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『だらだら東方大学物語 【第1話】』 作者: うらんふ
*注意*
この物語は、題名のように、だらだらとした東方大学のお話が続くだけの、読んでも意味があるようなないようなお話です。読み終わった後にさわやかな感動があるわけでもなく、またはこれからの人生に役立つ豆知識が手に入るわけでもありません。
それでも、「まぁ、時間つぶしに見てみるか」という奇特な方以外は、ブラウザの「戻る」を押して帰られることをお勧めいたします。
「あー、ここが」
手に薄い紙切れを持った霧雨魔理沙は、アスファルトで出来た道路の端に立って、目の前の建物を見てそう呟いた。
「これから4年間、私が生活することになる幻想寮か」
坂道の途中にあるその建物は、年代ものの建物だった。年代物、といえば聞こえがいいが、ただ古いだけの建物である。例えば骨董品などであれば、時がたてばたつほど価値があがっていくものだが、この建物は、逆に時がたてばたつほど価値が下がっていくものの代名詞のような存在だった。
一言でいえば、ボロかったのだ。
「・・・ボロいな」
思わず、魔理沙もつぶやいてしまった。
しかたない、大学の生活課から案内された寮がここしか残っていなかったのだから。
そもそも、家賃1万2000円の寮の設備に文句をいう方が間違っているのかもしれない。
「一浪したからなぁ・・・現役でうかっていたなら、親父にも文句は言わせなかったんだけど」
そう思う。
一年間の浪人生活にかかった学費は、100万円を超えている。どうして予備校のお金はあんなにかかるのだろう?親のすねをかじるのはいいが、あまりかじり過ぎると脛がなくなってしまうだろう。
本当ならばもっと上の大学に行きたかったのだが、すべってしまったのだから仕方ない。そもそも予備校生活自体、ほとんど予備校をサボっては遊んでいたので、誰に文句を言うわけにもいかない。国立に受かっていたのなら学費も安くすませることが出来たのだろうが、私立なのでそうもいかない。
(バイトしなけりゃいけないぜ)
学費と仕送りはしてもらえるのだが、それだけではとてもとても快適な大学ライフを満喫することは出来ないだろう。
父親との交渉の結果、仕送りは月に5万円と決まった。
家賃と光熱費と学費を出してもらうのだから、これ以上の贅沢はいえないだろう。しかし、5万円の仕送りなら・・・食費やその他雑費でほとんど無くなってしまう。
(まぁ、いいか。楽しい大学ライフの始まりだぜ!)
魔理沙はそう思い、てくてくと寮に向かって歩いて行った。
・・・
寮の管理人さんは留守だった。
「あれれ・・・学生課から話は言っていないのか?」
魔理沙はそう思い、大きなため息をついた。
この寮、幻想寮には20名近い寮生が生活しているらしい。今は昼過ぎの時間だから、ほとんど人はいないみたいだが・・・管理人すらいないというのは大丈夫なのだろうか?
魔理沙は周囲を見渡す。
・・・田舎だ。
寮の前には、小さな工場があるが、人影が見えない。廃工場なのだろうか?木材がおいてあり、よく分からない機械がおいてある。その横には、田んぼがある。今は3月末だから、まだ稲もうえてなければ水もはっていない。手入れもあまりされていないらしく、草も伸び放題だ。
寮の後には、山があった。というか、山の中に、寮があった。静かだ。風の音と、時々聞こえてくる鳥の声以外は何も聞こえない。
(本当に、何もないな)
魔理沙は思う。
大学の職員から、「空気の綺麗ないい所ですよ」とは聞いていたが、空気が綺麗というか、空気しかないじゃないか。
(まぁ、家賃1万2000円だし)
(それに、大学に近いから、文句を言うこともないか)
魔理沙は大きな背伸びをした。
寮の前には、自転車と原付がたくさんおいてある。おそらくは、寮生のものなのだろう。寮の裏手には空き地があり、そこは駐車場になっているということだった。
(駐車場完備だと、職員は言っていたけど)
これは、ただの空き地じゃないか。
そう思うと、魔理沙は何となくおかしくなって、笑いがこみあげてきた。
(まぁいい)
(これから4年間、お世話になります)
一回背伸びをして、それからてくてくと寮の入り口に向かう。
(・・・不用心だなぁ)
寮の入り口には、扉がなかった。
誰でも入れる形だ。
郵便受けがあるのだが、それも鍵がかかっていなかった。
(開けようと思ったら、私でも開けれるぞ?)
しかも、長年、雨風にさらされていたからだろうか、ボロボロにさびている。よく見てみると、郵便受けには名前と部屋の番号が書いてある。
「えーっと」
寮生の名前なのだろう。魔理沙は端から何人か読んでみた。
「博麗霊夢、魂魄妖夢、十六夜咲夜、東風谷早苗、霧雨魔理沙・・・お、私の名前が書いてあるじゃないか。ということは、私を含めたこの5人が同級生ということか?」
魔理沙は笑った。新しい友達になれるのだろうか?
「それにしても・・・」
少し怪訝な顔つきをする。
「もう少し、なんていうか、考えてもらいたいもんだぜ」
郵便受けに名前を書いてもらうのは嬉しい。何か、受け入れの準備が出来ているような気がする。けれど、マジックで適当に書かれるというのは何なのだろう?もう少し、気遣い、というものをしてくれてもいいのではないだろうか?
そういう寮風なのだろう。
「お邪魔しまーす」
魔理沙はそういうと、寮の中に入った。
魔理沙の部屋は、一階の奥ということだった。
この幻想寮は建物が3つある。
ボロイ建物と、よりボロい建物と、さらにボロい建物の3つだ。
魔理沙が入るのはボロイ建物の方だった。入口には靴箱があった。魔理沙はその靴箱に自分の履いていたブーツを入れた。もちろん、この靴箱に鍵なんてついていない。鍵どころか木製のこの靴箱は、ところどころに虫の食べた跡があった。
靴箱の上には電話がおいてあった。
「おいおい、こんな所に電話がおいてあって、いいのか?雨が降ってきたら濡れるんじゃないのか?」
色々不安になる設備ではある。
入口の奥には、トイレが見える。扉が二つならんでいる。
(まぁ、期待はしないけど・・・・)
そう思いながら、扉を開ける。
(やっぱり)
水洗式ではなかった。
(うら若き乙女が、4年間もこんなトイレで過ごすのか)
ちょっとだけ泣きたくなる。
でもまぁ、仕方ない。
(家賃1万2000円だしな)
もはや1万2000円というのが何か魔法の言葉になったような気がする。この言葉だけ言えば、どんな惨状に出くわしても我慢できるというか諦めると言うか。
(そういえば、大学の職員のやつらも、妙に1万2000円1万2000円と連呼していたなぁ)
絶対に、あいつら分かって言っていたな。
魔理沙はそう思いながら、下駄箱の所においてあったスリッパを履いた。緑色のスリッパとピンク色のスリッパがある。魔理沙は迷わずピンク色のスリッパを履いた。
(これ、絶対に100円均のスリッパだぜ)
そんなことを思いながら寮の中に入る。
一階は、4つの部屋があった。
手前二つと、奥二つ。
魔理沙の部屋は奥の部屋だったので、とりあえず奥に向かって歩いていく。
ふと見てみると、手前右側の部屋の扉の前に、スリッパがおいてあった。
(なるほど)
魔理沙は一人で納得する。
どうやら、寮生はスリッパで移動するらしい。ということは、扉の前にスリッパがおいてあったら、その部屋には人がいる、ということだ。スリッパがなければ留守。分かりやすいといえば、分かりやすい。
魔理沙は歩きながら、その手前の部屋の扉を見つめた。そこには、
【パチュリー・ノーレッジ】
と名札が書いてある。
「パチュリー・・・さんか。先輩になるのかな」
魔理沙はそう思った。
いったいどんな人なんだろう。いい人だったらいいな。
ついでに、向かいの部屋も見る。そこにはスリッパがおいてないので、今は留守のようだった。やはり名札があるので、それを読んでみた。
【伊吹萃香】
と、書かれている。
「あとで挨拶しなけりゃいけないな」
そう思いながら、先に進む。
いよいよ、自分の部屋の前に行く。
扉に手をかける前に、扉の前に、【霧雨魔理沙】と名札がかけられているのを見つけた。嬉しいが、やはり、マジックで書かれている。
「一応、歓迎はされているんだろうなぁ」
そう思って苦笑する。
「そうだ」
ちょっと振り返る。
これから4年間過ごす自分の部屋。
その真向かいの部屋は、いったい誰の部屋なのだろう。
【博麗霊夢】
向かいの部屋には、そう名札がかけれれていた。
(確か・・・)
この名前は見たことがある。
同学年の人だ。
(ちょっと、心強いな)
そう思って、胸をなでおろす。
ずっと先輩ばかりの場所で過ごすのは気を使ってしまうだろう。けれど同学年同士なら、少しは気楽に過ごせるのではないだろうか。
(では・・・)
意を決して扉を開けようとした時。
・・・隣の部屋から、何かうめき声のような声が聞こえた。
うめき声、というよりも、何かくぐもった声。まるで、魔術か何かをしているかのような声。
(・・・隣、やばい人なんじゃないだろうな?)
そんな事を思う。
この寮の扉には、すりガラスがついていた。すりガラスなので中は見えないようになっているのだが、このパチュリー、という人の部屋の扉のガラスは、裏側からポスターでもはっているようで、中が見えないようになっていた。
(・・・引きこもりなのかな?)
と、思う。まぁいい、そのうち分かることだ。
「ごほん」
改めて。
「・・・お邪魔します!」
魔理沙はそういうと、扉を開けた。
初めて入る部屋。
私の過ごす、私だけの部屋。
4年間、過ごす部屋。
期待に満ち溢れて入ったその部屋。
太陽の光が差し込んでくる。
太陽の光が心地よい。
まだ誰も使っていない、綺麗な・・・はずの・・・
「びっくりするじゃないか。いきなり開けるなんて」
・・・なぜか。
部屋の中にはすでに人がいた。
「・・・あのー」
「はやく閉めておくれよ。風が入ってきたら寒いじゃないか」
どうして、私が非難されてしまうのだろう?
綺麗な部屋。
私が過ごす、部屋。
4年間、過ごす部屋。
そこが。
・・・すでに、ぐちゃぐちゃな惨状になっていた。
「おや、見ない顔だね。新寮生かい?」
「・・・」
「そんな所に立っていないで、早く中に入りなよ。寒いから」
「・・・は、はぁ」
部屋の中には、コンビニ弁当の袋であるとか、マンガであるとか、いろいろなものが散乱していた。
部屋の真ん中にはコタツがあり、あろうことか、そのコタツの上には麻雀マットがおいてある。マットの上には牌が散らばっており、灰皿が置いてあった。
「新寮生が入るのは来週からじゃなかったのかい?」
「・・・少し早く来たんです」
「そうかい。いい心がけだねぇ」
そう言いながら、その女性は、コタツに入ったままで、手招きをした。笑顔だ。とてもいい笑顔だ。だけれど・・・ここは、私の部屋なんじゃなかったか?
「ちょうど今、みんな買い出しにいっているんだ。私は留守番だよ」
「あのー」
「まさかあそこで、紫のやつが役満あがるとは思わなかったからねぇ。これでトータル負け越しだよ」
「あのー」
「幽々子も食えないねぇ。まぁ、ポンとかチーとかよく喰うけどさぁ。なんていうか、もう少し、つつしみ、ってもんが必要だと思わないかい?」
「あのー」
「お腹すいたねぇ。いくら悪霊でも、お腹はすくんだよ」
「あのー」
「ほらほら、さっさと入る!」
「あの!」
我慢できず、魔理沙は叫ぶ。
「ここ、私の部屋、ですよね?」
「・・・何不思議そうな顔しているんだい?あんたは、霧雨魔理沙だろう?東方大学新1回生の」
「はい」
「ならば間違いないよ。遠慮せずに中に入ったらいい、ここはあんたの寮なんだから」
「・・・どうして」
「?」
「どうして、私の部屋が、なんていうか、こんなに、汚れているんですか?」
「エントロピーの法則さ。毎晩宴会をしていたら、こんな風になるのは当たり前じゃないか」
「どうして、私の部屋で宴会をしているんですか?」
「そりゃぁ、あんた、広いじゃないか」
「私の部屋ですよね?」
「みんなの部屋さ」
「・・・」
「ようこそ、幻想寮へ!」
そういうと、その女性はコタツに入ったままで、嬉しそうに笑った。
「私は魅魔、あんたの先輩さ」
手にしていた缶ビールをからんとふる。
「8回生だ・・・2浪して4留したから、もうかれこれ10年以上、この寮に住んでいるのさ」
そういって、からからと笑った。
「・・・」
「ただいまー」
「あらぁ、新寮生〜、宜しくね〜」
「まずは宴会をしようか!」
魔理沙が絶句して立ちつくしている時、後から、声が聞こえた。
買い出し、にいっていた面々が帰ってきたらしい。
唖然としている魔理沙の前を通りすぎると、どかどかと、魔理沙の部屋の中に入っていく。
「私は、八雲紫、4回生よ」
「私は西行寺幽々子、同じく4回生よ〜」
「八坂神奈子、院生だ」
「八意永琳、同じく院生」
手にしていたのは、ビール、つまみ、お菓子、競馬新聞、ジャンプ、ファミ通。
「じゃぁ、まぁ、とりあえず」
魅魔・・・先輩が、これ以上ないくらいにこやかな笑顔で、言った。
「新寮生歓迎麻雀大会をしようか!」
こうして、霧雨魔理沙の大学生活が始まったのだった。
だらだらと続く
そんなわけで、だらだらと続きます。
感動も何もありませんが、日常を♪
今思い返してみると、大学時代は黄金時代ですね!
うらんふ
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/03/26 00:10:08
更新日時:
2011/03/26 09:10:55
分類
魔理沙
だらだら
感動も何もありませんが、大学時代がだらだらと続きます
は…早く続きを!!
魅魔様10年てwww
魔理沙の大学時代はどうなるのだろうか…。
まあ、適当に染まって宜しくやるんでしょうね。
だらだらと、続きを楽しみにしています。
ゆかりんに似合う役満というと、国士無双あたりな気がするなぁ。しかしイカサマで。
早速ババァズの登場ですね、次回も楽しみにしております。
ずっと寮に居座り続けている魅魔様に吹いたとです。