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『幻想郷で戯れるもの』 作者: ヨーグルト
*作者は大変な話にしてしまいました。
*「これはひどい!」という作品です、注意してください。
~ 序 ~
夜空に輝く月。
辺りには満天の星空と、月に向かって昇っていく流星。
その流れる流星を見たものは、誰一人としていないのかも知れない。
月の民の調査結果から、その流星の出所と思われる所は、魔法の森の深部だということが判り、それを出したのが霧雨魔理沙だということも判った。
しかし、当事者でもある霧雨魔理沙の姿は近辺に見当たらず、月の最新機器を持ってしてでも見つかることは無かった。
生体反応………無し………無し………無し………無し………無し………。
魔法の森の入り口にある、雑貨屋、香霖堂。
ここも調査されて、妙なことが発覚した。
店内は無造作に荒らされ、何かが持ち出された形跡があったのだ。
それだけでなく、レジカウンターの上には、この店の店主のものと思われる眼鏡が発見された。
紅魔館での調査は困難を極めたと言っても良い。
足跡(そくせき)らしい足跡が無く、失踪者の足取りすら掴めなかった。
残っていた証拠と言えば、門に落ちていた中国風の帽子、図書館に落ちていた帽子、廊下に落ちていた白色の帽子と桃色の帽子。
どれも『落ちているだけ』で、何の証拠にもならなかった。
足跡(あしあと)が無い以上は空を飛んだとも言えるが、脱出がほぼ百%不可能な所を見ると、飛んだとも言えなくなった。
霧の湖の近くには、蒼いリボン、黄色いリボン、鳥の羽が付いた帽子、紅いリボンが落ちていた。
いずれも、月の民から見れば、誰の所有物か判明しなかった。
ただし、紅いリボンは調査隊の手によって回収できなかった為、綿月姉妹の手によって回収された。
博麗神社にはこれと言った証拠も何も無かったが、お茶が入っていたはずの湯のみがいくつか落ちていた。
このことから、茶を飲む寸前に失踪したと言える。
「お姉様」
「ん?」
「桃を食べている所失礼ですが」
「大丈夫だって」
「いえ、地上からの飛来物です。 あれには月の羽衣が付いていたのですが」
「ああ、たぶん永琳様が誰かい渡したからあの箱についていたのね」
「『誰か』ではなく、もうはっきりしてるじゃないですか? 『霧雨魔理沙』という名の、かつてこの月に来たうちの一人の黒色の魔法使いではないですか」
「ええそうね。 けどいずれにせよ、誰が送ろうがこの事件(?)はちょっと意味不明だからねぇ………こんなことを考えるのは少ないと思うけど」
「検討はあるのですか?」
「無い」
飛来物に入っていたものは、薄い紙が数枚。
内容:これから、幻想郷で起こっていることを記載します。
今、幻想郷では、幻想郷の住民が相次いで謎の失踪を遂げています。
失踪者の足跡は掴めず、非常に困っております。
失踪者は以下の通りです。
失踪者:ルナ・チャイルド、チルノ、ミスティア・ローレライ、射命丸文、姫海棠 はたて、上白沢慧音、アリス・マーガトロイド、レミリ ア・スカーレット、フランドール・スカーレット、紅美鈴、紅魔館の妖精メイド九割。、森近霖之助、ルーミア、メディスン・メラ ンコリー、河城にとり、鍵山雛、魂魄妖夢、リリーホワイト、蓬莱山輝夜、八意永琳、風見幽香、小野塚小町、水橋パルスィ、星 熊勇儀、聖白蓮、封獣ぬえ、多々良小傘、雲居一輪、雲山、稗田阿求、茨華仙、犬走椛、永江衣玖、洩矢諏訪子、火焔猫燐、古明地 さとり、キスメ、村紗水蜜、寅丸星、西行寺幽々子、ルナサ・プリズムリバー、リリカ・プリズムリバー、
東風谷早苗、十六咲夜、パチュリー・ノーレッジ、他のザコ共、四季映姫、メルラン・プリズムリバー、魂魄妖忌、伊吹萃香、因幡 てゐ、鈴仙・優曇華院・イナバ、藤原妹紅、小悪魔、以下他の幻想郷の住民。
これらの失踪者はあくまで、私たちが自分の目で確認できた人たちです。
他にも失踪してるか、あるいは、失踪せずにどこかで生きていると思われるので、発見した場合は保護してください。
よろしくお願いします。
~ 事1 ~
「……ぁ…………………ぁあ…………ぁ……」
………。
「あれ…………? ここは………え、私は…………生きてる? そんなはずは………いや、そもそも………」
朦朧としつつも、黒色の魔法使い、霧雨魔理沙は目を覚ます。
しかし
「ここは何処なんだ? 見覚えの無い………そもそも私は幻想郷にいて………月にアレを飛ばして………だとしたら、今私がいる場所は何処だ?」
意識がハッキリしなさすぎるせいで、魔理沙の目の前は(ポケモン曰く)真っ暗である。
もう少し体を休ませてからでもいいだろうと、体を横にし、目を閉じた。
~
「………」
お互いに目を見合わせる。
「何故?」
先に口を開いたのは依姫。
目の前にいる相手の存在が、何故か信じることが出来ない。
いないはずの、神奈子。
「よぉ、神様の世界では随分と世話になったな………して、お二人さん、これからはどうするつもりなんだ?」
「どうするも何も、これからも捜査を続けていくつもり」
「ん、あぁそうか。 まぁ調べられるのなら別だが、一つだけならヒントを与えられるね。 今回の犠牲者は全員『死んではいない』。 私もそのうちの一人なんだが」
「死んではいない? そうすると、失踪者はどこかにいるとでも言うのでしょうか」
「私が今ここにこうしていられるのは、お二人さん、正確には依姫のおかげなのだが………まぁ神様と浄土の者は全員、この月面都市に流れ着いているだろう」
「………!!」
豊姫は桃を一かじりした。
「随分と前のあいつらも来てるのねぇ」
「私たちは初めてここに来るとは思うが、西行寺幽々子という亡霊や、魂魄妖夢という半人半霊も来てると思うぞ」
「霊にや神に繋がる人間は『全てこちらに流れ着いている』で、いいのね?」
「そうとって間違いないだろうよ。 私と一緒にいたのは、土着神の洩矢諏訪子と、現神人の東風谷早苗だから、少なくとも三人が来てるぞ」
「では、他の二人にも挨拶はしないといけませんね」
「お姉様」
依姫は目を閉じ、顔だけを横に向けて冷たい口調で言う。
「ここは穢れの身を嫌う土地、そんな、地上の神様やら人間やらを受け入れても良いというのですか?」
そんな質問を受けても、豊姫は笑顔を絶やさずにいる。
「大丈夫よ今の所、神様が三人と幽霊が二人だもの。 それに、他の者については『救助』ということにでもしていれば問題は余り無いわ。 もし批判を受けても説得できる自信はあるし」
「出来るなら」
「貴方はいつも頑固よね………慈しみが無いというか………まぁそんなことは問題にならないか。 ねぇ神様」
「何だ?」
「あとで海の所に案内するから、他の神様二人を呼んできてくださらない? 貴方以外の人も見てみたいわ」
「いいだろう」
そう言い残すと神奈子は瞬間移動でどこかに消えていった。
豊姫は依姫の肩を叩くと、意地悪そうな顔をした。
「文句があるならこの扇子で消すわよ」
「………!!」
「それとも桃に押しつぶされて死にたいかしら?」
「…………………判りました………今回だけ、特別ですよ」
「さっすが私の妹。 話が分かるわねぇ〜、いい子」
「………」
~
「幽々子様、ここの桃はもう何個も食べたじゃないですか?」
「もうそんなこと、ずっと前の話よ〜。 また食べたくなっちゃったの、いいでしょ?」
「何されても知りませんよ」
妖夢が溜め息を吐いて顔をそらすと、幽々子は待ったと言わんばかりに、辺りの桃の木から桃をもぎ始めた。
あくまで細心の注意を払いながらと言い残してはいる。
そんな幽々子はほっといて、妖夢は少し歩き、外を見渡した。
そこで、何かを見かける。
少し向こうに、綿月姉妹を見つけたのだ。
そこから聞こえてくる会話は、『早く会いたいわ』とか『どんな人なのでしょうかね』だった。
妖夢は心の中で『高貴な御方が合コン?!』とか『まさか………援助交際?!』などと考えてしまった。
その妖夢の頭を、何かが押さえる。
「ゆ、幽々子様?」
「妖夢、何見てるの? あ、あれは、あの姉妹じゃない。 挨拶でもしようかしら」
「や、止めた方が………」
「おおぃ! そこのお姉さん方!!」
「………がくっ」
呼び止める間もなく幽々子は、綿月姉妹のもとへ駆けていってしまった。
「誰?」
「ぬわあぁっ!!?」
そしていきなりの他人発言。
「あ、貴方は紫がレイセンと永琳様が話してた、幽々子さんですよね?」
「なに、やはり知名度は高いか」
「そうよ、依姫、この人は有名人なんだから、顔ぐらい知っておかなきゃ」
「(知らなかった………)どうも、綿月豊姫の妹、綿月依姫です」
「私は姉の豊姫よ。 ところで幽々子さん、今回の事件に付いてどう思います?」
「今回の事件?」
幽々子はきょとんとする。
まるで今回のことを何も知らないかのように。
「あぁ事件だったのね? 紫の悪戯だと思ってたんだけど、ね。 いつの間にか月に来ちゃってたし」
「いえ、地上から手紙らしきものが来てて。 『全てではないが羽衣付きで』ね」
「そういうことするのは霊夢ぐらいしかいないわねー」
「いえ、地上に降りて調査をしたら、これを発射して月に届けたのはどうも、魔理沙らしいのよ」
「魔理沙が? ふーん、最後の生き残りってことかしら? 運が良かったものね」
「?」
「面白いわ。 今回の事件の被害者は高確率で、この月面としに来てると思うわ。 迷惑なほどに」
「やっぱり? まぁそっちのほうが賑やかで良いと思うけど」
「あの時とは随分と………考えが変わったのね」
「変わったっていうか? しょうがないっていうか、今回だけは特別っていうか? ねぇ依姫?」
「だ! か! ら! 今回だけ特別だって!!」
「あら、あの頃に比べるとずいぶんと可愛くなってる」
そう言って、幽々子と豊姫は微笑みながら見合った。
依姫は顔を赤くして俯いた。
「それで、こっちからも質問なんだけど、誰か待ってたの?」
「ええ」
「妖夢の気持ちを代弁すると、合コンか援助交際かしら?」
「あの人も来てるんですね。 ええ、その二つではありません。 神様が三人ほど来てるので、顔を合わせておこうと思ったの」
「神様? 神奈子と諏訪子と早苗のことかしら」
「そのようです」
「………他にもいそうね、この様子だと」
「ええ」
~
魔理沙は誰かに叩き起こされた。
目の前には二人の少女。
見覚えがある。
「静葉、稔子………」
「どうしたの? こんなところで」
「それはこっちの台詞でもある」
「私たちも知らないのよ。 知らない間にこんな所にいたから」
「お前らもか」
魔理沙は重たい腰を上げると、服に付いていた砂埃をパンパンと払った。
「お前らはこれからどうかするのか?」
「あ、諏訪子さんたちに、海に来るようにって言われたんです」
「海」
「ここを真っすぐ行ったら着くらしいんですけど、どうですか? 魔理沙さんも一緒に」
手を横に振る。
「いや、私はここでごろ寝してる」
「そうですか、では、暇があったら私たちをお捜しください」
「ああ」
その数分後、魔理沙は、月の自衛隊に取り囲まれるのであった。
~
「どうも、秋静葉です」
「妹の稔子です」
これで紹介は終わった。
全員は笑顔で(依姫を除いて)顔を見合わせると、同時に「ふふっ」と笑った。
「それで、何か話すことはありますか?」
「はい」
静葉はどぎまぎしながら手をあげた。
「先程、桃の木のところで魔理沙さんを見かけたのですが」
「やっぱり来てると思ったわ。 それで、連れて来れますか?」
「後から適当に来るって言ってました」
「そうですか? なら大丈夫ですね」
豊姫は依姫に合図をした。
「魔理沙さんのことなら心配しなくても良いですよ。 今、部下に迎えを頼んでいますから」
「仕事早っ!!」
その瞬間。
ガアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァアァッ!!
ドゴオオオオオオオオオォォォッォォォォォォォォオオオオオォォォオオォォォォオオオオォォォォォォォンッッ!!
という爆音。
「!?」
次の瞬間、綿月姉妹の真後ろを巨大な光線が通過。
「これは………魔理沙のマスタースパーク?!」
「あらあら」
豊姫は嬉しそうに言う。
「迎えを全て追い払ってしまうなんて………元気のいい人も来てるのね………」
「お姉様………気楽に言っている場合ではないと思うのですが」
森の方角から、兎の自衛隊らしき人たちが五名ほど来た。
「豊姫様!! 依姫様!! 怪物が!!」
「黒い化け物が破壊光線を!! ヒイイィィッ!!」
「おおおぉらぁぁっ!! 待ちやがれえええぇぇぇぇぇっ!! まだ制裁は終わってねえっつってんだよぉぉぉぉ!!」
「逃げろおおおっぉぉ!!」
直ぐさま兎達は逃げ出し、魔理沙はその後をもの凄い早さで追いかける。
しかし、豊姫たちと、その他の人に気づくとすぐに動きを止め、何も無かったかのようになった。
「あれ? 皆はどうしたんだ? こんなところで」
「魔理沙さんと同じですよ」
早苗はいきいきした顔で応えた。
「魔理沙さんと同じように、知らない間に月に飛ばされたのです」
「やっぱりか? 私も、月に箱を飛ばして以来の記憶が無くてなぁ………目が覚めたら森の中だ」
「じゃあ皆さんも同じようなことで………ていうことは、他にもいるんですね、飛ばされた人たち」
~
それほど多くはないのだが、他にもゾロゾロとやってくる。
「ここは………月?!」
一番驚いていたのは阿求。
当然と言えば当然なのだが、一度も来たこと無い所だ。
「………うわぁ」
「そんなことより」
依姫は静かな空気を破り、今集まっている皆の注意を惹いた。
今集まっているのは先程のメンバーに加え、阿求、リグル、。
「貴方たちはこれからどうするつもり? ここに来て何もやることが無いなら、ここで消えてくれても良いのよ?」
「そんな殺生な!!」
リグルが一番強く反応する。
「確かに酷いかも知れないわね。 ここで一番の穢れの身は貴方だし、すぐにでも失せてほしい気分だけど? でも今回は特別、ほら」
依姫はこの場にいる全員に札を投げつけた。
それらの札はそれぞれ一人に一枚ずつ貼付けられ、仄かに光った。
「この札を付けている間はとりあえず大丈夫、月の民から退けられることも侮辱されることも無いでしょう。 ですが、剥がしていけません、判りますか?」
「………」
「もしはがしてしまった場合は私の所に来てください、貼り直します。 ただし、故意によるものと、明白な場合は除きます。 では」
依姫は、その札が何枚か束になっているものを一人ずつ、投げるように渡した。
「貼られていないお友達を見つけたら貼ってあげてください、それだけです。 全員確認したら私の所まで」
~
解散後、その場に残ったのは綿月姉妹。
「依姫はやっぱりやさしいわね〜」
「む! こ、今回だけって言ってるではないですか!!」
「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ………」
~
城下町。
月の民であふれかえり、賑わっている(というより賑わいすぎと言っても良い)。
諏訪子はここを中心に捜すことにした。
本人が持っている札は二枚。
神奈子と早苗が貼ろうとしている相手はにとりと文なのだが、諏訪子も同じことを考えていた。
それぞれ別行動。
諏訪子はその辺を見渡すと、変な人影を見つけた。
香霖堂店主、森近霖之助。
「?」
その霖之助はというと、店の一つにもたれかかって、絶望の顔をしている。
諏訪子はその様子をどうでも良いという風に受け取り、瞬間移動で霖之助に近寄った。
自分の存在を気づかせようと、諏訪子は札を、霖之助の顔にバチン!! と貼った。
「ぐぶおおぅわぁ!!」
「何をしてるの?! 皆が捜してるよ!!」
「皆?」
~ 事2 ~
「あら」
皆がいない海の前、豊姫は後ろに人の気配を感じると、振り向かずに話しかけた。
どうやらその人影の正体も判っているようだ。
「紫」
「む………気づかれてはいても、誰かまでは判らないと思ったんだけど」
「大体判るわよ、ここに来る物好きだっていうことは、紫ぐらいなのよ」
「読まれてたのね」
紫は溜め息を吐くと、スキマを出して豊姫の前に現れた。
「それで、『こんなこと』をしたのはどういうつもりかって、依姫は文句言っていたわよ」
「あら、教えてあげなかったの?」
「教えようとは思ったけど、教えたら皆が集まってこないでしょう? だったら、最後の最後で教えた方が良いでしょう?」
「それもそうね。 いやでも、幻想郷から皆を脱出させたのは正解の一種と見ても良いでしょ」
「………判ってるのかしら………」
~
チルノは森の真ん中の広場でふんぞり返っている。
周りには冷凍された兎の群衆があり、その数は十名ほどに及ぶ。
「あたいにさからうからこんなことに………いや、そもそもかなわないことはわかってっていたはず、もうだいじょうぶだよ、大ちゃん」
「ぁ…ぅ……………」
「だい!! じょう!! ぶ!! もうてきははいじょしたからっ!!」
余裕ぶっているチルノに新参者が襲いかかる。
銃剣をチルノの頭に振り下ろそうとする。
「ああぁぁあまああぁぁぁあああああいいぃぃぃぃっ!」
「!?」
チルノは瞬時に振り向き、銃剣を両手で受け止めた。
「なっ、白刃取り!!??」
「だからあまいっていってるんだ!!」
「くそっ!!」
「くらえぇぇっ!! 氷符「アイシクルマシンガン」!!」
「ぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっ!!」
~
「………」
「あ、リグルちゃん」
リグルが茂みの中から出てくる。
その顔は怯えきってるというより、完全に呆れ顔であった。
「あ、これは?」
「これはって……………あたいにさからってきたりおそってきたりしたからせいさいをくわえてあげたんだよ」
「これはこれで酷い気がする………それはそうと、渡すものがあるんだけど」
「ん?」
リグルは札を二枚取り出すと、チルノと大妖精に貼り付けた。
「これを付けていないと、この月ではこれからいろいろと不自由になるんだよ」
「あ、そうなの? あたいはふじゆうなくかってるけど」
「そう言う意味じゃないんだって………大ちゃんは何かあった?」
「リグルちゃんが見た通り………この有様」
「うん」
「他の皆は?」
「ミスティアちゃんにも付けておいたんだけど、ルーミアちゃんが見当たらないんだよね………闇を出すかなにかをしてると思うんだけど」
「もしかして、闇を出していないんじゃ」
「あ`」
~
「ナズーリン?」
「いえ、なんでもありません」
寅の呼びかけには反応するものの、ナズーリンのその反応は若干曖昧である。
「何かこう………違うというか………ここが月だということは判ったんですけど………何か異質な空気を感じるんです」
「気のせいだろ。 お前の持ってるダウジングロッドが狂ったんじゃなくて、お前自身が狂ったんだろ」
「………」
「まぁそれは冗談だとして、他の皆も捜さなきゃな」
寅とナズーリンは未だ、誰とも会っていない。
いろいろな所を彷徨っていれば誰かに合えると思っていたのだが、案外そうでも無いようだ。
と、思っていた矢先、目の前に誰かがいるのが判った。
その人物もナズーリン達に気づくと、走って向かってきた。
「あ、どうも」
「はぁ…………」
その人物は霖之助。
ナズーリンとは面識が当ても、寅とは面識が少ない、というより無い。
「そちらの方は初めてでしたよね。 初めまして、香霖堂店主の森近霖之助です」
「命蓮寺の寅丸星です」
「ところで………これは?」
「!?」
「霖之助さんもですか?」
ナズーリンは、霖之助のその、引っかかるような物言いに気づく。
「うん、何かおかしいと思えるんだ」
「だよね」
「ここが月だから………と、決めつけるのはまだ早いと思うけど」
~
それから数時間後。
市街地のような場所に広場があり、そこに(主要人物の)全員が集まった。
見知った顔が集まっただけでもすごいことになっている。
「………」
月の民にも良い迷惑でもある。
「はぁーい! 傾注、傾注!! ゆかりんだよー!!」
『!?』
いないはずの声が聞こえ、集まった群衆はその声の方向に振り向いた。
そこには、本当に紫がいた。
「なっ! 何故いる!?」
「貴方達より先にいましたよー! そんなことはどうでも良いのです! では、私の話を聞いてくださーい!」
皆は黙った。
「これから貴方達には、鬼ごっこをしてもらいます! その札が参加している証拠です!」
『?!』
「おっと、はがせませんよ!? はがそうとしたら、いえ、はがしたら死にますよ! で、逃走コースは幻想郷! 幻想郷の中ならいくら逃げ回ってもかまいません!」
『………』
「ただの鬼ごっこじゃつまらないので、賞金を付けることにします! 賞金単価は一秒に(外の世界で言う)三百円の上昇です。 逃げる時間は三時間三十四分! その他に………いえ、これは言う必要ありませんね!」
『………』
「あ、ちなみに、鬼は『ハンター』という名前で、その鬼は貴方達の数の………じゃなくて、ハンターの数は十体です!」
それを言うと、紫は大量の札の束を出し、広場にいる『参加者』に投げて配った。
「その束には、『攻撃符』と『防御符』と『技符』、その他が何枚か入っています。 攻撃符は、ハンターを攻撃することが出来、一時的に消すことが出来ますが、一定時間後にハンターは復活します! 防御符は、ハンターの進行を妨げることが出来、他の皆が一緒にいる時にその人たちを逃げさせることが出来ます。 しかし、発動中は発動者は逃げることが出来ません! 技符は、自分の好きなスペルが一度だけ使えます! 使用タイミングを見極めてください! それ以外は、放送にてお知らせするので、お待ちください! では!!」
逃走者達は幻想郷に移された。
まさかの続編、すごいことになってしまいました。
謎解き要素をなくすとこんなことになるんですね………そもそもありませんけど。
新年前にこんな作品って………;^^
最初から、紫がこうしたっていうストーリーとは考えていたんですけど、
本当は条例的なものをテーマにして作っていたんで、黒い何かと戦うっていうストーリーだったんです。
戦闘シーンが苦手なので、ちょこっと軽くするという目的なんです。
どうせですから、紫の気ノリの良い的なところをテーマにしてしまおう!
ということになったんです。
本当にすいません、強引すぎました。
ありとあらゆる指摘をお待ちしております。
このSSは、今日の午後十一時頃に見に来ると思います。
それでは、良いお年を!
ヨーグルト
作品情報
作品集:
23
投稿日時:
2010/12/30 23:25:42
更新日時:
2010/12/31 08:26:27
分類
綿月姉妹と他の人たち
ま、まさか?!
>2様
展開を考えていないのでなんとも言えません。
月に幻想郷住民を強制移住!?
で、まさかの幻想郷を舞台にした鬼ごっこ!?
紫が『鬼』の人数で何か言いかけてたような…?
綿月姉妹が貼り付けた札は一時入国許可証のようだが、それが鬼ごっこの参加証でもある、と。
一時的に幻想郷を空にして、何をしようというのか、ゆかりん!!
謎解きではないのなら、今回のお話は痛快アクションか何かですか?
何であろうとも、続きを楽しみにしています。
お帰りなさいませ。
最初は、全員の云々割の数と言いかけた、けど、面倒だからキリよくしたわけです。
鬼ごっこには準備が必要かと思いまして。
寒いギャグを混ぜた、某番組の東方アレンジといったところです。