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『やった、幻想郷に侵入できたぞ!!』 作者: ちんぽ
「やった、幻想郷に侵入できたぞ!!」
目を開けると、そこは日本の原風景っぽい景色だった。
「……空気が綺麗過ぎて気持ちわりーな……寒みぃーし……」
青年の目の前には大きな湖と、木立と草原が広がっている。
既に陽は落ちかけて周囲は暗くなり、冷たい風が山のほうから吹き下りていた。
しばらくその場に立ち尽くしていると、青年の胸中に一抹の不安がよぎる。
「くっそ、ここどこだよ…… どっちを向いても、人里どころか建物なんて
全然見当たらねーじゃん」
幻想郷に侵入する方法、その情報を入手したまでは良かった。
中に入ってさえしまえば、後はどうにでもなるだろうと楽観視して禄に準備も
整えず飛び込んできていた。
「……誰かー!! ……誰かーいますかー!!……」
返事は返ってこない。
周囲から陽の赤い光が失せて夜の暗さが辺りを包む。
青年は、微かな星と月明かりだけでも歩き回れるだろうと思っていたが、
実際には手の届く範囲から先は暗すぎて凹凸や輪郭をぼんやりと感じるのが
精一杯でとても満足に進めるものではなかった。
あてどなく歩き、木の枝や草いきれの先端で軽装の上から肌を傷つけ、
地面の凹凸や気付かぬ石つぶてを踏みつけて足をくじく。
青年はその場にうずくまり、くじいた部分の焼けるような痛みをさすり
ながら目に涙をにじませた。
「……妖怪でも、なんでもいいから、誰か出てこいよぉ……」
人里にたどり着けば、何かしら食べ物は手に入るだろう。
森を歩けば、木の実か何かがあるだろう。
青年の甘い先入観は垢のように零れ落ちて、侘しい現実の地肌が
見えていた。空腹のために腹の鳴る音が頻繁に立つようになっていた。
青年は膝を抱えてうずくまっていたために気付くのが遅れた、何かが
自分のすぐ近くまでやって来ていたのだった。
脅えた青年は反射的に立ち上がり、痛めた足に体重を乗せた拍子に
転げて倒れた。
腹ばいになってまだ慌てている青年に、何かは声をかける。
「あんた、外から来た人か?」
「へっ!? ……へっ!? 人間……」
青年の前に現れたのは、人間の男だった。
男は自ら背負ってきた背嚢を下ろすと、風を避けられる小さな囲地に
青年を移してその場に火を焚き、多くは無いが食べ物を用意して与えた。
弱っていた青年は火に当たって暖まり、食事を取って落ち着きを取り戻した。
焚き火の明かりに照らされて今は男の顔が見える、男の風貌は現代社会に
暮らす一般人のそれには無い、修羅場を潜り抜いた者っぽい雰囲気がある。
青年は遠慮がちに尋ねてみた。
「あなたは、幻想郷に昔から暮らしている人なんですか?」
「ああ、いや、15年前に迷い込んだ、いつの間にかな」
あんたと同じ、外来人ってわけだ
男は青年を見据えて言った。
「東方、かな? 君が、ここへやって来た理由は」
「そうです、あの、あなたも東方を知っててここへ来たんですか?」
男は首を横にふった。
「ここに流れ着いた当初は聞いたこともなかった、君みたいに、
わざわざ自分で飛び込んでくる連中から何度となく聞かされたよ」
博麗神社に行きたいか? 男は青年に尋ねた。
「あ、はい。そこから外に帰れるんですよ。他の人らは教えて
くれなかったんすか?」
「いや、親切に教えてくれたよ、皆な……」
焚き火の火勢が衰えている。
「あの、俺、このへんで焚き木でも探してきましょーか」
男は手で申し出を制した。
「馬鹿か、自分の身をわきまえろ」
青年は危機感を無くしていた。自分はやはりついている、この調子なら
行く先々でもきっと助けが得られるだろう、と。
その安易な気持ちを、顔つきや態度から汲み取った男は眉間の皺を
歪めた。ゆっくりと立ち上がり、星空をさっと眺めるとある方向を
示して青年に聞かせる。
「博麗神社は、だいたいこの方角を行った先にある」
「あっ、そうなんですか、ありがとうございます。途中に寄れる村とか
館とかってありますかね?」
男は青年のどこまでも浮ついた質問を無視した。
「距離にして、こっから大体1200Kmはあるだろう」
青年はきょとんとした表情をする。冗談か聞き間違いかといぶかしんだ。
「この幻想郷にも輸送機関はある、ある地域間を結ぶ鉄道だけだがな。
博麗神社ってのは、ものすごい辺境だから最後は馬か荷車を使うだろう。
歩いてでも辿り着けるけどな」
「あなたは行ったことがあるんですよね? 博麗の巫女っていました?」
男は深いため息をつく、そして思い出したくない記憶に再び目を向けて
しまった。
「博麗神社の方角に進めば進むほど、妖怪は強く残忍な奴が多くなる。
略奪者や無頼の武装集団も無数に巣食っている。力の弱い小国や
コミュニティばかりになるからな」
何をばかな、と青年は小笑いを浮かべる。自分の知っている幻想郷とは
違う話をする男のことを、一転して哀れな者を見下す優越感を以って
接していいのだと再認識する。ようするに、目の前の人物をなめた。
男は横になり、青年からそっぽを向いて毛布を被った。
「早く寝ておけよ、明日からお前はだいぶ歩かなきゃならんのだから」
青年はくじいた足首に手をあてた、男がほどこした手当てによって
だいぶ痛みも熱も引いている。この分なら、明日には元通り歩けそう
だと思えた。
青年は一切の不安も心配も抱かず眠りについた。
明日から始まる、幻想郷と東方の魅力的な人物たちと自分の交流を
想像するだけで幸せな希望に満たされた。
一夜明けて青年が目を覚ますと、男の姿は消えていた。
青年は軽くパニックになり、ひとつ高い場所に登って周囲を祈るような
気持ちで見渡すが、人の姿はどこにも見つけられなかった。
口をぽっかりと開けたまま、信じられない、裏切られた、という面持ちで
焚き火跡に戻ってみると地面には男が残したらしいメッセージと
古びた小刀が置かれているのを見つけた。
『このあたりは口に入れられるものが何も無い、諦めずに進め↑』
「あ、あ、あきらめるなって、お前……ふざけんなよ……」
青年は小刀を握り締めると、先ほど登った小山の頂に行った。
吹きすさぶ風、地肌の露出した大地、まばらな草木、ひび割れた湖底を
覗かせる死んだ湖……
吹きすさぶ風の飛び込む音だけが、青年の耳に入り続けていた。
吹きすさぶ風だけが……
例大祭SP行ってみたら、想像してたっちゅうか期待してたようなのと
違ってたねん、なんか自治体のイベントみたいな感じで薄味しょっぱかったねん
ちんぽ
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/28 10:03:18
更新日時:
2010/09/28 19:03:18
気の毒すぎて・・・うん・・・
ていうか、お前は俺
「食べるまで中身が分からない」って
「食べてから文句を言っても遅い」ともね!
この青年は
日本横断かよw
妖怪の山のお茶の間に笑いをもたらします。
「記念すべき2000人目の挑戦者です! 彼はどこまで生き延びられるでしょうか!?」
……ってのを外のテレビ知ってるサナエー辺りが提案してそう。