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『変態こーりんとかわいそうな魔理沙のお話』 作者: kyoune

変態こーりんとかわいそうな魔理沙のお話

作品集: 20 投稿日時: 2010/09/20 08:49:06 更新日時: 2010/09/21 00:31:40
 ここは香霖堂。
 そこからは、いつも変態店主の陽気な声が聞こえてくる。

「よし、今日も一発抜くとするか!」
 霖之助は自分のノートパソコンの前にどっかと腰を下ろすと、至って快活な表情でそう言った。
 慣れた手つきで袴を膝までずり下ろすと、これからの事を想像して少しずつ硬く大きくなっていく自らの息子を右手で優しく握りながら、眼前に佇むデスクトップから《あるフォルダ》をダブルクリックする。
 そのフォルダの名前は「今月の販売売り上げ」と名のつく、一見何の変哲もないもの。
 しかし、その実態は――
「むふふふふ……さぁ、今日も僕の《魔理沙の盗撮写真集 〜淫らな私を見て、こーりん〜》フォルダが火を噴くぜ! そうだなぁ、今日はこのフォルダNo.36なんかで……」
 お察しのとおり、エロ画像フォルダである。
 霖之助はデスクトップいっぱいに広がった分岐フォルダから「生活用品一般の7月末売上」と名のついたもの(実際は「No.36 更衣室での着替え盗撮編(運動後・体育服&ブルマver)」)を興奮した様子で開いた。フォルダ内の容量があまりにも多いため読み込むまでに数秒かかるが、今はそんな時間さえも焦らされるようなもどかしさに感じる。
「ふぅ……落ち着け僕。今はただ精神を集中させ、来るべき時に備えておくんだ……」
 すると、読み込みが完了した。
 現れたのは、軽く数百枚には及ぶほどの魔理沙の着替えの様子を盗撮した写真だった。汗でべったりと肌に張り付いた体操服を脱いでいる魔理沙が殆どだが、その内容はまさに千差万別。透けたブラジャーから仄見える小さな乳首、毛一本生えていない手入れされているすべすべの腋、ほどよく肉のついたウエストのくびれ、額に浮かぶ玉のような汗……。撮り手の技量も伺わせてくれる。
 そのどれもが、霖之助の性欲を強烈に突き動かす稲妻となった。股間からそそり立つ肉棒には一瞬で体内中から血液が召集され、今までの「待機状態」とは比べ物にならないほどの硬度・大きさ・熱さを伴いながら、霖之助の一人息子は急速な進化を遂げた。
 浮き出る血管が自分の手のひらに伝わってくる。その中を流れる血流まで感ぜられるようだ。
 霖之助は悟りを開いたと言わんばかりの満足げな表情で一瞬だけ目を閉じると、頭の中で一つの言葉を紡いだ。

 ああ、これだから止められないんだ……オナニーは、と。

 霖之助は静寂した心持から一転、熱いパトスを力強く握ると、目の前の幾多の画像を凝視しながらゆっくりと――息子にピストン運動を与え始めた。

「はぁはぁ……魔理沙ぁ……可愛いよ魔理沙……! その未発達な可愛いおっぱいとお尻に、体操服&ブルマ+滲み出る汗の三段コンボが僕の息子を熱くしてやまない……っ! あああ、その体から出た汗をぜんぶ僕が舐め取ってあげたいよ……。それでもって脱いだ後の汗まみれの体操服には顔を押し付けてくんかくんかしたいし、それを見てきっと赤面するであろう魔理沙の表情も絶品モノだろうなぁ……! ああそうだ、あのおっぱいもかわいがってあげなきゃな。さんざん全体を舐め尽した後に、硬くなったピンク色の乳首に軽く歯を立てつつ吸い上げる……! くうう! 男なら一度はやってみたいシチュエーションだ! それから忘れちゃいけないのが腋だよな。僕のち○ぽを押し付けるように擦りつけながら、恥ずかしそうに照れる魔理沙の表情を眺めるんだ。最初は横から押し付けるだけだけど、次第に後ろに回って腋を閉めてもらい、オナホのように扱って最終的には腋に射精する……! それで魔理沙の腋の汗と僕の精液が混ざり合った臭いを嗅いだ魔理沙は潤んだ目を下に落としながら「もう、こんなに出すなんて馬鹿じゃないのか? これ、結構恥ずかしいんだぜ……?」なんて言ってもらえた日には、僕のテンションは有頂天! ヘブン状態! あああ、こんなシナリオもいいな。あ、あとは靴下だ。靴の中で蒸れた靴下で僕のち○ぽを包んでもらって、恥ずかしそうに手コキをする魔理沙なんて……考えただけでも射精しそうだ……! 蒸れた靴下ともなれば臭いも相当なものだろうから、それを彼女は感じながらも必死に手を動かして僕のち○ぽを……! あああああ、これはやヴぁい! そのあと射精した靴下を親指と人差し指でつまみあげて「私の靴下で射精するなんて……こーりんのへんたい……」って言うんだぁ! うわあああああああああ! 可愛いよ魔理沙ぁぁぁぁぁ!!」

 脳内で数々の妄想を繰り広げながら、どんどんヒートアップしていく手の動きを休めることなく息子を扱きまくる霖之助。それは最早人間と言うより、性欲に狂った野蛮な獣のような姿だった。
 徐々に高まってきた感度を押し上げるように腰を浮かすと、精巣の中の精液が確実にこみ上げてくるのが分かる。これならもう一分としないうちに射精してしまうだろう。
 熱く滾ったペニスに力を込め、眼前の、そして脳内の魔理沙の痴態に向かって自らの暴走した性欲を一気に突きつける。それは脳の芯に電流が走るような衝撃と、はるか天空の楽園に向かって昇っていくような甘美な陶酔感を併せ持つ、形容しがたい激情であった。

「く……あああっ! い、いかん……もう、射精(で)るっ……! 魔理沙っ! 僕のこの白く濁った愛という名の精液を、その身で受け止めてくれぇぇっ!!」
「そんなのごめんだぜ」
「そんなこと言わずに! あああ、もう射精するよっ……! 魔理沙ぁぁっ!」
「気持ち悪いシーン見せ付けるんじゃないんだぜ。吐き気を催したらどうする」
「気持ち悪くなんか無いさ! これはあらゆる生ける生物が行う自然な行動であって、愛による愛のための……って、あれ?」
「…………」
 ふと、後ろを振り返る。
 するとそこには。

「魔理……沙……?」

 霧雨魔理沙が、仁王立ちで立っていた。
「…………」
 このとき霖之助は、自らの双眸が弾け飛ぶ錯覚を覚えたと後に語っている。

「い、いつからいたんだ……?」
「初めからいたぜ」
「な、なんで……」
「なんでもへったくれもないだろ……お前、なにやってくれてんだぜ……!」
 腰を抜かしたように恐る恐る言葉を紡ぐ霖之助に対して、腕組みをしたまま眉をぴくぴくと動かす魔理沙。あたかもその背中には、悪鬼・邪気・物の怪の類が大挙して押し寄せているかのようだった。
 霖之助ははっと気づくと、前方のパソコンのスクリーンに映し出されている魔理沙(今はちょうど腕を交差させて体操服を脱ごうとしている所)を、強引に両手で覆って隠した。
 ……が、時既に遅し。魔理沙の怒りは、既に頂点に達していたのだった。
「こーりん……。そこに正座しろ」
「はい……」
 鬼のような形相で睨み付けてくる魔理沙に対して、霖之助にはもう従う以外の選択肢は残ってはいなかった。


               *

「なぁこーりんよ。私もお前に自慰をするななんて、そんな事は言わない。分かるな?」
「……はい」
「ただなぁ。何故そのオカズの写真が、私を盗撮した写真ばっかりなんだ? どこで手に入れた?」
「……新聞屋の天狗に頼んで……こっそり……」
「成る程な。文は後で殺しに行くとして、依頼したお前もお前だ。それにさっきからお前の独り言を聞いていたが、ありゃなんなんだぜ? プレイが特殊と言うか、変態にも程があるだろう、お前」
「……返す言葉もございません」
「それからこのファイルの量だ。 着替えだけじゃなく、私生活とかお風呂やトイレの中まで盗撮した写真が入ってるじゃないか! どんな性癖を持ち合わせてるんだ!?」
「…………」
「と言うか、人にあんな恥ずかしい事言わせるんじゃない! どこまで頭が沸いてるんだお前は! それから、誰が未発達な胸だ! これでも一応霊夢よりかはあるんだぜ!」
「あ、そうだったのか。それでサイズは?」
「お前に教えるわけないだろっ!!」
「……(しゅん)」
 床に正座させた霖之助に、半ば呆れたような表情で罵倒の言葉を浴びせる魔理沙。霖之助はというと、こうして叱責を受けている間も、脳内では絶えず魔理沙のあられもない姿を想像していた。何分さっき射精の直前であんな出来事があったため、寸止め状態のまま痙攣する息子を黙って静めることはいくらなんでも不可能だったのだ。こうしている間でも(魔理沙の罵倒も相まって)霖之助の興奮は高まっていき、いま魔理沙に足で息子を少しでも踏まれようものなら、恐らくは一瞬で果ててしまうだろう。
「(あ……でも、そんなプレイもいいな。今まで足コキといえば靴下かニーソだけだと思ってたけど、案外硬いブーツみたいな靴で踏まれて射精するのも、これはこれで悪くないかもしれないな……)」
 呆れるべきはこの男、森近霖之助。こんな状況でも、新たな性癖の扉を開くことには余念が無い。まさに変態の極みに君臨する男である。
 キング・オブ・変態の名を冠しても間違いは無いのではないか。
「……おいこーりん! 聞いてるのかっ!?」
「はっ! ……ああ、聞いてるよ。反省しているさ……」
「本当か……?」
「ほ、本当だよ! 魔理沙には実に申し訳ないことをしてしまったと、今も頭の中で神に懺悔を捧げていた所さ!」
 よく言う男である。
「そうか……。ならこーりんには一度、その身をもって反省の態度を表してもらおうかな」
「え?」
「罰だよ。ちょっとパソコン借りるぜ」
 そういうと魔理沙は霖之助のパソコンのキーボードに小さな両手を置き、なにやらカタカタといじり始めた。
「……はっ! や、やめてくれ! その《魔理沙の盗撮写真集 〜淫らな私を見て、こーりん〜》は僕が天狗から数十万を支払って集めた、汗と涙と精液の結晶なんだ! 頼むから消さないでくれ!」
「何なんだぜ、その聞いてるだけでこっちが恥ずかしくなるようなAV的タイトルは! それから、汗と涙の結晶だけで十分だぜ! 三つ目の要素はいらん!」
「ま、魔理沙ぁ〜!」
 泣きながら足にすがりつくものの、魔理沙はキーボード上の手を休めようとはしない。次第にスクリーン上に表示された「ごみ箱」のマークが、霖之助の目には死の宣告のように感じられた。
「た、頼む魔理沙! 何でもする! 何でもするから! 僕の汗と涙と精液と変態的性欲の結晶を消さないでくれぇ!」
「要素増えた!?」
「頼むぅ〜! 魔理沙ぁ〜!」
「お前なぁ……」
 恥も外聞もなく、顔をぐしゃぐしゃにしてすがり付く霖之助。写真ごときでなにをそこまで……と思うかもしれないが、そこは察してやってほしい。変態(おとこ)の悲しい性である。

「ん? こーりん。お前今、何でもするって言ったか?」
 すると、魔理沙が何を思ったか顎に指を当てた。
「え? あ、はい! そのフォルダを消さないでくれるのであれば、この森近霖之助、どんなご命令にも背かない所存であります!」
 しゅたっと立って敬礼する霖之助。
 その言葉を聞いて、魔理沙の口元が怪しく歪んだ。
「じゃあ……。お前にはもっと、別の罰を与えてやる」


                *


「ま、魔理沙? 別の罰って……?」
「まぁまぁ、黙って見てろ」
 魔理沙はパソコンで検索サイト「グー○ル」を立ち上げると、その検索入力欄にマウスの矢印をあわせ、キーボードを叩いて何かを入力していった。
 何とか極秘ファイルの全消去という最悪の結末だけは免れた霖之助だったが……。

 それが最悪の結果と言えたかどうかは、今となっても分からなかった。


 魔理沙が入力を終えると、霖之助もスクリーンを覗き込んだ。
 すると、そこに入力されていた文字は――


 「二次元 グロ画像」


「…………」
 一瞬、霖之助の思考が止まった。
 何をやっているのだろう、魔理沙は。
 隣の魔理沙の表情も、いつもとは違う、頬に一筋の汗を浮かべた状態だった。
「魔理沙……? これは一体……?」
 魔理沙は「こほん」と可愛らしく咳払いすると、エンターキーを押した後に、言った。

「お前、このグロ画像でオナニーしろ」
「無理だろ!!」

 即答だった。
 しかしスクリーンには既に検索結果が表示されていて、いかにもといったようなタイトルのサイト名がずらりと陳列していた。魔理沙はそのページで一番上のサイト名に矢印を合わせると、まるで自らの心を落ち着けるかのように一旦キーボードから手を離した。
「待て待て待て! 落ち着け魔理沙! 話し合おう! 話し合えばきっと分かり合える筈さ!」
「こーりん、お前はやればできる奴だろ……?」
「何その根拠の無い言い分!? 大体見てくれよ僕の息子を! さっきまで今にも射精しそうなほど元気だったのに、今ではもうすっかり萎れてしまったじゃないか!」
「仕方が無いんだよ……! こーりんに罰を与えるためには、これしか……ッ!」
「僕が犯した罪はそこまで重いものだったのかい!? ごめんよ魔理沙! 今僕は冗談抜きで、心の底から君への申し訳なさで一杯だよ!」
「なら、その罪を償うんだこーりん……。これでお前が無事に射精できたら、私のあのファイルの件は不問にしてやる」
「ぐっ……そんな……。どっちを選んでも、僕には悪夢しか残っていないというのか……」
 霖之助は自らの運命に歯をかみ締めながら、絶望と破滅の間を逡巡していた。
 が、そんな霖之助を尻目にするように、魔理沙はキーボードに手をかける。その瞳は、自ら地獄へ足を踏み入れんとする男を後押しするような、そんな決意めいた色で満ちていた。
「じゃ、じゃあ……いくぜ?」
「ま、待ってくれ! もう少しだけ考える時間をプリーズ!」
「五月蝿いこーりん! 胸を張っていって来い! あっち側の世界へ!!」
「プリーズ! プリィィィーズ!!!」
 魔理沙の指が「カチッ」という音と共に、キーボードの左クリックを押した……。







「……オェェェェェェーーーー!!!」
 ――数秒後に聞こえてきたのは、霖之助の激しい嗚咽だった。
「な……なんでこんなサイトが、この世に……! うっ……オェェェェェェーーーー!!!」
 昼飯のチャーハンを今にも吐き出しそうになりながらも、寸でのところで必死で堪える男・霖之助。そんな彼を心配してか、スクリーンの死角に潜り込んでいた魔理沙が驚いて駆け寄る。
「だっ、大丈夫かこーりん!」
「来るなッ!」
「!?」
 ――が、霖之助はそれを、手を突き出して静止させた。
「魔理沙には……こんなものは見ずに育ってほしい……。僕と同じ想いを味あわせたくないんだ……」
「こっ、こーりん……! お前って奴は……! そんなになってまでグロ画像でオナニーを……!」
「ああ、立派にやり遂げて見せるさ……見ててくれ、魔理沙……」
 気合を入れて息子を握る霖之助。その息子はもう数分前の面影を微塵も残してはいなかったが、それでも霖之助は握った。

 勝つために。

 最初にネタに決めたのは、サイトの一番上にあった絵だった。両腕が千切れた全裸の女性が、阿鼻叫喚と言った表情を浮かべ、涙を流しながら苦痛にもがいている。失われた腕からは赤黒い血が流れ、切り口からは骨が飛び出ている。
「ふっ、コレか……かかってこいよ!」
 その言葉を契機に、霖之助の右手はピストン運動を開始した。双眸はスクリーンに移る生々しい腕の傷跡を凝視しながら、必死にペニスを擦りあげる。
 ……が。
「くっ……!」
 開始早々、霖之助の表情が暗雲に包まれた。
 それはそうだ。こんな残酷なグロ画像で抜くことができる人間など、かなり特殊な性癖を持った希少な人種だけであろう。当然霖之助はそんな性癖など持ち合わせてはいなかった。故に頭の中には一切の興奮も起こらず、息子も少しも反応してくれない。
 目の前の光景に、貧血にも似た嘔吐感を催す。しかし、それでも頭の中で別のオカズを思い浮かべることはしない。
 やり遂げてみせる。絶対にこのグロ画像で……!

「抜ききってやるぜ!」

 霖之助は開いている左手でページをスクロールさせると、次なる絵へと照準を移した。
 現れたのは腹部から贓物が飛び出た人間の絵。周囲に鮮血を撒き散らしながら、青紫色に変色した腸などの臓器を地面にぶちまけている。
「……こいつぁ……キツイな……」
 が、霖之助は音を上げない。贓物の色や艶に視線を集中させ、自らの肉棒を擦り続けることだけに全精力を燃やす。
「まだまだぁ!」
 額に浮かんだ汗と強烈な嘔吐感を振り払い、霖之助は右手を動かした。
 首が吹っ飛んだ死体。
 全身の皮を剥がされている女の子。
 眼球や脳に複数のち○ぽを突っ込まれている人間の絵など。
 この世のものとは思えぬ光景。挙げていけばキリが無い。
 霖之助はそれらの光景を相手取り、戦っていった。

「……こーりん……」
 そんな中魔理沙は、ようやく自分が行った事について気がついた。
 なんて事をしてしまったんだ。これでは自分が完全に悪じゃないか。
 ひどい。酷い。非道い。このサイトのどんな絵よりも、ひどいのは自分なんじゃないか。
 やりすぎた。胸が痛んだ。
 しかし。

「ぐっ……くっ……!」
 必死で息子を扱き続ける霖之助を見ていると、最早何も言えなくなった。
 ここで「もういい! こーりん、止めてくれ!」なんて事を言うのは、必死に戦う戦士(おとこ)に対する最低の侮辱だ。この件の首謀者である私が、そんな愚を冒すわけには行かない。
「…………」
 魔理沙は帽子を深くかぶり直すと、くるっと霖之助に背を向けた。
 そのまま店の出口まで歩いていき、ドアノブを掴んだ。

「勝てよ……こーりん……!」

 それがこの日、霖之助が耳にした、最後の言葉だった。




                 *



 ――あれから一週間後。
 魔理沙は一度も香霖堂へ足を運んでいなかった。理由は一つ、霖之助にあわせる顔が無いからだ。
 ……けど。
「逃げてばっかりもいられないよな……」
 そうだ。私には霖之助を見届ける義務がある。あの霖之助の事だ、きっと途中で断念したりはしないだろう。最後までやりきった筈だ。なら、私はあいつを祝福してやろう。そして、謝ろう。「私もやりすぎた」と。
 そう考え。魔理沙は今、香霖堂の扉の前に立っていた。
 けじめをつけるために。
 一回だけ深く深呼吸し、そっとドアノブに手をかける。

「……入るぜ、こーり……!?」
「はぁはぁ、うっ、射精(で)るっ……!」
 魔理沙は思わず、我が目を疑った。霖之助はノートパソコンの前で、必死にオナニーをしていたのだ。
 その光景を見て、不意に魔理沙に怒りが湧き上がる。ずかずか店内に踏み込んで行き、夢中になっている霖之助の胸ぐらを掴みあげた。
「おいこーりん! お前、また私の盗撮写真でオナニーしてたのかっ!?」
「え……、あ、やぁ魔理沙、久しぶりだね」
 しかし霖之助はさして慌てる様子もなく、笑顔を魔理沙に返した。
「そうだ、この間は僕、ちゃんとあのグロ画像で射精したんだよ」
「んなこたどーだっていいんだぜっ! お前まだ反省してなかったのか!?」
「? いや、反省はしてるけどさ……」
「してるけど、なんだよっ!」
 そこで、魔理沙の視線がパソコンのスクリーンに流れた。オカズとなっている自分の姿を確認しようと思っての行動だったのだが。
 次の瞬間、魔理沙は絶句した。
「えっ……」
 思わず口に手を押さえ、床に膝をつく。
「うっ……」

 びちゃびちゃびちゃ……

「……オェェェェェェーーーー!!!」
 魔理沙は、激しく嘔吐した。口から溢れ出るどろどろの黄色い液体が酸っぱい臭いを帯びて、床に零れ落ちていく。
「ま、魔理沙!? どうしたんだい!?」
「おっ、おまえ……うっ、オェェェェェェーーーー!!! げほっげほっ……ど、どうし……オェェェェェェーーーー!!!」
 阿鼻叫喚の如く吐寫物を撒き散らす魔理沙を心配して、霖之助は必死で背中をさすってやった。
「こ、こーりん……。その、パ、パソコンの……」
「え? あ、これかい?」
 魔理沙の言葉を受けて、霖之助は自慢げにノートパソコンをひょいっと持ち上げると、魔理沙の眼前に持ってきた。
 そのスクリーンには――一週間前とはレベルが違う、壮絶なグロ画像が映し出されていた。
「や、やめ……オェェェェェェーーーー!!! オェェェェェェーーーー!!!」
「ど、どうしたんだ魔理沙……僕はただオナネタを見せてあげただけなのに……」
 さっきよりも数倍激しい嘔吐に、魔理沙は大粒の涙を流しながら自らの吐寫物の上を這いずり回った。

                   *

「いやぁ……それにしても……」
「え……?」
「魔理沙のゲロも、見てると綺麗だよね。この独特の臭いとかいい感じだなぁ。ちょっと舐めさせて……」
「い、いやぁーー! 寄るな変態!!」
「……え? ははは、変態だなんて酷いなぁ。僕は魔理沙が大好きなだけなのに。あ、そうだ。いいものがあるんだ、魔理沙に使おうと思って」
「……は? お、おいこーりん、なんだよそれ=c…。じょ、冗談やめろよ……な……?」
「冗談なんかじゃないよ。今からこれ≠ナ、魔理沙の体をバラバラにするんだ。首と胴体と手足に分解して、毎日僕の理想のオナネタになるんだ。あ、贓物は全部食べてあげるから安心してね。魔理沙の体なら、どこも捨てやしないから……」
「お、おいこーりん……なに言ってんだよぉ……いい加減に……」
「僕にこの世界を教えてくれたのは魔理沙だろ? なら……」







「ちゃンと責任トらナいとネ♪」






 ここは香霖堂。
 そこからは、いつも変態店主の陽気な声が聞こえてくる。


 〜END〜
どうもkyouneです。
今回は連載中の「紅魔館メンバーで咲夜さんを調教する物語」の続きではなく、短編を書いてみました。いやぁ、ちょっと先の展開が書きづらくなってしまって……あちらは近いうちにうpしたいと思います。

今回はこーりんと魔理沙のお話でしたが、いかがだったでしょうか。
当初は変態こーりんと魔理沙のラブラブえっちを予定していたんですが、僕はコメディーものというのは書いた経験が殆どなかったので、その実験的な意味でギャグ要素を含んでみることに。そしたら今度はこんな展開になっちゃって、最終的にはこーりん闇化という、当初のコンセプトから外れまくったオチに。
まあ……楽しんで読んでいただけたら幸いです(苦笑)
kyoune
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/20 08:49:06
更新日時:
2010/09/21 00:31:40
分類
東方
短編
エロ
変態
こーりん&魔理沙
オナニー
ギャグ
ゲロ
グロ
オナネタは人それぞれ
1. 名無し ■2010/09/20 18:07:50
闇化?別に普通だと思う
2. おうじ ■2010/09/20 18:11:01
なんというか…あんたすげえよw
3. kyoune ■2010/09/20 18:18:28
>>1
ですかねw
4. kyoune ■2010/09/20 18:18:53
>>2
お褒めの言葉と受け取りましょうww
5. 名無し ■2010/09/20 18:19:32
『魔理沙の指が「カチッ」という音と共に、キーボードの右クリックを押した……』
この一文で腹筋崩壊してそのあとがどうでも良くなってしまった。
6. kyoune ■2010/09/20 18:23:36
>>5
すんません、左クリックでしたね。間違えてました。
てか腹筋崩壊てw
7. NutsIn先任曹長 ■2010/09/20 18:45:57
虚構と現実の境界は、はっきりさせましょう。
これは、モニターの向こうの皆さんにも言えることですよ。
8. 名無し ■2010/09/20 18:50:40
>>7
その通りですね。
こーりんは新たな境地を開いたことで、元々大好きだった魔理沙を「こんな風に愛したい」と思ってしまったのかも。
9. 名無し ■2010/09/20 19:24:02
こーりんの変態ぶりに吹いた。
10. 名無し ■2010/09/20 19:48:04
6>違うだろ、マウスだろw
11. kyoune ■2010/09/20 19:54:51
>>9
同感です。

>>10
あ、あれ? 本当だ。何を言ってるんだ俺は。
本文中にはノートパソコンとあったので、キーボード部分にクリックと《あの指でなぞって画面上の矢印を動かす奴》が一体化してる奴を思い浮かべていたもので……。
デスクトップパソコンをイメージしてしまうと違和感があったかもしれませんね。分かりづらくて申し訳ありません。
12. 名無し ■2010/09/20 20:58:51
このこーりんはここでもうまくやって行けそうだな
13. kyoune ■2010/09/20 22:55:31
>>12
ここってグロ作品結構多いですからね。
こーりんェ……
14. 名無し ■2010/09/20 23:21:10
魔理沙でヌキヌキ

冒頭のこーりん、やってることが俺と同じだ…
15. kyoune ■2010/09/20 23:47:44
>>14
奇遇ですね。俺も同じですww
16. 名無し ■2010/09/21 00:00:37
魔理沙の××画像が魔理沙公認になる上に、わざわざ新しいオカズを魔理沙が準備してくれる上に、魔理沙のありがたい言葉攻めをしてくれる上に、魔理沙の視姦付きとは、どんなご褒美ですか。
初めから泣いて喜ぶべきでしょう

…でも一週間で嘔吐物まで好きになるとはさすがこーりん…
17. kyoune ■2010/09/21 00:35:01
>>16
なるほど、そういう捉え方もありますねww作者からは盲点でした。
こーりんの吸収力には凄いものがありますねぇ。
18. 名無し ■2010/09/21 00:57:28
それはそうだ。こんな残酷なグロ画像で抜くことができる人間など、かなり特殊な性癖を持った希少な人種だけであろう。

…俺って…希少な人種だったんだ…知らなかった…
19. kyoune ■2010/09/21 18:29:54
>>18
いや、まあ本文中ではああ書いてますけどもww
価値観は人それぞれあっていいと思いますよ。
20. 名無し ■2010/09/21 19:03:54
ようこそ……… 『男の世界』へ……… !

荒木絵のこーりんが浮かびました^^
21. kyoune ■2010/09/21 19:10:35
>>20
ちょwwwなぜにww
22. 名無し ■2010/09/23 02:04:39
やったぞ!こーりんは立派なハイスイカーになった!
23. kyoune ■2010/09/23 19:52:25
ハイスイカーとなったこーりんをよろしくお願いします(笑)
24. 名無し ■2010/09/30 18:31:28
出だしでキーボードクラッシャーを連想した俺
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