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『東方蒼魔郷After Episode 前編』 作者: ヨーグルト

東方蒼魔郷After Episode 前編

作品集: 24 投稿日時: 2011/02/08 09:25:22 更新日時: 2011/02/08 18:25:22
「………」

幻想郷で雪が降った。
そんな小さな出来事は、今から一週間も前のことである。
一ヶ月前の出来事に比べたらどうでも良いようなこと。

蒼霧異変………………………。

ほとんど時間など経っていない………今まで通りに過ごしていれば何も変わらないものだ。

「さてと」

私は重くなった体を起こし、今日も何かしら行動することにした。

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 罪と幻想の果てに
     Act. Final / End World
        Episode1

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あの事件以降からは、魔理沙はおとなしいというか、いつもより暴れたり活発じゃなくなった。
いじり相手のパチュリーやアリスはもちろん、親友の霊夢ですらいなくなったのだ。

少し前に、石段の脇に、霊夢が死んだことの証拠のようなもの、要するに、碑が見つかった。
そんなものを作れるのは私たちの中にいるのか? それとも、他の誰かか?
最初はそんな議論ばっかりだったが、私が説得したおかげでそんなことはどうでも良いという結論になった。

文が適当にそこら辺を飛び回っているうちに、色んな発見をしたもので。



~ 報告内容 ~

1、紅魔館の内部、庭、入り口、廊下、各部屋、地下室にまで、戦闘後のような傷跡を多数発見。
  新しい古いの区別はつかないが、傷を見る限りは相当な戦闘が行われていた模様。

2、霧の湖の周辺の花畑が荒らされていた。
  ここ数年、荒らされていた記録も無く、誰かが暴れていた模様。
  異変後の幻想郷到達時、花畑は荒らされていなかった。

3、魔法の森が大荒れしていた(異変直後は荒れていない)。
  異変後の幻想郷到達時に荒らされていなかった所を見ると、解決後(?)に誰かが荒らした模様。
  その意図は不明。

4、紅魔館の時計塔の時計が何者かにより破壊されていた。
  予測的に破壊タイミングは 異変直後〜異変後 と予想しているが、これもまた今までに破壊された記録はない。



ちなみに、生き残ったメンバーは全員博麗神社で集合し、食事から就寝に至るまで、共に行動することになっている。
単純な推理から行くとつまり



5、幻想郷の自然物破壊活動は、幻想郷到達直後以降で行われたか、メンバーが就寝中、または、破壊音が届かない距離にいる時に行われた可能性が高い。



これが私の考え、外れていても致し方ない。

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今日もいつものように幻想郷中を探索するのだが………。

私は今、魔理沙とともに行動をしている。
場所的に守矢神社周辺、そこで、面白いものを発見した。

「これは」
「うん、まただよ」

私と魔理沙の目線の先には、破壊されたであろう『守矢神社』を示す石彫があった。
根元から先が壊れていて、そっから先は細切れであったり、それ以外の破片は見つからなかったり。
試しに破片を集めてみるが、やはり推測通り、細部を除く全ての破片は見つからなかった。

「とりあえず私はこれ持って、皆の所に報告に言ってくるから、魔理沙は引き続きやって」
「了解」

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「とりあえず、この辺に異常は無しか」

魔理沙は辺りを一瞥すると、守矢神社の石段を上り始めた。
本当ならばこの辺に変わったものが有っても良いし、そうすれば、捜査にも新しい何かがあるというもの。



*石彫の破壊場所周辺に破片は飛び散っており、近くの岩、石なども、石彫破壊時に巻き込まれた様子。
 地面にもかすり傷や、抉られた跡があった。



石段を上りきった魔理沙はまず始めに、左右を確認した。
ここにも異変が有り、鳥居が根元から両方破壊されていて、もはや鳥居と呼べない状態となっている。

「ここもか………何が目的なんだ?」

手を口に当て、思考の中で犯人像を思い浮かべる。
自分はやっていないという自覚が有り、いくら妖怪でも文やはたてじゃこんなことは到底無理。

「だとしら、他の奴ら………それはないか」

そのまま周辺を歩き、一通り捜索を終える、変化は無し。
そのまま皆のところに合流。

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場所は変わって紅魔館のサービスバルコニー、これがでかい。
そこに、妹紅、はたて、文、メディスン、幽々子は集まっていた。

「そんなところ」

はたては集めた石彫の欠片をテーブルの上にバラまくように置き、集まっている皆に見せる。
魔理沙を除く。

「これが新しく破壊されたもので」
「まぁ相変わらず」

幽々子は嘆息する。

「犯人は何が目的で破壊活動を行っているのやら」
「うん」
「とりあえず、判り易い所は大体調査しましたね」

文は手帳の中を確認しながらそう言った。

「紅魔館の内部は終わりましたし………いや、もうあれは二度と見たくない」
「とりあえず午後は妖怪の山といこうじゃないの? あそこならもっと楽しいことは有りそうですし」
「え、ちょっと待て」

妹紅は冷たい声で幽々子の声を遮る。

「魔理沙はどうする?」
「大丈夫でしょう。 おそらく、適当に彷徨うか待ってくれるでしょうし」
「ああ、そう」

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皆が妖怪の山に向かった頃、魔理沙は戻ってきた。
バルコニーに着地し辺りを見渡すが、他のメンバーがいないことに気がつくと、溜め息を吐いた。
「なんて薄情な奴ら」と。

「仕方ない、待つか」

魔理沙は椅子の一つに腰掛けると、湖側の庭をボーッと見つめた。
太陽の光が程よく反射し、アートのような綺麗な模様を描き、魔理沙に取ってはそれがとても良いもの。

そんな時。

ボオオォン………

「?!」

魔理沙は傾けていた体を起こすと、謎の音の方向に顔を向けた。
今確かに、『何かが破壊されたような音』が、魔理沙の耳まで届いたのだ。

「(今のは方向的に………紅魔館の中? しかし………)」

冷静になる。
他の奴らが紅魔館にいるなら、全員このバルコニーにいるか、一、二名をバルコニーに残して内部に捜査に行くと約束してある。

「じゃあ、誰がいるというんだ」

魔理沙が思い浮かぶ、まだ生き残っている人物………紫、藍………。

「(変な考え方をするなら、咲夜とミスティア、妖夢も生きていることに? 偽装死体ってこともあり得るし………いや、これがぶっ飛びすぎか?)」

バルコニーと内部を繋ぐ扉に手をかけた瞬間、魔理沙の手に痺れるような感覚が走る。
振動。
ここから魔理沙が導きだせた結論は、誰かがいるということ。

「くッ!!」

勢い良く蹴り、扉をぶち破る。
特に意味はない。

「………」

階段に変化は無い。
そもそも、ここの階段で破壊活動が起きていたらもっと大きく音が聞こえるはずであろう。

「………誰か、いるのか………?」

階段を一段一段、慎重に降りていく。
万が一のことが有った場合、怪我、大怪我……………最悪の場合、死ぬ………。

階段を下りきるとすぐにバッと辺りを確認する。
が、もちろん周りに変化は無く、破壊された跡(痕)も何もない。

「………」

みに八卦炉を両手で持ち、拳銃と同じように構える。
万が一の場合………万が一の場合………死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。

廊下を突き進む。

迷路のように入り組んだこの館のことだ、誰か潜んでいてもおかしくない、と魔理沙は考えた。
その考えを打ち消すように、はたてが遭った目を思い出す。

紅魔館中が蒼い霧に包まれた。

こんなことが有ったら潜むのは不可能じゃないのか………いや、判らないだろう、ここ、幻想郷だし。

魔理沙としてはこの紅魔館、行きたくない入りたくない部屋がいくつか有る。
ミスティアが、咲夜が、妖夢が、もし本当に死んでいるなら死体は残っているか白骨化しているはずである。
そんなもの見たくもない。
だがそう考えると、死を偽装する理由が見当たらないし、見当もつかない。

「………」

試しに厨房に入る。

「!!」

そして魔理沙は我が目を疑った。
目の前にあるはずの凄惨な状況………それが綺麗さっぱり消え去っていたのだ。
辺り一面を満たしていた血も、鍋などの中に入っていた死体の一部も、地面に転がっていた刀も。

「どういことだよ………確かに目の前で………」

思考が一気に狂い始める。

「ということは………」

魔理沙は走り出し、はたてが目撃したという咲夜たちの死体を確認しにいく。



そして図書館。
そこには死体など無い、血の海もない、荒らされた本もない。

「………」

先程の物音。
そのもの音の正体こそが、この状況を消し去ったとでも言うのか?
などと考えるが、そんな考えも打ち消される。
無理だ不可能だ。
たった一人でこんなこと………。

■■■■■■■■■■

バルコニーに戻った魔理沙は柵に寄りかかるように床に座った。
消えた死体と凄惨な状況………血の海は消せど、死体の一部は消せないはず。

「いや、その理屈はおかしい………」

あの後、結局の所、紅魔館内には魔理沙以外の人物の影を見つけることは出来なかった。
ただ魔理沙が言い切れるのは、自分と他の皆、それに加えて紫、それ以外の誰かがいまでも生き残っているということである。

「だったら話を聞きたいぜ」などとも言う。

「あ、いたいた」

そんな頃、魔理沙のもとにはたてたち一行が調査から戻ってきた。
魔理沙は適当に相づちを打つ。

「特に何も見つかりませんでしたが」

文は説明を始めた。

「そうか?」
「破壊活動が行われているタイミングは私の推測ですと夜間に行われていると思いますがそういった爆音などは聞こえるどころか破壊活動を行っている人物の影も見当たりませんしなにより誰が行っているかの証拠も何も見つかりませんその上にー」
「三行ではなせよ!! 長ぇよ!!」
「破壊活動のタイミングと
破壊活動を行った人物などの証拠は
一切見つかりませんでした」

文は他の人たちと顔を合わせる。
幽々子は開いていた扇子を閉じると、懐にしまった。

「夜間のタイミングという所を見ると、吸血鬼辺りがが怪しいとも見るけど、レミリアやフランドールの生存はアレだし、日傘も有るからねぇ」
「幻想郷が維持されている以上」

そんな発言を遮るように、妹紅は自分なりの推測をする。

「紫が生きていて、紫自身が破壊活動を行っていると………考えることは出来ないか?」

沈黙。

「も、妹紅さん………いくら何でもそれは………生きていたとしても破壊活動を行っている理由が判りませんよ」
「だからこその幻想郷だ。 ここに限らない、外の世界でもだ。 誰がどのように考えてるかも判らない」
「え、でも」
「それとも、私たちの中にその犯人がいるとでもいうのか?」

文は押し黙らされた。
何にせよ、全てを把握していると言っても良いほど、妹紅の言ってることは正論である。

「そういうこととも言えるし、言えないかも知れない」
「はぁ?」
「今ここにいる私たちが破壊活動を行っているのか、それとも別の人物か? 異変を起こした容疑者………」
「待ってくださいよ、話が」
「異変を起こした人物と破壊活動を行っている人物は別人ということさ」

■■■■■■■■■■


















































ズル………ズル………

駄目だ、皆に直接………ぅ。


















































■■■■■はたて視点■■■■■


目が覚めた時点で既に、皆の様子がおかしいことに気づいた。
隣にいるのは文だけだったのだが、ただそれだけで、何かがあったことを告げてくれた。

「はたて」
「あ、文? どうしたの」

私の質問には面倒くさそうに答えず、しっかりと説明しようとしていた。

「実際に見た方が早いですよ」
「は?」

文のその発言の意味が、理解出来ない。

「四十秒で支度してください」

■■■■■■■■■■

朝は皆の起床が判るまで、他のメンバーはどこにも行かないように義務づけている。
そんな中、魔理沙がそんな決まりを忘れてその辺をぶらぶらしたとのこと。

本来ならば、そんなことは皆から許される。
だがそこで問題は起きた。

その場所とは、



「紅魔館?」

既に探索は終えている場所、時計が破壊されたことと、部屋中傷だらけという結果が出ている。

「はたて、時計塔を見てください」
「時計塔?」

文にいわれるがまま、紅魔館の時計塔を注視する。

魔理沙が発見した通り、紅魔館に変化が起きていた。

時計塔が


















瓦礫の山と化していた。
お久しぶりです。
本来ならばもっと長く書いても良いのですが、あえて短くしました。

そして何故か、終わったはずの蒼魔郷が戻ってきました。
アフターストーリーみたいな、そうでもないような。
『生き残りのその後の運命』的なものでも書いてみようとなり、この作品が………。

まだ文章力という文章力がアレですので、おかしい所などが有りましたら、
容赦なく、ご指摘をお願いします。

希望が若干出ていた、『異変被害者の復活』が多少有るかもしれません。
やるかは判りませんが。(気まぐれ)
ヨーグルト
作品情報
作品集:
24
投稿日時:
2011/02/08 09:25:22
更新日時:
2011/02/08 18:25:22
分類
はたて
魔理沙
その他。
事後
1. NutsIn先任曹長 ■2011/02/08 20:42:31
なんと!!新しい話が連載中だというのに、今、蒼魔郷シリーズ再開とは!!
大急ぎで仕事を切り上げざるを得ませんでしたよ!!

で、帰宅して、一杯やりながら読ませていただきました。
まだ、幻想郷が存続している、ということは、管理人と巫女のいずれか、或いは両方がまだ生きていることになりますね。
幻想郷のあらゆる箇所が荒らされている…、どころか、修復された所もある!?
この話の語り手は誰なんでしょうね…。

本当に、ヨーグルトさんの物語は人を焦らすのが上手い。
では、乗らせていただきましょう。続きを楽しみにしています。
2. ヨーグルト ■2011/02/14 14:22:42
>先任曹長様
とりあえずはこっちを先に済ませようかどうかとか、書きたいことが有るとか。
何気ない的なものなので、それほど良い作品にはならないと思いますが。

ネタバレがどうとかも有りますが、そんなところですかね。
話の語り手とかはバラバラじゃないと少し困る。
意味は無いのですが、固定での視点で書くと、流れが読めてしまう、などの理由ですかね。

それではまたいつか。
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