Deprecated : Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『塵も積もれば掃われる』 作者: ただの屍
チルノが目覚めると辺りは一面の闇であった。
チルノが眠りに就いたのは正午を過ぎた当たり、つまり昼寝をしていたのだが起きたら真っ暗ではないか。
夜まで寝過したのだろうか。あれは昼寝ではなかったのか。記憶が無いのでもう確かめようがなかった。
「夜かもしれない」と思うと、「周りに敵がいるかもしれない」と考える。
「周りに敵がいるかもしれない」と思うと、「あたいを襲ってくるかもしれない」と考える。
「あたいを襲ってくるかもしれない」と思うと、力を振り回さずにはいられなかった。
チルノが自分の周りをやったらめったらに凍らせる。闇はすぐに晴れた。
涎を垂らして気持ち良さそうな眠り顔を見せるルーミアの氷漬けが出来上がっていた。
――――――――――
霖之助は、「ハンディー型電動マッサージ機」なる道具を拾った。
この道具を早速自分で使って見たところ、どうやら肉体の疲れをほぐす効果があるらしい。
自分には必要のない物に思えたので、「一番最初にここに来た人物に売ろう」と考えた。
この日、魔理沙が一番最初にやって来た。霖之助は今日拾った道具について彼女に説明する。
「なかなか面白そうな道具だな、少し借りるぜ」魔理沙は、みなまで聞かずに引ったくって帰った。
次の日、魔理沙がやって来る。
「借りを返す気にでもなったのかい?」
魔理沙は顔を赤らめてもじもじしながら話した。
「…………えっと、体の疲れを取る道具はないか?」
――――――――――
「おーい」
「やまびこさんよーーー」
人間の男が山に向かって叫ぶ。
「おーい」
「お前さんに頼みがあるんだが」
「山の向こうに俺の言葉を伝えて欲しいんだが」
山彦はただ声を元の場所へと返すだけ。
「いや、こっちにじゃなくて」
「鈴木だがすぐにこっちへ来てくれ、と伝えてくれ」
山彦はただ声を元の場所へと返すだけ。
「だから、こっちじゃないって」
「もう一度言うぞ」
「鈴木だが」
山彦はただ声を元の場所へと返すだけ。
「こっちじゃねえって!!!」
「なぁ、おい! 融通きかせてくれよ」
山彦はただ声を元の場所へと返すだけ。
「てめえ! 聞こえてやがんのか!」
「畜生、この糞ったれが!!!!!」
山彦はただ声を元の場所へと返すだけ。
男は人里へと駆け出した。
その様子を遠くから眺めていた妖怪がいた。
しかしただそれだけの事であった。この出来事が遠距離通信機能付き陰陽玉の歴史の始まりとなったのかまでは分からない。
――――――――――
美鈴は怒っていた。中途半端なあの侵入者に対して。
そいつは紅魔館を知らなかったのだろうか。門番の存在に気付かずに無理やり館に入ろうとした。
美鈴はそいつの肩を掴むと地面に勢いよく叩きつけた。
自分の存在を無視された為に怒気を抑えられなかった。その侵入者(もしくはただの無知)が去った後も怒気が体を駆け巡る。体は火照り、うっすらと赤みを帯びる。
「この調子では、門番も儘ならない。………また眠らなきゃいけないではないか……」
火照りを鎮めるために、美鈴は睡眠に入る。
門番の存在に呆れた者が彼女の目を覚まさせるまで…………
――――――――――
「ついに完成したわ」
永琳は液体の入った500mlビーカーを手に持ってそう言った。
「鬼に協力を仰いだ甲斐があった」
鈴仙が部屋に入って来た。
「ついに完成したのですか。でもそれって一体何なんですか? 完成したら教えてくれるって言ってましたけど」
永琳はビーカーを鈴仙の目の前に差し出して説明しようとしたが、うっかり手を滑らせてしまったのでビーカーは地面にぶつかり液体をぶちまけながら割れてしまった。
「あ」
もしかしてこの液体は危ないものではないのだろうか、鈴仙はそう考えて一歩後ろに下がった。
「そんな驚くような代物じゃないわ。とりあえずビーカーの破片を集めましょう」
永琳がそう言ったので、鈴仙は軍手をはめて破片を纏めていく。
「あの液体は一体何だったんですか? あれを作っていたんですよね?」
永琳はふふっと笑ってこう言った。
「あれはただのお酒。私が完成させたのは水を酒に変えるビーカー。でも割れてしまったから水に漬けなくちゃ効果が無いわね。甕を作る手間が省けたけど、新しい容器を探さなくてはならない」
なーんか話のノリがジョークっぽいショートショート集です
既出だったらマジですまん
ただの屍
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/05/13 01:29:27
更新日時:
2011/05/13 10:29:27
分類
超短い話が五つ
ですが、こうサクサク読めるヤツは、短い昼休みで気分転換に読むのに良いですね。