Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『とけちるの』 作者: ラマーズ
何が悲しいかなんて、聞かれてもわかんないよ。
ギュッと握ったチルノちゃんの手。冷たくて、私よりちょっとだけ小っちゃくて。
あっついよ、って言いながらも握り返してくれる少し困ったようなチルノちゃんの笑顔。
チルノちゃんは寒いわけじゃないのに、それでも冷たい手を暖めてあげたい。溶けてしまうわけじゃないのに、それでも心配になってすぐに離してしまう。
私よりずっとずっと強いのに、触れるだけで溶けちゃいそうなチルノちゃん。
湖が青いのは空の色が反射してるのを知らなかったチルノちゃん。そして大切なモノほど壊れやすいんだよ、って教えてくれたチルノちゃんはバカだ。
たぶんチルノちゃんは欲張って大切なモノを力いっぱい抱きしめて壊しちゃうか、両手に抱え込んでポロポロ落としちゃうんだ。今の私みたいに、手を握る加減を知っていればそんな事にはならないのに。
昔チルノちゃんに抱きついていたら風邪をひいてしまった。自分のせいだと思っていろいろ看病してくれたのに、手だけは握ってもらえなかった。手を握ると寒くなるからっ、て謝ったチルノちゃんは本当にバカだ。私がほしかったのは、体温じゃないのに。
優しくしてくれてありがとう、でも冷たくてごめん。
そう呟いたチルノちゃんを、私は壊れるくらい力いっぱい抱きしめてながらバカっ!って言ってやった。
人の気持ちも知らないでそんな事を言うチルノちゃんは本当にバカだ。
寒いのは嫌だけど、チルノちゃんは好きっ!っていったらありがとう、と一言だけ言って顔を伏せた。チルノちゃんはバカで優しくて冷たくて、そしてあったかい友達だ。
私は幸せだけど、もちろん悲しい事だってある。でも
何が悲しいかなんて、聞かれてもわかんないよ。
ラマーズ
- 作品情報
- 作品集:
- 23
- 投稿日時:
- 2011/01/12 13:13:56
- 更新日時:
- 2011/01/12 22:13:56
- 分類
- ちるの