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『おお、こわいこわい』 作者: とろみ
こわい、こわい
なんの事はない、ふとに思考を巡った口癖。
余裕綽々だと相手を小馬鹿にする視線と共に向けた、彼女なりの下手糞なコミュニケーション。
彼が愛した――――きめぇ丸の、彼女の口癖だった。
月の光量が酷く目まぐるしく変わる夜だった。
「――――やッぁっ……!」
蚊の啼く様な声だった。煩う赤子にも良く似ている。
男はと言うと、悲鳴にも悲痛にもさして気にする様子もなく、ただ狂った様に貪欲に肉欲を貪っていた。
大きく、太い指が彼女の乳房を乱暴に掴み、粘土の様に捏ねる。
その度に、きめぇ丸の丸い顔が苦痛に歪む。
「…………なん、で……ですか?」
乱暴に体を押さえ込まれ、無理矢理に熟れた肉を揉みしだかれ、体中を愛撫されるきめぇ丸が漏らした一声は疑問だった。
男――――名も無き彼はだった。いや、育ての親と言っても相違なかった。
同胞に顔が醜いと罵られ、心無い暴力で嬲られ、唯一の自慢であった片方の羽根を毟られ山に打ち捨てられた彼女の身を、心を救ってくれた恩人。
生きる事の難しさと嬉しさを教えてくれた、醜いと言われた顔を隔て一つ無く愛を注いでくれた奇特な人間だった。
そして、きめぇ丸はそんな彼が好きだった。好意を抱いていた。
千年来の恋だったのかもしれない。僅かな時間に生きる人間の糧とあざ笑っていた彼女にとって、初恋だったのかもしれない。
居てくれるだけで、指先が触れるだけで訪れる多幸感は、生まれてからずっと迫害され差別され侮蔑され、人を信じる事が出来なくなった彼女にとっては初めてだった。
我ながら陳腐な女だと思いながらも、自分の思いを偽る事は出来なかった。
好き、大好き、私は彼が好きだ。愛している。
この身には及ばぬ大層な思いだとしても。彼にその気が無かったとしても。
一人の女として、抱かれたいという思いはあった筈だった。
だが――――
「痛……痛いっ……!」
乳房を乱暴に揉みしだかれ、薄桜の乳首が力任せに摘まれる。
形の良い尻肉を掴まれ、爪を立てられた場所が赤く染まる。
何度も口腔に舌を入れられ吸われ噛まれ唾液を流し込まれる。
愛し合う相手ならば造作も無い行為が、無作為に言葉無く行われていく。
するがままにされるがままに。
本来ならば、幸せな筈だった。
けれども……いま起こっている営みは、一方的な唯の陵辱に過ぎなかった。
「あ……がっ……!?」
まだ濡れていない秘所が無理矢理に男の指によって蹂躙され、破瓜を示す血液を垂らす。
その間も、きめぇ丸に快楽などは無く、込み上げるのはただただ痛覚だけ。
感じるのは、愛では無く一方的な欲望だけ。
「うぅ……うぅぅぅぅ……!」
…………嫌だった。こんな形で彼に抱かれるのは。
――――愛して貰いたかった、愛してあげたかった
「――――……ッッッ!?」
不意に、異物が当たった。手前、入り口地点。
彼女を立派な女である事を、雌である事を示すに箇所に大きな違和感を覚え、きめぇ丸は表情を曇らせ声を張り上げた。
「だ、駄目ですッ……?! それだけはっ……それだけは……!」
男を知らない体を持つ彼女にとって、何が起きたのかまるで理解が出来なかった。
けれども、今、何が起ころうとしているのかは想像に容易かった。
突き付けられているのは怒張した男の一物。肉欲と汚濁の魂胆。
「っ……やめ………!」
けれども男の分身は――――抵抗する気力が浮かぶまでも無く、奥へと逸物を突き込まれた。
一番奥、子宮の奥を壊すかの如き勢いにて、出来る力の限りで根元までねじ込む。
「い……ぎ……ッ……!?」
きめぇ丸の太い眉が苦痛に歪む。握ったシーツには爪が食い込んでおり、くっきりと濃い皺を刻みこんでいた。
男の手首程もある肉竿は、きめぇ丸には身が余る丈だった。
手馴れた性婦ですら音を上げる大きさは、元々小柄な部類に入るきめぇ丸にとっては膣をこじ開けられるにも等しかった。
体に似合わずに大きく育った胸を力任せに潰され、破瓜の血で真っ赤に染まった子宮の痛みに耐えかねるきめぇ丸の悲鳴を聞いてもなお、男の行為は続いた。
「――――――あぁぁぁ…………ぐぅぅぅ……!」
赤く焼けた鉄の印を押し付けたかの様な叫び声だった。
けれども嵌められた心の枷が、彼女の抵抗を許す事は無かった。
否定する事によって失われるだろう彼との平穏。それが彼女にとっては何よりも恐ろしかった。
「痛いです……いた、いです……!」
「やめてください……もう、やめてくださいよぅ……!」
枯れ果てていた筈の涙がぼろぼろと頬を濡らし、毀れて行く。
彼女に快楽など無かった。
「ッッ!? …………あぅ……っ!」
そして、不意に訪れた一つの終焉。
触れていた、彼女の中を内側から抉っていた醜悪な塊が、一際大きく膨張したかと思った次の瞬間、夥しい量の精を中へと吐き出した。
「あ……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その瞬間、彼女の体がびくりと跳ねた。
溶岩の奔流の様に体の中心を目指して流し込まれる液体に、自分が置かれている現状を再び理解し、彼女は唇を噛んだ。
同時に、これで終わりなのだという安堵に心を許し。
「……まだだ、まだ足りない」
「……ッッっつ!?」
再び訪れた刃物で膣壁を削られる様な痛みに、彼女の意識は白み始めた。
鞠の様に手の中で形を変える乳房は、愛も無くただ力任せに自分勝手に捏ね繰り回され。
底の浅い経口からは、破瓜の証である血液が他の汚濁した液体に交えて吐き出されては垂れているだけ。
玩具の様に扱われた身体は、痛みと苦しみ以外の信号を渡す事は無かった。
――――延々と続く絶え難い、けれども払いきれない痛みの中。
「……すまぬきめぇ丸……こんな形になってしもうて」
「……愛しているぞ」
男の言葉が、きめぇ丸の耳に入る事はなかった。
途切れた言葉の意味を考えるには、彼女の意識はあまりにも曖昧だった。
彼がきめぇ丸を囲っている事。
彼がそのせいで人に追われている事。
そして、明日になれば博麗の巫女がきめぇ丸を退治しに来る事。
彼が――――自らの命と、妖怪としての自由を、きめぇ丸の残りの片羽根と引き換えに頼み込んだ事。
平等な世界が生まれる事。平穏な幸せが訪れる事。
けれども、その世界に愛した人は居ないという事。
それらの事実を、彼女が知るのはまだまだ先のお話で――――――
そんな悲劇を、彼女が聞いて平穏無事にいられる道理は到底無く――――――
「というわけで、人の優しさがこわいわけですよ」
きめぇ丸は自分が人を馬鹿にする理由をそう嘯いた。
「嘘つけ! というか、アンタみたいな奴にそんな良い男が現れるわけあるかぁぁぁ!」
「嫉妬ですか、おぉこわいこわい」
「やかましいぃぃぃぃ! 顔以外は完全に私の劣化版の癖に調子乗ってるんじゃありません!」
「暴力ですか? こわいこわい」
「食らえ幻想風ま……って速ぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!?」
「なんでアンタ羽根も無い癖にそんな速……わぁぁぁぁ!?」
「おぉ、おそいおそい……」
「あ、ぴちゅった……っていうか二人とも、相変わらず喧しいなぁ……顔以外同じの癖に」
「椛ぃぃぃぃッ! 聞こえましたよッ!? 誰と誰が同じですってっ!?」
「わぁっ!? す、すいません!」
「いーや! 今日という今日は許しませんよ! いいですか貴方は上司への忠誠という物が……っわ!?」
「あ……!」
「おぉ、ぴちゅったぴちゅった」
「うわぁ……なんか文先輩の顔が”じゃがいも”みたいに……区別つかねェ」
「あ〜〜〜ん〜〜〜〜た〜〜〜〜ら〜〜〜〜ね〜〜〜〜!」
今日も始まる、人の姿も消えて久しき妖怪の山を舞台に弾幕ごっこ。
互いに本気というわけでは無く、けして遊び心を忘れない平等な戦い。
博麗の巫女が作ったスペルカードによって生まれた、差別も上下も無い平らな関係。
「……おぉ、こわこわい!」
きめぇ丸は今日もまた、無意識にそう口走った。
きめぇ丸はただ不細工なだけです。
体は立派だと思うんです。エロ展開的に考えて。ロリ巨乳っていうの?
最初はただの陵辱にしようとしたら違うものになった。
とろみ
- 作品情報
- 作品集:
- 24
- 投稿日時:
- 2011/02/05 12:09:05
- 更新日時:
- 2011/02/05 21:09:05
- 分類
- きめぇ丸