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『私の愛しき風祝』 作者: NutsIn先任曹長
幻想郷の何処か。
荒地。
無数の岩塊が乱立している。
この岩塊は、墓標である。
ここには、普通の墓地に埋葬できない曰く付きの仏が眠っている。
かつて、博麗の巫女と呼ばれた、
博麗霊夢もここに埋葬された。
幻想郷の英雄である彼女が何故?
彼女は罪人として死んだからだ。
霊夢は乱心して、
命蓮寺の住職、聖白蓮を、
大勢の目前で殺害したからだ。
霊夢は白蓮を殺害した直後に、白蓮の側近に討ち取られた。
幻想郷始まって以来の大罪人と化した博麗の巫女は、
当然、まともな墓地に埋葬されるわけが無い。
霊夢の死体はしばらく人里で晒された後、
このような辺鄙な場所に、野晒しよりまし程度に葬られた。
辺鄙な場所な上、埋葬されている者も罪人や無縁仏なので、当然、墓参りに来るものなどいない。
いや、霊夢の墓を訪れるものがいた。
妖怪の山にある守矢神社。
そこに住まう二柱の神と風祝。
風祝は携えた花束を手向けた後、
親同然の二人の神と共に黙祷した。
彼女達と幻想郷最悪の罪人の間には、浅からぬ縁がある。
霊夢は、東風谷早苗を愛していた。
早苗もまた、霊夢を愛していた。
ゆえに、霊夢は凶行に走ったのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢が感じた早苗の第一印象は、最悪だった。
ある秋の日のことである。
博麗神社を訪れた一人の少女が開口一番、神社を廃業するように迫ったのである。
彼女は一方的にまくし立てると、飛んで帰っていった。
あっという間のことである。
境内の掃除中であった霊夢は、竹箒を持ったまま呆然とした。
ようやく頭に血が巡ってきて、少々過剰に巡ってきて、
顔を真っ赤にして、頭から湯気を噴出し、
手にした竹箒をへし折った。
今回の件は幻想郷の重要人物である霊夢に対する宣戦布告として、
博麗の巫女が殴り込む絶好の口実になった。
少女が飛んでいったのは妖怪の山である。
神々が住まい、河童が発明に勤しみ、天狗達が閉鎖的ながら社会的に生活していた。
だが、怒れる霊夢にとって、目の前に立ちふさがる彼らは障害物でしかなかった。
出来損ないの隠れ蓑で逃げ隠れする河童や、里で紙くずを撒き散らす烏天狗を締め上げたところ、
最近、山頂付近に湖と神社持参で越してきた神がいるそうだ。
あのアマもきっとそこにいる。
案の定、山頂に向かっている途中で立ちふさがってきた。
霊夢が返答しに来たと思っているらしい。
その通りだ。
霊夢は早速、この女の顔面に左拳を叩き込んだ。
私闘はおしまい。
ここからは、博麗の巫女の仕事だ。
鼻をおさえ、何するんですか、といいながら女は弾幕を放ってきた。
なかなかできる様だ。
そうこなくては。
そうでなくては、こちらも本気を出せない。
霊夢は嗤った。
クソ生意気な女を地べたに這い蹲らせた後、
霊夢は女の親玉である、自称神をぶちのめすために、山頂に向かった。
結局、今回の異変は、幻想郷に不慣れな風祝、東風谷早苗の暴走ということになり、
守矢神社の二柱の神、八坂神奈子と洩矢諏訪子は、外の世界で信仰が集められなくなって幻想郷に移住したものであり、
揉め事を起こしたり、博霊神社を蔑ろにする気は無いという声明を出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢はイラついていた。
縁側で湯飲みを手にしている霊夢の視線の先には、
こじんまりした祠がある。
山頂の新たな神社、守矢神社の分社である。
幻想郷の重鎮達は守矢神社の面々を赦し、新たな仲間として歓迎した。
歓迎と今回の手打ちの証として、博麗神社に分社が建立された。
霊夢はイラついていた。
別に守矢神社に恨みはない。
もう済んだことだ。
ただ、あの早苗とか言う、身なりが自分に似た少女。
巫女であり、風祝であり、現人神である少女。
初対面の相手に高圧的に接した少女。
弾幕ごっこで幻想郷流の礼儀を教えてやった時、霊夢の強さに感嘆して地に伏した少女。
二柱の神と共に謝罪をしたときの楚々とした態度で頭を垂れた少女。
何なのよ。この気持ちは!!
霊夢は、まるで早苗がそこに居るかのような形相を祠に向けていた。
このイラつきの原因は、霊夢自身にも分からない。
霊夢は湯飲みの中身を一気に飲み干した。
湯飲みは、普段霊夢が愛用しているものではない。それよりも一回り大きかった。
中身も、普段霊夢が愛飲している緑茶ではない。それは度数の高い焼酎であった。
一気飲みした後、霊夢はひとしきり咽た。
ようやく落ち着いたとき、
「どうしたんですか?」
「!!」
早苗が何時の間にか霊夢の前に立っていた。
「別に」
「嘘ですね」
とぼける霊夢に鋭く切り込む早苗。
「何でも無いったら」
「まさか、あの時、私が霊夢さんに無礼を働いたことでは……」
「何でも無いって言ってるでしょ!!」
「!!……」
霊夢の口調がきつくなった。
黙り込む早苗。
ばつが悪くなった霊夢は、とりあえず早苗を家に招き入れた。
「……」
「……」
二人分のお茶が置かれたちゃぶ台をはさみ、黙り込む二人。
耐え切れなくなった霊夢は口を開いた。
「あ、あのさ、早苗、なんか家に用があったんじゃないの?」
「え、あっ、そうでした。実は霊夢さんに幻想郷のことを教えていただこうと……」
慌てて身を乗り出す早苗。
その勢いで膝をちゃぶ台にぶつけ、その上の二つの湯飲みが倒れた。
「わっ」
「きゃっ」
幸い、長い沈黙のおかげでお茶は冷め切っていたが、ちゃぶ台の上はびしょびしょになった。
「すっすいませ……」
「い、今拭くから……」
台拭きを取ろうとした二人の手が重なる。
「す!!すいませ……」
「……」
手をどけようとする早苗。
両手でその手を掴む霊夢。
「……霊夢、さん?」
「……」
霊夢は、
そのまま、
早苗の唇を奪った。
「ん、ふん……」
「く、ぴちゃ……」
霊夢が舌を早苗の口腔に差し入れると、
早苗は自分の舌を絡めてきた。
やがて、名残惜しそうに二人の唇は唾液の糸を一筋引きながら離れた。
そして再び訪れる沈黙の時間。
沈黙と己が欲情に耐え切れなくなった霊夢は、
早苗の手を取り立ち上がった。
早苗は抵抗しなかった。
霊夢は早苗を寝室に連れて行き、
早苗を万年床に押し倒した。
早苗はやはり、抵抗しなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
早苗は、一糸纏わぬ生まれたままの姿を、霊夢に晒していた。
霊夢も、一糸纏わぬ生まれたままの姿を、早苗に晒していた。
早苗は、自分の体にコンプレックスがあった。
霊夢もかつて、自分の体にコンプレックスがあったが、今は気にならなくなっていた。
霊夢がコンプレックスを克服したのは、妖怪の賢者、八雲紫に童貞を奪われた時だった。
二人は両性具有、いわゆる『ふたなり』であった。
早苗は泣き出した。
怖いのではない。
同類に逢えた安堵の涙を流したのだった。
経験者ということで、霊夢が早苗に入れることになった。
霊夢は早苗に覆いかぶさる。
早苗の女性自身は、既に準備ができていた。
霊夢は男性自身を早苗の女性自身に挿入した。
早苗の怒張した男根が霊夢の腹に当たった。
「うっ」
「ぐっ」
二人から声が漏れた。
霊夢は、早苗の女性器から破瓜の血が流れたことを確認した。
「痛くない?」
「大丈夫、です」
霊夢の気遣いに気丈に答える早苗。
早苗の顔は痛みに顔をしかめているが、喜びに満ち溢れていた。
霊夢は腰を動かし始めた。
早苗は、胸に秘めた思いを告白した。
「私、霊夢さんのことが、好きです。
私、霊夢さんの弾幕の前に倒れたとき、
私、私、もう、特別な存在じゃないって、
私、もう、特別な、一人ぼっちの存在じゃ、ないって、
私、私、……」
霊夢も、己の中のもやもやを言葉に紡いだ。
「私、だって、早苗を見ていると、なんだか、
変になって、イライラして、ムカムカして、
なのに、ホッとした自分がいて、泣きそうな自分がいて、
私、変になったんじゃないかって、だけど、もう、駄目。
私、早苗のことが、好きだって、気付いちゃって……」
濃厚な口付けを交わす二人。
霊夢の腰の動きが早くなってきた。
早苗は足を霊夢に絡めた。
「れっ霊夢さ〜〜〜〜〜ん!!!!!」
「さっ早苗〜〜〜〜〜!!!!!」
どぶっどぶぅ〜〜〜〜〜!!
どぴゅっどぴゅぴゅぴゅうううぅぅぅ〜〜〜〜〜!!
霊夢は早苗の胎内に、
早苗は霊夢と自分の腹に、
それぞれ大量に射精した。
お互いの精液で不快な思いをすることも無く、
しばらく二人は抱き合っていた。
汗と精液を洗い流した後、
二人は湯船に向かい合って浸かっていた。
「早苗、大丈夫?膣内に出しちゃったけど?」
霊夢は今更な心配をしていた。
「大丈夫ですよ。霊夢さん」
早苗はそんな霊夢の心配を払拭した。
「私、子供ができない身体ですから」
「ご、ごめん……」
「ふふ、謝らないでください」
早苗は、お湯に顔を半分沈めた霊夢のおでこにキスをした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
半ば無理やりにヤッた後ではあるが、
霊夢は、早苗に交際を申し込んだ。
早苗は、はにかみながら、承諾した。
霊夢と早苗は抱き合った。
二人は晴れて恋人同士となった。
霊夢のイライラは収まっていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
地霊殿の異変解決直後。
霊夢は怒り狂っていた。
早苗に裏切られたからだ。
霊夢は守矢神社に向かっていた。
早苗はその途中に偶然、霊夢に出会った。
「霊夢さん、どうしたんですか……あぅ!!」
霊夢は、早苗を、手にしたお払い棒で殴り倒した。
「早苗!!あんたぁ〜〜〜〜〜!!」
「ど、どうしたんですか!!」
早苗はお払い棒の二撃目を回避して、けん制の弾幕を放った。
「霊夢さん!!落ち着いて!!」
「恋人の裏切りにあって落ち着いていられるほど、私は人が出来てないわよ!!」
「裏切り!?」
霊夢は本気の弾幕を放ちながら言い放った。
「あんた達!!地霊殿の連中とつるんで何企んでるのよ!!」
「な、何のことですか!?」
早苗は知らないことだが、
霊夢は今回の異変で冷静さを完全に失っていた。
地霊殿の主、古明地さとりにトラウマを抉られたのだ。
さとりは霊夢の心を陵辱した。弄んだ。
霊夢は頭を抱えて泣き叫んだ。
さとりの攻めは執拗だった。
そして、
ついに、
霊夢は、
キレた。
霊夢の心の中は、
『殺!!』の一文字のみ。
霊夢の心を読んださとりは、短い悲鳴を上げた。
さとりの顔が二目と見れないものとなるのに、それほどの時間はかからなかった。
だが、腫れが引くのには、相当の時間が必要だった。
度々立ちはだかる猫を蹴散らし、霊夢は灼熱地獄跡に辿り着いた。
核の炎も、霊夢の怒りの前には形無しであった。
霊夢は、今回の諸悪の根源であったカラスの胸にある『眼』に拳を叩き込んだ。
さらに、マントを被った黒い翼の羽をむしり、見るも無残な姿に変えた。
鳥頭が血反吐と共に吐き出した記憶の残滓から、
今回の異変には守矢神社の二柱の神が絡んでいることが判明した。
早苗は霊夢にいろいろな話をしてくれた。
話題には、よく二柱の神様の話が出てきた。
早苗の親同然の二人だから当然だろう。
やれ、神奈子様は片足立ちで座った姿勢でお酒を飲むと、変な凄みがあるとか。
やれ、諏訪子様は雨が降るとその辺を走り回り、神具の鉄の輪を錆付かせて泣くとか。
だが、地霊殿の話など、唯の一度も出てはこなかった。
霊夢は博麗の巫女である。
博麗の巫女は異変を解決する存在である。
早苗は隠していたのである。
幻想郷征服の邪魔になる霊夢に黙っていたのである。
知っていれば、あのような恥辱は受けることはなかった。
それなのに、早苗は、何で?
愛しているのに。
憎い。
もちろん、誤解である。邪推である。
霊夢は早苗が動かなくなるまで、弾幕を浴びせた。
お払い棒がへし折れるまで打ち据えた。
気絶した早苗を見た霊夢は、暗い気持ちになった。
その気持ちの名は、良心の呵責といった。
霊夢はその後、守矢神社に着いたが、二柱の神は留守であった。
腹の虫が収まらない霊夢は、その場に居合わせた憎きさとりの妹、こいしを半殺しにした。
姉貴同様に顔を潰され、息も絶え絶えのこいしは裸に剥かれ、神社の御柱に逆さ吊りにされた。
博麗神社に帰って霊夢が冷静さを取り戻した頃、守矢の二柱がやってきて、霊夢に土下座した。
そして、今回の一件は早苗には秘密であったことを打ち明けた。
ここにきてようやく霊夢は、自分のしでかした過ちに気が付いた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢が守矢神社に行く気になったのは、
早苗の傷が完治したと噂に聞いてからだった。
あれから、ずいぶんと時間が経っていた。
霊夢は井戸端で水垢離をして体を清め、
清潔な巫女服に袖を通した。
しばし瞑想した後、霊夢は妖怪の山目指して飛び立った。
守矢神社。
住居部分の玄関。
「ごめんください」
は〜い。
ぱたぱたと足音がこちらに向かってきた。
「あ……」
早苗は霊夢を見るなり黙り込んだ。
「本日は、東風谷早苗様に謝罪をしに参りました」
霊夢が他人行儀の口調で用件を伝えた。
「……どうぞ、お上がりください」
早苗が霊夢を家に招きいれた。
客間に通された霊夢は、早苗に勧められた座布団を脇にどかし、
畳に直に正座をすると、早苗に向かい額が畳に着く位に深々と頭を下げた。
「ちょっと!!霊夢さん!!」
「この度は、私めの短慮により早苗様に非道な振る舞いをしたことをお詫び申し上げます」
「霊夢さん……」
「ほんの少し、ほんの少しだけ冷静になれば、早苗様には何の咎も無いことが分かったのに……」
「……」
「……私は、私は……、早苗に、早苗様に……、う、うぅ、……」
「霊夢さん?」
「うっ、う、わたしは、わだしは、ざなえに、ひどいごどを……、何で、なんでこんだごどを……」
「霊夢さん……?」
「ごべ、ごべんださい……、ざなえ……、もう、だべ……、うううっ、ううぅ、ぐずっ、うううぅっ」
ぼろぼろぼろ。
畳に落ちる霊夢の涙。
「霊夢さん!?」
「ううううぅっ、ぐすんっ、うう、ううう、う、ひぐっ、うううっ」
「霊夢さん!!」
早苗は、頭を下げたまま体を震わせる霊夢の肩を掴み、ゆすった。
霊夢はくしゃくしゃの顔を上げ、早苗の顔を見ると、
「う、う、うう、ううっ、ぐす、う、うええええええぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!」
ついに泣き出してしまった。
自分は早苗の恋人失格だ。
ちゃんと謝ったら、別れよう。
でも、そんなの嫌だ。
嫌だ嫌だ。
血みどろになって虫の息の早苗の姿。
自分がやったのだ。
嫌だ!!
い〜や〜だ〜〜〜〜〜!!!!!
霊夢は、ドロドロの分けの分からない感情に屈した。
涙が止まらない。
鼻水が止まらない。
嗚咽が止まらない。
長い時間をかけて、
ようやく、霊夢は落ち着いた。
落ち着いて、
霊夢は、
今まで、
早苗に抱きついて泣いていたことを知った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢と早苗は、早苗の自室にいる。
霊夢は醜態を晒した事を早苗に詫びた。
早苗は気にしていないと言った。
霊夢は改めて、早苗に暴行を働いたことを詫びた。
早苗は赦すと言った。
霊夢は、私のこと嫌いになったかと聞いた。
早苗は、さっきの泣き顔を見て、ますます好きになったと言った。
霊夢は、意地悪、と拗ねた。
早苗は霊夢の隣に座ると、
そっと触れるような口づけをした。
「今日……、神奈子様と諏訪子様、お仕事で遅くなるそうです」
早苗の迂遠な誘い。
霊夢は誘いに乗った。
早苗の布団の上。
霊夢と早苗は、全裸であった。
久しぶりの逢瀬に、若い二人は燃えていた。
「ぶ、ぶちゅ、ちゅば、ちゅば」
「ちゅぼ、ちゅぱちゅぱ、ちゅぱ」
霊夢は早苗のペニスをしゃぶっていた。
早苗は霊夢のペニスをしゃぶっていた。
「ふ、ふご、ぶ〜〜〜〜〜っ!!」
「ぐぶ、ふが、ぷ〜〜〜〜〜っ!!」
ぶ、りゅりゅりゅ〜〜〜〜〜!!!!!
びゅるっびゅびゅびゅ〜〜〜〜〜!!!!!
「ぐ、ん、ごく、ごくごくごく……」
「う、げ、ぐ、ごくごくごくごく……」
二人は互いの口の中にザーメンをぶちまけ、
一滴も吐き出すことなく、飲み干した。
「じゃあ……」
「待って」
早苗が布団に横たわろうとするのを、霊夢は静止した。
「今日は私が……」
「霊夢さん……、いいですよ」
霊夢が代わりに横になった。
早苗は、既に準備万端の霊夢に侵入し始めた。
「んっ、あ……」
「あ、は……、え?」
早苗は霊夢と一つになった時に違和感を感じた。
早苗と霊夢の結合部。
そこは出血していた。
「霊夢さん、まさか……!?」
「早苗にバージン、奪われちゃった」
驚く早苗と、悪戯がばれた子供のように舌を出す霊夢。
「これが、私のお詫びのしるし、なんて、ね」
「霊夢さん……、霊夢さ〜ん!!」
「あ、や、早苗、激しっ!!」
「霊夢さん!!霊夢さん!!好き、大好きです!!霊夢さん!!」
「さ、早苗!!早苗っ!!早苗っ!!あ、あっ、あっ!!」
霊夢の反則的な可愛さを目の当たりにした早苗は、
理性の手綱を簡単に手放してしまった。
「霊夢さんのおっぱい!!かわいい!!綺麗!!」
ちゅぱちゅぱ!!
「早苗のおっぱい!!大きい!!やわこい!!」
もみもみもみ!!
霊夢と早苗は、お互いの胸を弄んだ。
「霊夢さん、四つんばいになってくれませんか?」
「え……?……うん……」
言われるまま、四つんばいになった霊夢の腰を掴み、
早苗は剛直を荒々しく霊夢に突き立てた。
「あっ!!あっ!!やっ!!」
「霊夢さん!!霊夢さん!!これいい!!いいです!!」
早苗の荒々しい腰使いに、初めてとは思えぬ乱れっぷりを魅せる霊夢。
「れ、霊夢、さん、わたし、い、イキそう、ですっ!!」
「わたしも、い、イッちゃう、イッちゃう!!」
「あ、あ、あ……、あ〜〜〜〜〜!!!!!」
「い、イクううううう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
どびゅどぴゅぴゅぴゅ〜〜〜〜〜!!!!!
びゅるびゅるびゅるるるううう〜〜〜〜〜!!!!!
早苗は霊夢の胎内に大量の精子を解き放った。
霊夢は早苗の布団に大量の精子を解き放った。
霊夢と早苗は体を洗うついでに、シーツの洗濯を行なった。
二人の心は、洗い立てのシーツのように清清しいものだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その日から、霊夢と早苗の仲はますます親密なものになった。
早苗が霊夢のところに泊まりに来る回数も増えた。
霊夢が守矢神社に遊びに行くと、早苗や二柱の神に進められるまま食事や酒をご馳走になることも多くなったし、
そのまま泊まっていくことも多くなった。
流石の霊夢も、神様が耳を澄ませているところで早苗といたすほど、無節操ではなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「霊夢さん!!上!!上!!宝船が空を飛んでますよ!!
え!?博麗の巫女様ともあろうお方が、まだ動いてないんですか!?
それなら、私がこの異変を解決しちゃいますよ〜!!」
早苗が始めて解決に乗り出した異変。
今にして思えば、あの空飛ぶ船――聖輦船――は、
縁起の良いものなんかじゃなく、
呪われた幽霊船だったのではないか。
そう、霊夢は顧みた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結果的に早苗が魔界で開放してしまった大魔法使い、聖白蓮は、
長い、長い、気の遠くなるような時間、封印されていた。
白蓮は、早苗に感謝した。
白蓮に心酔して、彼女の解放のために活動した妖怪達は、早苗を英雄視した。
早苗は後になってから、白蓮が偉大な尼公であることを知った。
博麗神社。
寝る前のお茶を楽しんでいた霊夢のところに、
酔っ払った早苗が押しかけてきた。
早苗は、自分は偉大な尼公を助けた英雄だ、と声高に叫んだ。
相当出来上がっていた。
あまり酒に強くない早苗にしては珍しい。
今日は命蓮寺にお呼ばれしたって言っていたから、そこで歓待を受け、さぞや美味い酒を飲んだことだろう。
「れいむさんは〜、えいゆうさまのかのじょなんれすよ〜」
「はいはい」
「これで〜、わらしも、れいむさんとおなじれす〜」
「はぁ?」
「わらしも〜、れいむひゃんとおない、えいゆうさんになったんらよ〜」
「……」
「らから〜、ふらりでいっひょにいても、おかひくないのれすよ〜」
「早苗……、私、そんなこと気にしたこと無いから」
「わらひがきにひゅるのれす!!」
「!!」
「わらひ、れいむひゃんと……、ずっと……、いっひょに……、いらい……、れす……」
「早苗……、私もよ……」
早苗がこうやって実績を重ねていけば、彼女は幻想郷で一目置かれ、
博麗の巫女に比肩する存在となるだろう。
こんな二人が手を組めば、幻想郷は安泰だろう。
何より、愛する二人が一緒にいられるのが嬉しい。
でも、何でだろう。
霊夢は妙な胸騒ぎがしてならなかった。
博麗の巫女の勘は良く当たる。
早苗は、何時の間にか黙りこくっていた。
顔が真っ青だ。
霊夢がもし、早苗を厠に連れて行くのが一瞬でも遅れていたら、大惨事になるところであった。
本当に、博麗の巫女の勘は良く当たる。
胸騒ぎは収まっていなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
人と妖怪の平等主義を唱える聖白蓮は、種族を問わず、皆から慕われていた。
かつては危険視された思想も、人妖が共存する幻想郷では歓迎された。
人間と妖怪、妖精が一緒に暮らせるのである。
もうお互いを恐れる必要は無くなるのである。
これで後ろ指を指されずに祝言を挙げられる、と喜ぶ人妖のカップルがいた。
命蓮寺はいつも白蓮の説法を聞こうとする人妖達で賑わっていた。
博麗神社にまともな人間が寄り付かないのは、いつものことである。
いつもの決まった面々。
個人的な友人、群れる必要の無い孤高の上位妖怪、主に忠誠を誓う従者といった者達。
彼女達はちょくちょく遊びに来てくれる。
素敵な賽銭箱に見向きもしないのは考え物だが。
命蓮寺に通っている者も、宴会となると飛んできた。
現金なものである。
守矢神社は……、かなり深刻なことになっていた。
山頂まで延びた、整備された参道。
通る人が疎らになって久しい。
最近だと、神社の来訪者は参拝客よりも、連絡要員の天狗や遊びに来る霊夢のほうが多い。
最近、神奈子と諏訪子の元気が無い。
神である彼女達にとって、信仰の減少は文字通り死活問題である。
最近、早苗に会う回数が減っている。
布教活動に忙しいのだ。
愛しの早苗や、自分達を温かく見守ってくれる神様達のために何かしてあげたい。
霊夢はそう考え、久しぶりに早苗と二柱が揃ったときに、協力を申し出た。
三人は霊夢の好意を丁重に断った。
霊夢の、中立でなければならない博麗の巫女としての立場を慮ってのことであった。
霊夢は、この時ほど自分の立場を呪った事は無かった。
早苗は、日々、やつれていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢はしばらく博麗の巫女を休業することを宣言した。
皆、早苗のことだろうと察して、異議を唱えなかった。
霊夢は一年間、守矢神社に厄介になることになった。
客間を用意するといってくれた二柱に無理を言って、早苗の部屋に転がり込むこととなった。
早苗の香りに包まれてすごしたい。
そう思った霊夢の我侭である。
喜びあり、悲しみあり、憂鬱になる時もあれば、苛立ちを周囲にぶつける事もあった。
でも、振り返ってみれば安らかな喜びに満ちた一年間であった。
霊夢が守矢神社を去る日が来た。
何か記念になるものは無いかと考え、
霊夢は自分の髪を束ねていた赤いリボンを解き、置き土産とした。
愛しの風祝は大層気に入ったようだ。
霊夢は後ろ髪を引かれる思いで三人に別れを告げ、博麗神社に帰っていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢は一年ぶりに博麗神社に帰ってきた。
境内の掃除をしていた、巫女姿の伊吹萃香が飛んできた。
「霊夢〜〜〜〜〜!!おっかえり〜〜〜〜〜〜!!」
「ただいま、萃香」
「霊夢〜〜〜〜〜。みんな心配してたよ。そのまま守矢の子になっちゃうのかと思ったよ」
「あそこは私の居場所じゃないわ。だから帰ってきたんじゃないの」
「そ、そうだよね。もう、どこにも行かないよね!?」
「あ〜、実は、一休みしたら命蓮寺に行こうと思ってるのよ。だから、もうしばらく留守番頼める?」
「え〜〜〜〜〜!!そうなの?」
「ごめんね。この埋め合わせはするから、ね」
「……直ぐ帰ってきてよ」
「うん。分かったわ」
霊夢は一年ぶりの我が家に入ると、座布団に腰を下ろして一息ついた。
萃香がお茶を淹れてくれたので、二人でゆっくり飲んだ。
この一年のことをぽつりぽつりと話しながら、ゆったりとした時間を満喫した。
霊夢は二杯目のお茶を飲み終わったところで、そろそろ出かける準備を始める事にした。
萃香は表の掃除に戻っていった。
準備といっても替えのリボンを結って身づくろいを整え、私物をいくつか袖に落とし込めば終わりだ。
少し考えて、商売道具の御札と退魔針は置いていく事にした。
それらを箱に入れ、文机の上に置いた。
霊夢は立ち上がり、後ろを向くと、
「お久しぶりね。霊夢」
八雲紫がいた。
「紫、レディの部屋にノックも無しに入ってくるなんて失礼ね」
「あら、ご挨拶ね。一年振りに博麗の巫女様のご尊顔を拝しに来たのに」
「まだ博麗の巫女には復帰してないわよ」
「あら、そうなの」
紫は、机の上の箱にちらりと視線を走らせた。
「来てもらって悪いけど、私、これから出かけるから」
「聖白蓮の所ね」
「ええ、ちょっと用事があるから」
「いったい何の用?」
「ちょっと個人的なことよ」
「とりあえず言っておくわ。
馬鹿な真似はおよしなさい」
霊夢は、
紫にしがみつき、
その豊満な胸に顔を埋めた。
「紫さん、許してください。こればかりは、私の手でやらないといけないのです。
博麗の巫女としてではなく、霊夢個人として」
「その呼び方、懐かしいわね。何時からだったかしら。私を呼び捨てで呼び始めたのは。
ああ、確か貴方が博麗の巫女を襲名した時からだったわね」
「正確にはその日の晩、貴方がお祝いと称して私を抱いたときです。
その時に言いましたね。私達はこれで対等の立場となったから、堅苦しい言葉遣いは不要だと」
胸に顔を埋めたまま霊夢は答え、紫はふふ、と微笑んだ。
霊夢は紫から離れ、部屋を出ようとした。
「貴方がやろうとしている事は、幻想郷を乱す行為よ」
「異変、という訳ですか」
「……博麗の巫女に解決してもらわなくちゃね」
「只今、博麗の巫女は不在です」
「これは大変、急いで後任を選抜しなくちゃならないわね」
紫はスキマを展開して、その中に身を躍らせた。
「さよなら、霊夢」
「紫さん、私、貴方のこと、師であり母のように思っていました」
「恋人じゃないの?」
「私の恋人は早苗だけです。貴方は……私の大親友です」
「くすくす、只の親友よりはましね」
「じゃ、本当に、さよなら、霊夢」
紫の姿は完全にスキマの中に消え、スキマ自体も消滅した。
「さようなら、私の始めての女性(ひと)」
霊夢は神社を去っていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢は途中、花屋に立ち寄り、花束を買い求めた。
花束には、白いハスの花を二輪入れてもらった。
妙蓮寺は今日も盛況だった。
御堂からくぐもった声が聞こえてきた。
白蓮が声を河童が作成したマイクとスピーカーで増幅させ、講演を行なっているようだ。
時々、声援と拍手が聞こえる。
霊夢が入り口の警備をしていた寅丸星に白蓮に会いたい旨を伝えたところで、
お堂の中からひときわ大きい拍手が聞こえてきた。
丁度講演が終わったようだ。
星は粋なことを考え付いた。
講演会場である広い御堂の中は種族を問わず大勢の人々で満員であった。
前方には、この日の講演のために台が設置され、白蓮はその上に立っていた。
その人々は、壇上の白蓮に惜しみない賞賛を送っていた。
『皆さん、ご清聴有難うございました』
会場に設置されたスピーカーのボリュームは最大に設定されているが、
この拍手の中では、聞き取るのがやっとであった。
出入り口が小さく開き、霊夢はその身を潜り込ませて会場に入った。
『あら、霊夢さん、ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへ』
白蓮が目敏く霊夢に気付き、霊夢を自身の元へ招いた。
博麗の巫女が聖の応援に駆けつけた。
花束を持った霊夢は、会場のみんなにそう思われた。
盛大な拍手の中、霊夢は会場内を横切り、台の上に上がった。
霊夢は笑顔で白蓮に花束を送った。
『有難うございます。あら、このハスは……、私と弟へですか……、素敵です』
白蓮は花束を気に入ってくれたようだ。
次のプレゼントも気に入ってもらえるだろうか。
ぱん。
『え』
その音は、会場の拍手にかき消され聞こえなかった。
会場のみんなも、白蓮も、何が起きたか気付かなかった。
霊夢の手に握られた黒い物体の前から閃光が、側面から何かがそれぞれ飛び出した。
ぱん。
『え、あ?
い、痛ーーーーーー!!』
二発目で、白蓮はようやく自分が撃たれている事に気が付いた。
霊夢は手にした自動式拳銃――ソビエト連邦製のトカレフTT−33――の引き金をさらに引いた。
この銃は、かつて霊夢が結界の点検をしていた時、外界との境界付近で予備弾倉と共に拾ったものである。
扱い方は香霖堂で立ち読みした銃の専門書で知り、試し撃ちもした。
その後押入れに仕舞いこんでいたが、この日初めて、本来の用途――人殺し――に使用されることとなった。
ぱんぱん。
『ぎゃ〜〜〜〜〜!!痛い!!止めて!!』
白蓮は台の上に倒れ、もがいている。
霊夢は笑顔のまま、拳銃を白蓮の頭に向けた。
『止め!!止めて!!霊夢さん!!後生だから!!』
霊夢は引き金にかかった指に力を込めていった。
星や村紗、一輪が駆け寄ろうとした。
『星!!村紗!!いぢり〜ん!!』
白蓮は彼女達に気付いたようだ。
『だずげで〜〜〜〜〜!!!ごろざれる〜〜〜〜〜!!!じにだぐない゛ぃぃぃ〜〜〜〜〜!!!!!』
星達の足が止まってしまった。
白蓮は涙と鼻水と涎で顔をくしゃくしゃにして、霊夢に命乞いをした。
『何で!?ごべんだざい゛!!なんだがわがらないげど、ごべんだざい゛ぃぃぃ〜〜〜〜〜!!』
ぱん。
白蓮は黙った。永遠に。
ぱんぱん、ぱん。
かち、かち、かち、かち、かち。
霊夢は、
ようやく駆けつけた星が繰り出した槍によって、
心臓を一突きにされた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢の死体は、
傷跡を消され、
防腐と弛緩の処理がなされ、
いつもの改造巫女服を着せられ、
人里の普段人気の無い区域にある小屋に置かれた。
小屋には、様々な人妖が訪れた。
いかに霊夢がみんなに愛されていたかが解る。
主に性的な意味で。
霊夢は晒し者の刑に処された。
晒すのは死体ではない。
醜態である。
「うっ、もう出る!!巫女様のユルユルまんこに射精するぞ!!」
「さ〜霊夢ちゃ〜ん、おぢさんのおチンポ、喉の奥まで突っ込んであげるからね〜」
「腋!!腋コキ!!さいこ〜〜〜〜〜!!」
「ほ〜ら、お尻でちんこミルク、ごくごく飲んでね〜」
「うほ〜!!俺のケツに!!巫女ちゃんのぶっといチンポが入ってくる〜〜〜〜〜!!!」
「今日は最終日だからケツもまんこもガバガバだと思ったら、余り物には福があるもんだ。
お許しも出たことだし、霊夢の目ん玉、ビックペニスで潰して眼窩でファックだ〜〜〜〜〜!!!」
『刑期』が終わった頃には、霊夢の死体はボロボロになっていた。
顎と股と肩の関節が外れていた。
口と性器と肛門と腋から精液が垂れ流されていた。
両目は潰され、精液が涙のように垂れていた。
巫女服はズタズタに引き裂かれ、ぼろ布と化していた。
だが、ドロワースはどこを探しても見つからなかった。
腕に着けた袖は、逸物の汚れを拭き取るのに便利であったため、雑巾と化していた。
小ぶりながらも張りのあった両の乳房は、握り潰された肉まんのように形が崩れていた。
そして、とにかく、全身、精液塗れであった。
霊夢の死体は、荒野の墓地に掘られた穴に無造作に放り込まれ、埋められた。
その上に、その辺の岩で適当に作ったのではないかと思われるような墓碑が置かれた。
こうして、霊夢の一生は終えた。
霊夢と早苗は、あの世で結ばれるのだろうか。
それは無い。
霊夢は地獄行き確実だろうし、
早苗は三途の川の藻屑と化していたから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢は疲れきった早苗をせめて元気付けようと、守矢神社を訪れた。
今日は休ませると神奈子が言っていたから、家に居る筈だ。
「こんにちは〜」
霊夢はいつものように勝手に上がりこむと早苗の部屋を目指した。
すると神奈子が立ちはだかった。
「れ、霊夢!!ちょっと待っておくれよ!!」
「神奈子、どうしたのよ?」
「い、いや〜」
要領を得ない神奈子の様子に嫌な予感がして、
霊夢は神奈子の脇をすり抜け、廊下を走った。
「ま、待って!!」
待たない。
霊夢は早苗の部屋の前に来ると、襖を開けた。
「早苗!?」
早苗の部屋には、諏訪子がいた。
「霊夢!?」
すえた匂いが充満していた。
諏訪子の横に敷かれた布団からだ。
布団の上には、早苗が横たわっていた。
早苗は吐瀉物と糞尿に塗れていた。
傍らに、茶色いビンが落ちていた。
周辺に落ちている、水色のラムネ菓子のような錠剤。
吐瀉物に、溶けかかった錠剤が混じっていることから、
早苗はこれを飲んだのだろう。
大量に。
「早苗、どうしたの……?」
「霊夢……、早苗は、もう……」
早苗は目を見開いたまま、息絶えていた。
霊夢は冷静であった。
恋人が死んだというのに、薄情なものだと自分で思った。
これは冷静とは違う。
感情が麻痺してしまったのだ。
神奈子が呼んできた八意永琳によって、早苗の死亡が確認された。
早苗の飲んだ薬は、覚醒剤に等しい劇薬だということが解った。
二柱の神によると、外の世界にいた頃、早苗はやはり精神的に参ったことがあって、
その時にこの薬に手を出したとのことだった。
全て処分したと思っていたのに、とも言った。
早苗は心身ともにボロボロになったが、二柱の奇跡と献身的介護によって何とか回復したそうだ。
しかし、それでも重い後遺症が残った。
『私、子供ができない身体ですから』
そういうことだったのか。霊夢は納得した。
突然、霊夢は立ち上がると、両手で口を押さえて厠目指して走り出した。
永琳の診察の結果、霊夢は妊娠していることが解った。
早苗の葬儀の後、霊夢は身ごもった早苗の子供を守矢神社で生むことを希望した。
次代の風祝とするためだ。
守矢の二柱の他、紫や永琳にも同席してもらって、このことを告げた。
皆、それを承諾した。
霊夢は、一年間、博麗の巫女を休業することになった。
流石にこの時、永遠に休業するとは誰も思わなかった。
霊夢はすっかり大きくなった自分のお腹をさすっていた。
「私の愛しき風祝、
早苗のような真っ直ぐな子におなり。
私のような皆に愛される子におなり」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢の墓参りを終えた守矢神社の面々は、神社への道を歩いていた。
三人とも空を飛べるが、この時はみんな歩きたい気分であった。
幼い風祝は緑の髪に赤いリボンを着けて、くるくる回りながらはしゃいでいた。
まるで厄神のようだ。
誰かが指摘すると風祝は、
「雛おねえちゃんはみんなの悪いものをお片づけするんでしょう?
私も雛おねえちゃんみたいにみんなのためになることした〜い」
そう答えたそうだ。
あれから数年が経った。
命蓮寺は無くなった。
聖白蓮が亡くなり、求心力を失ったこともあるが、
白蓮の今際の際の言葉、あれを大勢の信者に聞かれたのが痛かった。
これで人々の心が命蓮寺から離れ始めた。
さらに、以前白蓮立会いの下で結婚した人妖の夫婦。
妖怪の女房が人間の夫を、まぐわいの最中に食い殺したそうだ。
所詮、人間と妖怪は根本が異なるものだということを、今更ながら思い知らされることとなった。
白蓮に仕えた妖怪達も散り散りとなり、最後に村紗は命蓮寺を聖輦船に変形させ飛び立った。
いつの頃からか、空飛ぶ幽霊船の噂がささやかれることとなった。
信仰が戻り、風祝も健やかに育っている。
守矢神社は、安泰であった。
二柱は知っている。
かつて愛し合った二人の少女がいたことを。
二柱は知っている。
一人は心の弱さゆえに。
一人は不器用さゆえに。
命を散らすことになったのだということを。
だから教えよう。
二人の愛の結晶に教えよう。
挫けそうになった時に。
人の世の不条理に直面した時に。
気にすんな。
要領良く立ち回れよ。
この物語は、
情緒不安定なフタナリ少女と、
生真面目で情に厚いフタナリ少女の、
愛と死のお話です。
2010年10月15日:誤字修正及び皆様のコメントに対する返事追加
>1様
本当に、有難うございます。
>2様
もったいないお言葉、有難うございます。
>3様
綺麗事ばかり言っているひじりんに本音を言わせてみたかったのです。
ラストは、最近、自殺したり通り魔になる人が多いので馬鹿は止めろという意味で書きました。
>4様
ラストは、守矢一家の三人がさわやかな風の中歩いている風景をイメージしたのですが…。
一気に灼熱の熱風の中、体育会系になってしまった!!
>5様
…(改めてあとがきを読んでみて)、ぶっ!!
た、確かに。
>tori様
私も9月から投稿し始めたばかりの新参ですから、年長者としてアドバイスするとしたら…。
とにかく書く事と、他の方々の作品をよく読むことですかね。
>7様
ひじりんをついうっかり殺ってもうた星ちゃん…。
Good Job!!
ひじりんを殺る獲物は、匕首とかの刃物も考えたのですが、肉体強化した相手を仕留めるのには厳しいですから、
私のコレクションからタマをトるのに適した拳銃として、トカレフを選びました。
>8様
あの伏線は赤ワインに酔った勢いででっち上げた物ですが、思ったより好評で良かったです。
霊夢の紫に対する口調は、親しい目上の人といった感じにしてみました。
>9様
どのあたりで息子さんの機嫌が良くなりましたか?
死姦のあたりはもう少し長くできたかもしれませんでしたが、ヤロー共しか台詞が無いので止めました。
>10様
ここはなんてったって産廃創想話ですからね〜。
理不尽な死ありきで話を書いていたらこうなってしまいました。
>王子様
従者さ〜ん、ハンケチを持ってきてくださ〜い。
やわこいに食いついてくれて良かった…。
>12様
結局、ひじりんは何が何だか分からないうちに無様に死にました。
>13様
遅かれ早かれ、ひじりんの平等主義は破綻する運命だったのでしょう。
>14様
気に入っていただき、幸いです。
2010年12月4日:コメントの返事追加
>15様
貴方の言葉で、この作品の霊夢と早苗は浮かばれるでしょう。
有難うございます。
NutsIn先任曹長
作品情報
作品集:
21
投稿日時:
2010/10/09 00:41:55
更新日時:
2010/12/04 22:33:32
分類
霊夢
早苗
紫
レイサナ
サナレイ
守矢神社の二柱
ボコられる地霊殿メンバー
聖白蓮
フタナリ
死姦
感動しました
そして確かにこれは愛と死の物語だよ
締めの文句も感慨深いぜ
最後の2行何とかならんのか?
どうしても松岡修造が出てきてしまう。
いい言葉なのにカタカナ四文字のおかげで台無しにw
肉体強化魔法を使う者は、
致命傷を受けたら、魔力が暴走して再生し続ける肉塊になる……
なんて妄想をした事もありました。
ペルソナ2思い出したぞw
しかし何気にこの話、紫と霊夢のやりとりもいいよな
序盤に出てきた脱童貞がまさかこうシリアスに使われるとは
やわこい…だと(ゴクッ
早苗も霊夢もかわいそうだけど、殆ど逆恨みで殺された聖さまカワイソス
紫の言う人妖の共存と刃違うきがすんのよねー
人が妖怪に恐怖してないじゃんって感じ
傑作でした