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『ビューティフルドリーマー』 作者: みそしる
……。
…………。
ここは……?
どこだ?
魔理沙はそう呟き、周りを見回す。
いつもの魔理沙の住処である森でもなければ、博麗神社でもない。アリスの家でもないし、紅魔館や永遠亭などでもない。
そこは、見渡す限り、荒涼とした、灰色の砂漠だった。
所謂砂漠と言っても、普通見聞してるような砂砂漠では無く、ただひたすら、ひたすら、ひたすら岩石の広がる礫砂漠。自分以外には生けるものなど期待するだけ無駄だろう。
何処から来たのか、何故来たのか。まるで思い出せない。
しかし、そのうちにどうでもよくなった。
考えるだけ無駄だと気が付いたから。
遠く、地平線の彼方には、わずかに光る太陽が、3つ。
1つは紅く。1つは蒼く。1つは緑に。
月は、さっきから数えてはいるものの、満月だけで32個、特に大きいのは背中側の空の半分を覆っている。
地面の岩は、掴むと水のように指の間を抜けていった。
なんだ、夢か。
足下の岩が徐々に気化していく。空が落ちてくる。
空が紅く、黄色く、深く、縮れ、砕け、絡まり、裂け、挫け、朽ち果て、再生する。
その間に、地上では何万年分経過したのか、植物が芽吹き、伸び、育ち、手を広げ、老い、枯れる。
綺麗だ。
魔理沙は、普段の弾幕ごっことはまた違う、雄大な模様にしばし目を奪われていた。もしかしたら新しい魔法のヒントになるかも、などと若干この場にはそぐわない事など考えながら。
あとはここにあいつも居てくれたら、言うこと無いんだけどな。
しかし、しばらくして、あることに気が付いた。
私、どうすれば起きられるんだ?
頬を抓る。びよーん。伸びた。
いつの間にか目の前に湧いていた泉で顔を洗ってみた。いや、そうしようとした。水がどうも液体ではないようだった。
……あ、じたばたしなきゃいいのか。
正解だ、と答えるかのように、魔理沙の意識が遠のいていく。
遠くで都に灯が点りだしていた。
――――
「おはようだぜっ!」
「あら、おはよう。お茶にはちょっと早いんじゃないの?」
先ほどの夢から覚めた魔理沙は、なんとなく気分が良かった。夢について、とりあえずは霊夢にでも話しておこうと思って、起きて直ぐに博麗神社へ来た。
「あー、迷惑だったか?」
「別にかまいやしないわよ、そりゃあ。……変なものでも食べたの?」
「え?」
「あんたが人の迷惑を考えたり、こんなに朝早くにご機嫌でやってくるなんて。」
「なんだよー、まるで私がいつもは自己中で朝に弱いみたいに言うなよな。」
「そういってんのよ。」
「ったくもー。」
いつもの他愛のない会話を繰り返しながら、霊夢は掃除を手早く終わらせ、お茶の支度を始めた。
こんな、他人から何でもない日常の1コマこそ、魔理沙が最も好きな瞬間だった。
魔理沙にとって、博麗神社は自宅の次に、もしかしたら自宅以上に落ち着ける場所であり、博麗の巫女は正に親友と言うべきものであった。
その霊夢に淹れてもらったお茶を啜り、その旨さと幸せを一緒に味わいながら、魔理沙は今朝の夢のことを話した。
「へぇー……いいなぁ、そんな夢。私も観てみたいもんねぇ。」
「私としては焦ったんだけどな、夢から出られなくなるんじゃないかって。」
「出なくてもいいんじゃない?気持ちいいだろうし、夢ならなんでもやりたい放題だし。」
「そんなこと言ったって、実際観ると凄く焦るモンなんだって。」
「そんなもんかしら。最近、夢観ないのよね。」
「朝までぐっすり快眠か。最近異変もそれなりに多いからな、疲れてるんじゃないか?」
「かもねー……こうしてお茶啜ってるときが、一番心安らぐわー……ふわあああ。」
「眠いのか?」
「まあ、ね……実は、昨晩徹夜した後なのよ。どっかのバカ妖精達が騒ぎなんか起こしてくれちゃったおかげでね。」
「寝ても良いんだぜ?」
「じゃあ、お言葉に甘えさせて頂こうかしら。……言っとくけど、盗んで価値のあるものなんか無いわよ?」
「うるさい、さっさと寝ろ。」
「おやすみ……。」
こうして霊夢はお昼寝に。だらだらといつまでも話をしていたかった魔理沙としては少し残念だが、まあ仕方あるまい。
魔理沙は急須や湯飲みを片づながらも、下半身を炬燵につっこんだまま横になっている霊夢が気になっていた。
「霊夢ー?本当に寝たのかー?」
返事はない。
「よっし、チョコ最中喰っちまおう!お前もあれ好きなんだろー?沢山ストックさせてるの知ってんだぜ!さーて……」
返事はない。
「……本当に寝てるのか?」
よく聞いてみるとくぅくぅと寝息を立てていた。今なら鼻の先をつつくくらいは出来そうだ。
「よっぽど疲れてたんだな。」
魔理沙は布団を出してきて、霊夢にかけてやろうとして、不意にその手を止めた。
霊夢の巫女装束の胸元が、はだけていた。
少し胸元が見える程度だったが、魔理沙は思わず、どきんとした。
見た目の年齢からすると少しふくらみの足りないかも知れない霊夢の胸は、それでも魔理沙の心を跳躍させた。
触ってみたい。弄ってみたい。舐めてみたい。吸ってみたい。
一瞬のうちに色々な欲望が、魔理沙の中を駆け抜ける。
でも。私もあいつも、一応は、女だし……。
魔理沙はぐっと、こらえた。
そして、霊夢を起こして格好を直させようと決めた。
流石にこのまま生殺しでは、自分が何をしでかすか、わかったものではない。
「おっ、おい霊夢、起きろよー……。」
とりあえずゆさゆさと揺らしてみる。反応はない。
「んったくもう……人の気も知らないで……こら霊夢っ!」
大きく揺さぶる。
「んー……?なぁに……。」
ようやく気が付いたようだ。
「もう、寝るのは自分の格好くらいなんとかしてからにしろよなっ!」
苦笑混じりで魔理沙が言う。
「かっこぉ……?かっこー……かっこー……静かにー……んむぅ……。」
「ああっ、せっかく起きたと思ったのに……ほら霊夢っ!」
ひときわ大きく揺さぶった時、巫女装束のリボンがほどけきった。
胸元が左右に広がり、さらしも巻いてない霊夢の胸が露わになった。
!!!!
魔理沙の意識が、飛んだ。
――――
気が付いたら、自分の家にいた。
どうやって帰ったのかなど思い出せなかった。
そもそも、もう日もどっぷり暮れた今まで、自分が何をしていたのかも、記憶の彼方だった。
私は、霊夢を、襲ってしまった?
おそってしまった?
お そ っ て し ま っ た ?
そこから先の記憶も、無い。
――――
……。
…………。
ここは……?
どこだ?
魔理沙はそう呟き、周りを見回す。
いつもの魔理沙の住処である森でもなければ、博麗神社でもない。アリスの家でもないし、紅魔館や永遠亭などでもない。
そこは、見渡す限り、荒涼とした、灰色の砂漠だった。
所謂砂漠と言っても、普通見聞してるような砂砂漠では無く、ただひたすら、ひたすら、ひたすら岩石の広がる礫砂漠。自分以外には生けるものなど期待するだけ無駄だろう。
何処から来たのか、何故来たのか。まるで思い出せない。
しかし、そのうちにどうでもよくなった。
考えるだけ無駄だと気が付いたから。
なんだ、またあの夢か。
しかし、今回は、あることが違っていた。
遠く、遠くの方に、誰かが居る。
その人はこちらへ向かっているようだった。
おっ、今度は仲間がいるのか。一緒に夢見酒と洒落込みたいぜ。
やがてその人がかなり近づき、
「魔理沙ー!!」
呼びかけられた。
あの声は、霊夢?
走って来た。
どう反応したらいいかわからない、あんな事をした後では。
しかし。
いまにも転びそうなほど急いでやってくる彼女の顔は、
素晴らしく幸せそうだった。
どうして?
「魔理沙っ!!」抱きつかれた。
本当、夢のようだ。夢なのだが。
夢の中にまで霊夢か。私め。
魔理沙は自分を恨み、感謝した。
夢の中の霊夢は、とても、とても積極的だった。
二人で楽しんだ時間は永かった。永く感じた。太陽は百億巡り、月は千億巡った。
――――
「今日はあいつ、来ないわね。」
ひとりごちて、霊夢は一つだけの湯呑みに茶を注ぐ。
「……昨日のこと、気にしてるのかな。」
――――
起きたのは、日の傾きかけた頃だった。
色々なところが濡れている自分に気づき、自嘲の笑みをこぼし、嗚咽した。
起きたくなかった。
ずっと、ずっと幸せな夢の中にいたかった。
布団に潜り込み、ぎゅっと目を瞑った。
眠れなかった。もう20時間は連続で寝ているのだ、眠れるはずもなかった。
霊夢に会いに行こうか。
一瞬でその考えを頭から追い出す。自分が何をしたかもわからないのに、そんなことできるわけない。
しかし寂しい。寂しかった。さっきまで互いの息遣いを感じ、存在を感じ、心を溶け合わせていたのに、それも全て夢。
魔理沙は、家にあるもの、自身の知識、運、度胸を総動員して睡眠薬を作った。
かなり強力な組成になっているはずのそれを、魔理沙は、一気に飲み干した。
倒れた。
――――
「遅かったじゃないの。寂しかったんだから。」
ああ、ごめんごめん。ただいま。
「おかえり、魔理沙。」
――――
「あいつが来なくなって、もう5日ね。」
霊夢の独り言は、ひどく悲しげだった。
「なにしてんのかしらね……。」
霊夢は、最後に魔理沙と会ったときのことを思い出していた。
あのとき、霊夢の胸元がはだけたのは、わざとだった。
どうやら魔理沙が自分に気があるらしいと気が付いたのはかなり前だったのだが、魔理沙は一向に関係を先に進めようとしてこなかった。
かと言って、自分から好きだと言うのは、何か負けた気がするのだ。あくまで魔理沙が自分に惚れたという体裁をとりたかった。
そこで、寝たふりをし、わざと無防備な自分をさらけ出して、魔理沙に一線を越えさせようとした。
薄目を開けて見ていたが、魔理沙は見事に誘惑され、それでも自分と闘っていた。
彼女には、そこまでの禁忌だったようだ。
焦れったくなった霊夢は、寝ぼけたフリをして、全てを見せた。
顔を真っ赤にしてめいっぱい悶えた魔理沙は、
それでも手を出さなかった。
自分の右手を左手で握りしめ、しっかと霊夢を見つめていた。眼はつり上がり、涙でいっぱいだった。
しばらくぷるぷると震えていた魔理沙は、やがて外へと飛び出した。
「魔理沙ッ!!」
叫びは、届かなかった。
「本当、どうしようもないわ……私のバカ。」
「明日は探しに行きましょうか……探し出して、謝って、ふふ。」
――――
「はぁ……はぁ……もう……二人で……何回……したかしら……」
さあな。でも、まだまだ足りない。私の愛は、こんなものではないんだぜ!
あの月も、太陽も、この岩も、全部、ぜーんぶ、お前にあげる。
だから、霊夢、お前を、お前の全てをくれ。
「もう、魔理沙ったら……ふふ。」
初めまして。みそしると申します。
初投稿させて頂きます。
まともに書き物なぞしたことがないもので、お見苦しい点などございましたら申し訳ありません。
本人にとって心地よいならば、夢はその人の現実になりうるよね!
四月八日
タイトルを修正。ちゃんと既出チェックくらいしろよ私。申し訳ありませんでした。
みそしる
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/04/08 12:21:11
更新日時:
2011/04/08 21:24:22
分類
マリレイ
夢オチ?
産廃?
初投稿
どちらを取るか。
美しいほうを取るに決まっている。
夢のほうを取るに決まっている。
いくらでも美しく魅せる事ができるから。
美しい夢見人よ。
現をゆめゆめお忘れなきよう。
美しい夢見人よ。
美しき現をお忘れなきよう。
このお話は、壮大でいるようで、そうでもないような。
夢はあくまで仮想の世界。
楽しかろうが辛かろうが、
美しかろうが醜かろうが、
生を実感できるリアルに叶うものかよ。
私の感想は、こんなもんです。
ないよりはあったほうが幸せだと思うんだけど。