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『退屈しのぎ』 作者: ゆう宮杏
「咲夜、退屈だわ」
――そんなことを私の主、レミリアお嬢様が言った。
「退屈なら異変でも起こせばいいんじゃないですか?」
「いやよ!だって霊夢とか魔理沙強いもん!痛いのヤダ!」
そう頬を膨らませるお嬢様は、何とも可愛らしかった。
「…そうだ」
急にお嬢様はそうつぶやいた。
「何でしょうか、お嬢様」
そう尋ねると、お嬢様はにやりと笑って、こう言った。
「…咲夜、賭けをしましょう」
***
その数刻後、私は人里周辺をうろついていた。
「……むぅ」
――私は困っていた。
どうやら「賭け」には人間をひとり使うらしい。
そして、その人間はそれなりに強い精神力を持っていなければいけないそうだ。
「そうでないとつまらない」と、お嬢様は言っていた。
「人里の人間は……ダメね、契約があるから…ん?」
――ちょうどいい人間がいた。
自分でも分かるくらいに口元が歪む。
「あら、奇遇ね」
あたかも偶然会ったかのように私は言う。
「あれ、咲夜じゃない」
その人間――博麗霊夢は、何の疑いもなく私に笑いかけた。
***
コンコン、とノックの音が響く。
「いいわよ」
お嬢様の声を聞いて、私は部屋の中へ入った。
お嬢様は、奥に置かれている1人掛けソファに座っていた。
霊夢は、鎖で両手足を縛られている状態で壁にもたれかかるように座らされていた。
鋭い眼差しで私とお嬢様を交互に睨みつけている。
「なによこれ、どういうことよ!咲夜!レミリアッ!」
狭い地下室に声が響く。私はうるさくて顔をしかめた。
霊夢のそれにも動じず、お嬢様は霊夢にこう言った。
「霊夢、これはゲームなの。退屈しのぎの為のちょっとした、…ね」
そう言うとお嬢様は悪魔のような笑み――実際悪魔なのだが――を見せると、こう言った。
「霊夢は知らないと思うけどね、昔々西洋で流行った遊びがあるの。…奴隷の骨を端から折っていって、何本折った所でそれまで命乞いをしていた奴隷が『殺してくれ』と言うかっていう、ね」
それを聞いた瞬間、霊夢の顔から血の気が引いた。
「なっ…まさ、か……い、いやぁああああああああああああああああああ゙あ゙あぁっ!!」
さすがに今度の叫び声はお嬢様にも不快だったらしく、お嬢様は露骨に舌打ちをした。
「私の予想は10本目ですね……。お嬢様はいかがですか?」
「いや、たぶんもうちょっと多いと思うわ。15本くらいかしら」
「…ひぃ…い、……やッ……」
霊夢は泣いていた。…まぁ、当たり前か。
「…じゃあまずは1本目ね。咲夜、用意してちょうだい」
「御意」
私はそう返事をすると、あらかじめ物置から持ってきておいた工具箱の中から、大きめの金槌を取り出した。
「…ひいっ、いやぁあっ!おねが、…や、やめて、やめてくださ、っ………がッ、ひぎぃいいッ!!?」
私は何のためらいもなく、霊夢の右足の5本の指に向けて振り下ろすと、ゴキッと音がして指がつぶれた。
「う…ゔあ゙あ゙あぁぁぁあぁあぁぁぁあ゙あ゙っ!!!」
霊夢は、身をよじらせて苦しんでいる。
その断末魔のような叫びを聞いて、お嬢様は無邪気な笑みをこぼした。
「あははは、やっぱり面白いわ!…あ、細かい所はまとめて一本にしましょう、咲夜。小骨を数えてたらきりが無いわ」
「では次で2本目ですね、お嬢様。次は右足の甲全部でいきましょう」
そう言うと、私は霊夢の制止の声を無視して、金槌を振り下ろした。
ぐしゃっ。
「あがッ…ああぁあああ゙ぁ゙あ゙ッ!!!や゙めで、やめ゙てぐださ、…だ、助け、て……」
霊夢は、大量の汗と血と小便を垂れ流しながら叫び続けていた。
いっぽうお嬢様は、霊夢の様を見て笑いが堪えきれないようで、さっきからずっと笑い続けている。
「じゃあどんどんいって頂戴、咲夜。もっと霊夢のアホ面を見たいわ」
「はい、お嬢様」
――私は、こういう事には慣れている。
頭の中で壊した骨をカウントしながら、ふと昔を思い出した。
あの頃の馬鹿な私は、おそらく紅魔館で殺される運命だったのだ。
能力を買われてメイドをすることになり、平気で人間を調理させられた。
最初のうちは一日に何度も嘔吐したり、紅魔館から逃げ出したこともあった。
その度運命を変えられて、私はここにいるのだ。
私のカウントが15になった時、霊夢が何か呟いた。
「………も…、……し…て」
「何言ってるか聞こえないわよ、霊夢」
しばらく黙っていたお嬢様が、また笑った。
「もう、殺してぇええぇええええ゛え゛ッ!!!」
「じゃあ遠慮なく」
私がそう言っても、霊夢はほとんど反応しない。
――ぐしゃっ。
そんな嫌な音が響くと、とたんに部屋は静かになった。
「…それで咲夜、何本目だったの?」
目を輝かせて聞くお嬢様…なんと可愛らしいんでしょう。
頭がつぶれた霊夢を横目に、私は言った。
「お嬢様の予想通り、15本目ですわ。さすがお嬢様です」
私がぱちぱちと拍手をすると、お嬢様はさも嬉しそうに「ありがとう」と言った。
「そういえばお嬢様、私達は『賭け』をしていたんですよね?」
「そうよ」
「では……」
私が、ずっと疑問に思っていたこと。
「私達は、何を賭けて勝負していたのですか?」
しばらくの沈黙の後、お嬢様は言った。
「命よ」
それを聞いた瞬間、私は床に倒れていた。
「!?…なッ…え……あぁ……」
「死ね。お前はここで、死ぬ運命なのよ」
お嬢様がそう言った瞬間、心臓が締め付けられるような激痛が走った。
「さよなら、咲夜。あぁ…次の咲夜は、そうね……」
――ぶつん。
…
***
「…やっぱり、オリジナルはなかなか超えられないわね」
――十六夜咲夜。私の、優秀なメイド。
でも、今はもう居ない。
時を止めすぎたのが原因なのか、あの子は早死にした。
ここ数年間、咲夜が本編の自機として作品に出ないのはこういう訳があったのだ。
その事を私以外に知っている者は居ない。――私が、残さず食べたから。
さっきの咲夜?
あれは、私がつくったクローン。食料用の人間の運命をいじって、適当な記憶を植えつけた。
…うーん、やっぱり食料用の人間だとなんだかダメね。
次は、妖怪とかで試してみようかしら。
前作からだいぶ間が空きましたが2作目です。
こんな話聞いたことあったようなないような>奴隷の話
ゆう宮杏
- 作品情報
- 作品集:
- 26
- 投稿日時:
- 2011/05/26 09:28:28
- 更新日時:
- 2011/05/26 18:28:28
- 分類
- 咲夜
- レミリア
- 霊夢
- グロ
霊夢、冒頭の評価と末路の落差有り過ぎ。
……てぇことは、霊夢にも『お代わり』があるってことですね。