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『sweet days』 作者: 猫好き&Ω
お気に入りの滑らかな岩を背に、小町は寝ていた。
両手を後頭部に回して、すー、すーと鼻で息をして。
得物の鎌は草原に寝かせてる。岩に立て掛けてたら何かの拍子でバランスを崩し、刃がグサッと脳天に刺さっちゃう――そんな事故が起きるかもしれないから。
昼休憩はとっくに終わってる。
今日のデザートは苺だった。
別にサボったっていいじゃないか。
あたいが列を纏めなくたって、同僚や部下だけで霊達は整理できるのだから。
ほら、目の前に広がる、薄い霧のヴェールを纏った三途の川。
彼岸花が河原に咲き乱れてる。赤くて綺麗だ。毒気は職業病でもう慣れてしまった。
この区域は小町だけの管轄じゃない。
あくまで小町は責任者。五人にも満たない持ち場で、渡し舟を運行させる決定権を持っているだけ。それ以外は同僚、部下とは変わらないただの死神だった。
でも、これでいいんだ。
出世、異動、そんなのナンセンス。
いつもの場所で、いつもの岩で、いつもと同じように昼寝に興じる。
何事も続けられれば吉なんだ。
わざわざ神経を擦り減らすような日々に小町は無縁だった。無縁塚だけに。
日常に必要なのはちょっとした非日常。精々、宵闇の妖怪が頭のリボンを失くした――程度の噂話でも記憶に残り、日記にすれば一ページはだいたい埋まる。
日常が、好きだった。
最近は非日常ばっかだったから、その反動なのかもしれない。
でも、丸っきり廻るだけの毎日――って言うわけでもないんだよ。
ほら、大安には彼女が来てくれる。自由時間を利用しての見回りですって、相変わらず固いけど。
「小町、起きなさい」
四季映季様は帽子を両手に抱えていた。悔悟の棒も仕舞っている。
なんでも、帽子と棒はジャッジの際にしか用いないと決めているらしい。
その理由は、
――裁判とは、個人の偏見で運命を変えてしまう、暴力的で非道な最終手段です。
――誰かを裁くのには理由が要ります。ただし、裁かれるのに理由が無い例も少なくはなかった。
――登壇した私は非道になります。真実を掴むまで、情け容赦は一切しません。
――だから、分けておきたいんです……自分の中にある甘さを捨てる為、この帽子と尺で、覚悟に白黒を付けたくて――。
とまあ、なんとも石みたいに堅い意志だと小町はたびたび思う。
曖昧を許せないゆえに、ゆらゆら揺れる小さな灯火には薪をくべるか、きっちり消火したいのだ。
あの帽子と尺が彼女なりの強さ。
それを外した彼女は、自分を壊さない為に、裁判長から四季映季に戻れる。
彼女は弱くない。強さを保つために、きちんと休息を取っているだけなのだ。
「ねえ、小町……起きないなら」
なら、あたいの責任は、あの鎌にでも宿しておくべきか?
「少しの間、説教させて下さい」
いいや、それは無理だねと自問自答。
だってただの真似事だし。西の死神だって実際はこんなにでかくて無骨な武器、趣味で使ってるヤツが殆どだろう。
でもさ、あたいもその少数派なんだから、それも悪かぁないんじゃないの?
くくくっ、と小町は微笑した。
「そう、貴女は少し不真面目過ぎる」
映季様はバレバレの見て見ぬ振りで、囁くように小町の隣でお説教を続けた。
Ω Ω Ω Ω Ω
月へ行く筈だった吸血鬼のロケットが妖精の溜まり場である湖の畔に突き刺さった。
そこに住んでたペリカンの親子は即死だったらしい。
じゃあその魂が今日辺りに霊となってここにやってくるだろうね。
そんなことを話し合うような今日は霧が少し濃かった。
日は仏滅。最もお呼びじゃない六曜。
でも、小町はマイペースに昼寝。昼休憩は屋台で食べた。髪を伸ばした夜雀は元気そうだった。
仏が滅んで悲しむのはガンガン行き過ぎて最近ちょっと二の腕の筋肉を気にし始めた僧侶と、大切な物を事あるごとに喪失し、ちょうど一昨日に主人の毘沙門天様に怒られていた腹ペコタイガーぐらいだと思う。
鼻に蝶が止まった。昔の人たちは蝶を『てふてふ』と呼んだらしい。
そよ風にすら押し負けそうだなぁと小町は思った。
あんなに小さいのに生き物なのだ。
死んだら魂が残る。どの蟲も等しくそう。
花は枯れる。樹は朽ちる。
氷は砕ける。火は消える。
光は侵され、闇は埋められ、
人は死ぬ。そして魂が残る。
テンプレートだなぁと小町は大きな欠伸をした。
誰も抗えないスパイラル。それが秩序。混沌を滅ぼした。
「あら、やっぱりシエスタなのね」
西行寺幽々子が側近の魂魄妖夢を連れずにやってきた。
きっと今頃白玉楼では「幽々子さまー! 幽々子さまはいずこー!!」と悲鳴じみた叫びがあの長い階段の一番下にまで鳴り響いている筈。
哀れ、下っ端。小町が言える立場ではないが。
「ねえ、妖夢にいそべ団子を拵えて貰ったの。一緒に食べない?」
前言撤回。
魂魄妖夢は主人のことを甘く見ていたようだ。天真爛漫で好奇心旺盛な彼女が見飽きた縁側で、おとなしくもそもそと団子を頬張ると勝手に安心してしまうとはまだまだ未熟。
「お邪魔するわ♪」
幽々子は小町の答えを聞かずに隣に座し、包みを広げてお団子を食べ始めた。
くっちゃくっちゃとどうもはしたないお姫様だ。更には口に物を含みながら喋る。満面の笑みで。
ひょいと一本に手を伸ばしてみる。
「それでね――」
やっぱりバシッと払われた。
期待はしてなかったが、薄目を開けて見たお団子は予想以上に美味しそうだったのだ。
「紫ったらおかしいのよ。昼寝をしていた橙の尻尾を誤って踏んじゃってね、それでたった三日口を利いて貰えないだけで、『私……橙に嫌われちゃったんだ。どうしよう幽々子』ってとぼとぼと徒歩で泣きついて来たの。幻想郷最高の大賢者様でも、式の心ひとつ読むことすら叶わないのね」
うふふ、と口元を隠して幽々子は笑う。
その隙を狙って一本ゲッチュ。もぐもぐと頬張る。醤油の加減が堪らない。香ばしい。
「あ、ダメ〜〜!」
途端に焦る幽々子。
小町の唇からお団子を吸い出そうとしたが、危機を感じた小町が大きめに鳴らしたごくんという喉越しで、名残惜しそうに引き下がった。
「も〜〜……最後の一本だったのにぃ」
むぅぅと頬を膨らませるも、幽々子は渋々と水筒から二つの椀にお茶を注いだ。
「はい、お茶よ」
「おや、有難いね」
思わず昼寝を解き、小町は椀を戴いた。
ずずーっと二人で渋い茶を啜る。湯気が霧に紛れてく。彼岸花の香りが強くなったような気がした。
ホッと一息。なんだかまどろみが消えてしまった。
「透き通ってるのに、綺麗じゃない……誰がそんなものに興味を示し、作ろうと決心したのかしら」
目の前に広がる広い川を眺めて、幽々子はぽつりと言った。
小町は図々しくお茶のお代わりを自分の椀に注ぎ、
「きっと、神様のイタズラさね」
と、低く笑った。
Ω Ω Ω Ω Ω
こっくり、こっくり舟を漕ぐ。
揺れる首、揺れる胸、揺れる涎、揺れる命。
揺れ方は全部似ているが、似ているだけで似て非なるものだ。
無個性なんてない。いつもいつも、同じようで違う日々が迎えてくれる。
気付かなくちゃ、掛け替えのない日々に。
今日も、小町は気付かないふりをする。
やったよ、ガンちゃん!
とうとう俺、憧れの産廃にデビューできたよ!
というわけで猫好きです。Ωでもいいよ。これからよろしくね♪
ガンちゃんと同じサイトでホームページ持ってます。
暇ならここ↓、良かったら覗いてね♪
http://id27.fm-p.jp/301/cocoajunkie/
猫好き&Ω
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/05/03 14:40:12
更新日時:
2011/05/03 23:40:12
分類
Blankey
jet
city
ガンちゃんが俺の始まり
貴方もリスペクトするはガンギマリか
ガンちゃんは奇才だったよね。
アリゲーターこいしちゃん好きだったわ
稀に何かあるのは素晴らしい。
何と言っても、自分が平穏でいられることが素晴らしい。
信用されている? されていない?
人情神風船の如し。今日も幻想郷は平和です。
ガンマギリさんをリスペクトですか。伝説の人ですね。
未経験者というわけではないようですね。
今後の作品を楽しみにしています。
待つ楽しみがまた増えました。
ちょっと、嫉妬。