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『東方ドラグーンボール』 作者: ちんぽ
今から60年ほど前のことであったか……
全て集めた者のあらゆる望みを叶える力があるという伝説の宝玉、
その名も「ドラグーン・ボール」が一堂に集められたことにより
幻想郷に龍神が顕現した。龍神は、ボールを集めた者らの願いを
全て叶えると再び60年間の眠りにつき、ボールは虚空の彼方へ
と消えて今ではその物事や存在を知る者もわずかとなった……
所はある街に賑わう市場の片隅、語るは占師を生業として町
に暮らす、天狗の老婆である。
語りに耳を傾けるは、森近 霖之助という古道具屋の店主だ。
彼は偶然手に入れた、橙色に透き通る宝玉をこの占師に視させ
る為に手渡していた。
市場特有の穏やかな喧騒、賑わいの音が絶えない。
占師の老婆は両手で宝玉を包むように持ち、掌で味わうが如く
ゆっくりとした動きでさする。そして宝玉を霖之助に差し出す。
視終わったから返す、早く受け取れという意味である。
霖之助は無言で宝玉を受け取ると、それを手早く鞄にしまって
占師に問うを続けた。
「僕もこう見えて、割と長くは生きているけれど、そんな話は
今始めて聞いたよ。その伝説とは御伽噺か、なにか架空の
物語の類ではないのですか」
「事実」
占師の老婆はその一言を最後に口をつぐんだ。これ以上を喋ら
せたければ、追加の金を払いなされ、という意味である。
ふむ、そう溜息を残して霖之助は占師の前を立ち上がり、礼を
言うと立ち去った。霖之助には、この宝玉について名前しか
知ることができなかったのだ。占師が語った内容だけでも、
次の買い手に話す売り文句に使えるだろうと算段を付けた。
霖之助が立ち去った後、占師の老婆は薄く目を開いた。
先ほどの客が持ち込んで自分に見せた宝玉、それは彼女自身が
六十数年前にその目で見、その手で触れたことのある、あの
宝玉ドラグーンボールの一つであった。
当時の空気、当時を生きていた者達の声や顔、ボールを巡って
繰り広げられた、血生臭い争いの連続。そういった記憶が新鮮
さを帯びて、彼女の脳裏に呼び起こされたのだ。
「……ただの石と化して飛び去っていった……あれら災いの玉
がもう……もしやすると、再びこの地に……」
声にならぬ声で呟きを紡ぐ、ひとしきり呟くと、老婆はそれき
り目を閉じて眠りこけてしまった。次の客がやって来るまで。
霖之助は自分の住居兼店舗に帰宅すると、その日はもう深夜と
なっていたので店の仕事はしないと決めた。
鞄から取り出した宝玉をひとしきり眺め、調べながら床の中で
眠りに落ちた。
魔法の森の入り口あたり、有象無象の生物らが漏らす音の絶え
ない夜であった。
魔理沙「ドラグーンボールか、いいな、なんでも願いを叶え尽くすっつう、そのいわくが魅力的だぜ」
霖之助「だろう? 今日買わなかったら、きっと他人に売れてしまうだろうね。
自分の手元に置くなら、今が最後のチャンスかも知れないな、魔理沙?」
魔理沙「ああっ、そうだな香霖。でも私はこう見えて、シリーズ物を集めるってのは
苦手なんだよ。うん、全種コンプリートした状態でなら、是が非でも買うさ」
霖之助「馬鹿な、それなら僕が自分の願いを叶えるのに使うさ」
魔理沙「つまりそういうことだな、じゃあ今日は帰るよ」
霖之助「おい、この間のツケ、おいってば! 魔理沙ーっ」
魔理沙「バハハ〜い、香霖、だと!?」
魔理沙は飛び去っていった。
霖之助「やれやれ、こいつならツケを回収する切り札になると思ったんだけどな……」
霖之助は手の中の宝玉、ドラグーンボールを繁々と眺めなつつ、疑問を漏らす」
霖之助「全部、ってことは同じものがある程度の数だけ存在するということだ。」
ドラグーンボール、という宝について、付随させる情報がまだまだ欠落している。
もっと魅力的な情報、いわく、逸話などを揃えていけば、きっと魔理沙か、それ
以外にも富裕な物好き相手に高く売れるかも知れないな、と霖之助は値踏みした。
そして宝玉をそっと棚に戻した……
ちんぽ
- 作品情報
- 作品集:
- 21
- 投稿日時:
- 2010/10/03 09:42:18
- 更新日時:
- 2010/10/03 18:42:18
まあ配役とかいらないしこの終わり方好きだな
なんか想像膨らむし