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『七色の藁人形』 作者: イル・プリンチベ
七色の藁人形
目が覚めるとすでに日が暮れていた。視界はグレースケールで螺旋状に歪んで見え、体が鉛のように重く感じ、兎にも角にも凄くイライラする上に吐き気までする。このままベッドの上で横になり続けたいがやらなければならないことがあるので、無理矢理体を起こし枕元のすぐそばに置いてある水差しからコップに水を八分まで入れてから黒い薬瓶から錠剤を十粒手のひらに取り出すと、錠剤をすべて口の中に入れてからコップに入っている水で流しこむ。いつからこうなってしまったのかは忘れてしまったが、いつも目覚めはシャキッとしなくて何かと不愉快で最悪なのだ。昨日何をやったか思い出せないし、今日は何をするべきかわからない、明日はどうやって過ごせばいいのか思いつかない。ここのところ何をやってもどうやっても集中できず上手くいかないのだ。
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
「うっ、ああああ〜〜〜〜!!!!!!いっ、嫌〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
凄まじくイライラする上に頭が割れそうなぐらいものすごく痛い。痛みを紛らわすために壁に向って10回ぐらい思いっきり頭突きをして、そばにあった人形を一体適当に選び右手で掴んだ後に壁に投げ飛ばした。それでも何かが足りないと思ったので、投げた人形があった戸棚にある人形をすべて壁に投げつけた。そうしているうちに頭痛と不快感と吐き気が収まり、不思議と落ち着いてきたので薬が効いてきたと思うと私は安堵感に浸れた。
最悪だった目覚めは最高のものにとって変わり、グレースケールで螺旋状に歪んだ視界はフルカラーで正常に戻った。私は至ってまともで悩みなんてない。強いて言うならば素敵な恋人がいなくて一人でダッチワイフ用に作った人形を使って寂しさを紛らわすだけの性生活を営んでいる以外はすべて充実して物だと思う。
一昨日は同じ魔法の森に住んでいる霧雨魔法店の店主である霧雨魔理沙に会った後に黒魔術の研究をしていた。真夜中に外出して藁人形に五寸釘を打ち続けた。昨日も黒魔術の研究をして、真夜中に外出して藁人形に五寸釘を打ち続けていた。
今日は大事な用事がある。永遠亭の薬師に会って愛用している錠剤を補給しなくてはならないのだ。一回に使う量が増えて薬瓶が空になるスピードが上がったけど特にこれといった問題はないから悩むものではない。もう日暮れだったので私は急いで迷いの竹林の奥にある永遠亭に住んでいる薬師が営んでいる診療所に向かった。
永遠亭の門を叩き、従者の妖怪兎に手っ取り早く用件を話し診療所に案内してもらう。この日は時間帯も遅かったせいか患者も少なく、看護師を勤めている妖怪兎のリーダーである因幡てゐがすぐに診療所の主治医を務めている八意永琳に連絡をつけてくれたのですぐに診察してもらえそうだった。例の如く体温を測ってもらい、トイレに行って検尿に使用するためにおしっこを無理やり出してそれを検尿カップに入れる。
診察室に入ると私は主治医である八意永琳に対し胡蝶夢丸の補充と増量とより効果の高い物を求めたのだが、
「アリス・マーガトロイドさん。貴女は先週も来たばかりなのにもうあの薬が切れたっていうの?貴女にたびたび説明するのもアレだけど、薬は正しい容量と用法をもって使うべきなのよ。一日就寝前に一錠で十分なんだけど、まさか貴女必要以上の容量を飲んでいるわけじゃないでしょうね。」
永琳はアリスの使用法と容量が間違っていると思ったのは胡蝶夢丸の錠剤タイプの販売形式は黒瓶のノーマルタイプと赤瓶のナイトメアタイプの二色二種類があって、それぞれ内容量の多さに比例して、大、中、小の三つがあり大は200錠、中は100錠、小は50錠入っている。アリスはいつも200錠入っている大瓶を2個購入するのだが、容量と用法を間違わなければ毎日使っても1年以上補充する必要はない。それがわずか1カ月で無くなるのだから永琳もアリスの体に異常をきたしているのではないかと一人の医者として心配でならなかった。
「そんなわけないですよ、八意先生。私はいたって元気で精神を病んでいるわけじゃないしドラック依存症になんてなっていませんから。今回はノーマルタイプの大瓶を4つ買いますわ。」
実際は重度の薬物中毒になっているにも関わらず、永琳の前で偽りの報告をして誤魔化そうとするアリスだった。
「そう…わかったわ。貴女の薬の取り扱いに対して私は一切干渉するつもりはないけど、変な使い方をして心身に異常をもたらしたとしても私は一切の責任がとれないわよ?」
永琳はアリスが既に重度の薬物中毒に陥っていて、もう余命幾許もなく手の施しようがないということは長年医者をやってきた経験ですぐにわかった。まず目の焦点が定まっていないのと妙に甘苦い体臭を放っていて顔が以上にやつれているからだ。患者のことを考えたら医者としてアリスのドラック中毒を何とかして克服させようと思ったのだが、本人がそれに気づかなくてはいくら治療を施しても無駄だということが目に見えていた。それならアリスが望むだけ胡蝶夢丸を飲ませてみようと思った。妖怪の常連客を失って永遠亭に入る収入が減るのも困るので、
「ウドンゲ!胡蝶夢丸のノーマルタイプの大瓶4つあるかどうか確認して持ってきて頂戴。赤瓶じゃないわよ。」
愛弟子のウドンゲに持ってきてほしい品物を注文すると、
「師匠、わかりました。胡蝶夢丸のノーマルタイプ大瓶4つですね。急いで持ってきますので少々お待ちください。」
博愛する師匠に認められたい一心で仕事に挑むウドンゲだった。
「師匠、胡蝶夢丸のノーマルタイプの大瓶4つを持ってきました。アリスさんもこの品物で間違いないかどうか確認してください。」
胡蝶夢丸の多用によりアリスの思考力が落ちていることが解ったので永琳はあえてナイトメアタイプを持って来させることもできたが、それは医療事故の原因となると何かと困ったことになるので注文通りのノーマルタイプを持って来させた。注文された品物を受け取ったアリスは、
「永琳先生ありがとうございます。これでいい夢が見れますわ。」
と言って会釈をして診察室から退室した。永琳とウドンゲはそんなアリスに対し何事もなかったように、
「お大事に」
と笑顔で答えた。
アリスが永遠亭の診察所から出て行って10分以上たってから永琳はウドンゲを呼びつけ軽蔑した口調で、
「今日やって来た七色の人形遣いは遅かれ早かれ死ぬでしょうね。彼女は間違いなく取り返しのつかないぐらい重度の薬物依存症になってるからあの様子だと確実に精神崩壊を起こすでしょう。あなたも医療に携わっているのだから、将来独り立ちしたときに患者には絶対薬物の用法と容量を守らせるよう指導しなさい。」
とアリスを罵るのとウドンゲの教育を同時にしたので、ウドンゲは何故アリスが薬物中毒症であることが解らないので、
「師匠は何故アリスさんが薬物中毒症で死期が近いということが解ったのですか?確かに今日のアリスさんの髪の毛は微妙に変色したように見えたのですが気のせいでしょうか?」
と怒られることを覚悟して師匠に聞いてみた。内心弟子が不安がっているだろうと思ったので師匠はわが子の過ちを諭すかのよう弟子にその根拠を説明した。
「あの七色の人形遣いは目の焦点が定まっていなかったし、甘苦い体臭がしたのよ。そして、決定的だったのは顔が青ざめていて異常にやつれていたのと、診察する前に検尿で普通にあり得なかった結果がでたからなの。ウドンゲももう少し患者を観察してみなさいな。まぁ、あの様子だと彼女自身もわかっていないみたいね。彼女は胡蝶夢丸の他にヘロイン、コカイン、マリファナ、大麻を常用しているみたいなのよ。彼女の肉体は崩壊し始めているからこれ以上薬を与えても逆効果だし、あなたに彼女のカルテを見せていなかった私もいけなかったんだけどね。でも微妙に変色した髪の毛に気づいたのことに関しては褒めてあげるわ。」
「やっぱり私、まだ勉強不足ですね。でも薬物中毒症ってこわいですね。でも、いつかは師匠みたいになりたいです。」
弟子は師匠が自分のことを最後に褒めてくれたことが嬉しくても、一人前になるための改善点を指摘されたことによりまだまだ自分が未熟でより精進しなくてはならないと思った。
診療所から帰ってきた後、アリスは急に吐き気と眩暈がしたので胡蝶夢丸を10錠取り出し飲んだ。吐き気と眩暈がすっかり収まったのは時計を見ると深夜0時を過ぎていたので慌てて着替えると神社の裏の森に行く。七色の人形遣いは必ずこの時間帯になるとバスケットケースを持ち出してから家を出ると、神社の裏にある森に行きそこにある大木に自作の藁人形を五寸釘で打ち続けているのだ。藁人形は打たれたらそのまま放置していたために自然と数が増えていくので、神社の裏の森は新たなミステリースポット扱いされ、みんなが気持ち悪がるので神社にお賽銭を入れる参拝客が減ったことによりタダでも機嫌の悪い霊夢はますます不機嫌になりしだいに癇癪を起こすようになった。
この時アリスが身に纏っている物はいつもの水色を基調としたロングスカートと白地に赤いレースの入ったケープの組み合わせでなく、漆黒のマントとあらゆる人妖の血で真紅に染まったローブと頭部に蝋燭に火を付けて鉢巻きで締めて固定している禍々しい黒魔導師そのものなのだ。
ローブの血の大半は、知性の低い妖獣や理性をもたすわけが解らないまま襲いかかって来た下等な妖怪、かつて魔界を放浪していた時にアリスを魔女裁判の対象とし虐殺を試みたが返り討ちにあった愚かな人間の血だ。
目的地に着くなりバスケットケースから藁人形を一体取り出すと、アリスは藁人形に向かってブツブツと呟き始めた。アリスは呪いを込めた呪文を唱え始めると身の周りにドス黒いオーラが漂い始め、アリスの瞳は狂気の色に染まり、その表情は憎悪、殺意、嫌悪、私怨などの負の感情が露骨に感じ取れるものだった。藁人形は一度地面において怒りを込めて踏み付けた。
「いいわね、あなたの出番が来たわよ。あなたは藁人形なんだから、五寸釘で打たれる時が最も美しく、最も儚く、最も憐れで、あなたの存在が一瞬の煌きを見せる流星のように最も輝いているときなのよ!」
バスケットケースからハンマーと五寸釘を取り出すと、一度踏み付けた藁人形を大木に固定すると、アリスはそれを他人の汚物を排除し存在を否定するかのように嫌々ながら打ち始める。呪文の効果を確実にするためには究極の呪いの言葉を絶対に忘れてはならないのだ。
「魔理沙ぁ……貴女なんか…貴女なんか……死んでしまえばいいのよ!」
カン!
周囲に小気味よい音を放つも相手に対し怒りを込めて打ちつける。
アリスの瞳が潤んで今にも涙がこぼれ落ちそうだった。一度決壊が始まったら泣きやむまで止まりそうにない雰囲気を醸し出している。
「貴女はいつも私から大事なものを盗んでいく…」
カン!
魔道書やマジックアイテムの類は「死ぬまで借りていくぜ。」と言って二度と手元に戻ってくることがなかった上に、どれだけ貴重なグリモワールやいわくつきの人形を盗まれたのか数知れないものだ。それだけでなくアリスの思いを魔理沙が無意識のうちに知らず知らずのうちに盗み続けたためだ。
「貴女は知らないうちに人に好意を振りまいて行く…」
カン!
決して思いやりがあり優しい性格でなくても、垢抜けていて一緒にいると面白いので自分を始め、パチュリー、にとりが魔理沙に恋愛感情を抱くまでになった。
「私は貴女が羨ましかったのよ!自分の言いたいことを誰からかまわずなんでも言える事が!後先考えずに全力を出せる生き方をしているのが!!!」
カン!
失敗を恐れることなく何でも挑戦して多少のミスは笑ってごまかす図々しさはアリスにないものだった。
「貴女は私の愛に応えてくれなかった…それが何よりも許せない…魔理沙…あなたがいけないのよ。貴女は霖之助や霊夢やパチュリーやにとりなんかと話さなくていいのよ…私が貴女の身に迫るすべての脅威から守ってあげたのに…私が生涯を賭けて貴女だけに愛を注いだのに…………」
カン!
アリスは自分の思いを伝えるべく愛の告白をするも魔理沙に拒絶されたことが何よりも悔しくて悲しくて腹ただしくて妬ましかった。アリスの顔は鼻水と涙をたれ流しになっていたので、いつものフランス人形を思わせる可愛らしさは微塵も感じられずメディスン・メランゴリーのようにボロボロになって捨てられた哀れな人形のような有様だった。
カン!
常に全力を出し切る魔理沙の生き方はアリスにとって全貌そのものであった。スペルカード戦でも後先考えず派手なスペルを相手に放って、人間の身でボロボロになりながらも必死に努力して力のある妖怪相手に真っ向勝負を挑む生き方にアリスは知らず知らずのうちに憧れていたのだ。
カン!
「失敗したり負けたりしたら後がないのよ!それが解っているはずなのに、何でいつも馬鹿みたいに真っ直ぐなのよ!勝手も負けても全力を出し切っていない私が道化師にみえるじゃないの!」
カン!
アリスができる限りの霊力、魔力、妖力、そして自分の思いを込めた感情を吐き出したものをハンマーに込めて五寸釘で藁人形に打ち付けると、大木は左右真っ二つに割れると地面に落ちる前に塵となって消えた。自分の限界点を超えた力を放ったせいか、一瞬強風が舞い蝋燭についていた火は消え、アリスは大木を割ったと同時に意識を失い倒れた。その時アリスの半径百メートルは魔界の瘴気のそれに等しいものを放っていたので、その辺り一帯に生息している生き物はは瘴気にやられ命を落とすに到った。
アリスは夢を見ていた。魔法が持つ力に惹かれ、修行して魔法使いになった時のことを。天性の才能に恵まれたせいか、それほど苦労せず若くして人間の持つ限界を超え魔法使いとしいて生まれ変わった時も全力を出していなかった。魔理沙にスペルカード戦を挑まれた時も四十パーセントから六十パーセントの力で済ませる相手だったので、自分に“縛りプレイ“を試みていたし、明らかに格上の相手だった紫の時は九十五パーセントの力を出して負けていた。この時紫に「貴女は力の強い者を避けて通る傾向がある。自分の力量を的確に把握した上での行為なら最適でしょう。ただし、本当に守らなくてはならないものを抱えて、相手に負けることが解った上でも避けて通れない物だとしたら貴女はどうするの?」といわれたことがショックを受けたところで目が覚めた。
アリスのスペルカード戦でのスタイルは、弾幕はブレインという信念を掲げ自分より格下の相手に全力を出さず少しだけ上の力で勝ち、相手が格上であればそれより弱い力でわざと負けるそのやり方は強者の戦い方であり、ある意味相手を見下したものであるので全力を出して挑む考えを持つ者にとって礼儀を欠くものであるのだ。自分より力が劣り知性の欠片が見られないHと呼ばれいつも「あたい、さいきょーだもん!」ということが口癖のチルノも無鉄砲なまでに相手が誰であれ全力を出し切り、自分の作った巨大なゴリアテ人形を撃破したのだ。
アリスの生涯を賭けた目的は自分が命令を出さす自分の意思をもって行動する“自立人形”の作成であった。それでも自分は“自立人形”の作成に本気を出して取り組んでいたのだろうかと自問自答していた。どう考えても自分の持てる限りの力を出し切っていないことに気づいたが、今更魔理沙みたいに相手から見て必死に努力している姿を見られるのはアリスにとって今までの生き方を全否定することなので自分を変えることなど考えもしなかった出来なかったのだ。誰だって自分が身につけて来たこと以外はやれないのと同じで今更やったことのないことをやるのは何をやるにしろ出来ないということはわかっているように妖夢や小町みたいに接近戦を重視した戦い方など出来るわけがないのだ。それが故にたとえ何があろうともアリスは全力を出すことなくわざと負けたりしているのだから。
自宅へ帰る途中、以前神社で行われた飲み会で、間欠泉異変の時に出会った橋姫の水橋パルスィに「ああ、妬ましい話だわ。可哀そうだけどあなたの恋が決して成就することなく、貴女の思い人はどんなことがあってもあなたの気持ちに応えてくれないから、たぶん貴女は私と同じで嫉妬で狂うことになるのね。どんなに頑張ってアプローチしても全て無駄な徒労に終わることは目に見えている。貴女のその目を見ればわかるんだけど、貴女は真性のレズビアンだということがわかる。だけどあなたの思い人の彼女はノンケだから決して結ばれることはなく軽蔑されるはずだわ。あははははっ、貴女はどこか私に似ているから仲良くなれるかもしれないと言っても貴女は私の考えを全否定するはすだわ。それが残念で妬ましくてならない。」と言われたことを思い出していた。
その時は橋姫のことなど相手にしなかったが、魔理沙への思いは恋から愛に変わっていったのは事実であり、対する魔理沙は香霖堂の店主に思いを寄せておりアリスをただの友人の一人として認識でしかなかった。アリスが魔理沙に告白するも見事に玉砕したことが信じがたいものであり、お互いが相思相愛であると確信をもって計算していたことがそもそもの間違いで自分の愛は決して成就しないことに気づかされた。失恋のダメージは想像以上に大きく、これ以降アリスの生活に胡蝶夢丸がマストアイテムで摂取しないと自我を維持できなくなるという困った事態になってしまったのだ。
アリスが家に着くなりボロボロになった藁人形と五寸釘と太い蝋燭とハンマーをバスケットケースから取り出し黒魔術をするためのマジックアイテムの入っている戸棚にしまうと、漆黒のマントと真紅のローブの皺を取ってからハンガーにかけロッカーに入れた。ため息をつき、レースをあしらった純白のキャミソールとおそろいのブラジャーとドロワーズを使用済み衣類が入っている籠に向かって放り投げるように脱ぎ捨てると間もなくバスルームに入った。
人形を使ってあらかじめ準備していた湯船に張ってある水に魔法をかけて入浴するのに適したお湯にするとスポンジにお湯で濡らしボディソープを必要なだけ取り出し染み込ませてから全身をくまなく洗った。ウェーブのかかった“七色に光り輝く”ブロンドの髪にシャンプーをつけると頭皮にしっかりなじませて擦りつけた後にシャワーで髪の毛についた泡を落とし終わると、お湯が入った桶にリンスを入れるとそれを髪の毛一本一本に染み込ませてからシャワーで洗い流した。
湯船に入ってため息をつくが「とりあえず今は嫌なことは忘れよう。」といい全身を伸ばした。黒魔術の研究に明け暮れて一週間以上入浴していなかったことに気づくと、誰も自分のことを慰めてくれる人はいないということも思い出してしまった。魔法使いになってまだ日は浅いといえど、体の構造は人間の思春期後半に該当する少女そのものであり性的な知識に関心があり何かとひと段落がついた時に寂しさを紛らわすかの如く自らの子宮周りを弄っていた。アリスは魔理沙に振られた事や自立人形の実験に失敗し続け蓄積したストレスを、ここのところ溜まっていた欲求不満をオナニーで解消しようと思った。肉体的には絶頂を迎えた時が凄く心地よくても、精神的にはどこか満たされぬものを抱えることになるのは魔法使いという種族上人間より知性が高いので結果はどうなるかあらかじめ理解できる範疇内なのだ。体が十分に温まった思ったらすぐに湯船から出てバスタオルで髪の毛と全身の水滴を取り除くと魔力で動くドライヤーで髪の毛を乾かすと生まれたままの姿でベッドの上に寝転ぶとタオルケットと掛け布団で自分の体を覆い隠した。いつもはバスタオルがふんわりしてて心地よかったのに、今日は何故か鑢で擦られた様な触覚がした。
本来の魔法使いは睡眠と食事を取らなくても問題はないがアリスは睡眠と食事を欠かさず取っている。人間だった頃も生理の時と魔法の研究に入れ込んでいる時以外は毎日オナニーを欠かさない習慣は魔法使いになった今も変わらないものであり、恋人と夜伽を送るその日までそれは続くであろう事はアリス自身が誰よりも理解していた。アリスが寝る時は生理の時以外いつも全裸であるが、体は十代の少女の第二次成長期のコンディションに等しいので寝ている間にいきなり生理が始まって寝具類が経血まみれになったこともある。生理のサイクルが安定していなくても定着しきった生活習慣を改めるのは容易ではなくオナニーをする時はいつも下着の類はおろか衣類を身につけず全裸になってやるのだ。
真性のレズビアンであるにも拘らず未だパートナーがいないアリスは想像上の恋人を脳内で自分の都合の良いように創り上げてその恋人に慰めてもらうのだ。魔道書が一切入っていない本棚に官能小説と漫画が合わせて二百冊以上ありどれも全てレズビアン同士の恋愛ものである。感受性の高いアリスは小説や漫画を読みながら主人公を自分に見立ててパートナーを魔理沙にして、二人は苦難の末に結ばれるハッピーエンドを迎える結末を望んでいたが現実ではそれは叶わぬ夢なのだ。
今日のアリスが選んだレズパートナーは、可愛らしい少女というより大人の色気を持った美人で、比較的長身でスレンダーボディを魅力としている自分と異なり豊満なバストを持つも引っ込むべきところは引っ込んでいるも出るべきところは出ているナイスバディなお姉さまだった。八雲紫や聖白蓮あたりの色気あふれるお姉さまや、星熊勇儀みたいな頼れる姉御に愛されたいという願望をもっていた。自分から見て魔理沙、霊夢あたりの少し年下の可愛い後輩を彷彿させる少女や、早苗とか咲夜みたいな同じ年頃の少女や妖夢や古明地姉妹ぐらいの幼すぎる妹がレズパートナーになることは今日のアリスは意識してもしなくても本能的に避けたのだ。
入浴時から淫らなことを考えていたせいもあり、アリスの乳首はすでに勃起して硬くなっており性感度をさらに増していて子宮周りはすでに愛液を盛んに吐き出しており、最大の性感体であるクリトリスは包皮からむき出しになり勃起していた。アリスの女であることを示す一輪の花が咲き誇っている部分は男性の象徴たるものが気娘の証である薄い膜が覆っている彼女の神聖なクレバス地帯を蹂躙出来る状態だった。それはいつものことなのだが、今回は一週間ぶりだということもあってアヌスも愛液で濡れて引く付いていた。
「あん、体が火照っているわ…、最近黒魔術の研究ばかりしていたから久しぶりにエッチなきぶんだわ。だけど魔理沙に振られてすごく悲しくて切ない気分なの。ああ、お姉さまなら私だけ愛してくれるでしょう?あん。私はお姉さまが望むことなら何でもするわ…おしっこを飲めと言えば飲むし、うんちを食べろといったら食べれるわ。私の恥ずかしい姿を見せろというなら、いつでもどこでも誰にでもさらすことだってできるんだから!だって、愛があれば不可能を可能に出来るでしょう?」
そういいながら左手の人差し指と中指に子宮からあふれ出る潤滑油たる愛液を塗りたぐり、自分の右側の乳房を撫で回し、乳首を優しく突き、弾き、転がし、抓り、揺さぶりさらに性感を高めていく。左側の乳房が切なくなれば左腕で左側の乳房を弄り倒すのだ。
右手は親指でクリトリスを触れるか触れないかわからないくらいの微妙な絶妙な感覚で乳首同様に腫物を扱うかのように撫で回し、擦りつけ、叩きつけ続ける。人差し指と小指で股の付け根を固定すると、中指と薬指が子宮内に侵入を試みるとGスポットを瞬く間に見つけ出すと今まで押し隠していた欲望を吐き出さんばかりにそこを激しく指で弄り倒すのだ。中指と薬指だけでなく右手全体が“七色に光り輝く”愛液で溢れ子宮周りと陰毛はおろかシーツとタオルケットまでが“七色に光り輝いて”いた。
「アッ、ああ〜ん…私はお姉さまに一生ついて行きます!はっ…アン、私は…絶対に浮気をしませんし、お姉さまを…決して…裏切る真似はどんなことがあろうともやりません!お姉さまがなくなった後に…伴侶は二度と持ちません!アン!…魔理沙のことはもう忘れました。これからの私の生涯は…あぅぅん…お姉さまの為に…私のすべてを捧げます!だからお姉さま、アリスのことを、絶対に見捨てないでください!アッ、アッ、アアッ!アッ!!アア〜ン!!イッちゃう!もう我慢できない!お姉さま!アリスがイクところを見てくださいっ!アッアッアッアッ!!イクう〜!!!」
アリスは絶頂を迎えると子宮から潮を惜しみなく吐き出した。それは汗と尿と異なる柑橘系の果物を思わせる甘酸っぱい匂いはアリスの寝具だけでなく寝室をも百合の匂いと七色で染めると、
「あ〜あ、またお布団をグチャグチャにしちゃった。まぁ、人形たちを使って洗濯させればいいんだけどね…それにしてもいつものことながら派手にやっちゃったわ。そういえばおしっことうんちがしたいと思ったんだけど、お風呂に入る前にトイレに行くのを忘れていたわ。天狗のパパラッチのマスゴミっぷりはヤバいし、あいつは狡猾だから盗撮用のカメラを仕掛けているかもしれないから烏天狗は油断ならないわ。それに寝糞と寝小便をした姿を取られるなんて考えただけでもぞっとするわ。」
アリスは全裸のまま一度布団から出るとまっすぐトイレに行こうとするが、突然手が震えだすと薬瓶から胡蝶夢丸を手のひらに50錠取り出すとそれらを口の中に放り込み、水差しからコップに水を移そうとするもどうも上手くいかず床に敷いているカーペットに少しだけこぼしてしまった。水はコップの半分と少し多いぐらいしか入っていないにも関わらず一気に飲み込んでしまった。アリスは10錠取り出したつもりだったが、微調整どころか簡単なさじ加減が出来なくなっている。
胡蝶夢丸を飲んだ後ふらつきながらトイレに入ると、そこはアリスの少女趣味があふれているせいか室内はピンクで統一されており、所々に乙女チックで可愛らしい小物が置かれていて便器は洋式を採用しており、個体の色も言わず哉ピンクだった。無論トイレットペーパーもピンクである。
トイレは水洗式なのはアリスの魔法によって出来た代物である。トイレ用の匂い消しにローズマリーの香りが漂っている。幻想郷の科学技術はわれわれが住む外界と比較すると大きく劣っているのだが、この場面だと魔法で全てをこなしてしまう相手にこの際余計なことを指摘したり突っ込んだりしてはいけない。
便器に座り尿意があることを周りに知らせるために軽く体を揺らす癖がアリスに生まれ付き合ったので、
「これからアリスはお姉さまに女の子が他人に見せてはいけない姿を晒します。こんな淫らな姿を見せるのはお姉さまだけです。これからアリスはおしっことうんちをしますのでどうぞご覧になってください。まず、おしっこからいきます。」
ジョジョジョッ、ジョバーーーーーーー!
アリスの尿道から腐敗物の液体が放出される。本来ならばそれは無色透明か黄色でなくてはならないのだが、絶対あり得ないことにそれは光の当て方によって虹の組み合わせに使われる色素で構成された“七色に光り輝く”尿が排出され、その匂いはアンモニア臭漂うものではなく塩素系洗剤の原液を圧縮しさらに濃度の濃くした匂いがした。
「私頑張りました!はしたない姿をお姉さまに見せましたよ!あははははっ!!!次はうんこを出しますっ!」
うんこを出すことを宣言するとアリスは下腹部に力を入れていきみだすと、肛門が盛り上がりそこから腐敗物の個体が放出される。
ブッ、ブブッ!ブブブブブブッ!!ブリッブリブリッ!!ブリッブブッブリッーーー!!!
本来は茶褐色に近い色であるべきそれは先程出したばかりの尿と同じで虹の組み合わせで使われる色素で構成された“七色に光り輝く”糞が吐き出され、その匂いは肥溜め置き場のそれに近いものとは異なりシンナーの濃度を高めた頭痛と吐き気を催す匂いがした。
どう考えてもあり得ないのだが、胡蝶夢丸を始めとしたドラッグを大量に摂取しすぎたことによりアリスの心身はともに蝕まれていくうちに体質を変化していった事が原因だろう。まともな良識を持っているならそれ以前の段階で自分の体が異常を来たしていると察する筈だが、味覚、視覚、嗅覚、聴覚、触覚の5感に常軌を逸脱した変化がアリスに見られたのだ。
「あははははっ!お姉さま見てください、アリスはうんこを出しましたっ!あひゃひゃひゃひゃっ!」
すでにアリスの嗅覚は破綻し何もわからなくなり、たった今出したばかりの尿と糞の臭いが異常であることがわからなかった。視覚も同様に異常をきたし、上下反転左右逆転している上に螺旋状に歪みだした。フルカラーで見えるべきものがモノクロカラーでしかないが、アリスは自分の感覚が異常であることを認識できなかった。
すでに正気と理性を失っているアリスだが、愛しいお姉さまに愛を伝えてもお姉さまはいつも笑顔でほほ笑んでいるだけで、アリスをあからさまに拒絶する態度を見せてくれなければ、何も言ってくれないし、何らかの影響を与えるということもしてくれなかった。アリスが病んでいても救いの手を差し伸べてくれないのだ。
「おっ、うっぷ。うおっぷ、おえっ、おえっ、おおっぷ、おえっ、お、お、お、お、お、お、おげぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
トイレから出るなりアリスはいきなり吐き気を催し我慢しきれすその場でゲロを吐きだしてしまった。それは先程出したばかりの尿と糞と同じく“七色に輝いて”おり、皿洗いで使われる洗剤の味がしてたい肥に近い匂いを放っているがアリスの嗅覚と味覚はすでに破壊されていた。
ゲロを吐きだし終わると無性に殺人衝動が芽生え魔理沙を殺してやりたいと思った。アリスの愛の告白に魔理沙が「お前とはいい友達でいたんだ。お前の性癖は理解できるが、私はどうやってもお前が求めている生涯の伴侶になれないぜ。」と言われた事が原因だった。愛は憎しみに変わるのにそう時間はかからず、魔理沙に呪いをかける黒魔術を習得するために自宅に引きこもり、精神を安定させる為に胡蝶夢丸を飲み始め心身に悪影響を与えるのにそう時間はかからなかった。アリスは魔理沙をこの手で殺せば自分が救われると思い、急いでロッカーから漆黒のマントと真紅のローブを取り出して身にまとい、右手にハンマーを、左手に五寸釘を、テンションを上げるために胡蝶夢丸100錠を実験で使うアルコールの原液1リットル分で強引に流しこんだ後に霧雨魔法店に向かった。
ドンドンドン!ドンドンドン!
霧雨魔法店の玄関前にけたたましいノックをさせるのは薬物中毒症に陥り精神崩壊寸前である黒魔術師の格好をした七色の人形遣いだった。
騒音公害そのもののノックは健全な生活習慣を送っている人間である白黒の魔法使いを叩き起こすことになり、
「誰なんだよ、こんな真夜中にやってくる迷惑極まりない奴は!人が寝ているのにそいつは一体何を考えていやがるんだ?妖怪だったら退治してやるぜ!」
安眠妨害をされたので相手が誰であれ本気で殺意が芽生えた。慌てていつもの白黒のエプロンドレスに着替えてスカートと帽子の中にマジックアイテムを隠して胸元にミニ八卦炉を携える。魔理沙はそいつが私を殺すことを目的としているなら、そいつは馬鹿だと思った。自分の寝室に侵入しいきなり奇襲すればいいと考えたからだ。または睡眠薬を振りまきその後で焼き打ちにすれば手っ取り早いと思ったからだ。
けたたましいノックがいまだ鳴り続けているので魔理沙は乱暴にドアを開けると、
「どうしたんだよアリス!こんな真夜中にいきなりやってきて気持ち悪い格好して一帯何を考えてやがるんだ!お前の行動は非常識もいいところだぞ!それにお前の体からとんでもない悪臭がしてるんだぜ!」
魔理沙は寝起きが悪いので、訳も分からないままいきなりたたき起こされたので凄く不機嫌でとにかく頭に血が昇っていたので思い切りアリスを罵倒した。
「魔理沙ぁ、お願いがあるの…私の為に死んでほしいの…だから、死んでっ!!!」
すでにアリスは魔理沙が何を言ってるか聞こえていなかったが本能的に自分を罵倒されていることだけは感じ取れた。視界はだんだんフルカラーからモノクロカラーに変わっていく。何も見えなくなる前に憎い魔理沙を叩き殺すために右手に持っているハンマーで魔叩こうとするが、身体能力は人間と変わらないどころか、人間の規格を下回る程度だったのでアッサリと回避される。むしろ薬物中毒症の廃人になったせいで思考能力、身体能力の両方が著しく低下していたのだ。
魔理沙はいつものアリスと異なる戦闘方法を仕掛けてきたので面喰ったが、他の妖怪と違い身体能力のそれは実際人間と変わらないので対処は容易だった。アリスにスペルカード戦を挑むと例外なく人形を操って数的有利を確保しつつ、接近戦を避けるために相手から離れて魔法攻撃をしてくるのに、それが打って変って相手に接近して物理攻撃をけしかけてくるのだから魔理沙にとって驚きだったがアリスは妖夢、小町、レミリア、フランドール、紅美鈴と違い圧倒的な身体能力を売りにして格闘線または白兵戦を得意としているタイプでないので全くもって脅威を感じなかった。悲しいかなこれも薬物の過剰摂取によって思考能力が著しく下がった事によるものだ。
ハンマーを振り回した勢いによって右手は肘から下がもげ落ちた。アリスの肉体も薬物の過剰摂取によって身体はいつしか蝕まれて体細胞の分子単位で腐食していた。
アリスは右手を失うも痛みを感じず現実を認識できなかったが、切断されたそこから“七色に輝く”血液を、二つある瞳から“七色に輝く”涙を、鼻から“七色に輝く”鼻水を、耳から“七色に輝く”体液を、体中の穴という穴から“七色に輝く”液体上の何かを垂れ流しにしていた。
「冗談じゃないぜ!こんな気色の悪い妖怪のために死んでたまるかっ!何が原因でこうなっちまったか知らんが、壊れてしまったお前に引導を渡してやるぜ!」
素早く右に一歩半ぐらいステップして、壁におかれていた箒を手に取り、両手で持ちかえて箒でアリスの胴体めがけて右側からフルスイングする魔理沙。この一撃が直撃し、体制を崩したアリスに向かって玄関から勢い余って飛び出さんばかりのヒップアタックをぶちかます!!勢い余って二人とも家から飛び出るように見える。これもヒップアタックのお手本だと言わんばかりにアリスの胸部に綺麗にヒットしふっ飛ばしダウンさせた!!ダウンする前にアリスは激しく“七色に光り輝く”血を吐き、倒れたアリスの頭部に先端の尖った大きな石が当たり頭部を粉々に砕いてしまった。この時アリスは完全に息絶え、その亡骸は間もなく七色に変色した。
理性を失ったとはいえ友人を自分手で殺めてしまった事を後悔し、心当たりがあるといえば自分がアリスの恋人にならなかったことを思い出しあの時受け入れてあげたらこんな事にはならなかったと思い、壊れてしまった友人を救える手立てがあったと思い、自分の手で殺めてしまったことを激しく後悔し三日三晩自宅に引きこもって泣き続けた。
後日魔理沙が幻想郷警察人里支部に自ら出頭し事情聴取を受けると、永琳の手でアリスの体をチェックした結果、薬物の過剰摂取において体細胞が腐食していることが判明し、自警団がマーガトロイド亭を家宅捜索すると大量の違法ドラックの発見が報告された。魔理沙は殺人罪で懲役5年執行猶予10年の判決を言い渡されるも、博麗の巫女とスキマ妖怪と蓬莱の薬師の尽力により無罪放免で無事釈放された。
アリスの体内からは排出された汚物が七色に光り輝いていたのことについて、幻想郷の賢者たちが解析を試みたがその原因はいまだ解明されていない…
ここは魔法の森の霧雨魔法店。時はすでに深夜0時を過ぎていたがそこから明かりがもれていた。アリスの薬物依存症が発覚された事もあり違法薬物に絡んだ犯罪がはっせいしていたので永遠亭で医者と薬剤師を兼任している八意永琳を講師として魔理沙は霊夢と一緒に昨日、一昨日と臨時講習を受けて印象に残ったのか寝ることを忘れその時もらった参考書を読んで復習していた。
「ふーん、睡眠薬は常用し続けると逆にそれがないと眠れなくなるんだな。寝たい時に寝れないって思うとつらすぎて怖いぜ。アリスは何を考えたのか知らないけど睡眠薬を常時使っていたらしいし、精神安定剤に胡蝶夢丸をあからさまに過剰摂取していたっていうじゃないか。他にも違法ドラッグに依存していたみたいだし…一度ハマるとアリスみたいなキチガイな廃人になっちまうんだからな。、えーりんが言ってたけど下手に薬なんて使うものじゃないわな。なんたって酒が不味くなるのは勘弁願いたいぜ。折角の飲み会を楽しめなきゃ幻想郷じゃ人生終わってるも同然なんだからな!」
魔理沙は眠たくなったのか寝間着に着換ると間もなくベッドに潜り込む。
「えーりんの講義はわかりやすくてためになったぜ!一人で研究しているよりずっと充実した時間を過ごせたと思うな。でも疲れたから寝よう。」
魔理沙は枕元に置いてあるランプの灯を消し、自分はどんなことがあっても絶対アリスみたいな薬物中毒症の廃人にならないことを固く決意して就寝についた。
皆さんこんにちはイル・プリンチベです。排水口第3作目の主人公はみんなに愛されているアリス・マーガトロイドさんを主人公に採用しました。原作の設定がアレでネタ要素満載の面白いキャラクターなのでどうしても弄りたくなりますよね。
アリスちゃんは他人の言動に関心がなく魔法の研究のために自宅に引き篭っている女の子ですけど、実際はすごくさびしがり屋で器用で繊細が故に精神的にどこか脆さを抱えて、一人で過ごす寂しさを大事にしているコレクションの人形で紛らわしてそうとして所有している人形すべてに名前を与えていると思いますね。負けたら後がないから全力を出さないでわざと負ける生き方はどこか自信のなさが窺えます。本当は全力を出せば凄い力量を持っているのだから過去のトラウマを払拭出来る精神的な強さがあれば…アリスちゃんが他人に思えないのはどこか自分に似たところがあるからでしょうか。
原作はどうであれ、精神的な脆さが原因で精神安定剤を過剰摂取して薬物依存症を起こし、薬に頼り過ぎたが故に非業の死を遂げる気がしましたのでこのような終わり方にしました。
元ネタは東方文化帖で永琳の項目で文の取材で永琳が森の人形遣いが胡蝶夢丸を使っていることを公開した事とアリスの項目で神社の裏で藁人形をたくさん木に打ち付けている項目を参考にしました。
この作品のテーマは“感覚”です。私たちの日常生活で何気なくわかっている感覚が失われていることに気づかない事は脳に異常がみられるからだと思います。違法ドラッグを摂取すると心身ともに問題を引き起こし最悪死に至りますし、依存することは容易でも克服するのは困難極まりないと思います。最後となりますが、酷く拙い私の作品を最後まで読んでいただければ凄く嬉しいですしコメントを戴けたなら私個人として大満足です。
イル・プリンチベ
作品情報
作品集:
22
投稿日時:
2010/11/30 08:19:42
更新日時:
2010/11/30 18:13:57
分類
アリス
魔理沙
胡蝶無丸
薬物中毒
スカトロ
体質変化
せっかく面白いんだしさ
しかし感覚か……
永琳たちがアリスの異変に気づいた理由を、アリスが気付けなかったのは感覚が異常になっていたからなんだよな
各所に仕込まれる七色っていう形容詞が異常感と不気味感際立たせていて、ああ、アリス壊れてるなーっと思い知らされた
『七色』って、油の浮いたドブ川のヘドロみたいなものか。
みっちり書かれた文章でしたが、読み進めるうちになんか…、こう…、狂気が増幅されたみたいな気分になりました。
『用法、用量を守って、正しくお使い下さい。』さもなくば、死、あるのみ!!
薬のパッケージに書いてあるこの文面は、鋼鉄の誓いだったのか。
逆にそれがいい味だしてるような気がする
つまりあとがきも怖い