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『虎と鼠が喧嘩するだけ』 作者: 二十六
『ほら御主人。こないだ失くしたと言っていた財布。見つけておいたよ。
……全く情けないよ。毘沙門天の弟子ともあろうお方がこんなザマじゃねえ…
たまにはしっかりと物を管理する事を覚えて私の仕事を減らしておくれよ…
それに前宝塔を失くした時は…』
1匹の猛獣が1匹の小動物に威圧されていた。
神の下で働くその偉大な1匹の虎は小さな鼠の前で正座をさせられていた。
その情けない状態の虎の名前は寅丸星。
寅丸は知っているのだ。
ナズーリンのお説教が始まると次の飯時まで終わらないという事を。
時計をふと見ると今は午後3時を過ぎた所だ。
後4時間程度は予想できる。説教の時間も妖怪並だ。
この先の事を思うと涙が出てくる思いである。
寅丸は涙目になりながらナズーリンの話を刻々と聞いていた。
『大体、毘沙門天がどれだけ偉大な方かわかるのか?考えた事はありますか?
聖があなたにとってどれだけすばらしい事をしてくれたかわかってるのかい?』
『…』
『またダンマリだよ。そんな情けない姿を見せないでおくれよ。あぁみっともない。
情けない上に言い返すことも出来ないとは情けないの二乗だ。」
ナズーリンの容赦無い言葉攻め。
恐ろしいほど涙腺がムズムズしてきて瞳が潤ってくるのがわかる。
寅丸も必死で涙を流すまいとこらえるも、プライドはズタズタにされている。
『私だって暇じゃないんだ。あなたの為に時間を割いてくれた事を感謝して欲しいね。
それと…』
『あのぅ…』
寅丸がボソッと喋りかける。
普通の人間になら聞こえない程度の声だったが、ナズーリンはそれを聞き逃さなかった。
『なんだい、御主人。』
『前から思ってたんですけど…あの、その"〜したまえ"見たいな口癖って完全にキャラ作りですよね。』
『―は?』
突然目の前でしょげていた上司が口を開いたかと思うと意味不明な事を言われた。
ナズーリンとも言えど、一瞬戸惑ってしまった。
『何を言うかと思えば…』
『だってそうでしょう。そんな無理やりな口癖、キャラ作りとしか思えませんよ。
そんな喋り方するのは幻想郷であなただけなんじゃないですか?』
寅丸も相当イライラしていたのだろう。
強気だがやはり涙が溜まっている。
『だったらご主人だってどうなんだい。その良い子ぶったキャラは。
天界にも紅い館にもそんな口癖の人は何人もいるんだ。
そんなの今さら評価されないしあなたは良い子ぶれる立場じゃないだろ。』
『コレは口癖とかじゃないです。普通です。負け惜しみはよしなさい。』
『実際に部下に対して敬語を使うのはどうかと思うよ。』
『調子に乗んなよ。お前程度の妖怪なんぞすぐ潰せる事を忘れるなよ。』
ここまで来て寅丸がぶち切れた。
やはり妖怪といえども女子特有のドロドロな喧嘩はするらしい。
『やってみてもいいんじゃないかな。
この事は周りに広がって毘沙門天の下では働けなくなるよ。
命蓮寺からも追い出されることだろうよ。』
『関係ないな。その気になればいつだって出来るぞ。』
『そういえば御主人の服って本当にセンスが無いよね。
どこの国の民族かな。もう妖怪ですらないねwwwww』
『そのスカートはなんですか。脚をそこまで強調するってことは…
あぁ、はしたない、汚らわしい。』
『御主人何で頭に蜜柑の皮なんて乗せてるんだい。
それは流行らないよ御主人。気を確かに。』
『おい、その耳付け耳だろ。取れよ。ほら。』
『ていうかちゃんと歯磨いてるのかい?
御主人が何か話すたびに恐ろしいニオイがするよ。』
『口臭だけでなくあなたは体臭も凄いですよ。流石鼠。』
『あぁ、もう!毘沙門天の命令じゃなきゃこんなところに…』
『え?』
『あ』
一気に場の空気が冷たくなった。
戸惑う寅丸。
『…えぇと…今何と…?』
『……』
『……』
『……』
今日も幻想郷は平和です。
ね、負けじと必死に言葉を考えるナズーリンかわいいよね。
ね、涙目になりながら必死に耐えている星ちゃんかわいいよね。
そんな自己満足を詰め込んだだけ。
ナズーリンが追い出されない事を祈るばかりです。
二十六
- 作品情報
- 作品集:
- 22
- 投稿日時:
- 2010/11/29 21:53:34
- 更新日時:
- 2010/11/30 06:53:34
- 分類
- 寅丸星
- ナズーリン
- グロ無し
仲良く追放フラグですな。
と、苦笑いする描写が見える