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『罪と幻想の果てに 中編 東方罪滅劇 前部』 作者: ヨーグルト? いいえ、ケフィアです(笑)
「ん………」
ここは………どこなのだろうか………
嗅いだことのある空気………
少しだけ………幻想郷に似ている感じがした。
しかし、ここは………?
「う………っ」
立ち上がる私の足が重い。
さっきの?
特に大きな怪我をしているというわけではない。
きっとこれは『疲労』から来るものだろう。
地面は………雑草が生えている少し湿った地面。
「あれ」
その少し先には………敷石。
顔を左に向けた。
石段と鳥居。
右には………神社の本殿らしき建物。
「ここは………神社?」
鳥居のすぐ隣に石碑があった。
これを見ればここがどこの神社が解るはずだ。
ここが幻想郷じゃないことは分かっていた。
「………これは?!」
その石碑には………。
博麗神社と記されていた。
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罪と幻想の果てに
中編
東方罪滅劇 -前編-
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「どうなってるの………?」
もう1度あたりを見渡し、状況を確認する。
鳥居。
石碑。
本殿。
拝殿。
分社。
その他、神社にあるもの。
「どうして?」
私が見てきた神社………私がいる神社は、博麗神社にそっくり………!
しかし、作りまで一緒だ………!
ここが幻想郷の神社と言えないのか?!
「………」
いや、待てよ。
外の世界にも博麗神社があるそうじゃないか。
幻想郷よりは寂れていて………無人の神社だと………そう文から聞いたことがある。
「なぁんだ………幻想郷じゃないのか………残念」
いや、ここで落ち込んでる場合じゃない。
私には何かするべきことがあるはずだ。
「………?」
何かが聞こえて来る。
「ら………♪ らら………♬」
この声は………?
聞き覚えがあるような無いような………。
「思い出せ」
どこかで聞いたことがあるはずだ。
人間にも妖怪にも全員に人気のある歌声………。
ミスティア・ローレライ?!
ま、まさか………そんなはずはッ!!
「誰かいるの!?」
■■■■■■■■■■
「あれ?」
私の目の前には………夜雀がいる。
あの特徴的な帽子。
特徴的な羽。
服。
何よりも、頭には夜雀の耳が付いている。
「ミスティア………」
「?」
「ミスティア・ローレライ………だよね?」
「貴方は………」
ほとんど面識が無いせいだ。相手の反応は鈍い。
だが私は知っている。文のところに行った時、写真とともに、その妖怪の説明をしてくれた。
「私が分かる?」
「たしか………はたて、とかいう名前でしたっけ?」
「何だ、知ってるんじゃん」
私がミスティアさんに笑顔を見せると、こっちにおいでよと手招きをした。
相手は少し不信感を抱いているようだが問題は無いだろう。
「あんたも生き残り?」
変な訊き方ではあるが特に問題はないはずだ。
私だってあの災害の被害者でもあるのだから、立場は同じであるはず。
「………あ、はい」
?
少し曖昧だな。
それに、周りをきょろきょろと見渡している。
「どうかした?」
「いえ、何でも無いです」
ならいいんだけど。
「とりあえず話は変わるけど、食料の方は問題が無いわけ?」
「私も妖怪ですから少しの間は大丈夫ですけど、だいぶおなかが減りました」
「困ったわね………」
「この姿ですから、私が外を出歩いたら人間に見つかって厄介ごとになりそうですし」
「ならさ、私が取ってこようか? 何かしら」
「え?」
「私の方が見た目………人間に近いし、リュックサックでもあればただの人間に見えるでしょ」
「そうですね」
「じゃあ待ってて! できるだけすぐ戻るから!」
「あっ………」
そういって私は走り出した。
今は神社の中だけど、外に出れば何かしら店はあるだろう。
そんな考えだった。
ミスティアさんが私に向かって何かを言おうとしてたみたいだけど、
「いいんです」
と、遠慮でもしたかったのだろう。
けれど、私は誰かを助けようと思ったのだ。
これが、私にとってのちょっとした罪滅ぼし。
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暫く歩くと、町らしきところに出た。
ここが『日本』ということは充分に知っている。
確か………岐阜県とか言うところだっけ?
目の前には、幻想郷では見れないものがたくさんあった。
道路を行き交う大量の自動車。
たくさんの歩行者。
建物。
記念に写真を撮っておいた。
30分ほど歩くと、『ファミリーレストラン』と呼ばれるお店があった。
これまた幻想郷には無いものだろうか?
定食屋のようなものかな?
とりあえず私は、ここで腹を足すことにした。
♪ 〜 入店音
「すごいわね………」
我ながら感動する。
これほどの店は幻想郷には無いんじゃないか?
数秒すると、店員が話しかけてきた。
「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」
私を見れば「1名様に決まってる」とでも言いたくなる。
ん?
この店員はどこかで見たことあるような気がする。
「あの、お客様?」
「はっ」
そんなわけな………
もしかして………
「あれ? 貴方は」
店員の方も私に何か見覚えがあったようだ。
「「もしかして」」
2人して声を合わせる。
「はたてさん?!」
「咲夜さん?!」
〜少女説明中〜
「じゃあ貴方も、あのことから生き延びた人ってことね?」
「そうよ」
「くすくす………」
「何かおかしいんですか?」
「いえ何も」
咲夜さんは笑っている。
これはおそらく、話がおかしいとかそういうことではなさそう………。
「私の記憶が正しければだけど、妖夢も生きてると思うわよ」
「ほ、本当!?」
「どこかの店でアルバイトしていると聞いたことがあるわ」
「判ったわ!」
これはチャンスだ!
妖夢さんと咲夜さんたちを集めて今回の異変の謎を解き明かそう!!
「ところで、ご注文の方は?」
「あ``」
そういや、何かしらを食べにきたんだっけ。
でも、私はお金を持っていない。
「所持金0」
「はぁ………」
私が冷や汗をかきながら振り向くと、咲夜さんが懐から財布を取り出した。
「とりあえず、3500円ほど『貸して』あげるから、何か買ってきなさい」
「いいの?」
「いいけど、条件が1つあるわ」
「?」
「ここの店に行けば、妖夢に会えるわ」
そう言って、咲夜さんが財布を私に手渡した。
「待ってください。 財布を渡してしまったら………」
「いいのよ。 財布は2つ持ってるから」
「?」
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「ここよね」
咲夜さんに渡された財布の中に、1枚の地図が入っていった。
その場所に来てみた。
「『ファ○リーマ○ト』か」
これって確か、コンビニエンスストアとか言う店だったわね。
24時間営業でたいていのものなら何でもそろってるとか言う。
とりあえず入ってみるか。
♪ 〜 入店音
「おお」
さっきのレストランとは違い自動で開くのか。
にとりや文からも聞いたことがあるけどすごいんだな………。
「………」
店内を見渡す。
客が2〜5人と言ったところだろうか。
おそらく、咲夜さんが言ってたのは、店員としてこの店にいるということだろう。
「と、とりあえず、何かを買ってかなきゃね………」
財布を握りしめ、店内を歩き回ってみた。
「肉入りのパン………」
妖怪は肉さえ食べられれば問題は無いのだろうか。
鶏肉より牛肉とかの方がいいよね。
さっき3000円もらったし、少し多めにまとめて買うかな。
1個150円。
10個ぐらいまとめて買っとくか。
「これをお願いします」
結構な量だよね………。
「えっと………1500円になります」
「じゃあこの200円で………」
「あれ?」
店員の作業が止まった。
あれ、何かおかしい?
このお金はまさか………偽札?!
「もしかして、このお金におかしいところがありました?」
「いえ………何も」
「?」
「もしかして………はたてさんですよね………?」
「?!」
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♪ 〜 入店音(出店音)
「まさか妖夢さんがこんなところでアルバイトしてるとわねぇ〜」
「こ、この辺しかなかったんですよ!」
「まぁ、似合ってるから良かったと思うけど」
パンが10個入っているレジ袋を腕にかけた。
相当な量だな………。
「それより何でここに私がいると判ったんですか?」
「ん」
あ。
「か、勘よ! 勘! 偶然あの店に来たのよ!」
「………はい」
咲夜さんがあの店に導いたとかは………。
「咲夜さんにはもうお会いしましたか?」
「もちろん。 どこかのレストランで働いているところで会ったのよ」
「もちろんかどうかは分かりませんけど」
横断歩道の上。
「ところで、これからはたてさんはどうするんですか?」
そういやぁ考えてなかったな。
「とりあえず、咲夜さんのところにでも向かわない?」
「そうですね………せっかくのメンバーですもんね」
「あ、そうそう! ミスティアさんとも待ち合わせていたのよ!」
「ミスティアさんですか」
「そう! 同じ生き残りだったみたいよ!」
「それは良かったですね」
あ。
「咲夜さんとはどこで待ち合わせをしてたんだっけ………」
「してなかったんですか」
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とりあえず、外の世界の博麗神社に来てみたけど………。
「ここにミスティアさんがいるんですか?」
「そうよ」
「咲夜さんもいるんじゃないんですかね」
「え?」
「だって、ミスティアさんは妖怪ですよ? 人間に見られたらそれだけで大問題です」
「まぁ確かに」
「だったら人が寄り付かず、人目につかないところに隠れますからね。 咲夜さんもそれを予想していたと思いますよ」
「洞察力がいいのかしら………」
とりあえず呼んどくかな。
「ミスティアさん!」
「あらあらぁ………お疲れさま」
「?!」
ミスティアって名前を呼んだのに………違う人が返事をしてきたよ。
咲夜さん………。
「妖夢たちの話は聞いていたけど、その通りよ」
「でもさ、どうやってミスティアさんが外の世界にいるということが分かったんですか?」
「………」
何故急に黙る。
「それはいいとして、ミスティアさんはどこにいるんですか?」
「あぁ………拝殿の戸の前で寝ていますわ。 疲れているみたいです」
咲夜さんに言われ、拝殿らしきところに歩いていく。
無人の神社だけに、葉っぱがすごい。
一歩ずつ歩くたびにざくざく音がする。
「ミスティアさ………」
「はたてさん? ぐっすり寝てると思いますから、起こさない方がいいと思いますわよ?」
「あ、そうですね」
拝殿の戸の前では、咲夜さんが言ってた通り、ミスティアさんがぐっすり寝ていた。
帽子を取った状態で。
「こんなのが人間に見られてたら大変ね」
「まぁ、そうですね」
「何よそれ。 人間に見られないという自信でもあったの?」
「あら、それ以上妖夢さんをいじめるのは良くないんじゃないんでして?」
「?」
「ここには物好き程度しか集まらないのだし、それなりに結界でも張ればばれませんわよ」
何かが引っかかる。
どうしたらそんな自信が出て来るのだろうか。
何が………。
「はたて。 あなたは、誰かに見られている。 ということを感じたことはあったかしら?」
え?
「誰かの視線を感じたことがあるかどうかよ」
「?」
「どうなの?」
思い出した。
「幻想郷にいたとき、誰かに見られているって言う感じがしたわ」
「ふぅん………」
「あでも、思い過ごしかも知れないから分からないんだけど」
「ならいいわ」
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「誰かの視線?」
何でそんなことを聞くんだ?
何でそんなことを知ってるような口ぶりで………。
「ところで今は何日なんだ………」
おそるおそるケータイを開き、カレンダーを見る。
そこには………。
10月10日と表示されていた。
どうもどうも、お久しぶりです。
デスノートの漫画を読みあさってたらいつの間にか9月になってしまいましたw
というわけで、中編の「東方罪滅劇」に入りました。
この編では、はたてが謎を解き明かしていく予定です。
というよりは、罪滅ぼしをする話をする感じかなぁ………。
では、誤字等の指摘はよろしくお願いします。
そして、もっとこうしたほうがいいなどの意見も。
ではでは、よろしくお願いします。
ヨーグルト? いいえ、ケフィアです(笑)
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/24 09:17:52
更新日時:
2010/09/24 18:28:17
ファミレスの咲夜さんは分かりますけど、コンビニ店員の妖夢…、似合ってますね。
はたてのケータイ、外の世界の日時に設定されているのですか。
先行して外界に来ていた連中の準備の良さ。
ミスティアの運命は…?
今回のテキストの色は、結末がこの色に染まるとか?
はたてが罪滅ぼしという空回りをしそうな予感…。
一応、はたてのケータイは、外の世界と幻想郷とで同じ日付という前提で、話をすすめます。
バッテリーの問題がありますが、異変から約1ヶ月たっています。
先にいた人たちが、この異変のヒントとなります。
テキストの色は、結末にあまり関係がないかも。
でも、バッドエンド(はたての精神的に)なのは確実かと。