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『生きたかったかもしれない』 作者: ゴルジ体
私は、何かに覆われています。
優しく、柔らかく、包み込まれています。
ぬるりと、粘膜のようなもの。
私を、覆っているのです。
暖かいです。
心地いいです。
愉快な気分です。
くるりと、回ってみます。
ああ、気持ちがいいです。
私の胸には、玉のようなものがくっ付いています。
ころんと転がして遊ぶと、楽しいです。
つるつるして、気持ちがいいです。
私の小さな手のひらで包める大きさです。
可愛い玉。
それは眼でした。
三つ目の、眼でした。
でも、何も見えないのです。
ここは狭いです。
でも、とっても安心できるのです。
優しいところです。
でも、私には分かるのです。
もう少しで、ここを出なければいけないことが。
もう少しで、私は違う世界に行くのです。
もっと広い世界。
ここを離れるのは寂しいけれど、外の世界は楽しそうです。
わくわくしてきました。
つるんと、体が一回転。
気持ちがいいです。
そうか。
もう少し、後ほんの少しなのです。
私は感じました。
もうじき、この小さな世界から、出ることになります。
つるんつるんと、回ってみます。
ぬるぬるを最後にたっぷり、感じ取りたいのです。
光。
光が見えました。
何かが、この世界に入ってきます。
吸い込まれるように、光に頭を向けます。
そして――
「だからナカには出さないでと言ったのに」
「儲かることには儲かったし、ここらで地霊殿娼館計画はお仕舞いね」
空っぽになった世界。
もうだれひとり、ここにはいないのです。
ぬるぬるが、こぽっと音を立てました。
ここだけは、この世界だけは、いつでも暖かいです。
関係ないけど、僕は赤ちゃん人間になりたい
ゴルジ体
作品情報
作品集:
19
投稿日時:
2010/08/06 12:48:21
更新日時:
2010/08/06 21:48:21