Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『鬼畜たちの館【 後 】』 作者: 木質
スカーレット家の館
広間の長机に掛けるレミリアと父の前には5人の少女が横一列に並ばされている
化粧を施され、優雅なドレスを着せられた少女達全員が恐怖で震え慄き、今にも泣き出しそうなのを必死に堪えていた
「調理のほう、いかがなさいましょうか?」
執行人が尋ねる
「二番目の子は万力で頭を潰しなさい。脳みそと血をブレンドしてスープにするのよ」
そう指示したのはレミリアであった
「一番目と四番目の娘は両手足を切り落として、焼けた鉄板の上で躍らせなさい。ボイルされた心臓を私とお父様に一つずつ差し出して」
指を指された二人はその場で泣き崩れた
「三番目も処女?」
その問いかけに執行人は静かに頷いた
「なら犯しなさい。処女膜を破いた瞬間に斧で首を刎ねて。たまには非処女の血が飲みたいわ」
残酷な宣告を受けた少女は失神した
「五番目は抜歯し、頭髪を抜いて、爪を剥がし。全身を綺麗にしてからミンチにしなさい」
「かしこまりましたお嬢様」
執行人が恭しく頭を下げると、部屋に数人の助手が入ってきた
一番目と四番目の少女から調理が始まった
台に押し倒された二人は必死に抵抗するも相手は屈強な男達、抵抗のうちに入らなかった
押さえつけられてすぐに良く砥がれた鉈の一振りで手首を飛ばされる。タンッというリズミカルな音と同時に、少女の叫び声が上がり、四肢と血が舞う
体の先端を失った二人は炭火で熱せられた鉄板の上に放り込まれた
板の上でのたうち踊り狂う二人、切断面から流れる血は鉄板に触れた瞬間すぐに蒸発する
どれだけもがこうとも鉄板の周囲には柵が設けられており、脱出は不可能であった
彼女たちが血をばら撒きながら踊っている間に、執行人は次の料理に取り掛かった
二番目の少女は足を縄で縛られて逆さ吊りにされる。彼女は首を振って振り子のように暴れるため、執行人の判断で両肩の関節を外された
痛みで朦朧とする娘の頭が万力が挟まれて、一気にハンドルが回された。頭蓋骨がペキパキポキと音を立てて砕けていく
叫び声を3秒間もあげることが出来た彼女はきっと精神力が強い部類にはいるのだろう、叫び終わってからは足をビクビクと痙攣させるだけだった
万力の下には底の深い受け皿があり、レミリアの要望通りに脳みそと血が混じった液体が溜まっていく
執行人の助手が何度も網を通して、中に紛れ込んだ毛と骨の粒を丁寧に取り除く
三番目の娘は首もとにナイフを突きつけられ、目の前に立つ男のペニスに奉仕するように脅されていた
今まで男性器さえまともに見たことの無い少女に、半勃ちのソレはこの世のどんなものよりもおぞましく見えた
たどたどしく舌を這わせて、言われた通りに飲み込み舌を絡めて首を前後させる
彼女の努力の甲斐あって、男のそれは十分に怒張していた
獣の交尾のような後ろ向きの体位で処女を失い、痛みと恐怖で顔を引き攣らせたまま、同時に振り下ろされた斧で命を失った
執行人は斬首された少女の体を丁寧に抱えあげる、それは彼女が生きていたときよりも丁重な扱いだった
血が必要以上に零れないように注意しながらレミリアと父の前にやってきて、断面から溢れる血をテーブルの上の盃に移す
「まずは食前酒です。苦味の強い非処女の血のほうが食欲が増すと思いまして」
血の溜まった盃を手に取り、父の手元のグラスに注ぐ
注ぎ終えた頃に給仕がトレイを運んで来た
「こちら、頭を潰された少女のスープです」
ドーム状の蓋のクロシュを外すと紅いゲル状のものが皿に盛り付けられていた
加熱されているのか、ほんのりと湯気の立っている
「いただきましょうか。他の料理もじきに出来るでしょう」
「うむ」
親子がグラスで乾杯したとき、大きな叫び声が聞こえてきた
その方を見ると、十字架に磔られた五番目の少女が半狂乱になって泣き叫んでいた
口を器具で強制的に開けられて、ペンチで一本一本奥歯から順番に抜かれている
抜歯と同時進行で爪剥ぎも行なわれており、二人の助手が右手と左手をそれぞれ受け持ち、爪と指の間に細長い鉄のヘラを差し込んで貝の身でも取るかのように、綺麗に爪を
指から剥離させていた。まだ足の爪も残っているため、彼女の痛みはまだまだ続く
歯と爪が剥き終ると、彼女を受け持っていた全員が髪の毛を掴んだ。掛け声の後、彼女の髪は四方八方に引かれブチブチと音をたてて毛を頭皮ごと引き千切られた
想像を絶する痛みの連続で気が触れたのか、彼女は涎を垂らしながら狐憑きのように目をギョロギョロと動かしだした
磔台から解放された彼女はそのまま、人間が一人納まる特注の大きな手動ミンチ機に足から入れられてた
装置が動きだし、足先から呑まれていった。両膝あたりが潰されるまでその目はギョロギョロ動き続けた
腹あたりまで潰れると、全てを諦めたかのようにぐったりと前向きに体を傾けた
挽肉になった彼女の体は、骨が取り除かれた後、親子にハンバーグとして振舞われる予定である
その光景を見ながら啜っていたスープが空になると、次なる料理が運ばれてきた
「炎に踊った乙女のハートです」
テーブルの上に、スライスされ香辛料で味付けされた心臓の乗った皿が二枚置かれる
部屋の隅の台座の上には黒こげになった塊が二つあり、塊の中心部分には穴が開いている
しばらくしてミンチにされた少女のハンバーグが届けられた
出された料理の大半を残し、親子の食事は終了した
「いかがでしょうかお父様。私なりに趣向を凝らしたのですが」
「悪く無いよレミリア」
「恐れ入ります」
口元を拭きながら評価を下す父にレミリアは畏まった
「しかしこれだけだと、甘いものが欲しくなる」
「もちろん。用意してありますわ」
レミリアはテーブルの上に座り、父と向き合う
「さあ、お召上がり下さい」
焦らすようにスカートを捲くった。そこは下着は身につけておらず、幼い恥丘がひくついているのが良く見えた
「今のを見ていたらこうなってしまいました。ここから先はお父様が調理してください」
そのセリフの後、レミリアは父の手を取り、その指をしゃぶりはじめた
「あ・・・・んん」
テーブルに腰掛けて、スカートのはだけさせる娘の秘所を父は指でなぞる
「今日は良く働いてくれた。そのうえこんな極上の料理を出されて父親冥利に尽きるというものだ」
「私は自分がしたいことを正直にしているだけ。お父様の教えを守っているだけですわ」
この日、国内で最も栄える都市が襲撃を受け一万人以上の死傷者が出た
罪の無い市民達が剣で斬られ、槍で突かれ、矢に射られ、犯され、財産を盗まれ、家を焼かれた
人々が逃げ惑う姿はこの世の地獄であった
一連の襲撃を企てたのは父であった。父の放った部下が都市の人々を恐怖のどん底に突き落とした
レミリアも父の命を受け都市の西側を大勢の部下を引き連れて襲撃した
思いつく限りの、出来る悪事は全部実行した。立ち向かってきた国の兵士は全員返り討ちにしてやった
狂気に呑まれて暴れに暴れた。途中から全員、わけがわからなくなり味方の区別も忘れて、視界に映るものは片っ端から殺しにかかった
朝日が顔を出し逃走の時間となり、去り際、置き土産といわんばかりに大量の油をばら撒いて火をつけた
この日の風向は西から東に吹いており、その炎が都市を包み込んだ
被災地の火は未だに消えることなく燃え続け、父とこうしている今も確実に市民の命を奪っている
「あとは私がマスコミを煽り号外をばら撒く『魔女狩りが横行し、夜盗が蔓延る。このように世が乱れているのは、政治家が自分の利益しか考えていないからだ』とね」
「あ、はぁ。ちょっとした革命が起きますね。あンッ」
「そう。民衆のために粉骨砕身する善良な政治家が、妻と我が子を道連れにして絞首刑に処される。これまで守っていた民衆のたちの手でね」
興奮するだろうとレミリアに問いかけながら、膣に入れた指をくの字に曲げた。親指で肉豆をこねるのも忘れない
「キャウッ! そ、その後は?」
「私の友人、利益だけを求める悪質な政治家たちが、善良な政治家に代わって世間を統治する」
「素敵ですね。あ…く、クウウウウウゥ・・・・!」
レミリアは目をギュッと閉じた
「おや? 指だけで果ててしまったのかい?」
そう言いながらも指で責めるは止めず、絶えず彼女の敏感な部分に刺激を与え続ける
「申し、訳ありませ・・・・・んっ」
「その気持ちがあるのなら、もっと股を開きなさい」
「お待ち下さい。まだ体から波が引いていません。どうかご容赦を」
「だからいいのだよ」
父は強引に自分のモノを娘に突き入れた
「あぐうっ」
内臓がせり上がる衝撃にレミリアは目を開く
「いい具合だ。フランドールもこうはいかまい」
「フランドール?」
その名を聞いて、レミリアの声のトーンが変わった
「ねえ、お父様。お願いがありますの」
「なんだい言ってごらんなさい。叶えてあげよう」
「フランドール、あの娘を私にくださいな」
父の首に手を回し、耳元で囁いた
「それはまたどうしてだい?」
珍しく父は意外な顔をした、レミリアの口から彼女の名を聞いたのは数年ぶりだったためである
「お父様だけアレを玩ぶなんて不公平だわ」
「じゃあお前にフランドールを預けると彼女をどうしてくれるのだい?」
「お父様のお立てになった計画はもうすぐで成就するでしょう? そうしたら皆でパーティをしましょう。盛大な晩餐会を」
「そうだな。同志を招待して夜通しの乱痴戯騒ぎをしよう」
同志とは今話した悪徳政治家たちのことである。彼等も父と同様、他者の不幸と血を好む外道の塊であった
「その宴でフランドールの処刑を開催しましょう」
「なに?」
父は腰を止め、訝しげな表情をする。すかさずその耳をレミリアは甘噛みして語りかけた
「彼女を生贄にするのです。祝いの席に担ぎ出す物の中で、これ以上のもてなしがありましょうか?」
「そうだな。さぞ、同志は喜んでくれるに違いない」
レミリアの腰を掴み、自分の方へ思いっきり抱き寄せた
「んんッ! ・・・・・ど、どうです? 面白いと思いませんか? ふっ、あっ」
「ああ、最高だ。良すぎてもう出てしまいそうだ」
「下さいな。お父様の全部、注いでください」
小さな足で父の腰を捕まえる
「ふうっ」
「・・・っ!」
父の性を受け止めたレミリアは体を震わせた。そのまま力尽きて、テーブルに背中から倒れる
「私はフランドールを忌々しく思っています。昔は愛しておりましたが今は違います。お父様から悪を学び、あんなものは藁以下の価値しかないことを知りました」
かつて父が遠出をしている間に妹を連れて館を逃げようとして失敗したのが5年前
その日を境にレミリアは変わってしまった
父にすっかり従順となり進んで悪事に手を貸し、積極的に父から残忍性を学ぶようになった
妹のことなど一切気に掛けなくなり、会いたいという素振りを見せないどころか、話題にもしなくなった
それどころかフランドールの話を父がすると、途端レミリアは不機嫌になり、フランドールを侮蔑する言葉を口にするのである
「どうでしょう。今回のパーティの段取り。すべて私に一任してはいただけないでしょうか?」
レミリアは妖艶に笑い四つんばいになり、父に尻を向けた。秘所からはまだ注がれたばかりの精液が滴っている
一度の射精では父のモノは一度だけでは満足していないようようで、また固さを保っていた
「これまでお父様から授け育んでくれた“悪”をその晩餐会で発表したいのです。お願い致します」
菊座にペニスをあてがう父にお伺いを立てる
「ふむ。私もこれからの事でパーティの準備まで手を回す余裕が無いからな。良いだろう」
ヒクつく不浄の穴に、父の逸物が挿入される
「あ、きゃう・・・・ありがとうございます」
小刻みに震えるレミリアの両翼を掴み、彼女を前後に揺する
「ではお前に“収容所”の鍵を貸そう。それがあれば中の者を好きに出来る」
「それと、フランドールの・・・ふっ、ぃ、地下室の鍵もくださ、ひぃ」
「駄目だ。あれは私の所有物だ」
「そ、んな。はぁ、ふう」
「そう急くな。心配せずとも、晩餐会が始まる前には鍵を渡そう。あれを連れてくる役目は譲る」
その言葉の後、レミリアの直腸は収縮運動をはじめ、父を射精に導く
父の精力は衰えることなく、七度目の射精でようやく親子の繋がりは終わった
父と楽しんだレミリアは、父と自らの体液で汚れた体をメイドに清めさせた後、自室に戻るなりベッドに横になった
「ふーーっ」
全身の気だるさを溜息にして吐き出す
(寝よう、明日から忙しくなる)
そのまま目を閉じた
父とのまぐわいで、疲れた体は彼女をすぐに睡眠へと誘った
眩い月明かりの下
母と自分と妹の三人でお茶会を楽しんでいる
テラスに置かれた白い丸テーブルに掛けて、紅茶とクッキーに舌鼓をうつ
フランドールがクッキーを頬張っていると母はハンカチを出して、クッキーの食べかすで汚れた妹の口元を拭った
妹には淑女としての自覚が足りないと思っていた矢先、母のハンカチは自分の口元に近づいてきた。どうやら自分も妹をどうこう言える立場ではなかったようだ
娘二人からそれぞれ感謝の言葉を貰った母は、優しく微笑んだ
しかしその直後、母の表情から笑みが消えた。母子の前にあの男がやってきたのだ
男は目線と首を動かす僅かな動作で、母について来るように命令した
母は娘二人の頭を撫でた後、寝室に戻るよう言って、男と共に歩いて行った
これが生きた母を見た最後の姿だった
ここでレミリアは目を覚ました。時計を見ると自分は三時間ほど眠っていたようだ
再び目を閉じることなく、ベッドから体を起こして普段着に着替えて部屋を出た
(今から、一分、一秒と無駄にはできない)
晩餐会の主催を任されたレミリアは、早速準備に取り掛かった
就寝中の従者数人をたたき起こして馬車を用意させ、小一時間ほど揺られて到着した先は、周囲を高い壁に覆われた場所だった
門をくぐるとまるでローマのコロッセオを思わせる円状の建物が彼女を出迎える
ここが先ほど父が口にしていた“収容所”と呼ばれる所だった
収容所は様々な手段・理由で捕えられた者の監獄だった。罪を犯して入れられた者もいれば、濡れ衣の者、権力者の手で言われも無い罪を着せられたものもいる
背中の羽を隠し、人間として入り口にやってくる
父から受け取った鍵を見せてから自分の身分を明かすと、数分後に看守の長が駆け足でやってきた
案内するように命令すると敬礼して大声で返事をした
収容所を裏で統括しているのはレミリアの父であるため、この対応は当然であった
看守数人を従えてレミリアは監獄を見て回る
ここに来た目的はパーティを彩る犠牲者の選別であった
来賓者は目が肥えている、それに見合う者を探すために、石牢の中を覗き窓から一つずつ見て回った
レミリアの眼鏡に適う者が居る牢にはチョークで印が付けられていく
「 ? 」
途中、子供達が詰め込まれた牢の前で足を止めた。気になる者を見つけたのだ
(これは良い)
金色に輝く髪の幼い少女が目に入った。背丈は自分とほとんど同じだった
「おい」
看守から鍵をぶんどり、ほかの者を蹴り散らしながら少女に近づく。まだ夜明け前のため、子供達は寄り添うようにかたまって寝ていた
「お前にするか」
少女の髪を掴んで起こす、そのまま髪を引っ張り強引に彼女を牢から出そうとする
その際、周りにいた他の子供達が目を覚まして、彼女を守ろうとレミリアに抵抗する仕草を見せたが、レミリアの一睨みで全員が大人しくなった
今まで牢の前でチョークで付けるだけだったレミリアが、中まで入り囚人を連れてきたため看守達は戸惑う
「理由あって、コイツだけ別の部屋にしたい。まだ空いている房はあるかしら?」
個室に案内するように命じる
「申し訳ありません。今はどの部屋も・・・」
「なら殺して空けろ」
「しかし・・・」
「わかっている。こっちも無理を言っているのは重々承知よ、だから」
渋る看守たち全員の胸ポケットに賄賂をねじ込むと、塔の一番高いフロアにある監獄にレミリアを案内してくれた
老人と老婆の合計3人が収容されていた。三人とも眠っている
入り口にいる一番近い老婆の頭を掴むとそのまま手を閉じた。指と指の隙間から白色の脳漿がはみ出る
その隣で寝ている老人は胸を踏み砕いた。一番奥の者は首をへし折った
壁には鉄格子付きの窓があったが、レミリアはそれを事も無げに捻じ曲げて、開いた隙間から三人の死体を投げ捨てた
「さ、入って頂戴」
老人の死体の掃除を看守に命令して、牢の中で少女と二人きりになる
他人の目が無くなった途端、彼女はボロボロと泣きながら訊いてもいない身の上話を始めた
自分はもともと親の顔すら知らない捨て子で、浮浪児だったところを孤児院に引き取られ、同じ境遇の子達と暮らしていた。だがある日、そこで働く女性の一人に魔女の容疑
がかかり、ここに押し込まれたとのこと
「喋るな」
レミリアの振るった手が少女の鼻先を掠めた。それだけで彼女の鼻の穴から血が垂れだす
遅れてきた痛みで蹲る彼女の脇腹を蹴飛ばす
悶絶している間に部屋を出て、鍵をかけた
「チョークでマークした部屋の番号の囚人を全員。一週間以内にスカーレット家に届けろ。全員『病死』したとでも記録しておけ」
看守の長とその部下たちにそう命じる。老人の死体の片付けに回っている者にもそう伝えておけと命令した
目の前の幼い子供から醸し出す威風堂々とした貫禄と気概に、その場にいた大人達は情けなく首を縦に振るだけだった
「それと、最上階にいるあの娘。あれに与える食事は、この塔で一番豪華なものにしろ。一日でも怠ってみろ。ここに詰め込まれるのは自分達だと思え」
夜が明けてもレミリアは館に帰ることはせず、馬車に積んであった日よけのローブを羽織るとパーティで使う食材を買い付けるために市場に馬車を向かわせた
館に帰ると、付き添わせた従者たちに仕事を割り振って、晩餐会の準備に取り掛からせた
レミリアがパーティの段取りを任された数日後、父の目論見どおり、政治に怒り狂った市民達の手による正義の鉄槌で政治家は一族もろとも処刑された
この知らせを従者から聞いたレミリアは、父にも知らせるべくその姿を探す
何人かのメイドに尋ねたら、地下室に向かったというのが濃厚であった
「・・・・・・・」
虎穴に飛び込むような表情でレミリアは地下に続く通路を進む
ここに足を踏み入れるのは数年ぶりであった。久しぶりに通る道ではあったが、迷うことは無かった
最奥の部屋まで辿り着く、鉄製の扉が僅かに開いており、そこから覗き込む
父がフランドールで楽しんでいる途中だった
「お父様」
「おや、どうしたんだい?」
本来、この地下室は父の許可が無ければ来てはいけないルールになっていたが、それを咎める声色ではなかった
「すみません。ですが急ぎお耳に入れたいことが、本日の午後・・・」
「街の広間で政治家たちが一斉に処刑されたのだろう? そろそろ知らせが入ると思っていた」
「ご存知なのですか?」
「市民を扇動させたのはこの私だ。では処刑の日と場所を決める権利を持っていても当然ではないかね?」
父は狡猾で人身掌握に長けているのを、レミリアは身をもって教え込まれている
ひとたび罠をしかければ相手はまんまと引っかかり、尋問も得意で卑怯な言葉をいくつも使い相手を言いくるめてしまう
吸血鬼の力以上に、それらの力は厄介だった。この男以上に頭の回る者を彼女は知らない
そんな彼にとって、一週間も満たない間に街に住む市民の大部分を思惑通り動かしてしまうことなど、造作も無いのだろう
「パーティの準備は順調か?」
「はい。すべて揃っております」
「そうか。では明日の夜、新しい門出を祝した晩餐会だ。これから同志となる者たちに招待状を出しなさい」
それだけ言うと父はフランドールに向き直る
「これで遊ぶのも今夜が最後になる」
彼女は先端が丸い三角木馬にうつ伏せで寝かされており、彼女の宝石が付いた歪な羽は天井から伸びる鎖で吊られ固定されている
レミリアに向けられている下半身の両穴には、細い棒状のものが何本も詰め込まれている
父は相変わらず手に手袋をしていた
「どうせその内、飽きて捨てる日がくるんだ、これくらいの時期に手放しておいた方が良いのかもしれないな」
妹の姿を間近で見るのはあの日以来、五年ぶりだった
フランドールの体をまじまじと見る
傷と痣だらけになろうと、数時間後には全て治りきる体
長きに渡る地下での虐待生活であるにも関わらず、彼女の体は美しかった
肌は透き通るように白く、暗い地下の中では光を放っているかと錯覚しそうになる
「レミリア、早く行きなさい」
「まあ、そう仰らず」
レミリアは地下室の中に踏み込む
「明日は忙しいので、今のうちに今生の別れをさせてはいただけないでしょうか? これでも姉妹なのですから」
「生憎とそれは敵わない」
「 ? 」
フランドールを側面から見てわかった
「確かに、これでは会話は成立しませんね」
彼女は顔にゴム製のマスクを取り付けられていた。顔の輪郭がはっきりとわかるほどマスクは顔に密着している
口に空いた小さな穴から酸素を必死に取り入れる呼吸音が聞こえる
「会話が出来ないのなら」
レミリアは高く飛んで、天井に掛かっている凶器を一つ外した。ノコギリだった
それを羽の根元にあてがい、父の見ている前で引き始めた
「ォゥ・・・ブッ! アァ、ッカ!!」
それがマスク越しで挙げられる妹の精一杯の悲鳴だった。その声を聞く父はとても心地良さそうに目を閉じた
「まるで豚の鳴声だな」
二本の羽はすぐに切り倒された。鎖で吊られぶらぶらと揺れるそれをレミリアは抱きかかる
「その羽をどうする?」
「灰になる前に固定し、部屋に飾ろうと思います。この羽を見るたびに、私に妹がいたこと、その妹を残虐な方法で死なせたこと、それらを鮮明に思い出せるからです」
お邪魔しました、と振り返りお辞儀をして、レミリアは地下を出て行った
部屋に戻ったレミリアは、父に宣言したとおり羽を加工したあと、パーティの招待状を封筒に詰め信頼できる従者に配りに行かせた
晩餐会当日。館の広間ではメイドたちが慌しく準備に取り掛かっていた
招待される者はごく少人数にも関わらず、部屋の飾りつけや料理の準備などに普段のパーティ以上の人手と労力を費やしていた
広間の隅では力自慢の男たちが布の包まれた何かを運んでいる
メイドたちはそれが何に使われる物かを知っていたため。極力彼等とは関わらないように自身たちの仕事に専念した
会場の準備を他の者にやらせている間、レミリアは地下室の鍵を父から受け取りフランドールのもとに訪れていた
彼女は審問椅子に手足を固定されたままの状態で眠っている。背中の羽は未だに再生していなかった
父が猛獣用の強い睡眠薬が打ったため、パーティの時間まで目が覚めることは無いと聞かされていた
「お別れね」
妹の体を審問椅子から剥がして抱きつき、頬に口付けする。羽はまだ再生しておらず見た目は普通の少女だった
背負い、晩餐会の舞台裏にフランドールの姿を隠す
そんなとき、従者から収容所から馬車が届いたという知らせをレミリアは受けた
「ようやく来たのね、待ちくたびれたわ」
レミリアは今日犠牲になる者が詰め込まれた十数台の馬車を一台一台確認していく
その中には、特別扱いしていた金色の髪の少女も混じっていた
来客の前で遠慮することなく羽を披露するレミリア
彼女の衣装は体の曲線がはっきりとわかる白いドレスだった。
胸元が大きく開け、足から腰にかけてスリットが入っており、ドレスの生地自体も薄く、目を凝らせば淡い色の乳房の先端が浮き出て見えるほどである
普段の社交場なら『場にそぐわない衣装』と非難されが、今日ここで行なわれる宴はそんな良識的なものではない
「スカーレット家の晩餐会に、良くぞお集まりいただきました」
色鮮やかな料理が所狭しと並べられた巨大な円卓には、八人の者がついていた
一人は父。他は今後、世の中を牛耳っていくだろう政治家とその妻だった。父が仕掛けた罠にかかった善良な政治家にとって代わる者たちである
全員が白い衣装に身を飾っている。レミリアが招待状で白い衣装を着てくるように指定したためだ
「今宵は皆様に最高の一夜をお届けしましょう。皆様が最も好むものをご用意しました」
手を広げ、体を左右に振り、部屋の四隅を見渡すように促した
北側には首を木板で固定された美しい少女たちが、天使を思わせるような純白な衣装と黄金の冠を着けて並べられている
東側には両手を手錠につながれた青年たちが、剣闘士を思わせる帷子を身につけて台の上に立たされている
南側には10才以下の童たちが性別の区別なく檻に押し込まれている。童話に出てくる小人のようなカラフルな衣装を着せられている。しかし衣装は上着だけで少し動けばあ
られもない姿をさらすようになっていた
西側には人外、人と変わらぬ姿をした妖怪が鉄製の拘束具で動きを封じられていた。凶暴だと事前に認識されている者は、最初から目を潰されている
「全員が、皆様の号令一つで命を落とします」
それぞれの区画には執行人とその助手が同じ人数割り当てられており、来賓の命に従うようになっている
「殺してもまだまだ補充がききますのでご心配なく、欲するまま快楽を求め、どうかその白いお召し物を存分に血で染め上げてください」
こうして盛大な宴が開かれた
様々な方法で殺されている犠牲者達
部屋の隅には幾つもの首が転がり、余った体が捨てられ、血の色に壁とカーペットは模様替えされていった
全員がそれぞれ持つ殺人の美学を語り、趣向の利いた拷問や処刑を執行人に命じ、時には自らの手で実演する
狂いに狂い、殺しに没頭しすぎて、勢い余って執行人とその助手まで殺す者も出てきた。しかし誰もそれを咎めず、むしろ賞賛した
全員の衣装が余すこと無く真っ赤に染まりあがった頃
「ミスレミリア」
「いかがなさいましたか次期議長」
新しい院のトップとなる豚のように肥えた中年がレミリアの肩に触れる
「殺しを楽しんでいたら、儂はもう我慢できなくなった」
レミリアは殺すことは許可していたが、まぐわうことだけは参加者に硬く禁じていた
「儂だけじゃない。他の者ももう限界だ。このままでは理性が跳んでどんな間違いをしてしまうか」
「ご心配なく、ちゃんとご用意してあります」
レミリアが合図すると、目隠しされた金色の髪を持つ少女が連れてこられた。赤の目立つ洋服と膝までしか丈の無い短く赤いスカート
目隠しで顔の大部分が隠れているため、どんな顔をしているのかはそれを取るまでわからない。耳栓もされているようで、周囲の状況を理解していないようだった
「この娘は?」
「私の妹のフランドール・スカーレットでございます」
「伯爵の娘は君だけでは?」
レミリアは参加者に、フランドールの生い立ちを出来るだけ憐憫さを催すように口上に気をつけながら説明した
「皆様の性欲を我が愚妹で解消してください」
妹の洋服は執行人の手で剥ぎ取られは一糸まとわぬ姿にされる
「そして皆様の手によって可愛がっていただいたあと、本日の最大の催しを執り行いたいと思います」
「これ以上のモノがあるのか」
「はい。皆様の前で、妹を処刑するのです」
それを聞き、もうはちきれんばかりだった男達の逸物は、さらに大きさを増した
「処刑の方法は決まっておりません」
処刑するまでの過程も、誰がどんな方法でとどめを刺すのかも、その場の成り行きで決める。それくらい自由にこの娘を殺そうとレミリアは提案した
「なんと不憫な娘だろうか。こんな素晴らしい持て成しを受けたのは初めてだ」
目隠しの少女の元にレミリアが駆け寄るろうとしたとき、父が彼女の前に立ちはだかった
「 ? 」
この晩餐会で父は来賓との会話を楽しみ、晩餐会の進行自体にはここまで一切関わってこなかった
父の行動にレミリアは一瞬、良くないものを感じた。その予感は的中することになる
「更に精力をつけていただくために私から皆様に差し入れたいものがある。背徳の味をご賞味ください」
その言葉の後、大きなカートが部屋に登場した、給仕が3人がかりで押している
(なっ!!?)
カートの上の料理を見て、レミリアは驚愕した
それは収容所で特別扱いしていた金色の髪の少女だった
四肢は刺身に、胴体部はグリルで焼かれ、臓物は一つ一つ取り出してスープの具材にされていた
無傷な生首が調理された自分の体を虚ろな目で見つめている
(そ、そんな・・・)
レミリアの動悸が激しくなり、額から汗が滲み出る
(くそっ、やられたッ!)
今度こそ出し抜けると思っていた
憎らしげな目で父を睨みつけると、彼と目が合う。男は笑っていた
娘の立てた計画を粉々に打ち砕いたことを勝ち誇っている
レミリアは父に服従などしていなかった
五年前のあの日、父との力の差を知らされたレミリアだったが、諦めたわけではない
まともな方法では父を確実に殺せないと理解した。だから信頼を得ていつか隙を見せるのを我慢強く待った
母の仇討ち、妹の救出。この二つを完遂させるためにレミリアは父と同じ外道になることを決めた
レミリアは今回の晩餐会でフランドールの救出を計画していた
処刑うんぬんも、フランドールを外に出す口実だった
地下室の鍵は未だ父の手中である。父は妹を外に出す気は皆無であった。そのため、そう言う必要があった
彼女が立てた救出の手段を一言で説明するなら、それは『身代わり』だった
晩餐会当日に地下室から出されたフランドールと彼女に良く似た少女をすり替えて、フランドールを外に逃がす予定でいた
準備を取り仕切るのは全部自分であるため、すり替え事体は難しいことではない
前日に背中の羽をノコギリで切り落としたのは、人間の娘と入れ替えるためである
当然、父はフランドールが偽物であることに気付くだろう。しかし気付いた時、晩餐会は最高潮に盛り上がっている
同志が集う宴の中で、娘に騙されたことを触れ回るのをプライドの高い父が良しとするわけがないとレミリアは踏んでいた
フランドールを父の手の届かない安全な場所に移したら、自分も遠くに身を隠すつもりでいた
成功を確信していた
幸運にも背丈と髪質がそっくりな子を見つけることができた時、運命は自分に傾いていると思った
だがしかし
収容所で見つけた金色の髪少女は今、解体されてテーブルに並んでいる
この男は今回もレミリアの計画を全部見抜いていた
レミリアにとって最悪の形で計画の妨害を仕掛けていた
身代わりの少女を調理させて、遠くへ逃がそうとしていたフランドールを生贄の位置に戻すという最小の行動で
「人の肉はたまに食うが、ここまで美味いのは知らなんだ。流石は吸血鬼、人の食べ方を心得ている」
来客たちの胃の中に女の子だったものが納まっていく
同族の肉を食うという背徳感が客人を満たし、顔を紅潮させる
興奮した一人が少女の生首を手に取り自身の逸物をこすり付ける
「どうやら皆様、我慢できないようだ。フランドール、相手をしてあげなさい」
目隠しと耳栓としたままのフランドールを性欲の昂ぶった人間の下に放った
「待ッ・・・」
妹のもとに駆け寄ろうとしたレミリアを父は押し倒した
「謀ったな貴様!! ・・・・・ぅぐ」
自身に馬乗りになった男に全力で叫ぶが、すぐに手で口を塞がれた
「謀る? 妹を殺すとパーティの企画段階から言っていたのはお前じゃないか。パーティは滞りなく進行している」
フランドールを救いに行きたくても、父がそれを許さない
「レミリア。いつものように私のここを鎮めておくれ」
「誰が貴様のそんな汚いものに触れるか!!」
「何を言っているのだい? 毎晩自分から求めてきているじゃないか?」
父の力に敵うわけなどなく、レミリアの膣は簡単に侵入を許してしまった
「お前が妹のために、この数年間、悪魔の所業を行なっていたのは知っていたさ。飲んだ血も未だに隠れてバルコニーで吐き出しているのかな?」
男は知っていた、知っていてレミリアに悪事をやらせていた
「私に抱かれるのも不本意なこともわかっていた。なんだあの喘ぎ方は?値切った娼婦とて、もっとマシな演技をするぞ?」
彼女のこの五年間『父からの信頼さえ得られればチャンスが巡ってくる』と思い、ひたすら非情に徹してきた姿をこの男は心の中で嘲笑い続けていた
「五年前、お前が私に処女を捧げた時を覚えているか? 今のお前はあの時よりも良い顔をしている」
「貴様ァァ!!」
フランドールに自分たちの性交を見せ付けるのもこの男の思惑通りだったと話す
「実に愉快だった。私に抱かれたいと思っている女の目の前で、私に抱かれたくない女を抱いている。こんな滑稽な劇が他にあるか? あの女には感謝しないとな」
「死ね! 貴様は死ね!! 地獄に堕ちろ!」
「今、殺意をぶつけるべき相手は他にいるのではないか?」
「!?」
楽しそうに笑う男の目の先。フランドールは来賓に順々に犯されていた
レミリアは父に犯されながら、その光景をただ見せ付けられる
目隠しの外されたフランドールは、男の膝の上に跨って自分から腰を振っていた
「いい具合だよ。伯爵が仕込んだだけのことはある」
最初に奉仕している男は議長であった
「あ、あん、あ。く、ふーふー・・・・・・あぎッ!?」
議長はフランドールの肩口に思い切り噛み付いて、彼女の柔肌に歯型を残した
「や、やめて。優しく、して」
言葉など聞かず、咥えていた葉巻を背中に押し付ける
「あぎゃああああああああああ!!」
「もっと締めなさい」
「は、い」
「ちょっともの足りないなぁ」
少女を食べるのに使ったナイフで右の耳を刺した
「ィア!!」
「おお、締まる絞まる。こうでないと」
議長の相手を終えてたら、次の男に渡された
男の相手が終わったら、今度は婦人の相手をさせられた。婦人たちも彼女の体を可愛がった
全員が一巡し彼女の体を堪能したので、次は暴力を与えて楽しむことにした
男達は先ほど使った道具を担ぎ出して彼女の体を刃物で切り裂き、鈍器で殴打する
吸血鬼の再生能力が珍しいのか、傷が塞がる様を皆しげしげと観察していた
人外の現象に興奮した婦人たちが焼印を引っ張り出して、フランドールの体に捺していく
焼印に刻まれた文字には様々な種類があり、彼女の体には次々と女性を侮辱する言葉がスタンプされていく
這いずるように逃げるフランドールを一団は容赦なく鞭で打ち追いたて、へばったらまた犯し、犯されている最中もさらなる虐待を加えた
執行人に中央のテーブルをどかして、拷問で使った角材を寄せ集めて簡素な磔台を作らせ、そこにフランドールを縛り付けた
議員たちは彼女の細い足に料理で使うピーラーをあてがい、肉と皮を削いでいった
傷口はすぐに再生するため、『それじゃあツマラナイ』と再生箇所に鑢(やすり)をあてがい、傷口と同じ方向に擦り上げた
削ることに飽きたら、今度は巨大な鉄板を持ってきて、その上に炭火をこぼし磔にされて動けないフランドールをそのまま仰向けに寝かした
磔台ごと炎に包まれる
「お前ら全員八つ裂きにしてやる!!」
レミリアは父に、犯されるながら四肢の関節を外されており、自分の意思では立ち上がれなかった
「あれは間の無く死ぬ」
「なんでもする!! なんでもするからそれだけはっ!!」
「ならチャンスをあげよう」
「何?」
父はレミリアからペニスを引き抜くと立ち上がり、火に包まれるフランドールのもとまで歩み寄り、その中からフランドールの体を引っ張り出した
台は燃えて崩れ落ちて、もう拘束の役割を果たしていなかった
全身の体の皮膚が赤黒く爛れたフランドールは、眼球以外の場所に白色は見当たらなかった。どこに焼印が捺されているのかももうわからない
フランドールを引きずり父はレミリアのもとに戻ってくる
懐から二つの小瓶を取り出して見せる。右手には赤色の小瓶。左手には青色の小瓶
「どちらかは吸血鬼の再生能力を補助する救急薬。そうじゃない方は我々にとっての猛毒、聖水だ。どちらも僅かしか入ってないがその効果は絶大だ」
好きなほうを選べと父の目が語る
「そんなの信じられるか!」
「疑うのも当然だろう。しかしこのまま放っておいてもコレが死ぬのは事実だ。なのにわざわざこんなことをする意味があると思うか」
「思う! 貴様はそんな奴よ!!」
この男のことだ、両方とも毒でレミリアに妹を毒殺させようとしているのかもしれない
「これはお前に対すご褒美だ。五年間、暴君を必死に演じてきたお前のな。それに正直、フランドールを失うのを私自身が迷っている。
これまで私を散々楽しませてくれたんだ。今ここで失うのは少々惜しい気がしてきた。だからお前達姉妹にチャンスをやると言ったんだ」
こんな状況だからこそその言葉を信じたくなる
「どの道、放っておけば死ぬのだ。ならばその塵に等しい可能性に賭けてみよう思わんかね?」
レミリアは立ち上がる。無理に関節をはめ直したため体中に激痛が走る
それでも妹の受けてきたものに比べれば無いに等しい、と自身を奮い立たせる
「あれが生きる運命にあるのか死ぬ運命にあるのか、決めるのはお前だ」
妹に死が確実に近づいている、長々と迷っている時間は無い。一瞬だけ迷ってから、青い小瓶を選んだ
(お願い!)
小瓶をあけると中には数滴の液体が入っている。本当なら手に垂らすなりして試したかったが、それほどの量がなかった
それの雫をフランドールの口に垂らした
「ひぎぃぃぃああああああああ゛あ゛!!」
動く力すら残っていないはずの体が大きく跳ねた
「おや、どうやらハズレを引いたようだね」
残った赤い小瓶は床に落とされ割れた
これではじめから両方とも毒だったのか、それとも本当に薬だったのかは、もう永遠にわからなくなった
「あ゛あ゛ィ!!」
「ごふっ!」
苦しさのあまりのたうち回るフランドールは、鬼の形相でレミリアの腹を抜き手で刺した。手首の位置までその手は深く突き刺さった
「往生際が悪いぞ。最後くらい素直に死になさい」
父は爪を固くさせて振り下ろし、フランドールの手首を切断した。レミリアの体内にフランドールの手首が残る
切断されたショックで彼女の体から力が抜け、仰向けに倒れた。斬られた手首の断面からはもうほとんど血が出ていなかった
「お、とう。さ、ま・・・」
「なんだい?」
娘の最後の言葉を聞くべく。父は耳を欹てる
「・・・・・・ギュってして」
「駄目だ」
父の靴底が、フランドールの顔を踏み砕いた。目の前いっぱいに広がる父の靴底。それが彼女がこの体で見た最後の景色だった
手足が二、三回痙攣して。フランドールは動きは止まった。足の先から徐々に、彼女の体は灰に変わっていく
「素晴らしい」
一同からは歓声を上げて、隣にいる者とまぐわい始めた
フランドールの死で更に興奮した者たちは、彼女の体だった灰の上で婦人を交換し乱交を始めた
「お腹の傷は平気かい?」
父は放心状態の娘に近づいた
「これでお前が長年救おうと心血を注ぎ続けてきたものが消えたわけだが。一体どうなるのかな?」
妹を失ったレミリアがどんな行動に出るか見ものだった
――― さらなる復讐心を燃やすのか?
――― あとを追って自殺するのか?
――― 壊れて廃人となるのか?
――― 今度こそ父に真の忠誠を誓うのか?
「お父様」
父に寄りかかる。その目に先ほどのような活発な光はなく、まるで斬首された生首についているそれと酷似していた
「さて・・・」
「んっ」
レミリアは言葉のを発しようとした父の襟を掴み、引き寄せて父に接吻した
父の唇を貪るように甘噛みし、舌で歯の一本一本をなぞり、唾液を啜る
「ん、くぅ。ふ。クチュ」
嫌悪する相手には決してできない、熱を持った接吻である
レミリアは今度こそ完全に、自分に屈服したのだと、この口付けがその証明であった
そう確信して悦びを感じた瞬間であった
「 ? 」
接吻の最中。自分の口内、舌と歯の上を何が通過した気がした
(なんだ?)
疑問に思ったその時、体の中心が警鐘を鳴らした
レミリアを突き飛ばし、問いかける
「何を飲ませた?」
父に問いに対して、レミリアは口元を吊り上げるだけだった
「正直に答えなさい。私に何を飲ませた?」
「さあ? なんでしょうね?」
ワザとらしい表情でとぼけてみせた
「フランドールの敵討ちのつもりか?」
「ク、クククククククク」
喉からせり上がってくる笑いを必死に堪える
「大概の毒には耐性を持っている。私を易々と殺せるとは思わないことだ」
「アハハハハハハハ!!」
父の見当違いの発言。それがあまりに頓珍漢すぎて腹が捩れそうになる。とうとう我慢できずに吹き出した
目の前の男がどれほど狡猾で悪知恵が働き、毒の効かない強い体を持っているとしても“これ”は回避不能なのだから
一通り笑い終え、目尻に溜まった涙を拭ってから言ってやった
「毒? お前が飲み込んだのはそんな詰まらないものじゃないわ」
< うれしい お父様 やっとギュッってしてくれた >
体の内側から声がした
「聞こえた? 理解した? 飲んだものの正体に?」
「まさか、馬鹿な・・・」
「覚えてる? 毒を飲まされた直後、あの子は私の体に手首を刺したわ」
フランドールの意識は父親に顔を踏み砕かれて絶命した瞬間、レミリアの体内に残した手首に移った
手首は蝙蝠の形に姿を変え、レミリアの体内を登って行った
「そしたらあの子の声が私に聞こえてきたの。私は、あの子の望みを叶えてあげただけよ」
父の口とレミリアの口が繋がった瞬間。フランドールは父の体内に飛び移った
体内にいる娘が父に語りかける
< 私ね、ずっと考えていたの >
< お父様がどうしたら私を愛してくれるのかって。考えたら簡単だった >
< お父様は自分自身が一番好きだって言ってた。それで思ったの“私自身がお父様になれば”もっと愛してくれるって >
< だからね。お父様の体、全部私に頂戴 >
それは死刑宣告に等しかった
「やめろフランドールゥ!!!!」
男の中をフランドールは縦横無尽に暴れまわった
< 胃で撫でて! > < 肺で締めつけて! >
< 腸で絡めて! > < 肝臓で転がして! >
< 心臓で温めて! > < 骨であそんで! >
小さな蝙蝠が最凶と謳われた吸血鬼の体の中を貪りながら進んでいく
「・・・・・・ァ! ・・・・・ォ・・・・・・グ、ァ・・・・・ッ!!」」
断末魔も上げられぬ痛みに襲われ、男はうつ伏せに倒れて体を丸めた
自分の中に潜伏する小さな存在に、今まさに食い尽くされようとしている父は、必死に助かる術を探した
こうしている間にも内臓の数は減っていき、フランドールと自分のシーソーが逆転してしまう
考え、力ずくで体から追い出すしかないという結論に至る
ただちに体内で好き勝手する矮小な蝙蝠を引きずり出して、今度こそ踏み潰しべく、腕を硬質化させて自身の腹に手を入れようとする
「いけませんよお父様。娘の愛情を無碍にしては」
レミリアがその手を踏みつけ阻止していた
「私はお前を殺すために、お前以上の悪になろうと決めた。でもそれは間違いだった」
父を殺したのは悪意ではなく、歪んだ愛情だった
フランドールが抱く愛情を異常なものに変異させたのは、紛れも無く父が行った虐待の日々である
「正しい子育てを、お母様から学んでおくべきだったわね」
父の眼球が反転した。直後その背中が裂け、無傷のフランドールが一糸纏わぬ姿で身を這い出す
その姿はまるでサナギからチョウが羽化するような生命の美しさを感じさせた
やがて父の表面部分の皮も溶け出して、意思を持ったスライムのようになり彼女の体にズルズルと集結していく
父の血液に塗れたフランドールは、二度目の誕生日を迎えた
「これでずっと一緒に居られるね。お父様」
自身を抱き締めて、身を震わせる
局面が大きく変わったにも関わらず、議員たちはまだ灰の上で騒いでいた。周りが見えぬほど、彼らは昂ぶっていた
「・・・・・・」
レミリアはおもむろに手を空にかざす。手の平の上に長さ一メートルほどの細く紅い槍が出現する
この槍にまだ名前を付けていない。いつか凶器と呼べる存在になったら、ご大層な名前をつけてやろうと考えている
その矢のように細い槍を、人間たちに向かって投擲した
一本目は男に跨っていた婦人の後頭部を射抜き、眉間の間から先が出た
二本目は抱き合っていた男女をまとめて串刺しにした
まだまだレミリアは投擲を続けた。一人、また一人と貫いていく
最終的に生き残ったには議長だけだった
「死にたくないなら契約しろ。一度結べば死ぬまで絶対遵守の契約だ」
命と引き換えに、レミリアは悪魔の契約を持ち出した
「一つ。これからの政治はスカーレット家が有利になるように進めろ。二つ、貴様に贅沢は許さない、得た財産の9.8割はスカーレット家に毎月上納しろ」
自分の命と天秤にかけさせて、強引にこの二つを結ばせた
こうして、この男は生きながらにしてスカーレット家のためにすべてを捧げるリビングデッドと化した
「そしてこれは今晩の土産だ、とっておけ」
「ガゴォ!!」
レミリアはその靴で男の股間を踏み潰した。竿は中間あたりで千切れて断面がむき出しになり、睾丸の部分は赤黒く変色していた
「私の妹を抱けたのだ、これはもう必要なかろう」
議長が失神するのを見届けてから振り向きフランドールを見た
妹は父が死んだ場所から動かないで眠っていた。満たされたような、穏やかな寝顔だった。その体にまだ血に染まっていないシーツをかけてやる
この会場で生きていると呼んでも差し支えないのはこの二人だけだった
「お母様、終わりました」
妹の体によりそって目を閉じた
父が死に、当主はレミリアの座に移る。彼女の本当の生涯はこれから始まる
レミリアが読書好きの魔女と友人関係となり、優秀な門番と出会い、人外の力を持ったメイドを拾い
幻想郷で赤い霧の異変を起こすのはこれから四百年以上先の話である
- 作品情報
- 作品集:
- 24
- 投稿日時:
- 2011/02/17 15:28:25
- 更新日時:
- 2011/02/18 00:38:15
- 分類
- レミリア
- フランドール
- オリキャラ(スカーレットパパ)
- モブキャラ
- 虐殺
- 拷問
- カニバ
- 設定妄想捏造フィルターがオーバードライブ
このまま陵辱されて父親に孕ませられるレミリアってのも期待してはいましたけど、この終わり方だとムカつく親父倒してスカッと終わりますし。
どちらにせよ大変楽しくよませていただきました
気に入ったぜ
ぐぅれいとっ!!
す・ば・ら・し・ひぃ〜〜〜〜〜!!!!!
これこれ、これですよ。私が読みたかったのは!!
なるほど!!吸血鬼ならではの発想!!パパりん、迂闊でしたね。
フランちゃんの『全てを破壊する程度の能力』は、父に対する歪んだ愛情から生まれたのですかね。
良かったねフランちゃん。最後にパパをぎゅってできて。
れみりゃが暴君だの名君だの呼ばれるようになったのは、これがきっかけだったのですね…。
産廃は全てを受け入れます。らしいか否かはともかく、私はこの結末は好ましいと思います。
面白かったです。
なんか前編のタメに比べてあっさり終わった気がする。面白かったけど。
幻想郷で赤い霧の異変を起こすのはこれから四百年以上先の話である
ここもみたいなぁ…
親父もイカレてたんだけど、モノホンの気狂いの行動は予測出来なかったか。
せっせと長い間自分を殺すモノを作ってた結果になるとはね。
レミリアがそこまで外道じゃなくてよかった
パパは悪人で賢いけど、とんでもない失敗をしてしまったな
父が死ぬシーンは試行錯誤の上でしょうが、もっと多くの描写が見たかったです。
これだけの巨悪が死ぬにしては物足りない!
そんな欲求がこみ上げるくらい、面白かったです。
前・後編一気に読まさせていただきました!
ありがとうございます!!
やっぱり吸血鬼は全て死なないとスッキリしないよね
実は貴方の産廃での作品で椛が強姦される話のような陰惨な話が苦手でこの作品を今日までずっと読まずにいました。
その選択は間違いだった。流石木質さんハズレなしだわ。
後編の終盤までずっとスカ父(作中のレミリアの父の意味)に憎悪を燃やし、レミリアを応援し、フランちゃんを助けて欲しくって、心が揺さぶられていました。
残酷な話を読んでこんなに心を揺さぶられたのは久しぶりです。
オイスターさんの漫画をあっさり読めるようになって久しかったのに、
こんなにスカ父に憎悪を燃やすなんて。
そして、「どうにかどんでん返しあってくれ〜」と祈りながら読んだラストの部分、
見事に予想だにしなかった方法でスカ父が死んでくれて胸がすくようでした。
最後に、レミリアはこれからフランちゃんをまっとうに育てなきゃならないけど、
それって果てしなく難しいんじゃね?って思いました。
だが、このレミリアなら…
>>7さん
うん、俺もシックスを連想したよ(笑)