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『月戦争 「作戦前」』 作者: 第二偵察小隊
月を離れ、すでに長い年月が経った。
人はすぐに死ぬ、永琳が度々招き入れる患者や人里を見れば一目で分かる。
ちょっと見ないだけで、人里やそこに住む人々の外見が変わっている。
全員の顔を覚えてる訳ではないが、過ぎた年月を考えれば当たり前か。
そうそう、つい最近鈴仙と同じように月から逃れてきたらしい兎が迷い込んでいたらしいわ。
鈴仙が庭の中で倒れているのを発見し、永琳に介抱させたらしい。 無断進入なのに永琳も鈴仙も厄介な事するわね。
意識が戻ったあと、その兎は月にいる綿月姉妹の側近であると言ったが定かではない。
でも、どうやら私たちとの面識がなかったのと綿月姉妹も私たちの顔をこの兎に教えた訳ではなさそうなので、
完治したら追い返そうと思っていた。
だが、状況がややこしくなった。
兎の寝室から出た私に永琳が手招きしてきた。
「輝夜、これを見て。あの兎の衣服に紛れ込んでいたわ。」
「見せてみなさい。」
一枚の封筒の中には数枚の紙切れが入っており、送り主を見ると綿月とだけ書かれていた。
内容は以下の通り
*月で少々厄介な事が起りました。 事の始まりは些細な出来事だった。
「これ以上の地球人の宇宙進出を止めるべき」と主張する阻止派と
「進出したからといって攻めてくると決まった訳ではない、その時になったらその時に考えればよい」と
主張する穏健派で争いが始まった。 最初は議会での言い争いだったが、阻止派が強行に出た。
穏健派に宣戦布告してきた。 穏健派が引き下がらなければ、そちら側を殲滅すると。
穏健派側である私たちは直ぐに屋敷内に穏健派の民とどちらにも属さぬ民を匿い、
幾度にも耐えられるよう厳重な護りを作ったが、既に何個か破壊され徐々に屋敷に接近されている。
相手と味方の部隊との衝突も数え切れないほど起こり、双方の死傷者が尋常ではなくなってきた。
私たちだけではこれ以上の長期戦は双方の破滅に繋がると実感した。
輝夜様、永琳様、どうか手を貸していただきたい。
以上
「ふむ、あの子達が苦戦するって事は相当大変な事態なのね。」
「どうします? 輝夜の返答次第で今後の動きが決まるわ。」
正直どうでもいい、と言いたかったが苦戦を強いられているのは永琳の知人である。ここで無視したら後味が悪い。
「この争いに急遽参戦する。 幻想郷中から戦える者を集めろ。今日中に月へ進行するわよ。」
その答えが終わるや否や永琳はすぐに飛んでいった。
「月から追放された身とはいえ、我が子のように可愛がった人は忘れないか。」
輝夜は誰にとも無くそう言うと、今度は鈴仙に永遠亭内の全ての装備と人員をかき集めるよう指示した。
それから少し間が空き、鈴仙が装備を点検しているのを眺めていると、私の前に誰か来た。
「よう、お前の故郷が大変なんだって? 長年の私の恨みが叶ったってもんだな。」
「故郷なんて別に滅んだって悲しまないわよ妹紅。…手を貸してくれるのね、ありがとう。」
「お前からのお礼なんか貰っても嬉しくないわよ。ただ、月が平穏に戻って安堵したお前を殺したいだけさ。」
「いや、私たち死なない身だし。それに殺る前に言ったら意味無いじゃない。」
「ふん。宣戦布告ってだけだ。」
そう言い捨てると妹紅は縁側に腰を降ろして空を見上げていた。
鈴仙が装備の点検を終える頃には、永遠亭の庭には印象深い人がいた。
白黒魔法使い、紅魔館の主にそのメイド。
先日月へ行って綿月姉妹に完膚なきまでに負けた人がまた月へ行きたいと思うとは思わなかった。
「ねぇ、輝夜と言ったかしら? 前回はスペルカードのルールで闘ったけど、今回は敵を殺しても構わないのよね?」
「えぇ、構わないわよ。今回はスペルカードで決闘なんかしてたら弾幕が掠っただけで死ぬわよ。」
「ふふ、幻想郷じゃ相手を殺せないから最近溜まってたのよね。楽しみだわ。」
恐ろしいことをサラッと言う悪魔だわ。 あ、吸血鬼か。
白黒魔法使いこと魔理沙の所へ行き、
「あら?霊夢は来ないのね。」
「巫女が殺人なんて犯したって知られたら余計お賽銭が…って言って来なかったぜ。」
「元々お賽銭なんて入れる人いた?」
「あぁ…まぁ…そうだね。」
「それよりもあなたは相手を殺せる覚悟があるの?」
「そんなの更々無いわ。空から魔法をぶち撒けて敵を錯乱させたりするだけさ。」
「何か暇つぶしに来ただけって感じね。」
「ま、そんなもんだ。けど死んだ奴を見るのは嫌だから、戦地が泥沼化したら早々と撤退するぜ。」
「全然使えないよりはマシ程度か…。」
「連れて来たわよ。」
永琳だ。 私はすぐに向かった。
「久しいわね。いつぶりかしら、紫?」
「霊夢があなたの家に突撃して行った時が最後かしらね?
その後も何度か行ってるのにあなた部屋に篭りがちで行っても会わないし。」
「まぁいいわ。あなたの能力で月へ進行すれば相手が気づく前に奇襲をかけられるわ。手を貸していただける?」
「良いわよ。あの綿月姉妹に貸しを作る良いチャンスだし。」
「ありがとう。」
これで大体の手駒は揃った。
現在紫が月への道を切り開いている間に永琳に作らせた現在の月の地図と現在の味方の陣地と相手の占領区の詳細を全員に細かく説明した。
「大体この辺りにスキマができると紫が言っていたから、この地点から北上すれば敵の側面に出れる。これは宣戦布告無しの奇襲であるため、月にいる味方もこの作戦を知らない者が多い。敵に集中する余り味方の攻撃にやられぬように。あとは永琳お願い。」
永琳が一人一人にメモを渡して周り、
「まずレミリアは弱点の日光をどうにかするために、これを用意したわ。一時的ではあるけど、日光の影響を受けなくなる薬よ。一個で効果は半日程度が限界ね。ストックとして5日分は作ってあるから、足りなくなったら調合するから伝えて。」
「ふん…ありがたく貰っておくわ。」
「ありがとうございます。」
主人ではなくメイドが礼を言っている。
「あとは作戦開始まで個人の要項を確認するように。」
もうすぐだ。 もうすぐ戦争が始まる。幻想郷では許されざるスペルカードと能力を駆使した殺し合いが。
という訳で短いですが、あらすじと一部の仲間を紹介という感じです。
儚月抄から少し時間が空いたくらいを舞台に綿月姉妹側の手助けをしていく短編を書いていきます。
文章力皆無ですが、よろしくお願いします。
第二偵察小隊
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/04/12 08:48:51
更新日時:
2011/04/12 17:54:24
もうこの時点でバッドエンドしか見えないのぜ
月の頭脳(笑)
わざわざ月の内戦に首を突っ込むなんて、よほどのお人好しか、英雄気取りの馬鹿か…、戦争を飯の種にする連中ぐらいですけどね。
幻想郷義勇軍の面子は、暗躍担当だったりバトルフリークだったり単なる好奇心といった連中ですから、散々引っ掻き回してヤバくなったり厭きたりしたら、とっととずらかりそう…。
さて、ゲームではないリアルバトルで幻想郷の勇者達はどんな活躍をするのか!?
続きを楽しみにしています。
楽しみだな