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『フランドールの華麗なる日常6』 作者: 機玉

フランドールの華麗なる日常6

作品集: 25 投稿日時: 2011/04/08 09:55:24 更新日時: 2012/12/27 03:46:12
【戦闘シミュレーションpart1】

先日アーマースーツができたのを機会に少し実戦について考えてみることにした。
現在幻想郷はありがたい事に平和そのものだがこの先殺し合う機会がないとも言い切れない。
考えておいて損はないだろう。
あまり複雑に考えるのも難しいので、とりあえず私が各勢力の有力者とサシでやり合った場合を想定する。

・博麗霊夢
多分勝てる、人間だし。
しかし「勘」と称する謎の予知能力を持っている事、擬似戦闘であるとはいえスペルカードゲームで突出した実力の持ち主である事などを考慮すると油断はできない。
できれば直接ぶつかりたくないわね。賽銭に目がないというので超小型高性能爆破装置を賽銭箱に放り込んで奇襲、そこに遠距離から魔法で爆撃すればまず勝てるだろう。
気質異変の時は神社が潰れてもぴんぴんしていたというので一瞬で敷地内を更地に変えるのがベストか。

・上白沢慧音
まず大前提として満月の夜はダメ。
人間状態と妖怪状態ならばどちらが強いかなど考えるまでもない。
彼女の能力はどこまで応用が効くのか分からないがあまり能力を使う暇を与えるのも望ましくない。
人間の里を使って気をそらすのも少し考えたがそれもやめた方がいいだろう。
となるとやはり速攻撃破ね。
幸い身体能力ではこちらが勝るので直接殴りまくれば多分勝てる。
分身で囲んで袋叩きね。

・藤原妹紅
主に炎系の妖術を使用する不死身の蓬莱人。
竹林に小屋を建てて住んでいるらしい。
どうしよう、死神でも引っ張って来るか?いやそれじゃあサシじゃないな。
となると殺さずに拘束するか生き返っても行動できない場所に放り込むしかない。
気づかれないようにこっそり家に近付いて上から巨大な「おもり」を落とすか?
いや、そういや藤原妹紅は永遠亭の蓬莱山輝夜と反目しあっていて刺客を送られ慣れているとかお姉様が言ってたっけ。
なら暗殺も気付かれるな。
ヤバい本格的に打つ手がなくなってきた、どうしよう。
待てよ、別に相手に気付かれてからでも上からぺしゃんこにして再生できなくすればこっちの勝ちだ。
なら分身を送り込んで無理矢理拘束し、分身ごと潰してしまえばいい。
まあこれで再生場所を選べるとか言われたらギブアップね。
議題からは外れるが藤原妹紅は上白沢慧音の尽力で現在比較的人里寄りの人物だが、一応無所属の妖怪だ。
機会があればスカウトしたい、これほどの逸材はそうそういないだろう。

・八意永琳
敵に回したくない女ランキングトップクラス。
彼女の恐ろしさは単純な戦闘力ではなく何ができるか分からない点にある。
だが考え出すとキリがないのでとりあえず今回は単純な戦闘に限って考えよう。
とは言っても彼女は(紅魔館が)幻想郷に来てから一度も殺し合いをしていない。
その実力の程は不明だ。
死なない事しか分かっていないので基本的には藤原妹紅と同じ戦法で攻める、としか言えない。

・鈴仙=U=イナバ
永遠亭の幹部。
脱走兵であるとはいえ元エリート軍人なので油断はできない。
波長を操る能力が厄介だがこちらも魔眼持ちなので、ある程度は対抗できる……はず。
得意とする戦法は拡散弾および炸裂弾を中心とする銃撃による中距離戦、だから守りを固めつつ遠距離から仕留めるか近距離で速攻で決めるのが良いと思われる。
そういえば永遠亭の情報源は大体彼女なので、意外と重要なポジションであるとパチュリーが言っていた。
戦争を始めるなら潰すのはまず彼女だろう。

・蓬莱山輝夜
藤原妹紅や八意永琳と対応は同じ、と言いたい所なのだが彼女の場合永遠と須臾を操るとかいうわけの分からない能力を持っているので輪をかけて慎重にならざるを得ない。
件の能力は簡単に言えば咲夜ちゃんの能力のスケールを大きくしたような感じで、時代単位で行使できる代わりに咲夜ちゃんのように細かく止めて動かしてという事はできない、かも知れない。
やって見せていないだけで実際は止めたり動かしたりもできる可能性もあるのが厄介な点だ。
まず思い付いたのが誰かを人質にとって動きを封じるとかだが、何しろ相手は地球外生命体なので「愛?何それ?」みたいな事言われて人質なんぞ気にせずに殺しにかかられたら即行詰んでしまう。
八意永琳辺りなら効果が期待できるかも知れないが、八意永琳を大人しく人質にしておける事などまず出来ないというかそもそも八意永琳何しても死なないので人質にならない。
こうなるとやはり積極的に搦め手でどつきまくるしかない。
そこで考えた手は、

@まず永遠亭の近く(直接当てない程度)を爆撃。
A変声魔法で藤原妹紅の声を真似て適当に挑発する。
B分身に幻惑魔法をかけ、藤原妹紅のフリをさせる。すぐにバレるかも知れないが一瞬足止め出来ればそれでいい。
C死体が綺麗に残る形で一回殺害しそこにおもりを被せる。蓬莱人は髪の毛一本でも残ればそこから再生するらしいのでバラバラにしたり粉々に吹き飛ばしたりするとどこから再生するか分からなくなる。だから全身が欠ける事なく残っていなければならないのだ。
これで勝てるかどうか五分五分といった所だろうか。

永遠亭の総評としては敵にいると非常に不安だが手を組んでも役に立つかは微妙という厄介極まりない集団という感じね。
敵対しない事を祈ろう。

・プリズムリバー三姉妹
この三人は恐らく戦法的には似たような物になると思われるのでまとめて考える事にした。
彼女達の特徴としてまず第一に種族が「騒霊(ポルターガイスト)」というなかなか珍しい物である事が挙げられる。
ポルターガイストとはドイツ語で「騒がしい霊」の意であり、民話に登場する音の精を指すらしい。
さて、肝心の彼女達に対する戦法だが……まあ、普通に魔法で吹き飛ばせばいいんじゃないかしら、ダメだった場合はまた今度考えよう。
彼女達は特定勢力に属していないしあまり好戦的なタイプでもない為戦う可能性も少ないと思われる。
あ、そうだ。プリズムリバー三姉妹は音を媒体とした精神操作系の能力を使用するので音を防げる結界を張るのは忘れないようにしなくてはならない。

・魂魄妖夢
流行に逆行する近接戦闘型。
弾幕も展開できるので間合いは中〜近距離といった所か。
私は剣を扱う事は出来ないのでなるべく近付かない方が良いだろう。
とはいえ彼女は厄介な能力の類は持っていないので正面から普通に戦えば倒せると思われる。

・西行寺幽々子
こいつは亡霊なので明確な弱点が存在しているという点では対処しやすいと言えるだろう。
とりあえず動き回っている方は無視して妖怪桜の下に眠っているという死体を処理してやればいい。
従って戦法は実にシンプル、桜の下から死体を掘り起こして燃やす、これだけだ。
問題は妖怪桜の実力の程が分からない事と、死体がどれくらいの深さに埋まっているのか分からない事だが、これも結構何とかなるかも知れない。
まず割と出番の無い私の能力を使って妖怪桜を確実に仕留める。
そして恐らくこの段階で敵に感付かれるので、桜が破壊出来たのを確認したら速攻で根元を爆破する。
これで死体も一緒に吹き飛べばよし、まだ届いていなければ第二波第三波を放って終了だ。
可及的速やかに実行すればなかなかの勝率を出せると思われる。

冥界の総評は目立つ奴が他と比べて少ない。
また、他の勢力と敵対し得る理由も少ないので恐らく戦う可能性も少ないだろう。

・八雲藍
式神なのでまずは水をぶっかければ多少は弱くなるはず。
だが相手もアホではないだろうし水対策ぐらいはしていても全くおかしくないので、その場合はそのままやるしかない。
さて八雲藍の実力の程なのだが、一応は把握している。
ここに来た時にお姉様がやりあって一応勝ったからだ、パチュリーのサポート付きで。
お姉様はサシでやりたいとごねたのだがあの時はとにかく手段を選ばず勝つ事が重要だったので、って思い出すと長くなるから止めておこう。
あれからそれなりに経っているので今は違う可能性も十分あるが、恐らくやって勝てない相手ではない。
とはいえ強いのは確かな上に搦手が通用するような相手でもないので、戦後にしばらく動けなくなる覚悟はしなければならないだろう。
戦法はこっちが有利な接近戦で殴りまくる事。

・八雲紫
敵うか敵わないかとかそれ以前に手を出せない相手。
八雲紫がいないとここに住めなくなるので基本的に敵対してはいけない。
一応戦闘するとするならば、冬眠の時期を狙って接近戦に持ち込むことになるだろう。

さて、あまり長く続けていると飽きるのでここで一旦切ろう。
続きはまた明日にでも。


【姉】

先日のキッチン爆破事件から4週間程が過ぎた。
キッチンは無事修復され、私も安心して無茶な実験が出来るようになった。
しかし何もかもが元通りになったかに見える我が家だが、まだ変わったままの事もある。

「お姉様〜いる?」
「寝てるぜ」

私が用事を済ませる為にお姉様の部屋に入ると、そこには霧雨魔理沙と彼女に膝枕されて気持ち良さそうに眠るお姉様がいた。

「そういえば膝枕ってさ、頭乗っけてるの膝じゃなくて腿よね?なんで膝枕っていうのかしら」
「昔は膝っていうと腿の部分の事だったんだよ。その名残だ」
「ふ〜ん……あなたちょっと雰囲気変わった?」
「何、どこが?」
「いやもっと回りくどい捻くれた話し方する娘だと思ってたから」
「……疲れてるんですわ」
「お疲れ様、え〜と、なんて呼べばいいかしら?」
「魔理沙でいいよ。お前は確か、フランドールだったか」
「ええ、私も名前を呼び捨てでいいわ」
「今度は私からも質問いいか?」
「どうぞ、ちょっと待ってね」

私は近くにあった椅子を念動力で引き寄せて座った。
ついでに引き出しから出納簿も抜いておく。

「それで、何かしら?」
「私はいつ解放されるんだろうか?」
「それはお姉様が飽きたらとしか。
 ただあのキッチン結構高かったから、あの値段全額となると一ヶ月や二ヶ月じゃあ無理ね」
「そうか」

魔理沙はため息をついた。
疲れてるみたいだし少しフォローもしておくか。

「まあ安心しなさい。多分お姉様もそのうち飽きるから一年以上ってことはないでしょ。
 そもそも咲夜ちゃんをそこまで離しておくわけないし」
「咲夜、そうだそういえばあいつ最近見かけないけどどうしたんだ?」
「お姉様が暇を出したらしいわ。今は魔理沙がいるから休んでいいわよって。
 今はどっか友達の所でも泊まってるんじゃないの」
「へえ、そうなのか」
「メイド妖精達のシフトをこの前決めたから仕事がちゃんと分けられて、さらに言えば咲夜ちゃん以外にも人間のメイドが働くようになったから、指示を出すのも咲夜ちゃんじゃなくても大丈夫になったのよ」

そう、いくら字が読めるようになったと言ってもやはり咲夜ちゃん以外は全員妖精という状態では限界があった。
だがそこに人間のメイドが入った事で仕事がスムーズかつ正確に進むようになり、今や紅魔館のメイド長はお姉様の相手さえできれば咲夜ちゃんでなくとも不可能ではない仕事となっているのだ。

「だからお姉様も遠慮なくあなたと遊んでいる事が出来るってわけ」
「なるほどね」

魔理沙はお姉様の帽子を取って頭をぐしゃぐしゃ撫でた。
お姉様は気持ち良さそうに寝息を立てて寝たままだ。

「ああ、そういえばメイド妖精のシフトお前が考えたんだってな」
「ええ、そうね」
「キッチンで燃え尽きた調味料を調達してきたのもお前なんだって?」
「まあね」
「……お前が当主になった方がいいんじゃないか?」
「いや〜それはどうかしらね」

主にお姉様からだが今までにも言われた事がある。
私(フランドール)が当主をやった方がいいとは思わないのか、と。
その度に私はそれを否定している。
理由は面倒くさい、持って回った言い回しが苦手、裏で糸を引く方が性に合っている等いくつかあるが、中でも大きな理由が一つある。

「お姉様楽しそう?」
「ん?どういうことだ?」
「お姉様はこうして魔理沙をメイドにして遊んでて楽しそうかって事」
「まあそうだな、楽しそうだぜ」
「お姉様は基本的にどんな理由があろうとやりたくない事はやらないのよ。
 だからこうして魔理沙と遊ぶのは、やってみたかった事なんでしょうね」
「ふ〜ん、そうなのか。それで、それがどうかしたのか?」
「ここからはしばらく黙って聞いてちょうだい。
 まず私がチルノと知り合ったのは、私が紅魔館から玉を投げてそれが偶然チルノに当たって彼女が怒鳴りこんできたからなの。
 で、私が色々やるのは昔からの事だから美鈴も慣れててチルノを私の部屋まで通したんだけど、流石に主人の許可無く部外者を入れたりはしないわ。
 つまりお姉様はチルノを入れる許可を出したのよね。もちろんお姉様も慣れてただけなのかも知れないけど。
 そしてその時知り合ったのが、調味料の調達に役立ったわけ」
「ふむふむ」
「次はメイド妖精のシフトね。これはまず私が思い付いて作って、その後は咲夜ちゃんに調整してもらって完成させた。
 その後お姉様が本人曰く気まぐれで人間のメイドを雇って、このシフトに合わせる形で仕事に就かせた。
 この結果さっき説明した仕事がだいぶ軽くなったわけ」
「なるほどね」
「ここであなたに質問なんだけど、キッチンはわざと壊したわけじゃないのよね?」
「流石にそれはないぜ。この前はなんかたまたま狙いが逸れちまってな。
 結果見事にドカンだ」
「OK、それじゃあこれで最後だけど、咲夜ちゃんは昔はあまり休みとか取らない娘だったの。
 たまにふらっと出かけては変な物たくさん拾ってくることはあったらしいけど」
「(マジで犬みたいな奴だったんだな……)」
「それで見かねたお姉様が空いた時間を作れたら友達と遊ぶようにしなさいって言ったわけ。
 この前は咲夜ちゃん肝試しに行ったでしょう?」
「ああ、確かに」
「それで一度遊びに行くようになってからは何度も遊ぶようになったから、魔理沙がいるから休んでいいわよって言われたと時もすんなり出かけたみたいね」
「そうだったのか。で、今の話がなんなんだ?」
「ここまで話した事がほとんどお姉様にとって都合良く進んでる事が分かるかしら?」
「まあ、言われてみればそうかも知れないな」
「それが私が表に立たない一番の理由よ」
「おいおい、待てよ。別にこれレミリアが当主になってるから良い方向に進んだわけじゃあ」
「いいえ、今回だけじゃないわ。
 私は生まれてからずっとお姉様と共に暮らしてきたけど、こんな風にお姉様にとって望ましい方向に物事が進む事は今までに何度もあった。
 むしろずっとそうだったと言っても過言ではないかも知れないわ。
 魔理沙は幻想郷縁起を読んだ事あるかしら?
 お姉様の項目には運命を操る程度の能力って記載されてるのよ」
「つまり、これはこいつの能力の結果って事なのか?」
「それは、分からない」
「は?」
「分からないのよ。私に言わせれば運命を操れるなんて馬鹿げてる。
 スカーレットデビルだ悪魔の妹だと言われても私達は『所詮』吸血鬼なのよ。
 運命なんて曖昧模糊とした概念を手の内に納められる程大それた存在じゃない」

どんな強力な妖怪であってもその能力には何かしらの由来があるものだ。
八意永琳の能力の裏には悠久の年月を生きてこの世の理を知り尽くした知識がある。
八雲紫の能力の裏には他者を寄せ付けない圧倒的な計算能力がある。
だが、お姉様の能力にはそのような裏打ちすら無いのだ。

「じゃあなんで」
「私がどう思っていようとお姉様にとって良い方向に世界が回り続けている事は事実なの。
 だから私は安心して引き篭もっていられるのよ。
 今回は私に必要な事だったから口を出したけどね」

自分勝手で子供っぽく気まぐれ、だけどそれでもちゃんと当主をしている。
私と全然似ていないようで、そっくりな所もあるお姉様。
歳の違いもたったの5年、妖怪にしてみれば無いに等しい差なのに何故か私は今までこの姉に敵う気がした事が無いのだ。
それは根拠が無さそうなのに自信満々で、結局いつでも大丈夫という私の理解の範疇を超えた奴だからなのかも知れない。
私は魔理沙の膝でまだ寝ているお姉様を見て思わず苦笑する。
そんな私を見て魔理沙が再び問いかけてきた。

「フランドールはレミリアをどう思ってるんだ?」
「どうって?」
「お前はこいつのそういう部分がよく分からないんだろ。
 そんなレミリアをお前はどう思ってるんだ?」
「そうね、魔理沙、あなた家族は?」
「いないぜ」
「ふむそうね、じゃああなたと一番親しい誰かを思い浮かべてちょうだい」
「ん〜……」

霧雨魔理沙はそれなりの有名人である為、彼女の経歴はある程度把握してある。
今彼女と最も親しいのは恐らく香霖堂店主の森近霖之助か博麗霊夢。
ちなみに彼女の家族についても一応少しは知っているが、それはここで触れる事ではないだろう。

「思い浮かべたぜ」
「じゃあ、あなたはその思い浮かべた人物について知らない事はほとんど無いと断言できるかしら?」
「ああ成る程、それはないな」
「そうよね。
 だから私もコイツの事が多少分からないくらいで何か思ったりはしない。
 レミリア・スカーレットは私を養ってくれるありがたい姉、それ以上でもそれ以下でもないわ」
「そうか。良かったなレミリア」

魔理沙が声をかけたらお姉様の羽根が一瞬動いたのを私は見逃さなかった。
コイツ聞いてやがったわね。

「さて、じゃあ私はそろそろ失礼しようかしら。
 魔理沙は早く解放されるといいわね」
「ハハハ、まあ精々頑張るさ。じゃあな」

出納簿を引出しにしまって私は退室した。


後日、魔理沙はお姉様に解放されて紅魔館を後にした。
また来ると言っていたので今度は物を壊さないようにと一応言っておいたが、あの娘は一回ぐらいで懲りるようなタイプではなさそうだな。
まあその辺りはお姉様に任せるしかない。

「さ〜て今日は何をしようかな」
「フランドール、朝御飯よ」

私が返事をするよりも先にお姉様が入ってきてトレイを置いた。

「あまり勝手に入って来ないでよ」
「ごめんなさい、でもちょっと話したい事があったから」
「話したい事?」

私はお姉様の方へ顔を向けた。
いつもと違って微笑んでいる顔はちょっと珍しい。
本当に小さい頃、まだよく一緒にいた時は見た気もするが、よく覚えていない。

「ねえ、フランドール」
「ん」

私はそんなお姉様を見て向き直り、殴り飛ばした。

「あ〜スッキリした」
「い、いった〜!いきなり何するのよ!?」
「急に変な目で見てくるから驚いたのよ」
「ひっど!ちょっとは可愛げのある奴だと思ったのに!!」
「うっさい!盗み聞きするような奴に見せる可愛げなんざこれっぽっちも無いわよ!!」
「何よちょっとした意識調査じゃない!!」
「じゃあ直接聞け!!」

あとはもうぎゃーぎゃー言い合いながらの取っ組み合いである。
まあたまにはこんなのも良いか、姉妹だし。
今回は時間をかけた割にはかなり短めになってしまいました、申し訳ありません。
フランドールがレミリアをどう思っているのか、という設定については結構決めるのに悩みました。
結局この話ではフランドールのキャラの方向性から天才肌の姉とマッドだが理論派の妹という設定が軸にしたので割と普通の関係に落ち着いてしまった気もしますが……
この話の主人公はフランドールなのでレミリアに視点が当たる機会は少ないでしょうが、それでも姉なのでちょくちょく出していきたいです。
ではここまで読んで下さった皆さんありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

4月13日コメント返信
毎度の事だが後になってから見つかる残念な点が多すぎる……まだまだ精進が必要です。
皆さん感想ありがとうございます。
毎回読んでいただいている皆さんには感謝しきりです。

>>NutsIn先任曹長さん
戦闘シミュレーションはアイディアが浮かばない時に趣味で作った代物です。
それぞれのキャラの能力などについて改めて考え直すという目的もありましたが、こうして見ると幻想郷のキャラの無茶苦茶さが分かりますw
あくまで個人的な考察なので本当に参考程度ににしかなりませんが、今まで漠然と考えていたイメージよりもフランドールが弱く感じられたのが個人的に興味深かったです。

姉ではレミリアの能力は結局謎のままになってしまいましたが仲の良い姉妹という形に落ち着いたので良かったかな、と思っています。
魔理沙は良くも悪くも人付き合いが上手い奴なのでしょうね、彼女は絡めやすいキャラなのでこれからもちょくちょく登場しそうです。

シミュレーションはひと通りのキャラでやりたい所ですが、その為にはフランドールが知らないキャラについて知る機会を用意しなければなりませんね。
次回もよろしくお願いします。

>>2
ありがとうございます!
このフランドールがやっている事は基本的に暇潰しなので、どうでもよさそうな事が多いですねw

>>3
そうですね、姉は今までと違ってちょっとシリアスな雰囲気になりました。
理由は申し訳ない事に自分でもよく分かっていませんが、フランドールの家族関係についてだったからかも知れません。
今後も紅魔館メンバーについての話をする機会があればちょっとシリアスっぽくなるかも。
これからもよろしくお願いします!

さてレーヴァテインの設定についてなのですが、この小説ではグリモワールオブマリサの挿絵から自分が勝手に判断し、杖から巨大なレーザーを出した弾幕であって物理的に武器として存在している物ではないとしています(ほんの少しだけ前回のチルノ戦でその描写が入っています)。
ちなみに弾幕版レーヴァテインの使用法も巨大なレーザーを一定のパターンで振り回しているので、いわゆる剣術ではない事としています。
従ってこの小説ではフランドールが恒常的に剣として存在しているレーヴァテインを使用することは恐らくありません、どうかご了承下さい。

>>4
返信が遅れてしまい申し訳ありません。
こんな埋もれてしまっている作品に感想を書いていただきありがとうございます!
面白いと言っていただけるととても励みになります。
更新期間がとてつもなく開いてしまっていますがまだ続きを書く予定ですので、その時はまた読んでいただければ幸いです。
機玉
http://beakerinsect.blog136.fc2.com/
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/04/08 09:55:24
更新日時:
2012/12/27 03:46:12
分類
フランドール・スカーレット
レミリア・スカーレット
霧雨魔理沙
短編連作
12月7日コメント返信
1. NutsIn先任曹長 ■2011/04/08 20:47:48
楽しみにしていた、フランちゃんの日常を淡々と綴ったシリーズ、読ませていただきました。

【戦闘シミュレーションpart1】の感想
こりゃまた、えらく具体的に考察しましたね。
ついでに言えば、無理に戦う必要が無い相手ばかりでしたが。
まあ、あくまでシミュレーションですからね。
part2を楽しみにしています。

【姉】の感想
レミリアの運命操作能力についてのフランちゃんの考察ですか。
幸福兎ならぬ、幸運蝙蝠、とな!?
都合の良い運命を紡ぎだす姉と、
不幸を粉々に破壊して再構築するための下ごしらえをする妹。
ある意味、理想的な姉妹ですね。
たとえ、ぶっ飛んだ性格や能力を持っていても、姉妹が仲良しなのはよいことです。

ようやく、魔理沙は開放されましたか。
彼女の不運は、己の行いを見直せば容易に改善できるものですね。

次回はどうなるのか?
幻想郷に強者はごまんといますから、シミュレーションには事欠きませんね。
フランちゃん、また突飛な実験を行なうのかな。
楽しみに待っています。
2. 名無し ■2011/04/09 06:15:06
どうでもよさそうなことを大真面目に考えている、ここのフランちゃんが大好きです
3. 名無し ■2011/04/09 07:22:10
続き待ってました!おもしろかったです!
今回はフランちゃんのシミュレーションとレミリアの能力について考察ですか。
これまでとちょっと雰囲気が違いますね、
【姉】でちょっとシリアスあった所とか。
早く続きが読みたいです。
ただフランちゃんってレーヴァテイン持ってましたよね……?
4. 名無し ■2011/11/09 16:09:48
今さらですが、読ませてもらいました。面白かったです。
あなたの書く少し人間臭いフランちゃんがいいですね!
5. 名無し ■2013/03/15 19:33:25
この仲が悪いわけでも、ベタベタしてるわけでもない姉妹関係が良い。
姉に対する若干のコンプレックスが、むしろ尊敬の念へとなってるのかもしれませんね
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