魔理沙の瞳

　
いつも元気な魔理沙。

みんなと仲良しな魔理沙。

笑顔が素敵な魔理沙。

浮気性の魔理沙。




あなたは何を見てるの？

私を見てる？

私はあなたを見てるのに。

あなたは私を見ていない。

いつもいろんなところを見て。

いろんな人を見て。



今あなたは私の前で泣いている。

私があなたの目を覗きこめば

私が映ってる。

あなたは本当に私を見てくれていたの？

疑わしい。

あなたの。壊れそうな。潤ってる。綺麗な。瞳は。いったい何を見てきたの？

ほら、私がこうしてあなたの瞳に手を伸ばせば

あなたは涙を浮かべながら大きく目を見開いてくれる。

私があなたの瞳を触れば

あなたは私の名前を叫んでくれる。

ねえ、お願い。

もっと私を見て。

私以外を見ないで。

私だけのものになって。

あなたの綺麗な宝石のような瞳で私だけを見ていて。

私もあなただけのことを見るから。

あなただけのことを見ているから。



頭蓋骨の中の。

眼窩の中の。

瞼の奥の。


人差し指がそっと眼球に触れる。

ゆっくり撫でる。

力を込めて人差し指と親指を捩じ込む。

眼球を取り出してみる。

綺麗。

綺麗な球体が。宝石よりもずっと綺麗な球体が。

私の掌の上にある。

あなたは私の名前を叫んでくれている。

ずっと。ずっと。ずっと。ずっと。ずっと。

私があなたを考えるのと同じくらいに

あなたが私のことを考えてくれている。

あなたが私を呼んでくれている。

あなたの眼が私を見てくれている。





あなたの一対の眼が私を見つめてくれている。

瓶の中に浮かんで私だけを見てくれている。

あなたの元気が無くなった。

今あなたは私のことを考えてくれてるの？

疑わしい。

あなたの頭の中を見てみたい。

もどかしい。

あなたの綺麗な脳が見てみたい。

あなたにもう一度呼ばれたい。

私の名前を叫んでほしい。


あなたのことが

好きだから。

大好きだから。

誰よりもあなたのことが大好きだから。

一番大好きだから。

だから私と一緒にいてね。

ずっと。