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『ある霊夢の末路』 作者: 名前がありません号

ある霊夢の末路

作品集: 21 投稿日時: 2010/11/01 13:08:44 更新日時: 2010/11/01 22:09:00
むかしむかし、ある一人の少女がおりました。
少女はいつも一人ぼっちでした。

少女には親はいません。
少女には友達は居ません。
少女を見てくれる人は誰も居ません。
少女はいつも一人ぼっちです。

少女は神社に戻って、一人空を見上げています。
誰か自分と遊んで欲しい。
誰か自分を見て欲しい。
誰か自分を友達になって欲しい。
誰か自分を愛して欲しい。

そんな時、頭に響く声が少女に語りかけます。



―――かわいそうな貴女の為に、素晴らしい“力”をあげましょう。皆が君を見るし、友達も出来るし、遊んでくれるわ

“声”に少女は戸惑いますが、“声”は優しく少女に語りかけます。

―――何、お代はまだいいわ。“出世払い”という事にしてあげるから。

“声”はそういって、少女に“力”を渡す。
しばし迷いながらも、“力”を受け取った少女の意識は、深い闇の底へと沈んでいった。













……ーい! 霊夢! いつまで寝てるんだ? 起きろー」

耳元で誰か叫んでいる。
目を開けると、見覚えのある金髪と三つ編みが写る。
霧雨魔理沙だ。

「んぁ? あ、魔理沙じゃないの。何でいるの?」
「おいおい、寝惚けるのも大概にしろよ……昨日は宴会だったろ?」
「ん……あー、そうだったわね。何か頭痛いかと思ったら……」

頭がガンガンするのは、魔理沙が耳元で叫んだのも原因である。
確か珍しく飲みすぎたのだ。紫達に乗せられて、つい乗ってしまったのが運のつきという奴だ。
鬼や天狗と呑み比べがどれだけ凄惨なものかを身をもって体験した。

「この魔理沙さんが献身的に介抱したんだ、少しは感謝しろよな」
「さっきのがなければ、ほんの少しくらいは感謝するわ」
「そりゃ無理だな。なんせもう昼だぜ? 幾らぐうたらでも寝過ぎだ」
「昼まで介抱するあんたも相当暇よね」
「酷い言い草だぜ」

そういうと魔理沙は、自分の荷物をまとめはじめる。

「そんじゃ、私は帰らせてもらうぜ」
「ん、そう」
「なんだ? 寂しいのか?」
「まさか。まぁ、その、ありがと」
「はっはっは。このくらいは御安い御用だぜ、そんじゃーな」

箒に跨り、ひらひらと手を振り、空高く飛び立っていく。
霊夢はそんな後ろ姿を見て、何故か妙に寂しさを感じていた。









どうにも落ち着かない。
境内の掃除も終え、お茶をのみ、茶菓子に手をつける。
いつもの日常なのだが、何か足りないと感じてしまう。

(何か嫌な気分ねぇ)

これと似たような感覚を以前にも感じた事があるのだが、
いつのことか思い出せない。
思い出せないなら大したことはないんだろう。

そう考えて、少し昼寝をすることにした。
恐らく今日は魔理沙もこないだろうし。












「はろぅ」

誰かが声を掛けてきた。
目覚めるとあたり一面、真っ暗な空間に居る。
姿は見えない。ただ、その姿を霊夢は直視できない。

「誰よ、あんた……って、声で分かるけど。何の積り?」

「何って……忘れたの?」

突如、光が差すと一人のシルエットが現れる。
シルエットしか見えないソレは、あからさまに困ったようなポーズを取る。
何処かシュールだが、今の霊夢にはそれを笑う余裕は無い。

「何を?」
「“出世払い”を受け取りに来たのよ」
「出世払い?」

「ええ。もう充分堪能したでしょう?
 沢山の視線と、沢山の友達と、沢山の愛
 夢を見る時間はおしまいよ」

「さっきから何を……」

「博麗の巫女になれ、と言っているのよ
 この幻想郷を守る為にね」

「それならちゃんと仕事はしてるでしょ」

「わかってないわねぇ
 巫女に人の心は不要
 本来、巫女は消耗品なのだからね
 最近の貴女は怠けすぎだから、なおさらね」

「……いい加減、冗談はよしたら? 紫」

「あら、霊夢
 冗談ではないのよ?
 貴女でちょうど18人目かしら?
 まぁ、人数なんてどうでもいいわ」

「……本気?」

「ええ、とても。それじゃあ始めましょうか」

「ちょ、ちょっと待ってよ! そんな話聞いてない!」

「聞かずに受け取った貴女の責任よ?
 それじゃあ、さようなら。霊夢」

「い、いや! やめてよ! こないで!」

急に霊夢はいつもとはまるで別人のように振舞い始める。
シルエットはゆっくりと近づいてくる。
霊夢は腰が抜けて、逃げる事もままならない。

そして、シルエットの手が霊夢の手へと伸びる。
霊夢の身体へと沈み込む手を、霊夢は必死に掴む。
しかし博麗の力も使えず、単純な力では紫に勝つことなどできるはずも無い。

そして霊夢の心の中で、何か大事な物を掴まれると。
紫の手で、引きずり出された。
すると霊夢は、まるで糸の切れた人形のように、
両手をだらんとして、その場に崩れ落ちた。
地面には真っ赤な血がぶちまけられている。

「藍。片付けておきなさい」
「はっ。しかし、今回のは余り長持ちしませんでしたね」
「やはり外来人じゃこんなものかしらねぇ。自分本位が過ぎるわ」
「ともあれこれで、新しい身体を探すしかありませんね」
「次のアテは決めてあるわ。それまでは予備でカバーしておきましょう」

そういうと、紫は隙間から何かを掴んで引きずり出す。
其処には今紫が処分した霊夢とそっくりの霊夢がいた。

「しかし、幻想郷の守護者が量産されているなどと知られたら、大事ですね」
「それはしょうがないわよ。オリジナルが突然、自殺なんかするんだもの。たまんないわ」

紫はうんざりそうな顔でそう言う。
紫は引き出してきた霊夢の額に手を置き、術を唱える。
疑似人格を仕込んだ式を霊夢に内臓するのだ。
流石に急に性格が変わるのは大問題だ。

「しかしもう少し、コレは長持ちしないのでしょうか?」
「しょうがないわよ。オリジナルのクローンのようなものですもの……これでよし」
「こちらも掃除完了しました。それでは私は結界調査に向かいます」
「ええ、頼んだわよ藍。それじゃあね、霊夢。代わりが来るまで勤め上げなさい」



「わかりました、紫様」


霊夢は淡々とそう答えた。
とりあえず書く事をやめると、
ネタが出てきても書けなくなるから困る。

霊夢の感情表現は時々薄っぺらく感じる。
何かこう軽いというか、なんというか。
元があんなだから、そう感じるのかもしれないけど。
名前がありません号
作品情報
作品集:
21
投稿日時:
2010/11/01 13:08:44
更新日時:
2010/11/01 22:09:00
分類
霊夢
1. 名無し ■2010/11/01 23:06:07
実際こんなもんじゃね?ww
2. 名無し ■2010/11/01 23:31:11
あの年で、人間より強い存在を退治する専門家ですから、色々あったに違いない。色々。

ちなみに、アフリカのチャイルドソルジャーは、集落を襲って子供を捕まえ、子供に親を殺させます。殺せなかったら処分。
度胸付けと同時に、帰る場所を無くす事で立派な兵士にするのですね。
その位やらないと子供の内から戦わせるのは難しい。

異変解決以外の時は気の抜けた霊夢と、戦う時以外はぼんやりしている少年兵は凄く似ています。
生き延びるための訓練や修行をしないところも被る。
3. 名無し ■2010/11/01 23:48:16
ってことは、一人くらい霊夢を持ち帰ってもいいんじゃね?
4. 名無し ■2010/11/02 02:50:47
>3
それだ!

俺はむしろなんで霊夢オリジナルが自殺したのか気になるな
2の人が言っているような重責にたえきれなかったか
5. 名無し ■2010/11/02 03:11:35
シャキッとしなければなあ
6. 名無し ■2010/11/02 04:02:07
>霊夢の感情表現は時々薄っぺらく感じる。
イライラしますか?
実際人間に期待し過ぎるから悪い。
霊夢は人間だったよな・・・たしか。
7. 名無し ■2010/11/02 09:04:01
霊夢は、欲求が不自然な気がする。
「財宝欲しい!」はあっても、その財宝で何をするのかが見えてこない。
何となく人が欲しがりそうな物だから欲しがってみる、というか。

まぁ、住む場所も決められていて、職業も決められていて、たぶん結婚も自由に出来ない。
なんかの趣味を持っても成果が家ごと潰される。
命の危険あるし、体衰えてからも続けられる職業じゃない。潰しもきかない。年取る前に腕一本無くなって続けられなくなるかもしれない。
殺ししか知らないアフリカの下っ端兵士みたい。
それで正気保てってのがおかしい。

倒壊しまくる神社に住んで、人外と戦い続けるなんて普通なら絶望して頭おかしくなる。
しかも、異変起こすのは妖怪の権利だから、二度とやらない様に殺すことも出来ない。平等だの言い始める奴まで出てくる。
相手は寿命長いのに、限られた寿命を異変遊びの相手にさせられるのが確定してるんだよな。
唯一の反抗が自殺だったんじゃないかな。
8. 名無し ■2010/11/02 21:05:22
すぐ上で言われてるけど霊夢の境遇って幻想郷どころかあらゆる世界を見渡しても
まれに見る悲惨さだよね。
人生には救いの余地が何も見えず、楽しみは決して与えられず、自力で見つけたとしても追い求めることを
制限され、発狂して暴れまわることも許されず、ただ安穏と日々をすごしいざとなれば死地に飛び込むことを「強制」させられる。
霊夢は人間として「壊れた」存在になることでこの地獄の運命に対処してきたんだろうけど
この話ではなんらかのはずみにまっとうな心を取り戻して自殺してしまったんだろうなぁ……
そんな事を想像してウフフ。
9. 名無し ■2010/11/02 22:48:27
人妖問わず人気者、と言っても妖怪退治人としては舐められまくってる話だよな。
死ぬ思いで異変解決しても、妖怪にとってはそれはお遊びで、
久しく交流の無い地底に特攻させられて、宴会場所提供して、後片付けまでさせられて……。
幻想郷の道具として阿求と立場似てるけど、あっちは文章に毒混ぜてるぶん人間らしい。

風であっさり神社明け渡して、人里でウェイトレスでもしながら、そのうち良い感じの男の子とそれなりに幸せな人生歩んでも良いのにな。
10. 名無し ■2010/11/03 00:56:05
つまりだ。風俗で働け霊夢ちゃん。
11. 名無し ■2010/11/03 02:28:01
20001人目のろり霊夢を…すいませんw
12. 名無し ■2010/11/03 10:46:07
コメント欄見るまで霊夢が不幸な境涯にいる事に気づかなかった
あんな性格だからわかりにくいけど、実はここに書いてあるとおりに考えると
すごく不幸なんだな
13. 名無し ■2010/11/14 00:54:40
エンディングの宴会は自棄酒だったのか
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