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『−臨月に叢雲、膨腹に風−』 作者: sako

−臨月に叢雲、膨腹に風−

作品集: 26 投稿日時: 2011/05/15 22:41:31 更新日時: 2011/05/16 07:41:31









「孕んで、頂戴。幽々子」

 唐突な言葉だったが幽々子は受け入れるしかなかった。










「ごめんなさい」

 開口一番、幽々子はそう謝罪の言葉を口にした。三つ指をついて畳に額を擦りつけるよう深々と頭を下げる。

「ほんとうにごめんなさい。この通り、堪忍して」

 面を上げ、けれど、体まではあげずへつらいの笑みでもって情に訴えかける幽々子。両手を合わせてごめんね、ともう一、二度謝る。

「そうは言ってもねぇ…」

 ふぅ、とため息を漏らし、次いで開いていた扇子を閉じる紫。紫が親友の幽々子に頭を下げさせているのは他でもない。

「私、とっても楽しみにしてたのよ。せっかく朝早くに起きて準備して、絶好の場所を陣取って、それなのに貴女は時間になっても来なくって。私、寒い中、ずっと待っていたのよ貴女が来るのを。ええ、一人でお月見しながらね」

 幽々子に約束をすっぽかされたからだ。実は昨日、二人は一緒に月見をしながら燗で一杯、やる約束をしていたのだ。だが、紫の憤り通り、幽々子はついうっかり約束をすっぽかしてしまったのだ。その前に御夕飯を食べ過ぎて動けなくなってしまったというのがその原因だが、それを話したところで火に油を注ぐ結果になるのは目にみえている。平に平に幽々子は頭を下げるしかなかった。

「はぁ、お月見。楽しみにしていたのに」

 これ見よがしにもう一度、ため息をつく紫。ごめん、ほんとうにごめん、と幽々子は更に何度も頭を下げる。

「ごめん。この埋め合わせは必ずするから。ね? お願い許して」

 私と貴女の仲じゃないの、と幽々子。その言葉を聞いて、いや、その前の言葉で紫の瞳がスゥと糸のように細くなった。

「必ず?」
「うん、必ず」
「何でも?」
「うん、何でもするから」

 オウム返しに応える。謝り続ける幽々子はそうするしかないからだ。そして、必ず何でもするから、その言葉を聞いた紫は口元に僅かに開いた扇子を当てた。

「そうだったら…」



―――孕んで、頂戴



 けれど、扇子では隠しきれなかったようだ。歪に曲った紫の口元の笑みは。

「それは…」

 あまりに衝撃的なことを言われ、一瞬、前後不覚に陥る幽々子。顔を俯けたまま、何かを言い返そうと僅かに肩を震わせている。

「出来るでしょ。それぐらい」
「………」

 その上からまるで幽々子を押さえつけるよう、念押しの一言を投げかける紫。結局、幽々子は何も言い出せなかった。
 紫はその沈黙を否定の言葉も意もないと受け取ったのか、満足げに笑みを浮かべると立ち上がり、彼女にしては珍しく障子戸を開けて出て行った。ほんの少し遅れその後ろに控えていた八雲藍がツイ、と頭を下げて同じように出て行く。その顔は能面のように堅かったが仔細に観察すれば困惑と申訳なさが雪下の死体のように隠されていた。

「………」

 帰る二人の後ろ姿を無言で見つめる魂魄妖夢の顔にも同じ様な其れがあった。ただし、妖夢の場合は困惑と―――憤り。だが、発露先のないもの。であった。
 廊下を進み、遠ざかっていく二人の足音が完全に聞こえなくなった所で妖夢の心情は露わになり、眉を逆さ八の字に主人の方へと顔を向けた。

「宜しいのですか、幽々子様」

 問いかけの返答はすぐにはなかった。

「………」

 幽々子は誰にもその青白い顔を見られぬよう、俯いていた。正座し、両手の軽く握って膝の上に置いている。その手を、青白い手をじっと見つめているようだった。

「幽々子様と紫様はご友人同士ですよね。さっきのあれは紫様のお戯れで…きちんと謝ればきっとあんな事は…」

 いつになく多弁そうに口を開く妖夢。迷わば斬れ、と教え込まれそれを実戦してきた彼女ではあるが、今この問題には自慢の剣術も役に立たないのが分っているのだろう。分不相応だと自覚しつつも口数多くなんとかして幽々子を説得しようとしている。その必死さがありありと見て取れた。

「いいのよ。妖夢」

 だが、妖夢の説得も虚しく幽々子は静かに首を振るうだけだった。
 優美な、けれど、何処か幽鬼な様で立ち上がり、着物の乱れを直し、紫たちが出て行った方とは逆の襖を開ける。

「言われた通りにしなくてはいけないの。さ、床の用意をして頂戴」

 妖夢は何も言い返せなかった。肯定を示すために頷くことも出来ず、ただただ自分の唇を血が滴るほど噛みしめ、膝の上で握り拳を硬くするしかなかった。









 それから半刻ほど時が経ち、準備が終わった。屋敷裏の井戸で身を清め着替えた幽々子は奥の間で正座のまま待っていた。
 奥の間は閨だ。日が落ちたとは言えまだ就寝時間でもなかろうに。大布団が敷かれ、薄布の帳が降ろされている。いや、この部屋の用意は就寝のためのそれではなかった。
 床の間に置かれた亀の香炉からは紫煙が立ち上り、部屋の中にはえも言えぬ香りが立ちこめ、隣の部屋にでも楽士が控えているのだろうかゆっくりとした笛や弦楽器、鍵盤の音色が聞こえてきていた。

 この用意は眠る其れだ。就寝、ではなく、愛交合するための。

「幽々子様」

 と、ジッとしていた幽々子の耳に聞き慣れた声がかかった。妖夢だ。失礼しますと襖が開けられた。ただし、妖夢は入ってこない。障子を開けるとすぐに横に避けた。代わりに入ってきたのは当然、目上の者、客人で、それは紫だった。

「準備は済んだようね」

 いつの間に着替えてきたのだろうか。紫は導師服じみたいつもの格好ではなく、洋風の服装でありながらヲリエントの趣をもった服を着ていた。閉じた扇子を口元にもっていって人を心底不安にさせるような笑みを湛えている。
 そうして、その後ろには男が一人立っていた。式神の藍ではない。背の高い青年と思わしき男でかっしりとした体つきをしている。衣服は一切身に纏っておらず、筋肉質の裸体を隠そうともせずさらけだしている。にもかかわらず顔だけは割ったような上半分だけの能面を被っていた。表情は伺えない。ただ、仮面を外したところでその下にあるのもまた能面のような無情の貌なのではと思わせる佇まいを男は持っていた。ただし、一点、この男には自己を主張している箇所があった。
 下半身。茂みからそそり立つ剛直だ。
 それはまるで樫の木を掘って作ったように固く直立し、一寸も陰りを見せていなかった。陰嚢も引き締まり、ぶらぶらと熟れすぎた鬼灯の様な不格好さはみせていない。鈴口からは僅かに淫水が玉のように浮き出て、張り裂けんほどに怒張した亀頭は磨き抜かれた碁石のような光沢を見せていた。

「彼が、今宵のお相手よ」

 紫は幽々子にそう男を紹介した。男は名乗ることも挨拶することもなく直立したままだった。よろしくお願いします、と三つ指ついて幽々子が深々と頭を下げても無言のままだった。ただ、天を突く魔羅だけが自己を顕示している。

「妖夢、貴女も見ていかない?」

 主人たちに気づかれることのないよう静かに障子戸を閉めようとしていた妖夢に、けれど、紫は声をかけた。一瞬戸惑ったような顔をする妖夢。いえ、と躊躇いがちに口を開き遠慮、否、拒否しようとした。出来れば目を閉じ耳を塞ぎ、この部屋から遠く離れた場所で剣の練習でもしていたかった。だが、その逃げの意志も紫の削ぐような流し目に見竦められては飲み込むほかなかった。妖夢は僅かに歯を食いしばった後、分りました、と頭を下げ紫、男に次いで部屋の中へ入っていった。

「ふふっ、楽しみねぇ」

 虫を喰らう奇っ怪な植物を思わせる笑みを浮かべる紫。無造作に扇子を奮うと竹編みのゆったりとした椅子が空間を裂いたスキマの向こうから現れた。妖夢も迷いを見せながらも仕方ないといった様子でそのやや後ろに立った。

「幽々子、妖夢を借りるわよ。妖夢、お酌して頂戴」

 言って紫は今度は椅子と同じ作りのテーブルを出現させた。小さく丸い天板の上にはすでに四角く寸胴な瓶と一口で飲み干せそうなほど小さなグラスが置かれていた。紫に言われたとおり、グラスに酒を注ぐ妖夢。酒瓶は氷塊のように冷たく、酒を注がれたグラスはあっという間に霜をまとった。グラスの口からは霧のように冷気が漂いだしていた。
 ありがとう、と妖夢に微笑み紫は霜のついたグラスを手にするとそれを一息で煽った。口内から舌上、喉元から食道、胃の底へアルコールが流れていく。まずは強烈な冷たさ。遅れてアルコールの熱を感じ、満足気に紫は酒気混じりの吐息をはいた。火の点くような度数の酒を水が凍るよりも更に低い温度に冷やしたものだった。
 紫はねだるように妖夢に目配せし、お代りを要求する。旨い酒なのだろう。ならば、肴は? テーブルの上には何も乗っていない。否、肴は目の前にあるのだ。

「さっ、始めて頂戴」

 酒が注がれたグラスを差し出すよう示す。幽々子は何の反応も示さなかったが、男のほうは頷く事なく敷かれた布団の側に近づき、蚊帳を広げると掛け布団を捲り上げた。片膝を付いた体勢でここに来てやっと幽々子の方へ視線を向けた。空いている方の手で布団の中を指し示す。

―――どうぞ

 そう言っている動作だった。
 幽々子はぺこりと頭を下げると、静かな動作で立ち上がり男の意のとおり布団へと近づいていった。布団の中には入らずその上でまた正座する幽々子。
 膝の上で握り締められた手。強張った肩。真一文字に結ばれた唇。伏せられた視線。緊張だろうか。幽々子は体を固くしていた。

 その幽々子に男は体を寄せた。よどみのない動きで幽々子の頭の後ろに手を回すと更に逆の手で肩を押さえ、そうして…

「んっ…」

 紅のひかれた幽々子の唇に自分のそれを合わせた。口づけ。けれど、それは親愛の情を確かめる様な軽々しいものではなかった。

「ああっ…んっ…ちゅ…ぷぁ…ちゅぷ…」

 幽々子の口唇を食むように吸いつく男。大理石を思わせる幽々子の白い歯が顕になると今度はその表面に舌を這わせ始める。次いで溺れたものを蘇生させるように顔を傾けしかと口を合わせ、吐息を送り込む。逆に吸い込む。手を変え形を変え、男は様々な方法で幽々子の唇を嬲った。息など必要としない流石の幽々子もこうも口を塞がれては吐息を荒らげざるおえなかった。唇と唇とが離れた僅か一刹那の間に息継ぎのように洗いと息をついている。

 その時にはもう男の手は幽々子の肩を離れていた。その手は胸元へと伸び、着物の合わせ目からその中へと入り込んでいた。純白の襦袢の上から幽々子の豊満な胸をまさぐっている。

 これは口づけではない。接吻だ。
 親愛の情を確かめるものではなく躰を重ねあわせる為の、その前戯。 

「ふふっ、いいわね。うつくしきものの交わりは旨い酒の何よりのアテだわ」

 男女愛合。それが肴だ。
 紫は一種の凄惨ささえ覚えさせる笑みを浮かべるとまた氷の様に熱く、炎の様に冷たい酒を煽った。





 男は幽々子の身体を布団の上へと押し倒した。一見、乱暴そうに見える動作ではあったがその手は幽々子の体に余分な負担を掛けぬようしっかりと力が込められていた。
 倒れた幽々子の顔から男が離れる。っ―――と涎が糸を引いて途中でちぎれた。保、と幽々子は何処か焦点の定まらぬ目で男の顔を、仮面の向こうに隠されている顔を見ていた。応えることなく男は幽々子の着物の襟を掴むとそれを左右に広げた。帯紐が緩み、下に着ていた襦袢も引っ張られたわわな乳房が顕になる。先程の服の上からの愛撫でもすでに高ぶっていたのか、白峰の頂の南天はいきり立っていた。それをつまみ上げる男。ああっ、と幽々子が声を漏らす。更に男は親指と人差指を除く三指を乳房の柔肉に沈めた。押しつぶされ歪みけれど丸みを失わぬ乳。男は両の手の十指、掌、その全てを持って両の房を弄った。

「………」

 その様子を瞬きもせずジッ、と見続ける妖夢。
 顔が赤いのは主人が蹂躙されているにも関わらず見ることを強要されている事から来る怒り―――だけではないだろう。

「っ……」

 確かに妖夢は目の前で繰り広げられている情交に女として催していた。
 それを察してか知らずか紫は酷く唐突なタイミングばかりで妖夢に酌をするよう命じていた。

 唇、両胸、腹部、臀部。様々な箇所を男はまさぐっていた。幽々子の白い肌に次第に弾のような汗が浮き始め、身を捩る度に着衣は乱れていった。太股を晒し、肩を出し、髪を振り乱す。それでもなお幽々子は自分からは動こうとはしなかった。男にされるがままなすがまま身をゆだねていた。

「はァ…んっ…ううっ…」

 否。

 布団を握りしめ、歯を食いしばる幽々子。それは耐える動作だった。男の愛撫に耐えているのか。いいや、違う。

「あっ…あっあっ…」

 自ら快楽を求め動き出してしまうことを恐れ、耐えているのだ。ともすれば男を抱きしめようとしてしまう腕を、布団を掴むことで抑え、浅ましく男の膚に吸い付こうとする唇を噛みついてでも止めようとしているのだ。けれど、男の業は耐え難いのか腰は浮き、膝は曲がり、胸は激しく上下する。そうして、いやらしいことに…

「駄目…っ、うう」

 男の指や唇、膚は幽々子の体のあらゆる部分…口唇、乳房、脇腹、腿、背筋、耳裏、臍、様々な箇所を撫回しているにもかかわらず一ヶ所だけまるで腫れ物でも扱うかのように触れていない場所があった。

「あ、あそこも…ううんっ、だめっ…」

 桜色の薄毛の下で濡れそぼり今まさに花弁を開こうとしている御陰(ほと)だ。
 体の昂ぶりによりすっかり湿原の様を見せているそこではあったが、快楽の中心部である秘裂に男はまったく手をだしていなかった。幽々子は切なさに身を焦され、内股をすりあわせては熱に浮かされたような視線を男に送っていた。だが、男は決して幽々子の訴えに応える様子を見せなかった。それどころか…

「えっ…どうして…?」

 男は不意に幽々子に触れるのを止めると体を起こした。幽々子の両足を挟んで膝立ちになりジッ、と布団の上で乱れている体を見おろしている。それまで幽々子に快楽を与えるだけの機械だったものが故障か、不意に動かなくなってしまったのである。疑問とそして何より焦燥を抱え幽々子は視線を不安げに彷徨わせる。どうしていいのか分らず、布団を掴んでいた手を離し、所在なさげに開閉させる。

「あっ」

 と、幽々子はその手が自然と自分の股座へ伸びていこうとしていることに気がついた。男の愛撫が止り、昂ぶりけれど果てるまでには達していない体に刺激を与えようと自ずと動いてしまっていたのだ。だが、己が手で触れ、蜜壺をかき混ぜ、小豆を弄ったところで果たして気をやることが出来るだろうか。慰める程度にしかならないのでは。ここまで来たからには激しく達したいと、幽々子は強い肉欲に突き動かされていた。

「………」

 その望みを果たすには頭を下げるほかない。男が手を止めたのは幽々子にそうさせる為であった。

「して。お願い…ここを、弄って…入れて、お願い、だから」

 男に手を伸ばし涙の浮かんだ瞳で懇願する幽々子。やはり男は頷くことなく幽々子の濡れた秘所に優しく手を触れるとそそり立ったままの剛直の先をそこに押し当てた。最早、前技は必要なかった。既に十二分に幽々子の秘裂は男を迎え入れる準備が出来ていたからだ。そうして、

「ああっ…!!」

 刀を鞘に戻すように躊躇いなく男のものは幽々子の内側に飲み込まれていった。その時、既に幽々子は布団の表面など掴んではいなかった。男の体に手を回し、その肌をしかと掴んでいた。

「はぁはぁはぁ…」

 前後に激しく動く男の腰。ぱぁん、ぱぁん、と柔肌に鋼の肉体が打ち付けられる。体が揺れ、その度に幽々子の瞳から涙がこぼれ落ちていく。それは或いは理性だったのかも知れない。激しく突かれる度に幽々子は己から腰を持ち上げより深く男根を受けようとし、顔には恍惚とした笑みが浮かび始める。男の背中に爪をたてる。裂けた皮膚から血が滲み出してきた。紅い血。白い指。生気に満ちた男と死色に彩られた女。その結合。

「ふふ…」

 その様を紫は口端を釣り上げながら見ていた。隣では妖夢がある種の超芸術でも閲覧したかのように呆然とけれど視線を逸らせない様子であった。

 男の腰の動きが激しくなる。荒々しい二つの吐息が粘つく水音が室内に満ちる。それを瞬きもせず見つめ続ける四つの視線。誰も目を逸らせない。逸らさない。まぐわっているのは男女二人だけなのか、それともこの場にいる四人全員なのか。誰もその判別がつかなくなる。

「あっ―――あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 そして、爆ぜる剛直。多量の白濁液が放たれ幽々子の胎内を満たしていく。同時に幽々子も絶頂に達した。体を弓なりに仰け反らせ、稲妻のように全身を駆け巡る快楽に身を震わせた後、そのまま幽々子は半ば気を失うように身体の力全てを抜き、布団の上に倒れた。









「気持ちよかったかしら?」

 布団の上で放心していた幽々子の顔に影が差す。紫が覗きこんできたのだ。観賞されながら行われた奇妙な性交で精根を使い果たしてしまったのか、幽々子は特に返事もせず視線だけを紫に返していた。そう、と頷く紫。

「貴女の為に飛びっ切りの娼夫を選んだ甲斐があったわね」

 既にその娼夫の姿はない。粘液に汚れた陰茎を拭うと先に襖を開けて帰って行ってしまった。その時だけは男は頭を下げた。使って戴き、誠に有難う御座いました、そういうことだろうか。
 男の精を注ぎ込まれた幽々子の女陰はまだそのままだった。淫口からとろりと白濁液が流れ出してきている。それを見て紫はアラ、と声を上げた。

「封をしておかないと駄目みたいね。そうだわ」

 言ってスキマに手を入れると紫は一枚の札を取り出した。紫色のインキで絵柄がつけられた札だった。その裏面に紫は舌を這わせると印紙でも貼り付けるよう幽々子の御陰を塞いだ。

「あっ」
「心配しなくてもじきに剥がれるわ……貴女が子種を受け入れればね」

 それだけ伝えると紫は立ち上がった。

「さて…今日は帰るわ。妖夢、もう半年もすれば貴女一人の手には負えなくなるでしょうからその時は藍を寄越すわ」

 襖を開く紫。けれど、その向こうは廊下ではなく百の眼が覗く無間の闇であった。闇に身を沈めるよう帰っていく紫。最後に闇の中から顔だけを振り返らせ、

「それじゃね―――早く大きくなってね」

 別れの挨拶を告げた。










  それから三度季節が変わるほどの時が流れた。






 「おはようございます、幽々子様」

  幽々子が目覚めるとそこに妖夢の顔があった。寝ぼけ眼をこすりおはよう、と返す幽々子。身体を起こそうとしたところで慌てた様子の妖夢に呼び止められる。

「手伝いますから」

 そう言って幽々子の背中に手を回す妖夢。そのまま妖夢の助けを受けて、幽々子は身体を起こした。これだけの介護が必要なほど、幽々子は衰弱しているのだろうか。いいや、違う。身体を起こした幽々子のお腹はぽっこりと大きく膨れ上がっていた。
 成程。このお腹なら身体を起こすにも一苦労だろう。立ち上がるのも妖夢に手伝ってもらい幽々子は寝床からでてきた。大きなお腹は重力にひかれて下へずり落ちるようになっており、それを押さえるために根巻きの上から帯を巻き始めた。
 と、

「おはようございます。湯の準備が出来ましたよ」

 そんな言葉と共に障子戸の向こうから声がかけられた。はい、と言って二人して寝屋から出て行く。廊下に立っていたのはたすきがけに袖をまくりあげている藍だった。おはようございます、ともう一度挨拶する。

「こんばんわ藍。もう夕方ね」
「そうですね。お昼寝をなさったのがお八ツの後ですから」

 そう返しながら藍は自然に気取られない調子で道を譲った。湯場に向かって歩き出す幽々子。半歩遅れてその背中を押さえながら妖夢が続く。

「こんばんわ藍さん。すいません毎日。食事の用意までしていただいて」

 挨拶と、ついでではなくむしろこちらが本題で藍にお礼を言う妖夢。すでに藍が白玉楼にお手伝いとしてやってきて二ヶ月以上経っているが事あるごとに妖夢はこうしてお礼を言っていた。実際、過剰すぎるということはなくそれほど藍は幽々子や妖夢のために尽くしてくれているのだった。

「いえいえ。主人の命令ですから。それに、困ったときはお互い様と言うでしょう」

 すこし照れた調子で返す藍。仕えている主人があの通りだからこそこうして実直にお礼を言われることに慣れていないのだろうか。その様子を見てふふふ、と幽々子が笑った。

「じゃあ、藍が子供を作ったら今度はウチの妖夢を手伝いに行かせましょう。これで情けは自分の為になるわ」
「は、はぁ」

 幽々子の言葉にどう反していいかわからず藍は曖昧に微笑み返す。今のところそんな予定も相手もいないのだから仕方がない。そもそも子を残すという選択肢は式神である藍の中には存在しない未来予想図なのだ。

「妖夢さん。幽々子さんのお風呂は私が付き添いますから、妖夢さんは先に食事を済ませてきてください」
「えっ、いいんですか?」

 普通ならまずはその意志がなくても遠慮する場面であるがにべもなく妖夢が頷いたのは、あまりに空腹だったからだ。忙しくて明け方に朝食を摂ってからまだ一食も食べていないのである。藍の申し出もそれを知ってのことだろう。どうぞ、と妖夢を促すと代わりに幽々子の背中を押さえた。ペコリと頭を下げ、足早に食堂に向かう妖夢。やはりお腹が空いていたのだろう。

「……妖夢にも迷惑欠けているわね。藍さんにも」
「いえ、そんな。妖夢さんもそんなことは思ってはいませんよ。きっと」

 廊下に向こうに消えていく妖夢の背中を見ながらポツリと幽々子が呟いた。軽く頭を振るいそんなことはない、と言う藍。

「さ、私たちも湯浴みして、それからお食事にしましょう。精の付くものを作っていますから、先に寝汗を流してさっぱりしてきましょう」

 話題を切り替えるよう、湯場への道を急かすような台詞を吐く藍。そうね、と幽々子は頷いた。

 風呂場についても藍の介護は終わらない。これだけ大きくお腹が張り出していると当然、衣服を着るのも脱ぐのにもそれなりに苦労しなくてはいけないからだ。幽々子の後ろに回りこんで腹帯をほどき、襦袢を脱がすと自分は上着抱きを急ぎ脱ぎ捨て、下着だけの格好になる藍。
 と、

「藍さんもご一緒にどうかしら?」
「えっ、はぁ、まぁ、それでしたら」

 白玉楼の風呂は大きく、藍と幽々子の二人が入っても問題のない広さがあった。もちろん、大きくなったお腹の分も計算に入れてだ。結局、藍は下着も急いで脱いで真っ裸になった。幽々子に次いで湯気で見通しが悪くなった風呂場へと入っていく。幽々子が木製の小さな椅子に腰を降ろすのを手伝い、その後ろに片膝で立ち、石鹸を泡立て背中周りなど洗いにくいところを先に洗っていく。身体の前の方は流石に幽々子自身に任せ藍も自分の身体を洗い始めた。

「その大きな尻尾、私が洗ってあげましょうか?」
「いえ、大丈夫です」

 お尻の付け根辺りから生える自慢の九尾であったが同時にその尻尾は入浴時の悩みの種であった。大きすぎて洗いにくく、かといってぞんざいに洗うにはかっこうの蚤の住処すぎるのだ。よくよく藍は橙からお風呂が長いですね、と言われていた。

「遠慮せず。ほら」

 と、断ったにも関わらず幽々子は身体を藍の方に向けてくると手を伸ばしてきた。あ、と嘆息を漏らし眉をしかめ視線を下げる藍。丸く大きな腹部。中央に走る痣のような一本線。ぽこりと富士壺のように頭を出している臍。お腹同様、すこし不恰好に膨れ上がった乳房。白い肌に青い静脈の筋が浮いている。妊婦らしい丸みを帯びた身体にシャボンの泡が付いている。同性とは言え妊婦の裸を見せられたことに、逆に気恥ずかしさを覚えたのだろうか。結局、藍は目を背ける理由として今度は自分が幽々子に背中を向け尻尾を洗ってもらうようにお願いした。

「すいません…幽々子さん」

 いや、伏せた視線には一抹の申し訳なさが含まれていた。羞恥、だけではない。




 身体を洗い終え、二人は同時に湯船に身を沈めた。幽々子が転んでは一大事だと、藍が甲斐甲斐しくその体を押さえていたから結果そうなっただけだが。広い風呂桶に二人は肩を並べて胸元まで浸かる。

「ふぅ、お風呂に入っている時が一番楽ね」
「ああ、やはりそれだけ大きいと身体に負担がかかりそうですね」

 一日の疲れを吐き出すよう、大きく息を吐く幽々子。隣にいる藍も同じことをしたい気持ちだった。

「そう? 藍さんも大きいじゃない、ソレ。やっぱり、肩がこるのよね」
「む、む、胸の話じゃないですよ!」

 ソレ、と幽々子に負けじ劣らじ大きい藍の胸を指さす幽々子。藍はのぼせたわけでもあるまいに赤面し、身を守る様に自分の胸を抱えた。

「特に最近はお乳が出始めたからなんだかはっちゃって。ほら」

 そう言って幽々子は自分の胸の先あたりを両手で押さえた。黒ずみ始めた乳首の先からぴゅぴゅっと乳白色の飛沫が散った。乳は湯にまぎれて消えてしまったが、幽々子は暫くそのあたりをぼうっと眺めていた。

「自分の体が変わっていくということ。本当に久しぶりに感じたわ。もう、何百年も前で思い出せないけれど、死んで亡霊になった時も、生前、妖夢みたいにぺったんこだったお胸が膨らみ始めた時も、背が伸び始めた時も、私は同じような気持ちをいだいていたんでしょうね」

 大きくなったお腹を押さえながら、とつとつと幽々子は語り始めた。胸を押さえるのを止め、藍は黙ってその言葉を聞き入っていた。藍にも幽々子と同じくそう言った忘却の彼方に消えた過去の記憶に想いを馳せる時があるからだ。それは一種の喪失感と真逆の非現実感を持って時に体に酒の酔を求めさせる類の念だ。掛ける言葉も思い浮かばず、藍はじっとしていると唐突にアッ、と幽々子は声が上げた。

「今、この子、私のお腹を蹴ったわ。ふふ、お乳を湯船に捨てたことを怒っているのでしょうね」

 食いしん坊ね、誰に似たのだか、と幽々子。
 そんな冗句とも本気とも取れぬ言葉に藍は愛想笑いを浮かべるしかなかった。どうしてこう私の回りの偉いさんは底が読めぬ方ばかりなのだろうと。そして…

「そりゃ当然、貴女でしょう幽々子」

 藍の演算能力以てしてもその心の中が読めぬもう一人の声が唐突に後ろからかかった。驚き振り返る藍。はたして、そこにいたのは―――

「いい具合に大きくなったみたいね幽々子」
「お陰さまですくすくと育ったわ紫」

 藍を白玉楼に派遣した張本人、紫だった。スキマから身を乗り出し、相変わらず寒気を覚えるような笑みを湛えている。

「ゆ、ゆ、ゆ、幽々子様っ! 紫様がお見えにって、アレ!?」

 続いて盛大な足音と共に風呂の戸を大きく開けて妖夢が息を切らせながらやって来た。どうやら、幽々子が風呂に居ると伝えたのは妖夢らしかった。今呼んできますから、と妖夢が言う前にスキマを伝わって先に風呂場にまで来てしまったのだろう。

「そろそろ頃合いだと思っておじゃまさせてもらったわ」

 服が濡れるのを嫌がってか、紫は相変わらずスキマから身を乗り出したままだ。変わりか、ざばりと湯を流しながら幽々子が風呂からあがった。遅れて藍も出る。そのまま幽々子は紫の隣を素通りして脱衣所へと歩いて行った。

「せめて、身体を拭く時間ぐらいはもらえるかしら」

 そうは言うもののすでに幽々子は身体を拭きはじめていた。藍と妖夢も手伝い、てきぱきと体についた水滴や汗を拭っていく。

「いいわよ。でも、食事の時間は与えられないわね」

 ほとんど事後承諾の形で応える紫。妖夢に服を着せてもらいながら幽々子は眉を顰めた。

「ご飯を食べる時間はないの?」
「時間というか、せっかく食べたものを戻すのも嫌でしょ」

 幽々子の質問にそう答える紫。要領を得ないのか理解したのか、そう、とだけ幽々子は返事した。

「あの…紫様」

 そこへ二人の間に小さな影が割って入ってきた。妖夢だ。目元に力を込め、今から合戦場にでも赴くような顔をしている。

「もう、おやめになられてはいかがでしょうか」

 否、実際に妖夢は戦いに行っているのだ。遙か雲上の位置におわす八雲紫という上級存在に意見する為に。

「幽々子様もこの九ヶ月でいろいろと辛い目を見てきました。もう、十分、反省しています。だから、これ以上はもう何も…」
「私からもお願いします」

 身一つで百万の軍勢に挑むような蛮勇と無謀を行っている妖夢に助け船が届いた。藍だ。頭を下げ、こちらも陰腹でも召したように顔を歪めている。

「幽々子さんのお腹の子はもう九ヶ月目です。後は生れるのを待つばかりという状態。これでこれ以上、何かしら危なげなことをすれば流産してしまいます。そんなことは紫様もお望みではないでしょう。どうか、ここは恩赦の程を…」

 お願いします、と頭を下げる二人。
 妖夢は元より藍もこの二ヶ月で幽々子の身の回りの世話をしていて情が移ったのだろう。それに二人とて女だ。いつかは幽々子と同じように身篭ることもあるかも知れない。予定も恋人もないがその可能性はゼロではない。いつか自分も…そう想うと紫の幽々子に対する仕打ちにはどうしても黙っていられなかったのだ。

 自分に意見などするはずがない二人からの言葉に紫は一瞬、面くらい二三度、瞬きをくり返していたが急に破顔。押し殺すような笑い声を漏らし始めた。

「くふ、くふふふ、くく、くふふふふふふふ、くふくふくふくふくふふ、くふふふふふふふふふふふふふふふふ」

 それも僅かな間か。やがて紫は耐えきれなくなったかのように大きな笑い声を上げ、そうして、

「あは、あははは、あははははははははははははははははははははははははははははは嫌よ」

 彼女らの願いを否定した。

「「!?」」「やっぱりね」

 瞬間、自らの背後に開かれたスキマから伸びてくる無数の“右手”のみに押さえつけられる三人。妖夢と藍は嫌悪と敵対心を持って暴れた。だが、打ち払いへし折ろうとも右手は暴徒の乱暴さをもって押さえつけてくる。やがて、逃れることは無理だと最初から暴れるそぶりさえ見せなかった幽々子のように諦めざる得なかった。

「さて、それじゃあ、仕上げと行きますか」

 パシン、パシン、と何処から取り出したのだろうか、荒縄を打ち鳴らしながら紫はゆっくりと幽々子に近づいていった。

「っあ…紫様! 何を、何をするつもりなんですか!」

 腕の拘束を振り払い、妖夢が叫んだ。抵抗は無意味だと分ったが、口さえ動けば説得できる。そう考えたのだ。妖夢のその声が、想いが届いたのか紫は幽々子の元に辿り着く僅か前に足を止めた。妖夢の方へ顔を向け、小首をかしげてみせる。出来の悪い生徒が今更当たり前のことを聞いてきたような様子だ。

「なにって、お月見よ。幽々子がすっぽかしたせいでちゃんとしたお月見が出来なかったのだもの。これは代わりに幽々子にお月さまになってもらわないと私の腹の虫がおさまらないのよ」

 そして、教師ではないものの紫はまず回答を、続けてその説明を口にした。もっともそれが妖夢や藍に理解できたとは到底言い難い。余りに難解すぎる回答はそれ自身が問題となり、寧ろ出題者に難問を突きつける形となり、ついには思考停止させてしまう。
 それ以上は何も応える気にならないのか紫は混乱する二人を余所に幽々子の元へと再び近づいていった。

「それじゃあ、お月さまになってもらうわよ幽々子」
「しかたないわね。私のせいだもの。いいわ紫」

 見せつけるよう、幽々子の眼前で荒縄を打ち鳴らす紫。そして紫は妖夢と藍を置いてきぼりに拘束したまま脱衣所から出て行ってしまった。










 生憎と今夜は新月だった。空に月はなく、か細い星の瞬きだけが夜を照らしている。
 が、代わりにここ白玉楼の大広間には月が一ツ、ぽっかりと闇の中に浮いていた。

「いいわね、お月見」

 規則正しく、けれど、苦しそうな息づかい。荒縄や梁の軋む音。虫かごに入れられた鈴虫の鳴声を音楽に八雲紫は杯を傾けていた。相も変わらず肴はない。いや、宙に浮く月が肴だ。

 部屋の中央。天井から伸びる太い荒縄の先に月はぶら下がっていた。
 苦しそうに猿ぐつわを噛まされ、右足と左腕を背中側で繋ぐよう縛られ、着物の上着をはぎ取られた格好で半裸を曝し、逆さまに吊られている幽々子。その大きく膨れあがったお腹が月の代わりであった。

 成程。あの青白い円形は確かに紛う事なき月だ。約束をすっぽかされ、月見酒が出来なかったことに腹を立てた紫はならばと幽々子を孕ませ、その腹を月に見立てて呑む、そんなことを思いついたのだ。

 気の長い報復の計画。親友を男に犯させ孕ませるという暴虐。そして、お腹に子がいるにも関わらずそれを吊って月に見立てるという非道。どれも、未だに風呂場で拘束されている妖夢にも、そして、紫の直属の式である藍にも分らぬ心理であった。この宇宙の法則には未だ属していない非アリストテレス的思考。けれど…





―――ごめんなさい紫

「いいのよ。次は…きちんと二人で雪見にでも行きましょう」




 千年来の友人である二人には『友情』の一言で片づくのかも知れなかった。





END
先日、購入した本の中に妊婦さんが山姥に捉えられ、逆さづりにされているという浮世絵が掲載されてまして。もとからそういう意図があったのかなかったのか、自分にはその膨らんだ真っ白なお腹が何処か月のように思われまして、これなら、とキーボードをとった次第であります。

あ、タイトルは“ツキニムラクモ、ハナニカゼ”とお読みください。
読めったら読め。読んでください。後生ですから。
ほら、極大閃熱呪文と書いてベギラゴンと読むのと一緒ですよ。
sako
http://www.pixiv.net/member.php?id=2347888
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/05/15 22:41:31
更新日時:
2011/05/16 07:41:31
分類
幽々子
妖夢
ボテ腹
月見
1. NutsIn先任曹長 ■2011/05/16 08:16:22
雅とエロスと残虐さが醸し出す耽美と友情の話、朝から堪能させていただきました。
紫と幽々子は、長い長い友達付き合いの中で、このようなことをヤッたりヤられたりしているのでしょう。
……長寿や不死の種族の考える事には、刹那の命しか持たない私には理解できませんが、確固たる信念みたいなものはあるのでしょうね。

『月に群雲』と聞いて、生卵が固まった様子を例えた、月見蕎麦の食べごろを真っ先に思い浮かべた私は、幽々子並みの食欲の持ち主か!?
2. 名無し ■2011/05/16 08:37:28
妊婦さんエロすぎる!
なんか新しい性癖に目覚めてしまいそうだ••••••
3. 名無し ■2011/05/16 10:42:10
うんエロい
よかったです
4. 名無し ■2011/05/16 12:07:30
sakoさんの読んだ本の内容を詳しく知りたい…
そしてインスピレーションからここまでのものを書けるセンスに脱帽
5. 名無し ■2011/05/16 12:41:32
惚れ惚れする才能ですね!
6. 名無し ■2011/05/19 08:14:19
流石です。なんと優美な報復物語でしょう。
少女たちの刹那の楽しみ、すてきです。
体感したくはありませんが。
7. 狂い ■2011/05/25 02:27:06
この二人は妖怪でさえ理解の届かない領域にいるんだろうな。
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