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『輝夜「悔しいのうwwwwww悔しいのうwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwくゃ」』 作者: フェイトちゃん
「ついにできたわ! 完成よ!!」
八意永琳のけたたましい叫びで、蓬莱山輝夜はすぐさま永琳のラボへと駆け付けた。
「永琳、何が完成したの?」
永琳の手にはギッシリと錠剤のつまった茶色い瓶が握れられている。
「聞いて驚きなさい、『正義の薬』よ!!」
「『正義の薬』??」
「そう、この薬を一錠でも飲めば、たちまち性格が変わって正義の人となり、しかもその作用は一生続く薬」
輝夜は永琳からの報告を受け、思わず手をたたいて身を乗り出した。
「すごいわ。流石私の永琳だわ。どんな賞賛さえも不十分な程素晴らしい。今世紀最大、いや人類史上最大の発明といえるわ。これさえあれば社会の悪は消え去り、向上への変革が始まる。けれど、本当にききめはあるの??」
「大丈夫よ、大脳生理学、心理学、性格学、精神分析学、これら一連のあらゆる観点からの評価を検討したところ、効果確実という結果がでたわ。つまり、絶対確実ってこと」
「副作用とかはあるの?」
「無いわ、各種動物実験を試みた結果の安全性」
「それじゃあ、正義のブタも出現したの?」
「正義のブタ、正義のサル、正義の金魚。そう思って見ればそう見える程度で、はっきりはしないわね。きっと、正義なるものは人間特有の現象だからでしょう。けれど、安全性は確かだわ、私が保証する」
「じゃあ、永琳はもう飲んだの、その薬」
と、そこまで聞くと永琳は急にドギマギし始めた。
「……まだ飲んでないわ。この貴重な薬は、―――そうね。まず輝夜にさしあげようと思って」
「……永琳ったら遠慮はいいわ。すぐ飲んでみせてよ」
永琳は困ったような憂鬱な様な顔をする。
「じつは、、、気が進まないのよ。いや、私はこれを飲まなくても十分正義感に溢れているわ。実際、この薬を開発したのも正義のためだもの」
「永琳が飲んでも効果が現れないっていうの?」
「けれど、誰かが飲んで効果が万一無かった場合は、潔く私が全責任を負うわ。正義感の強いこと、この通りよ、ね?」
「……そうねぇ」
なるほど、確かにこの薬を開発する時点で、永琳は少なくとも悪に傾いていることは無いと言える。
自ら正義を増やす悪など聞いたことがない。そうなると永琳は―――
「じ、実はそう! 私もそうだわ、そういう心境だわ」
輝夜は慌てて取り繕った。
「薬というものは、緊急に必要としている人から飲ませるべきだわ。例えばホラあの、悪の権化のスキマ妖怪何かがうってつけだわ! なんにせよ大発明であることに変わりはないわ、流石私の輝夜ね!!」
「光栄ですわ、姫様」
俄かに活気だった永琳のラボで、二人は今後の事を楽しげに話しあうのだった。
その後、射命丸文の新聞マスコミを通じて正義の薬は大々的に発表され、人里や妖怪の山、地底や天界から人々の熱狂的な歓声を受けた。
それなのに、飲んでみたいから一錠くださいと申し出てきた者はただの一人もいなかった。
永遠亭で立ち上げた普及委員会での相談は続いた。
「師匠、報告します。人里も妖怪の山も地底も天界の誰も彼も正義の薬を飲もうとしません、ゼロです、嘆かわしい事態です」
「この上は法律を作ってもらい、犯罪者を捕まえたら、強制的に飲ますようにするより他ないわ」
「輝夜、それでは人権問題になるわ」
「じゃあ、なによ! どうすればいいのよ! 正義の人にするのが何故いけないことなの! 伝染病の取り締まりは人権無視かしら?」
「問題は簡単ではないわ。飲んだ途端、知っている悪事を洗いざらい告白するかもしれないでしょう。それを警戒して、犯罪仲間に先駆けて当人を殺害する可能性も拭い切れない。また仮に犯罪者たちに飲ませたとする。正義の一団が出現する事になるわ」
「それの何がわるいの? ゴレンジャーや仮面ライダーと何ら変わらないわ」
「けれど、そのゴレンジャーや仮面ライダーの一団が社会を改革するのだと、行動を開始したり、見境なく周囲の人間に薬を飲ませて洗脳活動を始める様な真似を見せたらどう対応するの? 犯罪者あがりだから何をするか分かったものじゃないわ」
「けどっ……!!」
「姫様、残念ながら……」
「………」
輝夜は反論できなかった。
輝夜は反論できなくて悲しかった。
折角、永琳が苦労を重ねて開発した薬が、誰に服用されるでもなく敬遠され続ける。
そして、他でもない発明者自身の永琳が、その薬の危険性を挙げる。
できることなら、永琳の発明を社会のために広く役立てたいのに。
普及委員会の面々から自然と溜息が零れた。
「人類が昔から信じ続け、求め続け、口にし続け、正義に関しては嫌という程理解しているつもりだったのに。いざとなるとなんにも知っちゃいなかったのね…」
「しかし、このままでは宝の持ち腐れですよ。誰かに飲ませてみたいものです」
適当な対象はないものか
そして、常日頃、口を開ければ我こそ正義の味方、社会正義のためには命も惜しまぬ、清く正しいと叫んでいる射命丸文に白羽の矢が立てられた。
こういうわけです。是非飲んでみてくださいと頼み込む。
しかし、文は大慌てで、それだけは勘弁です。これからは薄汚く歪な射命丸と名乗りますのでご勘弁くださいと、幻想郷最速の速度でどこかへ消えてしまった。
聖白蓮や上白沢慧音にも依頼したが、結果は同様である。
「なんてことかしら。こうなったら強権を発動し、日時を決めて幻想郷住民一斉に飲むことにする方法とりましょう!」
「誰もかれも、飲んだ振りはするが自分だけは飲まない。結局、一人も飲まないことになるのが落ちでしょうね。第一、率先して飲むべきであるはずの私たちが飲んでいないんだから」
「そうだ、産まれたての幼児に飲ませるのはどうかしら??」
「輝夜、そんな気になるかしら? 自分の子供がみんな、表から見ても裏から見ても、正義の人以外の何者でもないという変な性格になるのよ……」
「姫様、残念ながら……」
「………」
輝夜がそこで言葉を詰まらせてから、誰も議論を発展させようとしなかった。
薬についての問い合わせは時たまあるのだが、現実にもらいにくる者は依然として現れない。
周囲の者に説得され、飲むのを思い留まったか、軟禁されたかのいずれかだろう。
量産して月に輸出しようとしたが、八雲紫の介入により差し止められる。
そんなことをして、月に大量発生した子供漫画の主人公みたいなのが、悪を成敗とか言いながら幻想郷に雪崩れ込んできたらどうするんだ。月出身の永遠亭だけ難を逃れるつもりか。
恐るべき陰謀だ。危険極まりない破滅思想だ。
いつしか、永遠亭の竹林には、目つきの鋭いスパイらしき者はうろうろし始めた。いつ爆弾を放り込まれるか、いつ暗殺されるか、わからない情勢。
鈴仙、因幡らは恐怖に慄き、蓬莱人である二人も今の生活を破壊されるのは堪らないと、試作品を焼却し、一切の書類を破棄した。
全ては闇に葬られ、一応の解決。
あるいはそのうち、何時の日か、誰かがどこかで独自にこの開発をやるかもしれない。しかし、その本人が飲むだろうか。家族や友人やその他の者に飲ませたがるだろうか。再び日の目を見る可能性は、甚だ疑問と言わざるを得ない。
「ついにできたわ! 完成よ!!」
パチュリー・ノーレッジのけたたましい叫びで、小悪魔はすぐさまパチュリーの実験室へと駆け付けた。
パロディ?? ですー
元ネタがありまーす
フェイトちゃん
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/05/26 21:56:02
更新日時:
2011/05/27 06:56:02
分類
輝夜
永琳
ウドンゲ
パロ
正義なんて、その人の主観によるものですからね。
今日もどこかで、偉大で危険で役立たずの発明がされているのでしょうね……。
ワロタw
こそ泥魔理沙が一切興味を持ってないのがそれっぽい
「光栄ですわ、姫様」
ここの流れが分からなくなってる。名前のミス?のせいでどっちがどっちに語りかけてるのか。
話は面白かったです。って、パロか。