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『東方奇黒球 ~ mission2』 作者: ヨーグルト
「……」
この間の出来事、理解不能。自分の頭が悪いのか、幻覚か?
見た事無い言った事無い、異様な感じを漂わせる空気。部屋、部屋。部屋の一部にある黒い球……幻想郷の技術であんな物を作れるわけが無い。幻想の空気すら漂わせなかった……幻想入り物か?
あんな物が幻想入りしたのなら紫が放っておくわけ……あるのか?ああいうもの、紫は好きそうだしな……いや、あり得ないか。
『話しちゃ駄目だよ……もし誰かに話したら、頭がパーンだから……おっけー?』
にとりは経験者らしいし、目の前で話してしまった人がそうなったのを見た事があるのかも知れない……確信は無いけれど。
『経験者』?『前から付いている』?
何度かあの部屋に行ったことがあるのか……だとしたら、私もまた、あの部屋に行く事になると言う事なのか……?また、あんな事をしなくちゃ行けないのか?
『そんなんだったら、次は死ぬよ?』
あり得るのか。またあの部屋に行く事になるのか。
●
東方奇黒球 ~ 第二話
●
衝撃!河城工房、大爆発!
河城にとりの住まいでもある河城工房が数ヶ月前、大爆発を起こした。
研究内容はロボットと言う物の開発だったらしいが、その開発中に爆発を起こした模様。
研究所内からはロボットとその他の部品等が発見されたが、開発者本人の姿は見つからず。
翌日、河城にとりは何ごとも無かったかのように現れ「開発途中に熱暴走で爆発を起こしてしまった」とコメント。
しかし、数日後に再び、河城にとりは姿を消し、翌日になって再び姿を現した。
取材を試みたが適当にはぐらかされて真相は闇の中へ。
更に某日、幻想郷から多数の行方不明者。
翌日には帰ってくる者と帰ってこない者がいる事が判明。
取材はしても適当な答えしか帰ってこない始末。
さらに某日。
幻想郷の各地で破壊活動、これは数ヶ月間に渡って行われていて、この捜査は常時行っている。
文々。新聞 ~ 特別号より
●
「……」
魔理沙は自宅にXガンを持ち帰っていた。右手と左手で交互に持ち替えたり、ユニットを広げてモニター越しで家の中をのぞいてみたりした。スーツも持ち帰ってはいたが、着る事だけは避けていた。
Xガンを懐に仕舞い、箒を持って外に出た。
箒に乗ったままある程度の高さにあがると、懐からXガンを取り出して、霧の湖の畔に向かって引き金を引いた。
ギョーン。
間延びした音が響いた。そのお陰で、今まで幻想郷がいかに静かだったかが判った。数秒すると狙った所が爆発した。地面が抉れたように砕け散り、土と言う土が辺りに飛び散り、湖に大量の波紋を発生させた。綺麗だったそこ周辺も土色と化した。
「すげぇ……」
誰にも見られないうちに銃を懐に仕舞い、早々に家に帰った。
●
「あら魔理沙」
「よう、暇すぎて来たぜ」
「暇すぎって……新聞とかで判るじゃないの。今、すごいことが起きてるって」
霊夢はお茶を注ぎ、魔理沙の分も含めたもう一人分の湯のみを出した。
「誰か来るのか?」
「判るでしょ?」
「紫か?」
「だとしたらもう一人分の湯のみが必要ね」
「は?」
●
そして数日後の夜。
●
「……」
魔理沙が目を開き、辺りを見回す。
そう、魔理沙は再び『ガンツ』に呼ばれ、見た事も来た事も無い部屋の中に居た。
今回のメンバー、魔理沙とにとり、小悪魔とリグルに早苗に加えて何人か増えていた。
右から順に雛、秋姉妹、美鈴、小傘、リリカとメルラン、幽香、そして大妖精。
「ま、魔理沙さん!!」
目が合うなり、美鈴が魔理沙に駆け寄った。その様子は完全にパニック状態であった。
「こ、これは!?」
「おいおい、落ち着けってよ。私もここにいたんだから」
「魔理沙さんとにとりさんは前もいたって事ですか?」
雛がおずおずと訊く。
「私は一回前から」
「私は魔理沙より前からいたんだけど、それほど長かったわけじゃないよ」
小傘と大妖精、そして幽香は、部屋のほぼ中央にあるガンツを観察していた。
「これは、何かしら」
幽香が怪訝そうな顔で魔理沙達を見る。
「何でもにとりが言うには『ガンツ』って言うらしいぜ」
「聞いたこと無いわね」
「あ、魔理沙」
にとりが魔理沙の肩をポンポンと叩き、耳打ちした。
「そろそろ始まるんじゃない?人数的に」
「そうだな」
『あーたーらしーいーあーさがきたっ』
『きーぼーおのーあーさーだ。よーろこーびにむねをひーろげ、おーおぞーらあーおーげー』
『ラージオーの、こーえにー。すーこやーかな、むーねをー』
『こーのかおーるかぜーにひらーけよ』
『そーれいっちーさん!!』
曲がなり始めた時、魔理沙とにとりの二人を除いた全員は、驚いた表情でガンツの方に振り向いた。
曲がなり終わればその表情も多少は戻ったが、大妖精辺りは未だに怯えている。
『てめえ達の命は無くなりました
新しい命をどう使おうと
私の勝手です。
という理屈なわけだす』
「……」
『てめえ達は今からこの方をやっつけに行って下ちい』
にとりは立ち上がり、コントローラーとXガン、それに加えてYガンの用意を済ませると、転送されるのを待った。
魔理沙は、他のみんなが来る前にスーツを着終え、銃をセットしておいた。
残りの生存メンバーも同様にする。
『田中星人
特徴:つよい ちわやか とり
好きなもの:とり チョコボール カラス
口癖:ハァー ハァー ハァー』
魔理沙はアタッシュケースを皆に配り「本当に死にたくないと思うならこの中に入っているスーツを着るんだ」と付け加えた。
そして、それぞれに、銃とその他の物を手にとるように言った。
最初にスーツを着て、武器を手に取る事に従ったのは意外にも大妖精。
にとりがさっき、耳元で「チルノもこれで死んだ」と囁いているのを、魔理沙は聞いていた。
しかし止めず、真実を伝えさせて上げるのも正しいと思った。
Xガンを手に取っている大妖精は体中が震えていて、この先起ころうとしている事を何とか理解しようとしている事で精一杯のようだった。
幽香はスーツを着ているが、来た直後に別の部屋に行ってしまった。
美鈴と小傘の二人はスーツを着て戻ってくると、ラックにかかっていたXガンをホルスターに収めた。それに加え、美鈴はラックからライフルらしき物を手にとった。
秋姉妹はアタッシュケースに触れる事も無く、ただただ怯えるだけだった。それに対しメルランとリリカ、雛はスーツを着てXガンを手にとり、ホルスターに収めた。
そして始まる、転送が。
「魔理沙」
転送されながらもにとりは魔理沙に話しかける。
「早苗とリグルを除いて何人生き残ると思う?」
「私たちを除くなら一人生き残れば上出来じゃないか?」
「なかなかいい目をしている……」
それを言い残してにとりは転送された。
魔理沙は既に腕先、腹から下は消えかかっていている。
「早苗、リグル、小悪魔」
「「「はい」」」
「頑張れよ」
●
転送前、魔理沙は自宅で飯を作っていた。
フライパンを暖め、卵をいくらか取り出すと、ボールに予備を入れた。
卵を割り、入れようとする。
その時、ガンツに呼ばれた。
炉の熱を急いで止めるが、止めた直後に転送されてしまう。
フライパンの中にはぐちゃぐちゃとなった卵が落ちているだけだった。
●
場所は妖怪の山の山頂の近く。
夜であり、周りに居る少数の監視役の天狗には魔理沙達が見えていない。
「……」
魔理沙は早苗とリグル、小悪魔と合流すると、周りを警戒するように呼びかけ合った。
リグルがXガンを両手で持ちながら、魔理沙に訊いた。
「先程、合流する前に田中星人らしきものを発見したのですが」
「何体ぐらい?」
「私が確認したのは五体です」
リグルの報告を聞いて、早苗と小悪魔が追加で報告する。
早苗が最初に口を開いた。
「私が確認したのは三体でしたが、リグルさんのと同じモノを見た可能性がありますので……」
「だとしたら」
小悪魔は不安げな顔をする。
「今回は多数居ると考えていいのでしょうか……」
魔理沙は溜め息を吐こうとするが、止め、手を振って皆を集めると作戦を話し始めた。
「私と小悪魔、早苗とリグル、二つに分かれて一体ずつ倒して行こう」
「了解です」
「早苗とリグル、気をつけておけよ」
「「魔理沙さんも、気をつけて」」
●
「ハァー」
「!!」
幽香は転送後一分も立たずに、田中星人に遭遇した。その数は二体で、幽香の近くには味方が一人もいない。
先程、ガンツ部屋で刀らしき物を発見したので、念のために持って来ておいた。
「気持ち悪……」
ダッ!!
田中星人が襲ってくるより早く、幽香は星人との間合いを詰めて、刀を振るう。反応が遅れたのかどうかは定かではないが、幽香の攻撃により一体を負傷させる。
田中星人の体から体液が大量に流れ出る。
「はっ!?」
油断していた所為で、田中星人の攻撃に幽香は気づかなかった。巨大な拳が幽香の体を打ち付け、山肌から見えている岩に体がぶつかるまで、吹き飛ばされた。
体が岩に打ち付けられると、幽香に軽い衝撃が走った。
しかし、その痛みは0に等しい。
幽香の着ているスーツのリングが青白く光っている。
「……何だか判らないけど、このスーツ……………良いじゃない……!!」
そう言って顔を上げた瞬間、幽香の真横を突風が吹き、後ろの岩を粉々に砕いた。岩が欠片と化し、石となった岩が幽香の背中を襲う。しかし、その痛みは無い。
足下に転がった石を一瞥すると、一気に駆け出し、先程攻撃を仕掛けた田中星人の腹を目がけて刀を振るった。その黒い刀が空を切り、田中星人の腹をかっ捌き、周りに体液をまき散らした。
怯む田中星人に更なる攻撃を仕掛ける。首を刎ね、四肢を切り落とし、二度と飛べないように刎ねを引き千切り、原形をとどめないほどに胴部分を切り刻んだ。
もちろんもう一体の田中星人も忘れず、同じような目に遭わせた。
「ふぅ……」
刀を構え直し、辺りに的がいない事を確認すると、一息ついた。
少しすると、幽香のもとに誰かが近づいてくるのが判った。
大妖精だった。
「ゆ、幽香さん……」
「チルノのお友達……大妖精さんね」
幽香に近づこうとする大妖精の背後に大きな影が忍び寄る。
「後ろ!!」
「え?」
大妖精のすぐ後ろ、後方数十センチに田中星人が一体、両拳を大妖精目がけて振り上げている。大妖精が振り向く頃には既に拳は振り下ろされるであろう。
「うわあああぁ!!!」
「ま、間に合わない!!」
田中星人が拳を振り下ろす瞬間、ギョーンと言う銃声が三回ほどし、銃声の直後に大妖精は突き飛ばされた。大妖精をを突き飛ばした本人は大妖精を抱えながら地面に伏せた。その瞬間、田中星人の拳が目の前に迫った瞬間に、田中星人が破裂し、拳を含めた全ての部位が破片と化した。
大妖精を守った人影はむくりと立ち上がり、手に持っていたコントローラーを確認すると直ぐさまに何処かへ行ってしまった。幽香は大妖精をそっと起こした。
「今の、にとりね」
「……」
「あいつのことだから他人は守らないと思っていたんだけど……っ!?」
幽香の顔が大妖精の方向を向いた瞬間、横殴りの形で幽香が吹っ飛ばされた。その体が、生えていた木に激突すると、木を真っ二つに折って地面に転がった。大妖精は後ずさりし、Xガンを構えて辺りを見渡した。
自分の横を見ると、田中星人がもう一体居るのが判った。
瞬間、大妖精の耳をつんざく超音波が鳴り響いた。耳を押さえてうずくまって数秒、超音波は止まった。
「……よくも!!」
Xガンを田中星人に向け、トリガーを引く。
「!!」
正面から殴られ、大妖精の体は後方十メートルほど吹き飛んで、岩に叩き付けられる事で止まった。大妖精は大丈夫だと思っていたのだが、岩に叩き付けられた瞬間、普段と変わりない加減の激痛が襲った。スーツの効果が上手く発揮されなかったようだ。
「あ、あぁ……!!」
「洒落臭いってッ!!!!!」
突然、田中星人の首が上に跳ね上げられ、その土手っ腹の真ん中から細長い黒い物が飛び出した。その場に急いで駆けつけた雛が、刀……ガンツソードで助けてくれたのだ。
「妖精さん!?」
「だ、だだだ、だ、大丈夫です……。それより幽香さんが…………」
「何処に……?」
いつの間にか、雛のすぐ横に幽香が来ていた。幽香がガンツソードを雛から取り上げると「これは私の」と言った。
「あんた、今のが初めて?」
「え? はい」
「なかなかの、腕前で」
幽香は苦笑いするとその場から立ち去った。
●
田中星人が合計五体倒された現在、にとりは地面に座ってコントローラーの画面を見つめていた。画面には『00:45;00』と表示されていて、今も少しずつ時間が経過していた。にとり本人、少し前にミスを犯したと思っていて、大妖精の事を何故助けたのかが理解できなかった。そんな事を考えてもしょうがないと、にとりは立ち上がると他の星人を殲滅しに戦闘体形に入った。
周りには田中星人が四体。
「ソッコー殺す」
●
「小悪魔!! 横!!」
「はいっ!!」
魔理沙の指示通り、田中星人の攻撃が小悪魔のすぐ横に。指示が無ければ少しばかりは危なかったのだろう。攻撃をかわすと小悪魔はXガンで反撃し、田中星人を倒す事に成功した。
「やるなぁ、小悪魔」
「魔理沙さんの指示が有ったればこそです……魔理沙さん、星人を倒さないでサポートばっかり」
「次は私がやるさ」
星人が完全に死んだ事を確認すると、魔理沙は歩き出した。しかし、ぴたりと止まると向こうをジッと見つめて何かを確認しようとした。小悪魔も同じように向こうを見つめる。
「おい、あれ……」
「にとりさんですよね」
魔理沙と小悪魔の目線の先では、にとりが田中星人四体を相手に奮闘していた。攻撃こそ喰らっていないもの、反撃は少しだけでほとんどダメージを与えられずに居た。
魔理沙はXガンをホルスターから抜き、小悪魔に付いてくるように合図を送ると、一秒でも早くにとりのサポートに向かった。
●
その頃、美鈴はライフルを構えて田中星人と対峙していた。その足下には血だまり、その中に秋姉妹の死体が転がっていた。美鈴の後ろではXガンを構えている小傘の姿が有った。
美鈴がライフルの引き金を引くと、田中星人に当たったかどうかは分からないが、田中星人に微妙な変化が起こった。隙を見逃さず、小傘が引き金を連続で何回も引き、確実にしとめるように努めた。
数秒後、二人の目の前で田中星人は破裂した。
「危なかったですね」
小傘がYガンとXガンを下ろすと、美鈴は苦笑した。
「小傘さんが今の星人を捕まえてくれたから、今みたいに倒せたんですかね」
「少しばかりは危機を感じて下さい」
銃をホルスターに収め、小傘はどこかへ向かおうとする。美鈴もその後を追う。しかしその二人の後ろに、新たなる影が忍び寄っていた。
●
「にとりぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい!!」
「魔理沙?!」
魔理沙がにとりの居る所に素早く駆け寄り、Xガンを田中星人達に向けて乱射すると、四体のうち一体が破裂し、外れたものは全て、近くの岩を破壊した。それに加えて更なる銃声がすると、もう二体も破裂した。
「な、何故助ける!!」
「危ないから」
にとりの疑問に答えながら、魔理沙はXガンの引き金を引き、残りの田中星人を潰した。小悪魔が駆け寄ってると、にとりは大層、不機嫌そうな顔をした。
「次からは気をつける……」
早々に立ち去るにとりの背中に、魔理沙は敢えて声をかけなかった。地面に転がる田中星人の死体を一体一体確認した小悪魔は「にとりさんを追います?」と魔理沙に訊いた。魔理沙は首を横に振ると「残りのを潰すぞ」と言って、にとりを反対の方向に向かった。
●
「ぎゃああああああああ!!!」
「!?」
美鈴の後ろから突然、小傘の悲鳴が聞こえた。何かと思って後ろを振り向くと、小傘の右手が無くなっていた。その右腕は引き裂かれたとか引き千切られたとかではなく、潰されたと言った方が正しいようで、見事に無くなっていた。
「ちょ!!後ろ!!」
「うわああああぁぁぁぁぁ!!」
二人の近くに居る田中星人。その体は先程まで戦っていた奴らとは大きく違っていて、体の大きさが一回りでかくなっていた。呼吸器らしき物を装着していて、爪などは異様に鋭利に感じられた。
「避けて!!」
「ううぅっ!!?」
美鈴がライフルのトリガーを引くと同時に田中星人がジャンプしてしまった。その所為で、ライフルが捉えた標的は小傘となる。
「しまった……!!!」
小傘が顔をハッと見上げる。美鈴の頭上に田中星人が迫る。美鈴が体を反転、後ろに飛び退くのと同時に、小傘の体が木っ端微塵となった。
「……くそっ!!」
美鈴はライフルを地面に投げ捨て、ホルスターからXガンを取り出すと、田中星人に応戦し始めた。田中星人は再び空を飛び、照準を合わせようとしている美鈴に急降下する。それと同時に、Xガンのギョーンと言う銃声。それは大きく外れ、近くにあった木をまき散らしただけだった。
「美鈴!!」
そこに魔理沙達が駆けつけた。しかし時は既に遅く、美鈴はずたずたに引き裂かれていた。
その田中星人が魔理沙達の方を向くと、「祐三くん?」と一言言った。
魔理沙はXガンを構えた。他に一緒に居るメンバー……早苗、小悪魔、リグルも同じように構え、戦闘態勢に入った。さらにそこに、にとりが駆けつけたが、コントローラによって透明化していた為、その姿は他の皆に見る事ができなかった。
「……撃たないのか?!」
「あっ!!標的が!!」
早苗が叫ぶそのコンマ数秒前、田中星人が空を飛び、魔理沙達の後ろを目がけて滑空を始めた。魔理沙は慌ててXガンを連射するが、ロックオンをしていない所為で全ての狙いが外れる。飛び立つ事を察知していたリグルは、幽香の持っていたガンツソードで切り掛かろうとしていたのだが、それもかわされていた。
「!!」
田中星人が攻撃したのはにとり。
プレスするように、にとりに向かって急降下、そのままにとりを蹴飛ばすと追撃目的で、にとりに向かってもの凄い早さで走って行く。にとりはそれを避けるつもりではいたが、先程の攻撃の影響も有って避ける事が困難となっていた。スーツの力を使おうにも使えない。田中星人の追加攻撃がにとりに連続で加えられる。
「う、うわあああぁぁあああああっっ!!!」
「にとり!?」
コントローラーの効果が切れ、にとりの姿が現れた。しかしその姿は今は皆からは見えない。
「あがっ!!があぁっ!!ぎゃあああぁぁぁぁぁっ!!!」
田中星人から、なおも連続攻撃が加えられる。
やがて、スーツのリング部分から液体が漏れだした。
「うわああぁぁぁ!!」
連続攻撃からなんとか逃れたにとりはその場から逃げ出そうとするが、すぐに田中星人が追いつく。
「スーツが………!スーツがオシャカになった!!!」
「避けろよにとり!!」
「無理だってええぇぇぇぇぇ……!!!」
田中星人がにとりに飛び乗り、再び追加攻撃を始める。にとりの抵抗空しく、スーツの効果無しでは何もできなかった。
バッ!!
魔理沙はXガンを構えるが、引き金を引けない。少しずれればにとりに当たる。(効果は無いが魔理沙達はその事を知らない)
リグルはガンツソードを強く握り、スーツの力を利用して猛ダッシュで田中星人との距離を縮める。ガンツソードを後ろぎりぎりまで引くと、一気に振り抜く。その刃先は綺麗に田中星人の腕を捉え、肩から先を切り飛ばした。
「うらあああぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっっっ!!!」
振り抜いた軌道を利用して、そのまま左手を切り飛ばす。一旦後ろに下がると、両足を一気に切り落とし、そのまま勢いを利用して首をはねた。さらに胴部分を何回も何回も連続で突いた。
やがて、田中星人の攻撃は止まり、あたりに血と臓物を飛び散らせて動かなくなった。
●
「に、にとり!!」
「にとりさん!」
魔理沙達が駆け寄った頃には、にとりは既に虫の息だった。それでも何とか喋ろうと、口をぱくぱくと動かす。口から血が垂れ、体中から止めどなく血が流れている。
「あ…がが……………ぁぁ……あ……」
「に……」
「ま、……魔…理………沙」
「何だ!?」
にとりがようやく、まともに口を動かす。
「ひ…………ひゃ……『100点』を……」
「何?!」
「『100点』を取れ……」
●
『00:00:00』
●
ビーーーーーーー
ガンツの在る部屋に、生き残ったメンバーが順々に転送されていく。転送された人の顔は全部、曇っていてる。
全員が転送され、魔理沙が周りを確認したが、そこににとりの姿は無かった。
チーン。
にとりたちの死を馬鹿にするかのように、その音が部屋に鳴り響く。
『それぢはちいてんをはじぬる』
『まりさ
10てん
TOTAL10てん
あと90てんでおわり』
『さなえ
0てん
TOTAL3てん
みつけただけで攻撃しないのはおかしい(笑)』
『こあくま
10てん
TOTAL10てん
あと90てんでおわり』
『りぐる
8てん
TOTAL8てん
ぜんかいちいてんしわすれた(笑)』
あと92てんでおわり』
魔理沙はガンツに表示された文字を一瞥すると、無言のままXガンをラックに仕舞った。他の皆も同じようにする。戦闘前、この部屋で自分が言った『一人ぐらい生き残れば上出来じゃないか?』という言葉……、後悔した。
「ガンツ」
ぽつりと、魔理沙が下を向きながら言う。
「百点取るとどうなるんだ?」
魔理沙のその言葉に応える(答える)かのように、ガンツの表面に文字が表示される。
『100点めにゅ〜
1、記憶を消されて解放される
2、より強力な武器が与えられる
3、好きな人を生き返らせる』
●
紅魔館。
門番がいなくなった今、いろいろな意味で忙しくなっていた。
主であるレミリア、その妹のフランドール。美鈴がいなくなってしまった事で気が滅入っている。メイド長の咲夜も気にして入るはずなのだが、表では平気なふりをしている。図書館に住んで居るパチュリー。彼女は、不定期ごとに小悪魔がいなくなっている事を多少は不審がっているものの、敢えて気にしない事にし、小悪魔を含めて他の人には何も言わない事にしている。
命蓮寺。
ナズーリンなどの住人がいない事で空気は大分おかしくなっている。白蓮は今も、ナズーリン達は生きていると信じてやまないようである。
●
そして数日後。
魔理沙達は再び、ガンツに呼ばれて、星人を倒す事になる。
田中星人(一体5てん)、原作とは体数を変更しております。
ボス版はそのままです。
解説:
ガンツソード:ガンツバイクにも付いている、全体が黒っぽい刀です。
コンクリートですら破壊する恐ろしい刀です。
他の細かい所が有る場合でも、あまり気にしないで下さい。
他の指摘をお待ちしております。
次回、あばれんぼう星人・おこりんぼう星人編です。
ヨーグルト
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/05/10 09:27:20
更新日時:
2011/05/11 19:42:39
分類
魔理沙
早苗
小悪魔
リグル
他
ガンツ
田中星人編
結構実力にばらつきがありますが、『参加者』達の『死因』は何なんでしょうね。
魔理沙みたいに正体不明の何者かに襲われたのか?
では、次回を期待して待たせていただきます。
ある意味、この辺は個人的にどうしようかと結構迷いましたね。
実力については、もともと強い妖怪はある程度強くしていますが、強くもない妖怪まで強くなってしまいました。
死因は次回である程度明かすと思います。