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『無意識流使役術』 作者: kid.L

無意識流使役術

作品集: 21 投稿日時: 2010/09/29 17:49:53 更新日時: 2010/09/30 14:20:38
私の目が覚めるとそこは、小さな倉庫のような場所だった。
例えるなら、馬小屋のような匂いがした。その湿った匂いとは裏腹に、余計な雑草やゴミは落ちておらずどこか清潔な印象を与えた。
私は、意識が飛ぶまでのことを思い出そうとした。
確か私は友達と遊んでて、そして、かくれんぼをしようと一人が言い出して、そして、私は木の陰に隠れて。
そして、急に意識が飛んで、そこからは思い出せない。
私は、入り口であろう扉を引っ張ってみる。案の定鍵が掛かっていた。
大声で扉を叩きながら声をあげてみる。5分ほど続けていたが、そもそも人通りという物がこの小屋の外に無さそうであった。
出られる見込みがない以上、体力を消耗するのも問題なので私はその場に寝転んだ。

「おーきーてー。私の新しいペットさん」

私は、体をぶんぶん揺さぶられる衝撃で目を覚ました。
私が「は、はひぃ」と寝ぼけたように返事をすると目の前の少女はにっこりと微笑んだ。

「よかった、もしかしたら強く殴りすぎて死んじゃったかも、って思ってたのよねー」
「え、はあ、そうですか」
「えへへー、可愛いなあ私のペットさん。名前何ていうの」
「そ、そんなことはどうでもいいですよ!ここから出し」

ばしん。
私は、突然の衝撃で地面へと倒れこんだ。冷たい地面にしたたかに頬を打ち付けてから、自分が頬を平手打ちされたのだと気付いた。
「こいつに殺される」という意識が頬の打たれた熱さと共に全身を駆け巡った。

「もー、言うことを聞かないペットは駄目ですよー」

私のその戦慄を裏返すように、そいつは思い切り猫なで声で私へと話しかけてきた。
倒れた私を猫でも抱きかかえるようにひょいと抱えて、じっと目を見つめてきた。

「名前は何なの? ペットさん」
「……つかさ」

私は、これ以上痛い目に合いたくないと思い。素直に名前を答えた。

「つかさちゃんって言うんだ。私は古明地こいしっていうの、よろしくね」

こいしは、笑顔でそう言うと私を床へと下ろした。そして、扉を開けて出て行ってしまった。
私は、急に涙があふれてくるのを感じた。何でこんな目に合わなければいけないのだ。
いきなり拉致されて、殴られて、それでペット扱いだなんて……。
私は、小屋の天井を見上げながらしばらく涙を流し続けた。

少しの間泣き続けると、ようやく悲しみは収まった。
悲しみが収まるのと同時に忘れかかっていた本能的衝動、尿意が襲い掛かってきた。
慌てて周囲を見渡すが、厠らしき設備はこの小屋の中には見られなかった

「こ、こいしさん! こいしさん!」

私は、扉を全力で叩きながらこいしの名前を呼んだが、こちらに来る気配は一向になかった。
私はもう一度周りを見渡してみたが、やはり用を足すように作られたような所はない。
意を決して、私は出来るだけ隅の方へと行きパンツを下ろして用を足した。
尿と一緒に、人間の尊厳と言うか大事な部分が流れ出していく気がした。
すごく不本意な形になったが、無事に用を足して元通りパンツを穿いて振り向くと、そこにはこいしが立っていた。
私は、背筋に悪寒が走るのを感じると同時に謝罪の言葉が口から出ていた。

「ごめんなさい! どうしても我慢できなくて、それでこうするしかなくて! 汚してごめんなさい!」

怒られるか、そうでなくても一二発は殴られるのを覚悟していた。
ところが、こいしは全くその様子はなく、むしろ最初からずっと同じような笑顔だった。

「ああ、ごめんねー。今すぐタオル持ってくるから拭いてあげる」
「ええ!? いやいいです、自分で出来ますから!」
「駄目だよ! ペットの後始末は飼い主の仕事だから。じゃ、待っててね」

こいしは急いで小屋から出て行った後、あわてて濡れタオルを持って戻ってきた。

「はい、じゃあ拭いて上げるねー」
「きゃ、やめて!」

そう言うとおもむろに私の服を脱がせてきた。私は、咄嗟にこいしの手を振り払った。
こいしが、少し険しい表情になるのを見て私は咄嗟に弁解した。

「ごめんなさい。急に触られてびっくりしちゃって……っ!?」

私は、突然の出来事に目の前が真っ白になった。
こいしは、私に突然キスをしてきたのだった。もちろん、私にとっては初めての経験である。
そして、時間にして3秒たった後私の唇から離れるといたずらっぽく笑った。

「はい、これでどうでしょ!」
「へ、あれ!? きゃあああああああ!!」

いつの間にか、私の服は脱がされていた。
そのまま行けば嫌われるのでキスで気を惹いてる間に服を脱がせるという、こいしなりの気遣いなのだろう。
それにしても、あまりに自然にやってのけるものだから、驚きと羞恥で頭の中がぐしゃぐしゃになっていた。

「はーい、じゃあ拭いて上げましょうねえ」

まるで、母親が赤ちゃんに呼びかけるような甘ったるい声を上げながら私の体を拭き始めた。
私は、くすぐったいやら恥ずかしいやら声を出すことも出来ずになすがままにされていた。
こいしは、一通り私の体を拭き終わると、手馴れた様子で服を着せなおしてくれた。

「はい、これで終わり。後はえーっと、あ、そうだ。ご飯」

ご飯、そういえば確かに空腹だ。朝ごはんを食べた後に遊びに出かけたのだから、そろそろお昼の時間だ。
しかし、この劣悪な環境で一体どれほどの食事が出るのだろうか。私は、恐れ半分好奇心半分を胸のうちに膨らませていた。
だが、私の期待はとんでもない方向に裏切られた。

「はい、どうぞ」

こいしは、そういって手のひらを私のほうに向けてきた。私は、この少女が本気で気が狂ってるのではないのかと疑い始めた。
空っぽの手のひらをこちらにむけてどうぞ、と言われても私はどうすれば良いのだ。

「あの、こいしさん。どうぞって言われても」
「良いから、早く食べてよ」

こいしは、至極真面目な表情で私の顔を見つめてくる。

「食べてよ、って言われましても」
「あ、おなか空いてないんだ、それじゃまたね」

そう言うと、こいしはさっと扉の外に出て行ってしまった。私は、混乱しながらも次の食事へと希望をはせることにした。
もしかしたら、今のはただの勘違いで次はちゃんとした、いやちゃんとしなくてもいいから何か食べ物が来るはずだ。
私は、体力の消耗と空腹の進行を抑えるために床へと寝転がった。


目が覚めると、いよいよ無視できないレベルまで空腹が進行していた。
扉の隙間から見える外の景色は、既に夜であった。
私は、寝起きの小を部屋の隅で済ませ、じっとさっきまで寝ていた場所へと横たわった。
不思議と、気温は全く寒くはなかったが、空腹から来る気力の消耗により、少しずつ体が震え始めていた。
何でも良いから食べ物が欲しい。おなかすいた。ぎゅるるるるる。
私の思考に呼応するように、お腹が鳴った。お腹が鳴ったという事実に、さらに空腹が進行し始めた。
そうして、空腹との凌ぎ合いを半刻ほども続けただろうか、小屋へと近づいてくる足音が聞こえた。

「つかさちゃーん! お腹空いたでしょー!」

そう言ってこいしは私の元へと歩いてきた。私は、這ってこいしの足元へと移動した。

「ちゃんと綺麗にしてきたの。はい、どうぞ!」

こいしは、そう言って昼と同じように私の鼻先へ、手のひらを差し出した。
私は、落胆を感じた。やはり、この少女は狂っているのだと。
しかし、私の中に少し、変な感情が芽生えているのに、私は気付いた。

おいしそう。

目の前の少女の可愛らしい手が、凄くおいしそうだと感じていた。
人間である私は首を振ってそれを否定するが、私の中の獣が少しずつその手のひらに狙いを定めつつあった。
私は、突如心の中に沸きあがってきた火山の溶岩のような情動を押さえ込めなくなってきているのを感じた。
こいしは、私のその感情に気付いたか気付いていないか、私の瞳をまっすぐに見つめて言った。

「め・し・あ・が・れ♪」

その一言で、私の中の理性が音を立てて崩壊した。私は、自分でも驚くほど乱暴にこいしの手のひらへと噛み付いた。
私の犬歯がこいしの皮膚を乱暴に食い破り、肉の中へと食い込んでいった。血の味が口の中一杯に広がり、私の舌の上を流れて喉へと染み込んだ。
私の中にはこいしを食しているという征服感とこいしの元へと堕ちてしまったという被征服感が同時に湧き上がっていた。
最初の肉塊を口の中で味わいつくしたあと、それを飲み込んですぐにまた齧り付いた。
骨の周りの肉をしゃぶり、爪をかりかりと噛み砕いて味わい、肉を舌の上で転がして楽しんだ。
空腹が収まり、ふとこいしの顔を見ると、今までにないくらいの笑顔だった。

「私は妖怪だから、気にせずにいいのよ」

私はその言葉にじゃれ付くように、こいしの上へと圧し掛かり、地面へと押し倒した。そして、こいしの上半身を纏う服へと噛み付き、思い切り引き千切った。
こいしの綺麗なお腹が露出する。まるで、つき立てのお餅のように、つやつやと綺麗に輝いていた。
私は、こいしのお腹へと思い切り噛み付いた。腕の肉とは格段に違う、恍惚とするほどの充実感が私の口内を満たした。
既に空腹は満たされつつあったが、目の前の獲物を完全に食する形で支配せんという獣の本能だけが私を動かしていた。

「ご主人様、大好き」

私の口から自然に言葉が零れ落ちていた。こいしは、真っ赤な顔で笑った。
私が、こいしの血で汚れた顔をぺろりと舐めると、嬉しそうに私を抱きしめてくれた。

「やっと、私のものになってくれたね。つかさちゃん」

こいしが、耳元でそう囁くと私の中の私が喉をごろごろと鳴らした。
私は、頬をすりすりと擦りつけた。私の中の誰かが「あ、猫みたいだ」と思ったがその意識はすぐに流れていった。
真っ赤な世界の中で、ご主人様の腕に抱かれながら、私はゆっくりと無意識の夢の中へと沈んで入った。
「初投稿ですどうも。こいしちゃんがペットを作る時はたぶんおそらくきっとこんな感じ」
kid.L
作品情報
作品集:
21
投稿日時:
2010/09/29 17:49:53
更新日時:
2010/09/30 14:20:38
分類
こいし
1. 名無し ■2010/09/30 05:15:53
初投稿いっぱいで嬉しいなあ
こいしちゃんまじ狂気
あんぱんまんなその身体を私にも食べさせてー
2. 名無し ■2010/09/30 15:31:11
一晩食わないだけで妖怪を食えるようになるのかー
今日から僕も断食だな
3. 名無し ■2010/09/30 17:02:06
人間が妖怪を食べる……自分には新しいジャンルにぞくぞくした。
ごちそうさまでした
4. 名無し ■2010/09/30 17:42:14
腹減ってても多分手は無理!
・・・俺なら腹からかな〜?
5. 名無し ■2010/10/01 12:01:21
こういう餌付けはたまらんですね
6. レインチャイルド ■2010/11/14 22:47:58
逆にこいしちゃんを首輪つけてペットにしたい!。そして、物理的な意味ではなく性的な意味で食べたい!!
それができたら、毎日がたのしいだろうなぁ・・・・・(願)。
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