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『霊夢さん失恋の巻』 作者: のりまき

霊夢さん失恋の巻

作品集: 25 投稿日時: 2011/03/16 17:32:15 更新日時: 2011/03/17 02:32:15
彼女より劣っている点なんか無いと思っていた。
私はあいつより強い、私はあいつみたいにゴミクズじゃない。
だから当然、あの人に選ばれるのは私に決まっている。そう、そうよ。だからこれは夢なんだわ。
色ぼけした馬鹿面の魔理沙と、穏やかな笑みを浮かべた霖之助さんが結婚の報告をしに来てるだなんて。

「お、おい!霊夢!なんか言えよう、恥ずかしいじゃないか!」
「え?あ、そうなの…。結婚、するの…」
「ああ、君も祝福してくれよ。式はね、紅魔館にしようと思っているんだ。白無垢も良いけど、魔理沙にはウエディングドレスの方が似合うと思うだろう?」
「ばっ、香霖!恥ずかしいって!」
「なんだ、うちでやるならぼったくってやろうと思ったのに。」
「もしそうなってら君のツケの分からきっちり差し引かせてもらうよ?」
「う、がめついわね…。」
「一本とられたな、霊夢。」

当たり障りの無いように会話を交わしていても、私の心にはどす黒いものが渦巻いていた。楽しそうに笑う2人が、魔理沙が妬ましくて仕方が無かったのだ。

どうしてあんたがそこに居るのよ。
霖之助さんの隣は私のものなのに…!!

2人が帰ってから、私はひっそりと泣いた。泣きながら、霖之助さんの名前を呼んでオナニーをした。
当然、気が晴れることなんかなくてその日の目覚めは酷く気分が悪いものだった。



魔理沙と霖之助さんの結婚式は予定通り紅魔館で催されることになった。
レミリアは「悪魔の館で結婚式だなんてどんなジョークよ?」と反対気味だったが、意外なことにあのパチュリーが無理矢理押し通した挙げ句、自ら神父役を買って出たそうだ。
あのゴミクズ女に本を奪われっぱなしで気でも狂ったのかしらね。

幻想郷中が色めき立って、魔理沙と交遊の深い人妖はもちろん、あの紫でさえも祝福ムードだ。わざわざ私の所まで来て、2人の衣装の相談まで持ちかけてくる。

全く馬鹿馬鹿しい。
どうせすぐ別れる。あの2人が上手くいくはずがない。
物静かで思慮深い霖之助さんと、騒がしくて単細胞な魔理沙。どう考えても水と油じゃないの。

そして魔理沙と別れて、やっと霖之助さんは気付くんだわ。私が一番だって!

「ふふ、ふふふ。絶対そうに決まってる。絶対そうよ!」

「霊夢、いるかい?」
「えっ!あっ、何か用?」

霖之助さんだ…!
もしかしてもう魔理沙に愛想が尽きたとか…?

私は期待に胸が膨らんでいくのを感じた。

「うん、実はね。君にこれを返しておこうと思って。」
「へっ?」

差し出されたのは、割れないように風呂敷で包まれた湯のみだった。
「これ、もしかして私の…?」
「ああ。これから魔理沙と夫婦になるんだから、他の女性のものがあると彼女に悪いと思ってね。ああ、でもいつでも来て良いよ。魔理沙も喜ぶだろうし。」

視界が真っ白になっていく。
心臓がばくばくと音を立てて、体が震えているような錯覚を覚えた。
認めたくない事実が何度も頭をよぎり、私を嘲笑う。
やがてそれは魔理沙の形をとり、おぞましく醜い笑みを貼り付けたままこちらを指差して叫んだ。

『霖之助は』

やめて。

『お前なんか』

いや、お願い!

『好きじゃなかったんだよ!』

止めてよ!!

「霊夢!大丈夫かい?なんだか顔色が悪いようだけど…」
「ねぇ、」
「うん?」

ぐるぐると黒いものが思考を奪っていく。

「魔理沙の、どこが良かったの。」
「努力家でひたむきなところとか、僕にだけ見せる色んな顔、意外と家庭的なところとか。まぁ挙げたらキリが無いな。」

やめてよ。
どうしてそんなに幸せそうな顔するの。
貴方が話してるのは私のことじゃなくて魔理沙のことなのよ。

「私の方が優れてるわ。」
もう我慢なんかしなくても良いじゃないか。あの女から奪ってしまおう。
いいや、取り返すんだ。私の霖之助さんを。
「霊夢?」
霖之助さんの肩を掴んで、じっと見つめる。色素の薄い瞳が私を映して、何度かまばたきを繰り返した。
そのまま目を閉じるて霖之助さんの唇に私の唇を重ねる。
いや、重ねようとした。


「きゃあっ!」

何が起こったのか一瞬理解が出来なかった。
凄い衝撃を受けたと思ったら、いつの間にか畳に転がっていた。

「あ、す、すまない!」

申し訳なさそうな霖之助さんの声。
もしかして私は突き飛ばされたのか?彼に?
何故?
なぜどうしてなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?

「でも今後、たとえ冗談でもこんなことはしないでほしい。」
「私の何があいつより劣ってるの…!」
「え?」
「私は強い!強いのよ!あいつより!!遥かに!!あんなゴミクズなんか足元にも及ばないわ!最強なの!私の方がずっときれいだし、私はすべてにおいてあいつより勝ってる!なのにどうして私を選んでくれないの!?どうしてあいつなの!?」

私が選ばれなければおかしい。私が拒否されるなんてあってはならないことだ。
私は博霊の巫女。幻想郷に愛されている。私を受け入れろ。それがここでのルールなんだ。
「…彼女は君の友人じゃなかったのかい。」
「あんなやつが友達なわけないでしょう!?考えただけでも気持ち悪くなるわ!私にはね、大切な人は1人しかいないの。他の奴らなんてどうでも良い。特に貴方に近付く魔理沙なんか大嫌いよ。あいつはいつも私の邪魔ばかりして、凡人のくせにでしゃばってきて、ウザいのよ!!そう、貴方だけいれば良いの…。さぁ、霖之助さん。目を覚まして。あいつと結婚だなんて…」
「霊夢!!…君には失望した。もう僕たちには金輪際関わらないでくれ…!」

何故か霖之助さんは怒っているようだった。私がはしたない姿を見せたからだろうか。だとしたらすぐ謝ってどうすれば良いのか聞かなくてはいけない。そうしたらきっと機嫌を直して、私にキスして抱いてくれるに違いない。
あぁ夢のような霖之助さんとの生活はもうすぐそこまできている。障害は多いけど2人なら乗り越えていけるわ。

「り…」
「それとね!君を恋愛対象として見たことは一度として無かったよ。君のことなんか意識したことすら無かった!!…さようなら。」

え?
今、なんて?
待ってよ、行かないで。
どうしてそんなこと言うの?
ねえ、待って。お願い、待ってってば!
私を意識したことが無かった?嘘よ、嘘に決まってる。
霖之助さんは私を愛してくれてるはずなのに、なんで?
嘘よ。嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!!

「いやぁー!!」







その日は霖之助さんの名前を呼びながらオナニーをした。
そういえば明日は結婚式だっけ。
はじめまして。
初投稿です。

すみませんでした。
のりまき
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/03/16 17:32:15
更新日時:
2011/03/17 02:32:15
分類
霊夢
霖之助
魔理沙
1. 名無し ■2011/03/17 03:01:42
なんだかすごい新入りだぜ…
2. 名無し ■2011/03/17 03:05:21
オナニーし過ぎww
3. 名無し ■2011/03/17 06:10:55
謝ることはない、存分にやって頂きたい!!
4. 名無し ■2011/03/17 07:23:35
金の卵、あらわる。
こいつぁすげぇぜ
5. NutsIn先任曹長 ■2011/03/17 08:54:37
こりゃまた、自己中な霊夢だこと…。
これじゃ、一生、誰かと添い遂げることはできないな…。

もう、アレだ。霊夢、結婚式で魔理沙の眼前でこ〜りん刺しちまえ。
6. kiriri ■2011/03/17 09:24:41
これが初ってすげぇ
こーりんが結婚式で刺される絵が即座に思い浮かんじまった。
GJ!! のりまきさん
7. 名無し ■2011/03/17 12:40:48
ゴミクズの霊夢、かわいすぎる
8. 名無し ■2011/03/17 14:31:30
なぜ結婚式まで書かなかったし
9. 名無し ■2011/03/17 15:30:11
霊夢がゴミ屑だと••••••!?
アリだな
10. 名無し ■2011/03/17 23:45:23
期待の新星や・・・
11. 穀潰し ■2011/03/18 02:07:04
この新人さん……できるな……っ!!
12. おうじ ■2011/03/18 21:55:35
パチェはほんとに狂っちまったのかい?
13. 名無し ■2011/03/19 01:11:55
な、なんだってー!?霊夢を一度たりとも恋愛対象として見なかった!!?
・・・・・まあこの霊夢は屑だし仕方ないか
14. 狂い ■2011/03/19 23:27:21
霊夢には自意識過剰な部分がありますよね
そこを責められる姿がたまりません
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