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『妖精解体新書』 作者: ウナル
※本作品は東方Projectの二次的創作物です。
※本作品にはゲロテスクな表現が含まれています。
※本作品にはキャラ崩壊、設定の独自解釈が含まれています。
以上の三点を了承した方のみ、下へとお進みください。
書面に走らせていた筆を止め、私はふと思いました。
妖精はどのくらいで“一回休み”になるのでしょうか。
知っての通り妖精に死はありません。
自然から生まれ出る妖精は肉体的に死んでも、時間が経てば再び自然から生まれます。
故に妖精にとって肉体の死は“一回休み”のような気軽なものなのです。
そのことが妖精の奔放な振る舞いを増長させていると言われています。
しかしながら、肝心の妖精が“一回休み”になる度合いは知られてはいません。
これが人間ならばある程度はわかります。
人間には体重の約8%の血液があり、その血液の約半分を失えば出血死となります。
静脈や動脈といった細かい点を上げていけばさらに条件は狭まりますが、成人男性で二リットルも血液を失えば死ぬと言っていいでしょう。
その他、ショック死、脳死、毒死に圧死。
人間の致死量は先人たちが残してくれた大量の統計が残されており、対象者の身体データさえあれば、“死”の度合いはある程度わかります。
妖怪の場合はこの逆です。
あまりにも種族間の個体差が大きいですし、その種族内でも大きな差が存在します。
白狼天狗と天魔を見たことがある人はわかると思いますが、はっきり言って別物です。
その上、妖怪は固有の弱点を持つことも多く、逆にその弱点以外では殺せないことも多いのです。
吸血鬼は日光下という条件下なら簡単に殺せますが、影の中なら頭が潰されたって死にません。一日で再生しちゃいます。
これらのことより妖怪の“死”の度合いについては個々人の差異によるところが大きく、今までの私の記録でもとても予測することはできません。
この件は次世代の私に持ち越すこととしましょう。
では妖精はどうでしょう。
自然の体現であることから妖精は妖怪に分類される存在です。
しかし、その力は弱く子どもにすら負けることがあるほどです。
そんな彼女らの肉体とは何なのか。
その肉体はどれほど損傷すれば“一回休み”となるのか。
ぐるぐると廻る思考に私はいつしか筆を投げ出し、考えに没頭しておりました。
考えているうちにどうしても調べてみないと気がすまなくなったのです。
この探求癖は私の子どもの頃からの悪癖です。まあ今も子どもですけれど。
「ちょっと出てきます」
女中に言い、私は下駄を履いて外へと飛び出しました。
もちろん着物の中には様々な交渉用の道具を忍ばせています。
「さてさてまずは妖精を見つけないといけませんね」
しばらくの間執筆にかかりっきりだったので、こういったフィールドワークは久々です。
なんだかわくわくしてきます。
足取りも軽くガチャガチャと着物が鳴ります。
私はルンルン気分で妖精の住まう魔法の森へ向かいました。
◆ ◆ ◆
「ふむふむ妖精に睡眠薬は有効、と」
言いながら私は机の上に今回の器具を並べていきます。
テコ、鉈、小刀、斧に始まり、さらには河童印の色々な道具も揃えました。
丁寧に手入れをしているそれらは鏡のように私の顔を映します。
あ、ちょっと頬がゆるんでますね私。
根が好きなんでしょうね。
秘密の宝箱を開けるような高揚感があるのです。
「うふふ。今回もよろしくね〜」
そう言って私は椅子の肘掛けを撫でました。
この椅子は昔からこの家に伝わる由緒正しいもので、村一番の力自慢でも壊れないほど頑丈なものです。というか私が作りました。最初の私ですけど。
妖怪相手ではやや分が悪いですが、妖精さんならまず大丈夫でしょう。
椅子の下には特製の金属の皿を敷いていますので、どれくらいの出血で死亡したのかわかるようになっています。
さて、今私の目の前には緑髪の妖精さんがすぅすぅと寝息を立てています。
魔法の森でフワフワ飛んでいたところを平和的に交渉し、平和的に睡眠薬入りの飴を舐めさせて連れてきました。
純粋無垢なところが妖精の良い所ですよね。騙し易くて大変ありがたいです。
「身長と体重は……ちっちゃいですね。健康状態は良好、と」
ついでに寝ている間に体のデータも取りました。
服は邪魔なのでさっさと破り捨てます。
「バストは……うーん」
広がる洗濯板のような胸に計る必要があるのかどうか悩みます。
まあせっかくですしね。
メジャーを回してスリーサイズも計りました。
その目盛りを見て、私も自らの胸を見ます。
視線は何の障害もないまま、床へと落ちてしまいます。
「何度転生しても大きくならないんですよねえ。なぜか」
もしかしたら、バストサイズと魂には親密な関係があるのかもしれません。
そのうち研究してレポートをまとめたいものです。
「う……ん」
「おっと。そろそろですね」
わずかに妖精さんが身動ぎしました。
だいぶ意識が覚醒に向かっているようですね。これは急がないと。
「よいしょ」
妖精さんを椅子に座らせます。
金具に手足を通し、ネジでしっかりと固定します。
続いて胸元、腹、指もきっちり固定します。
これで妖精さんは椅子の上で身動きが取れないことでしょう。
「ん……あ、あれ?」
ちょうど妖精さんが目覚めたようです。
ナイスタイミン。
「おはようございます。妖精さん」
「え? あ、おはようござ――」
「と言いつつ、どーん」
妖精さんが寝ぼけ顔で挨拶を返そうとした瞬間、私は鉈を妖精さんの左手に落としました。
くるくる回りながら宙を舞う妖精の左親指。
爪に当たったのか、床は軽い音を返してくれました。
「――――、え?」
「へー。妖精も血は赤いんですね。知ってましたけど」
「っぁ――! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
堰を切ったように妖精さんは叫び声を上げました。
ここは屋敷の地下牢。防音性は抜群です。ゆえに音は外へと逃げず、いつまでも大音量で部屋へと留まります。
正直、うるさいです。
思ったら即行動。
鉈の背を妖精さんの顔面に打ち込みます。
「――かっ!! あ! っああ!!」
口の端から声が漏れているので、続けてスパンキング。
平手と言っても鉈の腹ですけどね。
さて何回殴ったでしょうか。
妖精さんの顔がブチャイクなブタ顔になったので、とりあえず鉈を置きました。
「はいはい静かに。たかが指一本じゃないですか。そんな銅鑼みたいな声出さないでくださいよ」
「――っっっっ!! ふぅ! うぅ……!」
妖精さんはまだ何か言いたそうでしたが、私が鉈を取ると大人しくなってくれました。
こういう純心なところが妖精の良い所ですね。
ちょこんと骨が飛び出した断面を必死に見ないようにする様は、好きな方にはかなりそそるものがあるのでは無いでしょうか。
妖精さんも落ち着いたようなので私はにっこり笑顔を浮かべ、これからすることを至極丁寧にわかりやすく説明することにしました。
「私はこれから貴方を壊そうと思います。
泣いてもいいですし、私を呪ってもいいですよ。
でも結果は変わりません。
ここなら大きな声を出しても誰にも聞こえませんし、誰も助けには来ません。
思いっきり騒いでもいいですよ。助けを求めてもいいですよ。
でも結果は変わりません。
でもでも、頑張って生きてください。
筆舌し難い苦痛の中でも希望を捨てないで下さい。
その方が都合良いもので。
ファイト一発。生きてりゃ良いことありますよ」
せっかく励ましてあげたのに、妖精さんはボロボロ涙を流してしまいました。
はて。私なにかまずいこと言いましたかね。
まあいいです。泣いている子に飴をあげるような時間はありません。
さっさと始めてしまいましょう。
「えっと……切るのと潰すのどっちからがいいですか?」
一応本人の希望を聞いてあげましょう。
順番が変わるだけで、メニュー内容は変わりませんし。
「や……やめて……おね、おねがいします」
「じゃあ潰す方からいきますね」
ちゃんと返事をしない子に付き合う義理はありません。
鉄板を取り出し妖精さんの足にセット。
私は右手に金槌をセット。
ぷるぷる震える小さな小指めがけ、1000グラムの金属塊が落ちていきます。
ぺきょ。
あるいはべぎょだったかもしれません。
「――っ! いっつうぅ!!」
「あら?」
金槌を退けてみればそこには指の中にめり込んだ爪があるばかり。
さらに何度か金槌を打ち込んで、ようやく小指は板にへばりついてくれました。
「んん。なかなかうまく潰れませんね」
「あ…ああ……」
なにぶん幼女なこの身体。
器具を使えるといっても力に限界はあります。
この分では全ての指を潰す頃には日が暮れてしまうでしょう。
「――っと。もしもーし? 大丈夫ですかー?」
気付いたら妖精さんが、白目を剥いてました。
仕方が無いので、水をぶっかけて叩き起こします。
「うぁ――っ――いぃぃいっぃっ!」
声すら出せないという感じで口をパクパクと開閉させてます。
まだ指一本だというのに根性無いですね。
しかし、
「ふう。やめにしましょう」
「……え?」
指の痛みもどこへやら。
妖精さんは一瞬の呆けの後、ぱっと顔を明るくしました。
現金なものです。
「ほ、ほんとぅ……?」
「ええ。こんなの使ってたら身体がもちません」
ぽいと金槌を投げ捨てると、妖精さんは目に見えて希望を宿した顔つきになりました。
金槌で潰されるよりも痛いことなんていっぱいあるのですけどね。
世の中を知らないと幸せに生きられるんですね。
「さてと。じゃあ、残りを片付けますか。」
「……え?」
そう言って私が取り出したのは両手用の大金槌。西洋風にいうならばスレッジハンマーです。
その重量は先ほどの金槌のおよそ十倍。岩をも砕くこの威力とくと見よ。
「あ……あ……!!」
「動かないでくださいね。当たり所が悪いとたぶん死にますから」
まあ死ぬのはいいのですが、それでは大味過ぎて本来の目的を達成できませんからね。
肩にハンマーを担ぎ、足の指に狙いを定めます。
「やめ――」
「えい」
今度はバチュという軽快な音。
ハンマーの直径は残り四本の指を潰すに十分で、金属の重みと母なる大地の力によって得た破壊力は小さな指を鉄板にへばりつけてしまいました。
「――――――――――ッッッッッゥ!!」
「痛いなら痛いって言っていいんですよ?」
泣き喚くかと思っていただけに少し意外です。
妖精は見た目よりも痛みに強いのかもしれません。
私は先ほどと同様にハンマーを打ち下ろし、もう片方の足の指も潰してあげました。
あひるみたくペラペラになった足はもう二度と大地に立つことはないでしょう。
「いた……いたい……よぉ。もう……歩けないよぉ……チルノちゃん……」
「おお。なかなか余裕ですね。これは期待できます」
弱音を吐けるのは元気な証拠。
続いて“切る”もいってみましょう
「取り出したるはじゃじゃーん、金切りバサミ〜」
テコの原理を利用したハサミの中でも鉄板を切るためにあつらえられたこのハサミは、発明大好きな河童も愛用する一品です。
これ一本で鉄板だろうと鉄線だろうと軽く切り落としてしまいます。もちろん指だってさっくりいけます。
ごつい見た目は伊達じゃありません。
「あーあ。足は飛べばまだ何とかなりますけど、手はどうしようもないですよねえ」
「……っ!!」
「かわいそうですねえ。痛いでしょうね。もうじゃんけんもできなくなるんですねえ。チルノちゃんとももう遊べないんですねえ」
ちょきちょきなんて可愛らしい音はしません。バネの軋む音が奏でる剛健さはとてもハサミとは思えないほど。
絶望的な瞳でハサミを見つめる妖精さん。
そんな顔をされると、私の胸にちくりと違和感。
……さすがに切り落としてしまうのは可哀想ですよね。
バチンッ!
なので縦に切ってみました。
おお。爪が虫の羽みたいにぶらさがってますね。
「――――ッああああああああ!!」
顔が凄いことになっているのに、全然身体が動かせていないところが非常に笑えます。
妖精の力ではしょうがないでしょうが。
「えい! 16連射!!」
バチッ! バチッ!! バチン!!
リズムを刻みながら、指を立て切りしていきます。
結構、愉しいですね。これ。
「あ、しまった。一本切り飛ばしちゃったから9本しかない」
残り7回はどこへやるべきか。
せっかくなので、輪切りにしましょう。バチンバチン、と。
そういえばさっきは何で切り落とさなかったんでしたっけ?
どうでもいい理由だったとは思うのですが……。
「あ…ぉ……ぉぉ……」
これで妖精さんに残された指は、縦割り二本に、輪切りが七本。
縦割りが二本とも右手なのがポイントです。
「やりましたね。ダブルチョキが出せますよ。チョキより2倍強いんですよ。これで大活躍間違いなしです」
自分にしかない必殺技は子供にとって強力なアドバンテージです。
ピストルやら爆弾やら色々開発しましたねえ。
まあその内壊死して落ちちゃうと思うんですけどね。
「あ……がぁ……ゆひ……ゆひが……」
窒息寸前の金魚のように口をぱくぱくとさせながら、妖精さんは泣き出してしまいました。
よくそんなに泣いて水分がなくならないものです。
「もしや眼球になにか秘密が?」
思い立ったら即行動。
取り出したるはJの字型フォルムと凶悪な返しの憎い奴。
霧の湖の大魚ですら釣り上げると豪語する巨大釣り針です。
その先を妖精さんの目へと近づけていきます。
「はーい。ちくっとしますよー」
「――ひぃ!! や、ヤダああっ!! あっ! あぎゃあああっ!!」
まぶたをぎゅと閉じ、必死に目を守ろうとする妖精さん。
でもそんなの関係ないのです。
壁があるならぶち壊すまで。
まぶたがあるなら貫くまで。
「ぬぅぐぎぎぎぃぃぃいぃいぃぃぃぃっ!!」
「そーらんそらーんどっこいしょー」
血とは違う白い汁を出しながら、しっかりと釣り針は妖精さんの左目に。
後はこの糸を引いていくだけ。
魚というよりむしろ大根でも引き抜くような手ごたえを感じながら、妖精さんの左目はまぶたと一緒に引きずり出されました。
「お……おごぉ! おぐごごぅう!!」
「んー、別段変なところはありませんね。視神経と血管が伸びてそれが脳の方へ。期待して損しました。あと妖精さん。ブタのゲロみたいな声止めてくれません?」
面倒くさくなって一気に目玉を引き抜いたら、妖精さんはビクビクと痙攣しながら動かなくなってしまいました。
目玉がなくなったのがそんなにショックだったのでしょうか。
もう一個あるんだし、そんなに落ち込むことないと思うんですけどね。
可哀想なので傷口を消毒してあげましょう。
濃硫酸で。
「っっっっぅぅぅうっぅ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
「おお。まだまだ元気ですね。心配させないでくださいよ」
強烈な酸化作用+熱により妖精さんの(元)左目が沸騰しています。
これは強烈な気付けになったようです。
しかし硫酸の量が多すぎましたかね。脳まで溶けちゃいそうです。
それはそれで問題ありませんが。
「……んで」
「はい?」
「な…で……なん……で」
「なんで? なんでってなんでしょう?」
「なんで……こ、こ、こんな……ひど……ゆひぃ……あし……ああ……ああっ!!」
うーむ。なんとも要領を得ないですが、どうもどうしてこんな目に会っているか理解が追いついていないようです。
とは言っても説明なんてしようがないですよね。
「例えばですね。ふと何かが食べたくなった、ってことはありませんか。唐突に甘いものが欲しくなったり。それと同じかと。私は妖精さんが食べたくなった。そんな感じです」
「そ……そんな……」
「何と言うか。ご愁傷様?」」
悲痛な表情を浮かべながら私を見つめる妖精さん。
左側が焼け爛れているのでキモカワイイという言葉がとても似合います。
さてさて次はどうしてやろうか、そう思っていると部屋の扉がそろりと開きました。
「阿求様。そろそろ夕食の時間ですよ」
「おおう。そうでした」
壁の時計を見ればもう六時前。我が家では六時には食事を始めるのです。
「今日のご飯はなんですか?」
「ハンバーグにポテトサラダです。冷めないうちに来てくださいね」
「はーい。どうもです」
ラッキーです。ハンバーグは私の大好物。ぐちゃぐちゃに混ぜられた豚や牛の死肉をこねて丸めて焼き上げる。
ナイフを通せば血液混じりの肉汁が溢れてドロリと皿を汚す。
クズの親から生まれたクズな家畜のクズなクズ肉でもたっぷりのケチャップをかければそれなりに食べられるようになるとは、ハンバーグは人類の偉大な発明です。
「そういう訳で妖精さん。時間が無いので巻いていきますね」
そう言い私は壁に倒して置いた器具を取り出します。
ギザギザの円形刃が先端についたそれは、夏場の茂みを一層してくれる頼もしき両手ハンドル式草刈器。
「刃こぼれいっぱいサビいっぱいなのですっごく痛いと思いますけど、後ちょっとの辛抱ですから頑張ってくださいね」
激励の言葉と共に私はエンジンをスタートさせました。
ドッドッドッド、と勇ましい音をさせて草刈器は今か今かと出番を待っています。
そこでふと気がつきました。血に混じった酷い匂い。
見れば妖精さんの股間に黄色の水たまりと茶色の塊ができてました。
「あ、お漏らししてる。えんがちょ」
◆ ◆ ◆
【妖精の出血に関する観察と妖精転生説】
今回わかったことは出血に関し、妖精の致死量はほぼ人間のテンプレートに当てはまるということです。今回の妖精は体重約20キロに対し、800mlの出血が観測された時点で意識を失い死亡しました。これはほぼ人間のレートに当てはまります。すなわち妖精の身体的致死は人間にほぼ等しいということです。この点に関して目新しい発見は存在しませんでした。
しかし、それとは別に興味深いデータを発見しました。今回被験者となった妖精は決して精神的に強い存在ではなかったが最後の最後まで狂うことなく痛みにもがき、喘ぎ続けて死亡しました。恐らくは人間が持つ『狂う』という自己防衛能力すら妖精には欠如しているのでしょう。一回休みという感覚から妖精は痛みも苦しみもないお気楽な種族かと思われていましたが、今回の実験でそれは正確ではないと感じました。妖精には痛みも苦しみもあり、なおかつそれから逃げることができません。断末魔において妖精は人間の何倍も苦しむことになるのです。一回休みになるたびにまるで地獄を一周したかのような痛みを覚えるでしょう。それにも関わらず一回休みの後にはその記憶は失われ、もとのお気楽な生活を続けるのです。
この記憶の欠如については未だ確かな法則性は導き出されていませんが、本来生物が持つ死への危機感を持たず、死を教訓としないあり方は妖精が自然現象の化身たる証拠かもしれません。例え痛みに苦しんでいるように見えても、それは私たち人間の主観に過ぎず彼ら妖精が本当に痛み苦しんでいるとは限らないのかもしれません。とはいえあくま――――
「んー? あれ? “あくまで”って漢字で書くとどういう字でしたっけ? 転生前は覚えていたんですけどね」
「や、やらぁ……なん……なんで……」
そう言いながら震えるのはあの妖精さんです。
どういう訳か死んだ後、しばらくしたらこの部屋で寝ていました。
どうも“一回休み”の後、出現する場所に何かしらの法則性があるようです。新しい研究テーマが見つかってちょっと得した気分です。
「“悪魔で”“開くまで”“空くまで”“飽くまで”“飽く迄”……あ、これか」
まあせっかくなのでこの妖精さんにはこれからも実験に付き合ってもらうことにしました。
どうも私に殺されたという記憶だけは残っているようで、私を見ては泡を吹きそうになっています。
「『飽く迄一回の観測データであるため、今後も実験をくり返し確かな統計データを導きだせるように勤めていきたいと思います』……と。んー、統計的に信頼できるには二千回くらいデータがいるんでしたっけ? 次の転生までに間に合いますかねえ」
そう言い、暖炉に入れておいた鉄棒を取り出しました。防熱グローブの上からでも熱さが伝わってきます。
「ぱんぱかぱーん。今回のテーマは『妖精の熱に対する苦痛の有無と火傷の程度による致死率』でーす。とりあえず肩辺りから行きますか?」
「ごめんなさい! ごめんなさい! 何でもするから! だから……!!」
「んじゃ頑張って協力してくださいね〜。バー、ベー、キューっとな」
「ッぅあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
よくこれだけ叫んで声帯が壊れないものです。
その辺についても研究の余地ありですね。
肩にキュートな焼け目がついてまるで炭火焼肉。
どんな味がするのか気になるところですが、それについてはまた今度の機会に。
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/06/15 13:10:04
更新日時:
2011/06/15 22:10:04
分類
東方
阿求
グロ
拷問
実験
とても良かったです。
なるほど、妖精であれば時間をかければ同一サンプルで様々な実験や統計が取れますね。
大ちゃんの尊い犠牲は寝るまで覚えておきましょう。
シンプルながら痛ましさがガンガン伝わってきて素晴らしい
産廃やめられねえなあ
まことにグッジョブである、いざいざ南無三
>>1 ときおりこんなストレートなグロを書きたくなるのです。
>>2 最高の褒め言葉です!
>>3 リサイクル可能で妖精はとてもエコロジー
>>4 ありがたいお言葉です!!
>>5 書いてて楽しかったです
>>6 南無南無ですね
単なる類似品か。まぁ、いいや。
阿求テンチョン高いなwww
他の方もおっしゃってますが、純粋でストレートな素晴らしいグロですね。
阿求ちゃんの考察力にしびれちゃうう……!
このテンポの良さはすごく参考になります。あっきゅん萌えー