そこは広い部屋だった。
広いが圧迫感がある。
天井が低いせいだ。
床は鉄板。
壁も鉄板。
天井はパイプ類が張り巡らされ、薄暗い照明がいくつかぶら下がり、
そのさらに上はやはり鉄板だった。
その部屋にたった一畳、置かれた畳の上。
そこに金髪で前髪を紫に染めた僧侶が一人、座していた。
こんこん。
僧侶の右手側にある小さな鉄の扉がノックされた。
「お入りなさい」
「失礼します」
部屋の主の了解を得て、戸を開けて入ってきたのは三人。
一人は頭巾を被った尼僧。
一人は大男。
そしてもう一人は、大男の右腕に抱えられた少女であった。
「聖様、連れてまいりました」
尼僧の言葉の次に、大男は少女を床に下ろした。
ごとり。
少女の両腕に嵌った、鉄の塊のような手枷が床に置かれた際に音を立てた。
「ふむ……」
僧侶は畳から立ち上がり、両腕を伸ばした状態でうつ伏せに横たわる少女を検分した。
この年端の行かぬ少女は、特徴的な赤い大きなリボンで髪を結っており、
もみ上げには、リボンとお揃いの意匠の髪飾りが着けられていた。
両腕には白い、蝶の羽を連想するような袖を着けており、それは大きな手枷のおかげで腕まくりしたみたいになっていた。
折り返しにささやかなレースをあしらったソックスをはいた両足首は、女学生の物のような革靴に収められていた。
以上が、この少女――楽園の素敵な巫女、博麗霊夢が身に着けている物の全てである。
「うぅ……」
霊夢は立ち上がろうとしたが、手枷が重いのか、ぺたりと座り込んでしまった。
いや、『ぺたり』ではなく、『べちゃり』だった。
白濁の粘液――精液、及び張り型から放たれたそれを模した媚薬入りローション――が、
霊夢の秘所から漏れ出していた。
一体、何人に、何回犯されれば、これほどの量を垂れ流すことになるのか。
「拙僧の弟子達のもてなしは気に入っていただけたかな?」
「……」
霊夢はぎり、と歯を食いしばり、赤らめた顔で僧侶を睨みつけた。
「初物ではありませんでしたが、私も含めて皆楽しめましたよ。
抜かずに五回も果ててしまったと、雲山も申しております」
無言の霊夢に代わって感想を述べた尼僧と、巌の様な顔を朱に染める大男。
かっかっか、と高らかに笑う僧侶。
「それは結構!! 拙僧が願う、人間と妖怪が平等に暮らせる世界!!
互いが肌を重ねることこそ、その近道!!」
僧侶は霊夢の両肩をがしっ、と掴んだ。
「う……」
霊夢は顔をしかめたが、僧侶はかまわずに言葉を続けた。
「弟子には負けてはおられん!! うぬには是非とも拙僧の説教を聴いていただこう!!」
霊夢の幼さと美しさと凛々しさを備えた、嫌悪の表情を浮かべた顔。
控えめながらも形の整った、大勢に弄られ揉まれしゃぶられた胸。
贅肉の無い、括れができつつある、幸いにも撫で回された程度で殴られずに済んだ腹。
手枷で拘束された両腕でかろうじて隠れた、欲望に貫かれ続けた股間。
それらに這わせた僧侶の好色そうな視線から、僧侶の言う『説教』とやらは、
どこぞの閻魔や仙人が行なう『精神的』なものではなく『肉体的』なものだということを、霊夢は嫌というほど理解した。
「一輪、雲山、うぬらは甲板へ上がり、『兵器』の準備をいたせ」
「……兵器?」
剣呑な単語に対する霊夢の疑問に、退室した弟子達を見送った僧侶は答えてやった。
「おう。我らが平等社会実現のため、聖輦船に装備した業物よ。
たしか、『はぁぷぅん』とか申したかな。
……ほう、うぬの目当てはそれか。そのためにわざわざ大立ち回りを演じたとは……、いやはや」
弟子達と大乱闘の末に捕らえられ慰み者になった霊夢に対して、
僧侶は小馬鹿にした口調で呆れて見せた。
「くっ……」
「そう怖い顔をするでない。まあ、拙僧の手にかかれば直ぐに表情は変わるがな」
そう言うと、僧侶は袈裟を脱ぎ捨て、全裸になった。
「ひっ!?」
早速、霊夢の表情は怒りから恐怖に変わった。
僧侶の股間から生えた太く硬そうな剛直が、豊満な胸元までそそり立っていたのだ。
「小娘!! 聖白蓮が誇るマラを、うぬが穴でしかと受け止めるが良い!!」
「い、嫌……、来ないで……、い、嫌あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
涙を流し絶叫し、手枷を引きずりながら後ずさる霊夢は、あっけなく白蓮に捕まってしまった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
霊夢は白蓮に背後から両脇を掴まれると、持ち上げられてしまった。
白蓮の怪力の前には、少女の体重も数十キロの鋼鉄製の手枷も、羽毛の如き軽さなのだろう。
白蓮は滾る肉棒を霊夢の股間に押し当てた。
だが、その場所は散々辱めを受けた秘裂ではなく、別の穴であった。
「!? な、何をするつもり!?」
『そういう目的』でない窄まりの危機に、霊夢は答えの見当がついている問いをせずにはいられなかった。
「こちらなら、拙僧の愚息を収められるであろう」
「無理っ!! 無理よ!! あんな大きなの!! 入れたら裂けちゃうっ!!」
案の定、白蓮は巨根を霊夢の肛門にねじ込もうとしているのだ。
前の穴から滴った陵辱の残滓と冷や汗で、霊夢の尻穴は潤っていた。
「案ずるでない。拙僧は気持ち良くなるゆえ」
「やだぁ!! 私が良くないの!! 止めろっ!! 止めてえええええぇぇぇぇぇっ!!!!!」
じゅぶっ、ぐぐぐっ。
「い゛っ!?」
白蓮の肉棒が霊夢に進入を開始した。
ぐぐっ、めりっめりっめりぃっ!!
「がっ!?」
「ふんっ!!」
ぐぷぷぷぷっ、ずんっ!!
「あ゛、ぎゃあ゛ぁあああああぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あああああああっっっっっ!!!!!」
白蓮の気合と共に、逸物は霊夢の奥へ奥へと掘り進み、一瞬遅れて脳に届いたその苦痛に霊夢は獣じみた絶叫を迸らせた。
ぽたっ、ぽたっ。
やはり白蓮のモノは太すぎたので、霊夢の肛門は裂けてしまい、鼻血のような色と粘度の鮮血を滴り落とした。
そんなことには構わず、その血すら潤滑油として、白蓮は霊夢を掘っていった。
めりめりぃ!! ずぶぐじゅぶぶぶぅっ!!
「い゛、ぎぃっ!! が……!! やべでっ!! おじりぃ、お゛じり、ざげじゃう゛ううううっ!!」
「案ずるでない。もう裂けておる」
白蓮が告げる非情な事実は、半狂乱になった霊夢の耳に届いていないようだった。
ぐぐぐぅっ!! じゅぶるるぐぶぷぷぶぷっ!!
「ぎい゛っ!! いだい゛……、ぐるじいっ!! がっ!! あ゛……、おじりぃいだい゛い゛い゛っ!!!!!」
霊夢の苦痛を訴える悲鳴は大きくなっていき、
「おりゃあっ!!」
ぐっっっっっ!!!!!
白蓮は、一息に腰を突き入れ、
長くて太くて硬い、凶器と同義である白蓮のペニスは霊夢に全て収まり、
「!!!!!」
霊夢は数秒間痙攣をした後、
苦痛を表現した体の動きを止めた。
「ふぅ」
白蓮は一息つき、
「そ〜〜〜〜〜……」
じゅぐぷぷぷ……。
そろそろと肉棒を霊夢の尻から半分ほど引き抜き、
「れっ!!」
「!?!?!?」
一気に押し込んだ。
その後は、高速で霊夢から剛直の出し入れを行ないだした。
「それそれそれぃっ!!」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ!!
「ぎっ!? い゛っ!! がっ!! !! !!」
打楽器のように白蓮は軽快な音を立てながら腰を霊夢に打ち付け、
その度に霊夢の口からは声にならない細切れの悲鳴が零れた。
「ほれほれほれぃっ!!」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ!!
「あ゛!! ぎゃ!! ぎ!! ぶ!! ぐ!!」
どんどん、白蓮のピストン運動のペースが上がっていき、
霊夢は涙を零しながら目を見開き、悲鳴の出なくなった口からは涎を零し、
「ふんっっっっっ!!!!!」
「ぅぶっ!!!!!」
白蓮は霊夢の最奥にペニスを突き刺し、
びゅくっ!! びゅくっ!! ぶびゅるるるるるぅぅぅぅぅ……。
快感の証である精液を、霊夢の腸に注ぎ込んだ。
「が……、あ゛……、じ……じみ゛るぅ…………」
腹が膨れるほど射精されたにもかかわらず、白目を剥いた霊夢の反応は薄かった。
「ん、ん〜」
白蓮は、射精後の気だるさと、手のひらでこねくり回している霊夢の少々硬い乳房の感触を堪能した。
「さて、拙僧ばかり楽しんではいかんな」
白蓮は一瞬気を失った霊夢の両脇を抱えると、彼女を全然萎えていない剛直から引き抜いた。
じゅぶぶぶ……、じゅぼ。
「う゛……、ぁ……」
ぼちゃばちゃべちゃばちゃ……。
精液の白。
血の赤。
腸液の黄色。
それらが交じり合った液体を広がりきった肛門から垂れ流し、
霊夢の腹の異常な膨れは解消された。
白蓮は、霊夢を今度は仰向けにして、床に横たえた。
「はぁ……、はぁ……」
霊夢は虚ろな目をして、ただ、荒い、か細い呼吸を繰り返した。
霊夢はようやく、白蓮の攻めから開放された。
広い部屋の奥。
そこには照明の明かりが届いていない。
薄闇の中、
それは、
呼ばれるのを、
ただ、待っていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うぬに紹介しよう」
「ぁ……?」
逸物を袈裟の中に押し込めた白蓮は、万歳した状態で喘いでいる霊夢に話しかけた。
「我が愛弟子にして、毘沙門天の代理人!!」
白蓮は大仰なアクションで部屋の奥の暗がりを仰ぎ見た。
霊夢はジト目でそちらを見た。
「寅丸星(とらまるしょう)!! 参れ!!」
ぐるるる……。
白蓮の呼びかけに、唸り声の返事。
霊夢は目を見開いた。
とた、とた、とた……。
柔らかくも重量感のある足音が、こちらに向かってきた。
頭に蓮華の花を思わせる飾りをつけた、
美しき獣。
「い゛……!!」
寝転がった状態の霊夢が見る逆さまの光景に、
いてはならない者が割り込んできた。
体長三メートル超。
強靭でしなやかな体躯を誇る獣が、がっしりした四つ足で鉄の床を歩み、
恐怖に凍りつく霊夢の脇を通り抜け、
白蓮の前に来ると、座り込んだ。
白蓮は、弟子と称する『虎』の顎を撫でてやる。
虎はゴロゴロと、猫の如く喉を鳴らして目を細めた。
「星、済まぬが、そこな娘にヒトと畜生の平等を説いてやってはくれぬか?」
がうっ!!
微笑みながら白蓮は虎に話しかけると、虎は返事のように吼えた。
そのやり取りを見て聞いた霊夢の顔色がさっと青ざめた。
「な……!? あんたっ!! な、何言ってんの……?」
白蓮は微笑を貼り付けたまま、霊夢に答えた。
「ん……? 星に、うぬとまぐわえと、命じたのだが?」
白蓮は微笑を貼り付けたまま、虎の股間を愛撫した。
ぐるる……。
虎は気持ち良さそうに目を細めた。
「星、さすが我が弟子。こんなに盛りおって」
「な゛……!? 何よ、これ!!」
霊夢は驚愕の表情で虎を、正確には虎の股間を見た。
「これか? 見ての通り、虎のマラ、だが?」
白蓮は、虎の巨大な肉棒を手にとって軽く振って見せた。
亀頭にびっしりと生えた棘が、凶悪さに拍車をかけていた。
「見事であろう。これがうぬと獣の架け橋となるのだぞ」
「バカ言わないで!! こんなの入るわけ無いでしょ!!」
霊夢の至極当然な罵声に、白蓮はカチンときたようだ。
「む……。試す前から否定するとは、まことに臆病で胆戦心驚である!!」
白蓮は霊夢の側に歩み寄ると、手枷を踏みつけた。
これで、僅かでも獣から距離を取ろうとした霊夢の動きが封じられた。
「星!! この不信心者に引導を渡してやれい!!」
ぐる……!!
虎は霊夢の股の間に割って入ろうとした。
「ひっ!! だめぇ!! 来るなぁっ!!」
霊夢は両足を閉じて進入を阻止しようとした。
だが、虎は爪を引っ込めた両前足の力で、簡単に乙女の城門をこじ開けてしまった。
一度開いてしまえば、後は簡単。
虎が巨躯を割り込ませるだけで、もう股は閉じられなくなった。
「い゛ぃっ!!」
霊夢の眼前に虎の顔が現れた。
獣臭と涎が霊夢の顔に降り注いだ。
だが霊夢はそんな物より、性器にあてがわれた棘だらけの凶器の方に恐怖していた。
「や゛あああああっ!! だべえええええっ!! い゛れだらぢんぢゃうううううっ!!」
「どのみち、うぬは生かしておくつもりは無い。どうせ逝くなら快楽の中で果てる方が良かろうて」
白蓮の事実上の死刑宣告。
霊夢はますますわめき散らした。
「ぎゃああああああああああっ!!!!! ごろざれるううううううううううっ!!!!!
だれがあ゛ああああっ、だずげでええええええええええ!!!!!
ばなぜええええええっ!!!!! い゛やあああ」「いざ、南無三っ!!」ぐぶりっ!!
唐突に、虎のペニスが霊夢の膣に進入を開始した。
先人達の開拓と潤滑油のおかげで、それは比較的容易いものだった。
それで霊夢の苦痛が消えるわけではないが。
一瞬、霊夢は沈黙した。
だが、その一瞬が過ぎたとき、
「あ゛……!? い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあああああぁぁぁああああああああああ!!!!!
い゛があああああぁああああああっ!!!!! あ゛ああああああああああっ!!!!!」
霊夢は叫んだ。
叫んだ。
暴れた。
暴れた。
叫んだ。
力の限り、叫んだ。
全身を跳ねさせて暴れた。
だが、叫ぼうが、暴れようが、
陵辱に夢中な虎の前では、
霊夢は無力であった。
ふううう、ぐるるっふぅふぅふぅ!!
じゅばんっ、じゅぶんっ、ぐぷんっ!!
「ぎゃがあああああっ!!!!! があああああっ!!!!! あ゛あああああっ!!!!!」
霊夢にのしかかった虎は、腰を小刻みに動かし続けた。
それに連動して、霊夢は獣じみた悲鳴を上げ続けた。
白蓮は畳みの上に座り、満足げに虐待と同義の陵辱劇を鑑賞している。
虎が腰を霊夢に突き入れる。
じゅぶっ。
「あ゛ぇっ!!」
その度に、霊夢から様々な液体が飛び散る。
涙。
涎。
鼻水。
汗。
愛液。
精液。
血液。
虎の逸物を凶器足らしめている無数の棘には、
霊夢の膣を満たしていた先客達の精液をかき出す機能がある。
だが霊夢の醜態を見ていると、生命や人間の尊厳といった物も乱暴にこそぎ落としているようだ。
この壮絶なショーのフィナーレが近づいてきた。
ぐるっふぅっふぅっ!!
ぐちゃっぐちゃっぐちゃっぐちゃっぐちゃっ!!
「びっ!! ぐっ!! ぶっ!! ぎゅっ!! う゛っ!!」
虎の逸物が霊夢の膣内を荒らす度に、
霊夢は失神と覚醒を、短い周期で繰り返した。
棘付き棍棒が霊夢の最奥に一際力強く打ち付けられ、
お、がおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん……。
ぶびゅぶりゅりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜……。
虎は、霊夢の中に溢れるほどのザーメンをぶちまけながら、果てた。
なのに、霊夢の膣内をズタズタにした凶器が萎えることはなかった。
「が……、ごぼぉ……、ひゅぅ〜……、ひゅぅ〜……」
霊夢は、この世の最後を見たかのような形相で口から泡を吹いていた。
霊夢と虎の股間は密着されたため、血に染まった精液はそれほど溢れなかった。
むにゅっ、むにゅっ、むにゅっ。
虎は、巨大な両前足で霊夢の張りの良いバストをマッサージのように潰すことを始めた。
猫は母猫の乳を求める場合にこのような行動をとることがあるが、
言うまでもなく、霊夢の乳房からは母乳は出ない。
「ほう、うぬも満更ではないようだな。乳首が立っておるではないか」
霊夢の控えめな二つのふくらみのピンクの頂点は確かにそうなっているが、
これは単なる生理現象である。
幸い、この白蓮の言葉も先程と同様に、朦朧とした霊夢に聞こえていないようだ。
ゴロゴロゴロ……。
一通り霊夢に甘えた虎は、霊夢に突き入れたままの巨根の出し入れを再開した。
じゅぶっじゅぶっじゅぶっ!!
「い゛っ!? あ゛ぁぁっ!! が……!!」
今度の霊夢の悲鳴は、か細い物だった。
表情も苦悶よりも呆然とした物の方の割合が多い。
一回目で気力と体力を使い切ったか。
虎は、快感が得られれば、玩具の状態などどうでもいいと思っているのか。
ぶびゅっ、びゅるるるるるぅ〜〜〜〜〜……。
「あ゛……、ぁ……、ま゛だ……、げがざれだ…………」
二回目の射精で、霊夢の膣は容量の限界に達し、
虎の男根が埋められた霊夢の性器の僅かな隙間から、朱が混じった白が噴き出した。
「星、こやつが気に入ったか。かっかっかっ!!」
白蓮はご機嫌であった。
「我が弟子、寅丸星よ!! 飽きたら食うても良いぞ!!
拙僧は務めがあるゆえ、これにて御免!! かっかっかっ!!」
三回目のまぐわいを始めた虎と、
いたぶられ続ける霊夢を残し、
白蓮は部屋を出て行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
幻想郷の空を遊弋する聖輦船。
その甲板に、土管のような筒を四本束ねた物が設置されていた。
幻想の産物である聖輦船に全然相応しくない装備。
RGM−84 ハープーン対艦ミサイル。
そのキャニスター(発射装置)である。
聖輦船の艦橋では、この外界の兵器を使用するために、慌しく準備が執り行われていた。
「諸元入力完了!!」
ラックに収まった機器を弄っていたナズーリンが叫ぶ。
操舵を行なっていた聖輦船の船長である村紗水蜜は、背後を振り返り、
腕を組み立っている、彼女達の師である聖白蓮を見た。
白蓮は目を閉じ、頷いた。
「撃てぇっ!!」
「発射、宜し!!」
水蜜の号令。
ナズーリンは返答と共に、目の前の機器のボタンを一つ押した。
ぼしゅううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…………。
キャニスターの一つから炎の塊が煙を盛大に噴きながら発射された。
炎の身体に煙の尾を持った竜は、大空に軌跡を残しながら直ぐに視界から消えた。
聖輦船はミサイルの飛んでいった方向へ進路を変更すると、全速で航行を開始した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
白蓮が退室した後。
ハープーンが発射される前。
虎は霊夢の膣内に三度目の射精を行い、ようやく霊夢から離れた。
霊夢の姿勢は、犯される前から変わらず万歳して横たわったままだった。
変化と言えば、霊夢の股間に穢れた白濁の水溜りができ、
身体には、虎は一応加減したのだが、引っかき傷がいくつかでき、
あと荒い息を繰り返す顔から表情が消えているぐらいである。
虎は股間を舐め清めた後、顔を前足で拭っていた。
虎は満ち足りた様子であった。
存分に獣欲を霊夢に吐き出したからである。
今まで白蓮が宛がってくれた人間の女は、
逸物をほんの少し突き入れただけで、
身体や精神が簡単に壊れてしまった。
こうなってしまったら、もう使い物にならない。
後は爪と牙で引き裂き、玩び、喰らう位しかできない。
ほんの一瞬で、終わりだ。
こんな時、収まりの尽かないシモの世話は、いつも白蓮が屈強な身体でしてくれた。
だから白蓮は大好きだ。頭が上がらない。
この娘は楽しめた。
後はどうしよう。
白蓮は食っても良いと言っていたから、今度は食欲を満たそうか。
いやいや、自分の交尾に耐えられる小娘など稀有だから、もう少し股間の倅と遊んでもらおうか。
さすが白蓮の弟子だけあって、この虎は思慮深かった。
だが今は、
人間並み、或いはそれ以上の聡明さではなく、
獣の用心深さを発揮するべきであった。
ごきりっ。
霊夢が寅丸星の首に両腕と手枷の輪を通し、
少女とは思えない膂力で締め上げただけで、
彼の頚椎は簡単にへし折れた。
虎がくたばった事を確認した霊夢は、
手枷の重量など気にせずに両手を後頭部、リボンに伸ばした。
リボンをしばらく弄り、前方に戻された左手には、細い金属の棒――退魔針が握られていた。
霊夢は鋼鉄の塊である手枷を一瞥した。
鍵穴は腕と手枷で作った輪の外側、つまり指がある側ではなく、内側にあった。
霊夢は針の端を口で銜えると、もう一方の端を鍵穴にこじ入れた。
唇、歯、舌を巧みに使い、針を小刻みに動かす。
つぅ、と涎の雫が針を伝い落ちる。
雫が手枷に到達する直前。
かちゃ。
ごとりっ。
手枷が、霊夢の細腕から外れた。
霊夢が両腕を擦っていると、
こん……、こん……。
何かが部屋の戸を叩く音がした。
霊夢は股の違和感に顔をしかめながら出入り口まで歩き、鉄の扉を開いた。
ころころ、ふわ。
転がり、霊夢の眼前に浮かび上がったのは、
バスケットボールくらいの大きさの陰陽玉だった。
霊夢は陰陽玉を手に取り、
かぱっ。
白い部分と黒い部分の接合部で開いた。
中には、色々な種類の護符や退魔針、その他いろいろな物がコンパクトに収納されていた。
最初に霊夢は密封された濡れタオルを掴み、体中の汚れを拭い取った。
すっかり汚れたタオルを捨て、続いて霊夢は大判の治療用の札を二枚手に取ると、
拭き清めたにもかかわらず、まだ穢れた粘液と血を溢れさせている秘所と肛門に貼り付けた。
全身の怪我に、護符やメディカルキットで適当な応急手当を行なった後、
霊夢は引き続き陰陽玉の中を漁り、今度は厚みのある電卓のような装置を取り出した。
霊夢はその機械――発信機のアンテナを伸ばし、ボタンをいくつか押した。
これで、今回の霊夢の仕事の一つが片付いた。
霊夢は陰陽玉から圧縮されていた着替えを取り出して身に着けると、
この部屋唯一の畳の上に陣取って防御結界を張り、
次の仕事が始まるまで横になって待つことにした。
連中のもてなしなぞ、霊夢には八雲紫の修行と称するしごき程も堪えていない。
しかし、低脳連中の相手は精神的に疲れる。
昼寝でもしなきゃ、やってられない。
霊夢は横になりながら、側にある、やはりたった一つの座布団を二つ折りにして枕にすると、
リボンを着けた頭をその上に乗せた。
発信機の電波に導かれてやってくる『ヤツ』の働きによっては、
ここで霊夢がやるべき仕事の続きは無くなるかもしれない。
そうなったら……、楽できて良いなぁ。
でも、そうはならないかも……。
博麗の巫女の勘とも、希望ともつかない思考が、
うとうとした霊夢の脳裏にたゆたっていた。
昼寝開始から数分後、
霊夢は爆音と振動によって、
心地良いまどろみから叩き起こされた。
寝起きの霊夢の機嫌は、最悪だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
聖白蓮は、目の前の地獄絵図に愕然としていた。
根城としている船の甲板が炎上していた。
愛弟子達と共に。
「あっちゃ〜っ、ずいぶん派手にやったわね〜」
複数の陰陽玉と共に宙に浮いた霊夢が、
若干口の端を歪めて、惨状の感想を簡潔に述べた。
聖白蓮は、再度、愕然とした。
「ひ……、ヒトが、空を飛んでる……!?」
「あぁん? 博麗の巫女が飛んじゃいけないってぇの?」
よく里の人間から化け物を見るような目で見られることはあるが、
たがが空飛んだだけでこの言われよう。
だが、これで霊夢は気付いた。
「あ? あぁ……、あんた、外の世界から来たばっかなのね」
「!?」
「図星、ね」
霊夢はすぅっと、聖白蓮を騙る両性具有の巨漢に迫った。
「ば、化け物っ!! 来るでないっ!!」
「しっつれ〜しちゃうわねっ!! 可愛い巫女さんに何て言い草なのかしらっ!!」
「ふ、ふざけるでないっ!! こんな破廉恥な格好をした巫女などいるかっ!!」
ぴくっ!!
霊夢のこめかみの血管が浮き上がった。
「博麗の巫女の証である、聖なる巫女装束に何たる暴言っ!!
てか、命蓮寺の連中に仮装するぐらいなら、私のことも知ってて当然でしょ!!」
「い、いや……、名前ぐらいは聞いたが……」
まさか、こんな小娘だとは思わなかったのだ。
誇張された噂から、『博麗の巫女』は、もっと化け物じみた女だと思っていたらしい。
「なら知ってるでしょ!!
あんた達みたいな盗賊や人攫いをやった連中が巫女を怒らせたら、どういった末路を辿るかを!!」
そう、この連中は、ならず者だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
彼女達は、元々は外界でサーカスや見世物、非合法活動をしながら各地を点々としていた。
具体的には、曲芸や男性と女性両方の特徴を持った肉体での獣とのセックスショー、
密入国、密出国、密輸入、密輸出、といった『密』の字のオンパレード、
このような屈折した犯罪者集団が、ある日、我が家兼移動手段である貨物船ごと幻想入りしてしまった。
船は無縁塚に放り出された。
三途の川や紅魔館側の湖ならいざ知らず、陸地では、船は船の役目を果たすことはできなかった。
だが、彼女達は相変わらず、この船を我が家とした。
ある意味、異形で異能の集団である彼女達は、噂に聞いた人妖の平等を掲げる命蓮寺にあやかり、その名を騙った。
彼女達は命蓮寺の托鉢と称する略奪を周辺の村落に行い、その被害は周辺へ広がりつつあった。
自警団が何度か討伐隊を送ったが、ガラクタや次元の裂け目が溢れる無縁塚の捜索は難航した。
業を煮やしたのは、名を騙られた命蓮寺である。
白蓮は沈痛な面持ちで塞ぎこんでしまい、
弟子達もイラついて暴走しかねない様子であった。
無縁塚は、様々なセカイの境目が入り乱れ、さらに外界のゴミが散らばっているため、
ナズーリンのダウジングは正確な探査ができなかった。
そんな時、霊夢がふらりとやってきて、盗賊のアジトに潜入してその位置を知らせる策を提案した。
発信機とアジトに大打撃を与える武器の手配は、幻想郷の管理人である八雲紫が行なった。
この策自体、境界付近で好き勝手している盗賊を苦々しく思った紫の入れ知恵である。
だが、紫も予想していなかった事態が発生した。
アジトに潜入して位置を知らせる役目に、霊夢が志願したのだ。
盗賊は食料や金目の物と共に、見目麗しい女性も奪っていた。
そして、彼女達は誰一人として帰ってこなかった……。
紫を含め、皆が反対したが、霊夢は取り合わなかった。
「あんたには、借りがあるしね」
霊夢の言う、白蓮への『借り』とは――。
以前、悪さをする妖怪の群れを討伐した時、
最後の一匹、子供の妖怪に、霊夢は止めを刺さなかった。
「白蓮に感謝なさい」
白蓮は討伐に反対して、話し合いでの解決を提案したが、霊夢は却下した。
その時に感じたわだかまりが霊夢にこの甘い判断をさせたのか。
背を向け立ち去ろうとする霊夢に、
妖怪の子は隠し持っていた匕首を構えると、
爆発的な瞬発力で霊夢に飛び掛った。
霊夢は後悔する事になった。
いや、霊夢にかかれば、カウンターで妖怪のガキなぞ瞬殺できる。
だが、霊夢が事前に殺しておかなかったために、
オブザーバーとして同行していた白蓮が、
霊夢を助けようと、
霊夢が反応する前に、
子供妖怪を殺めてしまった。
白蓮の手を汚させてしまった。
その借りを返すべく、
霊夢は、その身を汚す仕事に赴くこととなった。
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「化け物めぇ!! 仏罰を受けよ!!」
未だに坊さん気取りの偽白蓮の叫びで、霊夢は刹那の回想から我に返った。
偽白蓮は大きな銃、というより『砲』を抱えていた。
これは、ハープーン――要するに『捕鯨砲』である。
偽白蓮が、無縁塚に流れ着いた物を商う店で大枚をはたいて購入した、自慢の兵器である。
巨大な鯨を一撃で仕留められるこれまた巨大な銛を、霊夢に向けている。
はぁ……。
霊夢は、ため息を吐いた。
「あんた、死にたいの?」
次に吐いたのは、冷たい言葉。
脅しではない。
寛大な霊夢が盗賊団の首領である偽白蓮に投げかけた慈悲である。
無駄な抵抗をしなければ、命だけは助けてあげますよ、と。
結局、偽白蓮に、霊夢の情が伝わることは無かった。
「なむっさぁぁぁぁぁんっっっっっ!!!!!」
偽白蓮の巨躯が抱えた砲が火を噴き、火薬の力で銛が発射された。
長くて太く鋭い銛は、狙い過たずに霊夢の体の中心に飛び、
霊夢が左手に持った紙っぺら――ありがたい呪文が書かれたお札――に、簡単に弾き返された。
銛は宙を舞った。
舞い終えた銛は、重力の手につかまった。
重力の手に引き寄せられた銛は、鋭い先端部を地面に向けて落下した。
落下する先。
アホ面を晒して天を仰ぐ、偽白蓮の大口があった。
この光景をレミリア・スカーレットが見たら、
自分のことを、串刺し公の再来だとか茶化しそうだなぁ。
霊夢は無様な盗賊首領の末路を見て、そんなことをぼんやり考えていた。
霊夢は、船全体の爆発に巻き込まれた偽白蓮の串焼きに目もくれず、
聖輦船から迎えに来た内火艇(連絡等に用いられる内燃機関を用いた小型船)にむけ、飛翔した。
こういう命蓮寺もありだなとか思いながら読んでいって
最後、一人で勝手にどんでん返しをくらいました
いやあ、二次創作における先入観はほんと面白いですね
あらゆる面でぶっとんでて最高に素敵なお話でした。
犯させるだけ犯させといて最後にしれっと悪党駆除する霊夢とか大好物だw
白蓮を騙った時点で万死に値するけどな!
どっちも私欲のために平等言ってるなら、面白い方を支持する。
霊夢処女説に賛成だけど、修行と称して理不尽な貫通させられてそうな気もする。