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『罪と幻想の果てに 中編 東方罪滅劇 -中部-』 作者: ヨーグルト
「はたてさんは気づかなかったんですね」
ミスティアさんは、買ってきたパンをほおばりながらそう言ってきた。
「あの日から20日は経っているんですよ。 そのケータイに間違いはありません」
「どれだけあたしはお寝坊さんなのやら………」
「私たちがこっちがわに脱出するとき、あることを説明されました」
「あること?」
「まぁ、脱出させてくれたのは八雲紫さんなんですが………」
八雲紫………。
私の思考の中では最も怪しい人物………。
でも、私を脱出させてくれたのも八雲紫だろう。
「1ヶ月ぐらいで霧は晴れるだろうとのことです」
「はぁ?!」
「ああぁ………あくまで紫さんの推測なんですけど………スキマをいくつか用意しておいて、それで………排気みたいなことをしてみてるんですって」
「でも、それだけじゃあ消えないでしょ」
「あの霧は、幻想郷の結界を貫通するそうです」
「な」
「紫さんが結界の近くで幻想郷と外の世界を何度も行き来してみたところ、外の世界にも少しずつ漏れていることが分かったんです」
「ありえないわねぇ………」
「つまり、あと10日程度じゃないでしょうか………?」
どうしてそんな考えに行き着くの?
誰かがどのくらい用意して………なら分かるけど、
もし自然に発生したものなら簡単には無くなる時期が分からないんじゃないの?
紫の行動が理解不能だ。
「でもそしたら、外の世界にも影響はあるんじゃない?」
「でしょうね………でももしかしたら」
「?」
「幻想郷の人物にしか効かない霧なんじゃないんでしょうか?」
「それは、どういうこと?」
そんな都合のいい霧があるものか。
「つまりですね、私たちには蒼い霧に見えて、外の世界ではただの霧に見えるんじゃないんでしょうか」
「………」
「あ、これはただの私の推測ですよ………! 自信なんてありません………」
こいつらはグルなのか?
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罪と幻想の果てに
中編
東方罪滅劇 -後部-
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なんやかんややっているうちに、霧が晴れるであろうの予想日の前日になっていた。
食料は当たり前のように尽きているので、再びコンビニに食料を買いに行く。
♪ 〜 入店音
時刻は午後の6時。
妖夢さんのシフトが、午後の8時程度までだったから、何かしらの会話をすることが出来た。
咲夜さんは今日、仕事が入っていないからフリーだった。
「あっちにいた頃は休みなんて全くなかったのよねぇ」
「そりゃあそうでしょう」
今日は珍しく、このコンビニには現在客が来ていない。
だから、私たちの私情の話とかも出来るのだ。
「咲夜さん」
「?」
「あっちに行くのは1日ほど伸ばしませんか?」
「………」
私の質問に対しては無返答だったが、妖夢さんと顔を見合わせてはいた。
その行動がどのようなことを意味するのか………。
「ん〜、じゃあ、あなたを置いて私たちは先へ行きますわ」
「え`」
「今から付いて来るか付いて来ないかのどちらかにしなさいよ? 1人じゃ何も出来ないのだから」
「しょうがないわね………私はもういいんだけど」
「あらそう、早いのね」
私に軽く微笑むと、咲夜さんがケータイを取り出した。
そんなものを何時買ったんだ。
「あ、もしもし? 店長ですか? どうもどうも」
相手は店長か。
「あの、突然ですけど、私、辞めることにしました。 はい、ええ」
「!!!」
うわ〜。
相手がめちゃくちゃキレてるよ。
「では」
最期にいろいろな悪口雑音が聞こえた気がしたが気のせいにしておこう。
私が咲夜さんに目を合わせると、咲夜さんは笑顔をこっちに向けた。
そして。
バキイイィィィッ!!!
と、ケータイを片手で砕いてしまった。
「これで五月蝿いやつからの連絡は来なくなりましたわ」
「も、もったいない………」
ガサっ。
「?」
茂みで何かの足音が聞こえた。
妖夢さんの足音だった。
「ここにいいものが落ちてますよ」
「どれどれ?」
咲夜さんが妖夢さんのところに歩み寄って行く。
「金属バットですよ。 幸い、ほとんど無傷です」
「ほんとに、いいものが落ちていましたわね。 あっちの方でも役立つのではありませんか?」
笑顔を絶やさない咲夜さん。
そして、周りをきょろきょろしている。
「とりあえず、私たちでは持てないから、はたてさん。 貴方が持っていてくれませんか?」
「は?」
「だってその背中のバッグ。 このバットも入るんじゃないんでして?」
「そりゃあ、こっちの世界曰く『野球少年』みたいに見えて違和感なさそうだからね………」
「とりあえず戦利品ってことで」
「あっ」
「妖夢さん、もう何もありませんか?」
「オイルのきれたライターとか」
「使い物にならないわね」
「紫さんの傘とか」
「同じく、使い物にならないわね」
「文さんが使っていたカメラに似ているものもありますよ」
「何でそんなものが捨ててあるのよ」
「魔女の帽子みたいなのもありますよ! ハロウィンでもやるんでしょうか」
「時期が少し早いわよ………」
ちょっと咲夜さん、何か大事なものを………。
「紫さんのかさとかが何で落ちてるのよ」
「え」
あれ、3人の様子がおかしい。
やはり何かを知っているのだろうか。
「どうして固まるんですか?」
「え、いや、はは………」
この3人は何かを知っている………という確信が少し出てきた。
「と、とりあえず、日付が変わる頃にはここに再集合しましょう」
「そうですね、妖夢さん」
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その日の夜。
時間にして10時頃。
「………」
「………」
咲夜と妖夢の2人はコンビニで夜食でも買っておこうという時間。
店内には2人しかいない。
しかし、2人の間に会話は無く、沈黙が続いていた。
「あのさ、妖夢」
「はい」
「もしかして、バレてる?」
妖夢は黙り込む。
「いえ、バレてはいないと思います」
「でも、感づかれるぐらいはあるでしょう?」
「そうですね。 ですが、隠し通すことは無いでしょう。 いずれはこちらから話しましょう」
「その必要はあるの?」
「あるでしょう。 何のためにこんなことをしているのか」
「確かに、特に目的があるわけじゃありませんからね。 あいつらの頼みですから」
「ふふふ………そうね………」
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「………」
「………」
「………」
「………」
時間は12時。
日付が入れ替わった。
ようやく幻想郷に入ることが出来る。
それだけで、私は内心ホッとした。
もう何があっても驚くことは無い。
私に出来る限りのことをする。
「罪滅ぼし?」
ミスティアさんがきょとんとした顔で言ってきた。
咲夜さんだけが集まっていなかったが、気にもしていなかった。
「ああ………霊夢さんを石段の上から思いっきり突き飛ばしてね………」
「本当ですか?」
「まぁ………ね………」
いやいや、今こんなところで沈んでいたらあっちでは何も出来なくなってしまう。
今のうちに精神は明るく保っておかないと。
「それよりミスティアさん。 咲夜さんたちはまだ来ないの?」
「え? あ、何かを準備してから来るとか言っていましたよ。 戦利品とか」
「何のための戦利品なんだか」
「いえほら、誰かが起こしてるかも知れない異変ですから」
「なんでそう思えるの?」
「え?」
私はミスティアさんの両肩に手をかけた。
「なんでそう思えるの?!」
「それは………」
そんな困った顔をされても困る。
何故私以外の人はこの異変のことを軽々しいような扱いをしているのか。
軽々しい扱いではないかも知れないが、まるで間接者のようだと思っている。
「………」
「………ぅ」
目に涙が浮かんできているのが分かった。
何をしているんだ私は………。
「い、いやぁ………」
すごく気まずい雰囲気じゃん。
と、とりあえず………。
その時。
「すいませーん! 待たせてしまいました!」
「どうしても手こずってね………」
「何に………」
咲夜さんたちが「もう行ける」という感じなので私も立ち上がった。
とりあえず、ミスティアさんの手を取り、立たせた。
「本当にごめん………」
「………」
「さぁ、行こう!」
「………うん………」
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幻想郷への生き方はこっちへ来るときと同じだった。
咲夜さんたちはもう、とっくのとうに調べが住んでいて、
外の世界の方では、外の世界の博麗神社の拝殿のど真ん中にあった。
スキマが。
こんなに用意が良いことには、正直、疑問を持った。
しかし、どんな方法で幻想郷にいくことが出来るにせよ、
皆が敵なら排除するか拒絶すれば良いだけだ。
私の考えの中では、ミスティアさんだけが最も『マシ』な人だと思う。
■■■■■幻想郷■■■■■
「………」
外の世界にあったスキマは幻想郷で言う、魔法の森の周辺に繋がっていた。
もちろん、危険性があるため、霧が入りにくい場所に繋がっていた。
香霖堂の奥の倉庫。
この倉庫には入り口が店内からの1つしか無く、
しかも、ものを厳重に管理するため、ドアのスキマはほとんどない。
「これって、ここは大丈夫でも外に出たら危ないんじゃないんですか?」
妖夢さんが咲夜さんに問いかけた。
「心配することは無いと思いますが………」
「そんなものなの………」
最初に床に足をつけたのは咲夜さんだった。
慎重というより、何にも恐れない感じの足取り。
「さ、咲夜さん? そんなにどんどん進んで行くことは無いんじゃないんですか?」
「心配することは無いわよ、妖夢」
咲夜さんがドアノブに手をかけた。
「寸前まで生きていた『あいつ』が言っていたことが正しいのなら、もう霧は無くなっているはずよ」
「あいつ?」
「ほらいるじゃない、長年生きていていろんなことを知っている詳しい人」
「………」
あいつ?
あいつ………あいつ………
あいつ………?
「あっほら、大丈夫ですわよ」
「本当ですね。 これなら安心して進めそうです」
「はたてさんも」
咲夜さんが合図し、妖夢さんとミスティアに手招きされた。
3人が安全というのなら大丈夫だろう。
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店内は当然のようにもの凄く静かであった。
埃をかぶった商品だけが並んでいる。
「ひっ………!!」
足下に何かが引っかかったのを感じた。
咲夜さんがソレに手を当てる。
「霖之助さん………霧の影響でここにずっと倒れています」
「餓死とかはしないんですか?」
「私の推測だけど、植物人間状態というか、生命活動を全般的に止めるんじゃないかと思うの」
「特定の部分は残してということですか?」
「科学がどうのこうのの話だから私には分からないから、これは適当な推測よ」
咲夜さんが店主から離れると、店の戸のノブに手をかけた。
止める間もなく、すぐに捻ってドアを開けてしまった。
霧は無かった。
完全に安全などと言える状況ではないと思うが、霧の被害だけは受けるとは思えない。
もちろん、誰かが考えた『種族問わず霧の効果は有り』というのは当たっていたのか、
この幻想郷の妖怪はおろか、自然生物の鳴き声すらしなかった。
だが、植物だけは生えていた。
「おそらく、魔理沙もアリスも霧を喰らっていると思うから、調べに行く必要は無いわ」
なんとも冷たい発言だ。
そもそも、魔理沙さんは神社の方だと思うんだけど。
「あれ? 咲夜さん。 密閉していれば安全ならば………」
妖夢さんがひらめいたように言う。
「紅魔館でのフランドールさんは生きているんじゃないんですか?」
「え?」
「完全密閉とかが出来てるのなら、フランドールさんはご無事じゃないんですか?」
「………」
霧の原理は未だに分からないが、妖夢さんの推測は合っているのかも知れない。
だが、それはあくまでスキマが全くない『完全な密室』の状態でなくてはいけない。
どちらかと言えば、フランドールの『生存』は絶望的とでも言えるのではないのだろうか。
「はたてさんは?」
「へ?」
「行ってみませんか? 紅魔館に」
「………」
私の目的は………。
私が『殺した』霊夢さんへの償い。
せめてもの………この異変の解明。
「行こう」
「………はい」
「妖夢の言う通りね。 生きている人がいるのなら、調べに行くのが良いわね」
そういうわけで、紅魔館に調べに行くことになった。
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今回の異変はなんとも奇妙だ。
いつもと変わりなかった幻想郷に突然『蒼霧』が発生。
突如として幻想郷を覆った。
発生起源は不明。
1週間前後で幻想郷を『滅ぼした』
「どうしたの?」
「え?」
咲夜さんが私の顔を覗き込んでいたのに気づいた。
今、紅魔館の門にいる。
「怖くなった?」
「いや」
「それにしれも………」
紅魔館に行く途中、私は違和感を感じていた。
道中、鳥の鳴き声も何もしなかった。
それより、何も見かけなかった。
霧の被害にあったから。ということだから、誰も見かけないのは当然だと思うが、
何かがおかしかった。
霧の被害に遭って、その場には誰も倒れていなかった。
家の中に隠れたというのなら問題は無いが、それでもおかしい。
これは個人の勝手な考えだが………。
いつものポジションに美鈴さんがいない。
人里の通りには誰もいない。
「何をぶつぶつ言ってるのよ」
「………」
「それにしても、何で美鈴はいないのかしら………館の中に逃げたのかしら?」
「そうですよね………」
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ギィィィィィィ………。
鈍い音と主に、紅魔館の玄関が開かれる。
約1ヶ月の間は長かったらしく、すっかり重くなっていた。
そういうわけで、4人がかりで開けた。
「うっ………」
「これはひどい………」
もの凄い埃っぽいのだ。
1ヶ月でこんなにたまるものなのだろうか。
どうでもいい。
今は安否が大事だ。
「フランドールさんは最期まで外に出さなかったんですか?」
「ええ、レミリアお嬢様の言いつけでしたから………完全であれば生きていると思いますが」
「それでは、別れて行きませんか?」
「別れて?」
妖夢さんが人差し指を建てて提案をしてきた。
「1人は地下室に行くとか、図書館に行くとか、あとは個人部屋でも厨房でも来客用の部屋でも」
「確かに………それは良いと思うけど」
いい方法だとは思うが、ある意味危険だと思う。
咲夜さんや妖夢さんは良いとして、ミスティアさんが心配だ。
ミスティアさんは妖怪の中でも下のランクの方に入るのだ。
もしも何かがあったらひとたまりもないのではないだろうか。
「妖夢さん」
「はい何でしょうか?」
「見下したいうのも失礼かも知れないけどさ、ミスティアさんは弱いかも知れないから、私が連れて行きますよ」
「え?」
ミスティアさんが目を丸くした。
「ほら、咲夜さんと妖夢さんは十分強い(5面ボス)でしょ?」
「少し納得できないけど良いと思うわ」
「そうですね。 はたてさんと同行したら安心だと思いますよ」
「そうだね………」
十六夜咲夜(5面ボス)
魂魄妖夢(5面ボス)
ミスティア・ローレライ(2面ボス)
やっぱりあの2人は強いと思うな………。
私たちは向き合った。
そして、皆それぞれ手を差し出した。
手を合わせる。
「何もありませんように」
これ以上は何もあってほしくない。
「無事で生きて帰るように」
咲夜さんには心配ない。
「私たちなら出来ます」
妖夢さんなら大丈夫。
「出来るだけのことは精一杯やる………!」
どんなに弱くても大丈夫。
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「どうするの?」
「もうすぐ終わるのだから、その時で良いわよ」
「では、霧の準備が終わり次第、ヤツが特定の位置に来たら噴出します」
「了解」
「あいつの精神は出来るだけ不安定になるようにしろよ」
「そのためのダミーです」
まず始めに。
名前が長過ぎて別の意味で目立ってしまうので、名前を変えました。
何卒、よろしくお願いします。
ようやく、中部が終わりました。
次回で完結になります。
私の作品はあまり人気がないので、次回はグロっぽいものでも足してみようと思います。
「妹様………」
「霊夢さん………文………」
「幽々子様………」
「チルノちゃん………みんな………」
次回、完結。
それっぽい感じで。
それなりには頑張ってみたいと思います。
唯一の悩みは、はたての1人称とかが分からないことです。
他に、他人をどう呼んでいるとか。
ヨーグルト
作品情報
作品集:
21
投稿日時:
2010/10/06 10:59:05
更新日時:
2010/10/06 20:02:44
分類
はたて
妖夢
咲夜
ミスティア
その他
前の長いお名前も個性的で良かったですけどね。
怪しい…5ボス連中が怪しい!!
でも、これがブラフだったら…。
蒼霧とは何!?まさか、化学兵器か細菌兵器!?
無理して新しい技術を入れて作品が悪くなるよりは自分のペースを保ってくださいね
完結編も楽しみにしてます
作品は好きだけどね