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『サベツだなんだって、所詮はマトモな方たちにとっての話なんデスヨ』 作者: Sfinx
えへら、えへら。
三日月の、夜。
しまりのない笑みを浮かべ、その男は人里を闊歩していた。
まっすぐ歩くことすらできないのか、右に左に、道幅をいっぱいに使って歩を進めている。
その男は、白痴であった。
里でも特に裕福な商人の息子であったために、間引かれることなく育てられ、齢は二十を超している。
しかし、育てこそしても人目に晒すのは憚られたのだろう。
月に一度、真夜中に散歩させる時を除き、座敷牢のような部屋に閉じ込められている。
その月に一度の散歩も、主は良かれと思ってやっているのだが、本人は部屋の中とまるで変わらぬ呆けた顔で歩き回るだけ。
見張りの下男は、この白痴にも帰巣本能とやらが備わっていることを知って以来、お足を貰うだけ貰ってほったらかしにしていた。
えへら、えへら。
また、いつもと変わらぬ表情。
ものが見えているのか疑問になるほど弛緩したものだったが、突如、表情が変わった。
急激に緊張したその表情に驚き、視線を辿る。
その先では一匹の唐傘お化けが、恨めしげな表情で彼を見ていた。
うらめしや。
呟いた。
――ヒイイイイイイィィィィィィィィィィィィ!!!!!!
生まれてこの方、一度も声を発する必要は無かったであろう青年の絶叫は、絹どころか紙も裂けないようなか細いものだった。
あどけない少女の姿形をしたその唐傘を、彼は心の底から恐怖する。
白痴の男としてでも、主の愚息としてでも無い、生涯感じたことの無い眼差し。
その少女はただ「捕食の対象」としてしか彼を見ていない。
「ただの人間」、のうちの一人としてしか彼を見ていない。
そこに、差別も偏見も無い。
生まれて初めて「人間」に見られた青年は、その無防備さにえづき、辺りに反吐を撒き散らして気を失った。
白痴として扱われることは哀しいことだ、と。
人間として扱われることは誇らしいことだ、と。
いつか、彼もそう考えるのかもしれない。
何も知らず、ただただ一人だった彼には、いつもと違う眼差しは気を失うほどの恐怖でしかなかった。
気絶した彼を野良妖怪が喰らう。
唐傘を見たとの報告を受けて、博麗の巫女は件の唐傘を殺してしまった。
とある三日月の、夜の話。
小傘ちゃんは誰かに驚いてほしかっただけなんです
というわけで、物凄く久しぶりに投稿してみました。
前に書いたSSとかトチ狂った腋臭フェチしか覚えてないわー
これからちょくちょく投稿してみるので、よろしくお願いします。
Sfinx
作品情報
作品集:
28
投稿日時:
2011/08/07 17:21:30
更新日時:
2011/08/08 02:21:30
分類
小傘
男
短編
頻繁に貴方の素敵な物語にありつけるとは、この上ない幸福です。
これは幻想郷の日常の話。
これは幻想郷の常識の話。
これは、幻想郷で起こった、ほんの少しの奇跡と悲劇のお話。
他にもこの息子はともかく、世の池沼やヤク中の心神喪失者による犯罪の被害者ってのは大体が体格の劣る女子供なんだよね
なんだかんだ言って本能ってのは大したもんで、自分より弱い奴がわかるんだね
「こんな事なら産まれた時に捻っておきゃ良かった」なんてのはまさに後悔先に立たず
盲目的で一方的かつ独りよがりな善意・良識ほどタチに悪いものは無いのだねぇ
せっかく小傘のいいターゲットができたのに…
しかし、なんか役に立ちたい
まだ小傘の役に立った白痴のこやつのように