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『東方死手帳 Act3 Episode1 New Battle』 作者: ヨーグルト
いつもとかわ変わらない空。
いつもと変わらない日々。
こういったことはある意味、幻想郷では苦痛なことでもあった。
人里に暮らしていれば大分慣れる。
が、
暇な人は暇で、異変が起きたりしない限りは、何かしらこの日々に変化を求めたがるものである。
私、稗田阿求も変化を求めたがる人間の一人なのだが、変化については強要しない。
ここ数年間、幻想郷縁起を書き続けてなお、新しい妖怪が出てくることは、私に取っては嬉しいことであった。
ずっと家に入っていなくては行けないという決まりは無く、新しい妖怪や人間が出てくれば、そこに出かけることが出来る。
出かけられるだけで、私の心は踊ったものだ。
ここ暫くはこれといって目立った異変は無いものの、これはこれでいいものだと思っていた。
世間では何人かが不運な事故や病気で亡くなっていると話は聞くものの、私にはあまり関係ないことだったのかも知れない。
最近、慧音たちから聞く珍しい話というものも特になく、普段通りの平穏な日々だった。
そういうわけもあって、私はどこかにぶらぶらと出かけることにしたのだった。
いや待てよ?
変化が無いなら出かけても意味ないのでは。
そんな時、私の所に連絡が入るのだった。
あの……………………キラ事件。
■■■■■■■■■■
東方死手帳
Act3 Episode 1
Change the Village
■■■■■■■■■■
ナズーリンさんの体が地面に転がっている。
他の天狗の話によると、たまたま近くを通りすがった人が、倒れているナズーリンさんを発見したらしい。
しかも、あり得ないことに死因は『心臓麻痺』だったらしい。
今までに聞いた話だと、心臓麻痺で死んだ人なんて聞いたことは無く、たいていは癌などの病気によるものだった。
「あの、博麗の巫女の調査結果もあまりかんばしくないのです」
「それでは」
「はい。 このまま捜査は滞ってしまいますし………」
あの博麗霊夢でもこの事件の謎は判らない。
幻想郷で起きる事件はどれも信憑性があり、全てが真実だった。
しかしこの事件は例外になってしまう………今までに解けない事件など無かったはずなのだから。
最初の紅霧異変も、その次の春雪異変も、更に続く異変も事件も全て、霊夢らによる活躍で全て解けていたはずだ。
「それで、どの人物も手つかずとのことで、阿求さんにも参加してもらいたいとのことです」
「幻想郷縁起の執筆はいいのですか?」
「異変記録の方には、この事件のことを書き留めればいいのですが、それ以外の新規項目は無いはずです。 大丈夫だと思います」
「そうですか。 とりあえず、紫さんと慧音さんには挨拶と報告をして参ります」
「そのことですが」
?
「もう既に、お二人方からそうするようにとの命令がありますので」
打つ手が早い。
確かにこんな事件が起きていればぼやぼやとしていられないでしょうし。
「それでは、準備をしてきますので」
「は」
「私にはあまり関係性が無いでしょう? とりあえず、そちらの山の方の任務に戻ってはどうですか?」
「は、はい」
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とは言ったものの、これといった証拠が無い以上は簡単に調査も出来ない。
最初の被害者はナズーリンさん、罪は無い……………はず。
外傷が無かった所を見ると、仮定では病死と判断してもいいのだろう。
「霊夢さんの捜査は? たぶん大丈夫ですよね」
横を見ると、お地蔵様が置いてあった。
何時の日か、私が風車を土産のようなもので置いたお地蔵様。
今はもう、誰かに引き抜かれていて見当たらないが、何か寂しい。
供えるものは何も持っていない。
とりあえず、今度にしておこう。
暫く歩くと、紅魔館についた。
外見が紅一色で、住んで居る人物が誰でも想像できるような建物。
挨拶だけでもしていこう。
門番さんは書物通り、昼寝をしていたので余裕でやり過ごすことが出来た。
私の身長を何倍も上回る大きなドア。
私の身長は 160も無い。
非常に重いドアを開けると、紅魔館に雇われている妖精メイドに遭遇した。
私が軽くお辞儀をすると、すかさずメイドさんも挨拶を返す。
「な、何か御用で?」
「ええっと………咲夜さんかレミリアさんにお会いできませんか?」
「レミリアお嬢様はご自分から来られないので、咲夜さんを呼んできますね」
メイドさんは急ぎ足で、どこかに向かっていった。
もちろん、この間は私は待たなくてはいけないので、ある意味暇なのである。
ここに取材に来たときも同じだったのだが、大分待たされた記憶がある。
「(それにしても久しぶりですね………前に来たのが………八年ほど前か。 あの頃は私もまだ幼かったものね)」
昔と変わらぬこの感じもいいのだが、さすがに気持ち悪さを感じる。
ほどなくすると、先程のメイドさんに連れられ、この館のメイド長、十六夜咲夜さんが出てきた。
お互いに挨拶を交わす。
「久しぶりじゃないの、ずっとここを訪れていないものね」
「ええ、ええ、私自らの用事で来たんですよ」
「ああ、そういったことはあの天狗が騒がしくしていたから判っていますわ。 貴方もそう言うことでしょう?」
「その通りです」
■■■■■紅魔館 〜 図書館■■■■■
ここもまた懐かしい。
レミリアさん達はこの図書館に集まっているとのことで、私は来てみた。
無論、咲夜さんも一緒である。
重そうなドアが開くと、たちまち、埃っぽさが漂ってきた。
気にはならないのだが。
「お嬢様、パチュリー様、お客様です」
「え? お客様? 美鈴は何やってるのかしら」
「お客様だから退治はされません」
そんな会話の後に、咲夜さんは手を差し出し、向こうのカウンターにレミリアさん達がいると教えてくれた。
「久しぶりじゃない、阿求。 未だ未成年、千年以上の歴史を持ち、稗田阿礼の転生人物。
先代から順に、
稗田 阿一
稗田 阿爾
稗田 阿未
稗田 阿余
稗田 阿悟
稗田 阿夢
稗田 阿七
稗田 阿弥
稗田 阿求
で、貴方が九番目の御阿礼の子」
「そんなことはどうでもいいのです。
五百年以上の歴史を持つ、シェペツェの末裔を名乗る紅い悪魔の貴方のことは、ほとんどどうでもいいことです」
「ん、それで、どんな?」
「はい」
こんな言い争い(?)は置いておくことにする。
「レミリアさんもご存知の通り、今、幻想郷ではキラ事件がありますね」
「そうね、いろいろと口コミとかで聞いてはいるけど」
「レミリアさんも、キラ事件の捜査などに協力してほしいのです。 紫さんはもちろん、霊夢さんも簡単にはあちこちに手がまわりません」
「それで、貴方も紫から協力を求められたのでしょう?」
「そうです。 捜査の一環として、いえ、協力者を求めにきたのです」
「それなら丁重にお断りするわ。 私たちはキラ側になるつもりも無ければ、L側につくつもりも無いもの。 咲夜を始め、他の皆にも伝えてあるわ」
「………ならいいですね。 突然すいませんでした」
しつこく頼むのも悪い。
「ああちょっと待って。 紅茶飲んでくでしょ?」
「…………………はい」
「何にする? 種類は、アッサム、ダージリン、ニルギリ、ドアーズ、シッキム、アルチャナル・プラディッシュ、トラバンコール、テライ、カングラ、ジャワ、ウバ、キャンディ、ディンブラ、ヌワラエリヤ、ルフナ、ギャル、ラトナピュラ、祁紅、雲南紅茶、英徳紅茶、宜紅、四川紅茶、正山小種、ジョルジ、リゼ、HMB、プリンス・オブ・ウェールズ、アールグレイ、レディグレイ、だけど」
「レミリアさんの好みにお任せします」
「それじゃあ、全てのブレンドで」
「やまてください、絶対まずいから」
「(こないだ咲夜に飲まされた)」
「(ああ、そうですか)」
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しばらくのある日。
いつも通りではないいつも通りの日がやってきたこの日、私は捜査の一環として、外出をした。
慧音さん達からは「何か悪いもの食ったのか」とでも言われるくらいの外出頻度。
それなりに忙しい。
「とはいったものの、捜査する場所が無いんですよね」
気が向いたというわけでもないのだが、今は博麗神社の石段の、初段にさしかかっている。
「霊夢さんに挨拶はしておくべきですかね」
捜査の協力者同士なら、顔ぐらい合わせるべきだ。
そういうわけで、石段を上る。
■■■■■■■■■■
「霊夢さん、こんにちは」
「何………だと………? 珍しすぎるお客様が………いや、久しぶりね」
「挨拶だけでもしていこうと思いまして」
お互い向かい合うように、座布団に座る。
卓袱台には煎餅と湯のみが置かれている。
「キラ事件の捜査でしょ?」
「やっぱりですか。 霊夢さんの方では進展とかはありますか?」
「これといって、他の皆と同じように、なーんにも無いのよ」
「こちらも同じです。 これといった証拠が無ければ証言も無いんです」
「そうなのよ。 不特定の人物が心臓麻痺で死んでるぐらいで、なーんにも無い。 そもそも、証言っていうのもあまりアテにならないのよね」
「そうですか………これからどうします?」
「いつも通り捜査とかを進めていくんだけど、やっぱり私にも無理があるのよ。 そこで、早苗にも手伝ってもらうの」
「早苗さんですか? それはいいと思いますよ。 色んな人の手は借りた方がいいですもんね」
「猫の手も借りたい、ならば、妖怪の手でもどんな人の手でも借りておくべき」
「そうですね」
この事件の捜査にはそれ相応のリスクがあり、『死ぬ可能性がある』などのふれこみもある。
そういったことでほとんど協力者は得られないのだが、少しでも協力者がいるのは救いである。
「魔理沙が協力してくれれば、もっと大胆に、スピーディーにいけるってもんなのよ」
「ですよね。 あのパワフルな勢いと実力があればもっと………捜査範囲が広がるでしょうに」
「文も協力する気はあるらしいけど、今の記事が書き終わるまでは協力しないらしいのよ。 はたてと椛も同様」
「残念ですね。 でも、協力できるというのなら、これに越したことは無いですよね」
「そうね」
ガタッ
?
何か物音が。
「どうしたの?」
「いえ、今何か物音がしたと思うんですが」
「物音? 倉庫からかしら」
「この部屋では無いのは確かですね」
霊夢さんは立ち上がると、外に出て、倉庫に向かった。
私もその後を付いて行く。
食べかけの煎餅などを残して。
■■■■■■■■■■
外に出ると、まず始めに周りを確認する。
霊夢さんは外に出ただけで、まだ倉庫に入ってはいなかった。
「どうですか?」
「耳を澄ましたけれども、倉庫からは音が聞こえないわね」
「だとは思います。 音の大きさ的に、倉庫からではなかったと思いますし。 距離的にも」
「だったら近くかしら」
辺りを何度見渡しても人影すら無い。
私は足下を見渡してみるが、これといったものは何も落ちていなかった。
しかし
「あ、霊夢さん」
「何?」
変わったことが。
霊拝殿の前に置いてある賽銭箱。
これに妙な変化があり、位置が微妙にずれていたのか、石畳の湿りなどの濃さが若干違う。
砂埃の蓄積も微妙に違う。
「これが動かされた」
「何かがぶつかったと考えた方が。 ほら、この角に何か尖ったものをぶつけた痕が」
「あ、本当ね。 こんなものは今日までに無かったわ」
「だとしたら、誰かが来たんでしょうか。 それにしては妙ですが」
「………!!」
「どうかしましたか?」
「伏せてッ!!」
「え?」
霊夢さんに咄嗟に言われて反応できなかったが、突き飛ばされ、地面に転んだ。
「あうっ!」
何事かと思い、顔を上に向ける。
変化があったのは地面。
さっきまで私達がいた位置は、軽くえぐられていた。
「これは?!」
おそらく………弾幕。
しかし、誰によるもの?
「霊夢さん!!」
「阿求! 逃げなさい!! 貴方も襲われるわよ!!」
「え?!!」
横では霊夢さんが戦闘を開始している。
相手は………妖夢さん!?
「な、何をやって!!」
「いいから!! くそっ!!」
幻想郷での弾幕ごっこというのは成り行きで始まることが多い。
喧嘩などでも始まることがある。
「弾幕放ってきたからお返ししたら妖夢が逆切れしてきたのよ!!」
「え」
「いいからあっち行って!!」
「は、はい」
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「不可能な死因?」
「ああ、今回の場合、不可能であれば心臓麻痺になる」
「だとすると?」
「それがどうであれ、妖夢と霊夢は死んだんだ」
「そうか」
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暫くして戻ってきた博麗神社は大惨事となっていた。
部屋の中には所々血が飛び散っており、倉庫の中では霊夢さんの自殺体が発見された。
妖夢さんの死因は特定しにくいものの、霊夢さんははっきりと、『自殺』で『窒息死』ということが判った。
紫さんにそのことの報告が行き渡ると、警戒は更に厳重になった。
私も捜査を強化するため、ほぼ毎日のように外出するようになった。
その一環として、白玉楼に来たのであった。
「幽々子様は当分人に会わないかと」
「やっぱりですか」
「妖忌様で良かったら大丈夫だと思いますよ」
「お願いします」
妖忌さんは数分もせずに会いにきてくれた。
「久しぶりじゃの」
「ええ、久しぶりですね」
「して何か」
「妖夢さんのことは残念に思いますが、ここは捜査の相談です」
「そう来るとは思っていた。 儂も強力せんとは言わない、むしろ、協力させてほしい」
それなら安心できる。
妖夢さんの剣技の師匠に努めていた、なお、実力も本物。
心配は無用である。
「儂も早速行こうと思ったのじゃが」
「なら話は大丈夫ですね?」
「ああ、そうじゃな………!!」
「!!」
妖忌さんがいきなり私の目の前で刀を抜いた。
「な、何のつもりですか!」
「離れないか!! 死にたくないのならばッ!!」
私の間と妖忌さんの間を何かが通り抜ける。
それはあまり見たこと無いものだったが、冥界では簡単に見ることが出来るものだった。
霊。
「冥界の霊か!? だったら攻撃はしてこないはず!!」
「待ってください!! この霊に、何かが取り付けられています!!」
「何?!」
私の言った通り、この霊には何か異様なものが取り付けられておいた。
外の世界で言う爆発物。
「何じゃこれは!!」
「爆弾というもので、一定時間、または、衝撃を与えると大爆発を起こします!!」
「!!」
「逃げた方が!!」
「駄目じゃ!! よく見ろ!! 爆弾とか言ったな? それらしきものが取り付けられた霊が儂達を取り囲んでおるぞ」
「ほ、本当に!」
「そなたが逃げた方が良い!! 儂は死んでも問題にならん!!」
「でも、幽々子さんが!!」
「あいつには後から伝えてくれ!! 『幽霊も捨てたもんじゃない』と」
「はぁ?」
「さっさと逃げろ!!」
「は、はい」
逃げる私を尻目に、妖忌さんが先程の幽霊を相手に奮闘しているのが見えた。
それと最後に聞こえたのが「ふざけるなよォ!! てめえらあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」だった。
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「それで、奇襲は成功したのか」
「魔理沙、心配するな」
「小町が言った通りなら、冥界の重要人物が一名死んだはずだ」
「私の能力も捨てたもんじゃないだろ? 幽霊を何体か駆使してあんなことも出来るんだ」
「ん?」
「死んだのは妖忌みたいだな」
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削除。
それからしばらく経つ。
紫さんの招集があり、『早苗が死んだ』という報告がされた。
それなりにやる気はあったものの、私が指揮役に選ばれたのがある意味苦痛だった。
嫌ではない。
私のせいで何人もが死んでしまうのかも知れないという、重責から来るプレッシャーが嫌だった。
心配するな、気にするな……………などの声を貰っているものの、心配でしょうがない。
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東方死手帳
Act3 Episode2
New move : New trick : New Death Battle
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二代目Lには魔理沙がついた。
早苗の側近であり、現在の事件捜査の一番の理解者(?)ということだった。
阿求はこれらのことを受け、捜査を別で始めているのだが、やはり、魔理沙が怪しいと踏んでいる。
・早苗達に捕まっておきながら、記憶が無いとかで無実を主張(?)
・最初の容疑者であり、怪しさ満点でありながら、無実らしき状況になったこと
・魔理沙がLになってから、キラ捜査が消極的
阿求の思考は深まる。
さらに、新しいキラ候補、正確に言えば、新しいキラの殺し作業が始まったことが判明した。
一日に一定間隔で一定の人数が殺されていく。
阿求達の捜査メンバー側に、新しいメンバーが追加された。
それはルーミアで、元々はLの捜査側についていたとのこと。
独断でこっちに来たそうだ。
理由は特にないらしいのだが、意味深な行動でもあった。
ルーミアには独自の捜査を行ってもらい、怪しい行動をしている人物の尾行を頼んだ。
その怪しい人物というのは………十六夜咲夜。
以前から紅魔館に使えていたメイドなのだが、辞めたらしい。
紅魔館のメンバーがレミリアを含めて死んでいたのに対し、この咲夜だけは生き残っていたのだ。
「傍目から見ればただのお使いですもんね」
「そうなの。 でも、私も阿求さんと同じように、何で咲夜が生きているかなの」
「殺されなかったということですよね、レミリアさんに」
「私もそう思う。 レミリアはたぶん、咲夜だけに慈悲があったと思うの」
「思い入れが一番あった人物………たぶんだけど、咲夜はレミリアの殺しの作業に反対していたのではないでしょうか」
「私もそう思うの。 だからこその怪しさ?」
「新しいキラは咲夜さんで仮定しましょうか。 私は一応、魔理沙さんのことも疑っているので」
「判りました、とりあえず、咲夜の尾行を続けるわ」
「ありがとうございます」
ルーミアが部屋から出ると、まとめた資料に目を通し始めた。
「(やはり、あっち側から流れてきた情報だと、藍さんが見つけたというノート………これは実在する? そう考えれば今までの心臓麻痺も簡単に考えられるし………やはりか)」
「阿求さん」
いろいろと考えていると、誰かが部屋に入ってきた。
入ってきたのは鍵山雛。
そもそも、部屋というのはいつもいる阿求の家なのだが、少しばかり改造された。
紫が、新たなる最新の機械を導入し、あらゆる機能を搭載したものを、書斎にドンと置いた。
部屋は元々広いのでそれほどでも無いが、機械としての威圧感はある。
この機械があることは、使用人達しか知らず、他言無用である。
「それでは?」
「ええ、準備も万端です」
「問題ないようですね。 あとは天子さんですね、協力を要請しておいた」
「幽香さんもでしたよね」
「大分オッケーですね」
「ルーミアさんにはいざというときの為の拳銃を持たせてありますからね」
「物騒だけど」
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魔理沙は一息ついた。
本人は知らないが、Aの正体、阿求からの通信待ちだった。
お互いに捜査の立場について以来、通信することが何度かあった。
ピピピ。
「Lです」
『Aです。 お久しぶりですね、L』
「こちらこそです」
魔理沙はAに返事をすると、周りにいる皆に手でサインし、黙るように指示した。
「何でしょう」
『捜査の方は進んでいるのですか?』
「ええもう」
『咲夜さんについてもですね?』
「そうです」
『だったら大丈夫でしょうか?』
「あの人がノートを持っていることは明らかで、死亡者の時間帯と咲夜さんの行動のあれを合わせるとつじつまも上手くいきます」
『ありがとうございます』
■■■■■■■■■■
「異常なしです。 咲夜さんいつも通り、給金稼ぎの為のアルバイトに居酒屋に」
『ルーミアさん、ありがとうございます。 ところで、ノートに触れることは出来ますか?』
「え?」
『ノートに触れれば、もとの所有者を視覚出来るということを教えてくれたじゃないですか』
「?」
『触れた時、その所有者がいれば、貴方は殺されるのではないですか?』
「!!」
『嫌なら幽香さんにやってもらいます』
『!!!』
「判りました」
『あと、捜査を始める際に貴方にカメラを渡したはずです。 そのカメラで、ノートの全てを撮影してください』
■■■■■■■■■■
咲夜の務める居酒屋。
仕事をしている間は、荷物を置いている所は無人になる。
客の雰囲気に乗じて紛れ込むことは出来るが、その荷物室に入ることは出来ない。
なので、ルーミアもバイトを始めたのだ。
荷物室に入ると、誰もいないのを確認し、咲夜の持っているノートに触れてみた。
「!!」
振り返る、横を見る、上を見る、しかし、誰もいない。
「(とりあえず誰も見えない)」
■■■■■■■■■■
「これで全部ですね?」
『はい』
「ありがとうございます」
『はい』
プツン。
「どういうこと?」
「雛さん」
「?」
「ルーミアさんは良くやってくれましたよ。 このノートのことも、そして、咲夜が貸金庫に何かを預けていることも」
「確かにそのような捜査報告があったわね」
「ええ、これで大丈夫です」
■■■■■■■■■■
暇だな。
Aから通信がかかってこないかな。
ピピピ。
「Lです」
『Aです。 Lさん』
「はい?」
『お会いしたい』
「?」
『捜査に関してお見せしたいものがあります』
建前は『お見せしたいもの』か。
「いつです?」
『一月の二十八日でどうですか?』
支障はない。
「判りました」
『はい、では後ほど』
■■■■■■■■■■
「魔理沙」
「どうした? 萃香」
「暇だな」
「ん? ああ」
間が空く。
「お前が捜査に協力してくれるとは思わなかったよ」
「私も暇だからね、酒飲んでばっか」
「ったく」
「Aともようやく会えるのか。 なんかよくわからん捜査に」
「キラ事件ぐらいは知ってるだろ」
「知ってるけど」
「ああそう」
更に間が空く。
「キラの殺しの力って知ってるか?」
「知らん」
「ノートに名前を書くことで、殺すことが出来るらしい」
「な!」
「そういうことだ。 私にゃあ納得できないが」
「………」
「で、これがそのノートの紙片。 これに書いても死ぬんだ」
「それで?」
「ピンチになったらこれに書いて切り抜けるんだ」
■■■■■■■■■■
萃香は下見ということで、人里に来ていた。
恐れ多く、周りの人たちは避けて通るようにしている。
そんな中。
「!!」
突然、萃香の目の前にルーミアが現れた。
出現するなり、煙幕弾を発射できる砲を構えると、萃香の足下に放った。
「う!! グホッ!! ウホッ!!」
「何事だ!!」
「萃香さん!! 逃げてください!! あんなのがいたんじゃ危ない!」
助けの手を差し伸べたのは麻布を全体的にかぶった誰か。
「え? え? あんた誰?」
「そんなことはどうだっていい!!」
■■■■■■■■■■
「ありがとうございます」
「このぐらいは平気だ。 あとはあれをするだけでしょう?」
「そうです。 頑張りましょう」
修正版です。
再度のアップロードすいません。
とりあえず、次回か次々回で最後だと思います。
挿絵がつくかどうかはちょっと判りませんが。
他に誤字などがあったら報告をよろしくお願いします。
いろいろと本当にすいません。
ヨーグルト
作品情報
作品集:
22
投稿日時:
2010/12/23 00:14:15
更新日時:
2010/12/23 09:29:08
分類
魔理沙
アリス
阿求
ルーミア
その他
デ○ノート
修正版
挿絵とな!?
まぁ、色々有りますが、それがヨーグルトさんの持ち味ですから。
それでは、続きを楽しみにしています。