〜古明地さとりの場合〜
「『料理できるの?』ですか。これでも地霊殿の主ですから料理はできますよ」
「なに?『料理下手かと思っていた』ですか…あなたも失礼なことを思いますね」
「私も暇ではないのですから簡単な料理を出しますので、それもでもいいですか?」
黙って頷くあなた。
「じゃあ少し待ってて下さい」
厨房に入るさとり。
椅子に座って暫く待っていたらトレイに丼を乗せたフリル付きのエプロン姿のさとりが現れた。
「できましたよ。……『カワイイ』ですか。それはありがとうございます」
前にトレイが置かれる。
「どうぞ」
淡々と放つ。
あなたは箸を取り、丼の蓋を取った。
ご飯の上に魚の切り身が乗っていて、微塵切りにした葱と黄身がトッピングされていた。
切り身を一口サイズに裂き、ご飯と一緒に口に運んでみる。
咀嚼して味わってみる。
しみ込んだタレと絶妙な焼き加減。
「『美味い』ですか。当然ですよ」
しかしこの魚はなんだ?鮎でもないし…。
「その魚ですか?さぁ、なんの魚でしょうね…?」
「あ、そうそう。ペット達にご飯をあげなければ…」
「しかし、手間が省けました」
突然床が抜け、あなたは落下した。
「さようなら…地上の人間」
最期に目に映ったのは汚物を見るような見下したさとりの目だった。
人間一人減ったよ。これでCo2が少し減ったね!
〜古明地こいしの場合〜
運良く地霊殿内で夢遊病の様にフラフラをしていたこいしを捕まえた。
「えっ、料理ぃ?いいよ!わたしの料理はてんかいっぴんだよ♪」
そういって調理台に立つこいし。
不安せざる得ない。
こいしは野菜を俎板に乱雑に置くと、出刃包丁で叩きつけるように野菜を切った。
ダンダンダンッ!!
すかさずあなたは止めた。
料理はしたことがあるのか?
「へっ?昔おねーちゃんといっしょにしたことあるよ♪」
昔って…一体いつの昔だよ…。
「いーからすわっててよ!ジャマだよ!」
ドンッ!
こいしの力で突き飛ばされる。
壁に激突し、身体から嫌な音を聞いた後あなたは意識を落とした。
「……て………お…き……よ!……起きて!」
ドッ!
腹部に強烈な蹴りを入れられてあなたは起きた。
「やっと起きた♪ほら、料理できたよー♪」
意識が半覚醒状態のあなたを椅子に座らせた。
目の前に紫色をしたドロドロした正体不明が皿に乗っていた。
「それ」には小さな足やら触手みたいなものやらが飛び出ていて、ありえない腐臭がしていた。
これを喰うのか?!じょ、冗談じゃ…!
チラッとこいしの方を向いて見る。
ニコニコと満面の笑みでこちらを見ていた。
「どうしたの?はやくたべてよ。さめちゃうでしょ?」
スプーンを取り、掬う。
しかし、腕が上がらない。
いつまで経っても喰わないあなたに苛立ったこいしは能力を使った。
勝手に腕と口が動き、次々と口に放り込む。
しかし、身体が拒絶反応を起こし胃の中が逆流。
おぶっ…うげっ!う"お"ぉえっ!ウエッ!うげぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
びちゃびちゃ!べちゃ!
未消化の物体が口から胃液とともに出てくる。
「ひっどぉぉぉぉぉい!わたしの料理をはくなんて…ブッコロス!えいえい♪」
グシャ!
食べ物を残すなんて…酷いね。
〜霊烏路空の場合〜
「いきなり作れったって…何作っていいかわからないよ〜」
なんでもいい。
「むぅ〜…そういわれてもねぇ…」
「料理作ったことなのよねーわたし…」
…マジですか?
「だっていつもさとり様がご飯作っているもの」
仕方ないと思ったあなたは空に料理本を手渡した。
簡単な物でもいい。早くつくってくれ。
「どうしても作らないといけないの?」
死ぬんです。俺が。
空腹的な意味で。
「わかったわ…」
渋々と厨房に入る空。
暫くすると鍋を持ったエプロン姿の空が厨房から出てきた。
ふふんと聞こえてきそうなドヤ顔をしていた。
鍋か…一体どんな料理を作ったんだろう…。
そう思考を巡らしていたら、置かれた大きな鍋に変なマークがあった。
……。
すぐに防衛本能が警鐘を鳴らし始める。
嫌な予感がする。
「何度も失敗してやり直したけど、今度は成功したよ!」
一体何がだよ…。
「ジャッジャーン♪」
鍋の蓋を取ると淡い青色のチェレンコフ光を放つ、肉じゃがだった。
ぐああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
「ぶふぅ!?」
お菓子を食べていた空はあなたの絶叫に驚き、噴き出した。
空の食べていたお菓子の正体は放射能物質である。
お菓子の破片があなたの顔にかかる。
ジュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウッ!!!!!!
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!
激痛と眩暈を呼吸不全に陥り、のた打ち回る。
「げほげほ…もう、いきなりなんなのよぉ…」
ゲホゴホ!ゲェェェェェッ!!!!
「わっ!汚い!」
うあっ!あああああああッッ!!
「あれぇ?あっ、もしかして放射能ダメなの?」
苦しみから逃れようとあなたは舌を噛み千切って自決した。
数分後にあなたは死亡した。
「あ、勝手に自殺した…」
「これどうしよう…捨てるのももったいないし…」
その後、肉じゃがを空一人で全部平らげた。
偉いね空!
〜火焔猫燐の場合〜
「あ、なんだいお兄さん」
「えっ!あたいの手料理が食べったいって?」
「いやぁ突然そんなこと言われても…」
頼む!君の料理が食べたいんだ!この通りだ!
「そこまで言うのなら仕方ないねぇ」
「よーし、あたいはりきっちゃうぞー♪」
わぁい!
で、出てきたのが肉厚のあるステーキ。
ジュウジュウと音を立てて涎がでる。
「男はお肉が好きだと思ってステーキにしたよ♪」
「ささ、冷めないうちに召し上がれ♪」
言われなくとも!あなたはフォークを突き刺し、ナイフを刺す。
スッと肉が切れる。
ギコギコと鋸のように切らなければならないのかと最初思っていたが、予想外の柔らかさ!
お、おぉ!!すげぇ柔らかー!
食べてみると極上の味わいが口に広がる。
「どうだい?お味は?」
最高です…。
「当たり前だよ。あたい、肉を焼くのは得意なのさ!」
バクバクと肉を食い、あっという間に完食。
幸せに浸ってあなたに異変が訪れる。
はぁ〜、うまかっ…う"ッ!
「お!そろそろだね」
な、なにが…ゴハッ!!
ビチャッ!
喉から込みあがり、堪らず口から出す。
血だった。
吐血の次に苦痛が襲う。
ガアッ!ガッ!あ、あ"ぁ"ぁ…お、お燐ッ…ぎざま…ッ!
「あぁ…いいよ、お兄さんのその苦しむ顔…すっごくイイよ♪」
恍惚とした表情であなたを見つめるお燐。
お燐は丁度死体が欲しくて料理に毒薬を盛ったのだ。
ぐぅ…ゴホッ!ち…ちく……しょ…………。
「はぁ…いい苦しみ様だったよお兄さん…」
死体が増えたよ!やったね!
てか野郎のゲロいらない…
少女がのたうちまわる様が見たかった
もう、煮るなり焼くなり好きにしてくれ……。