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『風が吹けば儲かるような桶屋になりたい』 作者: ただの屍
ある時、紫は幻想郷の未公開の部分を無くそうと思い立ち、戸籍と地図を作ろうとした。
すると何処からか人間がやって来て、そういった事は困るから止めて欲しいと言ったので、紫は渋々了承した。
一応それで話は付いた筈だったが、その人間が去ると様々な人々が次々とやって来てネロのビーナスが云々、鶴の恩返しがどうこう、全裸よりも着衣の方が性的な興奮がどうとかいう話を持ち出して紫を怒鳴りつけた。その怒鳴り声が一日中続いたので紫はうんざりした。
その不躾な来訪者は今でも時々紫の元に現れている筈である。だから紫は一日の半分を不貞寝して過ごしているのだろう。
―――――
ある部屋で早苗が目を覚ます。
そこには拳銃を持った男が立っていた。
早苗の体は縄か何かで縛られているようであった。
早苗は目の前の男に自由を要求した。
男はにやついた表情でわざとらしく同情してみせた。
「残念だったなあ。ここは産廃なんだ」
男が拳銃の引き金を引く。
銃声。
銃声。
早苗が死ぬ。
死んだ早苗のすぐそばには目隠しをされて麻袋に詰められた早苗がいた。
その早苗が男に対して自由を要求する。
男がその呼び掛けに答える。
初めから男も早苗も口を全く動かしていない。
酷く疲れたような男女の声が部屋の天井に取り付けられたスピーカーから流れ出ていた。
―――――
死後、地獄に落ちた魔理沙は、生前に迷惑を掛けた者全ての枕元に立ち謝罪を行うよう閻魔から言われた。
「あなたが謝罪を終える頃には判決が下るでしょう。それまでに己の罪の重さを知っておきなさい」
その夜、魔理沙は生前の記憶を頼りにして、一人一人順番に謝罪をして回っていったが、頭の中のリストの半分も消化しないうちに夜が明けてしまった。
魔理沙は一旦地獄に戻り、閻魔にこの事を話した。
「このままだと謝罪を終えるまでに三日も掛かってしまうなあ」
閻魔はにっこりと笑った。
「ええ、全然構いませんよ。魔理沙さんの罪状が完成するのに五日は掛かる筈ですから」
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タイムマシンを完成させたにとりは、タイムパラドックスなるものが実在するのかどうしても気になった。
十年前に戻って過去の自分を殺したら一体今の自分はどうなってしまうのだろうか。
早速にとりはタイムマシンに十年前の時空アドレスを打ちこみ、作動スイッチを押した。
十年前の自宅に戻ったにとりは、十年前のにとりを殺した。十年前のにとりはいきなり現れたもう一人の自分にびっくりして固まってしまったので簡単に殺害できた。
にとりはタイムパラドックスに関する情報を頭の中に並べる。
「これはパラレルワールドってやつなのかなあ。なんだか拍子抜けだったなあ」
未来に帰る事にしたにとりはタイムマシンに十年後の時空アドレスを打ち込み、作動スイッチを押した。
タイムマシンが確認のメッセージを吐いた。
「十年後の未来では、その時空アドレスはもう使われておりません。タイムワープの成功は保障されませんがそれでもよろしいでしょうか」
作品情報
作品集:
27
投稿日時:
2011/07/22 07:42:22
更新日時:
2011/07/22 20:10:17
分類
短編四つ
『怠惰な賢者』の感想:どいつもこいつも、好き勝手言いやがって……。
『ルーチンワーク』の感想:うんざり。だけど産廃じゃ、義務を通り越して作業なんだよね……
『咎人の贖罪』の感想:これが貴方にできる善行です。判決には考慮されませんが。
『禁忌への挑戦』の感想:可能性を殺したか。