹紅!」
てゐは確信した。
妹紅は完全に慧音の言いなりだ。
自分たち、いや慧音に賛同しないものは全て殺害するつもりだ。
幻想郷はどうなってもいいが、輝夜や永琳、鈴仙や手下の因幡兎たちを殺されたくなかった。
てゐは人里へと飛び立っていく。
「妹紅は絶対に慧音のところに行く………妹紅に慧音、あんたたちは絶対に許さない!!」
このとき、てゐは永琳に相談しておくべきだった。
いや、相談しても無駄だったかもしれない。
劇薬を盗んだのは、妹紅ではない。
真犯人は予想だにしない人物だった。
鈴仙は休憩のため、庭に出ていた。
いつの間にか、夜になっている。
ふと空を見上げた。
月が綺麗だった。
「一度だけ、あそこに帰ってみたいな………」
鈴仙は故郷のことを思い出すために、目を閉じる。
嫌なこともたくさんあった。
けれども、やっぱり月は自分の故郷だった。
「この幻想郷も、私の故郷だけどね。」
鈴仙は、ふふっ、と笑うと永遠亭の中へ戻ろうとした。
そして、胸から槍が突き出ていることに気づく。
「あ、あれ?」
後ろを振り向く鈴仙。
最後に鈴仙が見たのは、憎悪の篭った目で自分を睨んでいる寅丸星だった。
力を無くした鈴仙は、そのまま地面に倒れ込む。
「聖………やっと仇を討てます。」
永琳を殺すことはできない。
だが、これで永琳の心に深い傷を負わせることはできた。
しかし、まだ終わっていない。
「後は………この永遠亭を…………」
星は自分の能力を活用し、永遠亭を燃やす準備を行っていた。
「聖……全てが終わったら、私はこの薬で自害します。もう少しだけ、待っていてくださいね?」
星はもはや、許されることの無い罪を犯してしまった。
白蓮ですら、今の星を助けることはできないかもしれない。
皮肉にも、星が鈴仙を槍で貫いたのと同時刻に白蓮は意識を取り戻した。
博麗神社。
霊夢は魔理沙、アリスの両名と一緒に一連の事件の犯人は誰なのかを考えていた。
「だめね……証拠がないわ。」
「慧音が怪しいのは確かだぜ。あの時の紫は、絶対に嘘をついていない。」
「でも、慧音がこんなことをする動機が見当たらないわ………」
「ケイネ、ゼッタイニユルサナイ!」
三人、いや四人は、慧音が犯人だとは思っていたが証拠がなく行き詰っていた。
場は静寂となった。
そんな状況なのに、拍子抜けするのんきな声が聞こえてきた。
「霊夢〜遊びに来たわ〜」
「ゆ、幽々子?」
西行寺幽々子が博麗神社へと訪れてきた。
――楼観剣を手にして。
幽々子は楼観剣を持っていることを霊夢たちに気づかれないよう、神社の中へと入っていった。
「お茶をお願いするわ〜」
「全く、しょうがないわね………はい。」
「ありがと〜」
幽々子は普段と変わらない様子でお茶を飲む。
だが、心の奥底では霊夢を如何にして苦しめてやろうと考えていた。
魔理沙、アリスも幽々子の異変には気づかない。
「そうだ、あんたにも話を聞こうかしら?」
「話って、何よ〜?」
「最近起こった事件、あの犯人は誰だと思う?」
幽々子の顔は真剣なものとなった。
その豹変ぶりに、霊夢たち三人は驚く。
「そんなの決まっているじゃない。」
「やっぱり、お前も………」
「さすが、幽々子ね。」
普段はのんびりとしているが、いざという時は頼りになる女性。
魔理沙とアリスは、幽々子のことをそう認識していた。
幽々子にも協力してもらえれば、慧音を捕まえるのも容易になると霊夢は思った。
「それで、幽々子もやっぱり犯人は………」
「もちろん―――」
幽々子は楼観剣を取り出す。
「紫と貴方たちよ。」
霊夢はあまりにも突然の出来事だったため、動きが遅れてしまった。
魔理沙は状況が全くつかめておらず、動けなかった。
アリスは上海に命令を出していたが、間に合わない。
幽々子は、霊夢の胸に楼観剣を刺そうとしている。
霊夢にはその光景が、時が遅くなっているかのように見えていた。
ゆっくりと、確実に、楼観剣は霊夢の胸へと近づいていった
(紫…………ごめんなさい。)
霊夢は目を閉じて、自分の死を待っていた。
だが、いつまで経っても痛みを感じることはなかった。
霊夢が目を開けると、そこには身体をガタガタと震わす幽々子。
そして―――
「ゆ……こ………さ……………」
楼観剣で胸を貫かれた幽々子の従者、魂魄妖夢が映っていた。
幽々子の様子がおかしくなったことに妖夢は気づいていた。
そしてその時期と、楼観剣が無くなった時期が一緒だった。
妖夢はどこかに外出する幽々子の後をこっそりついていった。
さすがにマヨヒガまでついていくことはできなかったが、
博麗神社にまではついていった。
床下で幽々子と霊夢の会話を聞いていた妖夢は、
突然殺気を感じたため、床下から出て部屋の様子を見た。
幽々子が霊夢を殺そうとしている、その光景を見た妖夢は自分の身を挺して……
「よ、妖夢?だめじゃないの、わ、わた、わたしの邪魔をしちゃ〜。」
アリスは幽々子に攻撃を仕掛けようとしていた。
だが、魔理沙がアリスを押さえる。
「ほ、ほら起きなさい。あなたは屋敷でご、ご飯を作ってて〜。」
幽々子は妖夢の身体を揺さぶる。
だが、妖夢からの反応は全く無い。
「こ、ここ、こんなところで昼寝はだめよ〜さぁ、か、帰りましょ?」
幽々子は妖夢に何度も何度も声をかけていた。
だが、妖夢が目を覚ますことはなかった。
霊夢は何も言わずに、お札を取り出す。
幽々子にそれを貼ろうとした時、誰かが霊夢の手を掴んだ。
「だめよ、霊夢。」
「ゆ、紫!?」
永遠亭から去っていった紫と藍。
藍の懸命な治療の甲斐もあって、紫は自分一人で活動できるようになっていた。
紫が突然現れたことに、霊夢は大きな声を出して驚く。
見ると、その場には藍も現れていた。
「妖夢は必ず助かるわ。藍、手当てして頂戴。」
「かしこまりました、紫様。」
藍は紫に頭を下げると、幽々子に揺さぶられている妖夢の治療を始めた。
「わ、私の妖夢に触らないで!」
「幽々子…………」
「ゆ、紫!?い、いや来ないで!!」
紫は幽々子に一歩ずつ歩み寄っていく。
幽々子は紫に怯えて、後ずさりしながら紫から逃げようとしていた。
だが、紫は優しい表情で幽々子に近づいていく。
そして、嫌がる幽々子をそっと抱きしめた。
「私は怒ってないわ…………大丈夫、何も心配することはないわ。」
「ゆか、り……?」
「萃香も妖夢も助かる………みんな、無事だから、ね?」
「私、わた、し……………ゆかりぃっ!!」
幽々子は、紫に抱きしめられながら泣き崩れた。
霊夢たちは、その光景を暖かい目で見ていた。
しかし、妖夢が危険な状態であることには間違いない。
「藍、手伝うわ。」
「ああ、頼む。魔理沙とアリスは、布団をしいたりしてくれないか?」
「おう、分かったぜ。」
「任せておいて。」
「ガンバルゾー」
魔理沙とアリスは、妖夢を安静にさせる場所の準備を行う。
霊夢と藍は妖夢の治療を行い、紫は幽々子を落ち着かせていた。
場所は変わり、人里。
妹紅は寺子屋にたどり着く。。
そして、寺子屋で一人仕事をしていた慧音に会った。
「慧音、話がある。」
「ん、妹紅か。どうした?」
妹紅は神妙な顔つきで慧音と対面していた。
そんな妹紅を慧音は怪訝そうに見ていた。
「何があったんだ?私に相談できることなら、何でも言ってくれ。」
「…………慧音。」
「何だ?」
その返答は、慧音が一番聞きたくないものだった。
「慧音を敵と思っている奴らを殺す方法は無い?」
「も、妹紅?」
「お願い、慧音。永遠亭にいる奴ら、慧音を最近の事件全部の犯人だと思ってるんだよ?」
「妹紅、落ち着……」
「私が、私と慧音が助けてあげたのに、あの恩知らずたちは!」
「妹紅!」
「ねぇ、どうやったらあいつらを殺せる!?殺せなくても、懲らしめてやりたいよ慧音!」
慧音は自分が悪となることは受け入れていた。
だが、妹紅が悪となることだけは避けたかった。
しかし、どこかで何かがおかしな方向に進んでしまったのだろうか。
妹紅はまるで、幻想郷の住人全員を憎んでいるように見えた。
「妹紅、私は………」
「………ごめんね、慧音。」
「え?」
「これぐらい、私一人でできるよ。」
「お、おい!」
「じゃあね、慧音。」
そう言い残して、妹紅は寺子屋から出て行った。
「待て、妹紅!!!」
慧音もすぐに飛び出し、妹紅を追いかけようとする。
しかし、あっという間に妹紅の姿を見失ってしまった。
慧音は戦慄していた。
このままでは、自分の思い描いた幻想郷になるどころか
さらに酷い幻想郷へとなってしまう。
それだけは避けなければならない。
慧音は妹紅を止めるために、妹紅を探そうと飛び立っていった。
どこか遠くから、誰かの悲鳴が聞こえてきた。
打ち切りみたいに唐突に終わった感がある、との指摘がございました。
自分で読み返してみてもそう思いました。
そこで、元々考えていた二つのED(片方は、慧音自殺ED)の
もう一つのEDで書き直すことに決めました。
一部を除いた人妖たちには、苦しんでもらいます。
………よく考えたら改訂じゃないよね、これ。
※誤字訂正しました
上海専用便器
作品情報
作品集:
19
投稿日時:
2010/07/29 10:19:46
更新日時:
2010/07/30 20:28:18
分類
改訂版
妹紅
慧音
雛
こいし
星
幽々子
霊夢
紫
藍
もう一つの結末
こっちはさらに容赦ない…
ラスト期待
これおかしいだろw
携帯の予測変換?
話的には前の方が好きだったなぁ…
>>1
もっともっと苦しませようかと思ったけど、
体力(肉体的な意味で)が持たなかった………
>>2
ありがとうございます。
でも、こっちのラストにはそれほど自信がない………
>>3
10以上の不幸の連鎖ができるようになりたいです
>>4
ごめんなさい。
慌てて書いていたところもあるので、雑になってしまいました……
最後まで楽しんで頂ければ、幸いです。
>>5
指摘ありがとうございます。
しかし、まさに予測変換と思われるレベルの間違い
>>話的には前のほうが好きだったなぁ…
ということで、うpろだにtxtを置いておきました。