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『借り暮らしのにとり』 作者: sako
『あやや大惨事。河童たちの集落で爆発事故発生』
先日午後八時頃、妖怪の山の麓の河童たちの集落の一角で爆発事故が発生した。爆発の現場は河童の技師、河城にとりさんの工場兼自宅。爆発は出火を伴う激しいもので、火は周辺住人と警備の天狗たちの手によって消火されたものの、河城さん宅は住居と資材置き場を含め全焼。爆発の原因は河城さんが開発していた新型のえんじんと呼ばれる機械の起動実験の失敗で、これにより河城さん、及び、起動実験に関わっていた知人の霧雨魔理沙さん(1x歳)が火傷を負った。幸い、命に別状はなく、現在は八意医院に入院中。後日、退院とのこと。
〜 ☓月☓日付け文々。新聞より抜粋
「ああ、あの記事の河城さんとは貴女のことでしたか。それは災難でしたね」
幻想郷では珍しい木造二階建ての建物。その上の階の事務所のような一室でにとりは硬い革張りの椅子に腰掛け事情を説明していた。腕にはガーゼ、頬には絆創膏。未だに火傷の痕が癒えていないのか、その姿は少し痛々しかった。
それがこうして病院で治療を受けずに出っ歯の背の小さい中年男性と話し込んでいるには訳がある。いや、怪我の方は回復も順調で半月もすれば跡形もなく治ると永琳先生のお墨付きをいただいているわけだが、それは別としてにとりには急務があった。それは妖怪と言えど生きていくためには必要不可欠なも。あの爆発で失われてしまったものの一つ、衣食住の三番目、住まいについての問題だ。
あの爆発事故でにとりが長年住まいにしてきた小屋は跡形もなく吹き飛び、工場も資材置き場もすべてが灰燼に帰してしまった。今では焼け焦げた柱が一本、残っているだけだ。
まぁ、命が助かっただけでも幸い、どころか、家の方は集落の河童仲間やある意味では爆発事故の片翼を担いでいる魔理沙の支援で何とかなりそうなのだ。
しかしその家が完成するまでの二ヶ月ほどの間、にとりは宿なしなのだ。
誰かの家に居候させてもらう、という案もあるにはあるのだが、河童の仲間たちの家は殆ど壊れてしまったにとりの家と同じような造りで他人を住まわせる余裕はなく、親友の魔理沙がそれについて助け舟を出してくれたのだが、何故か一緒にいた魔女と人形遣いの無言の圧力によりにとりはその申し出を辞退せざるえなかった。あんな親の敵を見るような目で睨みつけられては気の弱いにとりは怯えて縮こまるしかない。いや、魔女の方はどうか知らないが魔界神なんて化物、にとりの力でどうにかなんて出来るはずがないのだが。
そうして結局、にとりは新しい家が完成するまでの間、多少、お金はかかっても部屋を借りるしかない状況に陥っていた。いや、陥るという表現を使うほどでもない。確かにその間の賃料は高くつくが、もとより人見知りの激しいにとりはたとえ知り合いであろうとも他人の家にやっかいになるのは少し気が重かったのだ。どの道、火傷が治るまで趣味の機械いじりには手が出せない。暫くは療養替わりに一人暮らしも悪くないと考え、こうして不動産屋の門を叩いたのだ。
不動産屋の主人の出っ歯は文々。新聞の読者で人見知りで口下手なにとりでも何とか事情説明はスムーズに進んだ。
出っ歯ににとりが提示した家の条件は簡単なものだ。一人暮らし用でお山に近く、短期で借りれて、そしてなにより家賃が安い物件。それだけだ。
それなら、と出っ歯は応えた後、事務机から分厚いファイルを取り出してくると、親指にたっぷりと涎をつけて頁をめくり始めた、
「これなんかはおすすめですよ」
見せられた頁には白黒の写真と簡単な見取り図、それと住所が書かれているだけでちんぷんかんぷんだった。にとりがコメントに窮していると出っ歯はそれを借りようかどうか悩んでいる、と見とったのか、椅子から立ち上がりこう言った。
「百聞は一見にしかず、ですな。ご自分の目でご覧になってみますか?」
にとりが考えていることと不動産屋の狙いは点でちぐはぐだったが、求めている結果は一緒だった。出っ歯につられ、にとりは不動産屋の事務所から馬車で二十分の場所へ赴いた。
「ここですよ。どうです、いい物件でしょう」
そう自慢げに出っ歯は言うもののにとりは頷けずにいた。
ああ、確かにこの場所は妖怪の山から近い。飛んでいけば十分もかからないような場所だし、歩いて行ってもたいして時間は変わらないだろう。家賃もこの見た目なら安そうに思える。風雨に晒され、かつては白かったであろう木の壁は灰色に、瓦葺の屋根からは、風に飛ばされ種がたどり着いたのだろう、黄色い花を咲かせる草が生えている。
まぁ、そこまでは許容範囲だ。なるほど、このボロ物件なら家賃もとことん安いだろうし、短期でも借り手がつくなら不動産屋としては儲け物なのだろう。そこまではにとりも納得している。けれど、ひとつだけどうしても納得できない要因があった。
「あの…この家って、長屋じゃ…」
うっ、と痛いところを疲れたように出っ歯は片方の眉を上げてみせる。
長屋、というのは現代で言うところのマンションのようなものだ。大体が平屋造りの木造建築で三〜十程の部屋を連ねて作られている横に長い建物だ。名前はそれに由来する。利用の方法もマンションやアパートに近い共用住宅だ。出入口は全て個別で道に面しており、大抵は入ってすぐが台所、続いて部屋が一つ二つあるだけで少家族や一人暮らしに向いている。風呂やトイレも共同でこの物件の場合は一番端の部屋が厠だった。隣には井戸も設けられている。
その条件でどうしてにとりが難色を示したかというと話は簡単だ。一人や少家族に向いている、と言っても長屋は共有住宅、その本質はプライバシーなどというもののない共同生活を重視したものだ。人見知りの激しいにとりにとってあまり喜ばしい生活環境ではない。そのことは既ににとりの雰囲気と道中の世間話で出っ歯もよく理解していた。
「ま、まぁ、河城さん、確かにこの物件は共有住宅ですが、今なら、一戸建ての家とさほど変わりませんよ」
「?」
出っ歯の言葉に疑問符を浮かべるにとり。出っ歯はにやりと不快な感じのする笑みを浮かべると大きく手を振って見せた。
「実はこの物件、空き部屋が多く、今のところ住んでいるのは端の部屋にばあさんが一人だけなんですよ。ですから、河城さんが想像しているような、毎日、井戸端会議に参加していつも他の住人の情報を一から十まで憶えて逆に自分のことを一から十まで話さなければならない、人付き合いがストレスに感じる、少しのことで村八分ならぬ部屋八分にされる、なんてことはありませんよ」
せいぜい、トイレ掃除を代り番こにするだけです、と出っ歯。まぁ、それぐらいなら、とにとりはうなづく。
「まぁ、部屋も離してくれればそれでいいです」
「あ、いや…それがですね…」
と、口ごもる出っ歯。また、にとりが疑問符を浮かべると…
「じつはその老人の隣しか部屋が開いてなくてですね…他の部屋は改装しないと使えない状態でして」
「…改装の予定は?」
「永遠に未定です」
つまるところ取り壊し一歩手前なのだ。だからこそ他の入居者がなく、にとりのような特殊な条件を求めている客以外には紹介すらしていないのだ。これは駄目かな、とにとりは何か断りの文句を考え始めたところで、出っ歯はそうそう、と肩から提げた鞄からソロバンを出してきた。何を、と言おうとするにとりを尻目に出っ歯はソロバンの珠を弾く。
「お家賃の方なんですけれども、これぐらいで」
そこに示されていた数字は何かと金が入り用なにとりにとっては相当、魅力的な数字だった。うぐ、とにとりの喉が鳴る。その音を聞いたのか、出っ歯はああ、と演技ががった声を上げ
「すいません。グレイズ失敗ですな」
数字を更に減らした。
「それで、どうなさいますか河城さん」
にべもなく頷くにとりだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぅ、あらかた片付いたかな」
そして次の日、契約書にサインをして前払いで新しい家ができるまでの二ヶ月間、その間の家賃を払ってにとりは早速、引っ越すことにした。といっても、持っていく物も全て火事で失い、この仮の住居にもそう長い間、腰をすえるわけでもないので準備は半日ほどで終わった。殆どの時間は長い間使われていなかった部屋の掃除で費やされ、殺風景な部屋を見回していたところである。
と、
「あ、そうだ」
にとりは少ないながらも引っ越しのために揃えた荷物から一つ、小さな壺を取り出した。妖怪の山の麓、カッパの里で人気の胡瓜のぬか漬けだ。酒のアテにとにとりが幾つか買ってきたものだが、手にとったそれは別の目的のためのものだ。
壺を手にしたまま、にとりはあれこれと頭の中でシュミレートして、どちかといえば覚悟を決めるための時間をそれに費やし、ややあってから新しい自分の家から外に出た。向かう先はそこからわずか数歩。長屋の隣の部屋だ。
「すいませーん、今日、隣にこしてきた河童なんですけれど〜」
緊張でうわずりそうになる声を何とか押さえ、ボロボロの障子戸を叩く。そう、胡瓜のお漬物は引越しの挨拶の為に用意したものだ。
不動産屋の出っ歯が言っていたようににとりの部屋の隣には住人がいるようで引越しの最中にも時折、一家団欒の声が聞こえてきていた。顔見知りで引っ込み思案なにとりではあるが彼女も人間を盟友と呼ぶ人間友好度の高い河童の妖怪だ。知らない人にこちらから話しかけるのは勇気がいるが、かといって引越ししてきたのに挨拶もしないという常識はずれな考えは持っていないし、それで嫌われる気も毛頭ない。恥ずかしいけれど何とか勇気を振り絞って、お隣さんと友好的な関係を築こうとにとりはこうしてお土産を手に隣の家の戸を叩いたのだ。
けれど…
「あれ…? 聞こえなかったのかな」
待てども待てども障子戸が開いて朗らかな笑顔を浮かべた住人は姿を表さない。中からは相変わらず楽しげな会話や笑い声が聞こえてきているので留守ではないことは確かなのだが。その笑い声に紛れて自分の声が聞こえなかったのだろうかと、にとりは一家団欒を邪魔して悪いなと思いつつももう一度、今度は声を大きく、戸を叩いた。
「すいませーん、あの、隣に引っ越してきた河童の妖怪なんですけれど。あの、お土産…もってきたんで、挨拶をと思いまして…」
声はだんだんと後半になるにつれて小さくなる。歯切れも悪い。これは失敗したかな、とにとりは肩を落とし始めると、やっとのことでたてつきの悪い戸を開けて住人が顔を出してきた。
「あ、あの…」
「……」
最初、にとりは顔を出した人物は自分と同じ妖怪のたぐいだと思った。しなびたアンズのようにしわくちゃの顔、落ち窪んだ眼窩に光る白目ばかりの目。年老いた女性だが、その容姿はとても人間だとは思えなかったからだ。けれど、その人物の匂い、というか雰囲気は確かに人間のソレであった。
「その、隣に引っ越してきた者なんですけれど…」
「……」
口ごもりながら何とか話すにとりと押し黙ったままの老婆。にとりの視線は川を泳ぐ魚のようにふらついていたが老婆のそれは不動明王の彫刻のようにじっと、にとりの怯える顔を貫いていた。
「あの、コレ…それで、おっ、おおみやげ、そう、お土産にと思いまして…ど、どうぞっ!」
半ばテンパリながらもなんとか壺を差し出すにとり。まるで聖ヴァレンタインデーの時、先輩にチョコを手渡そうと奮闘する下級生のようだ。けれど、そんな可愛らしいもの、ここにはひとっかけらだってなかった。
老婆は無言のまま壺を一瞥すると躊躇いなく踵を返した。
「いらん」
最後にボソリとそれだけを口にして、ソレより大きな音を立てピシャリと戸を閉めてしまった。一瞬。気まずい静寂がにとりの周りを包み込むが、それも老婆の部屋の中から聞こえてきた楽しげな笑い声にかき消されてしまった。
「…アレ?」
壺を手にしたまま途方にくれるにとり。
しどろもどろとした自分の態度がいけなかったのか、それともお土産に胡瓜のぬか漬けなんかを持ってきたのがまずかったのか、そもそも妖怪である自分が引越の挨拶なんていう人間の常識に付き合うのがそもそもの間違いなのか。色々と反省すべき点はあれど、それ以前ににとりは一つの考えに至っていた。
「失敗したぁ…」
がっくりと肩を落とし、自分の部屋に戻るにとり。つまみ食いしたお漬物はいつもよりしょっぱく感じられた。
その後もにとりは短い間ながらも何とか共同生活を送る人たちとお近づきになろうと色々と努力してみた。自分の人見知りを治すいい機会だと思ったからだ。
けれど、経過はあまりかんばしいものではなかった。
「あ、お醤油買ってくるのを忘れた」
引越しの当日は手伝ってくれた魔理沙たちと近所の食堂へご飯を食べに行ったのだが、其の次の日からはにとりは自炊を始めた。
湯を沸かして出汁をとって、犀の目に切った豆腐を入れて、刻んだネギを浮かべてお味噌汁に。ご飯も炊いて、あのぬか漬けも用意。既に焼いてある状態で買ってきた魚を火であぶって温め直したところで調味料を一つ、買い忘れていたことに気がついたのだ。
どうしようと、煙を逃がすために開けられた窓から外を見る。もう、日はとうに暮れあたりは暗くなっている。こんな時間、味噌醤油を扱っている店など空いているはずがない。
「……」
暫く考え、にとりは窯の火を消すと、ご飯の準備だけをして部屋をでた。そうして、数歩。隣の部屋の前まで来ると大きくはっきりとした声ですいませ〜ん、とにとりは声をかけた。
昨日のリベンジだ。ファートコンタクトは最悪だったが、そこでいじけていてはいかにも根暗な感じだ。めげずに昨日の失敗を踏まえ溌剌とした態度を心がけ、にとりは醤油を借りに行くのをとっかかりにそこからお隣さんと良好な近所づきあいをしていこうとこうして再び門扉を…障子戸だが、を叩いたのだ。
昨日の妖怪より妖怪のように見える老婆ならいざしらず、時折、薄い壁越しに聞こえるあの愛想の良さそうな笑い声の主達ならにとりの突然の訪問も笑って許し、快く醤油を貸してくれるだろう。
『すいませんけれど、お醤油を切らしてしまって…』『まぁ、それは大変。ついでですからご一緒にご飯でもどうですか?』『いえいえ,お構いなく』『まぁまぁ、そう言わず』『そうですか、でわ』なんて。
「なんだい」
そんなにとりの妄想を他所に出てきたのは昨日と同じあのしなびたアンズのような顔をした老婆だった。しわがれ、聞きにくいながらも明らかに悪意のある声でにとりを出迎える。
「あっ、あの…」
すっかり予想を外され、思わずうろたえてしまうにとり。老婆の顔に怪訝な色が浮かぶ。
「そのお醤油を…借りようと、思って…」
「醤油? ないよ」
にべもなく、老婆はそう切って捨てるとピシャリと戸を閉めた。またも、取り残されるにとり。部屋の中からは『お醤油とって』なんて楽しげな声が聞こえてきた。
それからもにとりは何とか近所づきあいを良好なものにしていこうと努力した。
当番制のトイレ掃除をお隣さんが忘れていたときは進んで自分でしてあげたり、外であの老婆とすれ違ったときは元気よく挨拶をしたり、夜はもとより昼間でもなるべく部屋の中では静かにしようと心がけた。
けれど…
「あっ、おはようございます」
「……」
取り付く島もなかった。
トイレ掃除はにとりの番の時に限って酷く汚れた状態にされ、町ですれ違っても老婆は完全に無視を決めこめ、隣の部屋は平時からもうるさく、蹴り飛ばせば敗れるような薄い壁からは隣の部屋の大きな笑い声や話し声、時には歌い声まで聞こえてきた。それも昼間だけではなく深夜にも。おかげでにとりは眠りに付けぬ日が続き、軽くノイローゼ気味になってしまった。
いくらフレンドリーに接しても心を開いてくれない隣人。壁越しに聞こえる五月蝿い生活音。嫌がらせじみた態度を取る妖怪より妖怪のような老婆。加えて最近、とみににとりをイライラとさせる出来事が起こった。いや、それは現在も進行形でにとりを悩ませていた。
「臭い…臭すぎる…」
隣の部屋から漂ってくる妙な匂いだ。薄く、ネズミや油虫は自在に行き来できる長屋の壁だ。隣の部屋の夕食が肉じゃがなのかカレーなのかぐらいはすぐに分かる。
この暑さで買いだめした魚か何かを腐らせてしまったのだろう。綺麗な水辺に住むカッパには耐えきれないような匂いが隣の部屋から漂ってきているのだ。
「うーむ、話には聞いていたがこりゃかなわんな」
そう遊びに来た魔理沙も鼻をつまみながら漏らした。
「文句は言いに行ったのか?」
「当然、ディアフレンド」
肩をすくめるにとり。
「でも、おっきな声で呼んでも出てきもしないの。あーぁ、せっかく、仲良くしようと思っていろいろ頑張ったのに」
にとりの言葉に魔理沙は苦笑してみせた。何かと世話焼きで、そうして心優しいこの河童の行動がときどき、魔理沙には酷く滑稽に見えるときがあるのだ。そこまでする必要はないのに、と。
「だったらさ」
そう言いながら魔理沙はにとりの方へ顔を寄せてくる。秘密の話なのだろう。その顔にはイタズラっぽい笑みが浮かんでいる。
隣の部屋には聞こえないよう、謀は密をもって良しとなすの見本か、魔理沙はにとりの耳元でぼそぼそと小さな声で話す。
ふんふんと、魔理沙の言葉に頷いていたにとりだったが、魔理沙の説明が進むにつれ、その顔はこわばり、そうして…
「仕返し!?」
「わっ、ばっか、声が大きいって」
慌てて二人して人差し指を立てて唇に押し当てる。そのままの姿勢で暫く二人は様子をうかがったが、隣からは苛立たしげに壁を叩くような音は聞こえてこなかった。聞かれなかったのだろう。
ほっと胸をなで下ろして、二人はまた顔を付き合わせる。
「でも、仕返しなんて…何をすればいいか」
「んー、そうだな。あんまり直接的なやつだと話がこじれるかも知れないからな。何か言われたときにすいませんて、簡単に謝って済ませられるような分かりにくいものがいいぜ」
今一、魔理沙の言葉に要領を得ず、にとりは疑問符を浮かべながら例えば、と聞き返した。魔理沙は部屋を見渡して、そうだな、と腕を組み、一つ、部屋の隅に無造作に置かれていたソレを手に取った。
「コイツなんかどうだ」
笑う自分の顔の横に魔理沙が並べて見せたのはにとりのお手製の目覚まし時計だった。時間になれば上部のベルを打ち鳴らすタイプのものだ。
それと魔理沙の顔を見比べてにとりはああと、頷く。だいたい、魔理沙の言わんとしていることが把握できたからだ。
それからまる二日が経過し、にとりは自分の仮住まいではなく魔理沙の家に泊まっていた。
隣の部屋の嫌な匂いと騒音に気が滅入ったから逃げてきた、と言うのもあるがそれとは別に仕返しの為の一時的な待避だ。
にとりはあの部屋に一つ、物を置いてきたのだ。それはあの時、魔理沙が手にとってみせた目覚まし時計だ。知ってのとおり、目覚まし時計はセットした時間にけたたましくベルを鳴らす機械だ。朝寝坊が過ぎる風見幽香あたりには必須のアイテム。あの目覚ましは別段、どこにでもあるような普通の物だったが、あの後、にとりはそこに改良を加えた。大きな音が出るよう巨大なベルを幾つも取り付け、更にタイマー機能をオミットし、代りにランダムに起動させる機能を付け加えたのだ。
今、あの誰もいないにとりの部屋では改造された目覚まし時計が死者の眠りさえも覚ますような大きな音をたてているのだ。ベルの音がなるタイミングは全くの乱数で作った本人にも分からない。昼の十二時になったかと思えばその三時間後に鳴り始めたり、かと思いきや僅か三十分後にまたハンマーがベルを叩き始め、そうかと思えば五時間以上沈黙を守ったりもしている。周期が分かればその間に、眠るなり、耳栓をつかなり対策も取れるのだろうがそうはさせない嫌らしい仕返しの仕方だった。
もっとも、その発案は魔理沙で、にとりは彼女に目覚まし時計を見せられたときでも明け方六時ぐらいにベルを鳴らすようセットする程度でいいかと思っていたのだ。それを魔理沙がそれじゃぁ、つまらん、とチャチを入れ、にとりは魔理沙に言われるまま目覚まし時計に魔改造を施したのだ。その成果は見に行かなければ分からないだろうが、効果は十分に上がっているだろう、と魔理沙は豪語する。
「これで、そのばあさんもお前と仲良くしてくれんだろ」
かんらかんらと笑う魔理沙だったがにとりはこれからもとてはそんなことは無理だろうと、乾いた笑いを浮かべた。
「ああ、そうそう。そろそろ帰ることにするよ」
「んぁ? 何でだ」
話が自分たちの仕掛けた仕返しに向いたところでにとりはそう切り出した。当然、魔理沙はそう返す。
「まさか、もう十分だとか、言うつもりか。うーん、甘ちゃんだなにとりは」
「いやそうじゃなくって…」
そう言いつつ、にとりは窓へ視線を向ける。その瞬間、窓の外から魔理沙の家の中をのぞき見ていた何かが頭を下げるのを確かににとりは見た。小さな人形の頭、に見えた。
「そろそろ帰らないと怖いお姉さんが来そうっていううか…」
「うん?」
話が読めず、疑問符を浮かべる魔理沙。
と、その時、まるでタイミングを計ったかのように玄関のドアノッカーが打ち鳴らされた。びくっ、と椅子から飛び上がるほど驚くにとり。
「いやぁぁぁぁぁ! パペットマスターが! 人形遣いが!!」
「何脅えてんだよにとり」
地震の時にそうするよう、テーブルの下へ逃げこんだにとりを尻目に魔理沙は玄関へ来客を迎えに出る。やめて、玄関を開けないで、とにとりは涙声を上げるが人形遣いや図書室の魔女の影に脅えてテーブルの下からでることが出来ない。そうして、開かれた扉の先には…
「すいませぇん、こちらに河城にとりさんは…って、ああ、こちらでしたか」
あの不動産屋の出っ歯が立っていた。予想と違う、思いもよらぬ人物の登場に目を丸くするにとり。けれど、すぐに良かったと胸をなで下ろす。
「はいはい、どうかしました…」
対応しようとテーブルの下から這い出てくるにとり。出っ歯は河童の奇っ怪な行動に訝しげに眉をしかめたが、職業柄か、特に何も口にはしなかった。けれど、代りにその手に持っていた目覚まし時計がジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!とけたたましくベルを鳴らし始めた。
ひやぁぁ、と溜らず魔理沙とにとりは悲鳴を上げて耳をふさぐがその悲鳴もベルのとにかき消されてしまう。
「これを止めて貰うのに探していたんですよ河城さん!」
「なんだって?」
「いや、魔法使いの方じゃない、にとりさんですよ!」
「耳がぁぁぁぁぁぁ!!」
「クソ、五月蠅いぞ齧歯類! 早くソイツを止めろよ!」
「止めて貰うために来たんです! 第一、私はネズミじゃありませんよ!」
「頭がぐらぐらしてきた〜〜〜」
「分かったから止めろ!」
「止めて欲しいのはこっちですよ! コイツのせいで巫女に異変だと勘違いされて対峙されそうになったんですから!」
「あばばばばば…」
「五月蠅ぇ、少しは黙れよ! ベルの音が聞こえないじゃないか!」
「逆! 逆でしょうそれ! いいから、早くコイツを止めて…」
「―――――――――――――――――――――――――――(フラットライン)」
「ああっ、畜生め!」
と、ベルに負けない大きな声を上げると不動産屋から魔理沙は目覚まし時計をふんだくり、遠くの空へ投げ捨てる。分かりやすいドップラー効果を示しながら飛んでく目覚まし時計に魔理沙は間髪入れずミニ八卦炉を構えるとスペカを取り出し、斉射。マスタースパークで目覚まし時計を散り一つ残さず消滅させてしまった。
「ああ、やっと止った…」
「五月蠅いぞ齧歯類!」
耳を押さえ出てきた出っ歯に魔理沙はそう混乱した頭で一喝した。にとりは気絶していた。
「ああ、それであの目覚ましをもってここまでやってきたのか」
それから数分後。魔理沙は不動産屋を家の中に入れ、にとりが回復するまでの間、事情を説明し合っていたのだ。
「ええ、そうですよ。イタズラもほどほどにしてください。いつだって尻ぬぐいをするのは我々、善良な大人なんですから」
そう、魔理沙たちを大人らしくしかる出っ歯。
魔理沙とにとりの大音量アトランダム起動目覚ましによる仕返しは予想以上に効果があったようだ。それこそ隣の部屋だけではなく近隣住人にさえも。ベルの音はにとりたちが考えていたよりも大きく聞こえていたようで、騒音被害を受けた近隣住人たちは長屋の管理人である出っ歯に訴えでたのだ。騒音の原因は鍵もかけずに出て行ったにとりの部屋からすぐに見つけ出すことはできたのだが、そのタイミングでもベルは鳴り出し、しかも、その場にいた誰もにとりお手製の目覚まし時計を止めることはできず、かといって職業意識か、客の持ち物を勝手に壊すことはできないと出っ歯は仕方なく持ち主に止めて貰うためにこうして魔法の森の奥深く、霧雨邸までやってきたのだ。
「まったく。途中で巫女にここにいること教えてもらわなければ、怪奇ベル男として私は幻想郷から追い出されているところでしたよ」
「妖精に音消せる奴がいたからそいつに頼めば良かったかもな」
他人事のように笑う魔理沙。はぁ、とにとりと出っ歯は頭を抱える。
「まぁ、けど、にとりの隣の部屋のばあさんも悪いんだぜ。かなり偏屈の意地悪ばあさんで、愛想も悪いって言うし、私も一昨日、行ったんだけれどあの酷い匂いはそれこそ苦情もんだぜ」
なぁ、にとり、とこちらが一方的に悪い訳じゃないぞ、と言い訳がましいことを言い出す魔理沙。にとりの良心としてはそんな話には乗れなかったが、かといって魔理沙が行っていることも事実だ。にとりは曖昧に頷き、
「ええ、一体、何人家族かは知りませんけど、せめて、夜中にべちゃくちゃと喋るのだけはちょっと…」
そう困ったそぶりを見せる。あの老婆たちは自分ではどれだけ文句を言っても聞いてはくれないだろうが家主から直接言われれば少しは自重してくれるかもしれない、とにとりは出っ歯に期待をかける。けれど、出っ歯はえっ、と声を上げ訝しげに眉を潜めるだけだった。
「五月蠅い、ですか。話し声が? そんな馬鹿な。あの部屋はあのお婆さんにしか貸していませんよ」
今度はにとりの方がえっと声を上げる番だった。
「あの部屋は一人暮らし用として貸し出しているんですよ。誰か他の人と一緒に住むのは契約違反です。まぁ、こちらも一人連れ込んだぐらいではそう強くは言いませんけれど…その河城さんの話だと大勢いるように聞こえましたが、あの部屋の間取りは河城さんにお貸しした部屋と一緒ですよ。住めてもせいぜい、二人。家族住まいなんて無理ですよ」
そんな、でも…とにとりは毎日、壁越しに聞いていた声を思い浮かべる。青年と同い年ぐらいの若い女性の声、性別は分からないが年が少しばかり離れた子供たちの声、そして、あの家族の中で唯一、そう、唯一だ、にとりが家族暮らしだと思っていたのに唯一その姿を見たことがあるあの老婆の声、それだけ多くの声が聞こえてきていたのだ。
「どういうこと…なんでしょう」
「……私にも分かりかねますが」
「なぁ」
呆然とする出っ歯とにとりに割ってはいるように魔理沙が発言の許可を求める。
「ところで齧歯類のおっさん。聞きたいんだけど。近所のおばちゃんおじちゃん連中は分かったんだが、その私らが仕掛けた目覚まし時計への苦情。私たちの目論見通り、にとりの隣の部屋の奴からは出てきていたのか?」
沈黙が答だった。
嫌な予感がする、と三人はあの長屋へ向かうことに決めた。
すいませーん、と出っ歯が件の老婆が一人で借りている部屋に向かって声をかける。返事はない。だが…
「話し声が聞こえる…」
楽しげな家族の会話が確かに部屋の中からは聞こえてきていた。今日、山で何を採ってきたのか、新しく着物を仕立てたんだけれど、どうかしら、この前食べたお菓子、美味しかったね、またつくってよ…等々。そんな楽しそうな家族の会話と共に鼻がひん曲がるような嫌な腐敗臭が漂ってきていた。楽しげな会話と臭い匂い。悪趣味でキチガイじみた対比にその場にいた誰もが嫌悪を表していた。
「誰も出てきませんね。閂がかけられているみたいですし」
戸を引っ張ってそう口にする出っ歯。戸は押せども引けども開くことはなくガタガタと揺れるだけだった。鍵がつけれるようなタイプの戸ではない。恐らく後ろから支え棒を引っかけているのだろう。どうしようかと出っ歯が思案していると魔理沙が歩み出てきた。
「退いてろ。私が開ける」
そう、了承もなく障子戸を蹴破る魔理沙。前から一度、やってみたかった役なんだ、と笑うが強がりを言っているのは間違いなかった。
「うっ…」
開け放たれた扉からは更に酷い悪臭が漂ってきた。
それでも怯まず、真っ暗な部屋の中へ足を踏み入れる魔理沙。続いて出っ歯が。遅れてにとりが入る。
「おい、いい加減出てこい婆ぁ! 家賃の支払いが三ヶ月も溜ってるぜ!」
「いえ、二ヶ月ですよ…」
「払ってないのは本当なんだ…」
部屋の中は暗く、破った戸から差し込む光だけではとても室内は見渡せなかった。魔理沙が最後に入ってきたにとりに窓を開けるように命令する。間取りは隣のにとりの部屋と一緒だ、それなら眼を瞑ってでも何がどこにあるのか分かるだろうという考え。頷き、にとりは真っ暗な中、何とか靴を脱いで上がり、部屋の中へ進む。
と、
「きゃっ!?」
闇の中でにとりは意図していない場所で何かにぶつかった。ううっ、とぶつけた鼻をさすり、手を伸ばしてぶつかった物が何なのか、調べようとする。高さはにとりよりも大きく、何かごわごわした布のような物にくるまれているようだ。形状は手触りだけでは分からない。もう、無視しようかな、とにとりが手を下ろすと不意にソレは、
『ところでさ、花見だけれど、今年は何処に行く? やっぱ、神社かな』
若い男の声でそういきなり話し始めた。次いで、闇の向こうから、『そうねぇ。山に行くのもいいし』なんて若い女性の声や『やったー』とはしゃぐ子供の声まで聞こえてくる。
「わわっ、すいません!」
ぶつかったのが部屋の住人だと知って条件反射に頭を下げるにとり。けれど、いや、当然か、『彼』からにとりを嗜めたり怒ったりするような声は返ってこなかった。かわりに花見についての相談をずっと、おそらくは闇の中へ起きっぱなしであろう『彼』の『家族』と続けているのだ。描写しきれない負の感情を浮かび上がらせ、にとりはカタカタと震える。
「にとり、どうしたんだ?」
魔理沙の声にはっと我を取り戻し、にとりは『彼』を避けるように回り込むと窓際まで歩いて行った。そうして、意を決して、突き上げの窓を開ける。暮れなずむ夕日が開け放たれた窓から斜めに入ってきて暗かった部屋を照らした。
「っ…!?」
誰もがその眩しさに目を細める。
暗闇になれた瞳孔では痛いほどの眩しさの中、部屋の中に立ったまま、話を続ける『家族』の姿が見える。
五人家族だ。
お父さんとお母さんと兄妹が二人。お婆さんが一人。
老婆の息子と嫁は木と鉄でできていた。その二人の子らも歯車とゼンマイ仕掛けで動いていた。それらはマネキン人形だった。身体に仕込まれた家族団らんの話し声をにとりが作った目覚まし時計よろしく、適当に話し合うだけの。それ以上の機能のない人形だった。服を着せられ、一見だけなら人のように見えるほどよく作られてはいるが、それらは、この『家族』は人形だった。
「うっ、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
そうして、その部屋の中央。『家族』に見守られるよう、或いは忘れ去られているよう、家族の最後の一人、老婆は布団の中で死んでいた。
死後、数日は経っているのだろう。灰色になった皮膚はただれ、ドロドロに溶けた肉が汁となって布団を汚し、何十年も使われていない古井戸のようにぽっかりと開けられた口の中にはウジ虫が這い回っていた。その上を親か兄たちか、成虫になった蠅たちが飛び回っていた。
部屋から漂ってきていたこの腐敗臭は老婆のものだった。
にとりはその場に盛大に戻した。
悪臭になれた鼻に、新しく、すえた胃液の匂いが届いた。
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「ふぅん、そんなことがあったのね」
それから数週間後。新居の落成式の席でにとりと魔理沙は遊びに来ていた友人たちにその話をした。
魔女はつまらなさそうに反応を返し、天狗は記事にするつもりかせっせとメモをとり、巫女は興味がないのか、カッパ酒を煽っていた。
「うん、お陰でその後も散々だったよ。そんな隣の部屋でまともに住めるわけはないし、不動産屋も気味悪がって、ついでだからってすぐに長屋は取り壊しが決まってさ。でも、家賃は返ってこなくって。まったく。家はきちんと選ばないと駄目だね」
「まぁ、その後はタダで魔理沙の家に厄介になったんだからいいんじゃないの」
「なんですって!」
話に参加する気があったのか、唐突ににとりが秘密にしていたことをぽつりと漏らす霊夢。きぃぃぃ、とヒステリックにパチュリーはにとりに詰め寄った。わわわっ、と身体を小さくさせるにとり。
と、
「あれ?」
予想ではもう一人ぐらい、魔理沙の家に長々と泊まっていたにとりに詰め寄る人物がいたはずなのだが、予定に反してその人物は押し黙り、考え込むよう顎先に人形作りで名を馳せた自慢の指を押し当てていた。
「どうしたんだアリス」
「ん…ちょっと」
魔理沙の言葉にも心ここにあらずと言った調子で応えるアリス。どうかしたのかと皆の注目がアリスに向けられる。アリスは期待に応えるためか、ゆっくりと顔を上げるとにとりへ視線を向けた。
「ねぇ、その家ってここから近いところよね。で、そのお隣に住んでらっしゃったお婆さんって杏みたいな顔をした背の低い方じゃなかったかしら」
「う、うん。しなびた、って形容詞をつけたいところだけれど」
にとりの応えにああ、だったら、と頷くアリス。
「その人形、たぶん、私が作ったものね。何年か前に、そんな感じのお婆さんに『家族が亡くなって寂しいから家族の代りになるような人形を作って欲しい』って頼まれたのよ」
他にそんな奇特な注文をつける人間もそんな人形を作れる人形術士もいないしね、きっと間違いないわ、とアリス。
「あっ、アンタの仕業か! アレ!」
珍しくにとりが憤るのも無理はなかった。アンタのせいで私はどんなけ、しんどかったか! それにおしっこちびるほど吃驚したんだぞ、とアリスに詰め寄る。アリスは涼しい顔をして肩をすくめて私のせいじゃないわよ、とにべもない態度。
「でも、おかしいわね」
にとりの相手をする気はさらさらないのか、魔法使いらしく探求者の顔つきで訝しげにアリスは眉を潜めた。
「その人形、ゼンマイ式よ。一日一回、ねじを巻かないと喋るはずがないわ。お婆さんが死んでたって言うなら―――ねじを巻いていたのは一体、誰なのかしら…」
END
妖精大戦争してたら…
グ ラ ボ が 爆 発 し た !
比喩的な意味じゃなくて、マジで。
コンデンサが内側から破裂してました。おのれ、三月精め…俺が漫画を買ってないからって…
>>10/09/28追記&手直し
わぁっ、コメント沢山ありがとうございますってか、手なりでかいてたらいろいろ矛盾がががががが。
書いている方としては文面以上の意味はなかったつもりなんですが…
人体って夏場に数日ほおって置けば腐りますよね…?
むぅ、やはり自分にはミステリーは書けそうにありません。あとギャグ。
お騒がせして申し訳ございませんでした。
sako
http://www.pixiv.net/member.php?id=2347888
- 作品情報
- 作品集:
- 20
- 投稿日時:
- 2010/09/25 12:17:40
- 更新日時:
- 2010/09/28 01:02:46
- 分類
- にとり
- ホラー
- マンショントラブルの第一位は近隣住人の騒音です
不動産屋さんが、最終回を迎えた朝の連ドラの影響か、
水木しげる作品に登場するモブキャラに思えました。
PCにとって、グラフィックスボードは重要パーツです。
以前、PCが起動しなくなったとき、
グラボの放熱板に付着した埃を吹き飛ばしただけで元に戻りました。
にとりはこういう役割がかなり似合う気がします
あと何故か自分も不動産屋さんをゲゲゲの鬼太郎チックに想像してたw
死後数日を装える程度の能力
夏の終わりにひやりとさせていただきました。
婆は、2ヶ月家賃滞納してる←にとり『でも、家賃は返ってこなくって。』
にとりは前払い2ヶ月契約してたから、返ってくるとしたら1ヶ月分
つまりにとりが来る1ヶ月近く前に死亡?
にとりは誰と話していたか。
@婆ァは実はまだ生きている
A幽霊になって会話したりゼンマイを巻いている
B初めから婆ァは人間ではく何か
Cその他
せめて推理できるものなのかどうなのか教えて欲しいよ
考えちゃうから
怖いな、このおち
いろいろ想像もふくらんで面白い
……でも、すべて読み終えた後「なんだぁ、にとり死なないじゃないか。よかったぁ〜平和だった」と安堵してしまう此処は産廃w
>お父さんとお母さんと兄妹が二人。お婆さんが一人。
何年前の話だよってな。