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『烏狩り』 作者: 名前無し
今日、私と椛は山へ害鳥駆除に出かけていた
獲物を探し出すのは椛、撃ち落すのは私の役目で、
言うなればそれは主人と猟犬が狩りをする時のようなものであった
本人がそのことを自覚しているかどうかはともかく、ここから一キロほど先で椛は烏の後ろに張り付き、私の合図を待っているのだ
早く準備を済ませてしまおう
「早くしてください。我慢にも限界があります」
無線機越しに椛に催促されてしまった
草が視界を遮っていて、更にこちらから一キロも離れているせいで椛を視認することはできないが
獲物を目の前にして走狗の本能がふつふつと湧き上がってきているのだろう
このまま椛に任せて弾薬代を節約するのも良いが、これ見よがしに襤褸切れのようになった獲物を見せ付けられては主としての威厳が危うくなる
私は深く息を吸い、いつもそうするようにコッキングハンドルを引いて12.7mm弾を薬室に叩き込んだ
グリップを握る手に汗が浮かぶのが嫌でもわかる
程よい緊張感に包まれながら、スコープを覗き込み、烏が飛び出してくる予定の草むらに銃口を向けた
「オーケー椛、カウント開始だ。3、2、1」
「わふぅ!」
若干のタイムラグこそあったが、椛の威嚇と私のカウントはほぼ同時だった
椛に追い立てられ草むらから飛び上がろうとする烏の進路に照準を合わせ、引き金を軽く引く
撃針が雷管を叩き発射薬に引火、燃焼ガスが銅でコーティングされた鉛の塊を押し出す
鉛は銃身内で加速しながらライフリングによって回転性を与えられ、銃口を飛び出した後も真っ直ぐに、哀れな獲物目掛けて飛んでゆく
放たれた銃弾は寸分の狂いなく烏の胴に直撃した
弾丸自体の質量もさることながら、その運動エネルギーは拳銃弾とは比べ物にならないほど大きい
物理の法則に従い、烏はそのまま真っ二つに千切れ飛んだ
スコープを覗く私の目に汗が滴る
今になってやっと、自分が呼吸をしていなかったことに気づいた
「椛、そいつの手足を捥いで血抜きしておいてくれ」
「了解」
今夜は久しぶりに烏鍋を味わえそうだ
酸欠でぼんやりした頭でそんなことを考えながら、私は獲物の許へと駆け出した
名前無し
- 作品情報
- 作品集:
- 25
- 投稿日時:
- 2011/04/16 13:06:18
- 更新日時:
- 2011/04/16 22:09:36
- 分類
- 犬走椛
- 射命丸文
何ですか!! Cal.50って!!
対物ライフルを狩りに使ったのですか!?
獲物の『烏』って、まさか……!?