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『刹那に輝く月よ、私は―― その1』 作者: 上海専用便器
「永琳、退屈だわ………」
畳の上で寝転びながら、ゴロゴロしていた輝夜は、隣の部屋で調薬している永琳にそう告げる。
「言っておくけど、媚薬とか媚薬とか媚薬はもう用意しないわよ。」
半ば呆れながら、永琳はまるで言いなれたているかのようにそう答える。
その永琳の言葉を聞いた月のお姫様は、頬を膨らまして、不満の声を漏らす。
「頑固者ー、妹紅を惚れさせることができないじゃないのー」
「はいはい、私は頑固者ですよ。それより、輝夜。もうちょっと姫様らしく振舞いなさい。」
「ふんだ。家の中ぐらい、自由でいいじゃないの。」
軽く輝夜の言葉を受け流した態度から、永琳が自分の相手をしてくれないと知ると、
輝夜は立ち上がり、自分のペットで退屈しのぎをしようと他の部屋へと向かっていった。
「あの、姫様?」
「どうしたのよ。」
月生まれの兎、鈴仙は、何故輝夜にこんなことをしているのかが理解できなかった。
輝夜は今、鈴仙に膝枕をされているのだ。正確には、させているのだが。
「そ、その………どうして、ですか?」
「何が?」
「師匠の膝の方が、気持ちいいんじゃないんですか?」
鈴仙の純粋で、的を射た疑問に、輝夜はまた頬を膨らまして、こう答えた。
「だって、永琳、最近私に構ってくれないのよ。」
「師匠がですか?」
首をかしげた鈴仙を見て、輝夜は良い案を思いつく。
この娘をあることに使えば、退屈しのぎができるのではないだろうか。
「でも、失敗したら、永琳に殺されるわよねぇ………」
「な、何を想像してるんですか!」
鈴仙は、輝夜が良からぬ事を考えていることにすぐ気づいた。
輝夜の口から『永琳に○○される』という言葉が出るということは、ろくでもないことを考えているということの裏返しなのだ。
永琳や鈴仙たちだけでなく、妹紅と慧音まで知っていることである。
「今度は何をしようかしらね、イナバ。」
「せめて、性的なことだけは………」
輝夜が真性の変態であることを永琳から幾度と無く聞かされてきた鈴仙は、
自分を性的に襲おうと企んでいるのではないかと不安になった。
「心配しないで。初めては殿方としたいでしょ?」
「なっ!?な、なな、ななな何、何をい、言って、言ってるんで、でで、ですか!?」
「ふふ、やっぱり可愛いわね。」
輝夜の言葉を聞いて狼狽する鈴仙の頭を、起き上がった輝夜が撫でる。
その間も、鈴仙は頭を混乱させていた。
「お、男の人とエッチ。お、男の人とエッチしたら……き、きっと、めちゃくちゃにされて……」
(とはいえ、私もまだ処女だもんね…………)
永琳はどうかは知らないが、永遠亭の住人は全員処女であるのだ。
あのてゐですら、まだ男、もしくは雄と交わったことが無い。
だがそれは、この永遠亭に住む住人たちが純粋であることを証明していた。
「さぁて、寝ようかしら。」
ちょうど太陽が永遠亭の真上に昇ったときに、輝夜は自分の部屋に戻ろうとした。
だが、輝夜の安眠しようという願いはある少女の言葉によって消された。
「輝夜ぁぁぁぁぁ!」
「………何で寝ようと思ったときに。」
永遠亭全体に響き渡る声を永遠亭の住人たちは聞いた。
また殺し合いが始まるのか、とそれぞれため息をつく。
ところが、今回はいつもと話が違っていた。
「今日は眠いわね…………お休み、もこ…………」
そう呟いて、輝夜は布団を被って、眠りについてしまったのだ。
いつまで経っても、輝夜の怒号の声が聞こえてこない。
妹紅だけでなく、永琳や鈴仙まで疑問を抱く。
あの輝夜が妹紅からの挑戦を受けないわけがないのだ。
それなのに、どうして輝夜は妹紅の元に現れないのか。
「どうしたんだよ、あいつ…………」
「あ、妹紅。」
輝夜ではなく、自称因幡兎たちのボスの因幡てゐが妹紅の前に姿を現した。
「てゐ、輝夜は?」
「今帰ってきたばかりだけど………出てこないの?」
普段なら、すぐにでも輝夜は現れるはずである。
一体、何が輝夜の身に起こったのかと妹紅は少しだけ不安になる。
「ま、どうせ寝てるんでしょ。起こしてほしい?」
てゐは妹紅にそう答えたが、妹紅は呼びに行こうと永遠亭に入った輝夜を引き止める。
「いいよ。寝てるんだったら、別に起こす必要も無いしね。」
「へ?」
急に女の子っぽいしゃべり方になった妹紅に、てゐは口をポカーんと開ける。
輝夜と関わる時は、妹紅はしゃべり方を男っぽくしているのだ。
それは、女としては輝夜に勝てないと自覚しているからだった。
「じゃあね、てゐ。輝夜に明日来ると伝えといて。」
てゐに手を振ると、妹紅はそのまま竹林の奥へと消えていった。
「……………ちょっと、可愛い。」
女っぽい妹紅を初めて見たてゐは、妹紅に心を奪われそうになる。
「……………今、何時かしら。」
布団から体を起こした輝夜は、空を見る。
空には、月が輝いていた。
「夜なのね…………ふぁぁぁ………妹紅、帰ったのかしら。」
妹紅との決闘を申し込まれた直後に、輝夜は眠ってしまったのだ。
永琳や鈴仙は意外とお人よしなので、妹紅を迎え入れている可能性もある。
これまで何回も、妹紅が永遠亭に住み着いていたことがあるのだ。
「ともかく、永琳のところに行きましょう。」
おなかも減っていることだしね、と思った輝夜は重い体を精一杯に動かし、永琳のいる元へ向かった。
「あら、起きたのね。」
永琳は相変わらず、研究に耽っていた。
寝る前と起きた後と後姿が全く変わっていない。
輝夜は、それで日にちは変わっていないと確信する。
「ウドンゲがご飯を用意してくれたところよ。」
「ちょうどいい時間に起きたのね………さすが、私ね。」
「さすが、輝夜。ふふ、あなたも相変わらずね。」
「行きましょう、永琳。」
「ええ。手を繋いで、ね?」
永琳はそう言うと、優しく輝夜に微笑んで、手を取った。
輝夜もそれに応えるように微笑むと、永琳と手を繋いで、食卓へと向かっていった。
食卓には、鈴仙とてゐが座って待っていた。
「あ、師匠に姫様。」
「待たせて悪かったわね。」
「姫様、今日は珍しかったウサー。」
「何がかしら?」
「だって、妹紅との決闘を断ったウサー。」
「ああ………ただ眠っていただけよ。」
輝夜は目を擦りながら、てゐにそう答えた。
永琳、鈴仙、てゐの三人はその言葉に納得したかのように、手を叩く。
「な、何よ!」
「何でもないわよ、輝夜。」
永琳は輝夜の怒りの声を軽く受け流すと、そのまま食事を始めた。
唯一人納得していなかった輝夜だが、これぐらいの仕打ちは慣れているので食事を始める。
食事も終わり、輝夜は再び寝室に入る。
特に何もすることがなく、妹紅との決闘後の食事会も、夜伽も無いので寝るしかないのだ。
「イナバを呼んでもいいけど…………今日はやめておこうかしら。」
そして、輝夜はそのまま布団を被ってしまった。
起きてからそれほど経ってないというのに、輝夜は数分で寝息を立て始める。
朝霧立ち込める竹林の中を、上白沢慧音は彷徨っていた。
彼女は、何かを探しているかのようだった。
「妹紅………また、輝夜とやったのか。」
輝夜と決闘してくる、と慧音に告げたまま、妹紅は帰ってこなかったのだ。
それは、殺し合いの疲れで動けないということを意味しているのだ。
何の知らせもなく、一向に帰ってこないことにも慧音は慣れていたので、
慧音は何の心配もせずに、輝夜を探していった。
しばらく探し回った後、妹紅が地面に横たわっているのを見つける。
「む、あそこか…………倒れているということは、また派手に……………」
妹紅の服はところどころが破けており、口からは涎が止めどころ無く流れていた。
服の破け方を見ると、明らかに弾幕などで破いたものではない。
慧音の目には、手で破いているようにしか見えなかった。
「妹紅……?」
妹紅を抱え、その体を見る。
その時、慧音の心に生まれた感情は――――
「眠いわ………」
朝日が差し込んできて、輝夜は目を醒ます。
鳥の鳴き声が聞こえてくる。
朝なのは間違いないと、輝夜は確信する。
「……………今日こそ、妹紅と一緒にいましょう。」
昨日は妹紅と決闘しなかっただけで、退屈な一日を過ごしてしまった。
いくら体を動かしたくないからとはいえ、退屈なのは嫌。
それが、輝夜の悩みの一つだった。
「でも、決闘するのも面倒くさいわ………鈴仙とかてゐが、してくれないかしら。」
寝起きのためなのか、労力を使わないようにすることに労力を使おうとしている。
その時、誰かが廊下を走る音を耳にする。
その音は段々と大きくなっており、輝夜のいる部屋に近づいているようだった。
「何か、あったのかしら………」
鈴仙とてゐがまた追いかけっこをしている。
そう思った輝夜だが、その予感は残念だが悪い意味で外れてしまった。
「姫様、大変なんです!」
障子を力強く開けて入ってきたのは、鈴仙だ。
慌てているようだったが、顔は青ざめている。
鈴仙の様子から、輝夜は只ならぬことが起きたと気づく。
「何があったの、イナバ。」
「も、妹紅が………妹紅が………!」
「妹紅?妹紅に何があったの?」
妹紅が襲撃しに来ただけなら、鈴仙はこんな反応はしない。
すぐに永琳が弓矢を放ち、私が来るまで引き止めてくるはずなのだ。
それに、妹紅がだまし討ちや忍び込んで襲ったりするような外道では無いと輝夜は知っていた。
ならば、一体妹紅に何が起こったのか。
その答えは、鈴仙の口から発せられた。
「妹紅が、妹紅が………犯されて…………」
気づいたときには、鈴仙の視界から輝夜は消えていた。
数少ない自分の親友、藤原妹紅。
殺し合いもしてきたが、一緒にご飯を食べたり、一緒に寝たりもしてきた。
そんな妹紅が、犯された。
輝夜が怒り狂うのも当然である。
輝夜は、治療室に入っていった。
そこには、永琳やてゐ、慧音が布団で寝かされている妹紅を看病していた。
「永琳っ………妹紅は、妹紅は………!」
「……………………」
輝夜は永琳に妹紅の容態を尋ねたが、何も答えない。
「教えて、永琳!妹紅は、何をされたの!?」
「黙れ、輝夜。妹紅を起こしてしまうかもしれん。」
「ご、ごめんなさい……………慧音、妹紅は……?」
感情が高ぶり、つい大きな声を出してしまった輝夜を慧音は抑える。
輝夜は心臓をバクバクさせながらも、慧音に改めて妹紅のことについて尋ねた。
「…………何も知らないとは、な。」
「え………?」
「見え見えの嘘をつかないでもらおうか、輝夜。」
慧音は殺気の篭った目で、輝夜を睨む。
もちろん、輝夜には慧音に恨まれるようなことをした覚えはない。
「輝夜……………いくらなんでも、やりすぎよ。」
「な、何の話をしてるの!?それより、妹紅は誰に何をされたの!?」
永琳は、下賎な男を見下す時のような目で、輝夜を見つめた。
その様子から、自分が妹紅に何かをしたと勘違いされていると気づいた輝夜は誤解を解こうとしたが、
それよりも今は、自分の親友の身が心配だった。
後でも誤解は解けると信じていた輝夜は、妹紅が何をされたか何度も尋ねる。
「…………姫様、私は信じてたのに。」
「因幡、教えなさい…………教えて。」
どれだけ怒鳴っても、誰も何も答えてくれない。
そう確信した輝夜は、自分の従者やペットに懇願するようになってしまった。
そこまでしなければ、誰も答えてくれないと思ったからだ。
「…………妹紅の体を見てみたが、一人ではないな。。数人ではなく、10人はいただろう。
それに、妹紅ほどの女をいとも容易に襲えるなんてことは不可能だ。となると、作戦を立てていたのだろう。」
服を掴んで、自分に何回も尋ねる輝夜に見かねた慧音がついに、妹紅のことを伝え始める。
その間も、慧音は輝夜には冷たい視線を向けていた。
「誰が指揮していたかは、まだ証拠が無いが…………いずれ見つけ出すさ。」
誰の仕業かは分かっている様なことを言いながら、慧音は妹紅の看病に専念した。
輝夜は思った。
慧音は間違いなく、妹紅陵辱の首謀者は自分だと信じている。
今ここで自分が犯人ではないと証明しなければ、
「ちょっと、慧音。私が妹紅にこんなことをするとでもいうの?」
「……………」
「こっちを向きなさい、慧音!」
輝夜は慧音に掴みかかり、壁に叩きつける。
大きな音が響き渡ると、永琳とてゐが輝夜と慧音の方を向く。
「………悪いが、お前が犯人としか思えない。」
「どういうことよ!?私は、昨日はずっと寝ていたのよ!ねぇ、てゐも言ってあげて!」
輝夜は慧音に反論した後、自分が無実であることを証明してもらうために、てゐに助けを求める。
しかし、てゐからの返答は予想だにしないものだった。
「確かに、妹紅は姫様と会わずに帰っていったけど………その後、姫様がどこに行ったかなんて知らないウサー」
輝夜の視界が、だんだんと暗くなっていく。
自分は永琳や鈴仙、てゐを心の底から信じていた。
永遠を生きる蓬莱人の自分と家族になってくれた、大切な宝物。
妹紅や慧音も、自分の大切な友人だと信じていた。
それなのに。
それなのに、どうして―――
「心配なんかする必要はないわ。貴方が何もしなくても、妹紅は立ち直れるわ。」
永琳の冷たい言葉を耳にして、輝夜はやっと気づいた。
自分の周りの者全てが、自分を見捨て始めている。
「ねぇ、永琳!どうして、私がやったって信じているの!?」
「なら、貴方がやっていないという証拠を見せなさい。」
「そ、それは………………」
昨日、私はただ眠っていただけ。
それに、妹紅と顔を合わしてなんかいない。
それが無実の証拠になるなんて、誰が思うのだろうか。
永琳、慧音、てゐは輝夜をどうこうしようとはしなかった。
これまで何百回も妹紅を殺し、妹紅に殺されてきたのである。
よくよく考えれば、今までの輝夜と妹紅と何ら変わっていないのかもしれない。
輝夜は妹紅の傍にいることは許されたが、周りの視線が痛かった。
看病に必要な物を持ってくる、因幡兎たちからも冷たい視線を向けられる。
輝夜は耐えられなかった。
今まで信じてきた家族や友人に、突然冷たい視線を向けられるようになったのだ。
孤独は蓬莱人の宿命であるとはいえ、こんな風に一人になることだけは嫌だった。
いてもたってもいられず、輝夜は部屋から飛び出す。
その姿を見届けたのは、てゐただ一人だけだった。
「姫様………………」
てゐは、永琳や慧音が何か悪巧みを企んでいるとは思っていなかった。
二人の様子からも、嘘をついているようでもなかった
けれど、あまりにも早くに、輝夜を犯人と決め付ける態度には疑問を抱いていた。
(………私も私で、誰が犯人なのかを見つけないと。姫様を疑うのは、それからでも遅くないよね。)
てゐは、妹紅の治療が終わると同時に、犯人探しに出かけると決心していた。
輝夜は、自分の部屋に篭っていた。
布団をかぶったと同時に、涙を流し始める。
大好きな妹紅に、陵辱なんて酷い目に遭わせるわけが無い。
殺し合いをして、互いに傷つけあう事だってしてきた。
でも、それは妹紅が好きだから。
妹紅は、一人じゃ何もできない私を見限らなかったから。
どんなときでも、私のことを見てくれたから。
止め処なく涙が流れる中、輝夜は妹紅のことを想いつづけていた。
けれど、そんな想いは誰も分かってくれない。
永琳や慧音が輝夜の言葉を信じないのは、そのことを示している。
「どうすれば………………………そうか。」
輝夜は、あることを思いつく。
永琳や慧音たちに、自分が無実であると説得することは不可能かもしれない。
しかし、誰が、妹紅を襲ったのか。
その真犯人を突き止めればいいのだ。
それが、妹紅の仇討ちでもあり、自分のためでもあった。
涙で濡れた自分の顔を拭うと、輝夜は立ち上がる。
その顔は、普段の寝ぼけているような顔だったり、退屈そうな顔ではない。
博麗霊夢や八雲紫、霧雨魔理沙、レミリア・スカーレットや西行寺幽々子、その従者たちと対峙した時、
彼女たちとの弾幕勝負に望んだときの、真剣な表情となっていた。
「待っててね、妹紅。必ず、私が貴方を襲った真犯人を捕まえてあげるからね……!」
そして、輝夜はそのまま永遠亭から外へと出て行った。
この時、もしも輝夜が書き残しでも残しておけば、結末は変わったかもしれない
「ともかく、しばらくは安静ね。目を醒ましたときに、どうなっているかが不安だけど………」
永琳は、慧音と二人きりで妹紅の容態について話をしていた。
「一番厄介なのは………妹紅が、処女だったことね。」
「そうか…………妹紅も女だからな。それは、私が何とか支えてみせる。」
妹紅の処女が喪失していることは、慧音が気絶している妹紅を見つけた時に分かった。
股間からは、大量の精液が流れており、そこには赤色の液体も混ざっていたのだ。
「それと………一番、気になっていることがある。」
慧音は神妙な顔になり、永琳に重大なことを尋ねる。
何と答えればいいか、何と答えられるか、互いにそれは分かっていた。
「妹紅は…………妊娠、してしまったか?」
「………可能性はかなり高いわ。簡単に堕ろすことはできるけど、それは妹紅の意見を聞いてからよ。」
永琳ほどの医者ならば、本当はどうなっているのかは分かっているのだろう。
慧音はそう考えたし、永琳も妹紅の妊娠を確信していた。
「それで…………輝夜を、どう思う?」
「どうやら無関係みたいね。」
「ふむ、やはりそうだったな。しかし、悪いことをしたよ。」
「もうこんなことを二度としないで、慧音。心が痛むわ。」
「…………確かに迂闊だったな。すまない。」
「謝るなら、輝夜に謝りなさい。」
そう、慧音と永琳は最初から輝夜を疑うつもりなど無かった。
ただ、こういう事件は意外な人物が犯人だったりすることもある。
それを確かめるためにも、一度永琳と慧音は演技で輝夜を犯人と決め付ける態度を取った。
「言っておくけど、あの娘は演技はしてないわよ。絶対にね。」
輝夜と長い付き合いの永琳は、慧音にそう念を押す。
永琳の目には、輝夜は演技をしているようには見えていないし、慧音も永琳の言葉を信じた。
「それで、どうやって犯人を捜すの?」
「…………心配するな、永琳。私が見つけ出すさ。」
慧音の目が段々と、妖怪のソレになっていくのを永琳は見ていた。
輝夜のように怒り狂うと心配していたが、想像以上に冷静さを保っていたと思っていた永琳。
しかし、それはあくまで妹紅の治療をするためだった。
一段落着いた今、慧音の怒りは爆発寸前だった。
「私が、自分の力を使って、必ず……………」
「怒りに身を任せると、最悪の結果になることもありうるわ。気をつけなさい。」
今の慧音は何をしでかすか分からないと判断した永琳は、警告する。
そして、よりによってこんな時に、因幡兎が輝夜のことを報告しに来たのだ。
「え、永琳様!お姫様が、お姫様がどこかに急いで飛んでいきました!!」
「どこかにネタは無いかしらねぇ、はたて。」
「あんた、私にケンカを売ってんの?」
はたての持つカメラの写真を見ながら、文は新聞のネタを探していた。
最近の幻想郷は平和であり、二人は退屈していたのだ。
「でも、本当にネタはないわねぇ………」
「全く、はたての念写がダメだからですよ。」
「うるさい!」
「あたぁっ!!」
丸めた文々。新聞で、頭を叩かれる文。
清清しいまでに澄み切った破裂音が、辺りに響き渡る。
想像以上に痛かったらしく、文はその場に蹲ってしまう。
その時に文は、はたてのカメラを落としてしまった。
「あぁー!何てことすんのよ、あんた!」
「わ、私のセリフよ…………意外と痛いじゃない…………」
「全く。これが欲しければ、一回死んで、生まれ変わればいいのに………あら?」
「そ、それは、どういう意味よ!?死ねってこと!?あんたみたいなのに生まれ変わ…………どうしたの?」
写真の画面に釘付けになっているはたてに近づく文。
はたての顔を見ると、先ほどまでとは打って変わって、怒っているような表情になっていた。
念写に何が映っていたのだろうか。
文は気になり、はたてのカメラの画面を覗く。
そこに写っていたのは、10人近くの人間に誰かが犯されている光景だった。
「………酷いわね。同じ女として、許せないわ。」
文の目にも、静かな怒りが浮かび上がった。
幸か不幸か、その写真には犯されている女性の顔はぼやけている
「あんた、何でこんな言葉を入力したのよ。」
「え?」
「『輪姦』なんて言葉は、あまり入れて欲しくないわ。」
「入れた覚えはないんだけど……………」
「…………まぁいいわ。ともかく、誰かが撮ったのね。」
「こんな写真を?趣味が悪いわ。」
「当たり前じゃない。私の能力は、他人の撮った写真しか念写できない不便なものなんですよ、射命丸さん?」
「なっ、何よ!そのバカにしたような、言い方!!」
文からの文句を聞き流しながら、はたては他の手がかりはないかと検索を始める。
しかし、似た状況の写真を見ても、個人個人を特定することはできない。
どれもこれも、顔や写真全体がぼやけているのだ。
この点では、文のカメラに勝てないと、はたては悔しがった。
「……………それにしても、この女は誰なのかしら。」
「聞いてるの、はたて!?」
はたては、このレイプのことが気になりはじめる。
(こんな数で女性を犯すなんて、上白沢慧音にバレたらすぐに殺されるわよ。
それに写真で残しておくと、証拠を残すことになるのよ?本当にバカね。
ともかく、調査してみる価値はあるけど………下手をすると、読者から批判が来そうだわ。
って、これは記事のためじゃないわ!女性の権利を守るためなのよ!
もう、文がいるといつも新聞のことを考えちゃうじゃないの!!)
そんなことを考えていく内に、はたてはペチペチと頭を叩かれ始めた。
「この、このっ!聞きなさい!!」
いつもなら怒り出すはたても、今回ばかりは文句を言わなかった。
「………………文。」
静かに、そして重たい声で文に呼びかける。
「何であなたは………は、はたて?お、怒って……ます?」
「いいえ、怒ってないわ。それよりもこのレイプ事件のこと、調べてみない?」
「わ、私と?」
「ええ、こんなこと、許しておけないでしょ?」
「まぁ、それはそうだけど………でも、あなたがそんなことを言うなんて……」
「嫌かしら?」
ニッコリと微笑み、文にプレッシャーをかけるはたて。
「い、いいえ!やらさせていただきます!」
文もあっさりと押されてしまい、はたてに同意せざるを得なかった。
こうして、二人の新聞記者の捜査が始まることになる。
そして――
彼女たちの行為は、輝夜たちの運命を左右するものとなる。
ということで、性懲りもなくまた続き物です
もてもてもこたんの批判をしっかりと受け止め、輝夜とかを地獄に叩き落します
あややとはたては……………どうなるでしょうね。
上海専用便器
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/02 04:52:01
更新日時:
2010/09/02 13:52:01
分類
輝夜
永琳
慧音
妹紅
鈴仙
てゐ
文
はたて
軽率な行動や邪推で突っ走る輝夜の明日はどっちだ!!
どうかその勢いのまま転がり落ちてほしいです!!
姫様どうなるの?そして真犯人は?