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『蛇の熱』 作者: 遊
ばふ、と敷きっぱなしにしている布団に、僕は身を放る。
そうして、大の字に似た形で四肢を投げ出した。
雨の夜の所為だろうか、空気は冷たいというのに、湿気があり、擦れる寝間着がねちっこく感じた。
「ふ、ぅ…。」
ゆっくりと一つ、息を吐き出す。
肺から漏れ出た息は、口内を生温くし、通り過ぎていく。
ざぁ、と降り続けている雨粒が地面を打つ音が鼓膜を震わせた。
どうにも、僕は腹に何かを飼っているような気がしてならない。
腹の中に居座る様を想像する限り、そいつは蛇なんじゃないかと考える。
ただ、蛇の肌は冷やい。
だというのに、僕の身体はじっとりとした何か一種のいやらしさを伴った熱を孕んでいるのだ。
その熱は、今、じわりじわりと冷えきった布団に滲んでいっている。
それを僕は、意識の隅の隅方で感じているのである。
「……。」
ほんの数分経たぬうちに、僕は半身を起こすと、下腹部に手を伸ばし、触れた。
腹の中の蛇が動いた、そんな錯覚。
蛇が動くのは、獲物を求めてだ。
何を求めているのか、なんていうのは飼い主の僕が一番理解している。
ずりっ
布団から這いずるようにして出ると、四つん這いのまま店の方へと向かう。
眼鏡を忘れた。
まあ、構わない。
直に夜闇に目は慣れるだろうから。
蛇に餌をやるのだ。
そう、餌を。
店には拾ってきた様々な物が溢れている。
今向かっているのは、僕が気に入り、使うと判断したもの、つまりは非売品をしまっておく物置。
物置と言えども、単なる押し入れなのだが。
ずー、と襖をずらすと、そこには雑多にたくさんの物が詰め込まれている。
「これにしようか。」
一つの物を手に取り、一人呟く。
さほど大きな声でもないため、簡単に雨音に掻き消されてしまった。
手に取ったそれは、妙に弾力のある素材でできた棒状をしていた。
別に名前を口に出さずとも、使用方法はもうわかっている。
あの、贅沢な餌の代わりにこれを蛇に放ってやるのだ。
何せ、いくらこの店が彼のいる場所に似ようとも、ここに彼の姿はないのだから。
僕の飼う蛇は、なんとも浅ましい性格をしているらしい。
こんな拾い物の餌で満足をする。
また同じように襖を閉めると、閉ざした襖の前で僕は笑った。
それは、自嘲の笑い声。
蛇がまた、腹の中で動いた気がした。
早く餌をくれてやらなければ。
朝が来るのは存外、早いものだから。
.
こちらでは初めまして。書いてみてジェネ向きではないなと思ったので、こちらに。
誰得?自分得。また書くかもしれません。その時はよろしくお願いします。
遊
- 作品情報
- 作品集:
- 25
- 投稿日時:
- 2011/04/05 11:58:45
- 更新日時:
- 2011/04/05 20:58:45
- 分類
- 森近霖之助
- 魔理沙の親父さん←霖之助
- 親父さん登場なし
- 何故えろっぽくなった
本当は、親父さんが手ずから与える餌のほうが良いでしょうが、
ひとまず、この『疑似餌』で我慢しましょう。
朝が来るまでに蛇に餌をやらないと、
蛇が、物買わぬ常連である親父さんの身内の胎に帰ってしまうかも……。
なぜ魔理沙の親父さんなのに魔理沙を出さなかったんだろう自分。
蛇は帰りはせずとも噛みつくことはあるかと思います。