Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『地獄の城 第四話』 作者: ND
『主!!妹様!!バロンさん!!』
三人の名前を呼んでも、そこには虚しく自分の声がエコーを駆けて響くだけだった
『店主さん。どなたを探しているの?』
また、一人の刀を持った少女が僕の方を見つめていた
だが、その少女もすぐに消えて居なくなった
『…………っ!!』
この城は、いや城では無く迷宮は
バロンさんが言っていたように、大きくなっているのではなく
変形しているのではないだろうか
まるで、子供が鉄道のおもちゃを遊び
線路を自分の手で変えているかのように
その場所に、人間が乗っているパネルだとしても、構わず
他の場所と交換しているのではないだろうか
バロンさんが、息子のミルゴを追いかけっこしている時
そして、数年前にバロンさんがブルーを見つけた時
その時は、場所が変わる事も、人が急に居なくなる事も無かったはずだ
ならば
やはり、この城に何かが起きている
さらに、その咲夜が死んでから、また何かが変わっているはずだ
先程の話の中で
何かが違うところがあったはずだ
『それ以来、あの不気味な作品がちょくちょく話に来るくらいしか、
生物に会っていない』
!!!!!!!!!
作品が、
作品にされた者達が
今、動き出しているのか
いや、ブルーが作る作品はうめき声をあげたり歩き回るのではないだろうか
だが、他の妖怪はともかく、霊夢も生きているはずがない。
それに、バロンさんはその生物にしか出会っていないのだ
出歩く事はあっても、
あの作品に出合えなければ、間違いなくおかしい
つまり
今になって、作品は動き出している
先程会った目に浸食された早苗さんも
根が張られていた霊夢も
首をガリガリして死んだアリスも
あれは、本物でなかった可能性が高い
いや、他の魂
それとも、操られている
≪一緒に居て≫
彼女たちが言っていた、一定の言葉
それは、
僕をこの城に留まらせる事が目的だったのかもしれない
先程、亡霊の霊夢が言っていた
≪逃げて≫
という意味とは全く逆の物だった
ならば
僕たちは狙われている
『畜生………』
とっさに言葉が出た
この城に入った時から、僕たちは連れ去られようとしていたのだ
『店主さん。そんな怖い顔しないで』
目の前から、ぼうっと咲夜が現れた
彼女も、亡霊か
帰る体も失っているからか
顔も、少し浮かない物になっていた
『僕は本当に馬鹿な物を見つけたよ。』
赤い扉など、見つけなければ良かったのだ
ならば、主も主の妹も危険な目に会わなくてすんだかもしれない
何も知らない方が良かったかもしれない
『でも、決心したのはお嬢様がたでしょう?』
『主の決断です』
『お嬢様と言っていただけたら、私も浮かばれますわ』
そう言った後、咲夜は微笑んだ
『お嬢様は、決心してこの城に入ったのです。母親様に太刀向かう為に』
ならばなんだ
『お嬢様は、幻想郷の失踪や、私がこの城に居る事も知っていました。』
ならば、何故
『お嬢様は、決心なさったのです』
それは、さっき聞いた
『ですから、貴方も自信を持ってください。』
咲夜の姿が透けた。
そして、どんどん消えて行った。
『貴方も決心してください。お嬢様の事も、ずっとよろしくお願いします』
咲夜は泣いていた。
その涙は、無念と後悔と。そして
僕に対する、期待だった
咲夜の亡霊も、僕の前に消えた
決心
そもそも、何を決心する必要があるのか
何を……………
ドン
大きな音がした
振り向くと、
例の作品達がこの広場に集まって来ていた
僕の存在を知り、捕まえようとするかのように
『霖之助さん』
『霖之助さん』
『霖之助さん』
『霖之助さん』
『霖之助さん』
全て異形の姿の少女たちが、僕を見ていた
異形の姿の少女の中には、黒い液体を吐く者も居た
『……………』
僕はこの少女たちが操られていると知っている
知っている
知っているはずなのに
なんだか、僕は悲しかった
刀を引き抜き、
僕は一閃していた
半分になった少女たちが散乱していた
上半身になっても、動き続ける者も居た
だが、ほとんどが動かなくなった
『店主さん…………』
銀髪の刀を使っていた少女が、腕で移動して僕の元まで這いずってきた
『助け……て……………』
そう言った後、すぐに事切れた
僕は、ただそれを見ていた
『すまない』
もう助けられない
そう知った後の決断は、切なかった
『主、妹様、バロンさん』
僕は、探すべきの名前を行った
そして、刀を振りまわして走り出した
『なぁ、何が起こってるんだ』
壁を刀で傷を付けながら進んで行った
その迷宮をいじる事に、喧嘩を売るように
さらには、刀の傷で文字を描いたりもした
場所が、変わるのならば
とても分かりやすい目印になるように
主の両親の、バロンさんの城なのだが、
そんな事は全く気にならなかった
今は、命がかかっているのだ
『店主さん…………』
助けを求める声が、まだ聞こえる
作品を全て斬りつけようとも考えていたが
僕は、斬る事に躊躇した
だが、結局は斬りつけた
この城を支配している奴の思い通りになっているようで
『いつか!!いつか絶対に助けます!!だから!!だから!!!!』
待っていてください
その言葉が言えなかった
これは、ただ自分勝手な行動だからだ
僕の頭は、何かいかれてしまったようだ
単純な考えが支配しているようだ
壁を切りつけ
作品の残骸で目印を作っている僕は
なかなか我に返らなかった
『霖之助!!』
男の声が聞こえた
振り向くと、バロンさんが立ちあがった
まるで、今まで座っていたかのように
いや、まるっきり動いていなかった
そんな状態だった
『なんで俺はこんな所に居たんだ?』
『城が動いてるんです。』
バロンさんは、意味をすぐに理解したようだ
『そうか。やはり動いていたのか』
その後、急に目の前に刀の傷の壁が現れた
あまりにも急に、浮き出るように現れたが、これで確信した
間違いなく、城は動いている
瞬間、扉が開いた
その中から、大きな手が飛びだした
『うわっ!!』
扉から、体は普通の人間、腕と足は大入道の者だった
体の方は、どなたか見た事のある姿だった
紅魔館の小悪魔だった。
『店主さん………』
僕の事も知っているようだ
『店主さん…………良かった…………』
小悪魔は、僕の方に近づいてきた。
だが、すぐに倒れた
事切れた
安心して死んでしまったのか
瞬間、人型の妖怪の者と思われる膝が僕の額にぶつかった
僕は瞬時にひざの飛んできた逆の方向に吹っ飛んだ
舌を噛んだようで、口から血が流れた
『ぶっ!!』
攻撃してきたのは、大広間に居たあの爬虫類の肌をした門番だった
その門番は、涙を流しながら叫んだ
『殺してぇぇぇぇええええええ!!私を殺してぇぇぇええええええええええええ!!!』
そう言いながら、門番は突っ込んできた
僕は霧雨の剣で防いだ。
門番の脚は、剣の刃に触れ、二つに分かれた
足の断面は、ピンク色だった
『かっ…………!!』
バランスを崩した門番は、その場で転んだ
そのはずみで、頭が床にぶつかり
頭の半分が破裂した
脳みそがそこらへんに散らばった
時間が経っているようで、強い衝撃を受ければ崩れるようだ
だが、まだその門番は生きていた
剣を再び構えたが、門番は足にしがみついて
言葉を発した
『ありがとう………』
感謝された
涙をまだ流していた
長い年月が経っていて、体も崩れやすくなるほど乾燥していると言うのに
なぜ、涙が流せるのだろうか。
だが、よく見たらそれは涙が固まって顔にへばりついていたものだった
つまり、この門番は今殺されるまでずっと、泣いているように見えたのだ
『皆も……皆も殺してあげて…………』
門番も、事切れた
この門番は、自分の意志があったのか
ならば、先程の僕の理論は誤りがあるのか?
だが、大抵は合っているはずだ
『霖之助、こいつら殺せばいいんだよな?』
バロンは、自分の腕を武器の姿に変えた
それは、指が変形して、フォークのようになっていた
いや、爪だろうか
その爪で、バロンさんは多くの剥製を八つ裂きにした
悲鳴を上げて、死んでいく剥製の姿が、僕の目に多数映った
腕
脚
頭
鼻
内臓
そこらへんに散らばった
僕は、剣を壁に指して、
抜かぬまま、線を描くように移動した
『畜生!!どんだけ作ったんだブルーの奴!!』
多くの見た事のある顔の幻想郷の住民がバラバラになっていった
僕も、謝罪の文を頭に述べながら剣を振りまわした
壁に傷を付けるように、
剥製を八つ裂きにするように
この城には、階段は無かった
代わりに、急な坂がある事が分かった
そこから、下階に行く事を知った
『娘達は一番下に居るはずだ!』
『どうして分かるんですか?』
『一番下で、娘達の悲鳴が聞こえた!』
吸血鬼の聴力は、凄まじい物なのだな
バロンは、爪を振った
バロンさんは、先頭に立って
その坂を下って行った。
僕も後に続いて坂を下った。
『何故、娘さんは一番下に居るのでしょうか?』
『それは』
声が途切れた
下階に着いた時は、バロンさんの姿は無かった
『バロンさん!?』
また、消えてしまった
今度は、どこに飛ばされたのだろう
いや、僕が飛ばされたのかもしれない
そちらの方が可能性は高い
だが、それでも僕はやみくもに移動した
目の前に、壁の傷が見つかった
それは、間違いなく僕が付けた剣の傷だった。
城の移動は、下階にも至るようだ
だが、想像はしていた
だから、問題は無い
喧嘩を売るように、僕は移動した
最初に死んだ、アリスの死体があった
だが、それは無視をした
何かがおかしい
僕の頭が、何かがおかしい
迷宮に入ってから、僕の頭が混乱してきている部分がある
知っている情報から、その関係性のある次の情報覚えていた時、
その次の情報が間違えていた時、人は混乱を起こすらしい
この迷宮は、人の精神を崩壊させる
様々に、何の法則も無しに場所が入れ替わられているこの城は
人を狂わせる
僕も、徐々におかしくなってきている
ズズズ
何の音だろうか
ズズズ
音のする方に、僕は向かった
ズズズ
音のする方が、変わった。
右から、左に
上から、右斜め下に
デタラメに、それは変わっていった
ズズズ
今度は、近くなった
その音の鳴った方に、僕は駆け寄った。
だが、行って後悔をした
『ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ』
複数の人間が、一つの物体に融合している
皮膚が、全て一つの皮膚へとつながっていた
しかも、その皮膚は滑り気のある体液を帯びていた
ナメクジ
ナメクジに似たそれは、滑りの足跡を付けながら移動していた
所々に突起している手と足が、壁にすれている
すれて、肉が削れている手があった
削れて指が無くなっている突起もあった。
僕から逃げるように、通り過ぎていくと、
そのナメクジの中に、あの魔女が居た
あの魔女が、ナメクジの一部となって移動していた
その中に、もう一人見た事のあるような顔が複数あった
本を霊夢に盗られた妖怪
天界から来た、あの少女
氷の妖精とよく遊んでいた、あの蛙の神等
その光景を見て、僕は絶句した。
今すぐにでも、その場から逃げたかった。
だが、ナメクジと融合している少女たちは
カッ!と目を開かせた
僕の存在に、気づいたようだ
『店主……………店主さんじゃないの………』
体力を吸われているのか、いや
死んでいるはずのだが、死にそうな弱々しい声だった
『店主さん………助けて……助けて………』
体液で分かりにくかったが、少女たちは皆涙を流していた
『こんなの………こんなの嫌ぁ………死にたい……殺してぇぇぇ………』
『このまま…………取り込まれたくない………助けて…………店主さん………』
『美しい姿のまま………死にたい……死にたい………』
手がガタガタ震えているのが分かった
そのせいで、刀が、うまく握れない
≪殺してあげて≫
本当に、それでいいのだろうか
もう皆、本当に死んでいるのだろうか
亡霊は、あれは何の存在だ
あれは
『あっ』
僕は、剣を振った
ナメクジは、二つに裂けた
中から、緑色のネバネバした液体がドロリと流れた
ナメクジは、溶けるように液体化していた
融合していた人体は、融合した部分の下のみ外された
だから、手足は無くなった者ばかりだった
僕は、そのまま動けなくなっていた
外れた、少女たちが不快な液体の音をさせながら
僕の所に近づいてきた
『……………』
少女たちは、皆笑顔だった
僕は、思わず後ろに下がった
『店主さん………店主さん………』
少女たちは笑顔だった。
それは、感謝の顔だった。
だが、その顔もすぐに無くなった
溶けて無くなったのだ。
少女達は、その後、完全に液体化した
最後、溶けずにまだ残っていた紅魔館の魔女が居た
彼女は、そこまでは溶けなかったらしい。
僕は、この魔女を抱えた。
左手に頭、右手に脚の根の部分を持った
溶けて、体も人間で無くなっているのに
その少女は、まだ生きている
人間でないから、当り前か、だが、
再生能力は完全に失っているらしく、ただ溶けていく
『店主さん』
魔女は、微笑みながら、小さな声で頼みを言った
『抱きしめてください』
そう言われた。
なので、僕は抱きしめる事にした。
なぜ、僕はこんな事をしているのだろう
迷宮で、頭がおかしくなっているのか。
いや
入っているのだ
頭の中に、それぞれの少女の人生が
少女の見てきた物が
僕は、それが何故か亡霊の一種だと分かった
『ああ………安心する……安心する………』
魔女はそう言いながら、溶けていった
液体が、僕のスーツにへばりついた
魔女は、完全に溶けた
この魔女の思いが、何かの亡霊になっていた
何故か、それが分かった
何が、何が起こっているんだ
ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ
また、ナメクジの歩く音が聞こえた
これは、結構近かった。
辿り着いた場所のナメクジは、さらに大きなナメクジだった
そのナメクジは、また多くの少女を取り込んでいた
『ああ……店主さん……店主さん………』
その中に、刀を持った少女の主の神が居た。
その神は、もう上半身しか無くなっていた
僕は、またそのナメクジを斬ろうと剣を構えた
だが、その神は、あっけなくそのナメクジに飲み込まれた。
ナメクジは、姿を消し、
ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ
また別の場所からナメクジの歩く音が聞こえた
きりが無い。
あの物体に取りつかれて、無念となっている人物が他に居るはずだ。
僕は、ナメクジを探した。
入口の大広間に辿り着いた
あの入口の階段が見えた。
まだ、ここに来るべきではないのに、
ここに辿り着いてしまった。
下の階に居たと言うのに、
厄介だ。本当に厄介だった
だが、前の入口と違うところがあった
大広間の真中に霊夢の亡霊が居た
『霖之助さん』
霊夢の声がした。
霊夢の亡霊がこちらに近づいた
『あの物体は、もうどうしようもできないよ。だから、もう良いんだよ。』
霊夢は微笑んだ
『私達は、もう居ないの。だから、ね。殺しても、助けられなくても罪悪感は湧かなくても良いんだよ。』
霊夢はそう言った後、僕の体を触れようとしたが、
すり抜けて触れなかった
だが、僕の中に霊夢の記憶が入ってきた。
その記憶の中には、
神社の賽銭の中
事件
食事
そして、僕の顔が中に入って言った。
そして、その記憶は急に消えた。
気づいたら、霊夢はもう消えかけていた
『死ぬ前に伝えたかったかな。』
僕は、記憶を見て知った。
霊夢が僕に伝えたかった事
『でもね、これからは霖之助さんは今から生きる事を考えて。』
僕は、今やるべき事がある。
それを知っている前提で言っているのだ。
その先の僕の人生も。
霊夢が、入りたかった僕の人生の事を考えての。この結果
ナメクジの、這う音が聞こえる
『がんばってね。』
そう言って、霊夢は消えた
さようなら
そうつぶやいた後、僕は剣を再び握った
『うらあああああああああああああああああああああああああああ!!!』
剣を、床にぶっ刺した
そして、剣を指したまま移動し、大きな円を描いた。
円を描いた瞬間、床は下に落ちた
操る奴が、立体パネルを動かすように自分勝手にしているなら、
穴を作り続けて、僕は意地でも下に行ってやる
『ああああああああああ!!あ!!』
また、僕は剣を床に指し、円を描いた
そして、また下に辿り着いた
また、廊下だった
また、円を描いた
下に落ちた。
寝室だった。
絨毯ごと床を切り裂いた
また、下に落ちた
ボイラー室だった
埃まみれだ
だが、気にせず
僕はパイプごと床を円に斬り裂いた。
また、床が下に落ちた。
倉庫だった。
不気味な生物が、多くうごめいている
イソギンチャクみたいに、多くの触手を持った人間
皮の無い深海魚みたいな人間
頭から鼓動を打っている者もあった。
床を切り裂いたが、これ以上刺せない所が存在した
ならば、ここが一番下なのだろうか
僕は、剣をしまい、出口を探した
歩くたびに、剥製がうめき声を上げた
『ああああ……あ』
泣き声のような、うめき声だった
『香霖………香霖………』
魔理沙の声が聞こえた。
振り向くと、壁の一部になっていた
上半身だけが、露出していて、他の皮膚は壁と融合していた
まるで、魔理沙が壁に浸食しているようだった。
『香霖……こうりぃぃぃぃ……ん…………』
壁に浸食されていた魔理沙は涙声を上げた。
涙は、流していなかった
いや、流せなかったのだろう
『魔理沙』
僕は、100年前から変わらない魔理沙の顔を撫でた。
魔理沙は、弱々しくも笑顔を見せた。
『香霖………また……またお話聞かせてくれよ……また……またさぁ………私……寂しかったんだよぉ……』
魔理沙は、僕に抱きつきたくてしょうがなさそうだった。
だが、両手も壁に浸食されている為、そんな事は勿論できなかった
『魔理沙』
僕は、魔理沙から手を離した
悲しそうな顔をした魔理沙は、離れないでというような顔をしていた。
『また、きっと助けてやるからな。きっと。きっとな。』
そう言って、僕は彼女の頭を撫でた。
魔理沙は、顔が赤くなりながらも、無理に笑顔を作った。
だが、魔理沙は急に涙を流した。
彼女は、”生きている”のだろうか
だが、そんな考えもどうでもよくなさせるように
『香霖、スーツ似合ってねえな』
魔理沙は失礼言を言った。
僕は、その言葉で笑ってしまった。
行かなければならないようだ。
出口の扉の方に、顔を向けた
『香霖………』
また、寂しそうな顔をした。
振り向くと、魔理沙は無理に笑顔を作っていた
『さっさと行っちまえ、畜生』
そう言った後、僕はこの倉庫を出た。
一つの理論が、崩壊した
剥製の少女たちは、操られていない
ならば、亡霊とのあの言葉の意味の違いすぎる感情はなんだ
だが、どれも同じ
少女の”意志”だったのだ
『済まない』
そうつぶやき、倉庫の扉から出てすぐにあった
巨大な扉を見上げた。
この場所に、主と主の妹は居るのだろうか。
扉をあけるのには、一つの苦労が居るだろう。
だが、多分僕は要らないだろう。
僕は、扉を霧雨の剣で斬りつけた
扉の一部が、すぐにバラバラになった
そこから、中が見えるようになった。
勿論、入る事もできるのだが、
中の光景は、余りにも恐ろしい物だった。
『ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ』
顔の皮膚が、
人間の顔の皮膚が
一つに集まり、球体になっている
その上に、融合しているかのように
小さな少年が、へばりついていた
あれが、ミルゴ君だろうか
手と下半身が、完全にその顔の皮膚でできた球体に浸食されていた
さらに、その少年の右手の方には、主が
左手の方には主の妹が居た
主と主の妹は、その球体に浸食されていた
腕の半分と脚の膝の部分までが浸食されていた
それからも、徐々に徐々に浸食されていっていた
服は着せられていなかったので、どこら辺で融合されているのか分かりやすかった
二人とも、白目を向いていた
苦しそうなで、口から滑り気のある液体を垂らしながら
涙を流しながら、震えながら
『がぁ……あああ!!』
少女の声でないような声帯が、響いた
少年の顔は、無機質のようで
目には瞳孔が存在しなかった。真っ白だった
白い髪に、白い肌だった
バロンさんも、その場に居た
バロンさんは、その光景を見て立ち止まっていた。
主の妹は、まだ意識があったようで
僕の存在を見つけた瞬間、叫びだした
『助けて!!霖之助!!助けてぇぇぇええええええええええええええええ!!!!!!』
言わなくても良いことかもしれませんが、これ書いている時に
ゲシュタルト崩壊が起こりました。
作品作っている間に絶対起こしてはならない崩壊なのですが、
次回最終回なので、安心してお待ちください。
さらに言わなくても良い事かもしれませんが
ミドリカワ書房にはまって、投稿が遅れました
ND
- 作品情報
- 作品集:
- 24
- 投稿日時:
- 2011/03/10 09:33:09
- 更新日時:
- 2011/03/10 18:33:09
- 分類
- 霖之助
- レミリア
- フランドール
- 紅魔館
- 大長編
・・・・・霖之助さんモテモテだなぁ・・・
最後に美女を抱いて、爆発する要塞から脱出するのも主人公特権。
以前、冗談でコメントした『彼女達』を楽にすることが正解でしたか…。
執事香霖、いざ、参れ!!
ハッピーエンド、期待しないで待っています。