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『鬼畜たちの館 【 前 】』 作者: 木質
(殺してやる、どんな手を使ってでも)
母の亡骸を前に愉悦の表情を浮かべる父、その背中をレミリアは殺意の篭った瞳で睨みつける
レミリアの父は吸血鬼の中でも史上類を見ない暴君であった
この世界に多数存在する同族の中でも最長齢にあたり、狡猾さでこの男に並ぶ者はなく
その狡猾さで築いた富は莫大で、その地位が決して揺ぐことはない
男は己の欲望に忠実で、それを満たすためなら手段を選ばず
自身が刹那の間でも快感を感じることが出来るなら、他者を容易く蹂躙できるエゴイズムの塊のような男だった
「さて、今度はどんな女を娶ろうか」
この男の妻であり、レミリアの母親だった女性は片田舎にすむ、吸血鬼のコミュニティでは下位の身分であった
しかしその容姿は美しく。仕草の一つ一つに気品が感じられた
男は前妻を気紛れで殺した数日後、彼女の存在を知り、強引に自分の妻として迎え入れた
彼女には当時、結婚を約束していた相手がいたが、男が裏で手を回し婚約相手にいわれの無い罪を着せ、翌日に処刑した
その日から、彼女の苦痛に満ちた生活が始まった
男に愛は無かった。その日の気紛れで犯し・甚振り・辱める。死んだら新しい妻を娶れば良いと、男は女性を消耗品としか見ていなかった
そして孕まされ。彼女はレミリアを出産した
男は子供を、跡取りを取る気など皆無あった。故にこれまで自分の子を身篭った女は問答無用で流産させている。そして流産する女を見ることが嗜みの一つである
食事に毒を、時には腹を割き引きずり出し、女が苦しむさまを見て楽しんだ
彼女も流産させてその反応を楽しむはずだった
しかし彼女はしたたかさを兼ね備えた女性であった。男の手が回るよりも先に手を打ち、隠れるようにレミリアをこの世に産み落とした
五年後に身篭ったフランドールも無事に誕生させた
彼女も望まぬ相手との子ではあったため、男の期待通り水子にしてやろうかと思っていたが、母性がその選択肢を拒否した
母はお腹を痛め産んだ子。レミリアとフランドールに惜しみない愛を注ぎ続けた
父の手が姉妹に何度も伸びたが、その度に母が防波堤となり守った
絶命するその時まで良き母であり続けた
今。彼女の体だったものは、釜戸の底に溜まったクリンカのような黒粒の塊に変わり果てていた
(いつか仇を討つ。絶対に)
レミリアは心に一生消えない言葉を刻み込んだ
母が亡くなって三年の月日が流れる
「巷では魔女狩りが盛んなのだそうだ」
父は網目状の焼き跡のついたステーキにナイフを入れながら、向かいのテーブルに座るレミリアに話しかけた
「そうなのですが?」
世間では魔女狩りが横行していた。罪の無い女性を理不尽な尋問と拷問の末、火にくべて焼き殺されている
今日も、山を二つ越えたところにある村が魔女狩りの団に立ち入りを受け、村の女が大勢連れて行かれたらしい
「悪魔の所業と呼ばれる行為を、人間風情が行なっている。私たちを差し置いて。実に、実に不愉快だ」
談話をするレミリアと父の前に、鎖でつながれた三人の少女が連れてこられた。鎖を引くのは屈強な体躯を持つ執行人であった
三人とも幼く、15歳以下であることがレミリアでも容易に見て取れた
少女達には首輪が取り付けられており、首輪から伸びる鎖は三人を繋ぎ、その先端は執行人の手の中にある
年齢に不相応な豪華なドレスを着せられ、手には着せられているドレスの色合いに見合ったレースの手袋、顔には化粧が施され真紅の口紅が塗られており、皆、美しく仕立て
られていた
「どの娘になさいますか?」
執行人がレミリアの父に尋ねると、父は三人の中で一番幼く見える右側の少女を指差した
一人が決まると、他の少女は別の部屋に連れて行かれた
「味付けはいかがなさいましょう? 今なら処女の血を非処女に変えることもできますが?」
「いや。このままで結構」
「かしこまりました」
執行人が持つナイフの薄い刃が、少女の心臓を一突きし、そのまま喉まで肉を切り裂きながら上がっていく
父とレミリアはナプキンを目の前で広げて持ち、自身に返り血が付くのを防いだ
執行人は盃を少女の傷口に押し当てて血を集める。盃が七分目まで溜まると、表面に付着した血を拭ってからそれを親子の前に置いた
置かれた盃をレミリアが父のグラスと自分のグラスにそれぞれ注ぐ
レミリアは生贄にされた少女を見る、彼女はすでにシートに包まれて執行人に担がれていた
彼女は比較的、幸運な方であった。父のその日の気分によっては、殺される前に陰惨な目に合わされる者もいるからだ
「それじゃあ乾杯しよう」
「はい、お父様」
二人はグラスを軽くぶつける
これがこの親子の日常的な晩餐の風景であった
「しかし、いつもの事ながら勿体無いですね。殺さず生かしておけば血がいくらでも手に入るじゃありませんか」
少女を殺す晩餐をレミリアは遠まわしに批判するも、父は得意気な顔で講釈を始めた
「殺すから意味がある。殺すということは、その血はもう二度と飲めないということだ。つまりこの一杯の価値が上がる」
「味は一緒です。所詮は気の持ちようでは?」
「その気の持ちようが重要なのだよ。美味も不味いも決定するのは自分だ。他人が何と言おうと私自身が美味と感じれば良い」
その一言に、この男の生き方が凝縮されているような気がした
「しかしこのような血の浪費を、皆は快く思わないでしょう」
ここでいう皆とは同族の吸血鬼たちのことである
「レミリア。お前はまだまだ幼いから周りの事が気になるようだね。いいかい? 他者の評価になんの効力がある? 自分の感じたことこそが世界の全てだ。他者など切捨て、
自身の幸福のためだけに生きる事のどこに咎がある?」
だからこそ、この男は残忍なことを平気で行なうことが出来る
常に他者を陥れ、踏み躙ることを考え、それを実行することを極上の悦びとしていた
「そうですね。お父様の言う通りです」
グラスの中身を飲み干して、レミリアは席を立った
レミリアは自室に戻ると、すぐに窓を開けてバルコニーに出て蹲った
「ェップ」
バルコニーの隅でレミリアは晩餐に口にした物をすべて吐き出した。頭の中で、先ほど殺された少女の姿が何度もリピートされる
なぜ自分はこんなところにいて、なぜあんなにも無慈悲に殺されたのか。最後までわからないまま彼女は死んだ
嘔吐したものはすべて少女の血で真っ赤に染まり、元が何だったかを判別することが出来ない
(なんで、なんであんな事が平気で出来る・・・・!?)
母の死後。父親はレミリアを認知し、自身の正式な娘として迎え入れ、行動を共にさせている
高度な教育を受け、外交先を一緒に巡り、父が悪事を働くときは必ず一番近くで見てきた
けれどその中で父の言動、行動に共感できたことは一度も無かった
吐いても吐いてもまだ胃に何か残っているような気がして、えずきが止まらない
(お母様。敬愛して止まないお母様。何故ですか)
こみ上げる吐き気に耐えながら、道徳と慈愛を教えてくれた母を恨む
(あなたが居なければ。きっと私は今の生活に順応できた)
父の手によって誰かが理不尽な被害を受ける光景にいまだ慣れることは無い
母の影響さえなければ、今頃は悪逆の限りを父と共に喜々として繰り返しているはずだったのかと想像して、しばらく妄想の世界に浸る
(いっそ染まってしまえばどれだけ楽だろうか)
胃が裏返ったような苦しさを感じながらレミリアは思った
そうなったら妹の事で心を痛めることはないのだから
石造りの狭い地下室
分厚い鉄製のドアを開けて、ランタンを手にした父が部屋の中に入ってきた
油がろくに注されていない扉が奏でる甲高い音に、眠っていたフランドールは目を覚ます
彼女は丈の長い赤色のシュミーズを一枚身に着けただけの姿で床の上で丸まっていた
父はこの部屋でフランドールを飼育していた
母が死んですぐ、この男は姉妹を引き離し、一切の交流を断ち切らせた
姉は自分の傍に置き、妹は地下室に閉じ込めて奴隷以下の存在として扱っている
そのようにした動機は単純。支えあう姉妹を引き剥がしたら面白いと思ったから
部屋の鍵は父だけが持っており、彼の許可なくして誰も中に入ることは出来ない
姉のレミリアにさえ、この部屋に近づくことを硬く禁じている
部屋にはおびただしい数の拷問器具が天井からぶら下がり、壁に掛けられているが、寝具といった家財道具は一切存在していなかった
そんな石造りの冷たい床の上で、彼女は寝起きとは思えない速度で身を起こす
「お父様! 嬉しい! 来てくれたの! お父様! お父様!!」
フランドールは父に向かい駆け寄ろうとする
左右の足首には大人の頭ほどある鉄球のついた枷が取り付けれていたが、それをものともせず、彼女は一心不乱に父を目指す
父にあともう一歩で手が届くという所で、彼女の前進は唐突に止まった
彼女の動きを止めたのは、足の鉄球ではなく、首輪から伸びる長い鎖であった
首の背後から伸びる鎖の長さはそこまでが限界だった
「お父様!? ねえお父様!?」
それでも手を伸ばし近づこうとする娘を無視して男は壁に取り付けられているハンドルを掴み廻し始めた
「がっ、あ・・・く」
ハンドルが回るのに連動して首輪の鎖が引かれ、フランドールの体が壁に向かい引っ張られた
「ケ、ヒ・・・」
壁に背中をぴったりとくっ付いて終わりではない。今度は首輪の内側が絞まりだして、彼女の首を圧迫する
気管を潰され、動脈を閉ざされ。酸欠でバタつかせる。背中の羽もかかる荷重で根元から折れてしまった
父は苦しむ娘を眺めながら、なおもハンドルを回し続ける
「・・・・ァっ! っ! ゥっ!」
チアノーゼの苦痛から少しでも逃れようと、首輪と首の間に隙間を作ろうと喉もとを掻き毟る
激痛が走るも手を止めることは決してしない
だが手の力も段々と弱くなり、やがて失神してだらりと手が下がる
この時、ようやくハンドルを回す手が止まった。ハンドルが固くなってそれ以上回らなくなったのだ
それでも父は強引にハンドルの一回転させた、するとゴキリと気味の悪い音が部屋に響いた
フランドールの瞳孔が大きく開き、舌が口から飛び出す。首と体の向きに小さなズレがあることに気付き、首の骨が折れたのだとわかった
そんなフランドールをしばらく眺めてから、父はハンドルを緩めて娘の腹を蹴飛ばした
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴホッ、ゴホッ」
吸血鬼の再生能力が、彼女をすぐに蘇生させた
復活したばかりの娘に男は歩み寄り、前髪を掴んで無理矢理こちらを向かせた
「騒がしい子は嫌いだよ」
「ご、ごめんなさ、い」
「さあ、今日は何をして遊ぼうか?」
父は壁に掛かる鞭を一望する
先端が九つに分かれたもの、縄全体に棘が装飾されたもの、表面に動物の骨がまぶされているもの
様々な動物の皮を縒り合せて殺傷力を追求したもの、鎖に刃物が取り付けられたもの、馬の陰茎でつくられているもの
目で追いきれぬほど大量の鞭が視界に飛び込んでくる
何種類の鞭が保管されているのかはこの男ですらわからない
わかることを挙げるなら、ここにある物全てが彼女を血を吸っているということだけだった
「叩くのも飽きたな、何か希望はあるかな?」
「お父様が望むことなら、なんなり、と」
息も絶え絶えになりながらも、父の問いかけに懸命に答える
ここで父はフムと考え込んだ
今日はフランドールにどんな拷問と陵辱を加えようとかまだ考えていなかった
「はぁギ!」
思考を巡らせながら、フランドールの手を踏んだ
「許可無く触ては駄目だと何度言ったらわかる?」
気安く父の足に触れようとしたため、罰として踏み潰したのだ。踵を軸にして、手の甲を抉る
「折角、楽しく遊ぼうと思っていたのに、まだまだ躾が必要なようだね。服を脱ぎなさい」
「はい」
裸にした娘を立たせて、壁に両手を付くように命令する
「今日はこれにしようか」
象牙を加工して作った張り形を手に取った
この日も、その時の気紛れで体に痛ましい傷を刻みつけ、陵辱を繰り返す
日常的に行なわれるそれは、吸血鬼の体でなければとうの昔に死んでいてもおかしくない責め苦であった
「私はフランドールを一等気に入っている」
朝食をとっている最中に出たその言葉にレミリアはいぶかしんだ
この男の口からフランドールの名が出ることは滅多にないためである
「お前はあの女から力の使い方、ものの考え方を学んだ。身の守り方を知り、館の中で上手く立ち回る程度には学習した。しかしフランドールはどうだ?」
男はレミリアの母が死んで以降、新しい妻を娶っていなかった。いなくてもこの姉妹がいればさして必要だと感じなかった
この男にとって女は退屈しのぎの消耗品にすぎないのだから
「母と過ごした時間はお前に比べてずっと少ない。そんな餓鬼を調教し仕込むのは実に面白い」
与えた暴力を愛情だと勘違いさせ、父への奉仕を史上の悦びだと、この数年間にわたって教え込んできた
「今では心の底から私に愛されたいと願っている。それ以外の選択肢を、考える素材を与えなかった」
父が求めるどんなことにもフランドールは一切の抵抗をしない
人外の姿の生物と交われと言われれば喜んで受け入れた
鞭を見せると自分から体を開いた
拷問器具を引っ張りだせば父の号令一つで、餌食になろうと自ら足を進める
父が連れてくる客にも嫌な顔せず奉仕し、その要望にすべて答えた
実験で作られた薬のモルモットにも使われた。体の一部を切断・切り取られたことだって何度もある
フランドールにとって、この男の存在こそが自分のいる世界の全てで、この父に愛されるということは世界中の愛を一身にうけるのに等しい
だから父に反抗するという発想自体が存在しなかった
「しかし私はね、あの子をまだ一度たりとも抱いたことが無いのだよ。裸にして道具で性器を責めるのはしょっちゅうだが」
その回答にレミリアは意外な顔をした。この男なら、すでに近親相姦という禁忌など容易く破り、毎日フランドールで性欲を満たしているのだと思っていた
「私は極力、あれに直接触れないようにしている。地下に居るときはいつも手袋だ」
「何故です?」
「あれが私を愛して止まないからさ。だから私はその愛の一切を踏み躙りたい」
そうやって自分の体温すらフランドールに与えることを拒んだ
「随分と徹底しているのですね。そんなことをして何になるのですか?」
「お預けを喰らっている雌ほど、見ていて滑稽なものは無い」
愛して止まない父親に、直に触れてもらえない娘の感情はいかなるものなのか、それは想像を絶する渇きに違いない
その様を父は楽しんでいるのだ
食事を終え、父は席を立つ
「それではレミリア。私が留守の間、館のことは頼んだぞ」
「はい、お任せください」
父は所用で明日からしばらく家を空けることになっていた
「本当はお前も連れて行きたいが、今回は遠出になる」
何日で帰ってこられるかはわからないため、レミリアを残すことにしたた
「お気になさらず」
いっそ、このまま不慮の事故で死んで帰ってこなければ良いとレミリアは思った
レミリアと別れた父はフランドールの部屋を訪れていた
「今日はプレゼントを持ってきたんだ」
被せてあったシーツを剥ぎ取ると一体の木馬が姿を現した
「お前のために特別に拵えたんだよ」
仔馬を模った木製の彫刻品だった。まるで本物のような迫力があり、どこに飾っても見劣りのしない一品だった
木の彫刻ではあったが、唯一、尾の部分だけは黒い皮を短冊状にした紐で再現されていた
「これはただの置物じゃない」
馬の背には小さめの穴が開いており。男が馬の耳に触れると男性器を象徴する張り型が飛び出した
「乗りなさい」
フランドールでも台座無しで乗ることができるようあえて仔馬の形をしていた
「はい」
飛び出した張り型に身じろぎしたフランドールだが、父のその言葉で馬の鞍に足を掛け中腰になる
「跨るんだ」
「はい」
シミュールを捲り上げ、自らの指で秘所を広げて張り型をあてがう、そのままゆっくりと腰を落とす
「・・・・・んんっ」
「全部入ったかい?」
「・・・・・は、い」
張り型はフランドールの膣を目一杯まで拡張していた
「動きなさい。自慰をするように」
父の言いつけ通り、彼女は腰を動かす
「あっ、ん・・・・きゃ、ふぅ」
日々の調教により彼女の秘所はすぐに湿り気を帯び始め、動きもぎこちないものからリズミカルな上下運動に変わる
異物感の影響で顰めていた顔も紅潮しはじめていた
「使い心地はいいかい?」
「はい、動くたび先っぽが、壁の気持ちいい所に引っかかって・・・・・・あぁっん」
「そうだろう? フランドールの形に合わせて作らせたのだから」
「あ、りがとう。ござ・・・・くあっ!」
父は仔馬の尻を蹴飛ばした。それにより張り型が限界まで伸びて、彼女の内側を殴りつけた
「ぁ・・・へ・・・・・くぁ・・・」
感謝の途中で馬の首に手を回してしがみ付く。そして全身を小刻みに震わせる
「ハーー、ハーー、ハーー、ハーー」
「ずいぶんと速いな」
「ご・・・めんなさ、い。お父様からプレゼ、ントから貰えるなんて初めて、で、つい・・・」
絶頂の余韻に浸っていたその時だった
「ヒギャァ!!」
突然、背中に鋭い痛みを感じた
「なに!? なに!? なに!?」
今の姿勢では振り向くことができないため、父が変わりに説明する
「一定の時間、そのペニスが上下に動かないと、お馬さんの尾がフランドールの背中を叩く仕組みになっているんだよ」
「え?」
呆気に取られている間にフランドールは両手に手錠を掛けられた、足も鐙で絡められ馬の首に抱きつく形で体を拘束される
「これから少し部屋を出る。それまでこのお馬さんと遊べていたら、ご褒美にセックスしてあげよう」
「ほ、本当?」
「ああ。約束する」
「じゃあ、頑張る! だからセックスして!」
一度も振り返ることなく、父は部屋を出て行った
「あ、んあ」
フランドールは父がすぐに帰ってくることを信じて、懸命に馬に奉仕を始めた
翌日の夕方。父を見送ったレミリアはフランドールが監禁されている部屋に向かっていた
あの男がいない今を置いて、妹に会えるチャンスは無い
(やはり居たか)
地下に続く唯一の通路には一人、見張りとして執事の男が立っていた
普段はいないため、父の命令で留守の間だけああしているのだろう
(殺してもいいが後々面倒だ)
あの男をあの場所から引き離す必要があった
一旦戻り、メイドの一人を捕まえ誰も使用していない部屋に引っ張った
「お、お嬢様。わ、私何か粗相を!?」
メイドの声はあからさまに震えていた
(無理もないか)
レミリアは表向きスカーレット家の次期当主として育てられているため、父と同等の残虐性を有している人物だという話が界隈全体に広まっている
むしろこの反応こそが自然だった
(自覚があるとはいえ、そんなに怯えられると少しショックだわ)
だが、今回ばかりはそれを利用することにした
「お父様が不在で、私は退屈している。楽しませなさい」
「ど、どのように致せば、ご満足いただけますでしょうか?」
「あなたは処女?」
「それは一体どういう意味で・・・」
突然、純潔かどうかを尋ねられ彼女はうろたえた
「いいから答えなさい」
「け、経験はあります。一応」
「そう」
良かった、と内心でレミリアは安堵した。男の体を知らない女に頼むのはあまりにも酷だと思っていたからだ
改めてメイドの姿を見る。胸と足の肉付き。プロポーションは申しぶ無かった
(これで顔が田舎臭くなったら言うことはないのだけど)
出稼ぎにきたばかりなのか、どこか垢抜けない顔だちだった
しかしこの際、贅沢は言っていられない。レミリアはメイドに金を握らせた
「この先に男がいる、誘惑してこの部屋まで連れ込みなさい。私はそのクローゼットの中にでも入ってその様子を楽しませてもらうわ」
「もし、もしですよ? 失敗したら?」
レミリアは爪を立てて見せた
「大事なものを失うでしょうね」
「ヒッ!」
実際にそんなことをする気は無い、しかしこうした方が相手も必死になり、成功率が上がる
「いいからさっさと行きなさい」
追い立てるようにメイドを見張りの元に寄こした
メイドは上手くやってくれたようで、見張りを部屋に誘い込んでくれたおかげで誰にも見つかることなくフランドールの元へ向かうことが出来た
後日、帰って来た父の手で、この見張りとメイドが体に重石を付けられて川に沈められたことをレミリアは知らない
無人となった通路をレミリアは小走りで進んでいた
通路の行き止まりにある部屋にフランドールがいることは知っている
鉄製のドアには鍵穴が一つ付いているだけで、それ以外に施錠しているものは無かった
魔法によりドアを封鎖する技術がこの時代すでに開発されていたが、幸い、ここには施されていない
鍵はすでに用意してあった。過去、父の目を盗み粘土で型を取りそのまま鍵屋に持っていき、法外な報酬と引き換えに作らせてある
(この扉の向こうにあの子がいる)
母が死んだ次の日から会えずにいた、たった一人の本当の家族
父からたまに近況を知らされるたびに会いたい気持ちが積もった
合鍵だからスムーズにいかないのか、折れるつもりで回してようやく施錠が解けた
「なに、こ・・・・・・・れ?」
扉を開けて飛び込んできた光景にレミリアは絶句する
「ん、イグ、アッ・・・・グ」
木の馬の上で、薄着の妹が一心不乱に体を揺すっている
彼女の背中に、皮膚と呼ばれる部分はもうほとんど残っていない
妹の背中はまるで彫刻刀で削られたかのように爛れており、床には血で出来た斑模様が部屋の隅まで届いていた
「そんな怪我で動いちゃ駄目!?」
再会の喜びに浸る余裕など無く、すぐさま妹のもとまで駆け寄る
「あっ、あ、あっ、あ、あっ」
傷だらけの体を動かそうとするフランドールの右肩を掴み、止めさせるようにする
「ふ・・・・あ?」
触れられてようやくフランドールは誰かがこの部屋にいることに気付く
「お、ねえさ、ま?」
記憶をたどり、目の前の人物に該当する名前を口にした
「そうよお姉様よ。教えて、アナタ一体なにをしてるの!?」
「お父様がね。このお馬さんの上にずっと居られたら。ぎゅってしてくれるっ・・・・ァギャァ!!」
フランドールが姉の姿を目の当たりにして静止すること数瞬、鞭となった馬の尾が彼女の背を打った
鞭は背中の肉をそぎ落とし、流れる血を遠くまで払った
「う、動かなきゃ・・・アグゥ!!」
鞭が振るわれるインターバルは短く、二発目がすぐに彼女の背中を襲う
「ま、待ってお馬さん。す、すぐに気持ち良くさせてあげ・・・ひぎゃッ!!」
間を置くことなく三撃目が振るわれる。一度へばってしまったため、動きを再開させるのは難しい
しかし四撃目が彼女に振るわれることは無かった
「クッ」
レミリアが痛みで顔を顰める。馬の尾を彼女は両手で掴んでいた。手の表面の皮がズルリとリンゴの皮のように剥ける
「このっ!!」
馬の横腹を蹴り上げると外装が砕けて中の構造が露となる
この時初めてレミリアは中の構造を理解した
「クソッ!!」
もう一度蹴りを入れて中の歯車を粉々にした
馬が動かなくなったことを確認すると羽を広げて飛び上がった
「動かすわよ」
フランドールの両脇に腕を通して抱きかかえて浮かび、彼女の秘所から張り型を抜く。その際、彼女の秘所からコップ2杯分の血が溢れてきた
腕の中には別れた時と変わらないままの妹がいる。彼女の体にいらぬ負担を掛けぬようにゆっくりと床に下降する
「大丈夫?」
ひんやりとした体の妹を抱きしめ、頭を撫でる
フランドールを救出し、床に降り立ったのはいいが、部屋には寝具や防寒具はなく、彼女の体を温め癒すものは無い
「・・・・ぅ、ぁ」
「なに? どうしたの?」
目は虚ろ、息は絶え絶えのフランドールが何かを唱えている
耳に意識を集中して、ようやく聞き取ることが出来るくらい小さな声だった
「オとぉさま、ど、こ? わたし、イいコにしてまってぅか、ら、 はやく、もどっ、きて・・・」
(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺
す殺す殺す殺す殺す殺す!!)
自分を愛するように調教した娘に対して、こんな惨たらしい拷問器具に掛けた父にかつてない殺意を抱いた
たった一日放置しておいただけで、こんな惨たらしい姿に変えられたのだ
一週間、一ヶ月近くこのままだったら、どんなことになるのか想像もしたくはなかった
そんな惨いことを平気であの男は実行した。殺すのに等しい行為を
常日頃から父への殺意はあった。しかし今以上に殺意をたぎらせたことは無い
体の内側に巨大な活火山が存在し、マグマが際限なく噴出す。そんな感じだった
奥歯を割れんばかりの力で噛み合わせる
怒りでも涙が流せることをレミリアはこの時はじめて知った
死んだようにぐったりとしたフランドールを自室に運ぶ。この時点ですでに彼女は気を失っていた
シーツが汚れることもいとわずベッドに寝かせる
やわらかいベッドで横になること事体、彼女にとって数年ぶりだった
せめて気休めになればと、フランドールの傷口をハチミツを溶かしたぬるま湯で洗った
その甲斐あってか背中の傷は時間の経過と共に順調に再生を始めた
レミリアが包帯の替えを取りに行き部屋に持ってきた頃には、剥き出しだった背中の赤々しい肉の表面に薄皮が張られていた
体を覆うように包帯を巻いたあと、レミリアはソファに倒れこんだ
(予定が一気に狂った)
本当なら、今頃は妹と共にこの館を脱走しているはずだった
この日のために秘密裏に計画を立てていた
盗もうと思いマークしておいた馬車、脱走後の拠点、金に換えようと思って掠め取った物がつまった袋
最悪、フランドールの体を一晩休ませてから出立することも想定していたが、重症の彼女を下手に動かすわけにはいかない
背中の傷が回復してもこれまで地下で与えられた虐待による疲労が数日で癒えるとは思えない
(見立てが甘かった)
ベッドの中で体を胎児のように丸めて浅い呼吸を繰り返すフランドールを見る
父が帰ってくるのは来週か、再来週になるのかはわからない
あの男が帰ってくる前に自分が取るべき行動を決めなければならなかった
フランドールを自室に匿い三週間が経過した
麓に使いに出した従者からの連絡はいまだに来ない
三週間が経ちようやく、付きっ切りで看病していた妹に変化が起きた
この週になり、今まで眠り続けていた彼女が初めて目を覚ましたのだ
今まで死んだようにピクリともしなかったフランドールが、まるで電気でも流されたのかと思うような唐突な動きで上半身を起こした
「おなかすいた」
「え、ええ・・・待ってて頂戴」
レミリアは厨房に向かい、メイドに作らせたサンドウィッチを持ち戻ってくる
「お待たせ」
「・・・・・・・」
戻ってきた頃にはフランドールは眠っていた
フランドールはそれからまた眠り続け、再び目を覚ましたのは四日後だった
「おなかすいた」
目を覚ますのは唐突だった
「はい、どうぞ」
だからいつ目が覚めて良い様に、レミリアも事前に準備しておいた
パンにジャムを塗ってからフランドールに差し出す
目の前に出されたパンをひったくるように奪ってからネズミのように齧り付いた
貪るように食べる妹を穏やかな眼差しで見守りながら、保温の利いたポッドに納められた紅茶を彼女のためティーカップに注ぐ
次に獣の胃袋で作られた水筒を取った。この中には人間から採取した血液が溜められている。この中の血を紅茶に数滴垂らす
「熱いから気をつけて」
紅茶を手渡そうとしたその時
「う、ぇ」
噛んで口内で磨り潰されたパンと、胃の中に溜まっていた胃液がベッドの上にぶちまけられた
酢酸の臭いがレミリアの鼻奥を突いた
レミリアは知らなかった。フランドールが食事に固形物をまったく与えられていなかったことを
地下室で彼女が口にしていたのは父の精液と、ビーカーに注がれた鮮度の悪い血液だけだった
「大丈夫!?」
レミリアはフランドールの背中をさする
「あああ゛!!」
「きゃっ!?」
フランドールはレミリアを突き飛ばすと、机の脇にあった獣から作られた水筒に齧りつき、皮を破って中の血をすすり始めた
血を舐め干すと、フランドールはその場に倒れこみ、また深い眠りについた
レミリアはその光景を目の当たりにして、しばらく泣き続けた
次に日のことだった
ソファで眠っていたレミリアは、部屋をノックする音で目が覚めた
「この部屋には近づくなと言ったはずだ」
ドア越しに不機嫌な声をぶつけた
フランドールを匿った日から、レミリアは使用人に自分の部屋に近づくことを禁じた。専属の家庭教師にも父が帰ってくるまで暇を言い渡してある
「申し訳ありません。しかし、旦那様が戻られたことをどうしてもお耳に入れたく思いまして」
「お父様が?」
ノックしたのは使いに出していた従者だった。父が通るであろうルートに張り付かせておいたのだ
「お父様は今どこのあたりに?」
「麓の町で部下の者たちと小休止を取っておりましたので、あと半日ほどで到着なさるはずです」
「そうか。ご苦労だった」
ドアを僅かに空け、その隙間から報酬を渡した
「遂に帰って来た」
レミリアは鍵が掛かっている引き出しを開けて、銀のナイフを取り出した
お忍びで館を抜け出しローブを着てフードで顔を隠して麓の町を散策していると偶然露店で見つけ、衝動買いしたものだった
「・・・・・お父様」
「え?」
顔を上げるとフランドールが体を起こし、フラフラとまるで泥酔者のような足取りで扉のほうに向かっていた
途中、膝から崩れ落ち、腹を強打する
「ちょっと! 無理しないで!」
倒れる妹を抱き起こし、彼女の顎を自分の肩に乗せて寄りかからせた
「戻らなきゃ、あの部屋に。お父様のいいつけ」
「行くな! ここで休んでなさい!」
腕に力を込め、離すものかと抱きしめる
「お父様がね。帰ってきたら私を抱いてくれるんだって」
虚空を見つめながら話す妹の目に正気の色は無く、意識は夢と現を彷徨っていた
「あの男が一度でも約束を守ったことがあるのか!? そもそも子を犯す親がどこにいる!!」
「セックスは好きな人同士がするんでしょ? お父様が私を抱いてくれたら、お父様が私を愛してくれているってことでしょう?」
衰弱するその体のどこにそんな力があるのか、フランドールはレミリアを上回る力を発揮し、レミリアを持ち上げ立ち上がる
「早く行かないと・・・・・・お部屋でお父様に『おかえりなさい』って言わないと・・・・・お父様が・・・・・・機嫌を損ねちゃう」
気だるそうな声が段々と、焦りの色を帯び始めた
「行かなきゃ、行かなきゃ、行かなきゃ・・・・・行かなきゃ!」
「行くな! 行くな! 行くな!」
止めようとふんばるレミリアを事も無く引きずっていく
(なにこの力っ!)
レミリアとて吸血鬼の膂力が備わっている、人間の大人数人を簡単にいなす力はある。そんな彼女が全く歯が立たない
「早く、早く、早く」
「まだあなたは動いても良い体じゃない! 安静にしないと!」
けれど、レミリアの声は届かない
「・・・・・・あ」
しかし、そこで妹の進撃は止まった
扉を壊すために腕を振り上げた直後、壁に寄りかかるように倒れた、咄嗟にレミリアが庇わなければ頭を強打していた
「私、お父様と一つになりた・・・・い」
そして再び浅い寝息を立て始めた。その寝顔は病魔に蝕まれているかのような苦痛を堪える痛々しい表情であった
「なぜだ? 一体なぜだ!?」
なぜこうも狂わされなければならないのかと身に降りかかる運命を呪った
(殺す、絶対に殺す!)
元より強固だった父への殺意は、精神を破壊された妹を目の当たりにしたことで、さらに堅牢なものになった
フランドールが監禁されていた地下室
ナイフを握り締め、レミリアはドアの横の壁に背中を預けていた
(殺す、殺す、殺す)
心臓が高鳴る。従者から知らせを受け半日以上が経つ。いつここを訪れても不思議ではなかった
きっと父は放置しておいたフランドールがどんな悲惨な姿になっているのかを心躍らせながらドアを開けるはずだとレミリア踏んでいた
その瞬間、隙だらけの胸にナイフを突き立てて心臓をくり抜いてやるつもりだった
完全な不意打ちだ、いくら父が最強クラスの吸血鬼であろうと回避できるわけなど無い
(出来る、絶対、必ず、成功する。お母様の仇を、フランドールの報復を、やり遂げる、私が)
待つ間、懸命に自分を励まし続けた。それでも手の震えが治まることはない
そんなとき、彼女にとって待ちに待っていた足音が聞こえた
(来た)
コツリコツリと革靴の音が狭い廊下に響く。遅すぎず速すぎず、程よい間隔で聞こえる靴音
足音を聞きながら、レミリアの脳裏にふと湧いた不安があった
(こんなものでアイツを倒せるのか?)
―――― 父は吸血鬼の中でも指折りの実力者。そんな相手に子供の不意打ちが通用するのか?
―――― 仮に刺さったとしても、本当にそれで死んでくれるのだろうか?
―――― 胸に何か仕込んでないか?
疑問は尽きることなく頭の奥底から湧き出てきて、レミリアの心に圧し掛かってくる
靴音は扉の前で止まった
「部屋にいるのはレミリアかな?」
「ッ!?」
レミリアは耳を疑った。先手を打つつもりが逆に先手を取られた
―――― 何故気付いた?
―――― どうして知ってる?
―――― 気配を読まれた?
―――― 従者の裏切り?
―――― 密告?
疑心暗鬼の次に沸いてきたのは恐怖心だった
ゆっくりとドアが開く、部屋の中に足を踏み入れた父の姿は予想通り隙だらけであった
待ちに待った絶好の機会であるにも関わらず、レミリアは手を動かすことが出来ない
父と目が合う
その瞬間、レミリアの視界が真っ暗になった
「な、に? え?」
足に違和感を覚えて下を向いた
レミリアの足元の無数の腕が這い出てきてレミリアを影の中に引きずり込んだ
ずぶずぶと体は闇に沈んでいく
「・・・・あ」
全身闇に飲まれた瞬間、レミリアの視界は元に戻った
しゃがみこむ自分の姿を確認する。自分を掴んでいた手はどこにもなく、見ていた全てが幻覚だと理解する
「どうしてこの部屋にいるんだい? お前には立ち入りを禁止したはずだろう?」
しゃがみこみレミリアと同じ目線で話す父の口調は、決して責めるようなものではなく穏やかなリズムを刻んでいた
「おまけに。フランドールにプレゼントしたお馬さんが壊れているじゃないか。何故だい?」
バラバラになった木片を見て、父は肩をすくめ、娘に説明を求めた
「これは、その・・・」
もしも本当のことを言えば、自分もフランドールもただでは済まないと思った
父は狡猾で残忍だ。レミリアの心理などとっくに読まれているのかもしれない
(違う、こいつは全部知ってる)
男の目の奥にある底知れぬ悪意の塊を目の当たりにした時、この男のあざとさに気付いた
全部知っていて、父はレミリアに釈明を求めている。そう直感した
(楽しんでる)
今のこの状況は父にとってちょっとしたイベントに過ぎないのだ
妹の救出と父親殺しを企て失敗したこの状況を、レミリアがどう誤魔化して切り抜けるのかを、楽しみにしている
レミリアはとんでもない化け物を相手にしていることを再認識させられた
(この男を楽しませないと。私も、フランドールも・・・)
言葉が、行動が、父の望むものとそぐわない瞬間、姉妹の命運はここで尽きる
懸命に思考を巡らせ、父が最も望む行動を選択する
「嫉妬していていたのです」
喉の震えを押し殺して、言葉を紡いだ
「ほう?」
「お父様の寵愛を受ける愚妹を煩わしく思ったのです。だからこの部屋を追い出しました。今頃はどこかの野原でも彷徨っているのではないでしょうか」
ぎこちない動きで父の前に跪き、ベルトに手をかける
「どうかフランドールなど見ないでくださいまし」
体が恐怖に囚われていた。まるで天井から見えない糸が伸びていて、マリオネットのように自分を動かしているような、自分の体が他人のように思えてしょうがなかった
「アレにはまだ、ここを触らせていないのですよね?」
「ああ、そうだとも」
確認が取れてから、ズボンのジッパーを小さな口で咥えて下ろす
ジッパーの隙間から見える下着を丁寧にずらし、男性器を外気に触れさせる
男性器をこれほど近くで見たのは初めてだった
「それならば嬉しかろう? フランドールが触れたくて止まないものが、今、目の前にあるのだから」
「はい。身に余る光栄です」
レミリアは父の性器を両手で受け止めて、その鈴口に綺麗な唇をそっと当てた
彼女にとって、生涯これを上回る屈辱は無いであろう
フランドールは目を覚ました
「ここどこ?」
見慣れない部屋を見渡して戸惑う。ここ数週間の記憶が飛んでいた
起き上がり、自分が見慣れないパジャマを着ていることに小首を傾げる
「お部屋に戻らなきゃ」
廊下に出て、フランドールは館を彷徨いはじめた
「なんで?」
迷い続けて、ようやく辿り着いた自分の部屋
父の背中と臀部、その左右から小さな足が出ている
それが揺れるたび少女の嬌声が聞こえる
「なんで?」
父と体を一つをすることが、フランドールの望みだった
父の寵愛を受けるため、抱かれることを夢見て生きてきたと言っても過言ではない
「あああああああああああああああああ!!」
受け入れがたい現実を前に半狂乱になり、落ちていたナイフを拾い駆けた
誰かはわからないが、この部屋で自分よりも先に父に抱かれる者が許せなかった
父の横に出た瞬間、フランドールは頭を掴まれる
「いけない子だフランドール」
「ぎ、あっ。はぁ」
父の手がフランドールの頭を鷲づかみにして持ち上げていた
「あ、お父様の、お手て。えへへ」
普段手袋でしか見ることのない父の手に直に触れられて、フランドールはその手にほお擦りした
しかし幸福を感じたのは一瞬、直後に全身を激しい痛みが襲った
「いッッあ・・・ッ!」
天井に放り投げられたフランドールは、そこにぶら下がった凶器の数々に体を幾重にも切り刻まれる
彼女の体は床に落下することなく、鉤爪のフックに背中の羽がひっかかり宙吊りになっていた
「本当にお前には失望させられる。せっかく買ってあげた玩具を壊して、レミリアとのスキンシップを邪魔する」
天井にぶら下がるフランドールに失望の言葉を投げつけた
「ご、ごめんなさい」
「お前の悲鳴以外を聞く気はない」
その直後、フックにかかった羽が自重に耐え切れずに千切れてフランドールは床に激突した
壁に掛かっている拘束具を一つ手に取り、フランドールを拘束する
後手の状態で腕をアームバインドで一まとめに括られ、その先から伸びる足枷が両足首に纏わり付き、強制的に海老反りの体勢にさせられた
「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさ・・・・ふぐっ」
謝罪を繰り返す小さな口に、冷たい口枷をはめ込まれ、歯茎をむき出しにさせられる
初めての性交に目を白黒させていたレミリアだが、ようやく我に返り、周囲を見渡すことができた
そして妹が今まさに折檻を受けているのを知る
「お父様!!」
刃がいくつも付いた棒を持つ父の手にレミリアがしがみ付く
「馬の玩具を壊したの私です。罰ならどうか私にっ! このレミリアに!! もう妹には金輪際関わらないでください! だか・・・」
気がつけばレミリアは部屋の外にいた、遅れて顔と背中に激痛が流れる自分が殴り飛ばされたことに気付く。もちろん殴ったのは父だ
「お前はサボっていた勉強を続けなさい」
鉄の扉が一人でに閉じ始める
「お願いします……! 頼むからそれだけはッ!」
扉はどれだけ叩いても形を変えることは無い
「・・・・ッ!!・・・・・・・・・・・・・・・ァ!・・・・・・・ィ!!」
小さな、本当に小さな音で妹の苦痛に満ちた悲鳴が零れてきた
「やめろおおおおおおおォォ!!!」
扉一枚ごしに、姉妹の慟哭が響く
数年ぶりの再開にも関わらず、姉妹は会話らしい会話を一切していなかった
作品情報
作品集:
24
投稿日時:
2011/02/13 14:52:46
更新日時:
2011/02/14 00:55:30
分類
レミリア
フランドール
オリキャラ(スカーレットパパ)
虐殺
拷問
設定妄想捏造フィルターがオーバードライブ
これぞ、夜の王!!すんばらしい外道振りです!!
さて、パパりんがどうやってぶち殺されるか、胸躍らせながら続きをお待ちいたしております。
俺の頭の中では親父がアーカードに見えるぞ まぁ旦那はここまで外道では無いがw
それ以外言えないです。後編楽しみに待ってます!
さすが木質さんだぜ!俺に出来ないことを平然とやってのける!
そこに痺れる憧れるゥ!
この寝取られ感がたまんないです
この後どうなるのか楽しみにしてます
普段もこもこ言ってる木質さんからは考えられない残虐さ!
後編楽しみに待ってます!
そんなに好きなキャラじゃないけど可哀想な気がする
続編でざまぁ展開になるにしろさらにハートフルボッコになるにしろ期待して待ってます
続編がどうなるにせよただの勧善懲悪では終わらない予感が……すごい楽しみです。
更なる悲劇フラグもビンビンだし続きが楽しみすぎる
レミリア、フランが生存するのは確定してる筈だけれど、このオヤジ殿が一筋縄で行く訳が無いしなぁ…
パパの仕込みが最高すぎる
お前そこかわれええ!