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『友がくれた自由』 作者: NutsIn先任曹長

友がくれた自由

作品集: 24 投稿日時: 2011/02/14 17:37:59 更新日時: 2011/04/11 21:49:27
満身創痍の少女は、
可愛い、近い将来美しいと形容されるであろう顔に、
若干の疲労と苦痛と凝固した血が染み付いたガーゼを張り付かせ、
黙々と歩き続けた。

様々な検査を行なう部屋。
病人や怪我人、世間から身を隠した政治家がいる病室。
それらの扉が両側に並んだリノリウムの廊下を、
検査着兼用の寝巻きを着た少女は、松葉杖をつきながらよろよろと歩を進めた。
体中に巻かれた包帯が痛々しい。
少女は、それでも誰の手も借りず、自分の足で何とか最奥の扉に辿り着いた。



『非常口』と書かれたその扉を開けると、

そこには、うっそうと茂った竹林が広がっていた。



ドアを閉め、振り返る。
どう見ても日本家屋である。
鉄製のドアが違和感をかもし出している。



この建物は永遠亭。

迷いの竹林の最奥にある、幻想郷最大の医療機関である。



少女は、指先を残してギプスで固定された左手を庇いつつ、
右手で不慣れな松葉杖をつき、同じくギプスで固められた右足を半ば引きずるように、
永遠亭の裏手に向かい始めた。

永遠亭の広大な敷地をしばし進むと、
開けた場所に出た。

建物の反対側には、物干し竿に干された無数の白いシーツが風になびき、
その向こうには、様々な野菜が植えられた畑があった。
ここで入院患者や因幡達の食料の一部や薬草を育てているのだろう。

少女は少し癖のある、茶色がかった黒髪を撫で付け、日の光を浴びているシーツに目をやった。

つばの広い、とんがり帽子を被った黒い人影が映っていた。



「魔理沙」

「よう、霊夢」



少女と影。

シーツ越しの会話。



「遅かったな」

「こんな状態で急げっての? で、こんなところに呼び出して何の用?」

「ああ、そりゃ悪かったな。ちょっと怪我の具合を聞こうと思ってな」

「おかげさまで、何とか生きているわよ」

「そんな有様で……。本当に、大丈夫なのか?」

「魔理沙が私をすぐに永遠亭に連れてきてくれたおかげよ。
 手足の骨折も、全身の怪我も二、三ヶ月寝てれば治るって、永琳が言ってたわ。
 今は食事は流動食だし、用を足すのに人の手と器具が必要だけれども、それも数週間の辛抱よ」

「霊夢……」



影が俯いた。

少女は晴れ渡った空を眩しそうに見上げた。



対照的な二人。

だが、二人とも同じことを思い出していた。

霊夢が、

暴行と陵辱を受け、

このような有様になったあの事件を。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「霊夢〜、儲かってるか〜?」

「素敵な賽銭箱の前で憂い顔を見せている美少女に、何分かりきったこと聞いてんのよ?」

「これは、社交辞令って言うんだぜ」

賽銭箱のチェックをしていた霊夢の前に、魔理沙が箒に乗ってやってきた。

「そんな貧乏巫女に、魔理沙さんが素敵なお仕事のネタを仕入れてきてやったぜ」

「何よ?」

胡散臭い儲け話を始めようとする魔理沙を、ジト目でねめつける霊夢。

「お得意の妖怪退治、DA・ZE」



結局、霊夢は魔理沙に乗せられ、
最近人を襲う妖怪が出るという、
人里のテリトリーからぎりぎり離れた、
つまり、妖怪のテリトリーにぎりぎり入ってる、
山の中にやってきた。





「確か、この仕事を依頼した青年団の連中が……、
 お、いたいた。おおーい!!」

魔理沙は、山中の空き地で屯していた男性達に呼びかけると、
彼らの中から、リーダーらしき男性が早足で魔理沙達の前にやってきた。

「霧雨さん、ようこそいらっしゃいました。ああ、博麗の巫女様もお忙しい中、ありがとうございます」

「どうも」

暇で暇でしょうがなかった、などと微塵も態度に出さず、ポーカーフェイスで頷いた。

「早速ですが、怪物の痕跡らしきものを二箇所で見つけまして、
 ここをそのまま進んだ所と、山頂のほうなんですが……。
 どちらから、当たりますか?」

リーダーの質問に、

「決まっている。両方だぜ!!」

魔理沙が景気良く答える。

「ちょっと、魔理沙。どんな怪物かも分からないのに、何、無謀な事言ってんのよ?」

妖怪退治の専門家である霊夢の懸念に、

「私だって身の程は弁えているつもりだぜ。
 見ろ、山頂はあまり遮蔽物が無いから、怪物が隠れる場所が限られる。
 だが、もう一方は木が生い茂っていて、捜索するのは骨だぜ。

 だから、私は見通しも良くて、すぐに飛んで逃げれる山頂を一人で当たるから、
 霊夢、お前は皆を連れて、見通しの悪い林を担当してくれ」

理路整然と、魔理沙は理由を語った。

「それに早く解決すれば、報酬にボーナスが上乗せされるからな。そうだよな?」

「え、ええ。出来るだけご期待に添えるようにしますが……」

「なら、決まりね」

リーダーの言質を取れた霊夢には、迷いは無かった。





「じゃあ、また後でな」

落ち合う場所と時間を決めた後、魔理沙は山頂目指して飛んでいった。

「じゃあ、私たちも行きましょうか」

「はい。おい、行くぞ〜」

霊夢と青年団も、妖怪の探索に出発した。





霊夢一行は林の奥に分け入り、少なからぬ時間が経過した。

「で、どのあたりで痕跡とやらを見つけたの?」

「もう間もなくです」

「私はもう見つけたわよ」

「え!?」



霊夢は青年団に向き直った。

霊夢は臨戦態勢に入っていた。
左手にはお払い棒、右手には護符が握られていた。

「あんた達、さっきから怪物に怯える様子も無く、ギラギラした獣欲を垂れ流しているんだけど、
 出来れば、その説明をしてもらえないかしら?」

「ちっ、ばれたか!! 仕方ねぇ、あの魔法使いが戻る前に片付けるぞ!!」

「「「「「へいっ!!」」」」」

温厚そうな表情をかなぐり捨てたリーダーの一声で、
手に鉈や棍棒を持った青年団の振りをしていた男達は、霊夢を取り囲もうとした。

だが、霊夢が彼らに放った紙と霊力でできた護符の重い一撃に、次々と昏倒していく。
何とか霊夢の側に来れた者は、剣呑な獲物を振るう間もなく、お払い棒で打ち据えられた。

霊夢が五、六人程倒したところで、男達は霊夢から距離をとった。

「何、もう終わり?」

「……」

「まあいいわ。あんた等みたいなならず者でも、首を自警団に持ってけば、賞金ぐらい出るでしょう」

今度は霊夢から男達に襲いかかろうとした。
いざ、飛翔しようと一歩を踏み出した瞬間、

プシュッ!!

がくんっ!!

急に霊夢の体から力が抜けた。

霊夢は首筋に僅かな痛みを感じ、震える手でその原因を探った。
何か刺さっていた。
それを抜いて、まじまじと見つめた。

「な、何……、こ……れ……」

それは、小指一本ほどの太さと長さの管だった。
管の一端には針が付いており、僅かに血が付着していた。
もう一端には、短い毛糸のような房が付いていた。

それは専用の銃から放たれた麻酔弾だと、霊夢は理解できただろうか。

霊夢は『?』が浮かんだような表情のまま崩れ落ち、
意識は薬剤によって闇に飲み込まれていった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





ばしゃあああああっ!!

バケツ一杯の冷水を浴びせかけられ、霊夢は強制的に覚醒させられた。



「ぷはぁっ!! ……!?」

霊夢は一瞬、自分の置かれた立場が理解できなかった。
だが、その一瞬後には嫌と言うほど理解した。

霊夢は、全裸であった。
同様に全裸の男達が、霊夢を取り囲み、ニヤニヤ笑っている。

霊夢は胸と股間を両手で隠し、若干顔を赤らめながら喚いた。

「っ!! 何なの!? 一体どういうつもり!?」

「そりゃ、男と女が生まれたままの姿でヤることといったら、なぁ?」

にやにや。

天に向け聳え立つご立派様を持ったリーダーが周りにに視線をくれると、
手下達は下卑た笑みで答えた。

霊夢は、殺気を振りまきながら、何気ない風に頭のリボンに手を伸ばした。
普段から髪を結っている大きなリボンには、退魔針が仕込んである。
妖怪用ではあるが、下衆野郎共の出口無きカテーテル代わりにもなる。

だが、霊夢の後頭部に伸ばした手はさっきから空を切っている。

「霊夢ちゃ〜ん、何をお探しかな〜?」

「げ!?」

霊夢を取り囲んだ男たちの中でも、巨根を誇る者。
そいつのペニスに、霊夢のリボンが縛ってあった。

「霊夢ちゃんの恥ずかしい秘密、魔理沙ちゃんがいろいろと話してくれたよ〜。
 別室で悲鳴やあえぎ声と一緒にね〜。
 だけどその後、霊夢ごめんとしか言わなくなっちゃって、
 おじさん、チョ〜つまんな〜い」

げらげら。

下衆なジョークにウケまくるクソ野郎共。

魔理沙もこいつらの手中に落ちた。

霊夢は歯噛みするほか無かった。

だが、

リーダーは意外な事を言った。

「ご心配無く、博麗の巫女殿。
 我々は魔理沙嬢を人質に使う気など、毛頭ございません。
 ここにいる全員を打ちのめし、見事、黒白の姫君を助けることが出来ますかな?」

慇懃無礼な口調でのたまうリーダーの挑戦に、

「試してみるわ!!」

霊夢は行動で答えた。

手近な男の鳩尾に左の拳を叩き込み、
その隣の男の顎をバレリーナの如き柔軟さで、足を180度振り上げ射抜いた。
慌てて駆け寄った奴の横っ面を右の手のひらで叩き、
そのまま宙返り。
終着点にいた不幸者の脳天に踵を落とした。



以上が、霊夢が息を荒くして膝をつくまでの戦果であった。



はあはあ。

床に四つんばいになった霊夢の息が荒い。

霊夢は、体が飴細工に加工される飴のように熱く、蕩ける様に感じた。

じわり。

霊夢の秘所から愛液が滴り落ち、床に雫を垂らしている。



「な、何……!? 私の体、どうしちゃったの……!?」

「はい、ざんね〜ん。おじさん達の勝ち〜」

霊夢のリボンを股間に結った巨根男が霊夢の顎を蹴り上げた。

「がっ!!」

霊夢は口元と鼻から血を滴らせ、えびぞりながら床を二度三度バウンドした。

ぐりっ!!

「あうっ!!」

霊夢が転がった場所にいた男が顎をさすりながら、
霊夢の左の手のひらを踏みにじり、

「このアマ〜、よくもやってくれやがったな!!」

男の手には、杭打ち用の巨大な槌が握られていた。

「利き腕を潰してやるっ!!」

ぶんっ!!

「じょ、冗談……、でしょ……」

ぐしゃ!!

「あ゛……、あ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

槌の一撃は、霊夢の左腕の尺骨と橈骨――要するに前腕の骨を粉砕した。

痛みに転げまわる霊夢を周囲の男達が蹴りつけてさらに転げまわる。
しかし、調子に乗った男たちの何人かが、
霊夢が繰り出したブレイクダンスの如き反撃の蹴りを食らい、昏倒した。

回転の勢いで立ち上がった霊夢は、部屋の出口に向かおうとした。

ぐきっ!!

だが、無理な姿勢で立ち上がったのが悪かったのか、霊夢は右足を捻ってしまった。

折角立ち上がったのに、再び転倒する霊夢を見逃すほど男達は愚鈍ではなかった。

霊夢に群がる男達。
霊夢は更なる苦痛を覚悟した。

大勢の男達が体から湯気を立ち上らせながら、
霊夢を一心不乱に蹴りつけた。踏みつけた。滅茶苦茶にした。

「このアマ〜!!」
「舐めた真似しやがって!!」

ガスッ!! ドカッ!! ドスッ!!

「が、ひっ!! 止め!! ゆるぢで!! げっ!! ぎゃ!!」

ドゴッ!! ガッ!! ボスッ!!

「あんまりっ、傷もんにっ、するんじゃっ、ねえぞっ!! 萎えちまうっ!!」
「わかってまさあっ、ちゃんとっ、手加減っ、してますぜっ!!」

ドコッ!! バスッ!! ボコッ!!

「いだっ!! いだいっ!! やっ!! やああ!!」

しばらくして、肩で息をする男達。
とりあえず、霊夢に対する暴行は終わったようだ。

霊夢は体を丸めて可能な限りの防御をしたおかげで、
全身が痣だらけになり、口と鼻の出血量が増え、
骨が左腕以外ではあばらが二、三本折れた程度の負傷で済んだ。

しばらく暴行の余韻を味わった男達は、続いて当初の目的を果たそうとした。
すなわち、霊夢の陵辱である。

折れた左手と無事な右手はそれぞれ押さえつけられ、
捻った右足と無事な左足もそれぞれ押さえつけられ、
霊夢の生育途上の肢体にまたがったリーダーは、

両手で霊夢の胸の双丘を撫でるように触れた後、

霊夢の頭を押さえつけ、

霊夢に接吻をした。

ぶっちゅうううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
ぶっちゅぐっちゅじゅぶっ!!

濃厚な口付け。
キスなどとは言えない、舌による口中の陵辱。
リーダーは、霊夢の舌に自分の舌を絡め、たっぷりと自分の唾液を霊夢の口に流し込んだ。
大部分は口の端から流れ落ちたが、いくらかは飲まされてしまった。

「ふぐう!! ぐ!! うぅぅぅ!!」

がぶっ!!

舌は歯がかすった程度だが、唇を少し噛まれてしまった。

リーダーは血が流れる口を腕で拭うと、

ばしぃっ!!

「ぎゃ!!」

その腕で霊夢の頬を殴りつけた。

霊夢の口元からも血が、つうっと流れ落ちた。

リーダーは、部屋の片隅にある机の上の薬箱から軟膏を取り出し、
それを口元に塗りつけながら、手下達に目配せした。

にやぁ。

手下達の顔が喜色に染まった。



欲情した男達は、

一斉に、

霊夢の体を、

貪った。



霊夢の頬に舌を這わせる者。
霊夢の膨らみつつある胸の膨らみを揉みしだく者。
霊夢の括れが出来つつある、引き締まった腹を撫で回す者。
霊夢のまだ毛の生え揃わぬ股間のクレバスに唾液を流し込み、湧き出る蜜を増量する者。
霊夢の出すことしか知らぬ、尻の不浄の門を巧みな指使いでこじ開けようとする者。

「嫌ッ!! 止め、止めて!! あ、あぁ……、が、あああああ!! あ!?
 や!! ひ!! がっ!! あぁぁ……、あ!? ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

ぷしゃあああぁぁぁぁぁ……。

男達の攻めで、霊夢は意に沿わぬ絶頂に押し上げられ、
秘所から尿と愛液を噴出した。

「あ……、あ、はふぅ……、はふぅ……」

顔を上気させ、荒い呼吸をする霊夢の股間は、ぐしょ濡れになった。
これで、霊夢の受け入れ準備は整った。

霊夢の痴態を見た男達のマラもより一層大きくなり、先走りをほとばしらせている。



いよいよ、本番である。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





一番乗りは、リーダーであった。

ずぶじゅしゅ、ぶにゅううううう!!

リーダーのペニスが、霊夢のそれほど経験の無い秘所をこじ開け、開拓していく。

「あ、い、嫌あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

霊夢の拒絶の悲鳴に反して、自身の愛液と手下達の唾液で滑った割れ目は、
リーダーのブツを易々と、霊夢に快感を与えながら受け入れた。

ぶじゅ、ぐしゅ、ずしゅ、ぐぷ、じゅぶ…………。

「がはっ!! あ゛、い゛、い゛いぃ!! ひっ!!」

リーダーの攻めに、霊夢は脊髄反射的な悲鳴しか上げられない。

「ひぐぅ!! げ、え゛、あ゛、が、あ……、ひっ、ひいいいいいぃぃぃぃぃ!!」

「はあっ、はあっ、はあっ……、い、イくぞ!! クソ巫女!! たっぷり俺の賽銭を受け取りやがれえええええ!!!!!」

「あ゛、え、あ、嫌、い゛や゛あ……、嫌ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

どぶ、どぴゅぴゅ、どびゅ〜〜〜〜〜!! びゅるるるるる〜〜〜〜〜!! びゅびゅびゅびゅびゅ〜〜〜〜〜……。



霊夢は、リーダーの膣内出しによって、

絶望感と、

若干の背徳感と、

脳が食い潰されるような快感を感じまくっていた……。



霊夢は、なすがままであった。
男達の暴力的な快感の前に、抵抗する気力が失せていく。
左手の苦痛も、
右足の苦痛も、
全身の苦痛も、
強制的に与えられた肉欲を、霊夢から奪うには至らなかった。

男達のテクニックだけではない。
何時の間にか霊夢の首に嵌められた首輪。
中心の宝玉が緑に光っている。
これは霊夢の霊力を奪うマジックアイテムで、
万が一に備えての保険である。

利き腕を折られ、足を挫き、
媚薬でも空気中に流されているのか、正体不明の快感に酔わされ、
人並みはずれた霊力を封じられた霊夢にできることは、
ただ、性器と肛門と口にねじ込まれる男根による暴力的な快感を甘受するより他無かった。



――この時点では。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





何人目かの男が、
何回目かの射精を、
霊夢の膣に行なった。

これが、

この男の、

最後の男としての機能であった。



ぐしゃっ!!



「あ!? あぁぁ、がああああああああああ!!!!!」

己の胎内に精を放った性器を握りつぶす、
ほのかな光を纏った霊夢の手。

霊夢は快楽の虜になったのではなかったのか!?

否!!

博麗の巫女をナメてはいけない。

霊夢は乙女の尊厳を踏みにじられながら、
着実に、気を練り、反撃の機会を窺い、

そして、今、

隠していた爪を、牙を、
存分に振るったのだった!!

霊夢は霊力を込めた右手を、左足を、
自分よりも屈強な体格の男達に叩きつけていく!!

ある者は壁にめり込み、
ある者は天井に突き刺さり、
ある者は折られた自分のあばら骨で心臓に穴を開けられた。

次々に屠られるエロ男達!!

リーダーは霊夢の首輪に目をやる。
宝玉が、赤く点滅している。
これは、首輪が霊力を封じ切れない事を意味する危険信号である。

「くっそ〜う!! こうなったら……」

リーダーと何人かの男達は、部屋を逃げ出した。

霊夢が逃げそこなった連中を次々と血祭りに上げ、最後の男の首根っこを掴んだ直後、



部屋の外で、絶叫が木霊した。



霊夢の動きが止まった。
霊夢が手を離したために自由になった男が出口に向かう。

ざしゅ!!

部屋の出口で、男の頭がぶつ切りの肉塊と化した。

ごくり。

霊夢は口中に沸き続ける唾を嚥下した。

のそり。

霊夢がいる部屋に、侵入した生き物。

それは、

三匹の猫であった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





この愛くるしい顔と、それぞれ虎縞と三毛と黒一色の滑らかな毛皮を持った生き物は、
神社の境内でもたまに見かける、普通の猫のものである。

ただ、普通の猫が、眼前の生物のように身の丈二メートルを超えることは無い。

虎よりも無邪気そうな怪物猫達は、
喉をゴロゴロ鳴らしながら、
前足の柔らかそうな肉球と爪にこびり付いた人間の肉片と血を、
美味そうに舐め取っていた。



唖然とする霊夢。
前足を綺麗にした、巨体を誇る猫の化け物は、
何一つ身に纏っていない霊夢に気付くと、
獣の本性むき出して、じゃれついて来た。



ざくっ!!

「ぎゃ!! あうぅぅぅぅぅ……」

黒猫の鋭い爪が、霊夢の右肩を抉った。
霊夢は三、四本束ねたナイフで切りつけられたような激痛に苦しんだ。

――のは、ほんの一瞬。

ずくんっ!!

「ひゃうっ!?」

霊夢の脳に伝わるべき痛みの信号が、快感のそれに強制的に変換された。
霊夢の股間からは、膣内に流し込まれた男共の精液を押し流すのではないかというほどの愛液が、
とめどなく湧き出していた。

先程も同様の現象が霊夢を襲ったが、それの比ではなかった。
五感全てが快感に切り替えられてしまったかのようであった。

「びぎぃっ!? な゛、な゛に!? わ゛だじ、どうな……、ぢゃっだの゛……!?」

床にへたり込み、先程の反撃に転じた勇ましさは消え失せ、恐怖と快楽に引きつった表情で、
霊夢は辺りを見渡した。

に゛、に゛ゃらおおおおおぉぉぉぉぉん!!

奇妙な声を上げて、巨大猫達がのそり、と霊夢に近づいてきた。

霊夢は見てしまった。

それは、南国の果実であった。

霊夢が香霖堂で立ち読みした外界の植物図鑑にあったそれとそっくりな、
無数の棘の付いた物体であった。

三匹の猫の股間から生えている、
極太の柱の先端の形状は、
霊夢のつたない知識では、
そうとしか形容できなかった。



這って逃げようとする霊夢を易々と、

柔らかな肉球を持った強靭な前足で押さえつけた三毛猫は、

しとどに濡れた霊夢の蜜壷に、

凶器同然の、

巨大なペニスを、

ねじ込んだ。



じゅ、ぐじゅじゅじゅじゅずじゅるしゅすしゅっ!!

「ひ、い、ぎ!! ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!!!」

霊夢の秘所からは、猫の凶器で傷付けられたことによって出血して、あふれ出た愛液を朱に染めた。

三毛猫は霊夢の首に食らい付き、彼女の動きを完全に封じ込めた。

「ぎゃああ!! や゛、やめで、や!! い゛がああああああああああああっ!!」

ずじゅっ!! ぐじゅっ!! ずじゅしゅっ!!

猫は霊夢の悲鳴などお構い無しに、巨体を霊夢の腰に打ちつけ続けた。
猫が霊夢を一突きする度に、熟れた果実を潰したような音と悲鳴が聞こえてきた。

その動作を続けることしばし。
猫は霊夢の背中に爪を立てた。

「が、あ、は……」

背中の痛みなど、股間のそれに比べれば、蚊に刺されたほどにも感じない。

だが、

にゃ、にゃらおおおおおん!!

どぶっ!! ぶびゅっ!! びゅるるるるる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

胎内に染み渡るような、生暖かい、大量の液体。

ぶぷっ!! じゅぷっ!!

猫と霊夢の結合部から溢れる、白濁した液体。

巨大な猫は、霊夢の膣に、射精した。
射精し続けた。
まだ終わらない。

「う゛、う゛う……、うぷ!? う゛、げ、げえ゛え゛え゛え゛え゛ええええええええええぇぇぇぇぇえ゛ええ!!」

びちゃ、びちゃびちゃ。

霊夢は、
腹部の圧迫感と、
猫に膣内出しされた屈辱感と、
そんな状況に悦楽を感じた己への嫌悪感で、
吐いてしまった。

じゅぶぬしゅ。

ばちゃあっ。

三毛猫がペニスを先端の棘を引っ込めて霊夢から抜き取ると、
霊夢は白目をむいて、
床にできた精液溜まりと自分の吐瀉物の中に倒れこんだ。

「……か、はひゅぅ……、ぅぅ……」

霊夢の意識は途切れかけていた。

だから、虎縞の猫が霊夢の眼前に、
黒猫が霊夢の後ろにそれぞれ移動したことに気付かなかった。
当然、この猫達の性器が堅く聳え立っていたことにも気付かなかった。



霊夢の意識は、

半開きの口と、

いまだ噴水のように三毛猫の精液を噴出し続ける性器に、

破壊兵器同然のペニスをねじ込まれたことによって、

強制的に覚醒させられた。

「ぶ!? ぶぎゅああ゛あ゛あ゛がばばばばばぎゃばがばががががが!! があ゛!! ぎゃ……」

口を塞がれた霊夢は、尻すぼみの絶叫を上げた。

悲鳴は止んだが、霊夢はまだ気を失ってはいない。

刹那の安らぎは、二匹の猫が霊夢の中に許容量を大幅に上回る精液を注入するまで訪れなかった……。



巨大な猫達の陵辱は続く。
霊夢が全身を傷だらけにして、
そこから流れ出す血と、化け物が噴出する精液が乾いてパリパリになりかけの頃に、
三毛猫は仰向けになった黒猫に背中に前足の爪を突き立てられ、性器が繋がった状態の霊夢に近づき、
再び堅く勃起したペニスを肛門にねじ込んだ。

ふなあああああ!!

めりぃ!! ぐじゅじゅじゅじゅじゅずぶぅ!!

「……ふひゅ!? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああおああがぎゃあぁああああ!!!!!」

口から血と涎と畜生の精液を垂れ流していた霊夢の、飛んでいた意識が再びたたき起こされ、
生命維持に必要な体力まで振り分けたのかと思うような、大声の悲鳴を上げ続けた。

霊夢の小さな窄まりは、凶悪な肉棒によって穿られ、大量の出血と共に拡張された。

霊夢の矮躯は、女性器を占有している仰向けの黒猫に抱きしめられた状態になっているため、
全力を以って抵抗しても、痙攣に似た動作しかできなかった。



いったい、この饗宴は、何時まで続くのだろうか……。

光の消えた双眸から滂沱しながら、

霊夢は、新たな苦痛と快感を与えられるまでの刹那、

意識を手放し、

しばしの休憩をとることにした……。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





あれから、どれほど経ったのだろうか。

少なくとも、時間の感覚が無くなる程度は時が経った頃だった。

霊夢が地獄から開放されたのは。



霊夢の肛門を貪っていた猫。
霊夢の口を嬲っていた猫。
少し間が空いて、
霊夢の膣を味わっていた猫。

この順番で、三匹の巨大猫の頭が、次々と破裂した。



「霊夢……、大丈夫、じゃないな……、うぅ……」

魔理沙は荒い息をつきながら、かすかに煙を出している八卦炉を構えた手を下ろした。

「ま……、り、さ……?」

見た限り、魔理沙は負傷していないようだ。
だが、服装は乱れているし、スカートの内側から滴り落ちる粘液が両足を伝っている。
帽子を目深に被っているために、魔理沙の表情は分からない。

しゅううううぅぅぅぅぅ……。

巨大猫達の死体は煙を立てて、元のレギュラーサイズに戻った。
何らかの術で巨大化させられていたのだろう。

霊夢は僅かに残った体力で、体に乗っかった猫の死体を振り払った。
だが、一体だけ、霊夢の女性器に張り付いた死体だけ、どかせない。
霊夢の膣が、今だに猫のペニスをくわえ込んだまま離さないのだ。

霊夢は、膣痙攣を起こしていた。

「え……、やだ……、抜けない……、嫌ぁ、嫌、嫌あぁぁぁ……」

ひぐっ、えぐっ、ひっく……。

霊夢はか細い声で悲鳴を上げ、泣き出してしまった。

ぎゅ。

涙と血と精液によって汚される、黒い衣装。

しゃがみこんだ魔理沙は、霊夢の頭を抱きかかえたのだ。
はだけた黒衣からは、魔理沙の薄い胸とそのピンクの先端が覗いていた。
下着を着る手間を惜しんで、霊夢を助けることを優先したのだろう。

霊夢が落ち着いた頃、猫の死体がようやく離れた。

安堵と体を蝕み始めた激痛から、
霊夢が気を失う前に最後に見たものは、

炎上する、丸太小屋だった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





霊夢は永遠亭に運び込まれ、

八意永琳自らが治療に当たった。

そのおかげで、体は後遺症を残さずに回復しつつあった。

だが、霊夢の心は……。



「魔理沙、連中、何者?」

「……え、ああ、あいつらか……。私が人里を歩いていたら声を掛けられてな……。
 最初はナンパかと思ったぜ。こう見えて魔理沙さん、結構モテるから……。
 何でも、私の何でも屋と異変解決の実績を聞いて、怪物退治を以来したいって……。
 報酬に目が眩んじまって……、霊夢、本当にすまない……」

俯いたままの影。

「魔理沙、あんたの身には何が起こったの?」

少女は空を見上げ、風を心地良さそうに受けながら、淡々と訪ねた。

「私は山頂を一回りして異常が無いことを確認した後、集合場所に行ったんだ。
 そこで待ってた連中の一人に麻酔銃で撃たれて……。
 気付いたら、気付いたら……、裸にされて……、気持ち悪い事されて……、
 霊夢、ごめん!! 霊夢がリボンに針を仕込んでいる事とか、霊力の事とか……、喋っちゃって、ごめん……」

「そのことは、もういいわ。続けて」

「私は……、しばらく連中にいっぱい嫌らしい事されて……、急に連中の頭達がやって来て、
 檻にいた猫になにやら術を唱えると、猫がでっかくなって……、それで……、……、
 う、ううぅ。人が……、人が……食い殺されて……、私は部屋の隅でそれを見ているしかなかった……。
 私達に酷い事した連中だ、ざまぁみろって、ほんのちょっぴり思いながら……」

「うん……」

「何時までも震えているわけにはいかないから……、部屋を探して八卦炉や服を取り戻して、
 化け物が向かった部屋に行くと……、霊夢が……、あ……、う、うぅ……」

「襲われている私を見つけて、助けてくれたのよね」

「ごめん!! 私が、もっと早く、様子を見に行けば、
 いいや!! そもそも、こんな怪しげな話を持ち込んだりしなければ!!」

「連中のアジトかしら、あの丸太小屋? 燃やしたの、あんた?」

「あぁ。悔しくて、悲しくて、むかっ腹が立って……、気付いたら、魔砲をぶっ放してた……」



俯いた状態でため息をつく影。

少女もため息をついた。
体の調子が悪いので、疲れてきたのだ。



だが、少女は満足していた。

影が語ってくれたおかげで、気が楽になった。



「私ね、永遠亭に担ぎ込まれてすぐに、慧音と妹紅に今回の事件の調査を依頼したわ」

「え?」



霊夢を担いだ魔理沙は、永遠亭に駆け込んだ。
軽症の魔理沙は診察室で鈴仙から手当てを受けることになり、
重症の霊夢はストレッチャーに乗せられ、施設奥の処置室に運び込まれた。

治療を始めようとした永琳を静止して、霊夢は大至急、上白沢慧音と藤原妹紅を呼ぶように頼んだ。
程なくして、集中治療室に移されて治療を受けている霊夢の元に、防護服を着せられた慧音と妹紅が駆けつけた。
霊夢の有様を見て、ただ事ではない事を察した二人は、霊夢の依頼を快諾した。
二人は人里の自警団から、腕利きの捜査官と鑑識要員を引き連れて、焼け落ちたアジトに向かい、そこを封鎖した。



「それでか……。私も調べようと思ってあそこに行ってみたら、自警団ががっちりガードしてたんだもんな〜」

影は少女のほうを向いて、嘆息した。

「それで、色々と面白いことが分かったのよ」

「? どんな?」



焼け跡を調べた慧音達は、黒焦げになった複数名の人間と三匹の猫の遺体を回収した。
遺体は永遠亭に運ばれ、そこで永琳達が調査することになった。
焼け跡は引き続き自警団によって調べられた。



「あの丸太小屋、やけに火の回りが速かったと思わない?」

「……そうか?」

「魔理沙、マスタースパーク撃つ前に何かやったの?」

「……さぁ? あの時、私も動揺していたからな……」

「しょっちゅう『仇敵』を燃やしまくっている妹紅の見立てだと、
 何か油よりも燃える、燃料か薬品のようなものが、主に人間の遺体にかけられていたそうよ。
 短時間で骨まで灰にするほど燃やすには、そういう物か愛宕様の炎を使わなければ無理だわ。
 おかげで複顔が大変だったって永琳が言ってたわ」

「複……顔……?」

「仕事の合間の息抜きに最高だとも言ってたけど、何人か作れたわ。
 私もびっくりするほどの出来栄えよ。連中のクソ顔を見事に復元してくれたんだから」

「初耳だぜ」

「言ってないからね」



霊夢の証言から髪型等に若干の修正を加えた複顔の写真を持った自警団の捜査員は、
現場の山近郊の人里を中心に聞き込みを行なった。
程なくして、その辺りを縄張りとする地回り連中が、最近姿を消したことが判明した。
連中の人数は、焼け跡で見つかった人間の遺体の数と同じであった。



「このゴロツキ共、近々デカい儲けがあるって周囲に吹聴していたそうよ」

「へぇ……」

「内容は、なんと!! 私を痛めつけて陵辱することだそうよ」

「……」

「何でも、殺す以外なら何しても良いって。
 連中、嬉しそうにしていたそうよ。
 幻想郷の人気者、霊夢ちゃんを好き放題できて、お金まで貰えるから」

「……自分で『人気者』って言うのは、如何なものか、だぜ」

「事実じゃない。それで、肝心の依頼者なんだけど……」



慧音や妹紅、それに捜査員達は人里中の無頼漢、
果てにはスペルカード・ルールに懐疑的な妖怪までも締め上げ、
下手したら、幻想郷の存亡にかかわるような、
それでなくても女性の尊厳を無視した下衆な依頼をした者を割り出そうとした。



「……わかったのは、そいつは魔法使いってことだけよ」

「魔法使い……」



「魔理沙、あんたでしょ?」

「へ、私!?」



風が一瞬止んだ。

どこぞのメイド長が、時を止めたような感覚。



静止する、影と少女。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





……。

……。



ぷっ!!

吹き出す影と少女。



「くっくっくっ」

「ふっふっふっ」



「あ〜、はっはっはははは〜っ!!」

「ふふふふふ、あ〜はっはははははっ!!」

「あ〜はっはっは〜、こりゃ、いいや!!」

「あ〜はっはっは、い、痛たたた……、う、ウケた?」

「最高だぜ!! 一瞬、私は霊夢の親友じゃなかったのか!!
 って思っちまったぜ!!」

「いつつ……、私も魔理沙を親友だと思ってるわよ。
 ごめんね、気を悪くした?」

「少し。しかし、霊夢もこんな性質の悪い冗談を言うとはな〜。
 そんなに入院生活は退屈か?」

「つつつ……、ふぅ。ええ、それこそ、死にそうなくらい退屈よ〜。
 あ、後ね〜」





「私、冗談のつもりで言ったんじゃないけど」





今度の時の凍結は、気温まで一気に下がったようだ。



「……何?」

少女は影を何の感情も見せず、ただ見つめた。

「私、確認のつもりで言ったのよ。魔理沙、あんたが仕組んだんでしょ」

影は動かない。
ただ、スクリーンの役目をしているシーツが、風にはためいている。

「よく、分からないぜ」

「慧音や自警団の鑑識が目を皿のようにして、アジトの焼け跡を調べたんだけれど、
 私や魔理沙を撃ったっていう、麻酔銃、見つからなかったんだって」

「燃えちまったんじゃないか? 或いは、どっか山ん中に落っこちているとか」

「麻酔銃は見つからなかったんだけれど、代わりに別な物が見つかったのよ」

「何? そんなに興味を惹くものか?」

「ええ、何だと思う?」

「何だろ……?」

「ぶっぶ〜〜〜〜〜っ!! 残念!! 時間切れです!!
 それでは、正解を発表します!!」

「……」



「正解は……、薬箱で〜す!!」



おどけて言う少女に、ノーリアクションの影。

「何がすごいのか、よく分かんないぜ」

「私が入院生活を退屈しているのは、さっき言ったわよね。
 そんな苦痛と退屈に塗れた永遠亭での唯一の娯楽は、他の患者や看護師とのおしゃべりなの」

「……」

「そんな時、こんな話を聞いたのよ」



稀代の薬師、八意永琳の一番弟子、鈴仙・優曇華院・イナバは、
妖怪兎の頭、因幡てゐを何やら問い詰めていた。
本当は面会謝絶、絶対安静の霊夢は、勝手にベッドを抜け出し、
永遠亭の廊下をぶらついている時にそれを目撃した。
何をやっているのか霊夢が訪ねると、
鈴仙は最初に霊夢に大人しくしているように注意した後、
職員以外立ち入り禁止の区域にある休憩所に場所を移してから事情を話してくれた。

永遠亭地下にある研究区画から、実験動物を『鎮圧』するために使用する麻酔銃が一丁、一時的に紛失したそうである。
銃に込められた麻酔弾に充填されている薬品は、劇薬に分類される程の危険物である。
いたずらに使って良い物ではないので、てゐを注意したところ、彼女はやっていないとシラを切ったとのことである。

そう鈴仙が言うと、てゐは強い口調でやっていないと言った。
しかし、てゐの普段の素行もあるので、鈴仙は全然取り合わなかった。



「私はそれを聞いてピンと来たわ。鈴仙に麻酔銃が消えた時期を聞いてみると、今回の事件より前だったわ。
 それはいいわ。問題は、銃が戻ってきた時期なんだけれど……」

少女は、一度呼吸を整え、先程から動かない影に向かい、説明を再開した。

「それは、事件の直後、私達が永遠亭で手当てを受けている頃なのよ」

「……まだ、連中の仲間がいるってことか?」

「依頼主が仲間だというならそうなるわね。
 私はそのことを永琳に言うと、彼女はすぐに調べてくれたわ。
 鈴仙が銃のナンバーを覚えていたんで、実物を持ってきてくれて、私の目の前で調べたわ」

「何か分かったか?」



「ええ。麻酔弾は確かに、私に撃ち込まれたものと同じだったわ。
 そして……、この銃からは……、

 一発しか弾が発射されていないわ。

 魔理沙、あんたも麻酔銃で撃たれたって言ったわよね。どういうことかしら?」



「……さあな、連中、一発だけ補充したんじゃないか?」

「この麻酔弾は永遠亭特製のものよ。おいそれと手に入るものじゃないわ。
 この銃以外、他の銃も補充用の麻酔弾も無くなってないそうよ」

「実は、霊夢と私を撃った麻酔銃は、永遠亭の物じゃなかったんじゃないか?」

「弾の中の麻酔薬には、何でも放射性物質とかいう、目印になる物が混ぜてあるんだって。
 これは全ての麻酔弾に違う物が入っているそうよ。
 永琳に改めて私の血液を調べてもらったけれど、無くなった麻酔弾の目印が出てきたそうよ。
 ちなみに、治療した時に抜いたあんたの血からは、目印はおろか、麻酔成分も検出されなかったそうよ」

「ふぅん、じゃ、私は何を撃たれたのかな? 眠りの魔法かな?」

「あんたがそういうなら、それでもいいわ。麻酔銃は綺麗に拭かれていて、指紋とか出なかったそうだから」

あれだけ語りながら、少女は影を追求するのをあっさり止めた。



「それで、話は薬箱に戻るけれど……」

「あぁ……、話が本題からずれまくってたんで、すっかり忘れてたぜ」

「最初に言っちゃうけれど、薬箱も永遠亭のものよ。焼け残った薬は全てヤゴコロ印だったし」

「永遠亭の薬箱なんて、今の幻想郷ではありふれているだろう。
 人里では、かなりの家が置いているし」

「ところがぎっちょん、永遠亭では置き薬の補充や料金の徴収を管理するために、
 全ての容器に番号を振っているのよ。
 だから、焼け跡にあった薬は盗品だって、すぐに分かったわ」

「……」

「それも、盗まれた場所は……、永遠亭の倉庫だったのよ」

「連中、集団暴行魔にしてコソ泥だったか。地獄行き確定だな」

「コソ泥に永遠亭の厳重な警備装置は突破できないわよ。
 それこそ……、永遠亭からいろんな物をしょっちゅう『死ぬまで借りたり』して、警備状況に詳しくなければね」

「霊夢……、どうしても、私をお前を襲った連中の仲間にしたいようだな……」

「鈴仙とてゐに、警備システムの不備を洗い出してもらったわ。
 特に、薬箱があった倉庫から地下の研究施設の麻酔銃保管庫までのね」

「それで、何か分かったか? 私が盗んだ証拠とか?」



「てゐは流石、抜け目無いわね。見事に『穴』を見つけ出したわ。
 それを目の当たりにした鈴仙は開いた口が塞がらなかったわ。続いて、永琳のお仕置きに怯えていたけれど。

 てゐが見つけた『穴』、それは通気口よ。
 倉庫の天井に開いた通気口は、蓋がねじ止めされているだけだから、それをねじ回しで外せば簡単に入れるわ。
 さらに、同じく倉庫の天井にある空調用のダクト。これは永遠亭のあらゆるところ、当然研究施設にも通じているわ。
 そこを通れば、簡単に辿り着けるわ。

 ……ある条件を満たせばね」



「ある条件?」

「私、まだ身体が自由に動かないから、図面で見ただけだけれども、
 何箇所か、空を飛ばないと、辿り着けない箇所があるのよ。
 その間にロープとか渡した跡は無かったそうよ。
 したがって、薬箱と麻酔銃を盗み出した犯人は、飛行能力があるものよ」

「幻想郷に、空飛べる奴なんてごまんといるぜ。お前だってそうだろう」

「ダクトを詳しく調べてみると、埃塗れの内部に誰かが這い回った跡があったそうよ。
 しかも、その跡には特徴があってね……、
 誰かが這った際にできた跡の横に、さらに擦った跡があったそうよ」

「……?」



「コソ泥は、細い物を束ねた物が付いた棒を持って、ダクトを這っていたのよ。

 ……例えば、箒、とか」



「こりゃ、大発見だ」

「そいつは、幻想郷では珍しい麻酔銃からアシが付くことを恐れたんでしょうね。
 だからこっそり戻しておいた。
 結局、それが自分の首を絞めることになるとは知らずにね」

「私は絞まってないぜ」

影は自分の首を絞める仕草を見せた。

少女も、これらの形跡が決定的な証拠になるとは思っていないようだ。
相変わらずの無表情で、シーツ越しの滑稽な影絵を見つめている。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「本当に、アジトの焼け跡からはいろいろな発見があるみたいね。
 私も検分してみたかったわ」

「怪我が治ったら一緒に行こうぜ。その時には自警団の封鎖も解けているだろうし」

「おそらくその時には、あんたは私の隣にいないわね」

「……」

少女は影相手に、次なる自論の説明を始めた。



「あの三匹の猫」

「アレには仰天したぜ。当分、猫をまともに見れないぜ」

「三匹とも雄だったわ」

「そうじゃなきゃ、霊夢はあんな目にあわんだろう」



「魔理沙、知ってる?

 三毛猫の雄って、すごい珍しいんだって」



「!!」

「三匹共、毛並みが良かったから、きっと飼い猫だったのね。
 飼い主の住んでいる場所を調べれば、共通点が見つかるかもね。
 雄の三毛猫を飼っていて、それが最近行方不明になって困っている飼い主なんて、
 慧音に調べてもらえば一発ね。
 その周辺で、猫好きの黒白魔法使いが見かけられていれば、捜査は進展するわね」

「……私、幻想郷中の猫に餌を撒いてるから、証拠にはならないだろうぜ……」

「あの強姦魔共、魔理沙知ってる?」

「いいや、知らないぜ。偽依頼を受けたときが初対面だぜ」



「じゃあ、何であんた、連中に『苗字』で呼ばれてたの?

 あんた、実家を飛び出してから、周囲に自分を『名前』で呼ばせてたじゃない」



「あ、ああ、名前で呼ぶように言ったんだけど、連中、全然聞かないんだよ」

「そりゃ、そうでしょうね。長年『霧雨さん』って苗字で呼んでたから」

「え!?」



「連中の親玉、ゴロツキになる前はさる大店の三男坊だったんだって。
 もう、その店は潰れたけれど。

 で、そこは霧雨店とも親密な取引があって、店が潰れた後、
 そこの経営者と従業員の殆どは霧雨店に雇われ、支店の一つを任されたそうよ。

 家を飛び出した三男坊といえど、霧雨の家にはかなりの恩義があったでしょうね。
 ……ひょっとしたら、あいつ、家族にこっそり打ち明けていたりして。
 霧雨のお嬢さんから持ちかけられた、儲け話のことを」



「……ち。道理で、私には馬鹿丁寧だと思ったら」

「勘当娘じゃ、気付かないのも当然よね」

「……顔見知りに会わないように、実家から離れた場所で雇ったチンピラだと思ったのに……」



ひょっとしたら、そのまま惚け通せば、追及から逃れられたかもしれないのに。

ひょっとしたら、地回りの親玉は、家族に何も話していないかもしれないのに。



魔理沙は、感じていたのかもしれない。

勘の鋭い霊夢は、遅かれ早かれ、真相に辿り着くことに。



だから、魔理沙は、友の手間を省いてやることにした。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





霊夢は博麗の巫女である。

博麗の巫女は、幻想郷を守るために、
外界と幻想郷を隔てる結界を守っている。
異変が起きれば、直ちに解決に出向く。
人食い妖怪が『禁猟区』の人間に手を出した場合、退治する。

将来、霊夢は八雲紫が適当に決めた男と番わされ、
その結果として生まれた子供に後継の巫女とするための教育を施した後、

――幻想郷から、追放される。



霊夢は、クソ面白くない人生のレールを進まされている。
いや、危険度を考えれば、安全基準を無視したジェットコースターに乗せられている、と形容すべきか。

無軌道な人生を歩むことを選んだ魔理沙は、
選択不能な人生を歩まされている霊夢を哀れんだ。

魔理沙は、霊夢にも自由になって欲しいと思った。
好きな時に好きな所に行き、
ちょっとサボっただけで紫にどやされるも無く、
好きな事をやって、好きな相手と恋に落ちるのも悪くない。

魔理沙は霊夢の留守中に博麗神社にお邪魔して、様々な古文書を読み漁った。
稗田阿求の屋敷を訪ねて、膨大な記録を閲覧した。
寺子屋に行き、慧音に幻想郷の歴史について特別講義を受けたりもした。

その結果、博麗の巫女がその職務から解放されるには、
死ぬか、
現在の巫女より相応しい人材が見つかるか、
病や大怪我で巫女を続けることができなくなるか、
次代の巫女を生むことができないか、
そんな事ぐらいしか分からなかった。



具体的に、霊夢を自由にしようと考えたのは、
ある異変の解決に失敗して、紫から叱責を受けた霊夢が、
再挑戦する前に修行をしているのを見た時である。

ひたすらに、ひたむきに、
霊夢は、ただただ、修行に打ち込んでいた。

魔理沙は、そんな霊夢が美しいと思った。
まるで、精巧な機械のような機能美であった。

霊夢は機械じゃない。
だが、博麗の巫女は、幻想郷の歯車同然である。

先程まで美しいと思ったが、
急に霊夢がからくり人形に見えてしまい、
恐怖を感じ、背筋が薄ら寒くなった。



人間のテリトリーぎりぎりの所にある集落。
妖怪と人間の交易が盛んであり、思ったより活気がある。
こういう所には、金次第で荒事を引き受ける輩がいるものだ。

ローブを目深に被った魔理沙は、大通りから路地を一本奥に行ったところにある、
見るからに素行の悪そうな連中が群れている酒処を見つけ、堂々と入っていった。

案の定、悪ぶった連中が絡んできたが、魔理沙は虚勢を張り、頭に会わせろと言い放った。
ローブの中で八卦炉を汗ばんだ手で握り締めながら、通された奥座敷で頭に会うことができた。

魔理沙はローブのフードを取り顔を見せ、名前を名乗ると、頭は一瞬びっくりした様子だったが、
すぐにふてぶてしい顔になり、会談に応じた。
頭は魔理沙に対して紳士的に振舞った。魔理沙に気に入られたいのか。
好都合だ。
魔理沙は、自分の『女』を最大限に利用した。

話はとんとん拍子に進み、頭は魔理沙の『異変』まがいの計画を聞き――動機はごまかしたが――、
報酬の折り合いも付き、綿密な打ち合わせを何度も行なった。

その合間に、魔理沙は材料をかき集めて霊力封じの首輪を作ったり、
人里でちょくちょく餌を与えている猫の中から、使い魔にするために人懐っこい雄を三匹ほど連れ去ったり、
以前、永遠亭でパクってきた麻酔銃と薬箱を、自宅のゴミ山から発掘したりして、
その時に備えた。

霊夢は金にうるさい。
生活費はまとまった額を月に一度支給されているから、金には不自由していないはずである。
霊夢の唯一の趣味のようなものだろう。
人は趣味に脇目も振らず没頭するものである。
その点で言えば、魔理沙の儲け話に乗った霊夢は、まだ人間だといえた。

青年団に偽装したゴロツキ共は霊夢と一緒にアジトに向かい、
魔理沙は山頂に行くと見せかけて、こっそり一団の後に続いた。
霊夢は勘が鋭いので、慎重に距離をとった。
アジトへの道半ばで、霊夢が連中の正体に気付いたようだ。
派手な大立ち回りを見せている。
魔理沙はこっそり霊夢の背後に回り、
麻酔銃の引き金を引いた。

山中のアジト。
魔理沙は裸にひん剥かれた霊夢がいる大部屋の隣の小部屋に陣取り、
魔法の水晶玉で隣室の様子を観察していた。
眠らされている霊夢の顔が若干赤い。
この部屋の足元にある小さな穴から流し込んだ揮発性の高い媚薬の効果である。
魔理沙は頭達にパーティーを始めるように言った。

予想外に霊夢は強い。
おかげで、より強力な媚薬を部屋に流し込む羽目になった。
大部屋には、事が終わった後に霊夢を手当てするための薬箱を置いてあるが、
連中も使うことになった。
水晶玉には、袋叩きにされている霊夢が、男達の足の隙間からかすかに見える。
許せよ、霊夢。
利き腕を折られ、これだけ痛めつけられれば、肉体的、精神的に博麗の巫女はリタイアせざるを得ないだろう。

霊夢が陵辱されるのを見て、魔理沙は欲情してしまった。
媚薬がこちらの部屋にも僅かながら流れ込んだせいもあるだろう。
霊夢に対する偽装の意味も兼ねて、霊夢と一発ヤッてきた頭に、
魔理沙は一糸纏わぬ、まだ幼さの残る肢体をさらけ出し、交わることを求めた。

頭は霊夢に大量に射精したというのに、魔理沙の体に勃起していた。
頭は、これまでに何度も魔理沙と交わっているというのに、
童貞が始めて女体を知ったかのように魔理沙の体を貪った。
魔理沙は、体で男の荒々しいまぐわいを、
目で霊夢の惨状をそれぞれ楽しみながら昂ぶっていった。

本当に、霊夢は、反則的なまでに強い。
霊力封じの首輪が効いていない。
やはり、あんな玩具じゃ、博麗の巫女の力は抑えられないか。
頭達がこちらに逃げてきた。
魔理沙は、使い魔とした猫達に呪文を唱えて巨大化させると、
『予定通り』、頭を初めとした男達を始末させた。

猫達が霊夢に向かっていく。
霊夢を殺すことなく犯せ、と命じてある。
多少の怪我は我慢してもらおう。
念には念を入れて、とびきり濃い媚薬をありったけ、隣の部屋に流し込んだ。

三匹の巨大な猫に翻弄される霊夢。
水晶玉で地獄のような光景を見ている魔理沙の指は、自分の秘所をまさぐっていた。
魔理沙は、頭に抱かれた時の何十倍もの快感に酔いしれた。

霊夢、霊夢、霊夢ぅ、れ、霊夢ううううぅぅぅぅぅ!!!!!

びくっ、びくっ!!

化け物に無理やり絶頂に押し上げられた霊夢を見ながら、
魔理沙も自分の指で達した。

そろそろ頃合か。
魔理沙は服を素肌の上に適当に羽織ると、
帽子に水晶玉をしまい、
自慰の余韻でふらつく足取りで隣室に行き、
猫達を始末した。

気を失いかけた霊夢を屋外に出した後、
一旦屋内に戻り、ポリ容器に入った液体を男共の遺体に重点的にかけながら、周囲に撒いた。
この液体は、香霖堂にある外界のストーブに使用されている燃料を盗み出し、
精製し、様々な薬品を混ぜ合わせて作られた、魔理沙特製の燃焼剤である。

魔理沙が放ったマスタースパークにより、アジトはあっという間に炎に包まれた。
霊夢を自分の体に縛りつけた魔理沙は、出せる限りのスピードで永遠亭を目指した。
隙を見て麻酔銃を元の場所に返した後、霊夢の無事を祈ろう。



霊夢が、真の自由を得ることを、祈ろう。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「私は、霊夢に、自由になって欲しかったんだ」

「魔理沙、何言ってんの?」

「お前が博麗の巫女の責務に苦しんでいることは知っている。
 博麗の巫女だというだけで、人間からは敬遠され、妖怪達ばかり寄ってくる。
 私は……、お前をそんなクソッタレな状況から、救い出したかったんだ」



影は体を震わせ、事件の動機を吐露している。

少女は、今まで無表情だった顔に、疑問と若干の嫌悪を浮かべた。



「意味分かんない」

「分かれよ!! 私が!! お前を!! こんなにも心配して!! 愛していることを!!」

「……魔理沙、あんた、言っている事と、私にした事が、全然違うんだけど」

「同じだろ!! 博麗の巫女を辞めるには、妖怪退治と血筋を残すことが出来なくなればいいんだ!!
 そして、お前が巫女の仕事を心から嫌がれば、新しい巫女の指導とかもやらなくて済む!!
 紫だってお前のザマを見れば無茶は言えないだろう!!

 どうだ!! 私の完璧な計画!! これでお前は博麗の巫女を辞めて、普通の女の子として生活できるんだぜ!!」



影はシーツの向こうで、大げさな身振りを交えながら力説している。

少女の顔には、さらにあきれた様な表情が追加された。



「あんたが言ったような有様になった女に、普通の暮らしなんて出来ると思ってるの?」

「え」

「手も足も不自由で、子供も産めなくて、厠にも一人で行けない、

 そんな人間に、普通の暮らしが出来るのかって、聞いてんのよ!!」



少女はシーツに向かって怒鳴った。

シーツに映った影は、右手の指で頬を掻いた。



「あ……、あ〜、その事なんだが……、私に良い考えがある」

「どうせ、ろくでも無い事でしょ」

「言わせろよ、霊夢。こうなったのも、全て私のせいだ」

「分かってるわよ。そんなこと」

「だから……、私が、巫女を辞めたお前の面倒を、生涯かけて看てやるぜ!!」

「何、それ? プロポーズのつもり?」

「そのつもりで言ったんだぜ。で、返事は!?」



少女は、シーツに近づいた。



「魔理沙……」



シーツに映る影が大きくなった。



「霊夢……」





霊夢の右手から、松葉杖が離れた。





「良いお友達でいましょう」

ばすばすばすばすばすっ!!

「あ!? がっ、ひゅ!!」





穴だらけのシーツに大写しになる影。

魔理沙はシーツを掴み、物干し台ごと倒れこんだ。

霊夢は右手に握った、全弾撃ち尽くした麻酔銃を投げ捨てると、
ギプスで固められた右足に気を配りながらその場に座り込み、
うつ伏せに倒れている魔理沙を抱き起こした。

「あ、あ゛……」

「この麻酔弾ね、用法、容量を守って正しく使えば、撃った相手を安全に眠らせることが出来るけれど……」

霊夢は、魔理沙の胸から腹に刺さった麻酔弾を一発一発抜きながら、話し続けた。

「ぁぁぁ…………」

「間違った使い方をすると、相手を永遠に眠らせることが出来るんだって。
 例えば、本来一発で十分なのに何発も撃ち込むとか……」

霊夢は、口から泡を吹き、虚ろな目をした魔理沙の顔を覗き込んだ。

「ぁ……、ぁぁ…………、……」

「魔理沙、あんたが私に抱いた感情は、友情、愛情、哀れみ、羨望、その他諸々。
 それらが、混ざり合い、変な方向に暴走しちゃったものよ。
 まあ、平たく言えば、『狂気』って奴ね」

霊夢は、呼吸が止まりつつあり、目から光が消えつつある魔理沙を膝枕してあげた。

「……………………」

「何でこんな事になっちゃったのかしらね。

 外界から結界を通ってきた毒気に当てられた?
 魔法の森の瘴気にヤられちゃった?
 マジック・マッシュルームでもキめたの?
 召喚魔法に失敗して悪魔に憑かれた?

 ……でも、まあ、これで……」





霊夢は、事切れた魔理沙の両目を閉ざした。





「私に対する執着から開放されたわね。

 良かったわね魔理沙。自由になれて」





霊夢は、晴れ渡った空を眩しそうに見上げた。





私はもう少し、

幻想郷での束縛された生活を楽しませてもらうわね。




 
急に、産廃分欠乏症に罹りましたので、時間ばかり無駄にかけて書き上げました。
でも私の文章能力では、これが限界です。


2011年2月22日(火):コメントの返答追加

>1様
そういう意味だったのですよ。
他人に自分の価値観を押し付けては、いけませんよ。

>2様
そうじゃなきゃ、吸血鬼に忠誠を誓ったり、便利な文明社会を捨ててまで幻想郷に来たりしませんよ。
確か、半人前の庭師も辻斬りをやってたとか…。

>3様
私の書く霊夢は殆どの場合、酷い目に遭いますが、まあ、死ぬことはありません。
そして、これからも霊夢は酷い目に遭い続けますよ〜。

>4様
今回の事件は、魔理沙の霊夢を思う気持ちが歪んで暴走した結果ですから。
霊夢の手にかかったんだから、魔理沙は幸せに逝けたでしょう。

>5様
魔理沙は墓地送りになりました。

>イル・プリンチベ様
霊夢のことを思うがゆえに鬼畜な行為を行う魔理沙と、そんな親友の責めに耐えた霊夢。
二人とも、お互いを大事に思い、そしてイかれています。
紫もそういう事態にならないように、霊夢のケアをしたり、幻想郷を見回ったりしている筈なんですけどね…。


2011年4月11日(月):コメントの返答追加

>7様
霊夢はヤるときはとことん、感情を殺せますからね〜。
言いがかり同然の推理をお楽しみいただけ、光栄です。
こんな無茶苦茶な陵辱シーン、実用に耐えうるか心配でしたけれど、そう言って頂き嬉しく思います。
NutsIn先任曹長
作品情報
作品集:
24
投稿日時:
2011/02/14 17:37:59
更新日時:
2011/04/11 21:49:27
分類
霊夢
魔理沙
暴行
集団レイプ
獣姦
こじつけ同然の推理
分かりきった犯人
無茶な動機
1. 名無し ■2011/02/15 12:49:37
ああなるほどタイトルはそういう意味か……とラストの展開を見て納得した。
魔理沙の価値観はわりと正常だったと思うけど……霊夢には霊夢の考えがあったか。
2. 名無し ■2011/02/15 14:27:44
霊夢も魔理沙も壊れている・・・
霊夢も壊れているから博麗の巫女なんてやってられるし、魔理沙も壊れているから・・・
登場はしてないけど、メイド長も現人神も・・・
壊れているから歪んだ幻想郷でやっていけるのかもしれませんね・・・
3. 名無し ■2011/02/16 03:00:34
不幸だけど精神的に強い霊夢が格好良い。
いろんな目に遭うけど屈しない先任曹長の霊夢は凄い。『幻想郷の皆に祝福されて』の球根とか斬新で感心した覚えが。

これからも酷い目にあってくれい。
4. 名無し ■2011/02/17 14:38:47
霊夢の境遇ひでぇって判断するところまでは真っ当だったけど
その後がいろいろと狂いすぎてたな魔理沙。
実際霊夢って原作でも不幸で、でもそれに負けない奴だからこの展開には納得
5. 名無し ■2011/02/18 16:55:33
紫「トラップカード発動!
  霊夢の境遇を開放し様とした者の正気と狂気を入れ替える!」
6. イル・プリンチベ ■2011/02/19 07:58:39
霊夢と魔理沙の考え方に分かり合えないほどの違いがあったことで、こんなことになってしまったわけですね。
魔理沙ちゃんも狂っているんですが、霊夢ちゃんはわけのわからないうちに巫女なんてやらされているから、どうしてもイカれてしまうんでしょうね。
一番悪いのは霊夢を巫女として影から操っている紫ですが…
7. 名無し ■2011/04/07 23:47:13
最後のオチはビビったな
霊夢が魔理沙ぶっ殺すまではまだあり得るかと思ったが、その行為を淡々とやるのが怖い
推理パートもおもしろかった
そしてなによりエロシーンがまっとうにエロかった!
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