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『今日、いつまでも』 作者: ND

今日、いつまでも

作品集: 20 投稿日時: 2010/09/24 14:36:46 更新日時: 2010/09/24 23:36:46
『霖之助さん』

日が変わる1分前、目の前には紫が一人玄関に立っていた。

それは、とても寂しそうな顔で、とても辛そうな顔だった。

『霖之助さん』

紫は一言を発して、場から去ろうとした

『もし、私が今日死ぬとしたらどうする?』


















『霖之助さん、お邪魔するわよ』

霊夢が棚にある茶菓子を強奪してからお茶の葉をまた強奪した

『せめて返事を待ってから取ってくれないか』

『別にいいじゃない。どうせ同じでしょ』

同じなもんか。どうせなら遠慮してほしかった。

霊夢が茶を入れた時、その茶の色が少しおかしい事に気付いた。

『おい………』

注意する前に霊夢は茶を口に運んだ。

瞬間、僕に吹きつけてきた

『なにこれ!腐ってる!!』

茶を逆さまにして中身を全て床にぶちまけた霊夢は、咳き込むように口の中身を吐きだしている

『霖之助さん!一体どういうつもりなの!?』

『どうも何も、勝手に飲んだのは君じゃないか』

僕は正論を言ったはずだ。そのはずだから霊夢は何も言わずに僕をただ睨みつけた

不機嫌そうにそこらの物に座り、茶菓子を貪った。

そして新しい茶の葉を棚から取りだし、口直しのように飲んだ。

先程、腐った茶の葉を飲んだから余計に飲んでいた。

『おーい!香霖居るか?』

今度は魔理沙が機嫌よさそうに僕の店に入ってきた。

ものすごくうるさい声であいさつをしてきた為、店の中に響いた。

霊夢が耳を押さえて震えている

『うるさいな。一体何の用だ魔理沙』

魔理沙は嬉しそうな顔で僕の顔をまじまじと見ている。

『じゃ――――ん!』

魔理沙の手から出てきたのは、複雑な形をした全体的に丸い物だった。

『どうだ!?珍しいだろ?なぁ』

魔理沙が期待するような目で僕を見ている。

確かにこれは結構珍しい。興味は湧いて来る代物だ。

『君にしては随分珍しい物を持ってくるんだな』

『だろっ!だろっ!』

嬉しそうに、うざいくらい魔理沙は、はしゃいでいる

『で、これで僕に何をしろというんだ?』

僕が静かに対応していると、魔理沙は目を輝かして口を大きく動かして言った

『いくらで買い取ってくれるんだ?』

嬉しそうにはしゃいでいた原因はこれか。

瞬間に霊夢もこちらを睨みつけている。

金、金か……………。

『言っておくが、君達にはツケがあるんだぞ』

『これで返しておくって言ってるだろ?』

『一言も言ってない。』

だが、考えてやっても良い。

とりあえず、僕はこいつを触って名前と用途を調べて見た。

≪爆弾:家一軒を爆破させる程度の能力≫






『ん?香霖どうした?顔真っ青だぞ?』

僕は早急に口を動かし、魔理沙に命令した

『これを急いで遠くに捨ててこい』

その瞬間、魔理沙は嫌な顔をした

『えぇ〜〜〜。折角持ってきたのに』

『いいからとっとと捨ててこい』

魔理沙は、ちぇっと残念そうな反応を見せた。

霊夢も少しガッカリしたような表情だ。

魔理沙は爆弾を手に取り、その爆弾を店の外に放り投げた。

その瞬間、店は大きな光に包まれた。













目を開けると、そこは瓦礫の山だった。

当然、そこは僕の店だ。

まだ午前中だと言うのに、最悪な日だな。

魔理沙と霊夢が無事か、瓦礫をかき分けて探してみた。

まず霊夢が見つかった。気を失っているようだ。

続いた魔理沙を探したが、どこにも見つからない。

本棚をどかした所、その下に魔理沙は居た。泣いていた

『魔理沙、大丈夫か?』

僕は彼女に心配の声をかけてやると、さらに魔理沙の泣き声は大きくなった

『ごめん…………ごめんよぉぉぉぉぉこぉぉぉぉぉりぃぃぃぃぃんんんん……………』

さすがに彼女も罪悪感を感じているようだ。

罪悪感ぐらい感じて当然だろうが

『おおおおおぉぉぉぉ………………ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』

僕の服にしがみついて、顔をうずくませて泣いていた。

服が濡れるので、すぐに引き離した

『もういい。もういいから霊夢を連れて帰れ』

魔理沙にそう言って僕はトンカチと釘と瓦礫を集め、店の修理に取り掛かった。

幸い、最低限の瓦礫は無事だった為、なんとかなりそうだった。

『あのさ、私も何か手伝うよ。』

罪滅ぼしに必死になっているのだろうが、正直何もしてほしくなかった。

状況が悪化する可能性が大だったからだ。

『要らない。帰ってくれ』

『でも一人じゃ大変だ』

『帰れって言ってるだろう』

一喝してやると、魔理沙はまたぐずり始め、気絶している霊夢を担いで去って行った。









夜。

ようやく修理は終わった。

前より店は小さくなったが、無いよりはましだ。

『明日は商品をそろえないとな。』

僕はため息をつきながら、無事だった布団に入った。











目を覚ますと、棚には商品が戻っていた。

魔理沙が持ってきてくれたのだろうか、それにしては完ぺきすぎるが

『やればできるじゃないか』

僕は小声でそう呟いた


『霖之助さん、お邪魔するわよ』

霊夢が棚にある茶菓子を強奪してからお茶の葉をまた強奪した

『ああ、どうぞ』

『何?今日はやけに素直ね』

霊夢が進んでその茶の葉を水に溶かして茶にして口にすすいだ。

すすいだ瞬間、ブハッと吐いた。僕の顔めがけて

『なにこれ!腐ってる!!』

茶を逆さまにして中身を全て床にぶちまけた霊夢は、咳き込むように口の中身を吐きだしている

『霖之助さん!一体どういうつもりなの!?』

これはどういう事だ?腐った茶の葉は昨日の爆発と共に吹っ飛んだはずだが、

『分からんな、この茶の葉も腐っていたのかもしれない』

『”も”?まだ腐っている茶の葉があるの?』

霊夢がそう聞いた後、がっくりしたように肩を下ろしてその場に座り込んだ。

そして高級茶菓子を手に取り、貪った。僕のなのに

『おい香霖居るかー?邪魔するぜー!!』

魔理沙は、昨日の爆弾を持って店の中に入ってきた

『帰れ』

『冷たい事言うなよなー。今日は良い物持ってきたんだぜー。』

この女はまだ懲りてないのか。反省していたと思えば違ったようだったな。

『どうだ!?珍しいだろ?なぁ』

魔理沙が爆弾を持って期待するような目で僕を見ている。

『遠くに捨ててこい』

『えぇ〜〜〜。折角持ってきたのに』

『昨日も見ただろうに、それは爆弾だろ。僕に何か恨みでも持ってるのかい?』

説明した後、魔理沙の顔は真っ青になっていた

『これ……………どこに捨てればいい?』

『無縁塚だな。そこに落とせば爆弾も処理できてゴミも消えて一石二鳥だ。』

本当はあそこにはお宝も眠ってたりするのだが、店が爆発するよりははるかにマシだった

『分かった!!捨ててくるからな!!』

魔理沙は慌てて爆弾を持って遠くに飛んで行った。

僕は安堵した息を吐いて読書を続けた。

『それにしても霊夢、君が二日連続で店に来るなんて珍しいな』

僕がそう質問すると、霊夢は意味が分からないような顔をした

『どういう事?』

『昨日も立て続けに来てたじゃないか。今はよほど暇なのか?』

僕がそう質問した後の答えは、あまり理解のできないものだった。

『さすが200年以上生きているだけあるわね。良く分からないわ』

なぜこんな簡単な質問が理解できないのか、そっちの方がよくわからないのだが。

考えている間に、大きな爆発音がした。

あの爆弾が爆発したのだ。

しばらくして魔理沙が帰ってきた。

『捨てて来たぜー。香霖』

その顔は、遥かにビビっている顔だった。

さすがに、自分が爆弾を持っていると知ったらビックリするだろうな。

だが、遠くに捨ててきてもらって本当に良かった。

だが、完全に良かったわけではない。












夕刊が届くと、当然無縁塚の爆発の件が記載されていた。

中には死傷者も出たそうだ。

その記事を見て、僕は胸が痛んだ。

『頭痛がする』

僕はそう口を動かした時、新聞を魔理沙に取り上げられた。

その記事を見た魔理沙は、小刻みに震え、次第に振動が大きくなっていった。

そして爆発したように、魔理沙は僕の襟首をつかんだ

『おい香霖!!なんで爆弾を無縁塚まで持ってこいと言ったんだよ!!!!』

元と言えば爆弾を持ってきた魔理沙が悪いのだが、

確かに無縁塚に捨ててこいと言ったのは僕だ。責める事はできない。

『なんで死傷者に………死傷者に友達の名前が………………』

魔理沙はその場で膝ががくりと床に落ちた。

掴んでいた襟首もゆるみ、だらんと下に下がった。

まさか無縁塚に魔理沙の友達がいたとは予想外だった。というよりも予想できるはずが無い。

魔理沙が昨日と同じく爆弾を持ってきたからだ。一体何を考えていたんだ

『香霖』

魔理沙が小さな声で呟いた。

次の言葉は、爆弾のように大きかった

『もう二度と此処には来ねぇからな!!!!!!』

魔理沙はそう言った後、すぐに店を出て帰って行った。

彼女の憤りは、全て僕にぶちまけて帰って行った。

さすがにもう彼女は此処には来ないだろう。そういう事を言った上にあのショックからな。

『全て僕の責任かねぇ。』

僕はため息をついて椅子によりかかった。

死傷者が出た。これは許されるべきでないのだが、果たしてこの責任のほとんどは僕だろうか。

そもそも魔理沙は、あの爆弾をどこから持ってきたのだろうか。

『私はほとんど魔理沙のせいだと思うけどね』

霊夢が茶菓子をむさぼりながら茶を飲んでくつろいでいた。

『きみも帰ったらどうだ?』

『友達が一人減って寂しい霖之助さんをほっといて一人で帰れとでも言うの?』

正直、そっちの方がありがたい。

というかそんな優しさは要らない。そもそも君は晩飯目当てに泊まるつもりじゃないのか?

『夜、襲われても文句は言わないから大丈夫よ。』

『本当に帰ってくれないかい?』

僕はため息をついて、嫌々ながらも晩飯を作ることにした。いや別に霊夢に言われたのではないのだが、

やらなければ文句を1時間くらい言われそうな気がしたからだ。

料理を作っている間、魔理沙の事が気にかかった。

彼女からあんな事を言われるのは、確かに少し効いた。

うるさいのが居なくなるのは結構望ましいのだが、正直一人で霊夢を相手するのは辛いと思ったからだ。

『ほら、』

晩飯のほっけの焼き魚を出すと、頂きますも言わずにバクバク食べた。

さっきまで茶菓子を貪っていたにも関わらずだ。

一人で2匹食べ、一人で4杯白米を食べた霊夢は、次に酒を飲んで満足そうな顔をした。

理性が少し失われているな。

やたらしょっちゅう僕の服にしがみつくので、隣の部屋に布団を敷いて寝かせ。僕は読書をすることにした。

となりで霊夢のいびきがうるさい。非常にうるさい

イライラしながらも読書を続けた。その間も、今日死んだ死傷者の事と魔理沙の事が頭に引っ掛かった。

やはり、僕のせいなのかと。

しばらくすると、霊夢のいびきが止んだ。

まるで死んだかのように













もう朝なので霊夢を起こしに行くと、そこに霊夢はもう居なかった。

綺麗に布団も押し入れに片付けられていた。

『酔いがさめて、良心が働いたのか………?』

いやありえない。それはありえないだろうと頭の中で掻きまわした。

だが、部屋がまだ綺麗なだけで嬉しいものだ。

あまり気にせず僕は読書を続けた。

『霖之助さん、お邪魔するわよ』

霊夢が棚にある茶菓子を強奪してからお茶の葉をまた強奪した。

『昨日泊まったと言うのに、今日も来たのか。』

『は?』

『忘れ物を取りに来たのなら、とっとと持って帰れ』

霊夢はわざと寂しそうな声をだして呟いた

『随分冷たい事を言うのね。』

当り前だ。昨日御馳走した上に泊まりやがったのだからな。

『それと、その茶の葉は腐ってるよ』

昨日、手につけてた茶の葉を再び取り出そうとした霊夢は、手を止めて

その茶の葉の臭いをかいだ

『…………………腐ってる。』

昨日捨てたはずの茶の葉の缶が元の場所に戻っているのに気付いたのは、この時だ

『……………あれ?』

『どうしたの?霖之助さん』

今さら気付いたのだが、どうしてまだ腐った茶の葉が残っているのだろうか。

昨日、霊夢に命令されて捨てたはずだが、いやまて、だったら霊夢も知っているはずだが、

いろいろ頭の中で引っ掛かっていた。

『おい香霖居るかー?邪魔するぜー!!』

魔理沙は元気そうに、明るい声で店の中に入ってきた

『なんだ、もう来ないんじゃなかったのか?』

『は?どういう事だ?』

『どうもなにも、昨日”もう二度と来るか!”って言って帰って行ったじゃないか。』

魔理沙はため息をついて呆れたように返して来た

『私の縄張りイコールパラダイスにそんな事言うわけないだろ。』

いつの間に僕の店を縄張り化させていたんだ。良い迷惑だ

『それに、僕の事も嫌いになったのだろう、さぁ帰りなよ』

『ふっふざけんなよ!!誰がお前の事嫌いだって言ったんだよ!!』

魔理沙は何かを取り戻すかのように慌てていた。

『嫌いも何も、昨日…………』

説明しようとした時、魔理沙は泣きだしてしまった。

まるで子供のように、泣きじゃくっていた

『泣ぁ―――かした。泣かしぃ―――た』

霊夢がそれをはやし立ててからかっていた。

僕自身、もう訳が分からなくなった。

一体どうなっている?今日はいつだ?

机の上に積み重ねられた新聞を探ると、昨日重ねたはずの例の夕刊が無くなっていた

そう言えば最近、文々新聞の朝刊が届いていない気がする。

一昨日、朝刊は休むと聞いていたが、3日も休むとは聞いていない。

後ろで泣いている魔理沙の声が耳ざわりだった。泣きたいのはこっちだ

僕の頭の中では、まだその真実を認識し始めていた。

『魔理沙、その手に持っている物……………』

僕がそれに目をすると、魔理沙は怒っているらしく、それを腕の中に隠した。

一瞬だけ見えたが、確信した。

これで、ようやく真実を完全に信じる事ができた。

『魔理沙…………それは爆弾じゃないのか…………?』

霊夢がその言葉を聞いた瞬間、魔理沙からじりじりと離れていった。

そうだ、間違いない。

1日がループしているのだ、ずっと、僕だけ記憶を残して



魔理沙は、しばらくその爆弾を眺めた後、それを持って店の外へ走って行った。

『死んでやるぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!』

魔理沙は泣きながら爆弾を持って走って行った。

僕と霊夢は急いで魔理沙の後を追った。

『待て!!魔理沙!!早まるな!!』

『僕が!僕が悪かったぁ!!!』

魔理沙は止まる事なく走って行った。

ずっと、ずっとどこまでも

日が落ちるまでくらい走った後、ようやく魔理沙の服に掴む事ができ、魔理沙を持ち上げた

『ちょっ!離せよ!!』

魔理沙の手から爆弾を引き離し、遠くへぶん投げた

『霊夢』

霊夢は弾幕を空高く舞った爆弾に放し、爆発させた。

魔理沙はまだむくれてるようであり、悔しそうな顔をして手足をバタバタしながらボロボロ涙をこぼしていた。

『帰るぞ』

僕は魔理沙を抱えて店に戻って行った。








帰った後は、魔理沙も僕の店に泊まることになった。

冷蔵庫の中にあった ほっけも元の数に戻っている。

『一人一匹ずつだぞ』と言っても、飯の事になるとほとんど戦争になってしまう。

前の晩よりも酷いのではないのか、と思った。

結局、ほっけ3匹、さんま2匹、白米9杯ほどで満足したのか、眠りについた。

できればこのまま明日が来れば理想的なのだが、

誰も死なず、この日が一番救われた日だと思ったからだ。

晩飯は結構痛手だったが。

隣では二人がぐっすり寝てしまっている。

僕は寝ずに、読書をすることにした。

しばらく読んでいれば明日がくるであろう。

だが、その明日はあまりにも酷い日だった。













翌日、魔理沙と霊夢を起こそうと部屋に戻ると、

もぬけの空だった。

布団が綺麗に押し入れに入れられていた。

これを見て、僕はまた確信した

『まだループは終わっていないのか』

僕はいい加減に嫌になってきたので、店を閉めて外に出歩くことにした。

年の為に草薙の剣を持っていくことにした。

店の扉に閉店と書かれた立て札を付けて、まず街の方に出かけた。

霖之助が店から出て10秒後に霊夢が店に来た。

『霖之助さ…………何よ閉店?』

霊夢はおかまいなしに扉を開けようとしたが、鍵がかかっていた。

『何よ全く…………』

霊夢は落ち込んだ顔で帰って行った。

続いて魔理沙が店に来た。

閉店の立て札を見た時、急激に機嫌が悪くなった

『なんだよくそっ!!!』

魔理沙は店の扉を蹴っ飛ばし、そして帰って行った。













歩いていると、いつの間にか無縁塚に辿り着いていた。

無縁塚を一度爆発させた事があるので、それでも変わりないと言う事は関係はなさそうだ。

だから私は早くここから立ち去ろうとした。

『あら、森の入口の店主さん。』

立ち去ろうとした時、生きている人形と共にしている少女と出会った。

この少女は結構僕の店を利用してくれている人なので、僕の中で魔理沙よりは評判が高い。

……………前に爆発で死んだ一人はこの子だったのか。

『どうしたの?剣なんか所持をして』

『いや、何か妙な事に巻き込まれてね』

『妙な事?それなら霊夢に頼めばいいのではないの?』

彼女はキノコを踏みつぶしながら歩いた

『どうせ、また魔理沙が起こしたことなのかもしれないけど』

そう言えば、この子は魔理沙とは仲が悪いのだったな。

魔理沙はそんなには思ってないはずだが、泥棒の被害者になってからは魔理沙に恨みを持つようになっていた。

『そう言えば、今日あなたの店に行こうと思ったのけれど、どうして離れてるの?』

それは嘘なのだろうか、何か事情があったのだろうか、

昨日はどう思いだしても店には来なかったはずなのだが、

何か気になった。このループと何か関係があるのではないか?

『ああ、今日はちょっと閉店なんだ。』

僕はそう言うと、彼女は少し残念そうな顔をした。

『あっそ。』

『それよりも、迷惑かもしれないが少し君と一緒に同行させてくれないかな?』

この質問をした後、彼女は急に顔が真っ赤になり、足を滑らせて切り株に頭を打った。

頭を押さえてもだえている。人形も心配そうに彼女を睨んだ

『だ……………大丈夫か?』

彼女の心配をすると、彼女はまだ顔が真っ赤のままこちらを睨みつけた

『どっどどっどどどどどっどどどっどっどっどうして?』

何をそんなに取り乱しているのだろうか、同行すると何か不味い事があるのだろうか?

だが、

『済まない、とても大切な事なんだ。しばらく君のそばに居たい。』

彼女の顔はさらに真っ赤になり、煙がでた。

しばらく頷いた後、小さく口を開いた。

『……………………はぃ………』

了承の意味を持つ返事を貰った。これで少し情報を得られると良いのだが、


彼女にしばらくついて歩いているのだが、彼女の足取りはなぜか遅く、近づくと早くなっている。

さらに、さっきから人形が不穏な目でこちらをじっと睨んでいる。少し不愉快だ。

『どっどっ…どこに行きましょうか?』

思いもよらない言葉が帰ってきた。

こんな事、僕が決めて動いても何も分からないのだ。

いや、そもそも僕が同行している時点で誤っているのかもしれないが

『君の行きたい所で構わないよ。僕には特に目的地が無いからね。』

彼女は余計に早歩きになった。

そしてしばらく歩いていると、家に辿り着いた。

『わっ私の家です………。』

あまり人付き合いに慣れていないのか、いつまで経っても発言に自身が無さそうだった。

正直、これは少し僕も困っていた。

さすがに僕の店に来ようとして、まさか家に戻るなんて事は彼女でもしないだろうと思ったからだ。

『あの……………』

僕が声をかける前に、彼女は僕を家に招待した。

断る言葉も見つからなく、しょうがなく僕は家に入って行った。


『お…………お茶…………』

あきらかに手元が狂っていた。ガクガク震えていた。

だが、幸いこぼれては居なかった。それは良かったのだが、

こんな事をしている場合では無いのだ。

『アリスさん。率直に言わせてもらいますが、』

正直、この先、あなたの身に何か起こる事はある事は確実だ、今日は僕の店に来る予定だったらしい
のだから、だが、現に来ようとはしなかった。

その事を伝えようとしたのだが、彼女はさらに顔を真っ赤にさせて

『わっ………わ――――――わ――――――!!』

と勝手にはぐらかした。

正直困った僕は、この後どうすればいいのか少し不安になった。

少し余裕があったのか、僕は一つの真実を推測した。これが本当だとしたら最悪だが

『アリスさん…………もしも僕の店に魔理沙が来ていたら、その日は僕の店に来ないとか、ありますか?』

その質問をした時、アリスは僕の方を向かなくなり、指の爪でカリカリやっていた。顔の煙はさらに強くなっていた

しばらくカリカリやっていて、落ちついた所でようやく口が開いた

『…………私は別に霖之助さんの事嫌いじゃないから、いや、嫌いじゃないとかじゃないから、そんな事は………』

なんだかよく分からないが、僕の店に魔理沙が来ても彼女は来る予定だったようだ。

だとすれば、やはり来る途中に何か事件に巻き込まれたのか?

『やはり外にでましょう。』

僕がそういうと、アリスは慌てるように僕の服を掴んだ。

『アリスさん?』

僕の服を掴んだその手は、ベッドの方に投げられた。

僕は反動でベットに倒れこんでしまった。彼女はまだ僕の服を握っていたので上に乗る様な形になった

困った、これでは出られない。

『あのぅ………済みませんがどいてくれませんか?』

言葉を言い終える前に、アリスの頭の中で何か張った糸をハサミで切る様な音が聞こえた

『アリスさん?』

アリスの行動は急に大きくなり、僕の服の中に手を入れ始めた。

さらに、僕の首を噛み始めた。血は出るほどではないのだが

『あのっちょっと!?』

予想外の行動に僕は混乱してしまった。

振りほどこうにも、片方の手がからみついてなかなか外れない

次第に恐怖と言う物が僕にまとわりついた。

彼女の目は、ほとんど虚ろになっていた、理性が無いような感じだ

彼女はスカートを片方の手で脱ぎはじめ、さらに下着も脱ぎ棄てた。

一体、何をするつもりなのか分からなかった

アリスの下が首の下をはい、

アリスの手が股間をめがけて足の先から沿っていた。

『止めっ………止めてください!』

だが、彼女は聞こえていない様で、ほとんど本能で動いている様子だった。

事が近づこうとした時、もう終わりだと思った瞬間、

外の風景が何かおかしい事に気がついた。

『なんだ…………?あれ……………』

森の真ん中に、ドーム状の灰色の結界が貼られていたのである。

アリスも我に返ったのか、外の異様な結界の方に目を向けていた。

目をむけなおして自分の姿を見た瞬間、彼女の顔に大量の汗が噴き出ていた。

さらに、僕の顔を見た後、部屋の隅っこに移動した

『ごっ…………ごめんなさい!ごめんなさい!!!』

僕はとりあえず、ずれたズボンを穿きかえようと、元の位置にズボンを戻した。

『君も下の服を着なさい。』

アリスは床に落ちているスカートや下着を拾い、慌てて着用した。

『あの結界がなんなのか、僕は見に行こうと思う。』

とりあえず、さっきの出来事を忘れようと話題を早速変えて、今気になる事をやろうと思った。

『私も…ついていきます。………お詫びに』

彼女は複数の人形を所持して、僕の元に歩み寄ってきた。

『好きにするといい。死ななければな』

僕がそういうと、さっきからずっと一緒に居た人形が申し訳なさそうにこちらを見た。

その人形の頭を撫でてやると、その人形の顔も少し赤くなり、照れている顔になった。

















『はぁ……………はぁ……………』

その結界の中では一人、紫が力を振り絞り、放出していた。

何の理由か、彼女は一生懸命放出していた。

『私も年かしらね……………。』

昔よりもうまくいかないのか、紫の表情は酷く疲れ切っていた。

体が遥かに疲れ果てているのだ。

『……………………………』

彼女はもう死を覚悟しているのか、今にも倒れそうだった。

『ごめんなさいね………………………』

紫がそう言って倒れた後、遺書のような物を口で読んだ

『ごめんなさい、でも、私が死んでも、今日がやり直されるだけだから。また、いつの日には終わると思うから、だから………』

そう遺書を言い終えた瞬間、紫はゆっくりと目を閉じた。

瞬間、天井が急にずれ、空には星空が映った。

瞬間、新鮮な空気が中に入ってきた。

『ぶはぁ!!』

紫はそう言いながら、ぜぇぜぇと深呼吸をしていた。

『霖之助さん…………』

目の前には、崩れた結界と共に草薙の剣を構えた霖之助さんの姿が映っていた。その隣には人形を連れた誰かさんが

『こんな所で何をしているんですか。紫さん』

霖之助さんが呆れたようにこちらに歩み寄ってきた。

『やっぱりあなたの仕業だったんですね、あなたが死ぬたび僕だけループされてて大変でしたよ。』

霖之助さんが草薙の剣を片付けた後、私は少し微笑みながら事情を話した

『嫌ねぇ。あなたの為に行った事なのよ。』

『僕の為?』

私は、分かりやすく正直に話した。

『厳密に言うと、貴方は今日死ぬはずだったのよ。』

その言葉を聞いた霖之助さんは、一瞬目を丸くした

『私が闘っていたのは、”死”と言う物を変える為の運命というもの。結界じゃなかったの。』

『その物騒な物に入って、あなたは何をしていたのですか?』

『あなたの死を取り消そうとしたのよ。代償が命一つだったから、私の力で間にあわそうとしたんだけど、無理だったみたいね。
失敗したらあなたの命どころか、この森ごと消滅していた可能性も高いわよ。』

一昨日、夕刊に載っていたのは爆弾の被害ではなくて、この結界の被害だったのか。

紫は未だに満面の笑みを浮かべている。

『私の夫になってくださらない?』

『丁重に断らさせて頂くよ。』

アリスも嫌な顔で紫を睨んでいた。

『あら?あなたは草薙の剣の主人となるほどの人だから私にふさわしい人になると思ったのだけど』

『僕は遠慮しているのではない。本当に嫌なんだ』

僕がそういうと、『残念ね』と笑顔で言いながら帰って行った。

『でも、私も生きてる。生きてるからもう、また今日が繰り返される事は無いわ。』

彼女の後ろにスキマが現れる。そのスキマの中に彼女は入って行く。

『そう、もうどうしても繰り返される事は無い。

                         霖之助さん、さようなら』
















翌日、

森から出た僕は率直に立て札を元に戻し、眠りについた。

僕は眠らなくても良い体なのだが、本当に今日が繰り返される事は無いのか不安になったからだ。

そしてその翌日、魔理沙も霊夢も泊まりに来ていないので分からないが、雰囲気は昨日と変わらない。

なので、今日しばらく本を読んでみる。

しばらくして、店の前に誰かがやってきた。

また霊夢だろうか、また腐った茶の葉を飲みにくるのだろうか。

だが、そんな不安は吹き飛んだ。

店に今日最初に入ってきたのは魔理沙だった。これで確信を持てた。

もう、昨日は繰り返さないのだ。

魔理沙は、何も言わず、ただそこに座った。

体育座りだった。

昨日の爆弾は、もう無い。

手に持っていない。

やはり、もう明日になっていたのだ。

『やっとか。』

僕は安堵した息を吐いて、椅子に腰をかけた。

昨日のことなのに、長いように感じた。当然だ。僕は4日も昨日を体験したのだから。

だが、これでようやく時間の進みが正常になった。

僕の生活に支障が来なくなった。

嬉しい事だ。

『なぁ、香霖。』

魔理沙は、少しトーンが低い声で質問をした。

昨日、なぜ休んだのかを聞きたいのだろうか、

それは適当に嘘を言っておこう。

だが、

魔理沙の質問は僕の予想していないものだ













『もし、私が今日死ぬとしたらどうする?』









『いきなり何を言うんだ?そんなおかしな…………』

僕の手は小刻みに震えていた。



店の前には、アリスと霊夢と紫が居た。






『霖之助さん、ごめんね。私、本当は霖之助さんの”死”の中に代わりに入ってくれる人を探していたの。

                        でも、もう手おくれよ。』



                   あなたはもう死んじゃうわ。ごめんなさい。





















昨日になる一分前、紫はあの後、まだ一言言っていた。

『もし、私が今日死ぬとしたらどうする?

 私は、あなたが死ぬなら代わりに私が死ぬわ。

          だって、今はそんな状況だもの。』
香霖堂がもうすぐ発売されるとの事ではりきって書いちゃいました。えへ★

少し分かりにくい話だと思いますので、少し解釈出しますね。
紫は半分本当の事を言って半分嘘を言ったんですね。
あの灰色の結界のようなものは、霖之助の”死”の運命です。これは本当です。
これを打ち消すには、誰かの”死”を代償にしなければいけません。これも本当です。
紫は、力を放出していたのではなくて、放出させられていたのですね。

そして嘘ですが、この結界を切り裂いたことで霖之助が救われた、これが大きな『嘘』です。
運命なので、こんなもの斬っても無駄です。また同じ運命が待っているだけです。

紫はこの運命を抹消させようとしていたのですね。でも、斬って具現化できなくなったから、もうどうしようもなくなってしまったんですね。

日が繰り返されたのは、紫の死だと言うのは本当です。(実際そんな公式ありませんが)
ND
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/24 14:36:46
更新日時:
2010/09/24 23:36:46
分類
霖之助
霊夢
魔理沙
アリス
R-15
1. 名無し ■2010/09/24 23:46:47
香霖堂発売が近いからずっと待ってたぜ

今回も乙
2. NutsIn先任曹長 ■2010/09/24 23:59:47
貴方の作品に登場する、淡白な霖之助と、霊夢、魔理沙、紫の1対3の関係が好きです。
さらに今回アリスまで加わってしまいましたね。

少し病んでる女性陣とニブチンの霖之助が織り成す、死の運命への道筋、たまりません。
結局、ループさせたことで、死の運命が確定してしまいましたね。
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