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『メカレミリア「ギョイイイイゴリゴリゴリゴリズゴゴシューォブルルルルィェエエンッツスゥ」』 作者: 新素材
宇佐見蓮子ちゃんの高温多湿な一日が始まります。
「宇佐見蓮子、起床!」
両サイドにパリッパリの目糞を乗せたシジミみたいな右目が、三年前から使ってる潰れた蛙の形した時計をキャプチャしたよ。
「六時午前六時三十、午前五時九十分!」
蓮子ちゃんは、午前五時台に起きる事を生きがいとしていて、これを達成したあかつきには喜びの余り寝小便の処理も忘れて二度寝する事もあるよ。
「おはよう、レノン子」
「おはようございます、母さん」
蓮子ちゃんのお母さんはジョン・レノンが大好きです。
でもたまにジャン・レノと間違えます。
「おはよう、ゆうしゃ ああああ よ」
「おはようございます、父さん」
お父さんは居ません。
蓮子ちゃんの家は、日当たりの良い土手の上に有ります。
それと関係有るのか無いのか、今日の朝ごはんはどて焼きです。
土手からの景色はとっても綺麗です。
川の向こうには、工場地帯があります。
煙突から出るあの煙が、モカモカ膨れて雲になるんだよ、と、小さい頃には良く教えられたものです。
嘘だと分かった次の日にお父さんを土手に埋めました。
上手に土手に埋めました。
どてっ
「お母さん、私は昨日の晩、夢を見ました」
でも蓮子ちゃん、その内容は言いません。
母はその表情から、内容のエグみを推察するしかありません。
聞いたら聞いたで『お前の脳みそピンクスウィーツ』としか声がかけられないので、これで良いのです。 料理得意だし。
蓮子ちゃんは朝食を見るだけ見て満足し、才能の無い努力と場違いな愛憎が渦巻く、大学へヨッコイセと駆け出しました。
「良い天気っ!」
玄関出たらとりあえずマヨネーズ持ってこう言っておくのが、蓮子家の通過儀礼です。
例外が有るとすれば、帰り道、交番前にその日の事故件数が三件と掲げられていたら、次の日はお通夜ムードです。
家の前の通りに出ると、流石に世界の終末の三日前と言うだけあって、人影もちりめんモンスター並にまばらです。
(ちなみに、このSSの面白い所もちりめんモンスター並にまばらです。)
空を飛ぶ鳥たちだけが、いつもの日常を保っています。
蓮子ちゃんはバス停へ向かいます。
定期券は持っていません。
持って帰るのが煩わしかったので、昨日の帰りにバスの網棚にカバンごと置いて来ましたから、それを回収して使うのです。
「よっ、蓮子ちゃん、おはよう!」
「おはようございます、おじさん」
たこ焼き屋のおじさんはとっても親切です。
機嫌が良い時しかたこを入れてくれません(悪い時はつばを入れます)が、赤ら顔がとっても優しげです。
蓮子ちゃんが操を捧げただけあります。
蓮子ちゃんはポケットからペンをとり出して、電柱の傍らに横たわる蛆だらけの子猫をそっと確認すると、電柱に書き記している三つ目の正の字に三画目を加えました。
「今日も一日よろしく哀愁」
さあ、大学に着かないつもりが着いてしまいました。
これも境界のなせるワザです。
除籍されたせいで何もする事が無いので、剥いた林檎の皮みたいな螺旋階段が特徴的な図書館へ行きました。
学生証が必要ですが、そこはガンバって突破します。
いつ見ても螺旋階段だらけですが、キングコングが日曜大工の練習に螺子を刺しまくったのかと錯覚してしまいます。
棚には大量の可燃物が挟まっています。
この図書館は基本隠蔽体質なので、欲しいものは自分で探さねばなりません。
蓮子ちゃんは、椅子に座って紙の臭いを堪能する野郎共より、片っぱしから本を拝借します。
厚さが三センチに満たない物を窓枠ごと外へ押し出して、残った物の中から、図鑑を選んで持ち帰りました。
図鑑には、見た事も無い武器を持った人間が、見た事も無い生き物と戦う絵や、これまた見た事も無い、薬とか、本とかが描かれていました。
更に蓮子ちゃんの好奇心を引き寄せたのは、何ページにも渡って描かれた、地図でした。
そこには細かい字で、その地に何が生息しているのか、また何が発見されたかなどが書き込まれていて、著者の冒険がいかに充実していたかを物語っています。
なんだか蓮子ちゃんは冒険心をくすぐられました。
蓮子ちゃんは走り出しました!
途中、さっきの本が何かの攻略本である事に気が付いた蓮子ちゃんは、それを学長室に遠投し、生協に寄りました。
ストローの品定めをしながら、頭ではサークル活動の事を考えていました。
秘封倶楽部は不良サークルです。
不良サークルと言うのは、名を連ねる人間が悉く大学に籍を置いていないからです。
三時のおやつにはバターがたっぷり入った輸入菓子しか食べないのも特徴です。
食べた後には昭和の文豪たちについて語りつくし、蓮子の虫歯が痛み始めた所でその日はお開きです。
一度、麻酔をかけて語るとどうなるか試してみようと思いましたが、どういう事か、全身麻酔をかけてしまい、語れませんでした。
蓮子ちゃんは、おたまじゃくしの形をした醤油差しを買いました。
レジがレシートを噛み切るのも待たずに、蓮子ちゃんはまた、走り出しました。
秘封倶楽部が拠点とする部屋は、何故だかは分かりませんが他の誰も場所を知らない、小さなログハウスの中でした。
蓮子は扉の隣に据えられたヒットラーの胸像にナハナハと一発かましてやり、無意味に神に祈りながら部屋へ入りました。
部屋の中央、机の上には、倒れて黄金色の中身をだらしなく吐き出す蜂蜜の瓶と、その瓶の、言ってみれば吐瀉物に髪を浸して眠る少女の頭がひとつ。
蓮子ちゃんは、メリーを起こさないように心の中でじゃんけんをし、負けてしまいました。
じゃんけんに負けてしまえば、コーヒーを入れなければなりません。
厳しい掟ですが、自然界では当たり前の光景なのです。
熱いコーヒーを二つ淹れた蓮子ちゃん。
カップの一つはメリーの顔の隣、一つはピエロのお面が祀られている神棚に置きました。
蓮子ちゃんは、蜂蜜が纏わりつき、目が眩むほどに金色なメリーの髪を少しだけ束ね、コーヒーに浸し、音を立てて吸いました。
次に、蜂蜜の海にコーヒーを垂らし、それをかき混ぜ、髪いっぱいに含ませたのを絞り、カップに戻して飲みました。
メリーは、どんな夢を見ているのだろう、そう考えた矢先、蓮子ちゃんの親知らずがピキッと悲鳴をあげました。
今日はもうお開きです。
メリーの睫毛を食べたいという欲求さえ、秘封倶楽部の厳しい掟には逆らえません。
蓮子ちゃんはメリーの心にさよならまたねと呼びかけて、ナハナハと部屋を後にしました。
今日の事故件数は三件でした。
しかし、帰り道に三回職質を受けたので、それでチャラになりました。
ミニストップに寄りましたがLチキが無い様子だったので、LチキHOTを頼みました。
しかし無いと言われたので、これでもかとLチキCOLDを頼みましたが、ありませんでした。
仕方が無いのでファミチキを頼もうとしたら、陰気な強盗がやって来ました。
母親の仕事の邪魔をしてはイカンと、その場は退散し、自宅へ向かいました。
「宇佐見蓮子、帰宅!」
蓮子は部屋に戻ると、今日有った事を甲骨文字でノートに記し、三回オナって寝た。
おわりおわり
「俺のSSにも情緒ってもんが欲しいなー」と思って書いてみました
うーん
新素材
作品情報
作品集:
22
投稿日時:
2010/11/28 13:06:45
更新日時:
2010/11/29 20:23:39
分類
秘封倶楽部
メリーも何かしゃべって欲しかったなあ…
相変わらずいい仕事してます
相変わらずの秘封……というかますます狂気に
磨きがかかってますなあ。
一行ごとにツッコミを入れながら読みました。
>でもたまにジャン・レノと間違えます。
ごめんw俺もよく間違えるww