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『東方スカ娘B「閻魔は正しく間違える」』 作者: ウナル

東方スカ娘B「閻魔は正しく間違える」

作品集: 21 投稿日時: 2010/11/05 15:09:41 更新日時: 2010/11/06 00:09:41
・この作品は東方Projectの二次創作物です。

・スカトロ描写、ならびに一部キャラ崩壊があります。

・それでもOKという方のみ、続きをお楽しみ下さい。







































「ど、ど、どうすれば!?」





額に手を置きながら映姫は便器を見やる。白い和式便器の中には極太の大便が鎮座している。

直径五センチ長さ二十センチはある一本グソの上に、短めのモノが二重三重に重なり合った様子はさながら糞便の山だ。断面からのぞく無数の繊維。ひょっこり飛び出ているのはもやしの成れの果てだろうか。便器の水には茶と黄が混ざり合い、山の上で丸まったトイレットペーパーは筆で書いたような茶色の線が走っている。

意外に匂いは強く無いが、それで映姫の羞恥が薄れるはずもない。





「し、仕方ありません……ね」





強く拳を握り、唇を噛む映姫。

高鳴る鼓動。震える指。

本当にいいのか、誰かが入ってくるんじゃないかという不安の声を必死に払い、扉の鍵に手を伸ばす。





「だ、大丈夫です。もう休憩も終わりですし、誰も来やしません。そうです。そうに違いありません!」





かしゃんという小気味よい音と共に、外側のマークが赤から青に変わる。

映姫はトイレの個室から飛び出した。









◆◆◆









さかのぼること15分前。

休廷の鐘が鳴ると同時に映姫は椅子から飛び降りた。

時刻は13時少し前。通常勤務の死神は休憩を終えて仕事に戻り始める時刻だった。

廊下で談笑していた死神たちは映姫の姿を見るなり、慌てて“気をつけ”の姿勢を取る。ピンと背筋を伸ばした死神たちを一瞥もせず、颯爽と映姫は通り過ぎた。





「び、びっくりした。なんで四季様が」

「でも、生の四季様を間近で見れたぜ。ああ、良い匂いだ。たまんねえ」





死神たちは胸を撫で下ろしながらも、離れていく小さな背中に釘付けになる。わずかに残る清楚な香りが胸に広がり、鼻の穴を大きくした顔がにやける。その声を耳の端で聞きながら、映姫はその顔を恥辱に赤らめた。







四季映姫・ヤマザナドゥ。幻想郷の閻魔。

肩に届く程度の緑色の髪。袖口とスカートから伸びる白い肌。一重の大きな瞳には長いまつげが生え揃い、その奥に覗く深く厳しい輝きを隠している。薄めの唇や鼻はびっくりするほど小さく、まるで仏が美の見本になるべく作った人形のようだ。

だが、その顔も今は苛立ちと焦燥で般若の相を見せ、まさしく地獄の閻魔に相応しい表情になっている。側に死神の姿が見えなくなったところで、映姫は誰にも聞こえないくらいの小さな声でつぶやいた。





「こんな時に限って他所から五十人も亡者を流してくるなんて……っ。もうっ。初江王様は思慮が足りません。お腹痛いと思っているのがわからないんですか……!」





理不尽な怒りを抱えながら、ちくちくと痛む腹を押さえる映姫。

全ては目覚まし時計が悪いのだ。





時刻通りにジリジリ鳴るだけの仕事に飽きたのか、毎朝親の敵とばかりに引っぱたかれる恨みからか、8年来の戦友である目覚まし時計がストライキを起こした。結果、映姫のビジネスモーニングは地獄絵図に変わり、慌しく制服に着替えることしかできなかった。悔悟棒を忘れてこなかったのは奇跡と言っていい。帽子を脱げばボサボサ頭が顔を出す。口の端には通勤中に食べたイチゴジャムパンの欠片がごくわずかにくっついている。





だが何よりも問題となっているのは、毎朝の習慣である排便ができなかったことだ。





映姫の身体はすでに排便は朝にするというクセがついている。映姫の寝坊など便にとっては関係ない。無遠慮な排便感は裁判中にどんどん高まっていき、今では映姫の意識を刈り取らんばかりだ。







ぷす……ぷっ……ぷぷぅ……っ。





「〜〜〜〜っ!?」





断続的に続くガス漏れの音。ショーツの中で肉の壺がじょじょにだが確実に開かれていく。

辺りに誰もいなかったから良かったようなものの、もし後もう少し力が緩んでいたら廊下全体に響くような大放屁をしてしまっていただろう。映姫の背中にひどく冷たい汗が流れる。





「急がないと……っ!」





強く悔悟棒を握り締め、映姫は一気に駆け出した。身体をぶつけるようにして白い張り紙のされたトレイの扉をこじ開けた。





「良かった。誰もいない」





ほっと息を付き、映姫は手前の個室になだれ込んだ。

しっかりと鍵をかけたことを確認し白と青のストイプを膝まで下ろす。オナラの匂いのこもったショーツには縞模様を縦断するように茶色のシミがついていた。だがそれを気にする余裕もなく、映姫は崩れ落ちるように和式便座に跨った。

熟す直前の白桃のような尻にはうっすらと汗が浮かび、天井の明かりを照り返してほのかに輝いている。茶色の窄まりは待ちきれないように脈動し、周囲の芝を薄く湿らせていた。





「ひぐっ!!」





便座に座ったという安心感とうんこ座りをしたことによる腹圧で、一気に排便の欲求が高まる。内肛門括約筋は脳の指令を受けてあっさりと口を広げ、外肛門括約筋も腸内からの物理的な圧力を受けて崩壊寸前だ。目の前に電流が走った。赤い稲妻が眼球を駆け巡り、映姫の理性を刈り取ろうと悪鬼のような力で脳を揺さぶる。





「うあっ! あはあああああああああああああああああっ!!」





お尻が弾け飛ぶような衝動と共に、猛烈な熱さが身体の外へと飛び出していく。

いの一番に現れたのは固い黒茶色の大便だった。緑の芝と赤茶の肛門管に粘液を擦り付けながら姿を現した大便の直径五センチは下らない。

我慢に我慢を重ねた映姫に答えるようにその便は蕩けるほどの腸液に塗れ、生命の誕生を思わせる輝きに包まれている。





「うっ! はっ! ングゥ!!」





映姫のことなど何一つ考えていないようにゴリゴリと内側のヒダを削り、身をくねらせる巨大便。映姫の瞳には涙が浮かぶ。痛みを逃がすためだけに息をすればそれは喘ぎとなる。





「――あうっ!? ふぅ! んんっっぅ!!」





トイレに響く自分の喘ぎに気付き、映姫は右手で口を封じた。喘ぎはくぐもった悲鳴に変わり、吐き出せない息は涎になって右手を汚す。





「ふーっ! ふーっ! ふーっ!」





ぬちゅっ。

そんな間の抜けた音を残して、大便はようやく映姫の中から出てきてくれた。

太さ五センチ長さ二十センチはあるそれは、人の身体から出てきたとは思えない圧倒的存在感を持って便器に鎮座する。ゴツゴツとした表面に繊維の糸が飛び出した茶黒のクソは、映姫のキメ細やかな肌とは対象的だ。





「あう! ま、まだ! ううんっ! ふぅんっ!! んんっ!!」





映姫の排便は止まらない。栓となっていた便がなくなったことにより、溜まっていた便が動き出したのだ。

ぶちゅぬちゅ……。

絞り器の様に赤く窄まった映姫の肛門は二つの便を吐き出した。茶の粘液にまみれたそれは大きさこそ里芋ほどだが、巨大便に蹂躙され、赤く腫れた映姫の肛門にはそれさえも強すぎる刺激だった。

熱い吐息は両手で押さえても止められず、一筋の涙が映姫の頬を伝い手に触れた。





「はあ……はあ……っ」





肩で息をする映姫。排便の緊張が解けたためか、膀胱の中に溜まっていた尿が思い出したかのように漏れ出す。





「よ、良かった……本当に良かった」





ぶるりと身震いし映姫は、白い便座に抱きつくようにへたり込んだ。









◆◆◆









痛む後ろ口を拭き、ショーツを履いた。未だ排便の感覚が残った肛門はわずかに口を開いて、ショーツの間の空気をはくはくと吸い込んでいる。

映姫は自身の腹を撫でた。綺麗に整えられた眉が眉間にシワを作る。





「まだ、残ってますね」





あれだけ出したのにも関わらず、未だ腸中には残便感がある。できれば全て出してすっきりしてしまいたかったが休廷の時間は終わりに近い。

無理をしなければ終業まで我慢できる、そう判断し映姫はスカートと服のシワを伸ばした。

咳払いを一つ、便器の全部に取り付けられた銀色のレバーに手をかける。





「……一回で流れるでしょうか?」





半分呆れ半分真剣な表情で、映姫は一気にレバーを引いた。





かこん。





「え?」







普段らしからぬ呆けた顔の映姫は、そのまま同じ動作を二回繰り返した。

かこん。かこん。

想像していた手ごたえは返ってこず、目の前には依然として巨大な便がそびえ立っている。





「そ、そんなっ!!」





思わず叫んだ映姫は、慌てて両手で口を塞ぐ。

もしかしたら、ともう一度だけレバーを引くが反発のない感触が返ってくるだけだった。

壁に手を付き映姫は額に手をやる。その顔は吸血鬼もかくやというほど青ざめていた。





「う、嘘でしょう? こんな時に故障なんて……ど、ど、どうすれば!?」





脳裏に浮かぶ選択肢は三つ。

逃げるか、助けを呼ぶか、自分で何とかするかだ。





「……逃げるなんて、あり得ませんね」





仮にも亡者を裁き、生者の模範となるべき閻魔がうんちを放置して逃げ出すなどあり得ない。トイレは来たときよりも美しく。常識だ。





「助けを呼ぶのは妥当ですけど……うぅ」





こんもりと山積みになった便を見て、映姫は顔から火が出る思いだった。こんなものをひり出したと知られれば、周りのものになんと言われるか。





〜〜〜〜〜

『知ってるか? あの話』

『ああ、四季様のことだろ。うんちが流れなくて部下に泣きついたっていう』

『水が流れなかったって言ってけど、どうだかなあ。本当は何回流しても流れなかったんじゃねえの?』

『そうだよなあ。聞いた話じゃすげえでかかったらしいじゃん』

『ああ。ヘビみたいなトグロうんちだったみたいだぜ』

『あのムッツリ顔の四季様がねえ』

『澄ました顔してるのに笑っちまうよな』

『あははははは』

『はははははは』

〜〜〜〜〜





「ぜ、絶対にダメです!! ダメですダメ!!」





ぶんぶんと顔を振りながら、映姫は脳裏に浮かんだ妄想に身震いする。もしものことを考えると二番目の選択肢も取れるはずがない。

と、なれば取れる選択肢は一つ。





「し、仕方ありません……ね」





ごくりと喉を鳴らし、映姫は扉の下の隙間から瞳を覗かせる。

必然、うんちに顔が近づくのだがそれを気にしている余裕は無い。





「用具入れは向こうの端。洗面台は入り口の側。別に鍵はかかっていないはず。バケツを取り出して洗面台へ向かうまでおよそ五秒。それから水を溜めるのに三十秒は必要と考えるべきですね。この扉は、くっ、開きっぱなしになるタイプですか。その間に誰かが入ってきたら……」





その想像を映姫は理性の力で千切って捨てた。





「だ、大丈夫です。もう休憩も終わりですし、誰も来やしません。そうです。そうに違いありません」





そう強がりつつも、映姫は最後の鍵を外せずにいた。したときとは違う、不安と焦燥による動悸。心臓が痛いほど跳ね上がり、肋骨を突き破って出てしまいそうに思える。

かしゃんという小気味よい音と共に、外側のマークが赤から青に変わる。

重力に引かれるように扉は開き、巨大な便の乗った便器を顕わにする。

背後には自ら出した大量の便。

左手には誰が通るかもわからない廊下の電灯の光。

映姫は光の速さで駆け抜ける。

用具入れをこじ開けた。





「バケツ、バケツ、バケツ……あった!」





デッキブラシとラバーカップの群れの向こうに青い取っ手が見える。無我夢中で手をつっこむ映姫。その頭の中には他の物を出してから取るなどという考えはなかった。





「くっ! この!」





デッキブラシの柄に阻まれバケツはなかなか奥から出ようとしない。この間にも時間は刻一刻と過ぎていく。

もう何秒過ぎただろう。五秒? 十秒?

焦れば焦るほど箒たちは映姫をあざ笑うようにその手を複雑に絡め、バケツの行く手を阻む。映姫にとっては数時間。実際には二十秒の時間をかけて、ようやくバケツは取り出された。モップを蹴りこむように用具入れに直し、映姫は洗面台に向かう。





「よし! これで!」





後は水を溜めて流すだけ。映姫の中に確かな勝利と安堵の感情が広がる。

バケツを洗面台に置く。一度蛇口にぶつけて大きな音が出てしまったが、あえてそれを無視した。

角の丸めた三角型の蛇口を手に掴めば、目の覚めるような冷たさが伝わってきた。その感触が今は心地良い。

鏡に映った顔は真っ赤な頬に笑いえくぼが浮いていた。

ようやくこの騒動から開放される。そう思えば映姫は空をも歩く思いだ。

小さな手が蛇口を捻る。

軽快な音が響き、蛇口が半回転した。

水は出なかった。





「…………はい?」





何度も何度も蛇口を回す。最後には蛇口が外れてしまったが、それでも水は出なかった。

三角形の取っ手を手に、呆然と映姫は鏡を見る。

死人みたいな奴がいた。





「な、なん!? あ、ありえません!!」





取っ手を投げつける寸前で思いとどまり、ぎりっと歯を食いしばる映姫。もし騒ぎを起こして誰かがやってきたらそれこそお終いだ。





「でもっどうして……っ!!」





白くなるほど拳を握り締め、映姫は洗面台に崩れ落ちた。

頭の中は疑問でいっぱいで今にも破裂しそうだ。

なぜ。なぜ。なぜ。

亡者相手に判決をしているときよりもよっぽど頭を使っているつもりなのに、いつまでも答えは出てこない。





「っ!?」





映姫を正気に戻したのは遠くから聞こえた足音だ。

コツコツと廊下を叩く二人分の足音。ノイズのように聞こえるのは恐らく話し声だ。

全身の毛が逆立つ感覚と言うのを初めて映姫は感じた。

自分の毛穴という毛穴が一気に汗を吹き出し、じっとりと肌着を濡らしていく感覚。生皮を剥がされた肌はこんな感じかもしれない。地獄の責め苦にも似た恐怖と絶望が映姫の脳裏に走る。

世界の回転がゆっくりに思えるほどの速度で映姫はトイレへと駆け込んだ。

鍵が一度で閉まったのは行幸と言って良いだろう。慌てすぎて蛇口をそのまま持ってきてしまっていた。

だが、映姫が恐れた最悪の展開はやってこなかった。どうやらトイレには用がなかったようで、二人分の足音はトイレに近づいても歩みを緩めない。





「はぁぁぁ〜」





腰が抜けたとばかりに映姫の身体はずるずると落ちた。スカート越しの湿ったタイルの感触が、何故だかとても冷たく感じる。

そんなとき、わずかな囁きがトイレに届いく。





『さっきの張り紙なに?』

『知らないの? 水道が事故で壊れて今断水中なんだよ』





聞き捨てならなかった。

断水? 事故? そんなバカな。

談笑を呆然と聞き流しながら、映姫は己の迂闊さを呪った。





「落ち着きなさい。あの場面でもしトイレに駆け込まなかったらきっと漏らしてしまっていたでしょう。それを考えれば私の選択は間違っていなかったのです。今はこれをどうするかを考えなければ」





映姫の出した便は黄色の水を吸ってだいぶふやけていたが、それでもその神々しい威厳と存在力は些かも衰えていない。むしろ、水を吸ったことにより艶かしい色艶に磨きがかかっている。

泣きわめき現実逃避したくなる衝動をぐっと抑え、映姫は最善策を思案する。





「便器もダメ。洗面台もダメ。さっきの話が本当なら給湯室も仮眠室も全滅のはず」





奇跡が起こるかもとレバーを引くが、帰ってくるのは無慈悲な音のみ。だからと言って、いつ終わるかもわからない修理を待つわけにもいかなかった。

四季映姫・ヤマザナドゥは地獄の裁判長。彼女がいなければ裁判は始まらない。休廷時間はもうすぐ終わる。そうすれば死神たちは裁判所中をくまなく探すだろう。そんなに広い施設でもないこんな場所すぐにばれてしまう。





「残された手段は……三途の川まで行って水を汲むことですね」





そう。裁判所の外に行けば腐るほど水はある。此岸と彼岸を隔てる三途の川は乗り物を沈める力があるものの水としては普通に飲むこともできる。バケツを使いそれを汲むことができればこの汚物を流すことは可能だ。





「なんでこんなことに……」





大きなため息を一つつき、映姫はゆっくりと個室の扉を開けた。

ふと手の中のものに気付き、律儀に蛇口を戻した。

洗面台に置きっぱなしのバケツを持ち上げるその動作は鋼でも持つかのように重たかった。





「でもやるしか……」





そして、トイレの扉を開け駆け出そうかとした瞬間、柔らかなものが顔面に押し付けてられた。





胸から顔を上げるとそこには赤い髪を二つに結んだ少女の姿があった。背は映姫が見上げるほど高く、すらりと伸びた四肢と胸と尻のバランスはモデルと言われてもまったく違和感がない。それでいながらどこか幼さの残る顔立ちは、見るものをなぜだかほっとした気分にさせてくれる不思議な魅力がある。

小野塚小町。三途の川の船頭をしている死神だ。





「し、四季様!? な、なんでこんな時に!」

「っぷはっ! こ、小町!? あなたこそなんで!?」









面倒な人に見つかったとばかりに視線を逸らす小町。サボリ癖のある小町と勤勉な映姫が出会えば、大抵の場合映姫の説教ニ時間コースに突入するからだ。もじもじと太ももをすり合わせる小町は、どこか不自然な笑顔を作りながら頭をかいた。





「あ、あはは。きょ、今日も良い天気ですね。四季様。って、あれ? 映姫様。なんでバケツなんか持ってるんですか?」

「こ、こら小町! こんなところでなに油を売っているのですか!? もう休憩時間は終わりですよ!!」





痛いところに突っ込まれる前に映姫は叫んだ。悔悟棒の代わりにバケツを振り上げ、ぷんぷんと擬音さえ聞こえそうなほどに険しい表情を作る。





「い、いや、だからそのですね。穏やかな午後の陽気に誘われてしまったというかなんというか」

「また昼寝ですか? いい加減にしなさい! 貴方は仕事への真面目に欠けすぎる!! いいですか!? 貴方がそうやってサボっている間にも此岸の魂は迷い続けているのですよ! そもそも死神の仕事とは――」

「あーすいません! 話は後で聞きますから!」





そう言って小町は映姫の横をすり抜け、トイレのノブに手を伸ばす。

瞬間、映姫の腕が扉に叩きつけられた。

だらだらと汗を流しながら、映姫は小さな身体を目一杯広げて小町の前に立ち塞がる。目を見開き、歯を食いしばったその顔はとても冷静沈着な閻魔姿からは想像できない。





「まままま、待ちなさい!! 何をするつもりですか!?」

「なにって、もちろんトイレに行こうと」

「んなっ!?」





何を当たり前のことを小町は怪訝な顔で映姫を見る。流石にバケツを持ってトイレから出てきただけでは、うんちを流す水を汲みに行くつもりだったとは想像できないらしい。いやそもそも小町の性格からして、事故で水が出ないことなどを知らないのだろう。

そのことは映姫にとってチャンスでもあり、ピンチでもあった。





「ちょ、ちょっと待ちなさい! この張り紙が見えないのですか! 今は水が出ないのですよ!」

「え? そうなんですか?」





映姫はほんの少し身体をずらして小町にも張り紙が見えるようにした。確かにそこには事故のため水道が使えないことが書かれた張り紙がある。





「あ、ほんとだ」

「でしょ? だからここは諦めて仕事に……」

「ふむ」





だが小町を別段気にした様子もなく、再びノブに手を伸ばす。

ドアノブが回る寸前、映姫は扉と小町の間に身体を滑り込ました。





「ちょ、四季様! どいてくださいよ! なんで邪魔するんです!?」

「貴方こそ何をしているんですか! 水は流れないと言ったでしょう!」

「そのくらいいいですよ! どうせ小さい方ですし! あっ、やばっ! と、とにかくどいてください!」

「ダメです! 絶対ダメです!!」





映姫をどかそうと身体をぶつける小町。だが、映姫も頑としてそれに抵抗する。

絡み合う二人の手。バケツが床に落ち、まぬけな音を響かせた。





「や、やめなさい! これは命令ですよ!!」

「勘弁してくださいよ! もう漏れそうなんです!! ト、トイレに行かせてください!」





無論体格や力だけなら小町の方が有利だが、その腰はあからさまに引けている。膀胱ももうギリギリなのだろう、眉は眉間に寄せられ頬は紅潮している。

しかし、その一方で映姫の方にも変化があった。





……ぷぅっ



「――っ!!」





わずかに漏れ出た小さな音。それはわずかな臭気をまとって映姫のショーツの中に広がる。それに続くように下腹部が低い唸りを上げ、大腸や直腸が身動ぎする。

小町との押し合いで残便が動き出してしまったのだ。徐々に高まる排便感。必死にお尻を閉めて栓をするが、そうすると今度は小町との押し合いに負けて扉を開けられそうになる。

まさに前門の虎後門の狼。地獄の板ばさみの中、映姫はただ叫ぶ。





「ちょっ! こ、小町! ま、待って! 待ってください!!」

「じゃあ、早くそこをどいてくださいよ!」

「それはダメです! で、でも! あぐぅ!!」





がくがくと震える映姫の膝。もう後門のすぐ手前まで便が来ているのがはっきりとわかる。

無我夢中の顔で映姫を押し続ける小町の体温も、不思議と映姫の排泄欲を高めていく。

同時に映姫の手も限界に近かった。真っ赤に充血した指先は今にも扉の縁から外れてしまいそう。





「やっ、やだあああああっ!!」





膝から崩れるように映姫は倒れた。一気に扉が開け放たれ、勢いのついた小町と映姫はトイレの中に将棋倒しになった。





「うあっ! ま、まずい……!」

「…………っっっっ!!」





小町は袴越しに股間を押さえながらも何とか立ち上がる。多少漏れてしまったが、まだ誤魔化せる範囲だ。仰向けに倒れた映姫を横目で見ながらも、それを振り切るように個室へと向かう。

だが、その歩みはくるぶしの強烈な痛みと共に止められる。





「っ!? し、四季様!? はな、離してください!!」

「くっふっふっ……! 逃がしませんよ小町ぃ……! こうなれば死ねば諸共!」





口の端から涎を流し、映姫は立ち上がった。その下腹部からは断続的な水音が響き、太ももには茶色の筋が流れ出していた。





「し、四季様……?」





その異様な姿と強烈な悪臭に、小町は尿意も忘れて後ずさった。

その瞬間、映姫の足がタイルを蹴った。

猛烈な勢いで突進し、小町を押し倒す映姫。





「ひっ!? や、やめっ!!」

「こ、小町……貴方が悪いんですよ……。もう、こうするしか……っ!」





壊れた笑みと共にゾンビよろしく小町の身体を這い上がる映姫。

その身体は足、腹、胸を越え、遂に目と鼻の先までやってきた。

両足で小町の肩を押さえた、いわゆるマウントポジションの姿勢で映姫は一度身体を起こす。





「……ねえ、小町。もし誰にも知られたくない秘密を暴かれそうになったらどうします?」





こんな状況にありながら、映姫は不思議と冷静だった。

焦りと不安が一周したらかえって頭が冷えるのかもしれない。凍えるような脳裏の中、映姫は小町を見下ろしスカートをまくった。





「やっ! な、なにを!?」

「誰かに秘密を知られたら、どうやって口を封じるか。簡単です。その者にも秘密を作ってしまえばいい。誰にも知られたくない秘密を……!!」





そのまま映姫は小町の顔に尻を押し付けた。

白と青のストライプが小町の眼前を覆う。それに加え、茶色の粘液がべちゃりと鼻を濡らした。





「ふぐぅぅう!?」

「さあ小町! 貴方も恥ずかしい目にあってしまいなさい!! 私の手によって!!」

「ふんぐぅぅぅぅぅぅぅうっ!!」







ぶっ! ぶっつ! びちゃびちゃ……!!

詰まったホースのような音と小町の悲鳴が協奏曲を奏でる。

映姫のショーツはこんもりとふくらみ、その端からははみ出た汚物が次々と飛び出していく。

それらは小町の顔や首元に降り注ぎ、その赤い髪を茶に染め上げる。





「ふぐっ! やっ! ぷえっ!! し、四季様ぁっ!! うぶっ!!」

「……この秘密。喋ったら殺します」





上気した顔に鬼神の瞳を浮かべ、映姫は小町にそう囁いた。

呼吸困難と精神的ショックによって薄れいく意識の中、小町は自分の股の温かさに気付いた。









◆◆◆









偶然通りかかった死神が異臭に気付き踏み入ったところ、トイレの中には汚物と吐瀉物が散らばり酷い悪臭を放っていたという。

一時期彼岸はこの事件の話でもちきりとなり、ふざけ半分の犯人探しまで始まった。

だが結局犯人は見つからず、掃除も水道の修理も終わってしまえば人々が興味を抱くこともなくなった。

人の噂も75日の言葉どおり、二ヶ月も経った頃にはこの事件を覚えているもの自体が少なくなった。わずかに記憶に止めている者たちも、いずれ新しい記憶の中にページの断片を埋めていくだろう。





「それは良かったんですが……」





疲れた表情で映姫は仰向けになって甘い声を上げる小町を流し見た。

汚れないよう両手を使って髪をかき上げた姿勢で小さな舌をぺろっと出し、熱い吐息を映姫に吹きかけてくる。

呼び方もいつの間にか四季様から映姫様に代わり、頬を赤くして映姫を見つめる様子は恋する乙女そのものだ。





「映姫様ぁ。はやくはやくぅ。あたいもう我慢できないよぉ」

「そりゃ最初にしたのは私ですけど……うぅ」





映姫の目論見どおり、秘密を共有することによる小町の口を封じることには成功した。

誤算だったのはその一軒で小町が食便趣味に目覚めてしまったことだ。

原因が自分にある手前いまさら止めたいとも言えない映姫は、小町に求められるまま毎夜毎夜の秘め会を続けてしまい、ずるずると二ヶ月以上も爛れた関係を続けていた。

今日も今日とて思い出のトイレで二人は秘密の逢瀬を繰り返す。





「あぁ! 来た来たぁ!! 映姫様のお尻! うんちの穴ぁ!!」

「じ、じっと見るのは禁止です! 息をかけるのもダメです!」





小町の顔を和式便座に見立て、その顔の上に跨る映姫。涎にまみれた熱い舌が臀部で踊る。

小町の熱い接吻を受け、桃色の窄まりはあっという間に蕩けてしまった。





「ん……っ! あぁっ!」

「んちゅっ! ああっ! うんち汁美味しいです! ちゅっ! じゅるるるるるるっ!!」

「やっ! ダ、ダメです! そんな吸っちゃ……っ!?」

「ください! ください!! 映姫様のおっきいのください! 鼻が曲がるくらい臭くて、ヘビみたいに大きいのあたいに食べさせてください!!」

「わ、私のはそんなに臭くありま……ひゃんっ! あっうっ! んぐぅっ! ふあああああああああっ!!」





ふわっと花弁が広がるように、映姫の肛門は口を開けた。中から現れた極太の一本グソが小町の口の中へと伸びていく。

小町の舌はそれを優しく受け止め、喉の奥へと導いていく。





「あぁんっ! 臭くて苦くて、火傷しそうなくらいアツアツで! 美味しい! 美味しいです! もうこれ無しじゃ生きていけないっ!!」





ぐちゅぐちゅと口の中の便を夢中でほおばる小町。口の端からは漏れ出たうんちが筋を描き、唇には茶色の口紅が塗られた。

小町は映姫に見えるよう、口を大きく広げて見せた。

歯で磨り潰された便が歯茎に挟まり、小さめの極上のフルーツを小町は舌で転がしていた。

ごくっ、と大きく喉を鳴らし小町はそれを飲み込む。





「けぷっ……」





小さなげっぷを一つ。その匂いは鼻が曲がりそうなほどだ。小町はうんちをねだっていたときよりもずっと恥ずかしそうな顔をして、愛想笑いをした。





「えへへ……ごちそうさまでした」

「……っ!!」





その屈託ない笑みに、映姫の心臓が高く跳ね上がる。





「……なぜこんなことに」





一体どこで間違えたのか、ぐるぐる悩み悩んでも答えは出てこない。

ただただ間違えたはずの道を、そのまま進んでしまうだけ。

小町があまりにも無邪気に笑うから、映姫はまたも指切りをしてしまう。

また明日。あたいを使ってくださいね。

そんな言葉に頷いてしまう。

小さくため息をつきながらも、結び合う小指にほんのり笑みを浮かべる映姫だった。























―了―
お久しぶり方お久しぶりです。初めましての方初めまして。

ウナルです。



今回のお題は『トイレ』といことで、水が流れないというシチュで攻めてみました。紙がないという状況はよくありますが、水が流れないというのも現実では結構ありますよね。

そんなとき、普段真面目な方ほど慌ててくれると思って、映姫様に出張ってもらいました。





このSSで少しでも楽しめた方がいるなら幸いです。

このSSでスカトロが好きになってくれた人がいるなら、なお幸いです。

それでは失礼いたします。
ウナル
http://blackmanta200.x.fc2.com/
作品情報
作品集:
21
投稿日時:
2010/11/05 15:09:41
更新日時:
2010/11/06 00:09:41
分類
東方スカ娘B
四季映姫・ヤマザナドゥ
小野塚小町
スカトロ
トイレ
1. NutsIn先任曹長 ■2010/11/06 01:07:25
私はSSを書き始めて日が浅い故、まだそっち方面はちょっと…。

私もよく目覚まし時計の造反に遭いますが、流石にこの悲劇は経験したことはありません。
たしかに断水やら水周りの工事やらで、トイレが使えないことに気付かずに使ってしまったというのは、
リアルではよくありますが便所ネタではあまり聞きませんね。

水洗のレバーを引いた時の四季様の絶望といったら堪りませんね〜。
閻魔様は文字通り、地獄に身を置いてらっしゃる。
まあ、乙女の秘密は護られたのだから、四季様、良かったね。
さらに悪食の子豚ちゃんまでゲットできたのだから、万々歳ですね。

果たして、私がそっちに目覚めるようなSSは来るのかな?
2. 名無し ■2010/11/06 03:08:04
曹長は知らなかった
その一言が産廃のスカトロジスト達を決起させ曹長を魔道に引き込まんとすることを……

うん、ウナル氏は相変わらずで安心したw
ってかほんと何故こんなことに!?
小町、そこかわれ!
3. 名無し ■2010/11/06 04:05:03
「さて、抜きたいがオカズがない・・どうしたものか」
というところにウナルさんの新作だよフハハハ

間に合わずにお漏らしもいいですけどギリギリ間に合ってトイレで思いっ切り・・っていうのもいいですよね
御馳走様でした
4. んh ■2010/11/06 12:06:12
やっぱり四季様はしまぱんか…

小町とんだとばっちりだなと思ったら素敵な趣味の持ち主でよかったです。
5. 名無し ■2010/11/06 13:04:49
いや〜食糞って本当に良いものですね。
臭さ爆発のエロSSをありがとうございますありがとうございます。
6. 名無し ■2010/11/06 20:00:33
ウナルさんの作品久しぶりに見たが、やはりキレは変わってないですね
小町を食糞趣味に叩き込むとは四季様罪作りなお方だ
7. kyoune ■2010/11/06 23:32:48
やっぱり食糞最高ですね。
四季様と小町で食糞ループ永久機関とかにもなったりしそう。
8. Richa ■2010/11/07 08:57:47
排便だけじゃなく、おもらしや食糞と、ことごとくツボを抑えられました。
御馳走様でした。大変美味しゅうございました
9. エイエイ ■2010/11/07 20:07:02
こら、人のトラウマ掘り起こすんでねぇw
水が流れない恐怖は皆一度体験すると良いぞ。
食便趣味とか、スカトロの中でも更に少数派ですねえ。
でも髪の毛に汚物を塗りたくる快感は一寸分かります。
10. ぐう ■2010/11/08 11:34:01
昔の閻魔様シリーズを見て、映姫様はこういう立場がよく似合うなぁと改めて思いました。
そしてこまっちゃんも隅に置けないねぇw
11. ウナル ■2010/11/10 22:44:10
コメントありがとうございます!!

>>1 目覚めさせましょう!!
>>2 相変わらずですいません(笑)
>>3 あの時の安堵感は凄いですよね。だからこそその後の絶望も大きいわけで
>>4 しまぱんは作者の趣味です(笑)
>>5 いえいえ。まだまだ未熟ゆえ精進していきます
>>6 その罪を償うために映姫様はうんち自販機になるべきですよね
>>7 食便最高ぅぅぅぅぅぅうっっ!!
>>8 いえいえ。お粗末さまでした
>>9 水は流れたものの、ブツが流れないというのも恐怖ですよね(笑)
>>10 こういう映姫様大好きです!!
12. pnp ■2010/11/12 15:03:13
流せないものを処理するシーンの、カイジの如し緊迫感がよかったです。
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